JP2012143895A - 積層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】高い光線透過率を有する積層フィルムを提供すること。
【解決手段】エチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリエステル(I)からなる基材層の少なくとも片面に、該ポリエステル(I)よりも融点Tmが5〜40℃低いエチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリエステル(II)と、屈折率1.45〜1.65、平均粒径4〜12μmの粒子とからなる光学機能層を有し、光学機能層表面の中心線平均表面粗さRaが15〜300nmであり、全光線透過率が91.0%以上である積層フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、透明性に優れた積層フィルムに関する。
従来、プラスチック製のフィルムは、光学用基材フィルムとしてよく用いられる。そして、光学用基材フィルムは、高い透明性と傷などの表面欠点がないことが要求されている。例えば、タッチパネルの透明電極に用いられる基材フィルムは、それにハードコート加工を施して、透明導電層を設けることで透明電極とし、これをタッチパネルモジュールとして液晶表示装置等に組み込んで用いられるが、このようにして作成されたタッチパネルにおいては、透明電極を通して液晶表示を視認するため、鮮明な表示を得るためには高透明で表面欠点がない基材フィルムが要求される。しかしながら、従来の表面欠点が少ないフィルムは、一般的に表面欠点の低減と透明性の両立は非常に困難であるところ、近年さらに高い光線透過率が要求されている。
特開2001−261856号公報 特開2003−266622号公報
本発明は、上記のような背景技術を鑑み、高い光線透過率を有する積層フィルムを提供することを目的とする。
また、本発明は、さらに、優れたハンドリング性を有する積層フィルムを提供することを望ましい課題とする。
本発明は、上記課題を解決するために以下の構成を採用するものである。
1.基材層と、少なくとも一方の表面を形成する光学機能層とを有する積層フィルムであって、基材層は、エチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリエステル(I)からなり、光学機能層は、ポリエステル(I)よりも融点Tmが5〜40℃低い、エチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリエステル(II)と、屈折率1.45〜1.65、平均粒径4〜12μmの粒子とからなり、光学機能層表面の中心線平均表面粗さRaが15〜300nmであり、全光線透過率が91.0%以上である積層フィルム。
また、本発明は、好ましく以下の構成を採用することができる。
2.光学機能層表面の十点平均粗さRzが400〜10000nmである上記1に記載の積層フィルム。
3.基材層の両面に光学機能層を有する上記1または2に記載の積層フィルム。
4.基材層および光学機能層が共押出法によって得られる上記1〜3のいずれか1に記載の積層フィルム。
5.光学用途に用いられる上記1〜4のいずれか1に記載の積層フィルム。
本発明によれば、高い光線透過率を有する積層フィルムを提供することができる。そのため、本発明の積層フィルムは、光学用として好適に用いることができる。また、本発明の好ましい態様によれば、さらに、ハンドリング性に優れた積層フィルムを提供することができる。そのため、表面欠点が抑制された積層フィルムを得ることができ、光学用としてさらに好適に用いることができる。
本発明の積層フィルムは、基材層の少なくとも片面に光学機能層を有するものである。以下、本発明を構成する各構成成分について説明する。
[基材層]
本発明における基材層は、エチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリエステル(I)からなる。ここで「主たる」とは、ポリエステルの全ジカルボン酸成分100モル%に対して、テレフタル酸成分が80モル%以上、好ましくは85モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上であり、かつ、エチレングリコール成分が80モル%以上、好ましくは85モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上であることを示し、このような割合において、テレフタル酸成分やエチレングリコール成分以外の共重合成分を含有していてもよいが、耐熱性の観点からはホモのポリエチレンテレフタレートが好ましい。
