しかしながら、特許文献1に記載の画像形成装置では、媒体が画像や穴などの誤検出要素を有する場合に、光学センサーが媒体中を走査しているにも関わらず反射光の光量が変化して、媒体の端部を誤検出してしまう場合があった。近年では、例えばビジネス分野においてこのような画像(例えば社名など)や穴(例えばパンチ穴など)などの誤検出要素を有する媒体(例えばプレプリント用紙)に画像を形成することが行われており、このような誤検出要素を有する媒体でも精度よく媒体の端部を検出することが望まれていた。
本発明は、上述した課題に鑑みなされたものであり、誤検出要素を有する媒体の端部を精度よく検出することを主目的とする。
本発明の第1の画像形成装置は、
媒体に画像を形成する記録手段と、
前記媒体の有無に応じた出力値を出力する光学センサーと、
前記光学センサー又は前記媒体の少なくとも一方を所定の第1方向に移動させることにより、該光学センサーと該媒体とを相対的に移動可能な第1移動手段と、
前記第1移動手段により前記光学センサーと前記媒体とが相対的に移動する間に、該光学センサーの出力が前記媒体ありを示す状態から前記媒体なしを示す状態に変化した変化点を1以上検出し、該検出された変化点からさらに前記光学センサーと前記媒体とが前記第1方向に沿って相対的に所定の移動量だけ移動する間、該光学センサーの出力が連続して前記媒体なしを示す状態であったときに、直前の変化点を前記媒体の端部候補として検出する端部候補検出処理を行う端部候補検出手段と、
前記検出された端部候補に基づいて前記媒体の端部を判定する端部判定処理を行う端部判定手段と、
を備えたものである。
この本発明の第1の画像形成装置では、まず、光学センサーと媒体とが所定の第1方向に沿って相対的に移動する間に、光学センサーの出力が媒体ありを示す状態から媒体なしを示す状態に変化した変化点を1以上検出し、検出された変化点からさらに光学センサーと媒体とが第1方向に沿って所定の移動量だけ移動する間、光学センサーの出力が連続して媒体なしを示す状態であったときに、直前の変化点を媒体の端部候補として検出する端部候補検出処理を行う。次に、検出された端部候補に基づいて媒体の端部を判定する端部判定処理を行う。こうすれば、媒体中に誤検出要素があって光学センサーの出力が媒体ありを示す状態から媒体なしを示す状態に変化したとしても、その後媒体なしを示す状態が継続しなければ、その変化点は媒体の端部候補として検出しない。一方、実際の媒体の端部を変化点として検出したときには、光学センサーが媒体の端部から外側に移動したあとは媒体なしを示す状態が継続するから、実際の媒体の端部は端部候補として検出されやすい。これらにより、単に光学センサーの出力が変化した変化点を媒体の端部とするものに比して、誤検出要素を有する媒体の端部を精度よく検出することができる。ここで、「直前の変化点を媒体の端部候補として検出する」とは、直前の変化点の位置(座標など)を表す情報を媒体の端部候補として検出してもよいし、第1移動手段による移動開始位置から直前の変化点までの移動量(移動時間,移動距離又は第1移動手段の制御量など)を表す情報を媒体の端部候補として検出してもよい。この本発明の第1の画像形成装置において、前記端部判定手段は、前記検出された端部候補をそのまま前記媒体の端部と判定してもよい。
この本発明の第1の画像形成装置において、前記端部判定手段は、該端部候補に基づいて該端部候補が前記媒体の正しい端部とみなせるときには、該端部候補を前記媒体の端部として判定する処理を行う手段としてもよい。こうすれば、検出された端部候補をそのまま媒体の端部と判定するものに比して、誤検出要素を有する媒体の端部をより精度よく検出することができる。
この本発明の第1の画像形成装置において、前記光学センサー又は前記媒体の少なくとも一方を前記第1方向に交差する第2方向に移動させることにより、該光学センサーと該媒体とを相対的に移動可能な第2移動手段と、前記端部判定処理において前記端部候補が前記媒体の正しい端部とみなせないとき、前記光学センサーと前記媒体とを相対的に移動させるよう前記第2移動手段を制御する再検出用移動処理を行う移動制御手段と、を備え、前記端部候補検出手段は、前記再検出用移動処理のあと、前記端部候補検出処理を行って端部候補を再検出する手段であり、前記端部判定手段は、前記再検出された端部候補に基づいて前記端部判定処理を行う手段としてもよい。こうすれば、端部判定処理において端部候補が媒体の正しい端部とみなせないときには、光学センサーと媒体とを第2方向に相対的に移動させるため、媒体中の前回とは異なる領域で端部候補検出処理を行うことができる。そのため、前回の端部候補が例えば媒体中の誤検出要素を検出したものであったとしても、再検出時には前回と異なる領域で端部候補検出処理を行うことで媒体の実際の端部を正しく端部候補として検出することが期待できる。これにより、誤検出要素を有する媒体の端部をより精度よく検出することができる。
本発明の第2の画像形成装置は、
媒体に画像を形成する記録手段と、
前記媒体の有無に応じた出力値を出力する光学センサーと、
前記光学センサー又は前記媒体の少なくとも一方を所定の第1方向に移動させることにより、該光学センサーと該媒体とを相対的に移動可能な第1移動手段と、
前記光学センサー又は前記媒体の少なくとも一方を前記第1方向に交差する第2方向に移動させることにより、該光学センサーと該媒体とを相対的に移動可能な第2移動手段と、
前記第1移動手段により前記光学センサーと前記媒体とが相対的に移動する間の該光学センサーの出力変化に基づいて、前記媒体の端部候補を検出する端部候補検出処理を行う端部候補検出手段と、
前記検出された端部候補に基づいて該端部候補が前記媒体の正しい端部とみなせるとき、該端部候補を前記媒体の端部として判定する端部判定処理を行う端部判定手段と、
前記端部判定処理において前記端部候補が前記媒体の正しい端部とみなせないとき、前記光学センサーと前記媒体とを相対的に移動させるよう前記第2移動手段を制御する再検出用移動処理を行う移動制御手段と、
を備え、
前記端部候補検出手段は、前記再検出用移動処理のあと、前記端部候補検出処理を行って端部候補を再検出する手段であり、
前記端部判定手段は、前記再検出された端部候補に基づいて前記端部判定処理を行う手段である、
ものである。
