JP5980129B2 - ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、液晶表示装置の部材のプリズムレンズシート、タッチパネル、バックライト等のベースフィルムや反射防止用フィルムのベースフィルム、プラズマディスプレイの電磁波シールドフィルム、有機ELディスプレイのベースフィルム、ディスプレイ防爆用ベースフィルム等の光学用途に好適に用いることができる、ハードコート密着性、透明性、耐擦り傷性、作業性などに優れる積層ポリエステルフィルムに関するものである。
ポリエステル系フィルム、特にポリエチレンテレフタレート樹フィルムに代表される2軸延伸ポリエステルフィルムは、電気特性、機械的特性、熱的特性、加工性および耐薬品性が優れていることから、包装材料、電気絶縁材料、金属絶縁材料、金属蒸着材料、製版材料、磁気記録材料、表示材料、転写材料、窓貼り材料などを始めとして多くの用途で使用されている。特に最近では、透明タッチパネル用、液晶表示装置に用いられるプリズムシート用のベースフィルムやブラウン管、LCD、PDP等のいわゆるフラットパネルディスプレイの前面パネルガラス表面貼り付け用に、帯電防止、反射防止、電磁波シールド等の機能層を設けた保護フィルムのベースフィルム用などの各種光学用途に広く用いられているが、ポリエステルフィルムは傷がつきやすいため、外観や光学的特性が損なわれやすいという欠点がある(特許文献1)。
また、ポリエステルフィルムには、高い透明性や光学等方性が要求される。高い透明性と光学等方性を達成するために、シクロオレフィンポリマーも良好であるが、汎用樹脂を使用していないため、コストが高いという問題がある。一方、二軸配向ポリエステルフィルムは汎用樹脂であるため、コスト面での問題はない。しかし、二軸配向ポリエステルフィルムにおいては、複屈折を有しその主配向軸がフィルム面内で一定方向に存在しないために、光干渉色が発生し、視認性が劣る場合がある。
透明なフィルムの表面は一般的に平滑であるため、加工時に傷が入りやすく、優れた耐擦り傷製を兼ね備えることも必要とされる。透明性と平滑性の両方が要求されるため、通常添加する粒子を極力減らすか、まったく添加しないことが必要である。しかし、このようなフィルムは滑り性が悪く、巻き取れないので、少なくとも片面に易滑性・耐擦り傷性層を形成することが行われている(特許文献2)。
上記問題の対処方法として、表面に微小な突起を有するポリエステル系樹脂フィルムが知られている。このようなフィルムでは、表面に突起を形成するために、材料となるポリエステル系樹脂中に無機または有機の微粒子が添加される(特許文献3)。フィルム中に粒子を含有させ、当該粒子によってフィルム表面に微小凹凸(微小突起)を形成し、フィルム表面の摩擦係数低減を介して耐スクラッチ性を高めるようにした技術がある。このような表面に微小凹凸(突起)を形成したフィルムとして、ポリエステルにコロイド状シリカに起因する実質的に球形のシリカ粒子を含有させた2軸配向ポリエステルフィルムが知られている。
ポリエステルフィルムの最も一般的な工業的製造手法である逐次2軸延伸を施す際、縦延伸工程において、比較的軟質な非晶質である未延伸フィルムがロールとの摩擦で多数の傷を受ける。これら傷のうち特に深いものは表面にハードコートなどを設けても埋めることができず、光学的散乱要因となるため使用に耐え得ない。
傷入りを防止あるいは緩和するために、フィルム中に各種粒子が添加されるが、これらの粒子が内部散乱要因となり、フィルムの透明性が減少するため、透明性と傷入り回避とを両立することが困難であり、用途に応じて、いずれかの特性を犠牲にせざるを得ない状況となっている。
従来のポリエステルフィルムは、無機または有機の微粒子による突起を有しているため、たとえば製膜時にスクラッチ傷が生じやすい。また、生じたスクラッチ傷により、光が乱反射することにより輝点となるため透明性の不良なベースフィルムよなってしまい、高品質のポリエステルフィルムは得ることが難しい。
特開平11-157036号公報 特開2004−223939号公報 特開平3−175034号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、良好な透明性および易滑性を有し、また製膜時のスクラッチ傷の発生が起こりにくい透明性に優れ、かつ光干渉色の発生を抑制できることを特徴とした有用なポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を有するフィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、3層以上の積層構造からなる二軸配向ポリエステルフィルムであり、両最外層の厚さが2.5μm以上であり、両最外層以外の少なくとも1層がテレフタル酸とイソフタル酸とを含むジカルボン酸成分と、エチレングリコールとからなる共重合ポリエステルを含有する層であり、フィルムの面内リターデーションが600nm以下であり、フィルムの内部ヘーズが0.5%以下で、フィルム表面の粗さRaが9.0nm以上であることを特徴とするポリエステルフィルムに存する。
本発明によれば、例えば、縦延伸工程等で発生する傷入りを顕著に抑制でき、透明性と光学等方性に優れたポリエステルフィルムを簡便かつ廉価に得ることができ、本発明の工業的価値は高い。
