JP5982890B2 - レンズ鏡筒及び光学機器 - Google Patents

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Description

本発明は、レンズ鏡筒及び光学機器に関するものである。
従来、レンズ鏡筒が備える固定レンズ群のチルト・シフト調芯機構として、偏芯コマを使用する機構が提案されている(特許文献1参照)。
特開2007−219405号公報
しかし、従来の機構は、6個のコマを使用する為、一般的に3個のコマで吊られる可動レンズ群(ズーミングやフォーカシングで光軸方向に移動する群)に直接適用することはできない。したがって、可動レンズ群に対してチルト調芯機構を導入する場合、可動機構とは別に、調芯(調心)機構を搭載する必要がある。このため、レンズ鏡筒の大型化・部品の複雑化が問題となる。さらに、チルト調芯時に発生するシフト成分の抑制が不十分である。
本発明の課題は、改善された調芯機構を有するレンズ鏡筒及び光学機器を提供することである。
本発明のレンズ鏡筒は、レンズを保持するレンズ保持枠と、前記レンズ保持枠の外側に配置されるとともに直進溝が形成された第1筒部材と、前記レンズ保持枠の外側に配置されるとともにリード溝が形成された第2筒部材と、前記直進溝嵌合する円柱状の第1部分、及び、前記第1部分に対して偏心するとともに前記リード溝に嵌合する円柱状の第2部分、を有し、前記第1部分の軸線を中心として前記レンズ保持枠に対して回転可能に取り付けられ、前記軸線に沿った方向に貫通穴が設けられた第1調整部材と、頭部及び軸部を有し、前記貫通穴に挿入され、前記軸部を前記レンズ保持枠に設けられたねじ孔に螺合することにより、前記第1調整部材を前記レンズ保持枠に固定するねじと、を備え、前記頭部は、円柱状であり、外周が前記貫通穴の前記第1部分の内径側と接触し、前記第2部分の内径側とは非接触である構成とした。
また、本発明の光学機器は、上記レンズ鏡筒を備える構成とした。
なお、上記構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
本発明によれば、改善された調芯機構を有するレンズ鏡筒及び光学機器を提供することができる。
本発明の一実施形態であるレンズ鏡筒及びカメラボディを備えるカメラの縦断面図ある。 レンズ鏡筒の先端部分の拡大図である。 第1偏芯コマを示す図であり、(a)は、レンズ鏡筒内の第1偏芯コマ部分の断面図、(b)は第1偏芯コマの斜視図である。 同芯コマを示す図であり、(a)はレンズ鏡筒内の同芯コマ部分の断面図、(b)は同芯コマの斜視図である。 第2偏芯コマを示す図であり、(a)はレンズ鏡筒内の第2偏芯コマ部分の断面図断面図、(b)は第2偏芯コマの斜視図である。 光軸と直交する方向から見たレンズ鏡筒の断面図であり、(a)は第1偏芯コマが取り付けられている部分の断面図であり、(b)は第2偏芯コマが取り付けられている部分の断面図である。 外径側より偏芯コマが取り付けられている部分を見た図であり、(a)は第1偏芯コマが取り付けられている部分、(b)は第2偏芯コマが取り付けられている部分である。
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態であるレンズ鏡筒1及びカメラボディ2を備えるカメラ3の縦断面図ある。
以下、レンズ鏡筒1における、光軸OA方向先端側を被写体側、光軸方向後端側のカメラボディ2に装着される側をマウント側として説明する。
本実施形態におけるレンズ鏡筒1は、焦点距離を可変可能な、いわゆるズームレンズである。レンズ鏡筒1は、内部に、6群のレンズ群(第1レンズ群L1,第2レンズ群L2,第3レンズ群L3,第4レンズ群L4,第5レンズ群L5,第6レンズ群L6)を備えて構成されている。
レンズ鏡筒1のマウント側には、レンズマウントLMが設けられ、カメラボディ2のカメラマウントCMに対して、例えばバヨネット結合により着脱可能となっている。
図2は、図1におけるレンズ鏡筒1の先端部分の拡大図である。
レンズ鏡筒1は、詳細な説明は省略するが、レンズマウントLMに対して固定されている固定筒10を備える。固定筒10の被写体側には、フォーカス環20が、その固定筒10回転可能に装着されている。