この本発明の第2の画像形成装置は、まず、光学センサーと媒体とが第1方向に沿って相対的に移動する間の光学センサーの出力変化に基づいて、媒体の端部候補を検出する端部候補検出処理を行う。次に、検出された端部候補に基づいて端部候補が媒体の正しい端部とみなせるとき、端部候補を媒体の端部として判定する端部判定処理を行う。そして、端部判定処理において端部候補が媒体の正しい端部とみなせないとき、光学センサーと媒体とを第2方向に相対的に移動させるよう第2移動手段を制御する再検出用移動処理を行い、端部候補検出処理を行って端部候補を再検出して、再検出された端部候補に基づいて端部判定処理を行う。こうすれば、端部判定処理において端部候補が媒体の正しい端部とみなせないときには、光学センサーと媒体とを第2方向に相対的に移動させるため、媒体中の前回とは異なる領域で端部候補検出処理を行うことができる。そのため、前回の端部候補が例えば媒体中の誤検出要素を検出したものであった場合に、再検出時にはその誤検出要素のない領域で端部候補検出処理を行うことが期待できる。これにより、誤検出要素を有する媒体の端部をより精度よく検出することができる。
この本発明の第2の画像形成装置において、前記端部候補検出手段は、前記再検出用移動処理のあと、前記端部候補検出処理として、前記第1移動手段により前記光学センサーと前記媒体とが相対的に移動する間に、該光学センサーの出力が前記媒体ありを示す状態から前記媒体なしを示す状態に変化した変化点を1以上検出し、該検出された変化点からさらに前記光学センサーと前記媒体とが前記第1方向に沿って相対的に所定の移動量だけ移動する間、該光学センサーの出力が連続して前記媒体なしを示す状態であったときに、直前の変化点を前記媒体の端部候補として検出する処理を行って端部候補を再検出する手段としてもよい。こうすれば、端部候補の再検出時には、媒体中に誤検出要素があって光学センサーの出力が媒体ありを示す状態から媒体なしを示す状態に変化したとしても、その後媒体なしを示す状態が継続しなければ、その変化点は媒体の端部候補として検出しない。一方、実際の媒体の端部を変化点として検出したときには、光学センサーが媒体の端部から外側に移動したあとは媒体なしを示す状態が継続するから、実際の媒体の端部は端部候補として検出されやすい。これらにより、再検出時において、誤検出要素を有する媒体の端部をより精度よく検出することができる。
本発明の第1又は第2の画像形成装置において、前記移動制御手段は、前記再検出用移動処理のあとの前記端部判定処理で前記媒体の端部が判定されたときには、前記光学センサーと前記媒体とを前記再検出用移動処理による移動方向とは逆方向かつ前記再検出用移動処理と同じ移動量だけ相対的に移動させる手段としてもよい。こうすれば、再度の端部候補検出処理及び端部判定処理のために光学センサーと媒体とを第2方向に移動したときでも、光学センサーと媒体との第2方向の位置関係を移動前の状態に戻すことができる。そのため、媒体の端部を検出する際に光学センサーと媒体との第2方向の位置が相対的に変化したか否かを、以降の処理(例えば画像の形成など)の際に判断する必要がない。このため、以降の処理を効率よく行うことができる。なお、前記移動制御手段は、前記再検出用移動処理のあとの前記端部判定処理で前記媒体の端部が判定されたときに、再検出用移動処理が複数回行われていたときには、複数回の再検出用移動処理の合計の移動量だけ前記光学センサーと前記媒体とを再検出用移動処理とは逆方向に相対的に移動させる手段としてもよい。
本発明の第1又は第2の画像形成装置において、前記端部候補検出手段は、前記媒体の前記第1方向の両端の端部候補をそれぞれ検出する手段であり、前記端部判定手段は、前記検出された両端の端部候補に基づいて該両端の端部候補が前記媒体の正しい端部とみなせるときには、該両端の端部候補を前記媒体の両端の端部として判定する手段としてもよい。こうすれば、誤検出要素を有する媒体の両端の端部をより精度よく検出することができる。この場合において、前記端部判定手段は、前記媒体の前記第1方向の所定の中央位置から前記両端の端部候補までのそれぞれの距離が等しいとみなせるときに、該両端の端部候補が前記媒体の正しい端部とみなす手段としてもよいし、前記端部判定手段は、前記両端の端部候補間の距離が前記媒体の前記第1方向の幅と等しいとみなせるときに、該両端の端部候補が前記媒体の正しい端部とみなす手段としてもよい。こうすれば、端部候補が媒体の正しい端部か否かをより適切に判定できる。ここで、「前記媒体の前記第1方向の所定の中央位置」や「前記媒体の前記第1方向の幅」は、例えば外部から入力するものとしてもよいし、予め本発明の画像形成装置が備える記憶手段が記憶しているものとしてもよい。また、外部から入力した情報(例えば媒体の大きさや種別など)に基づいて導出するものとしてもよい。
本発明の第1又は第2の画像形成装置において、前記端部判定手段は、前記端部候補が前記媒体の大きさに基づいて定まる所定の理論端部と同じ位置とみなせるときに、該端部候補を前記媒体の正しい端部とみなす手段としてもよい。こうすれば、端部候補が媒体の正しい端部か否かをより適切に判断できる。ここで、「所定の理論端部」は、例えば外部から入力するものとしてもよいし、予め本発明の画像形成装置が備える記憶手段が記憶しているものとしてもよい。また、外部から入力した情報(例えば媒体の大きさや種別など)に基づいて導出するものとしてもよい。
本発明の第1の媒体端部判定方法は、
媒体に画像を形成する記録手段と、前記媒体の有無に応じた出力値を出力する光学センサーと、前記光学センサー又は前記媒体の少なくとも一方を所定の第1方向に移動させることにより、該光学センサーと該媒体とを相対的に移動可能な第1移動手段と、を備えた画像形成装置を用いた媒体端部判定方法であって、
(a)前記第1移動手段により前記光学センサーと前記媒体とが相対的に移動する間に、該光学センサーの出力が前記媒体ありを示す状態から前記媒体なしを示す状態に変化した変化点を1以上検出し、該検出された変化点からさらに前記光学センサーと前記媒体とが前記第1方向に沿って相対的に所定の移動量だけ移動する間、該光学センサーの出力が連続して前記媒体なしを示す状態であったときに、直前の変化点を前記媒体の端部候補として検出する端部候補検出処理を行うステップと、
(b)前記検出された端部候補に基づいて前記媒体の端部を判定する端部判定処理を行うステップと、
を含むものである。
この本発明の第1の媒体端部判定方法では、媒体中に誤検出要素があって光学センサーの出力が媒体ありを示す状態から媒体なしを示す状態に変化したとしても、その後媒体なしを示す状態が継続しなければ、その変化点は媒体の端部候補として検出しない。一方、実際の媒体の端部を変化点として検出したときには、光学センサーが媒体の端部から外側に移動したあとは媒体なしを示す状態が継続するから、実際の媒体の端部は端部候補として検出されやすい。これらにより、単に光学センサーの出力が変化した変化点を媒体の端部とするものに比して、誤検出要素を有する媒体の端部を精度よく検出することができる。なお、この本発明の第1の媒体端部判定方法において、上述した本発明の第1の画像形成装置の種々の態様を採用してもよいし、また、上述した本発明の第1の画像形成装置の各機能を実現するようなステップを追加してもよい。
