JP5983077B2 - 光情報記録媒体および再生装置 - Google Patents

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Description

本技術は、光情報記録媒体およびそれを再生するための再生装置に関する。詳しくは、交互に設けられたグルーブおよびランドを有する光情報記録媒体に関する。
従来、レーザ光を用いて情報を記録または再生する光ディスクが実用化されている。光ディスクの種類としては、再生専用型、追記型および書き替え型がある。追記型および書き換え型の光ディスクでは、情報の記録のために、予め光ディスクの位置を示すアドレス情報が記録されている必要がある。
アドレス情報の記録方式としては、2種類の方式が知られている。その一つの方式は、アドレス情報をプリフォーマットピットとして記録する方式である。他の方式は、溝を形成する信号をアドレス情報によって変調(ウォブル)する方式である。なお、溝のことをグルーブと称し、グルーブにより形成されるトラックをグルーブトラックと称する。グルーブは、光ディスクを製造する時に、レーザ光によって照射される部分と定義され、隣接するグルーブ間に挟まれるエリアをランドと称し、ランドにより形成されるトラックをランドトラックと称する。
ところで、近年では、光ディスクの記録容量をさらに向上することが望まれている。記録容量の向上のためには、グルーブトラックおよびランドトラックの両方にデータを記録する方式(以下「ランド/グルーブ記録方式」と適宜称する。)が望ましい。ランド/グルーブ記録方式においては、グルーブトラックに対するアドレス情報は、カッティッグ時にレーザ光を偏向させることによって記録することができる。
従来からランド/グルーブ記録方式において、グルーブトラックおよびランドトラックの両方のアドレスを再生することを可能とする光ディスクが提案されている。特許文献1には以下の技術が開示されている。グルーブトラックにアドレスをウォブルによって記録する場合に、間欠的にアドレスを記録し、且つ隣のグルーブトラックとの間でアドレスの記録位置の位相を反転させる。このようにすると、ウォブルトラックを再生する時に元々記録されているアドレス情報が間欠的に再生され、ランドトラックを再生すると、隣接する両側のグルーブトラックのアドレスが交互に再生されることになる。したがって、グルーブ走査時およびランド走査時の何れにおいてもウォブル情報(アドレス情報)を得ることができる。
特許文献2、3には以下の技術が開示されている。ランドトラックおよびグルーブトラックのそれぞれをウォブルさせ、各トラックの片方の側壁にアドレス情報をウォブルによって記録する。さらに、ウォブルトラックのアドレス情報ブロックとグルーブトラックのアドレス情報ブロックとをトラック方向にずらして配置する。
特開平9−219024号公報 特開2003−178464号公報 特開2006−228293号公報
本技術は、難易度の高いマスタリング技術を用いずに作製可能であると共に、ユーザデータなどの記録用データ領域の減少を抑制して効率的にアドレス情報を記録することができる光情報記録媒体およびそれを再生するための再生装置の提供を目的とする。
上述の課題を解決するために、第1の技術は、
交互に設けられたグルーブおよびランドを有し、
グルーブのアドレス情報は、該グルーブのウォブルにより記録され、
ランドのアドレス情報は、該ランドの両側に設けられたグルーブのウォブルの組み合わせにより記録され
ウォブルは、第1ウォブルと第2ウォブルとを有し、
ウォブルの組み合わせは、第1ウォブルと第2ウォブルとの組み合わせであり、
第1ウォブルは、正の極性を有し、
第2ウォブルは、負の極性を有する光情報記録媒体である。
第2の技術は、
交互に設けられたグルーブおよびランドを有し、
グルーブのアドレス情報は、該グルーブのウォブルにより記録され、
ランドのアドレス情報は、該ランドの両側に設けられたグルーブのウォブルの組み合わせにより記録され、
ウォブルは、第1ウォブルと第2ウォブルとを有し、
ウォブルの組み合わせは、第1ウォブルと第2ウォブルとの組み合わせであり、
第1ウォブルは、基準ウォブルに対して第1方向に傾いており、
第2ウォブルは、基準ウォブルに対して第1方向とは反対となる第2方向に傾いている光情報記録媒体である。
の技術は、
光情報記録媒体のランドまたはグルーブに対して光を照射することにより反射光を得る光学部と、
光学部により得られた反射光に基づき、ランドの両側に設けられたグルーブのウォブルの組み合わせにより記録されているアドレス信号を生成するアドレス信号生成部と、
アドレス信号生成部により生成されたアドレス信号からランドアドレス情報を取得するアドレス情報取得部と
を備え
ウォブルは、第1ウォブルと第2ウォブルとを有し、
ウォブルの組み合わせは、第1ウォブルと第2ウォブルとの組み合わせであり、
第1ウォブルは、正の極性を有し、
第2ウォブルは、負の極性を有する再生装置である。
第4の技術は、
光情報記録媒体のランドまたはグルーブに対して光を照射することにより反射光を得る光学部と、
光学部により得られた反射光に基づき、ランドの両側に設けられたグルーブのウォブルの組み合わせにより記録されているアドレス信号を生成するアドレス信号生成部と、
アドレス信号生成部により生成されたアドレス信号からランドアドレス情報を取得するアドレス情報取得部と
を備え、
ウォブルは、第1ウォブルと第2ウォブルとを有し、
ウォブルの組み合わせは、第1ウォブルと第2ウォブルとの組み合わせであり、
第1ウォブルは、基準ウォブルに対して第1方向に傾いており、
第2ウォブルは、基準ウォブルに対して第1方向とは反対となる第2方向に傾いている再生装置である。
本技術では、グルーブのアドレス情報およびランドのアドレス情報は、グルーブのウォブルにより記録される。したがって、マスタリングの際には、1ビーム露光によりグルーブのアドレス情報およびランドのアドレス情報を記録することができる。また、アドレス情報をプリフォーマットピットとして記録せずに済むため、ユーザデータなどの記録用データ領域の減少を抑制することができる。
以上説明したように、本技術によれば、難易度の高いマスタリング技術を用いずに作製可能であると共に、ユーザデータなどの記録用データ領域の減少を抑制して効率的にアドレス情報を記録することができる。