フォーカス環20は、所定長さの円筒状であって、光軸OA方向に移動不能で且つ光軸OA回りに回転可能に設けられている。
フォーカス環20の内径側には、連動部21が設けられ、連動部21はフォーカス環20の内径側に配置された第1カム環30に連結されている。
第1カム環30は、被写体側に位置するカム環前部32と、該カム環前部32のマウント側に位置するカム環後部33とを備える。カム環前部32の径は、カム環後部33の径よりも大きい。
カム環前部32には、傾きが一定の第1リード溝31が、円周方向に互いに均等な間隔で3条設けられている。第1リード溝31には、後述する第1偏芯コマ80及び同芯コマ90が摺動可能にはめ込まれている。
第1カム環30の内径側には、直進筒40が配置されている。
直進筒40も、被写体側に位置する直進筒前部41とマウント側の直進筒後部42とを備える。直進筒前部41の径は、直進筒後部42の径よりも大きい。
直進筒前部41には第1直進溝43が、直進筒後部42には第2直進溝44が、それぞれ円周方向に均等な間隔で3条設けられている。
第1直進溝43には、後述する第1偏芯コマ80及び同芯コマ90が摺動可能にはめ込まれる。また、第2直進溝44には、後述する第2偏芯コマ100及び同芯コマ90が摺動可能にはめ込まれている。
直進筒後部42の内径側には、第2カム環70が配置されている。
第2カム環70には、傾きが一定の第2リード溝71が、円周方向に互いに均等な間隔で3条設けられている。
第2リード溝71には、後述する第2偏芯コマ100及び同芯コマ90が摺動可能にはめ込まれている。
直進筒40の直進筒前部41の被写体側先端には、前面カバー環50、及び第1レンズ群L1を保持する第1レンズ枠61が固定されている。
第2レンズ群L2は、第1レンズ群L1のマウント側に配置されたフォーカスレンズ群であり、第2レンズ枠62に保持されている。
第2レンズ枠62は、その外周部における互いの距離が均等な3箇所(後述の図6(a)参照)に、後述する第1偏芯コマ80と同芯コマ90とを取りつけるための第1取付部64が形成されている。
第3レンズ群L3は、第2レンズ群L2のマウント側に配置されたズームレンズ群であり、第3レンズ枠63に保持されている。
第3レンズ枠63も、その外周部における互いの距離が均等な3箇所(後述の図6(b)参照)に、後述する第2偏芯コマ100と同芯コマ90とを取り付けるための第2取付部65が形成されている。
図3は、第2レンズ枠62の3つの第1取付部64のうちの2つに取り付けられる第1偏芯コマ80を示す図であり、図3(a)は、レンズ鏡筒1内の第1偏芯コマ80部分の断面図、図3(b)は第1偏芯コマ80の斜視図である。
図4は、第2レンズ枠62の3つの第1取付部64のうちの1つと、第3レンズ枠63の3つの第2取付部65のうちの1つに取り付けられる同芯コマ90を示す図であり、図4(a)はレンズ鏡筒1内の同芯コマ90部分の断面図、図4(b)は同芯コマ90の斜視図である。
図5は、第3レンズ枠63の3つの第2取付部65のうちの2つに取り付けられる第2偏芯コマ100を示す図であり、図5(a)はレンズ鏡筒1内の第2偏芯コマ100部分の断面図断面図、図5(b)は第2偏芯コマ100の斜視図である。
図6は、光軸OAと直交する方向から見たレンズ鏡筒1の断面図であり、図6(a)は第1偏芯コマ80が取り付けられている部分の第1カム環30より内径側の断面図であり、図6(b)は第2偏芯コマ100が取り付けられている部分の直進筒40より内径側の断面図である。
図7は、外径側より偏芯コマが取り付けられている部分を見た図である。図7(a)は第1偏芯コマ80が取り付けられている部分の第1カム環30の外径側より見た図であり、図7(b)は第2偏芯コマ100が取り付けられている部分の直進筒40の外径より見た図である。
図3に示すように、第1偏芯コマ80は、小径同芯部81、中径同芯部82、及び大径偏芯部83を、第1取付部64に取り付けられる側から順に備える。