本発明のポリエステルフィルムは、内層(以下、B層と称することがある)と、両外層を有する、少なくとも3層からなる積層フィルムであって、全ての層が押出し機の口金から共溶融押出しされる、いわゆる共押出し法によって押出されたものを、延伸および熱処理されたものとして得られる。以下、共押出3層フィルムについて説明するが、本発明の要旨を越えない限り、本発明は3層フィルムに限定されず、4層またはそれ以上の多層であってもよい。
本発明において、両最外層を構成するポリエチレンテレフタレート共重合体は、通常85〜95モル%がエチレンテレフタレートからなるポリエステルである。このポリエステルにおいて、第3成分として共重合させることのできる成分としては、酸成分では、例えば、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸などのジカルボン酸成分、トリメリット酸、ピロメリット酸などが挙げることができ、それらの中でもイソフタル酸を共重合成分とすることが好ましい。また、共重合させることのできるアルコール成分は、例えば、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールやジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールなどのジオール成分などが挙げることができる。これらは単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明において、B層を構成する共重合ポリエステルは、テレフタル酸とイソフタル酸を含むジカルボン酸成分と、エチレングリコールを含むグリコール成分とからなる共重合ポリエステルであり、当該共重合ポリエステルを含有するポリエステル層である。
また、本発明のフィルムのB層は上記共重合ポリエステルを含有するポリエステル組成物からなり、共重合ポリエステル以外の一種以上のポリエステルを含有する。共重合ポリエステル以外のポリエステルの二官能性酸成分は、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を主とするものであればよく、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、そのエステル形成誘導体としてはテレフタル酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルなどが挙げられ、これらの中でもテレフタル酸、テレフタル酸ジメチルが好ましい。また、グリコール成分としては、エチレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられ、これらの中でもエチレングリコールが好ましい。
また、かかるポリエステルは、1種の芳香族ジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体と、1種のアルキレングリコールとを出発原料とするポリエステルでもよいが、2種以上の成分を含む共重合体であってもよい。共重合する成分として、上記のほかに、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールなどのジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸などのジカルボン酸成分、トリメリット酸、ピロメリット酸などが挙げられる。
本発明のフィルムのB層を得る方法としては、共重合ポリエステルと他のポリエステルとをブレンドして、溶融混練りする方法が好ましく用いられる。本発明における共重合ポリエステルの含有量は40重量%以上、好ましくは50重量%以上である。40重量%未満では、液晶パネルに組み込んだ際の光干渉色が強く、本来の色調とはかなり異なる画像となるため好ましくない。
本発明のポリエステルフィルムは3層以上の積層構造からなる二軸配向ポリエステルフィルムで、両最外層の厚さは2.5μm以上である。両最外層の厚さが2.5μmより薄いとフィルム製膜時や使用時の破断が生じやすくなるという問題がある。
フィルムの透明性の評価方法の一つとしてヘーズ測定がある。ヘーズには、表面ヘーズと内部ヘーズがあり、表面ヘーズはフィルムの表面構造(粗面など)に起因する散乱を評価した物性であり、内部ヘーズはフィルムの内部構造(ボイドなど)に起因する散乱を評価した物性である。したがって、内部ヘーズによれば、フィルムと他の材料(ハードコートまたは粘着剤等)とを貼り合わせて積層した状態(表面構造に起因する散乱を除いた状態)にしたときのヘーズ値を予測することができる。そして、ポリエステルフィルムの内部ヘーズの測定は、粗面補償溶媒として、例えばエタノールを用いることにより容易に行うことができる。
一般に、ポリエステルフィルムが単体で使用されることは少なく、表面に保護のためハードコートを設けたり、ガラスなどに接着剤で貼り合わせられたりする。そこで、本発明では、内部ヘーズ値がある特定の範囲であることを必須とするものである。
すなわち、本発明のフィルムの内部ヘーズが0.5%以下であり、好ましくは、0.4%以下、さらに好ましくは0.3%以下であり、内部ヘーズが0.5%を超えると、タッチパネル部材などの光学用途における十分な透明性に欠け、高透明ニーズが求められる光学設計部材として不十分である。