図1Aは、本技術の一実施形態に係る光情報記録媒体の構成の一例を示す概略図である。図1Bは、図1Aに示した光情報記録媒体の一部を拡大して表す概略図である。 図2は、BDフォーマットのアドレスデータの説明のための略線図である。 図3は、BDフォーマットのADIPユニットの説明のための略線図である。 図4は、BDフォーマットのADIPワードのデータ構造の説明のための略線図である。 図5は、MSKの説明のための波形図である。 図6A、図6Bは、STWの説明のための波形図である。 図7A、図7Bは、STWの説明のための波形図である。 図8は、1RUBのアドレスエリアの一部を抽出して示した略線図である。 図9Aは、グルーブアドレスエリアに記録されたSTW信号の波形を示す略線図である。図9Bは、グルーブアドレスエリアに記録されたSTW信号の波形を示す略線図である。 図10Aは、STW信号の第1の組合せを示す略線図である。図10Bは、STW信号の第2の組合せを示す略線図である。 図11Aは、STW信号の第3の組合せを示す略線図である。図11Bは、STW信号の第4の組合せを示す略線図である。 図12は、グルーブアドレスエリアおよびランドアドレスエリアの一例を示す略線図である。 図13は、アドレスデータの記録方法の一例を説明するための略線図である。 図14は、アドレスデータの再生方法の一例を説明するための略線図である。 図15は、グルーブアドレスエリアとランドアドレスエリアとの配置の一例を示す略線図である。 図16は、本技術の一実施形態に係る再生装置の構成の一例を示すブロック図である。 図17は、ADIPデコーダの構成の一例を示すブロック図である。 図18は、グルーブ再生時のアドレスデコード処理の一例を説明するためのフローチャートである。 図19は、ランド再生時のアドレスデコード処理の一例を説明するためのフローチャートである。 図20は、ADIPデコーダの変形例を示すブロック図である。
本発明の実施形態について図面を参照しながら以下の順序で説明する。
1.光情報記録媒体の構成
2.光情報記録媒体のフォーマット
3.光情報記録媒体のアドレス情報
4.再生装置の構成
5.再生装置の動作
6.変形例
[1.光情報記録媒体の構成]
図1Aは、本技術の一実施形態に係る光情報記録媒体の構成の一例を示す概略図である。図1Bは、図1Aに示した光情報記録媒体の一部を拡大して表す概略図である。光情報記録媒体1は、いわゆる追記型および書き換え型の光ディスクであり、中央に開口(センターホール)が形成された円環形状を有している。光情報記録媒体1は、基板表面に交互に設けられたランドLおよびグルーブGを有している。ランドLおよびグルーブGは、例えば、スパイラル状または同心円状を有している。グルーブGは、線速度の安定化やアドレス情報付加などのためにウォブル(蛇行)されている。
[2.光情報記録媒体のフォーマット]
本技術の一実施形態に係る光情報記録媒体1では、アドレス情報のフォーマットなどをBD(Blu-ray Disc(登録商標))フォーマットに準じるものとすることが可能である。このことによって、実用化されている高密度光ディスクであるBDの技術の多くの部分を利用できる。したがって、BDフォーマットにおけるアドレス情報について以下に説明する。
図2に示すように、書き込まれるメインデータは、RUB(Recording Unit Block)の系列(RUBn+0、RUBn+1、RUBn+2、RUBn+3、・・・・)である。RUBは、メインデータ(記録再生データ)を記録する単位であり、所定の長さ例えば64kバイトとされている。1RUB毎に3個のADIP(Address In Pregroove)ワードADIP0、ADIP1、ADIP2が割り当てられている。ADIP0、ADIP1、ADIP2は、互いに同一のアドレス情報を有している。
さらに、一つのADIPワードには、83(ユニットナンバー0−82)のADIPユニットが含まれている。一つのADIPワード中には、24ビットのアドレス情報、12ビットの補助データ、リファレンス領域、エラー訂正コードなどが格納されている。これらの情報は、83ADIPユニット中の例えば60ADIPユニットを使用して表されている。
図3に示すように、合計56個のウォブルのかたまりがADIPユニットとされ、このADIPユニットで「0」または「1」の1ビットあるいは同期情報あるいは参照ユニットあるいはモノトーンユニットが表現される。1ウォブルは、例えば基本ウォブル波形(cos(2πft))の1周期である。したがって、1ADIPワードが(83×56)ウォブルからなる。図3には、ADIPユニットの8種類(モノトーンユニット、参照ユニット、4種類の同期ユニットおよびデータの「0」および「1」をそれぞれ表す2種類のデータユニット)が示されている。なお、図3では、スペース上の制約から35個のウォブルのかたまりが示されている。
図3に示すように、56ウォブルからなるADIPユニットに対して0から55のウォブル番号を付加して区別すると、例えばウォブル番号が0から2までの区間などは、MSK(Minimum Shift Keying)で変調され、リファレンスユニットとデータユニットのウォブル番号18から54までがSTW(Saw Tooth Wobble)で変調される。変調されていないモノトーン・ウォブルは、所定周波数(cos(2πft))の基本波でウォブルする。
ADIPワードは、図4に示すようなデータ構造を有する。図4におけるADIPユニットタイプが図3におけるADIPユニットの種類と対応している。一つのADIPワードには、60ビットのデータが含まれている。
MSKは、図5に示すように、3個のウォブルによって構成されている。前後のウォブルの周波数が基本波の1.5倍とれているので、中心のウォブルの波形がMSKでない部分に対して極性が反転されている。各ADIPユニットの先頭(0−2番目のウォブル)に対して配置され、ADIPユニットの先頭位置を検出するために使用される。
さらに、図3に示すように、データ0のADIPユニットの先頭から14〜16番目のウォブルの位置にMSKが配置され、データ1のADIPユニットの先頭から12〜14番目のウォブルの位置にMSKが配置される。このように、MSKの位置によって、データの「0」と「1」とが表されている。
データ「0」のADIPユニットにおいて、MSKが0とされると共に、先頭から18〜55番目のウォブルの区間に「0」を表すSTWが配置される。データ1のADIPユニットにおいて、MSKが1とされると共に、先頭から18〜55番目のウォブルの区間に「1」を表すSTWが配置される。
STW方式は、基本波(cos(2πft))に対して2次高調波(sin(2π2ft))を加算または減算することによって、のこぎり歯に似た変調波形を生成するものである。2次高調波の振幅は、基本波形の1/4程度の小さなものとされている。データの「0」または「1」によって、加算および減算の一方が選択されるので、変調波形が異なったものとされる。参照ユニットとデータユニットのウォブル番号が18〜54の区間に繰り返して記録されている。