また、基材層は、好ましくは二軸配向した層である。二軸配向した層であると、熱収縮率が低くなり、液晶表示装置のバックライトユニットの光源からの熱による変形や、高温になり得る車内での使用時におけるフィルムの変形を抑制することができる。
本発明における基材層は、本発明の目的を阻害しない限りにおいて粒子を含有していてもよいが、光線透過率をより高くし、またヘーズをより低くするという観点から、粒子を実質的に含有しない態様が好ましい。ここで「実質的に含有しない」とは、基材層の重量に対して、粒子の含有量が100ppm以下、好ましくは10ppm以下であることを示す。また、本発明における基材層には、本発明の目的を阻害しない限りにおいて、酸化防止剤、紫外線吸収材、帯電防止剤等の添加剤を添加することができる。
[光学機能層]
本発明における光学機能層は、後述するポリエステル(II)および粒子からなる層である。
(ポリエステル(II))
光学機能層を構成するポリエステル(II)は、エチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリエステルである。ここで「主たる」とは、ポリエステルの全ジカルボン酸成分100モル%に対して、テレフタル成分が60モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上であり、かつ、エチレングリコール成分が60モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上であることを示す。
かかるポリエステル(II)は、基材層のポリエステル(I)よりも融点が5〜40℃低いことが必要であり、好ましくは10〜35℃低いこと、さらに好ましくは15〜30℃低いことである。本発明においては、光学機能層を構成するポリエステルとして、上記態様のポリエステル(II)を用いることによって、フィルムの延伸等により発生した粒子周辺のボイドを、ボイド発生後にフィルムを熱処理することで消滅させて、ボイドの少ない光学機能層を備えた積層フィルムを得る。そして、これにより優れた光線透過率を得ることができる。光学機能層のポリエステル(II)の融点が基材層のポリエステル(I)の融点より高いか、基材層のポリエステル(I)の融点より低くても融点差が5℃未満であると、フィルムの機械的強度を保ったまま光学機能層のポリエステル(II)を再融解させることができず、ボイドを熱処理によっても十分に消滅させることができない。ボイドを十分に消滅させることができないと、積層フィルムを光が透過する際に、光がボイドで反射・拡散・散乱し光線透過率の低下を招くことになる。光学機能層のポリエステル(II)と基材層のポリエステル(I)との融点差が40℃を超えると、光学機能層のポリエステル(II)の融点が低すぎ、積層フィルムの耐熱性が不足する。また、滑性に劣り、表面欠点が増加する傾向にある。さらに、光学機能層が熱処理によって溶融しやすくなる傾向にあり、溶融しすぎると、本発明が規定する表面粗さを達成できなくなる。
光学機能層におけるポリエステル(II)としては、共重合ポリエチレンテレフタレートを用いる。共重合成分として、ジカルボン酸成分としては、例えばイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸の如き芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸の如き脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸の如き脂環族ジカルボン酸を例示することができる。また、ジオール成分としては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコールの如き脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオール、ビスフェノールAの如き芳香族ジオールを例示することができる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を用いてもよい。共重合成分の量は、基材層のポリエステル(I)との融点差が5〜40℃になる範囲であり、この量は、共重合成分の種類に応じて適宜調整する。例えば共重合成分としてイソフタル酸を用いる場合、ポリエチレンテレフタレートのホモポリマーに対して融点を5℃低くするために必要な共重合量は2モル%程度である。
(粒子)