小径同芯部81と中径同芯部82とは、図3及び図7(a)に示すように、同一の第1軸線A1を中心としており、大径偏芯部83は、第1軸線A1と異なる第2軸線A2を中心としている。
第1偏芯コマ80の内部には、第1軸線A1を中心とした円形の孔84が開口されている。大径偏芯部83と中径同芯部82とにおいてこの孔84の径は同径であって、小径同芯部81(第2レンズ枠62側端部)において孔84の径は小さい。
また、第1偏芯コマ80の大径偏芯部83側の面には、第1軸線A1を通り且つ第1軸線A1と直交する直線に沿って、溝85が設けられている。
また、第1偏芯コマ80を取り付ける第1取付部64は、第2レンズ枠62の外周側から内方に向かう円形の開口部64aと、その開口部64aの中心部において更に内方側に設けられたねじ孔64bとを有する。
2つの第1偏芯コマ80は、第2レンズ枠62の外周に設けられた3箇所の第1取付部64のうちの2つに取り付けられている。
なお、図1及び2においては、わかりやすいように、断面図において下2箇所に第1取付部64を示すが、実際には同一断面上には存在しない。
図4に示すように、同芯コマ90は、小径同芯部91、中径同芯部92、大径同芯部93とを、第1取付部64の取り付けられる側から備える。
小径同芯部91と中径同芯部92と大径同芯部93は、同一の軸線B1を中心としており、同芯コマ90の内部には、軸線B1を中心とした円形の孔94が開口されている。大径同芯部93と中径同芯部92とにおいてこの孔94の径は同径であって、小径同芯部91において孔94の径は小さい。なお、同芯コマ90は、上述の第1取付部64及び後述の第2取付部65にそれぞれ1つづつ取り付けられる。
図5に示すように、第2偏芯コマ100は、小径同芯部101、中径偏芯部102、及び大径同芯部103を、第2取付部65に取り付けられる側から順に備える。
小径同芯部101と大径同芯部103とは、図5及び図7(b)に示すように同一の第1軸線C1を中心としており、中径偏芯部102は、第1軸線C1と異なる第2軸線C2を中心としている。
第2偏芯コマ100の内部には、第1軸線C1を中心とした円形の孔104が開口されている。大径同芯部103と中径偏芯部102とにおいてこの孔104の径は同径であって、小径同芯部101(第3レンズ枠63側端部)において孔104の径は小さい。
また、第2偏芯コマ100の大径同芯部103側の面には、第1軸線C1を通り且つ第1軸線C1と直交する直線に沿って、溝105が設けられている。
また、第2偏芯コマ100を取り付ける第2取付部65は、第3レンズ枠63の外周側から内方に向かう円形の開口部65aと、その開口部65aの中心部において更に内方側に設けられたねじ孔65bとを有する。
2つの第2偏芯コマ100は、第3レンズ枠63の外周に設けられた3箇所の第2取付部65のうちの2つに取り付けられている。
なお、第2取付部65も、第1取付部64と同様に、図1及び2においては、わかりやすいように、断面図において上下2箇所に第1取付部64を示すが、実際には同一断面上には存在しない。
次に、第2レンズ枠62の第1取付部64に取り付けられた、第1偏芯コマ80及び同芯コマ90に挿入される第1取付ねじ86について説明する(図3に最もわかりやすく示す)。
第1取付ねじ86は、頭部86aと軸部86bとを備え、大径偏芯部83側から孔84に挿入されている。軸部86bは、孔84における小径同芯部81の内部に設けられた径の小さい部分84bを貫通し、第2レンズ枠62の第1取付部64側のねじ孔64bに螺合している。
第1取付ねじ86の頭部86aは、円柱形状を有している。頭部86aの外周は、中径同芯部82の内面82bと接触しているが、大径偏芯部83の内面83bまでは延びておらず、大径偏芯部83の内面83bとは接触していない。
すなわち、頭部86aは、直進溝43に嵌合する偏芯していない中径同芯部82の内面82bには接触しているが、リード溝31に嵌合する大径偏芯部83とは接触していない。
次いで、第3レンズ枠63の第2取付部65に取り付けられた、第2偏芯コマ100及び同芯コマ90に挿入される第2取付ねじ106について説明する(図5に最も判りやすく示す)。
第2取付ねじ106も、第1取付ねじ86と同様に、頭部106aと軸部106bとを備える。