このように2種類の方式を使用するのは、各方式の短所を補うことを可能とするためである。MSK方式では、ADIPユニットの先頭の3個のウォブルを変調することによって1ビットが記録されるので、再生時のデータの位置を決める基準として使うことができる。一方、STW方式は、微小な波形変化として、広い範囲にわたって繰り返し記録されており、再生時には、再生信号を積分して「0」または「1」を判別している。したがって、再生信号をデータの区切りを検出するための情報として使用することが難しい。しかしながら、局所的な記録方式であるMSK方式は、ディスク上の傷、ゴミなどに起因する欠陥の影響を受けやすい。STW方式は、より長い期間にわたって記録されるので、欠陥の影響を受けにくい利点がある。
図6および図7を参照してSTW方式の変調ウォブル信号についてより詳細に説明する。図6および図7において、横軸が時間軸を示し、基本ウォブル波形の1周期(すなわち、1ウォブル)が図示され、縦軸が正規化された振幅を示す。図6Aは、データc(n)が「1」の場合の波形を示し、図7Aは、データc(n)が「0」の場合の波形を示す。
図6Aおよび図7Aにおいて、破線で示す波形が基本ウォブル波形S0(=cos(2πft)である。c(n)=「1」の場合では、基本ウォブル波形S0に対して2倍の周波数のsin信号が加算されることによって変調された波形S1が形成される。すなわち、S1=Acos(2πft)+asin(2π2ft)である。A>aの関係とされ、例えばA=1、a=0.2とされる。この変調ウォブル波形S1は、時間方向に対して立ち上がり(ディスクの径方向では、ディスクの外側方向)が基本ウォブル波形S0に比して緩やかで、立ち下がり(ディスクの径方向では、ディスクの内側方向)が基本ウォブル波形S0に比して急峻となるように変調された波形である。
図7Aに示すように、c(n)=「0」の場合では、基本ウォブル波形S0に対して2倍の周波数のsin信号が減算されることによって変調された波形S2が形成される。すなわち、S2=Acos(2πft)−asin(2π2ft)である。この変調ウォブル波形S2は、時間方向に対して立ち上がり(ディスクの外側方向)が基本ウォブル波形S0に比して急峻で、立ち下がり(ディスクの内側方向)が基本ウォブル波形S0に比して緩やかとなるように変調された波形である。変調ウォブル波形S1およびS2の何れも、ゼロクロス点が基本ウォブル波形と同一の位相となり、再生側におけるクロックを容易に抽出できるようになされている。
図6Aおよび図7Aにおいて、波形S3およびS4のそれぞれは、再生側の処理において使用される周波数が基本波の2倍の周波数のsin信号(sin(2π2ft))を再生変調ウォブル信号に乗じたものを示す。すなわち、再生変調ウォブル波形S1×sin(2π2ft)によって波形S3が得られ、再生変調ウォブル波形S2×sin(2π2ft)によって波形S4が得られる。
再生側では、図6Bおよび図7Bにそれぞれ示すように、波形S3およびS4のそれぞれを1ウォブル周期にわたって積分(積算)することによって積分値ΣS3およびΣS4が得られる。1ウォブル周期を経過した時点の積分値ΣS3が正の値v1となる。一方、1ウォブル周期を経過した時点の積分値ΣS4が負の値v0となる。積分値は、例えばv1=+1、v0=−1と扱われる。
STW変調されているのはウォブル18から54までの37ウォブルであるので、このSTW変調区間のウォブルが全て+1であれば、37ウォブルの積分結果として+37が得られ、全て−1であれば、37ウォブルの積分結果として−37が得られる。各ウォブルの積分値として求められた再生チップ系列に対して記録時に使用されたのと同一の符号系列が乗算され、その結果を37ウォブル積分した結果に基づいてデータの1ビット(「1」/「0」)が判別される。
[3.光情報記録媒体のアドレス情報]
(アドレス形式)
図8は、1RUBに含まれるアドレスエリアの一部を抽出して示した略線図である。1RUB毎に3個のADIPワード(ADIP0、ADIP1、ADIP2)が割り当てられている。本実施形態では、一般的なBDマスタリング装置に大きな変更なくマスタリングが可能なように、グルーブのウォブル変調のみでランドアドレスも形成する。
図8に示すように、アドレスエリアは、グルーブアドレスエリアとランドアドレスエリアとの2種類のエリアに分けられる。グルーブアドレスエリアとランドアドレスエリアとが、例えば、光情報記録媒体1の周方向に交互に設けられている。グルーブアドレスエリアのグルーブ部分RG1には、有効なグルーブアドレス情報が記録されているのに対して、グルーブアドレスエリアのランド部分RL0には、無効なランドアドレス情報が記録されている。一方、ランドアドレスエリアのランド部分RL1には、有効なランドアドレス情報が記録されているのに対して、ランドアドレスエリアのグルーブ部分RG0には、無効なグルーブアドレス情報が記録されている。
グルーブアドレス情報は、グルーブのウォブルにより記録されている。より具体的には、グルーブアドレス情報は、極性が異なる2種のSTW信号によりグルーブを変調することにより、2値情報として記録されている。一方、ランドアドレス情報は、ランドの両側に設けられたグルーブのウォブルの極性の組み合わせにより記録されている。より具体的には、ランドアドレス情報は、ランドの両側に隣接して設けられたグルーブをそれぞれ、極性が異なる2種のSTW信号により変調することにより、3値情報として記録されている。ランドを介して隣接するグルーブのSTWは、同位相またはほぼ同位相となるように設定されている。すなわち、本実施形態に係る光情報記録媒体1のフォーマットとしては、CAVまたはZoneCAVフォーマットが採用されている。
STWには、負の極性を有するSTW(第1ウォブル)と、正の極性を有するSTW(第2ウォブル)とがある。ランドの両側に設けられたグルーブのSTWの極性の組み合わせにより、ランドアドレス情報が3値情報として記録される。
ランドアドレス情報をランドの両側に隣接して設けられたグルーブのSTWの組み合わせにより記録することで、以下の利点を得ることができる。ランドトラックのトラック幅の変動を低減することができる。また、STW信号の頂点のシフト方向によりアドレス情報を判別することができる。したがって、ランドアドレス情報の読み取りエラーを低減することができる。
(グルーブアドレスエリアのアドレス情報)
STW信号の波形は、のこぎりの歯状の波形であり、STW信号を構成する単位波形は緩い傾斜と急峻な傾斜とを有している。STW信号の波形には、2種類の波形がある。グルーブアドレスエリアのグルーブアドレス情報は、2種類のSTW信号S0、S1の波形により2値情報として記録されている。
図9Aは、グルーブアドレスエリアに記録されたSTW信号S1の波形を示す略線図である。STW信号S1は、基本ウォブル信号S0に対して時間の進行方向とは反対の方向(第1の方向)に傾いている。具体的には、STW信号S1の波形は、図9Aに示すように、基本ウォブル信号S0に比して、光情報記録媒体1の外周側に向かって急峻に立ち上がり、光情報記録媒体1の中心側へ緩い傾斜で戻ってくる波形である。STW信号S1は、負の極性を有する信号であり、2値情報のうちのデータ「−1」を表す。このデータ「−1」は、再生装置側でグルーブアドレス情報「0」に変換される。