本発明の第2の媒体端部判定方法は、
媒体に画像を形成する記録手段と、前記媒体の有無に応じた出力値を出力する光学センサーと、前記光学センサー又は前記媒体の少なくとも一方を所定の第1方向に移動させることにより、該光学センサーと該媒体とを相対的に移動可能な第1移動手段と、前記光学センサー又は前記媒体の少なくとも一方を前記第1方向に交差する第2方向に移動させることにより、該光学センサーと該媒体とを相対的に移動可能な第2移動手段と、を備えた画像形成装置を用いた媒体端部判定方法であって、
(a)前記第1移動手段により前記光学センサーと前記媒体とが相対的に移動する間の該光学センサーの出力変化に基づいて、前記媒体の端部候補を検出する端部候補検出処理を行うステップと、
(b)前記検出された端部候補に基づいて該端部候補が前記媒体の正しい端部とみなせるとき、該端部候補を前記媒体の端部として判定する端部判定処理を行うステップと、
(c)前記端部判定処理において前記端部候補が前記媒体の正しい端部とみなせないとき、前記光学センサーと前記媒体とを相対的に移動させるよう前記第2移動手段を制御する再検出用移動処理を行うステップと、
(d)前記再検出用移動処理のあと、前記端部候補検出処理を行って端部候補を再検出するステップと、
(e)前記再検出された端部候補に基づいて前記端部判定処理を行うステップと、
を含むものである。
この本発明の第1の媒体端部判定方法では、端部判定処理において端部候補が媒体の正しい端部とみなせないときには、光学センサーと媒体とを第2方向に相対的に移動させるため、媒体中の前回とは異なる領域で端部候補検出処理を行うことができる。そのため、前回の端部候補が例えば媒体中の誤検出要素を検出したものであった場合に、再検出時にはその誤検出要素のない領域で端部候補検出処理を行うことが期待できる。これにより、誤検出要素を有する媒体の端部をより精度よく検出することができる。なお、この本発明の第2の媒体端部判定方法において、上述した本発明の第2の画像形成装置の種々の態様を採用してもよいし、また、上述した本発明の第2の画像形成装置の各機能を実現するようなステップを追加してもよい。
次に、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の第1及び第2の画像形成装置の一実施形態であるプリンター20の構成の概略を示す構成図である。本実施形態のプリンター20は、インクジェット式のプリンターとして構成されており、図1に示すように、プラテン40上に搬送された印刷媒体S(例えば記録紙)に印刷ヘッド24から流体としてのインクを吐出して印刷を行う印刷機構21と、駆動モーター33による搬送ローラー35の駆動により印刷媒体Sがプラテン40上を通過するよう搬送方向下流(図中奥から手前)に印刷媒体Sを搬送する搬送機構31とを備えている。また、プリンター20は、プラテン40の図中右端に形成され印刷ヘッド24を封止するキャッピング装置41と、プリンター20全体をコントロールするコントローラー70とを備えている。なお、キャッピング装置56上の位置をホームポジションという。また、本実施形態のインクジェットプリンター20は、印刷媒体SとしてA4用紙やB5用紙,ハガキ,L判などサイズの異なる複数の用紙を使用可能となっており、それらの印刷媒体Sがそのサイズに拘わらず用紙の中央を基準として給紙されるいわゆるセンター給紙により給紙(搬送)される。
印刷機構21は、キャリッジモーター34aの駆動に伴ってキャリッジベルト32によりガイド28に沿って主走査方向(左右)に往復動するキャリッジ22と、プラテン40上を通過するインク滴を吐出して画像を印刷媒体S上に形成する印刷ヘッド24と、各色のインクを個別に収容し印刷ヘッド24へインクを供給するインクカートリッジ26と、を備えている。キャリッジ22は、メカフレーム80の右側に配置されたキャリッジモーター34aと、メカフレーム80の左側に配置された従動ローラー34bと、キャリッジモーター34aと従動ローラー34bとに架設されたキャリッジベルト32とにより、印刷媒体Sの搬送方向に交差する主走査方向へ移動する。キャリッジ22の背面には、キャリッジ22の位置を検出するエンコーダー36が配置されており、このエンコーダー36を用いてキャリッジ22の位置が管理可能となっている。本実施形態では、キャリッジ22の位置は、ホームポジションの位置を基準とした主走査方向の座標として管理されるものとした。インクカートリッジ26は、キャリッジ22に搭載され溶媒としての水に着色剤としての染料または顔料を含有したイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色のインクを個別に収容している。
印刷ヘッド24は、キャリッジ22の下部に設けられており、圧電素子に電圧をかけることによりこの圧電素子を変形させてインクを加圧する方式により印刷ヘッド24の下面に設けられたノズル23から各色のインクを吐出するものである。なお、この印刷ヘッド24は、発熱抵抗体に電圧をかけインクを加熱して発生した気泡によりインクを加圧する方式を採用してもよい。
キャリッジ22の下面には、印刷ヘッド24と比べて搬送方向下流側(図1の手前側)に印刷媒体Sの有無に応じた出力値を出力する光学センサー50が設けられている。この光学センサー50は、図1に示すように、光を照射する発光素子52(例えば、発光ダイオードなど)と、受光素子54(例えば、フォトトランジスタなど)とを備えており、発光素子52から印刷媒体Sやプラテン40に向けて発光し印刷媒体Sやプラテン40で反射された光を受光素子54で受光することにより、光量に応じた大きさの電圧の電気信号を出力値Vとして出力する。光学センサー50は、プラテン40と印刷媒体Sとでは光の反射率が異なることを利用して、キャリッジ22の主走査方向の移動に伴って印刷媒体Sを横切るよう移動することにより、印刷媒体Sの主走査方向の左右の端部を検出することができる。本実施形態では、例えば白色である印刷媒体Sに対して、プラテン40は黒や灰色など印刷媒体Sと比べて反射率の低い色であるものとした。また、光学センサー50は、受光した反射光の光量が大きいほど出力値Vの値が小さくなるものとした。