本発明における光学機能層を構成する粒子は、屈折率は1.45〜1.65である。屈折率が上記数値範囲にあると、光学機能層を構成するポリエステル(II)との屈折率差が小さくなり、光線透過率に優れる。このような観点から、屈折率は、1.50〜1.65が好ましく、1.55〜1.65がさらに好ましく、特に好ましくは1.55〜1.60である。このような屈折率を有する粒子としては、例えば酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、SiO/TiO等からなる粒子が挙げられる。また、これらのうち樹脂粒子は、架橋樹脂粒子であることが好ましく、このように耐熱性を向上させることによって、熱処理により粒子が溶融してしまうことを抑制し、本発明が規定する表面粗さを達成しやすくなる。
また、本発明における粒子の平均粒径は4〜12μmである。平均粒径が上記数値範囲にあると、光線透過率に優れる。これは、上記粒径範囲にある粒子は、可視領域の光との相互作用が少なく、光は散乱等の影響を受けにくいためと推測される。また、ハンドリング性に優れる。平均粒径が大きすぎると、光線透過率に劣る傾向にある。他方、小さいと、可視領域の光との相互作用が生じ、光が散乱され、透過率が減少する。このような観点から、平均粒径は、好ましくは5〜12μm、さらに好ましくは5〜10μmである。
粒子の光学機能層中の含有量は、粒子の平均粒径を勘案して、光学機能層表面における中心線平均粗さRaが、本発明が規定する数値範囲となるようにすればよい。また、本発明が好ましく規定する十点平均粗さRzを満足する含有量が好ましい。かかる含有量は、例えば光学機能層の重量を基準として、好ましくは0.05〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜10重量%であり、このような数値範囲とすることによってRaおよびRzを達成し易くなる。また、光線透過率の向上効果を高くすることができる。含有量は、少なすぎると表面粗さが不足する傾向にあり、ハンドリング性が不足する傾向にある。また、透明性の向上効果が低くなる傾向にある。他方、多すぎると延伸時にボイドが発生しやすくなる傾向にあり、光線透過率の向上効果が低くなる傾向にある。
本発明における光学機能層には、本発明の目的を阻害しない限りにおいて、酸化防止剤、紫外線吸収材、帯電防止剤等の添加剤を添加することができる。
[層構成]
本発明の積層フィルムは、基材層ならびに少なくともその一方の面に光学機能層を有する積層フィルムであるが、光線透過率の向上効果を高くするという観点から、基材層の両面に光学機能層を有する態様が好ましい。かかる態様であると、さらにハンドリング性の向上効果も同時に高くすることができる。
また、本発明においては、光学特性上、空気との界面である光学機能層の屈折率は、空気と基材フィルムの中間の屈折率であると反射率を抑制できて好ましい。
光学機能層の厚みと粒子の平均粒径は特定の範囲にあることが好ましい。すなわち、光学機能層の厚み(光学機能層1層の厚み)を1としたときの粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1〜20.0、さらに好ましくは0.2〜15.0、特に好ましくは1.0〜5.0である。光学機能層の厚みと粒子の平均粒径がこの条件を満足することによって、機械的強度を維持しながら、透明性の向上効果を高くし、優れた易滑性と、干渉ムラの低減効果を得ることができる。
また、本発明の積層フィルムの総厚みは、好ましくは10〜500μm、さらに好ましくは10〜400μmであり、光学機能層の厚み(光学機能層を複数有する場合はそれらの合計の厚み)は、積層フィルムの総厚み1としたときに0.01〜0.5の範囲であることが好ましく、0.02〜0.4の範囲であることがさらに好ましい。この範囲の総厚み、光学機能層厚みであることによって、延伸性が良好であり、生産性のよい積層フィルムを得ることができる。
本発明の積層フィルムの表面には、プライマー層を塗設したり、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理などを施してもよい。これらの処理は、フィルム製造工程内で施してもフィルム製造後に施してもよい。また、本発明の目的を阻害しない範囲において、他の機能層を有することができる。
[製造方法]
以下、融点をTm、ガラス転移温度をTgと表記する。また、「Tg(I)」および「Tm(I)」は、基材層のポリエステル(I)のTgおよびTm、「Tg(II)」および「Tm(II)」は、光学機能層のポリエステル(II)のTgおよびTmを意味する。
本発明においては、積層フィルムの製造方法は特に限定されないが、特に好ましくは、基材層と光学機能層は共押出法により積層され、生産性に優れる。共押出法を採用した場合は、本発明の積層フィルムは、例えば以下のようにして製造することができる。