STW信号S1がグルーブアドレスエリアに記録されている場合には、再生装置は、例えば以下のようにしてグルーブアドレス情報をデコードする。まず、グルーブアドレスエリアに記録されたSTW信号S1を読み取り、そのSTW信号S1から2値情報「−1」を復号する。次に、復号した2値情報「−1」をグルーブアドレス情報「0」に変換する。
図9Bは、グルーブアドレスエリアに記録されたSTW信号S2の波形を示す略線図である。STW信号S2は、基本ウォブル信号S0に対して時間の進行方向(第2の方向)に傾いている。具体的には、STW信号S2の波形は、図9Bに示すように、基本ウォブル信号S0に比して、光情報記録媒体1の外周側に向かって緩い傾斜で立ち上がり、光情報記録媒体1の中心側へ急峻に戻ってくる波形である。STW信号S2は、正の極性を示す信号であり、2値情報のうちのデータ「+1」を表す。このデータ「+1」は、再生装置側でグルーブアドレス情報「1」に変換される。
STW信号S2がグルーブアドレスエリアに記録されている場合には、再生装置は、例えば以下のようにしてグルーブアドレス情報をデコードする。まず、グルーブアドレスエリアに記録されたSTW信号S2を読み取り、そのSTW信号S2から2値情報「+1」を復号する。次に、復号した2値情報「+1」をグルーブアドレス情報「1」に変換する。
(ランドアドレスエリアのアドレス情報)
ランドアドレスエリアのアドレス情報は、ランドアドレスエリアの両側のグルーブエリアに記録されたSTW信号の組合せ(関係)により3値情報として記録されている。STW信号の組合せには、4種類の組合せがある。
図10Aは、STW信号の第1の組合せを示す略線図である。ランドアドレスエリアの内周側の隣接グルーブエリアには、負の極性を有するSTW信号S1が記録されている。一方、ランドアドレスエリアの外周側の隣接グルーブエリアには、負の極性を有するSTW信号S1が記録されている。この場合には、ランドアドレスエリアには、内周側の隣接グルーブエリアのSTW信号S1と外周側の隣接グルーブエリアのSTW信号S1との組合せにより信号S11が記録されている。信号S11は3値情報のうちのデータ「−1」を表す。具体的には、ランドアドレスエリアには、内周側の隣接グルーブエリアのデータ「−1」と外周側の隣接グルーブエリアのデータ「−1」との組み合わせにより、データ「−1」が記録されている。このランドアドレスエリアに記録されたデータ「−1」は、再生装置側でランドアドレス情報「0」に変換される。なお、図10Aにおいて、信号S0は、基本ウォブル信号を示している。
信号S11がランドアドレスエリアに記録されている場合には、再生装置は、例えば以下のようにしてランドアドレス情報をデコードする。まず、ランドアドレスエリアに記録された信号S11を読み取り、その信号S11から3値情報「−1」を復号する。次に、復号した3値情報「−1」をランドアドレス情報「0」に変換する。
図10Bは、STW信号の第2の組合せを示す略線図である。ランドアドレスエリアの内周側の隣接グルーブエリアには、正の極性を有するSTW信号S2が記録されている。一方、ランドアドレスエリアの外周側の隣接グルーブエリアには、正の極性を有するSTW信号S2が記録されている。この場合には、ランドアドレスエリアには、内周側の隣接グルーブエリアのSTW信号S2と外周側の隣接グルーブエリアのSTW信号S2との組合せにより信号S22が記録されている。信号S22は3値情報のうちのデータ「+1」を表す。具体的には、ランドアドレスエリアには、内周側の隣接グルーブエリアのデータ「+1」と外周側の隣接グルーブエリアのデータ「+1」との組み合わせにより、データ「+1」が記録されている。このランドアドレスエリアに記録されたデータ「+1」は、再生装置側でランドアドレス情報「0」に変換される。なお、図10Bにおいて、信号S0は、基本ウォブル信号を示している。
信号S22がランドアドレスエリアに記録されている場合には、再生装置は、例えば以下のようにしてランドアドレス情報をデコードする。まず、ランドアドレスエリアに記録された信号S22を読み取り、その信号S22から3値情報「+1」を復号する。次に、復号した3値情報「+1」をランドアドレス情報「0」に変換する。
図11Aは、STW信号の第3の組合せを示す略線図である。ランドアドレスエリアの内周側の隣接グルーブエリアには、負の極性を有するSTW信号S1が記録されている。一方、ランドアドレスエリアの外周側の隣接グルーブエリアには、正の極性を有するSTW信号S2が記録されている。この場合には、ランドアドレスエリアには、内周側の隣接グルーブエリアのSTW信号S1と外周側の隣接グルーブエリアのSTW信号S2との組合せにより信号S12が記録されている。信号S12は3値情報のうちのデータ「0」を表す。具体的には、ランドアドレスエリアには、内周側の隣接グルーブエリアのデータ「−1」と外周側の隣接グルーブエリアのデータ「+1」との組み合わせにより、データ「0」が記録されている。このランドアドレスエリアに記録されたデータ「0」は、再生装置側でランドアドレス情報「1」に変換される。なお、図11Aにおいて、信号S0は、基本ウォブル信号を示している。
信号S12がランドアドレスエリアに記録されている場合には、再生装置は、例えば以下のようにしてランドアドレス情報をデコードする。まず、ランドアドレスエリアに記録された信号S12を読み取り、その信号S12から3値情報「0」を復号する。次に、復号した3値情報「0」をランドアドレス情報「1」に変換する。
図11Bは、STW信号の第4の組合せを示す略線図である。ランドアドレスエリアの内周側の隣接グルーブエリアには、正の極性を有するSTW信号S2が記録されている。一方、ランドアドレスエリアの外周側の隣接グルーブエリアには、負の極性を有するSTW信号S1が記録されている。この場合には、ランドアドレスエリアには、内周側の隣接グルーブエリアのSTW信号S2と外周側の隣接グルーブエリアのSTW信号S1との組合せにより信号S21が記録されている。波形S21は3値情報のうちのデータ「0」を表す。具体的には、ランドアドレスエリアには、内周側の隣接グルーブエリアのデータ「+1」と外周側の隣接グルーブエリアのデータ「−1」との組み合わせにより、データ「0」が記録されている。このランドアドレスエリアに記録されたデータ「0」は、再生装置側でランドアドレス情報「1」に変換される。なお、図11Bにおいて、信号S0は、基本ウォブル信号を示している。