本発明のフィルムの面内リターデーションは、600nm以下であり、好ましくは585nm以下、さらに好ましくは550nm以下である。面内リターデーションが600nmを超えると、フィルムを液晶パネルに実装した際の視認性が劣り好ましくない。
本発明の多層フィルムの表層以外の層、すなわち中間層は実質的に粒子を含有しないことが好ましい。ここで言う実質的に含有しないとは、具体的には、粒子の含有量が150ppm以下のことを指す。これは粒子添加の目的がロール延伸機による縦延伸工程における傷入り緩和であるため、中間層に粒子を含有させる意義がないからである。粒子の使用は些少ではあるがコストアップの要因となり、また延伸の条件によっては粒子周囲にボイドが形成され透明性を減じる可能性がある。
本発明におけるポリエステルフィルムには、取り扱いを容易にするために透明性を損なわない条件で粒子を含有させてもよい。本発明で用いる粒子の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、シリカ、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機粒子や、架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウム等の有機粒子を挙げることができる。また粒子を添加する方法としては、原料とするポリエステル中に粒子を含有させて添加する方法、押出機に直接添加する方法等を挙げることができ、このうちいずれか一方の方法を採用してもよく、2つの方法を併用してもよい。
用いる粒子の粒径は通常0.05〜5.0μm、好ましくは0.1〜4.0μmである。平均粒径が5.0μmより大きいとフィルムのヘーズが大きくなりフィルムの透明性が低下することがある。平均粒径が0.1μmより小さいと表面粗度が小さくなりすぎてフィルムの取り扱いが困難になる場合がある。粒子含有量は、ポリエステルに対し、通常0.001〜30.0重量%であり、好ましくは0.01〜10.0重量%である。粒子含有量が多いとヘーズが大きくなり、フィルムの透明性が低下することがあり、粒子含有量が少ないとフィルムの取り扱いが困難になる場合がある。
ポリエステルに粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応を進めてもよい。また、ベント付き混錬押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混錬押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
また、本発明のフィルムの表面粗さ(Ra)は、9.0nm以上、好ましくは12.0nm以上である。フィルムのRaが9.0nmを下回る場合、フィルム表面が極端に平坦となり、フィルム製造工程における巻き特性が劣る。また、フィルムのRaが22.0nmを超える場合、表面の平面性が損なわれることがあり、フィルムが白っぽくなる恐れがあるので、Raの上限は22.0nmとすることが好ましい。
本発明の積層フィルムの製造において積層構造とする手段は限定されないが、透明性を減じない観点から、積層界面で界面剥離が生じる可能性の絶無である共押出法が推奨される。以下、本発明の透明多層フィルムの製造方法の1例を示すが、本発明は、以下の例に限定されるものではない。
本発明においては、公知の手法により乾燥したポリエステルチップを溶融押出装置に供給し、それぞれのポリマーの融点以上である温度に加熱し溶融する。次いで、溶融したポリマーをダイから押出し、回転冷却ドラム上でガラス転移点以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
本発明においては、このようにして得られたシートを2軸方向に延伸してフィルム化することが好ましい。延伸条件について具体的に述べると、前記未延伸シートを好ましくは縦方向に80〜130℃で1.3〜6倍に延伸し、縦1軸延伸フィルムとした後、横方向に90〜160℃で1.3〜6倍延伸を行ない。150〜240℃で1〜600秒間熱処理を行なうことが好ましい。さらにこの際、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、表面硬度の向上のため、ハードコート層を設けて用いられることが好ましい。この場合、ポリエステルフィルムは、一般的に不活性であることから接着性に乏しく、かかるハードコート層との接着性を向上させるために、接着性向上のための塗布層をあらかじめ設けることが好ましく、ハードコートとの密着性を向上させるために少なくとも片面に塗布層を設けることが好ましい。
かかる塗布層を形成する方法としては、テンター入口前(配向結晶化完了前)にコートしてテンター内で乾燥する、いわゆるインラインコート法が好ましい。
ハードコート層との接着性向上のための塗布層としては、接着性を向上させるものであれば特に限定されるものではないが、本発明においては、絶対反射率が、波長400〜800nmの任意の波長において4.0%以上となる塗布層を有することが好ましい。