すなわち、基材層を構成するポリエステル(I)と、光学機能層を構成するポリエステル(II)と粒子とからなるポリエステル組成物とを、両方のポリエステルが溶融した状態で、例えば(Tm(I)+10)〜(Tm(I)+50)℃の温度で、両者が接するようにダイから押出して未延伸積層シートとする。この未延伸積層シートを、一軸方向(縦方向(機械軸方向)または横方向(機械軸方向と垂直な方向))に(Tg(I)+5)〜(Tg(I)+50)℃の温度で2倍以上、好ましくは3〜5倍の倍率で延伸し、次いで上記延伸方向と直角方向に(Tg(I)+5)〜(Tg(I)+50)℃の温度で2倍以上、好ましくは3〜5倍の倍率で延伸する。延伸により得られた二軸配向フィルムを、(Tm(I)−30)℃〜(Tm(I)−5)℃の温度範囲、かつ(Tm(II)−5)℃〜(Tm(II)+30)℃で熱処理する。この熱処理の時間はいずれの場合も、例えば1秒〜1分程度である。かかる熱処理を行うことによって、基材層の結晶配向を促進させると同時に、光学機能層のポリエステルと粒子との界面に発生したボイドを消滅させることができる。
積層フィルムの延伸は、逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法のいずれで延伸してもよい。同時二軸延伸法で延伸すると、延伸が二軸方向に同時に行われるためボイドが発生しにくく、それにより透明性の向上効果が高まり好ましい。
[積層フィルムの特性]
(全光線透過率)
本発明の積層フィルムは、光線透過率が91.0%以上である。光線透過率が上記数値範囲にあると光学特性に優れ、例えば透明電極用途として用いた際には、タッチパネルの表示の視認性を高くすることができる。このような観点から、光線透過率は、好ましくは91.5%以上、さらに好ましくは92.0%以上である。
(表面粗さ)
本発明の積層フィルムは、光学機能層表面における中心線平均粗さRaが15〜300nmである。Raが上記数値範囲にあると、滑性に優れ、フィルムの表面欠点が低減し、生産性に優れる。また、透明性に優れる。Raが低すぎる場合は、滑性に劣る傾向にあり、生産性が劣る傾向にある。また、透明性が劣る傾向にある。他方、高すぎる場合は、光学特性が劣る傾向にあり、透明性が低くなる傾向にある。このような観点から、Raは、好ましくは20〜250nm、さらに好ましくは50〜200nmである。
また、本発明の積層フィルムは、光学機能層表面における十点平均粗さRzが400〜9000nmであることが好ましい。Rzが上記数値範囲にあるとハンドリングに優れ表面欠点が減少する。Rzが低すぎる場合は、ハンドリング性に劣る傾向にあり、他方高すぎる場合は、光学特性が劣る傾向にあり、透明性の向上効果が低くなる傾向にある。このような観点から、Rzは、より好ましくは600〜8000nm、さらに好ましくは600〜7000nm、特に好ましくは1000〜5000nmである。
上記のようなRaおよびRzを達成するためには、例えば光学機能層における粒子の平均粒径や含有量を適宜調整すれば良い。平均粒径を大きくしたり、含有量を多くしたりすることによってRaおよびRzは大きくなる傾向にある。好ましくは、前述の本願における好ましい粒子の態様を採用すればよい。
(ヘーズ)
本発明の積層フィルムは、ヘーズが3%以下であることが好ましく、さらに好ましくは2%以下であり、これによりLCD等のディスプレイの視認性に優れる。本発明においては、光学機能層が、適度な大きさの粒子を含有し、かつ光学機能層表面を適度な粗さとすることにより、低ヘーズを達成できる。
以下、本発明を、実施例を用いて詳細に説明する。物性は以下の方法で測定、評価した。なお、「PET」はポリエチレンテレフタレート、「IAnPET」は、イソフタル酸成分を全ジカルボン酸成分100モル%中にnモル%共重合成分として含む共重合PETを表わす。
(1)粒子の平均粒径
フィルムサンプルを厚み方向にミクロトームで切断し、切断面を(株)日立製走査型電子顕微鏡S−4700(約2000倍)にて、少なくとも100点の粒子を観察し、その粒子の長径と短径(長径と垂直方向の最大径)の平均値を粒径として算出し、各粒子の粒径の平均値を平均粒径とした。
(2)粒子の屈折率
粒子の屈折率は、次の方法により測定した。すなわち、屈折率が既知である溶液中に粒子を分散させ、スライドガラスで挟み、偏光顕微鏡で観測し該溶液の屈折率と比較して求める方法である。詳細については例えば書籍「偏光顕微鏡の使い方」(浜野健也著、技報堂)に記載されている。
(3)ポリエステルの融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)