信号S21がランドアドレスエリアに記録されている場合には、再生装置は、例えば以下のようにしてランドアドレス情報をデコードする。まず、ランドアドレスエリアに記録された信号S21を読み取り、その信号S21から3値情報「0」を復号する。次に、復号した3値情報「0」をランドアドレス情報「1」に変換する。
(アドレスエリアの一例)
図12は、グルーブアドレスエリアおよびランドアドレスエリアの一例を示す略線図である。グルーブG[n]のグルーブアドレスエリアには、グルーブアドレス情報が記録されている。一方、ランドL[n]のランドアドレスエリアには、ランドL[n]に隣接する両側のグルーブG[n]、G[n+1]のデータの組み合わせによりランドアドレス情報が記録されている。
(アドレス情報の記録方法)
図13は、アドレス情報の記録方法の一例を説明するための略線図である。グルーブG[n]のグルーブアドレスエリアには、2値情報「−1」、「+1」に変換されたグルーブアドレス情報が、STWとして記録される。
STWとして記録する際には、グルーブアドレス情報は、例えば以下に示すように2値情報に変換される。
グルーブアドレス情報「0」→2値情報「−1」
グルーブアドレス情報「1」→2値情報「+1」
ランドL[n]のランドアドレスエリアには、ランドアドレス情報が、ランドL[n]に隣接する両側のグルーブG[n]、G[n+1]のSTWの極性の組み合わせにより記録される。例えば、ランドL[n]のランドアドレスエリアにランドアドレス情報「0」を記録する場合には、ランドL[n]に隣接するグルーブG[n]とグルーブG[n+1]とに同一極性のSTW(データ)を記録する。ランドL[n]のランドアドレスエリアにランドアドレス情報「1」を記録する場合には、ランドL[n]に隣接するグルーブG[n]とグルーブG[n+1]とに逆極性のSTW(データ)を記録する。
ランドアドレス情報と、隣接グルーブに記録されるSTW(データ)の極性との関係を以下に示す。
ランドアドレス情報「0」→STWの極性の組み合わせ「−1、−1」、「+1、+1」
ランドアドレス情報「1」→STWの極性の組み合わせ「+1、−1」、「−1、+1」
(アドレス情報の再生方法)
図14は、アドレス情報の再生方法の一例を説明するための略線図である。グルーブG[n]の再生時には、グルーブアドレスエリアおよびランドアドレスエリアの両方のグルーブG[n]からSTW信号が読み出され、2値情報「−1」、「+1」に復号される。そして、この復号された2値情報「−1」、「+1」は、例えば以下のようにグルーブアドレス情報に変換される。
2値情報「−1」→グルーブアドレス情報「0」
2値情報「+1」→グルーブアドレス情報「1」
グルーブアドレスエリアのグルーブG[n]から読み出され変換されたグルーブアドレス情報は、有効なグルーブアドレス情報として判断され、グルーブアドレス情報として用いられる。一方、ランドアドレスエリアのグルーブG[n]から読み出され変換されたグルーブアドレス情報は、無効なグルーブアドレス情報として判断され、無効データとして取り扱われる。グルーブアドレス情報が有効なものであるか否かは、例えば、読み出された前後のグルーブアドレス情報との連続性を確認することにより判断される。
ランドL[n]の再生時には、グルーブアドレスエリアおよびランドアドレスエリアの両方のランドL[n]から3値情報「−1」、「0」、「+1」が読み出される。具体的には、ランドL[n]の両側の隣接グルーブG[n]、G[n+1]に同一極性のSTW信号(すなわち同一極性のデータ)が記録されている場合には、3値情報のうちのデータ「−1」または「+1」が読み出される。一方、ランドL[n]の両側の隣接グルーブG[n]、G[n+1]に逆極性のSTW信号(すなわち逆極性のデータ)が記録されている場合には、3値情報のうちの「0」が読み出される。
グルーブアドレスエリアおよびランドアドレスエリアのランドL[n]から読み出された3値情報「−1」、「0」、「+1」は、例えば以下のようにランドアドレス情報に変換される。
3値情報「−1」→ランドアドレス情報「0」
3値情報「+1」→ランドブアドレス情報「0」
3値情報「0」→ランドアドレス情報「1」
ランドアドレスエリアのグルーブL[n]から読み出され変換されたランドアドレス情報は、有効なランドアドレス情報として判断され、ランドアドレス情報として用いられる。一方、グルーブアドレスエリアのグルーブL[n]から読み出され変換されたランドアドレス情報は、無効なランドアドレス情報として判断され、無効データとして取り扱われる。ランドアドレス情報が有効なものであるか否かは、例えば、読み出された前後のランドアドレス情報との連続性を確認することにより判断される。
(アドレスエリアの配置)
図15は、グルーブアドレスエリアとランドアドレスエリアとの配置の一例を示す略線図である。1RUB毎に3個のADIPワードが割り当てられている。なお、1RUB毎に割り当てられるADIPワードの個数はこの例に限定されるものではなく、3個以外の所定の個数に設定することも可能である。
ADIPワードに含まれるグルーブアドレスエリアおよびランドアドレスエリアが、光情報記録媒体1の周方向に交互に設けられている。具体的には、光情報記録媒体1の周方向には、有効なグルーブアドレスエリアおよび無効なグルーブアドレスエリアがADIPワード単位で交互に設けられると共に、有効なランドアドレスエリアおよび無効なランドアドレスエリアがADIPワード単位で交互に設けられている。一方、光情報記録媒体1の径方向には、有効なグルーブアドレスエリアおよび無効なランドアドレスエリアが交互に設けられると共に、有効なランドアドレスエリアおよび無効なグルーブアドレスエリアが交互に設けられている。なお、アドレスエリアの配置はこの例に限定されるものではない。例えば、光情報記録媒体1の周方向には、有効なグルーブアドレスエリアおよび無効なグルーブアドレスエリアをRUB単位で交互に設けると共に、有効なランドアドレスエリアおよび無効なランドアドレスエリアをRUB単位で交互に設けるとことも可能である。
ここで、有効なグルーブアドレスエリア、有効なランドアドレスエリアとはそれぞれ、有効なグルーブアドレス情報が記録されたエリア、有効なランドアドレス情報が記録されたエリアを意味する。一方、無効なグルーブアドレスエリア、無効なランドアドレスエリアとはそれぞれ、無効なグルーブアドレス情報が記録されたエリア、無効なランドアドレス情報が記録されたエリアを意味する。
[4.再生装置の構成]
図16は、本技術の一実施形態に係る再生装置の構成の一例を示すブロック図である。グルーブアドレス情報およびランドアドレス情報が記録されている光情報記録媒体1に対してデータが記録され、光情報記録媒体1からデータが再生される。