塗布層としては、塗布層上に種々の表面機能層が積層されたときの反射防止能の向上や透明性の向上、種々の表面機能層との接着性を向上させるためにバインダーポリマーを使用するのが好ましい。
本発明において使用する「バインダーポリマー」とは高分子化合物安全性評価フローキーム(昭和60年11月 化学物質審議会主催)に準じて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による数平均分子量(Mn)が1000以上の高分子化合物で、かつ造膜性を有するものと定義する。
バインダーポリマーの具体例としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニル、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンイミン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、でんぷん類等が挙げられる。表面機能層との接着性向上という点では、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂がより好ましく用いられ、さらに絶対反射率を高く設計できるという点で、これらの化合物の中に芳香族を含有することがより好ましい。
さらに塗布層中には本発明の主旨を損なわない範囲において、架橋剤を併用してもよく、種々公知の樹脂が使用できるが、メラミン化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。絶対反射率が高く設計できるという点で、メラミン化合物がより好ましい。
本発明におけるメラミン化合物としては、アルキロールまたはアルコキシアルキロール化したメラミン系化合物であるメトキシメチル化メラミン、ブトキシメチル化メラミン等が例示され、メラミンの一部に尿素等を共縮合したものも使用できる。
また、塗布層中には金属キレート化合物等のカップリング剤を使用することもでき、具体的には、チタンアセチルアセトネート、チタンエチルアセトアセテート、チタンオクタンジオレート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネート、チタンオキサレート等のチタン化合物、あるいは、ジルコニウムアセチルアセトネート、ジルコニウムエチルアセトアセテート、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムステアレート等のジルコニウム化合物が挙げられる。
また、塗布層の固着性、滑り性改良を目的として、不活性粒子を含有してもよく、具体例としてはシリカ、アルミナ、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン、有機粒子等が挙げられる。
さらに本発明の主旨を損なわない範囲において、必要に応じて消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、発泡剤、染料等が含有されてもよい。
上述の一連の化合物を溶液または分散体として、固形分濃度が0.1〜50重量%程度を目安に調整した塗布液をポリエステルフィルム上に塗布する要領にて積層ポリエステルフィルムを製造するのが好ましい。
さらにインラインコーティングの場合は、上述の一連の化合物を水溶液または水分散体として、固形分濃度が0.1〜50重量%程度を目安に調整した塗布液をポリエステルフィルム上に塗布する要領にて積層ポリエステルフィルムを製造するのが好ましい。また、本発明の主旨を損なわない範囲において、水への分散性改良、造膜性改良等を目的として、塗布液中には少量の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤は1種類のみでもよく、適宜、2種類以上を使用してもよい。
本発明における積層ポリエステルフィルムに関して、ポリエステルフィルム上に設けられる塗布層の塗布量(乾燥後)に制限はないが、通常0.005〜1g/m、好ましくは0.005〜0.5g/mの範囲である。塗布量が0.005g/m未満の場合には、塗布厚みの均一性が不十分な場合がる。一方、1g/mを超えて塗布する場合には、滑り性低下等の不具合を生じる場合がある。
本発明において、塗布層を設ける方法はリバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著 1979年発行に記載例がある。
また、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。本発明における積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルムには予め、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
また、本発明のポリエステルフィルムを光学用として用いる場合、表面硬度向上のために設けたハードコート層に他の機能性を付与する目的で、帯電防止剤、着色剤、導電材料等を加えてもよく、さらにその上に、外光の映り込みや静電気による電撃、ゴミ付着防止、さらには電磁波シールドを目的とした機能性多層薄膜を形成してもよい。
本発明において用いる塗布液は、取扱い上、作業環境上、水溶液または水分散液であることが望ましいが、水を主たる媒体としており、本発明の要旨を越えない範囲であれば、有機溶剤を含有していてもよい。