第2取付ねじ106も、大径同芯部103側から孔104に挿入されている。軸部106bは、小径同芯部101の内部に設けられた孔104の径の小さい部分104bを貫通し、第3レンズ枠63の第2取付部65側のねじ孔65bに螺合している。
第2取付ねじ106が第1取付ねじ86と異なる点は、頭部106aの形状である。
頭部106aは、軸部106bに近い側の小径円柱状頭部106aaと、軸部106bから遠い側の大径円柱状頭部106abとを有する。
そして大径円柱状頭部106abの外周は、大径同芯部103の内面103aと接触しているが、中径偏芯部102の内面102aとは接触していない。
また、小径円柱状頭部106aaの外周は、小径偏芯部102の内面102a及び大径同芯部103の内面103aの両方と接触していない。
すなわち、頭部106aは大径円筒状頭部106abによって、直進溝44に嵌合する偏芯していない大径同芯部103の内面103aと接触しているが、リード溝71に嵌合する中径偏芯部102の内面102aとは接触していない。
次に、本実施形態のレンズ鏡筒1の組み立て方について説明する(図2参照)。
まず、第2カム環70の外周に直進筒40を嵌めこむ。
第3レンズ群L3を保持する第3レンズ枠63を第2カム環70に挿入する。
直進筒40の第2直進溝44と、第2カム環70の第2リード溝71と、第3レンズ枠63の第2取付部65との位置を合わせる。
第2直進溝44側から2つの第2偏芯コマ100及び1つの同芯コマ90を挿入し、第2取付部65の開口部65aに、小径同芯部101,91をはめ込む。
第2偏芯コマ100の孔104に取付ねじ86を挿入し、同芯コマ90の孔94にに取付ねじ96を挿入する。そして取付ねじ106,96を第2取付部65のねじ孔65bに螺合する。
このように取り付けることにより、中径偏芯部102と小径同芯部101との間の内径の差により形成された段差107が取付ねじ106の大径円柱状頭部106abで押さえられ、第2偏芯コマ100が第3レンズ枠63に取り付けられる。同芯コマ90も同様に第3レンズ枠63に取り付けられる。
この際、取付ねじ106の大径円柱状頭部106abの外周は、大径同芯部103の内径側と接触するが、中径偏芯部102の内径側とは接触しない。
そして、第2偏芯コマ100の大径同芯部103は、直進筒40の第2直進溝44に摺動可能にはめ込まれ、中径偏芯部102は第2カム環70の第2リード溝71にはめ込まれる。
次に、第1カム環30を直進筒40の外側にはめ込む。
第1カム環30の第1リード溝31と直進筒40の第1直進溝43と第2レンズ枠62の第1取付部64との位置を合わせる。
第1リード溝31側から2つの第1偏芯コマ80及び1つの同芯コマ90を挿入し、第1取付部64の開口部64aに小径同芯部81,91をはめ込む。
第1偏芯コマ80の孔84に取付ねじ86を挿入する。同芯コマ90の孔94に取付ねじ96を挿入する。そして取付ねじ86,96を第1取付部64のねじ孔64bに螺合する。
このように取り付けることにより、中径同芯部82と小径同芯部81との間の内径の差により形成された段差87が取付ねじ86の頭部86aで押さえられ、第1偏芯コマ80が第2レンズ枠62に取り付けられる。同芯コマ90も同様に第2レンズ枠62に取り付けられる。
この際、頭部86aの外周は、中径同芯部82の内面82bと接触するが、大径偏芯部83の内面83bまでは延びておらず、大径偏芯部83の内面83bには接触しない。
第1偏芯コマ80の大径偏芯部83は、第1カム環30の第1リード溝31に摺動可能にはめ込まれ、中径同芯部82は直進筒40の第1直進溝43にはめ込まれる。
そして、直進筒40の被写体側先端に第1レンズを保持する第1レンズ枠61を取り付ける。
次に、この、第1カム環30の外周側にフォーカス環20をはめ込む前の第1カム環30が最外にある状態で、レンズ鏡筒1のチルト調芯を行う。
まず、第2レンズ群L2の調芯を行う場合、第1偏芯コマ80の溝85にマイナスドライバを挿入して第1偏芯コマ80を回転させる。この際、第1偏芯コマ80は、同芯軸A1を中心に回転する。