光情報記録媒体1がスピンドルモータ2によって角速度一定で回転される。すなわち、光情報記録媒体1がCAV方式で回転される。ゾーンCAV方式を使用しても良い。光学ヘッド3に対してレーザ駆動部4からの駆動信号が供給され、記録データ5に応じて強度が変調されたレーザビームが光学ヘッド3から光情報記録媒体1に対して照射され、再生されたアドレス情報に基づいて決定された光情報記録媒体1の所定の位置にデータが記録される。
光情報記録媒体1に対して光学ヘッド3からの読み取りレーザビームが照射され、その反射光が光学ヘッド3内のフォトディテクタによって検出され、信号検出部6によって再生信号が検出される。信号検出部6からは、再生信号7、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号などのサーボエラー信号8、並びにウォブル信号9が取り出される。ウォブル信号9は、トラック方向で光検出素子が2分割された検出器の出力信号である。例えば二つの検出器の和の信号がウォブル信号9として取り出される。ウォブル信号9は、ウォブル波形に応じたものとなる。トラックの両側のウォブルが同一位相の場合に、ウォブル信号9のレベルが最大となり、両側のウォブルが逆位相の場合に、ウォブル信号9のレベルが最小となる。
エラー信号8がサーボ回路10に供給される。サーボ回路10によってスピンドルモータ2の回転が角速度一定に制御され、光学ヘッド3のフォーカスおよびトラッキングが制御される。
信号検出部6により検出されたウォブル信号9がA/Dコンバータ11に供給され、A/Dコンバータ11によってデジタル信号に変換される。A/Dコンバータ11の出力信号がデジタルPLL(Phase Locked Loop )12に供給され、デジタルPLL12において、クロック抽出とMSKおよびSTWパルス抽出が行われる。抽出されたMSKおよびSTWパルスなどのデジタル信号は、ADIPデコーダ13に供給される。
ADIPデコーダ13は、デジタルPLL12から供給されるデジタル信号を用いて、ADIPワード毎にMSKおよびSTWとして記録されているアドレス情報などを復号し、エラー訂正を行う。ADIPデコーダ13により復号されたアドレス情報が有効性判定部14に供給される。グルーブトラックを走査している場合には、グルーブアドレス情報が出力として取り出される。ランドアドレスを走査している場合には、ランドアドレス情報が出力として取り出される。
なお、グルーブおよびランドのいずれを走査しているかは、例えば、サーボ信号などに基づき判断できる。サーボ信号による判断ができない系においては、アドレス情報を正しくデコードできたデコーダの出力をアドレスと見なすようにしてもよい。
有効性判定部14は、ADIPデコーダ13から供給されるアドレス情報の有効性を判定し、有効と判定されたアドレス情報のみを出力する。例えば、グルーブトラックを走査している場合には、有効性判定部14は、ADIPデコーダ13から供給されるグルーブアドレス情報の有効性を判定し、有効であると判定したグルーブアドレス情報のみを出力する。ここで、グルーブアドレス情報の有効性は、例えば、前後に読み出されたグルーブアドレス情報との連続性により判定される。一方、ランドトラックを走査している場合には、有効性判定部14は、ADIPデコーダ13から供給されるランドアドレス情報の有効性を判定し、有効であると判定したランドアドレス情報のみを出力する。ここで、ランドアドレス情報の有効性は、例えば、前後に読み出されたランドアドレス情報との連続性により判定される。
なお、グルーブアドレス情報およびランドアドレス情報の有効性の判定方法は上記の例に限定されるものではなく、誤り訂正回路を通過できるか否かで判定する方法や、同期(Sync)の入れ方をランドとグルーブとで変えることで判定する方法などが挙げられる。
図17は、ADIPデコーダの構成の一例を示すブロック図である。ADIPデコーダ13は、積分器21、信号加算器22、検出器23および変換器24を備える。ここでは、ADIPデコーダのうち、STW信号として記録されたアドレス情報のデコードに関する部分のみについて説明する。
積分器21は、STW信号を1ウォブル周期分だけ積分し、その積分結果を信号加算器22に供給する。より具体的には、積分器21は、STW信号の波形S1から波形S3を生成し、それを1ウォブル周期分だけ積分(図6A、図6B参照)するか、もしくはSTW信号の波形S2から波形S4を生成し、それを1ウォブル周期分だけ積分(図7A、図7B参照)する処理を行う。そして、積分器21は、その積分結果を信号加算器22に供給する。なお、波形S1およびS2からそれぞれ波形S3およびS4を生成する具体的な方法は、図6A〜図7Bを参照して上述した通りである。信号加算器22は、積分器21から供給される積分結果(1ウォブル周期分だけの積分結果)を、所定ウォブル数分(例えば37ウォブル周期分)だけ加算し、加算結果を検出器23に供給する。
検出器23は、グルーブトラック再生時には、信号加算器22から供給される加算結果を1つのしきい値と比較することにより、2値情報に復号する。具体的には、信号加算器22から供給される加算結果ΣSnをしきい値αと比較し、比較結果に基づき2値情報に復号する。
以下に2値情報の復号例を示す。
「しきい値α<加算結果ΣSn」→2値情報「+1」
「加算結果ΣSn≦しきい値α」→2値情報「−1」
検出器23は、ランドトラック再生時には、信号加算器22から供給される加算結果を2つのしきい値と比較することにより、3値情報に復号する。具体的には、信号加算器22から供給される加算結果ΣSnを第1のしきい値β1および第2のしきい値β2の2つのしきい値と比較し、比較結果に基づき3値情報に復号する。
以下に3値情報の復号例を示す。
「第1のしきい値β1<加算結果ΣSn」→3値情報「+1」
「第2のしきい値β2≦加算結果ΣSn≦第1のしきい値β1」→3値情報「0」
「第2のしきい値β2>加算結果ΣSn」→3値情報「−1」
なお、しきい値α、β1およびβ2は、全て異なる値に設定される。
変換器24は、グルーブトラック再生時には、検出器23から供給された2値情報「+1」、「−1」をグルーブアドレス情報「1」、「0」に変換する。また、変換器24は、ランドトラック再生時には、検出器23から供給された3値情報「+1」、「0」、「−1」をランドトラックアドレス情報「1」、「0」に変換する。
以下に、グルーブトラック再生時における2値情報からグルーブアドレス情報への変換例を示す。
2値情報「+1」→グルーブアドレス情報「1」
2値情報「−1」→グルーブアドレス情報「0」
以下に、ランドトラック再生時における3値情報からランドアドレス情報への変換例を示す。
3値情報「+1」→ランドアドレス情報「0」
3値情報「0」→ランドアドレス情報「1」
3値情報「−1」→ランドアドレス情報「0」
[5.再生装置の動作]
以下、本技術の第1の実施形態に係る再生装置の動作として、グルーブトラック再生時のアドレスデコード処理およびランドトラック再生時のアドレスデコード処理について説明する。