また、本発明のポリエステルフィルムには、本発明の効果を損なわない範囲であれば、他の熱可塑性樹脂、例えばポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等を混合することができる。また、紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤、蛍光増白剤、潤滑剤、遮光剤、マット化剤、および染料、顔料などの着色剤等を配合してもよい。また、必要に応じ、フィルムの滑り性や耐摩耗性を改良する目的などのために、ポリエステルに対し、不活性な無機または有機の微粒子などを配合することもできる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、本発明における各種の物性および特性の測定方法、定義は下記のとおりである。また、実施例および比較例中、「部」とあるのは、特に断らない限り「重量部」を意味する。
(1)面内リターデーションの測定
大塚電子株式会社製、セルギャップ検査装置RETS−1100Aを用い、フィルムの面内リターデーションを測定した。フィルムの面内リターデーションの測定には光干渉法を用い、アパーチャ径5mmとし23℃で行なった。測定データの最大値を、最大面内リターデーションとする。
(3)ヘーズ(%)
JIS−K7136に準じ、日本電色工業製濁度計NDH−300Aによりフィルムの内部ヘーズを測定する。
(4)内部ヘーズの測定
内部ヘーズは、スガ試験機製のヘーズメーター(HZ−2)を用いて測定した。測定は、フィルムをガラスセルにセットし、エタノールに浸漬することで行った。
(4)表面粗さRa
中心線平均粗さRa(μm)をもって表面粗さとした。小坂研究所社製表面粗さ測定機(SE−3F)を用い、JIS−B−0601−1982に準じて測定する。フィルム断面曲線からその中心線の方向に基準長さL(2.5mm)の部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をx軸、竪倍率の方向をy軸として粗さ曲線y=f(x)で表したとき、次の数式〔数1〕で与えられた値を(μm)で表す。そして、中心線平均粗さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の中心線平均粗さの平均値で表した。なお、触針の先端半径は2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08mmとした。
Ra=(1/L)∫ |f(x)|dx
(5)厚み(μm)
試料フィルムをエポキシ樹脂にて包埋し、ウルトラミクロトームでセクショニングを行ない、得られた薄片を走査型電子顕微鏡にて断面観察を行なう。粒子が密集する領域を表層として厚みを測定し、全体の厚みから各表層の厚みを減じたものを中間層の厚みとする。
(6)視認性の検査
試料フィルムをモバイル用の液晶パネルに実装し視認性を確認し、下記基準で評価した。
◎:光干渉色がなく、良好
○:光干渉色があるが、画像としては問題にならないレベル
△:光干渉色があり、本来の色調とは若干異なる画像となる
×:光干渉色が強く、本来の色調とはかなり異なる画像となる
(7)3波長蛍光灯下でのクリア感観察
フィルムに3波長蛍光灯光を透過させてフィルムのクリア感(透明度、鮮明度、粒子感など)を目視観察した。クリア感は下記基準で評価した。
<3波長蛍光灯下での粒子感観察 判定基準>
(クリア感高) ○>△>× (クリア感低)
なお、上記判定基準中、○のものが高透明フィルムとして問題なく使用できるレベルである。
(8)キズのつきにくさの評価
作製したロール状フィルムの表面のキズの個数を数え、キズのつきにくさを3段階で評価した。評価はロールサンプルをA4サイズに切り出して行った。
(キズがつきにくい) ○>△>× (キズがつきやすい)
○:キズ発生頻度が3本以下
△:キズ発生頻度が5本以下
×:キズ発生頻度が5本以上
(9)破断しやすさの評価
フィルム製膜における破断しやすさを破断の頻度にて評価した。
<破断しやすさ 判定基準>
(破断しにくい) ○>× (破断しやすい)
なお、上記判定基準中、○のものが生産上問題なく使用できるレベルである。
上記(6)、(7)、(8)、(9)の評価結果を踏まえてフィルム性能を総合的に評価した。
(ポリエステルチップの製造法)
テレフタル酸ジメチル100部、エチレングリコール70部、および酢酸カルシウム一水塩0.07部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノール留去させエステル交換反応を行い、反応開始後、約4時間半を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次に燐酸0.04部および三酸化アンチモン0.035部を添加し、常法に従って重合した。すなわち、反応温度を徐々に上げて、最終的に280℃とし、一方、圧力は徐々に減じて、最終的に0.05mmHgとした。4時間後、反応を終了し、常法に従い、チップ化してポリエステル(A)を得た。得られたポリエステルチップの溶液粘度IVは、0.66であった。
(ポリエステルBの製造方法)