プラテン40は、印刷ヘッド24及び光学センサー50の下方を搬送される印刷媒体Sを支持する部材であり、ガイド28に沿って移動する印刷ヘッド24及び光学センサー50に対向するように印刷ヘッド24の主走査方向に沿って形成されている。
コントローラー70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサーとして構成されており、一時的にデータを記憶したりデータを保存したりするRAM74と、各種処理プログラムを記憶しデータを書き換え可能なフラッシュメモリー75と、を備えている。このコントローラー70には、例えばパソコンなどの外部機器との情報のやり取りを行う図示しないインターフェース(I/F)やデータの入出力を行う図示しない入出力ポートなどが接続されている。RAM74には、印刷バッファー領域が設けられており、この印刷バッファー領域に例えばI/Fを介して外部機器から送られてきた画像データが記憶される。また、コントローラー70は、端部候補検出部76と、端部判定部77と、キャリッジ制御部78と、搬送制御部79とを備えている。端部候補検出部76は、光学センサー50が印刷媒体S上を主走査方向に移動する間に、光学センサー50の出力が変化した変化点を1以上検出し、検出された変化点に基づいて印刷媒体Sの端部候補を検出する端部候補検出処理を行う機能を備えている。端部判定部77は、検出された端部候補に基づいて印刷媒体Sの端部を判定する端部判定処理を行う機能を備えている。キャリッジ制御部78は、キャリッジモーター34aを制御してキャリッジ22を主走査方向に移動させる機能を備えている。このキャリッジ制御部78は、例えば端部候補検出部76が端部候補検出処理を行う際に、キャリッジ22を主走査方向に移動させて光学センサー50が印刷媒体Sを横切るようキャリッジモーター34aを制御する。搬送制御部79は、駆動モーター33を制御して搬送ローラー35を駆動し、印刷媒体Sを搬送方向に搬送する機能を備えている。この搬送制御部79は、例えば端部判定部77が印刷媒体Sの端部を判定できないときに、端部候補検出部76による再度の端部候補検出処理の前処理として印刷媒体Sを搬送方向下流側に搬送する再検出用移動処理を行う。このコントローラー70には、エンコーダー36からのポジション信号や光学センサー50からの電気信号などが入力ポートを介して入力されている。また、コントローラー70からは、印刷ヘッド24への駆動信号や、駆動モーター33,キャリッジモーター34aなどが出力ポートを介して出力されている。
次に、こうして構成された本実施形態のプリンター20の動作、特に、印刷媒体Sに画像を形成する印刷処理前に、印刷媒体Sの主走査方向の端部を検出する際の動作について説明する。印刷処理は、例えばプリンター20に接続されたパソコンを介してユーザーから印刷媒体Sへの画像の印刷を行うよう指示されたときに開始される。印刷が指示されると、コントローラー70は印刷対象の画像データをI/Fを介してパソコンから入力し、これをRAM74の印刷バッファー領域に記憶する。また、駆動モーター33の駆動により搬送ローラー35を回転させて、例えば所定量だけ印刷媒体Sを搬送することにより、印刷媒体Sをプラテン40上の印刷開始位置まで搬送する給紙処理を行う。そして、給紙された印刷媒体Sの右端部及び左端部を判定する端部検出処理ルーチンを実行したのち、画像データに基づく画像を印刷媒体Sに形成する印刷処理を実行する。印刷処理では、まず、端部検出処理ルーチンで判定された印刷媒体Sの右端部及び左端部の位置に基づいて、印刷ヘッド24からインクを吐出する主走査方向の領域である印刷可能領域を設定し、例えば画像データのうち印刷可能領域からはみ出すデータについては印刷しないようマスクする処理などを行う。そして、1パス分の印刷データに基づく主走査方向の移動範囲をキャリッジ22が移動しながら印刷ヘッド24からインクを吐出するよう印刷ヘッド24とキャリッジモーター34aとが駆動され、1パス分の印刷が終了する度に搬送ローラー35を回転させて印刷媒体Sを1パス分搬送する。この1パス分の印刷処理を繰り返すことにより印刷媒体Sの印刷可能領域内に画像が形成され、1枚分の印刷媒体Sの印刷が完了すると、搬送ローラー35を回転させて印刷媒体Sを排紙する。以下、端部検出処理について詳細に説明する。図2は、端部検出処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、フラッシュメモリー75に記憶され、端部候補検出部76,端部判定部77,キャリッジ制御部78,搬送制御部79を用いてCPU72により実行される。
端部検出処理ルーチンが実行されると、コントローラー70のCPU72は、まず、印刷媒体Sの主走査方向右側の端部の候補である右端部候補を検出する右端部候補検出処理を行う(ステップS100)。次に、印刷媒体Sの主走査方向左側の端部の候補である左端部候補を検出する左端部候補検出処理を行い(ステップS110)、検出した右端部候補及び左端部候補に基づいて印刷媒体Sの右端部及び左端部を判定する端部判定処理を行う(ステップS120)。以下、端部検出処理ルーチンの説明を中断して、ステップS100の右端部候補検出処理と、ステップS110の左端部候補検出処理と、ステップS120の端部判定処理の詳細について説明する。
まず、右端部候補検出処理について説明する。図3は、コントローラー70により実行される右端部候補検出処理の一例を示すフローチャートである。この処理のプログラムは、フラッシュメモリー75に記憶され、端部候補検出部76,キャリッジ制御部78を用いてCPU72により実行される。この右端部候補検出処理が実行されると、コントローラー70のCPU72は、まず、光学センサー50が印刷媒体Sの中央に位置するようキャリッジ22を移動させる(ステップS200)。なお、上述したようにプリンター20はセンター給紙により印刷媒体Sが給紙されるため、印刷媒体Sの中央位置は印刷媒体Sの大きさなどによらず一定である。そのため、本実施形態では印刷媒体Sの中央位置(座標)は予めフラッシュメモリー75に記憶されているものとし、記憶された中央位置に基づいて光学センサー50が印刷媒体Sの中央に位置するようキャリッジ22を移動させるものとした。
次に、CPU72は、光学センサー50を主走査方向右側に移動開始するようキャリッジ22を制御する(ステップS210)。そして、光学センサー50が移動する間に、光学センサー50の出力値を継続して調べて、光学センサー50の出力が印刷媒体Sありを示す状態から印刷媒体Sなしを示す状態に変化した変化点を検出するまで待つ(ステップS220)。この処理は、以下のように行う。上述したように印刷媒体Sの白色の部分はプラテン40と比べて反射率が高いため、反射光の光量が強くなり、光学センサー50の出力値Vは小さくなる。そこで、この反射光の強弱を判別するための所定の閾値Vrefと光学センサー50の出力値Vとを比較して、光学センサー50の出力値Vが閾値Vref以下の状態からVref超過の状態に変化したときに、そのときの光学センサー50の位置を変化点として検出する。なお、出力値Vが閾値Vref以下の状態が印刷媒体Sありの状態に相当し、出力値Vが閾値Vref超過の状態が印刷媒体Sなしの状態に相当する。