(グルーブトラック再生時のアドレスデコード処理)
図18は、グルーブトラック再生時のアドレスデコード処理の一例を説明するためのフローチャートである。まず、ステップS101において、信号加算器22は、積分器21から供給される積分結果(1ウォブル周期分だけの積分結果)を、所定ウォブル数分(例えば37ウォブル周期分)だけ加算し、加算結果ΣSnを検出器23に供給する。
次に、ステップS102において、検出器23は、信号加算器22から供給された加算結果ΣSnがしきい値αより大きいか否かを判断する。ステップS102にて加算結果ΣSnがしきい値αより大きいと判断された場合には、ステップS103において、検出器23は、加算結果ΣSnを2値情報「+1」に復号し、復号結果である2値情報「+1」を変換器24に供給する。次に、ステップS104において、変換器24は、検出器23から供給された2値情報「+1」をグルーブアドレス情報「1」に変換する。一方、ステップS102にて加算結果ΣSnがしきい値α以下であると判断された場合には、ステップS105において、検出器23は、加算結果ΣSnを2値情報「−1」に復号し、復号結果である2値情報「−1」を変換器24に供給する。次に、ステップS106において、変換器24は、検出器23から供給された2値情報「−1」をグルーブアドレス情報「0」に変換する。
(ランドトラック再生時のアドレスデコード処理)
図19は、ランドトラック再生時のアドレスデコード処理の一例を説明するためのフローチャートである。まず、ステップS201において、信号加算器22は、積分器21から供給される積分結果(1ウォブル周期分だけの積分結果)を、所定ウォブル数分(例えば37ウォブル周期分)だけ加算し、加算結果ΣSnを検出器23に供給する。
次に、ステップS202において、検出器23は、信号加算器22から供給された加算結果ΣSnが第1のしきい値β1より大きいか否かを判断する。ステップS202にて加算結果ΣSnが第1のしきい値β1より大きいと判断された場合には、ステップS203において、検出器23は、加算結果ΣSnを3値情報「+1」に復号し、復号結果である3値情報「+1」を変換器24に供給する。次に、ステップS204において、変換器24は、検出器23から供給された3値情報「+1」をランドアドレス情報「0」に変換する。
ステップS202にて加算結果ΣSnが第1のしきい値β1以下であると判断された場合には、ステップS205において、検出器23は、信号加算器22から供給された加算結果ΣSnが第2のしきい値β2より小さいか否かを判断する。
ステップS205にて加算結果ΣSnが第2のしきい値β2より小さいと判断された場合には、ステップS206において、検出器23は、加算結果ΣSnを3値情報「−1」に復号し、復号結果である3値情報「−1」を変換器24に供給する。次に、ステップS207において、変換器24は、検出器23から供給された3値情報「−1」をランドアドレス情報「0」に変換する。
ステップS205にて加算結果ΣSnが第2のしきい値β2以上であると判断された場合には、ステップS208において、検出器23は、加算結果ΣSnを3値情報「0」に復号し、復号結果である3値情報「0」を変換器24に供給する。次に、ステップS20において、変換器24は、検出器23から供給された3値情報「0」をランドアドレス情報「1」に変換する。
(効果)
以上説明したように、本技術の一実施形態によれば、グルーブアドレス情報およびランドアドレス情報をグルーブのSTWにより記録することができる。したがって、マスタリングの際には、1ビーム露光によりグルーブアドレス情報およびランドアドレス情報の両方を記録することができる。また、アドレス情報をプリフォーマットピットとして記録せずに済むため、ユーザデータなどの記録用データ領域の減少を抑制して効率的にアドレス情報を記録することができる。
ランドアドレスエリアの両側に隣接して設けられたグルーブのウォブル極性の組み合わせにより、ランドアドレス情報を記録することができる。したがって、グルーブの変調のみでランドアドレス情報を記録することができる。また、局所的な欠陥の影響を受けにくい。さらに、1ビームのマスタリング装置を用いてマスタの作製が可能である。
[6.変形例]
図20は、ADIPデコーダの変形例を示すブロック図である。ADIPデコーダとして、図17に示したADIPデコーダ13に代えて、図20に示したADIPデコーダ30を用いるようにしてもよい。図20に示すように、ADIPデコーダ30は、積分器31、検出器32および変換器33を備える。
積分器31は、所定のウォブル数分だけ継続的にSTW信号を積分し、その積分結果を検出器32に供給する。例えば、STW変調されている18から54までの37ウォブル(図3参照)の間連続的に動作し、その積分結果を検出器32に供給する。
検出器32は、グルーブトラック再生時には、積分器31から供給される積分結果を1つのしきい値と比較することにより、2値情報に復号する。具体的には、積分器31から供給される積分値Sをしきい値γと比較し、比較結果に基づき2値情報に復号する。
以下に2値情報の復号例を示す。
「しきい値γ<積分値S」→2値情報「+1」
「積分値S≦しきい値γ」→2値情報「−1」
検出器32は、ランドトラック再生時には、積分器31から供給される積分結果を2つのしきい値と比較することにより、3値情報に復号する。具体的には、積分器31から供給される積分値Sを第1のしきい値σ1および第2のしきい値σ2の2つのしきい値と比較し、比較結果に基づき3値情報に復号する。
以下に3値情報の復号例を示す。
「第1のしきい値σ1<加算結果S」→3値情報「+1」
「第2のしきい値σ2≦加算結果S≦第1のしきい値σ1」→3値情報「0」
「第2のしきい値σ2>加算結果S」→3値情報「−1」
なお、しきい値γ、σ1およびσ2は、全て異なる値に設定される。
変換器33は、上述の第1の実施形態の変換器24と同様である。
以上、本技術の実施形態について具体的に説明したが、本技術は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本技術の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態において挙げた構成、方法、形状および数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、形状および数値などを用いてもよい。
また、上述の実施形態の構成、方法、形状および数値などは、本技術の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
また、本技術は以下の構成を採用することもできる。
(1)