第1偏芯コマ80は、第1カム環30の第1リード溝31と、直進筒40の第1直進溝43と嵌合している。そして、第1リード溝31に嵌合している大径偏芯部83は、同芯軸A1より偏芯している。
第1偏芯コマ80が、同芯軸A1を中心に回転すると、大径偏芯部83と第1リード溝31との接触位置が移動する。
例えば、図2の上側に位置する第1偏芯コマ80の大径偏芯部83を図7(a)で示すF方向に回転すると、A1とP1との距離が離れることになる。第2レンズ枠62の同芯コマ90によって保持されている位置は固定されているので、第2レンズ枠62の図2における上側(図7における上面側)が、マウント側に傾き、第2レンズ枠62がチルトする。
このように、同芯コマ90を固定して、他の2つの第1偏芯コマ80によって第2レンズ枠62をチルトさせ、第2レンズ枠62、すなわち第2レンズ群L2の位置調整を行うことができる。
このとき、第1偏芯コマ80に設けられている孔84のうちの、直進溝43に挿入された中径同芯部82に設けられている部分には、第1取付ねじ86の頭部86aが、その側面を接触させるようにして挿入されている。
これにより、第1偏芯コマ80における、直進溝43に挿入されている部分が補強され、変形がより防止される。
したがって、チルト調芯時における第2レンズL2のシフト方向の移動(光軸と垂直な平面内の移動)が効果的に抑制される。これにより、チルト、シフトの分離性の高い、高精度な調芯画可能となる。
さらに、第2レンズ群L2がフォーカシングにより移動する際に、第1偏芯コマ80に負担が加わっても、その内径側が頭部86aにより補強され、第1偏芯コマ80の剛性が高くなっているので、第2レンズ群L2のシフト成分の抑制効果が維持される。
一方、第1偏芯コマ80に設けられている孔84のうちの、リード溝31に挿入された大径偏芯部83に設けられている部分には、第1取付ねじ86の頭部86aは接触していない。
したがって、第1偏芯コマ80の若干の変形が可能となり、第1偏芯コマ80を回転させて、第2レンズ枠62(第2レンズL2)をチルトさせることが可能となる。
第3レンズ枠63の場合も、第2レンズ枠62と同様にチルト可能であるが、第2偏芯コマ100では、中径偏芯部102が偏芯している。
図2の上側に位置する第2偏芯コマ100の中径偏芯部102を図7(b)で示すF方向に回転すると、C1とP2との距離が近づくことになる。第3レンズ枠63の同芯コマ90によって保持されている位置は固定されているので、第3レンズ枠63の図2における上側(図7における上面側)が、被写体側に傾き、第3レンズ枠63がチルトする。
このとき、第2偏芯コマ100に設けられている孔104のうちの、直進溝44に挿入された大径同芯部103に設けられている部分には、第2取付ねじ106の頭部106a(大径円柱状頭部106ab)が、その側面を接触させるようにして挿入されている。
これにより、第2偏芯コマ100における、直進溝44に挿入されている部分が補強され、変形がより防止される。
したがって、チルト調芯時における第3レンズL3のシフト方向の移動(光軸と垂直な平面内の移動)が効果的に抑制される。これにより、チルト、シフトの分離性の高い、高精度な調芯画可能となる。
一方、第2偏芯コマ100に設けられている孔104のうちの、リード溝71に挿入された中径偏芯部102に設けられている部分は、第2取付ねじ106の頭部106aは接触していない。
したがって、第2偏芯コマ100の若干の変形が可能となり、第2偏芯コマ100を回転させて第3レンズ枠63(第3レンズL3)をチルトさせることが可能となる。
以上のように、第2レンズ群L2及び第3レンズ群L3のチルト調芯を行った後、フォーカス環20を第1カム環30の外径側に挿入し、前面カバー環50を被写体側にはめ込んでレンズ鏡筒1を組み立てる。
フォーカス環20が回転されると、連動部21を介し、また、オートフォーカスの場合等は他の駆動機構により、駆動力が伝達されて第1カム環30が回転される。
第1カム環30の回転により、第1リード溝31に係合している第1偏芯コマ80及び同芯コマ90が移動し、第2レンズ枠62が光軸OA方向に移動してフォーカシングが行われる。