ステップS220で変化点を検出すると、CPU72は、検出された変化点からさらに光学センサー50が主走査方向右側に所定の距離Pだけ移動する間、光学センサー50の出力値Vが連続して閾値Vref超過であるか否かを判定する(ステップS230)。すなわち、変化点から光学センサー50が主走査方向右側に距離Pだけ移動する間、光学センサー50の出力が連続して印刷媒体Sなしを示す状態であったか否かを判定する。そして、変化点から光学センサー50が主走査方向右側に距離Pだけ移動する間に、出力値Vが閾値Vref以下となったときには、ステップS220に戻り処理を繰り返す。一方、変化点から光学センサー50が主走査方向右側に距離Pだけ移動する間、出力値Vが連続して閾値Vref超過であったときには、光学センサー50の移動を停止する(ステップS240)と共に直前の変化点の位置(座標)を印刷媒体Sの右端部候補としてRAM74に記憶して(ステップS250)、右端部候補検出処理を終了する。
図4は、右端部候補検出処理を行う様子を示す説明図である。右端部候補検出処理では、図4の上段に示すように、光学センサー50を印刷媒体Sの中央位置に移動させ、そこから主走査方向右側(図4における右側、図1における左側)へ光学センサー50を移動開始し、変化点を検出する。このとき、印刷媒体Sに例えば文字などの画像が印刷されていると、光学センサー50が印刷媒体Sの画像が印刷されていない部分から画像が印刷されている部分に移動したときに反射光の強度が低下して、ステップS220により変化点として検出される。例えば、図4の印刷媒体Sの中央位置から主走査方向右側に光学センサー50が移動すると、図4の拡大部分における変化点X1がまず検出される。しかし、変化点X1の位置からさらに光学センサー50が移動すると、距離aだけ移動した時点で光学センサー50は画像が印刷されていない部分に到達ため、反射光の強度が高くなって出力値Vが閾値Vref以下となる。そして、図示するようにこの距離aは所定の距離Pよりも小さいためステップS230で光学センサー50の出力値Vが連続して閾値Vref超過ではないと判定して、ステップS220に戻る。以降同様に、印刷媒体Sに画像が印刷されていることによる変化点X2,X3,X4が検出されるが、図示するように距離b,c,dがいずれも距離Pより小さいため、これらの変化点は無視される。そして、光学センサー50が実際の端部を横切ったときの変化点X5を検出したときには、光学センサー50が変化点X5から所定距離Pだけ移動する間、光学センサー50はプラテン40に照射した光の反射光を受光するため出力値Vが閾値Vref超過のままとなる。そのため、ステップS250に進んで直前の変化点X5を印刷媒体Sの右端部候補として記憶する。
このように、右側端部候補検出処理では、印刷媒体S中に画像などの誤検出要素があって光学センサー50の出力が変化したとしても、その後印刷媒体Sなしを示す状態が継続しなければ、その変化点は印刷媒体Sの右端部候補として検出しない。一方、実際の印刷媒体Sの端部を変化点として検出したときには、光学センサー50が印刷媒体Sの端部から外側に移動したあとは印刷媒体Sなしを示す状態が継続するから、実際の印刷媒体Sの端部は端部候補として検出されやすい。このように、変化点から光学センサー50が主走査方向右側に距離Pだけ移動する間、光学センサー50の出力が連続して印刷媒体Sなしを示す状態であったか否かを判定することにより、誤検出要素を有する印刷媒体Sの端部を精度よく検出するのである。なお、図4では印刷媒体Sに画像が形成されている場合について説明したが、例えば印刷媒体Sにパンチ穴が開けられている場合も同様である。すなわち、パンチ穴が開けられている場合にはプラテン40が露出することで光学センサー50が受光する反射光の強度が低下するため、印刷媒体Sに画像が形成されている場合と同様に変化点として検出される場合があるが、このような場合でも印刷媒体Sの端部を精度よく検出することができる。このように本実施形態の右端部候補検出処理では、画像や穴に限らず印刷媒体S中に印刷媒体Sとは反射率の異なる要素である誤検出要素を有する場合でも、印刷媒体Sの端部を精度よく検出することができる。なお、距離Pを大きくするほど、印刷媒体S中の誤検出要素を右端部候補として検出しにくくなり精度が向上し、距離Pを小さくするほど、ステップS230の処理時間が短くなる。そのため、これらを考慮して、距離Pは例えば経験的に定める(例えば3mm,5mm,7mmなど)ことができる。
次に、ステップS110の左端部候補検出処理について説明する。図5は、コントローラー70により実行される左端部候補検出処理の一例を示すフローチャートである。この処理のプログラムは、フラッシュメモリー75に記憶され、端部候補検出部76,キャリッジ制御部78を用いてCPU72により実行される。図示するように、この左端部候補検出処理は、印刷媒体Sの中央位置から主走査方向左側に向かって光学センサー50を移動させる点以外は、上述した右端部候補検出処理と同様に行う。すなわち、この左端部候補検出処理が実行されると、コントローラー70のCPU72は、まず、光学センサー50が印刷媒体Sの中央に位置するようキャリッジ22を移動させる(ステップS300)。次に、CPU72は、光学センサー50を主走査方向左側に移動開始するようキャリッジ22を制御する(ステップS310)。続いて、光学センサー50が移動する間に、光学センサー50の出力値を継続して調べて、光学センサー50の出力が印刷媒体Sありを示す状態から印刷媒体Sなしを示す状態に変化した変化点を検出するまで待つ(ステップS320)。そして、検出された変化点からさらに光学センサー50が主走査方向左側に所定の距離Pだけ移動する間、光学センサー50の出力値Vが連続して閾値Vref超過であるか否かを判定し(ステップS330)て、変化点から光学センサー50が主走査方向左側に距離Pだけ移動する間に出力値Vが閾値Vref以下となったときには、ステップS320に戻り処理を繰り返す。一方、変化点から光学センサー50が主走査方向左側に距離Pだけ移動する間、出力値Vが連続して閾値Vref超過であったときには、光学センサー50の移動を停止する(ステップS340)と共に直前の変化点の位置(座標)を印刷媒体Sの左端部候補としてRAM74に記憶して(ステップS350)、左端部候補検出処理を終了する。