交互に設けられたグルーブおよびランドを有し、
上記グルーブのアドレス情報は、該グルーブのウォブルにより記録され、
上記ランドのアドレス情報は、該ランドの両側に設けられたグルーブのウォブルの組み合わせにより記録されている光情報記録媒体。
(2)
上記ウォブルの組合せは、上記ウォブルの極性の組み合わせである(1)に記載の光情報記録媒体。
(3)
上記ランドのアドレス情報は、上記ウォブルの極性の組み合わせにより3値情報として記録されている(2)に記載の光情報記録媒体。
(4)
上記ウォブルは、第1ウォブルと第2ウォブルとを有し、
上記ウォブルの組み合わせは、上記第1ウォブルと上記第2ウォブルとの組み合わせである(1)に記載の光情報記録媒体。
(5)
上記第1ウォブルは、正の極性を有し、
上記第2ウォブルは、負の極性を有する(4)に記載の光情報記録媒体。
(6)
上記第1ウォブルは、基準ウォブルに対して第1方向に傾いており、
上記第2ウォブルは、基準ウォブルに対して上記第1方向とは反対となる第2方向に傾いている(4)または(5)に記載の光情報記録媒体。
(7)
上記ランドの両側に設けられたグルーブのウォブルは、同位相またはほぼ同位相である(1)から(6)のいずれかに記載の光情報記録媒体。
(8)
上記グルーブは、該グルーブのアドレス情報が記録された第1領域と、該グルーブのアドレス情報が記録されていない第2領域とを有し、
上記ランドは、該ランドのアドレス情報が記録された第1領域と、該ランドのアドレス情報が記録されていない第2領域とを有し、
上記グルーブの第1領域と上記ランドの第2領域とが隣接して設けられると共に、上記グルーブの第2領域と上記ランドの第1領域とが隣接して設けられている(1)から(7)のいずれかに記載の光情報記録媒体。
(9)
光情報記録媒体のランドまたはグルーブに対して光を照射することにより反射光を得る光学部と、
上記光学部により得られた反射光に基づき、上記ランドの両側に設けられたグルーブのウォブルの組み合わせにより記録されているアドレス信号を生成するアドレス信号生成部と、
上記アドレス信号生成部により生成されたアドレス信号からランドアドレス情報を取得するアドレス情報取得部と
を備える再生装置。
(10)
上記アドレス情報取得部は、上記アドレス信号を2つのしきい値と比較することにより3値情報を生成し、生成した3値情報をランドアドレス情報に変換する(9)に記載の再生装置。
1 光情報記録媒体
2 スピンドルモータ
3 光学ヘッド
4 レーザ駆動部
5 記録データ
6 信号検出部
7 再生信号
8、9 ウォブル信号
11 A/Dコンバータ
12 PLL
13 ADIPデコーダ
14 有効性判定部
15 演算器
16 積分器
17、18 加算器
21 信号加算器
22 検出器
23 変換器

Claims (8)

  1. 交互に設けられたグルーブおよびランドを有し、
    上記グルーブのアドレス情報は、該グルーブのウォブルにより記録され、
    上記ランドのアドレス情報は、該ランドの両側に設けられたグルーブのウォブルの組み合わせにより記録され
    上記ウォブルは、第1ウォブルと第2ウォブルとを有し、
    上記ウォブルの組み合わせは、上記第1ウォブルと上記第2ウォブルとの組み合わせであり、
    上記第1ウォブルは、正の極性を有し、
    上記第2ウォブルは、負の極性を有する光情報記録媒体。
  2. 交互に設けられたグルーブおよびランドを有し、
    上記グルーブのアドレス情報は、該グルーブのウォブルにより記録され、
    上記ランドのアドレス情報は、該ランドの両側に設けられたグルーブのウォブルの組み合わせにより記録され
    上記ウォブルは、第1ウォブルと第2ウォブルとを有し、
    上記ウォブルの組み合わせは、上記第1ウォブルと上記第2ウォブルとの組み合わせであり、
    上記第1ウォブルは、基準ウォブルに対して第1方向に傾いており、
    上記第2ウォブルは、基準ウォブルに対して上記第1方向とは反対となる第2方向に傾いている光情報記録媒体。
  3. 上記ランドのアドレス情報は、上記ウォブルの極性の組み合わせにより3値情報として記録されている請求項1または2に記載の光情報記録媒体。
  4. 上記ランドの両側に設けられたグルーブのウォブルは、同位相またはほぼ同位相である請求項1からのいずれかに記載の光情報記録媒体。
  5. 上記グルーブは、該グルーブのアドレス情報が記録された第1領域と、該グルーブのアドレス情報が記録されていない第2領域とを有し、
    上記ランドは、該ランドのアドレス情報が記録された第1領域と、該ランドのアドレス情報が記録されていない第2領域とを有し、
    上記グルーブの第1領域と上記ランドの第2領域とが隣接して設けられると共に、上記グルーブの第2領域と上記ランドの第1領域とが隣接して設けられている請求項1からのいずれかに記載の光情報記録媒体。
  6. 光情報記録媒体のランドまたはグルーブに対して光を照射することにより反射光を得る光学部と、
    上記光学部により得られた反射光に基づき、上記ランドの両側に設けられたグルーブのウォブルの組み合わせにより記録されているアドレス信号を生成するアドレス信号生成部と、
    上記アドレス信号生成部により生成されたアドレス信号からランドアドレス情報を取得するアドレス情報取得部と
    を備え
    上記ウォブルは、第1ウォブルと第2ウォブルとを有し、
    上記ウォブルの組み合わせは、上記第1ウォブルと上記第2ウォブルとの組み合わせであり、
    上記第1ウォブルは、正の極性を有し、
    上記第2ウォブルは、負の極性を有する再生装置。
  7. 光情報記録媒体のランドまたはグルーブに対して光を照射することにより反射光を得る光学部と、
    上記光学部により得られた反射光に基づき、上記ランドの両側に設けられたグルーブのウォブルの組み合わせにより記録されているアドレス信号を生成するアドレス信号生成部と、
    上記アドレス信号生成部により生成されたアドレス信号からランドアドレス情報を取得するアドレス情報取得部と
    を備え
    上記ウォブルは、第1ウォブルと第2ウォブルとを有し、
    上記ウォブルの組み合わせは、上記第1ウォブルと上記第2ウォブルとの組み合わせであり、
    上記第1ウォブルは、基準ウォブルに対して第1方向に傾いており、
    上記第2ウォブルは、基準ウォブルに対して上記第1方向とは反対となる第2方向に傾いている再生装置。
  8. 上記アドレス情報取得部は、上記アドレス信号を2つのしきい値と比較することにより3値情報を生成し、生成した3値情報をランドアドレス情報に変換する請求項6または7に記載の再生装置。
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