フィルムから、各層をそれぞれ分離して得たサンプル10mgを測定用のアルミニウム製パンに封入して示差熱量計(デュポン社製・V4.OB2000型DSC)に装着し、25℃から20℃/分の速度で300℃まで昇温させ、融点(Tm、単位:℃)を測定し、300℃で5分間保持した後取出し、直ちに氷の上に移して急冷した。このパンを再度、示差熱量計に装着し、25℃から20℃/分の速度で昇温させて、ガラス転移温度(Tg、単位:℃)を測定した。
(4)ボイドの有無
フィルムサンプルを厚み方向にミクロトームで切断し、切断面を(株)日立製走査型電子顕微鏡S−4700にて観察(約2000倍)し、粒子の断面積に対するボイドの断面積の割合を算出した。少なくとも10点について割合を算出してその平均を求め、下記の評価基準で評価した。
○: ボイド断面積が30%以下
△: ボイド断面積が30%超、50%以下
×: ボイド断面積が50%超
(5)各層の厚み
フィルムサンプルを三角形に切り出し、包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂にて包埋した。そして、包埋されたサンプルをミクロトーム(ULTRACUT−S)でスライスし、縦方向および厚み方向に平行なフィルム断面が観測できるような50nm厚の薄膜切片にした後、透過型電子顕微鏡を用いて、加速電圧100kvにて観察撮影し、写真から各層の厚みを測定した。このとき、粒子がない箇所において測定した。任意の5箇所について行い、それぞれ平均値を各層の厚みとして求めた。
(6)積層フィルムの総厚み
フィルムサンプルをエレクトリックマイクロメーター(アンリツ製 K−402B)にて、任意の10点につき厚みを測定し、平均値をフィルムの総厚みとした。
(7)全光線透過率
JIS K7361に準じ、日本電色工業社製のヘーズ測定器(NDH−2000)を使用してフィルムの全光線透過率(単位:%)を測定した。
(8)ヘーズ
JIS K7136に準じ、日本電色工業社製のヘーズ測定器(NDH−2000)を使用してフィルムのヘーズ値を測定した。
(9)中心線平均表面粗さ(Ra)、十点平均表面粗さ(Rz)
小坂研究所社製の表面粗さ測定器SE−3FATを用い、JIS B0601の測定法により、フィルムの光学機能層表面における中心線平均粗さ(Ra)、および十点平均粗さ(Rz)をそれぞれ求めた。
(10)易滑(ハンドリング)性
フィルムサンプルにおいて、JIS K7125(ISO 8295)に即して摩擦係数を測定し、以下の基準で評価した。なお、光学機能層を片面に有するフィルムの場合は、光学機能層表面と、その裏面の基材層表面との間の摩擦係数を測定した。
[易滑性の評価基準]
◎:0.2未満
○:0.2以上0.3未満
△:0.3以上0.4未満
×:0.4以上
[実施例1]
光学機能層を構成するポリエステル(II)としてのイソフタル酸成分を全酸成分100モル%中に10モル%を共重合成分として含む共重合ポリエチレンテレフタレート(IA10PET)に、粒子としての平均粒径4μmの架橋ポリスチレン粒子(積水化成品工業株式会社製、テクポリマーSBXシリーズ)を3重量%の含有量になるように配合したポリエステル組成物を用意した。他方、基材層を構成するポリエステル(I)として、ポリエチレンテレフタレート(PET)を用意した。
光学機能層のポリエステル組成物と基材層のポリエステル(I)とを、それぞれ十分に乾燥し、別々の押出機で溶融し、これらを光学機能層/基材層/光学機能層の積層構成であって、かつ各層の最終的な厚みが表1に記載の厚みとなるように積層した状態でダイから押し出して、キャスティングドラム上で急冷し、未延伸積層シートを得た。この後75℃でこの未延伸積層シートを余熱し、延伸温度110℃で縦方向に3.3倍に延伸し、さらに110℃で余熱し、延伸温度130℃にて横方向に3.6倍に延伸した。この後、結晶化ゾーンにて235℃にて10秒間熱処理して積層フィルムを得た。なお、熱処理する際に、縦方向1.5%および横方向2.0%に弛緩を入れて熱収縮率を調整した。得られた積層フィルムの評価結果を表1に示す。
[実施例2〜7、10、11]
光学機能層の組成、基材層の組成、および各層の厚みを表1に記載のものに変更した他は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表1に示す。なお、イソフタル酸成分を全酸成分100モル%中に8モル%を共重合成分として含む共重合ポリエチレンテレフタレートをIA8PETと表記し、12モル%を共重合成分として含む共重合ポリエチレンテレフタレートをIA12PETと表記した。
[実施例8、9]
光学機能層の組成、基材層の組成を表1に記載のものに変更し、層構成を2層(光学機能層/基材層)とし、各層の厚みを表1に記載のとおりとした他は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表1に示す。