続いて、ステップS120の端部判定処理について説明する。図6は、コントローラー70により実行される端部判定処理の一例を示すフローチャートである。この処理のプログラムは、フラッシュメモリー75に記憶され、端部判定部77を用いてCPU72により実行される。この端部判定処理が実行されると、コントローラー70のCPU72は、まず、図3の右端部候補検出処理のステップS250で記憶した右端部候補に基づいて、印刷媒体Sの中央位置から右端部候補までの距離L1を導出する(ステップS400)。次に、図5の左端部候補検出処理のステップS350で記憶した左端部候補に基づいて、印刷媒体Sの中央位置から左端部候補までの距離L2を導出する(ステップS410)。なお、距離L1と距離L2とは、いずれも方向を持たない正の値(絶対値)として導出するものとした。続いて、距離L1と距離L2との差が所定の閾値Lref以下であるか否かを判定する(ステップS420)。ここで閾値Lrefは、距離L1と距離L2とが等しいとみなせるか否かを判定するための値であり、例えば値0又は誤差を許容するようそれに近い値に設定されている。そして、距離L1と距離L2との差が閾値Lref以下のとき、すなわち距離L1と距離L2とが等しいとみなせるときには、右端部候補及び左端部候補の位置を印刷媒体Sの右端部及び左端部と判定し、これらをRAM74に記憶して(ステップS430)、端部判定処理を終了する。一方、距離L1と距離L2との差が閾値Lrefを超えているとき、すなわち距離L1と距離L2とが等しいとみなせないときには、右端部及び左端部を記憶することなくそのまま端部判定処理を終了する。
図2の端部検出処理ルーチンの説明に戻る。ステップS120の端部判定処理が終了すると、CPU72は、端部判定処理のステップS430が実行されて右端部及び左端部がRAM74に記憶済みであるか否かを判定する(ステップS130)。そして、右端部及び左端部がRAM74に記憶されていないときには、印刷媒体Sを所定距離Fだけ搬送方向下流に搬送する再検出用搬送処理を行い(ステップS140)、ステップS100に戻り処理を繰り返す。これにより、端部判定処理のステップS430が実行されて右端部及び左端部がRAM74に記憶済みとなるまで、再検出用搬送処理,右端部候補検出処理,左端部候補検出処理,及び端部判定処理が繰り返される。一方、ステップS130で右端部及び左端部がRAM74に記憶済みであるときには、再検出用搬送処理で搬送した分だけ印刷媒体Sを戻して(ステップS150)、本ルーチンを終了する。例えば、ステップS140の再検出用搬送処理を行った回数を記憶しておき、再検出用搬送処理が1回行われたあとで端部判定処理のステップS430が実行されて右端部及び左端部がRAM74に記憶済みとなったときには、距離Fだけ搬送方向上流に印刷媒体Sを搬送する。同様に、再検出用搬送処理がN回行われていたときには、距離F×N回だけ搬送方向上流に印刷媒体Sを搬送する。一度も再検出用搬送処理が行われていないときには、ステップS150における印刷媒体Sの搬送は省略する。こうすることで、ステップS140の再検出用搬送処理を行ったか否かに関わらず、本ルーチン終了時のキャリッジ22と印刷媒体Sとの搬送方向の位置関係が同じ状態(本ルーチン開始時の状態)に戻る。
図7は、ステップS140の再検出用搬送処理を行って右端部候補検出処理,左端部候補検出処理,及び端部判定処理を繰り返す様子を説明する説明図である。図7上段は、端部検出処理ルーチンが実行された最初の右端部候補検出処理,左端部候補検出処理,及び端部判定処理を行う様子を示す説明図であり、図7下段は、再検出用搬送処理を行ったあとの2回目の右端部候補検出処理,左端部候補検出処理,及び端部判定処理を行う様子を示す説明図である。図示するように、例えば印刷媒体Sの右側に距離Pよりも主走査方向の幅が長い画像が形成されていると、最初の右端部候補検出処理において印刷媒体S中の画像の端部で検出される変化点X6が右端部候補として検出される。一方、例えば最初の左端部候補検出処理では印刷媒体Sの実際の左端部で検出される変化点X7が左端部候補として検出されたとする。この場合、続く端部判定処理では、印刷媒体Sの中央位置から右端部候補までの距離L1と中央位置から左端部候補までの距離L2との差が閾値Lrefより大きくなるためステップS430が実行されず、右端部及び左端部は記憶されない。すると、ステップS130で右端部及び左端部がRAM74に記憶されていないため、ステップS140に進んで距離Fだけ印刷媒体Sを搬送方向下流に搬送してから、再度の右端部候補検出処理,左端部候補検出処理,及び端部判定処理が実行される。この再度の右端部候補検出処理では、距離Fだけ印刷媒体Sが搬送されたことにより最初の右端部候補検出処理とは異なる領域で右端部候補を検出するため、図7の下段に示すように印刷媒体Sの実際の右端部で検出される変化点X8が右端部候補として検出される。そして、続く再度の左端部候補検出処理でも印刷媒体Sの実際の左端部で検出される変化点X9が左端部候補として検出されたとする。この場合は、続く端部判定処理で印刷媒体Sの中央位置から右端部候補までの距離L1と中央位置から左端部候補までの距離L2との差が閾値Lref以下となるためステップS430が実行されて、右端部及び左端部が記憶される。そして、ステップS130で右端部及び左端部がRAM74に記憶済みであるため、距離Fだけ搬送方向上流に印刷媒体Sを搬送してから端部検出処理ルーチンを終了する。
このように、本実施形態の端部判定処理では、ステップS420において距離L1と距離L2との差が所定の閾値Lref以下であるか否かを判定することで、右端部候補及び左端部候補が印刷媒体Sの正しい右端部及び左端部とみなせるか否かを判定して、誤検出要素を有する印刷媒体Sの端部をより精度よく検出するのである。また、端部判定処理で右端部候補及び左端部候補が印刷媒体Sの正しい右端部及び左端部とみなせないときには、再検出用搬送処理を行ってから端部候補の再検出及び再度の端部判定処理を行うため、再検出時には前回と異なる領域で端部候補検出処理を行うことで媒体の実際の端部を正しく端部候補として検出することを期待して、誤検出要素を有する印刷媒体Sの端部をより精度よく検出するのである。