上記ポリエステル(A)を製造する際、平均粒径3.2μmの非晶質シリカを6000ppm添加し、ポリエステル(B)を作成した。
(ポリエステルCの製造方法)
テレフタル酸ジメチル80部、イソフタル酸ジメチル20部、エチレングリコール60重量部を出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04部を添加した後、三酸化アンチモン0.03部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.68に相当する時点で反応を終了し、常法に従い、チップ化してポリエステル(C)を得た。得られたポリエステルチップの溶液粘度IVは、0.68であった。
(ポリエステルフィルムの製造)
実施例1:
上記ポリエステル(A)、(C)をそれぞれ50%、50%の割合で混合した原料をB層用の原料とし、ポリエステル(A)、(B)をそれぞれ90%、10%の割合で混合した原料をA層用の原料とし、A層およびB層用原料をそれぞれ別個の溶融押出機により溶融押出して(A/B/A)の2種3層積層の無定形シートを得た。ついで、冷却したキャスティングドラム上に、シートを共押出し冷却固化させて無配向シートを得た。次いで、90℃にて縦方向に3.4倍延伸した後、更にテンター内で予熱工程を経て90℃で横方向に3.8倍延伸、230℃で熱処理を行い、製膜機にて巻き取ったロールの125μm(A層:2.5μm、B層:120.0μm)のポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
実施例2:
実施例1において、各層の厚さをA層:3.0μm、B層:119.0μmにする以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
実施例3:
実施例2において、B層用の原料として(A)、(C)をそれぞれ40%、60%の割合で混合する以外は実施例2と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
実施例4:
実施例2において、縦延伸倍率を3.5倍にし、横延伸倍率を3.7倍にする以外は実施例2と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
比較例1:
実施例1において、各層の厚さをA層:2.4μm、B層:120.2μmにする以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表2に示す。
比較例2:
実施例1において、各層の厚さをA層:4.0μm、B層:117.0μmにする以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表2に示す。
比較例3:
実施例1において、A層用の原料として(A)、(B)をそれぞれ100%、0%の割合で混合する以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表2に示す。
比較例4:
実施例1において、A層用の原料として(A)、(B)をそれぞれ80%、20%の割合で混合する以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表2に示す。
比較例5:
実施例1において、B層用の原料として(A)、(C)をそれぞれ70%、30%の割合で混合する以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表3に示す。
比較例6:
実施例1において、B層用の原料として(A)、(C)をそれぞれ100%、0%の割合で混合する以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表3に示す。
比較例7:
実施例2において、縦延伸倍率を3.0倍にし、横延伸倍率を4.0倍にする以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表3に示す。
Figure 0005980129
Figure 0005980129
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本発明のフィルムは、例えば、液晶表示装置の部材のプリズムレンズシート、タッチパネル、バックライト等のベースフィルムや反射防止用フィルムのベースフィルム、プラズマディスプレイの電磁波シールドフィルム、有機ELディスプレイのベースフィルム、ディスプレイ防爆用ベースフィルム等の光学用のフィルムとして好適に利用することができる。

Claims (1)

  1. 3層以上の積層構造からなる二軸配向ポリエステルフィルムであり、両最外層の厚さが2.5μm以上であり、両最外層以外の少なくとも1層がテレフタル酸とイソフタル酸とを含むジカルボン酸成分と、エチレングリコールとからなる共重合ポリエステルを含有する層であり、フィルムの面内リターデーションが600nm以下であり、フィルムの内部ヘーズが0.5%以下で、フィルム表面の粗さRaが9.0nm以上であることを特徴とするポリエステルフィルム。
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