また、図示しないズームリング又は他の駆動機構によって第2カム環70が回転されると、第2リード溝71に係合した第2偏芯コマ100及び同芯コマ90が移動し、第3レンズ枠63が光軸OA方向に移動してズーミングが行われる。
以上、本実施形態によると、以下の効果を有する。
(1)偏芯コマ80,100に設けられている孔84,104のうちの、直進溝43,44に挿入された同芯部82,103に設けられている部分には、取付ねじ86,106の頭部86a,106a(106ab)が、その側面を接触させるようにして挿入されている。
これにより、偏芯コマ80,100における、直進溝43,44に挿入されている部分が補強され、変形がより防止される。
したがって、チルト調芯時におけるレンズL2,L3のシフト方向の移動(光軸と垂直な平面内の移動)が効果的に抑制される。これにより、チルト、シフトの分離性の高い、高精度な調芯画可能となる。
さらに、レンズ群L2,L3がフォーカシングにより移動する際に、偏芯コマ80,100に負担が加わっても、その内径側がねじ頭86a,106aにより補強され、偏芯コマ80,100の剛性が高くなっているので、レンズ群L2,L3のシフト成分の抑制効果が維持される。
一方、偏芯コマ80,100に設けられている孔84,104のうちの、リード溝41,71に挿入された偏芯部82,102に設けられている部分は、取付ねじ96,106の頭部86a,106aは接触していない。
したがって、偏芯コマ80,100の若干の変形が可能となり、偏芯コマ80,100を回転させてレンズ枠62,63(レンズL2,L3)をチルトさせることが可能となる。
(2)可動レンズ群L2,L3に偏芯コマ80,100が取り付けられており、これらの偏芯コマ80,100を取付ねじ86,106の軸部を中心として回転させたとき、その回転中心と、中心が異なる偏芯部83,102が、それぞれリード溝31,71にはめ込まれている。偏芯コマ80,100を回転させることにより、偏芯コマ80,100における、リード溝31,71と当接している部分P1,P2と回転中心A1,C1との距離を変化させ、可動レンズ群L2,L3をチルトさせることができる。
(3)直進溝に嵌合する部分が偏芯している場合、チルトとシフトが同時に発生してしまい、調芯の切り分けができない(偏芯量当たりのチルト量とシフト量は、リードの傾きに依存する)。
しかし、本実施形態によると、偏芯コマ80,100における回転中心と中心が同一な同芯部82,102が、それぞれ直進溝43,44にはめ込まれている。したがって、偏芯コマ80,100を回転させても、直進溝における偏芯コマ80,100の位置は変わらないので、シフト(光軸垂直平面内での移動)が効果的に抑制される。
(4)また、本実施形態においてカム環に形成されているのは、傾き一定のリード溝のため、ズーミングやフォーカシングでレンズ群が光軸方向に移動しても、コマとの接触位置が一定であって、調芯量は一定に保たれる。
また、傾きが変化するリード溝の場合、レンズ群の移動に伴って、調芯量が変化してしまう。
(5)本実施形態の調芯機構は、構造が簡単で、部品数が増えない為、スペース効率が良く大型化せず、また、コストパフォーマンスが高い。
(変形形態)
以上、説明した実施形態に限定されることなく、以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
(1)本実施形態では、カメラボディ2に着脱可能なレンズ鏡筒1について説明したがこれに限定されず、カメラボディ2とレンズ鏡筒1とが一体型であってもよい。
また、レンズ群の数等も、本実施形態の6群に限定されるものではない。
(2)本実施形態では、第1軸線A1と第2軸線A2とは、図7(a)に示すように、第1リード溝31に沿った方向にずれているが、これに限定されるものではなく、第1直進溝43に沿ってずれていてもよい。
また、第1軸線C1と第2軸線C2も、第1軸線A1と第2軸線A2と同様に、図7(b)に示すように、第2リード溝71に沿った方向にずれているが、これに限定されるものではなく、第2直進溝44に沿ってずれていてもよい。
(3)第1リード溝31、第2リード溝71に代えてカム溝を採用してもよい。