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の印刷ヘッド24が記録手段に相当し、光学センサー50が光学センサーに相当し、キャリッジ22及びキャリッジモーター34aが第1移動手段に相当し、端部候補検出部76が端部候補検出手段に相当し、端部判定部77が端部判定手段に相当し、搬送機構31が第2移動手段に相当し、搬送制御部79が移動制御手段に相当する。なお、本実施形態では、プリンター20の動作を説明することにより本発明の媒体端部判定方法の一例も明らかにしている。
以上説明した本実施形態のプリンター20によれば、まず、光学センサー50が主走査方向に沿って印刷媒体S上を移動する間に、光学センサー50の出力が印刷媒体Sありを示す状態から印刷媒体Sなしを示す状態に変化した変化点を1以上検出し、検出された変化点からさらに光学センサー50と印刷媒体Sとが主走査方向に沿って所定の距離Pだけ移動する間、光学センサー50の出力が連続して印刷媒体Sなしを示す状態であったときに、直前の変化点を印刷媒体Sの左右の端部候補として検出する右端部候補検出処理及び左端部候補検出処理を行う。次に、検出された左右の端部候補に基づいて印刷媒体Sの左右の端部を判定する端部判定処理を行う。これにより、誤検出要素を有する印刷媒体Sの左右の端部を精度よく検出することができる。また、端部判定処理において左右の端部候補が印刷媒体Sの正しい左右の端部とみなせないときには、印刷媒体Sを搬送方向下流に移動させるため、印刷媒体S中の前回とは異なる領域で左右の端部候補検出処理を行うことができ、誤検出要素を有する印刷媒体Sの左右の端部をより精度よく検出することができる。さらに、再検出用移動処理のあとの端部判定処理で印刷媒体Sの左右の端部が判定されたときには、印刷媒体Sを再検出用移動処理とは逆方向に同じ移動量だけ相対的に移動させるから、印刷媒体Sの左右の端部を検出する際に印刷媒体Sの搬送方向の位置が変化したか否かを、以降の処理(例えば印刷処理など)の際に判断する必要がない。このため、以降の処理を効率よく行うことができる。さらにまた、右端部候補検出処理と左端部候補検出処理とを行って印刷媒体Sの主走査方向の左右の端部候補をそれぞれ検出し、左右の端部候補に基づいて端部判定処理を行うため、印刷媒体Sの両端の端部をより精度よく検出することができる。そしてまた、印刷媒体Sの主走査方向の中央位置から両端の端部候補までのそれぞれの距離L1,L2が等しいとみなせるときに、両端の端部候補が印刷媒体Sの正しい左右の端部とみなすため、左右の端部候補が印刷媒体Sの正しい端部か否かをより適切に判定できる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、端部判定処理のステップS420において、距離L1と距離L2との差が所定の閾値Lref以下であるか否かを判定することで、左右の端部候補が印刷媒体Sの正しい左右の端部とみなせるか否かを判定するものとしたが、端部候補に基づいて端部候補が印刷媒体Sの正しい端部とみなせるか否かを判定するものであれば、どのような方法で判定してもよい。例えば、両端の端部候補間の距離が印刷媒体Sの主走査方向の幅と等しいとみなせるとき(両者の差が所定の閾値以下であるときなど)に、両端の端部候補が印刷媒体Sの正しい左右の端部とみなすものとしてもよい。あるいは、左右の端部候補が印刷媒体Sの大きさに基づいて定まる主走査方向の左右の理論端部と同じ位置とみなせるとき(端部候補と理論端部との距離の差が所定の閾値以下であるときなど)に、両端の端部候補を印刷媒体Sの正しい左右の端部とみなすものとしてもよい。これらの場合において、印刷媒体Sの主走査方向の幅や印刷媒体Sの左右の理論端部は、例えば外部から入力するものとしてもよいし、予めプリンター20のフラッシュメモリー75に記憶されているものとしてもよい。また、外部から入力した情報(例えば印刷媒体Sの大きさや種別など)に基づいて導出するものとしてもよい。なお、端部検出処理ルーチンで実行する最初の端部判定処理と、2回目以降の端部判定処理とでステップS420における判定方法を異なるものとするなど、繰り返し回数に応じてステップS420における判定方法を異ならせてもよい。
上記の、端部判定処理のステップS420において、左右の端部候補が印刷媒体Sの大きさに基づいて定まる主走査方向の左右の理論端部と同じ位置とみなせるときに、両端の端部候補を印刷媒体Sの正しい左右の端部とみなす場合には、ステップS420において左右の端部候補のうちいずれか一方のみを印刷媒体Sの正しい端部と判定して記憶してもよい。例えば、右端部候補が右の理論端部と同じ位置とみなせるが、左端部候補が左の理論端部と同じ位置とみなせない場合には、続くステップS430で右端部候補を印刷媒体Sの右端部と判定して記憶し、左端部については記憶しないものとしてもよい。この場合、ステップS140のあとの右端部候補検出処理を省略するものとしてもよい。
上述した実施形態では、端部判定処理のステップS420において、距離L1と距離L2との差が所定の閾値Lref以下であるか否かを判定することで、左右の端部候補が印刷媒体Sの正しい左右の端部とみなせるか否かを判定するものとしたが、端部判定処理におけるステップS400〜S420を省略して、検出された左右の端部候補をそのまま印刷媒体Sの左右の端部と判定して記憶するものとしてもよい。また、端部検出処理ルーチンで実行する最初の端部判定処理ではステップS400〜S420を省略して、2回目以降の端部判定処理ではステップS400〜S420を省略しないものとしてもよい。
上述した実施形態では、印刷媒体Sはセンター給紙であるものとしたが、これに限られない。例えば、印刷媒体Sがそのサイズに拘わらず用紙の一端(例えば左端)を基準として給紙されるいわゆる片端給紙であってもよい。この場合、印刷媒体Sの中央位置は、例えば外部から入力するものとしてもよいし、外部から入力した情報(例えば印刷媒体Sの大きさや種別など)に基づいて導出するものとしてもよい。
上述した実施形態では、右端部候補検出処理と左端部候補検出処理とを行うものとしたが、いずれか一方のみ行うものとしてもよい。この場合、端部判定処理におけるステップS400〜S420を省略して、検出された一方の端部候補をそのまま印刷媒体Sの一方の端部と判定して記憶するものとしてもよいし、一方の端部候補が印刷媒体Sの大きさに基づいて定まる主走査方向の一方の理論端部と同じ位置とみなせるときに、一方の端部候補を印刷媒体Sの正しい一方の端部とみなすものとしてもよい。
上述した実施形態では、ステップS150を実行して再検出用搬送処理で搬送した分だけ印刷媒体Sを戻すものとしたが、この処理を省略してもよい。
上述した実施形態では、右端部候補検出処理において、ステップS230の処理を行うものとしたが、この処理を省略して最初にステップS220で検出した変化点を右端部候補として記憶してもよい。同様に、左端部候補検出処理についてもステップS330を省略してもよい。また、端部検出処理ルーチンで実行する最初の右端部候補検出処理及び左端部候補検出処理ではステップS230,S330を省略して、ステップS140の再検出用搬送処理を行ったあとの2回目以降の右端部候補検出処理及び左端部候補検出処理ではステップS230,S330を省略しないものとしてもよい。また、右端部候補検出処理においてステップS230を省略する場合には、ステップS210において、印刷媒体Sの右端部よりも主走査方向右側から光学センサー50の左側への移動を開始するものとして、光学センサー50の出力が印刷媒体Sなしを示す状態から印刷媒体Sありを示す状態に変化した変化点を、右端部候補としてもよい。すなわち、ステップS230を省略する場合には、光学センサー50が主走査方向に沿って移動する間の光学センサー50の出力変化に基づいて、印刷媒体Sの主走査方向の右端部候補を検出するものであれば、どのようにして右端部候補検出処理を行ってもよい。ステップS330を省略する場合の左端部候補検出処理についても、上記と左右が逆になる点を除いて同様である。
上述した実施形態では、ステップS130で右端部及び左端部がRAM74に記憶されていないときには、印刷媒体Sを所定距離Fだけ搬送方向下流に搬送する再検出用搬送処理を行うものとしたが、これに限られない。例えば、ステップS130で右端部及び左端部がRAM74に記憶されていないときには、再検出用搬送処理を行わずにユーザーにエラーを通知するものとしてもよいし、印刷媒体Sの大きさに基づいて定まる上述した主走査方向の左右の理論端部の位置を、印刷媒体Sの左右の端部としてRAM74に記憶するものとしてもよい。また、右端部候補検出処理,左端部候補検出処理,端部判定処理の繰り返し回数が所定回数を超えたときにユーザーにエラーを通知するものとしたり、上述した理論端部の位置を印刷媒体Sの左右の端部としてRAM74に記憶するものとしたりしてもよい。
上述した実施形態では、右端部候補検出処理において、ステップS200で印刷媒体Sの中央位置に光学センサー50を移動してから、光学センサー50を主走査方向右側に移動開始するものとしたが、中央位置に限らず印刷媒体Sの内部から外部に向かって主走査方向右側に移動開始するものとしてもよい。また、右端部候補検出処理において、ステップS210の光学センサー50の移動開始位置が印刷媒体Sの左端部より主走査方向左側であってもよい。こうしても、印刷媒体Sの右端部候補を検出することはできる。なお、左端部候補検出処理についても、上記と左右が逆になる点を除いて同様である。
上述した実施形態では、ホームポジションを基準とした変化点の座標を左右の端部候補や左右の端部として記憶するものとしたが、どのような位置を座標の基準としてもよい。例えば、印刷媒体Sの中央位置を座標の基準としてもよい。また、座標に限らずどのような情報を左右の端部候補や左右の端部として記憶するものとしてもよい。例えば、ステップS210やS310における光学センサー50(キャリッジ22)の移動開始位置から変化点までの移動量(移動時間,移動距離又はキャリッジモーター34aの制御量など)を表す情報を左右の端部候補や左右の端部として記憶してもよい。
上述した実施形態では、印刷処理前に端部検出処理ルーチンを実行して印刷媒体Sの左右の端部を検出するものとしたが、他のタイミングで印刷媒体Sの端部を検出するものとしてもよい。例えば、ユーザーからの画像の印刷指示がなされる前であっても、手差しトレイに印刷媒体Sが挿入されたときなど、所定のセンサーで印刷媒体Sを検出したときに端部検出処理ルーチンを実行して印刷媒体Sの端部を検出するものとしてもよい。あるいは、印刷ヘッド24による1パス分の印刷中に端部検出処理ルーチンを実行してもよい。この場合、右端部候補検出処理や左端部候補検出処理のステップS200,S210,S300,S310を省略し、印刷によるキャリッジ22の移動方向に応じて右端部候補検出処理や左端部候補検出処理を行って右端部候補や左端部候補を検出してもよい。また、右端部候補と左端部候補の一方のみ検出するものとしてもよい。
上述した実施形態では、光学センサー50により印刷媒体Sの主走査方向の端部を検出するものとしたが、印刷媒体Sの搬送方向の下流端(図1の手前側の端部)や上流端(図1の奥側の端部)を検出するものとしてもよい。この場合、例えば左端部候補検出処理のステップS300,S310の処理に代えて、搬送機構31により光学センサー50を印刷媒体Sの内側から搬送方向外側(例えば搬送方向下流側)に相対的に移動させる処理を行い、ステップS320,S330により印刷媒体Sの搬送方向下流端の端部候補を検出してもよい。
上述した実施形態では、光学センサー50は、受光した反射光の光量が大きいほど出力値Vの値が小さくなるものとしたが、受光した反射光の光量が大きいほど出力値Vの値が大きくなるものとしてもよい。
上述した実施形態では、光学センサー50は印刷ヘッド24と比べて搬送方向下流側に設けられているものとしたが、印刷ヘッド24と比べて搬送方向上流側に設けてもよいし、主走査方向右側は左側に設けてもよい。
上述した実施形態では、光学センサー50はキャリッジ22により印刷ヘッド24と共に主走査方向に移動するものとしたが、キャリッジ22とは別に光学センサー50を主走査方向に移動させる移動手段を備えるものとして、光学センサー50と印刷ヘッド24とを別々に移動可能としてもよい。
上述した実施形態では、光学センサー50を主走査方向に移動可能であると共に印刷媒体Sを搬送方向に移動可能であるものとしたが、光学センサー50と印刷媒体Sとが相対的に移動可能であればよい。例えば光学センサー50と印刷媒体Sとが共に主走査方向に移動可能としてもよいし、印刷媒体Sのみが主走査方向に移動可能としてもよい。同様に、光学センサー50と印刷媒体Sとが共に搬送方向に移動可能としてもよいし、光学センサー50のみが搬送方向に移動可能としてもよい。
上述した実施形態では、プリンター20はシリアルプリンターとして構成されているものとしたが、ページプリンタやラインプリンタとしてもよい。即ち、印刷ヘッド24を主走査方向に移動させるものとしたが、特にこれに限定されず、印刷ヘッドを移動しないものとしてもよい。
上述した実施形態では、本発明の画像形成装置は、プリンター20単体であるものとしたが、特にこれに限定されず、印刷機構21の他にスキャナーなどを備えた複合機としたり、FAXなどとしたりしてもよい。また、プリンター20の態様で本発明を説明したが、媒体端部検出方法の態様としてもよい。