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
1:レンズ鏡筒、2:カメラボディ、3:カメラ、20:フォーカス環、30:第1カム環、31:第1リード溝、40:直進筒、43:第1直進溝、44:第2直進溝、61:第1レンズ枠、62:第2レンズ枠、63:第3レンズ枠、64:第1取付部、64a:開口部、64b:ねじ孔、65:第2取付部、65a:開口部、65b:ねじ孔、70:回転筒部材、71:第2リード溝、80:第1偏芯コマ、81:小径同芯部、82:中径同芯部、83:大径偏芯部、84:孔、85:溝、86:取付ねじ、87:段差、90:同芯コマ、91:小径同芯部、92:中径同芯部、93:大径同芯部、94:孔、100:第2偏芯コマ、101:小径同芯部、102:中径偏芯部、103:大径同芯部、104:孔、105:溝、106:取付ねじ、107:段差、A1:第1軸線、A2:第2軸線、B1:軸線、C1:第1軸線、C2:第2軸線、L1:第1レンズ群、L2:第2レンズ群、L3:第3レンズ群、OA:光軸

Claims (6)

  1. レンズを保持するレンズ保持枠と、
    前記レンズ保持枠の外側に配置されるとともに直進溝が形成された第1筒部材と、
    前記レンズ保持枠の外側に配置されるとともにリード溝が形成された第2筒部材と、
    前記直進溝嵌合する円柱状の第1部分、及び、前記第1部分に対して偏心するとともに前記リード溝に嵌合する円柱状の第2部分、を有し、前記第1部分の軸線を中心として前記レンズ保持枠に対して回転可能に取り付けられ、前記軸線に沿った方向に貫通穴が設けられた第1調整部材と、
    頭部及び軸部を有し、前記貫通穴に挿入され、前記軸部を前記レンズ保持枠に設けられたねじ孔に螺合することにより、前記第1調整部材を前記レンズ保持枠に固定するねじと、を備え、
    前記頭部は、円柱状であり、外周が前記貫通穴の前記第1部分の内径側と接触し、前記第2部分の内径側とは非接触であること、
    を特徴とするレンズ鏡筒。
  2. 請求項1に記載のレンズ鏡筒であって、
    前記第1筒部材と前記第2筒部材とは、同心状に隣接配置されていること、
    を特徴とするレンズ鏡筒。
  3. 請求項1又は2に記載のレンズ鏡筒であって、
    前記第2筒部材は、前記第1筒部材の内側に配置され、
    前記貫通穴における、レンズ保持枠側端部の開口径は前記頭部よりも小径であり、
    前記貫通穴における、前記レンズ保持枠側端部以外の部分の開口径は前記頭部よりも大径であり、
    前記頭部と前記レンズ保持枠との間に、前記第1調整部材における前記貫通穴が前記小径となっている部分を挟持することにより、前記第1調整部材は前記レンズ保持枠に固定されること、
    を特徴とするレンズ鏡筒。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒であって、
    前記第1筒部材は、前記第2筒部材の内側に配置され、
    前記貫通穴における、レンズ保持枠側端部の開口径は前記頭部よりも小径であり、
    前記貫通穴における、前記レンズ保持枠側端部以外の部分の開口径は前記頭部よりも大径であり、
    前記頭部における前記第2部分の内径側と非接触の部分と前記レンズ保持枠との間に、前記第1調整部材における前記貫通穴が小径となっている部分を挟持することにより、前記第1調整部材は前記レンズ保持枠に固定されていること、
    を特徴とするレンズ鏡筒。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒であって、
    前記レンズ保持枠の外周に沿った3箇所のうちの2箇所に前記第1調整部材が取り付けられ、1箇所に前記直進溝及び前記リード溝に嵌合する部分が同軸である第2調整部材が取り付けられていること、
    を特徴とするレンズ鏡筒。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒を備える光学機器。
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