[比較例1]
光学機能層を設けない他は、実施例1同様に製膜してフィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表2に示す。製膜したフィルムの易滑性が悪く、表面欠点が多い品質が劣るフィルムとなった。
[比較例2]
基材層を設けない他は実施例1同様に製膜しようとしたが、熱処理にて光学機能層が溶けて切断が多発し、フィルムを取得できなかった。
[比較例3〜9、11]
光学機能層の組成、基材層の組成、および各層の厚みを表2に記載のものに変更した他は実施例1同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表2に示す。
比較例3で得られた積層フィルムは、粒子径が小さすぎるため、表面粗さが不足し、その結果、透明性に劣るものであった。また、ハンドリング性不足で表面欠点が多く発生し、品質の良いフィルムが取得できなかった。
比較例4で得られた積層フィルムは、粒子径が大きすぎるため、ボイドが発生し、その結果、光がボイドで乱反射し全光線透過率の良いフィルムが取得できなかった。
比較例5で得られた積層フィルムは、粒子として平均粒径8μmのポリスチレン粒子(Thermo Fisher社製、ポリスチレン粒子2008A)を用いたものであるが、かかる粒子の耐熱性が低く、そのため樹脂溶融中に粒子が溶けて、粒子の機能を果たせず表面粗さが不足した。その結果、透明性に劣るものとなった。また、ハンドリング性不足で表面欠点が多く発生し、品質の良いフィルムが取得できなかった。
比較例6、7で得られた積層フィルムは、粒子径が小さすぎ、またその含有量も好ましくなく、表面粗さが不足し、その結果、透明性に劣るものであった。また、ハンドリング性不足で表面欠点が多く発生し、品質の良いフィルムが取得できなかった。
比較例8においては、光学機能層の樹脂の融点が低すぎるため、熱処理で光学機能層が溶けて粒子が埋没、脱落した。その結果、透明性に劣るものとなった。また、表面粗さ不足でハンドリング性不足による表面欠点が多く発生し、品質の良いフィルムが取得できなかった。
比較例9で得られた積層フィルムは、光学機能層の樹脂の融点が高すぎるため、ボイドが消失できなかった。その結果、ボイドで光が乱反射し、全光線透過率の良いフィルムが取得できなかった。
比較例11で得られた積層フィルムは、粒子の屈折率が高すぎるため、粒子での乱反射で全光線透過率が低くなり、品質の良いフィルムが取得できなかった。
[比較例10]
熱処理を200℃にて10秒で実施した以外は実施例1同様にして製膜し、積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの評価結果を表2に示す。
比較例10で得られた積層フィルムは、光学機能層の粒子周辺にボイドが多く存在するため全光線透過率が低く、品質の良いフィルムが取得できなかった。
Figure 2012143895
Figure 2012143895
なお、各粒子の屈折率は以下のとおりである。
架橋ポリスチレン:1.59
架橋アクリル:1.50
シリカ:1.45
ポリスチレン:1.59
酸化チタン:2.50
本発明の積層フィルムは、タッチパネルの透明電極を構成する部材、例えば透明電極の基材として、好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. 基材層と、少なくとも一方の表面を形成する光学機能層とを有する積層フィルムであって、基材層は、エチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリエステル(I)からなり、光学機能層は、ポリエステル(I)よりも融点Tmが5〜40℃低い、エチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリエステル(II)と、屈折率1.45〜1.65、平均粒径4〜12μmの粒子とからなり、光学機能層表面の中心線平均表面粗さRaが15〜300nmであり、全光線透過率が91.0%以上である積層フィルム。
  2. 光学機能層表面の十点平均粗さRzが400〜10000nmである請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 基材層の両面に光学機能層を有する請求項1または2に記載の積層フィルム。
  4. 基材層および光学機能層が共押出法によって得られる請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  5. 光学用途に用いられる請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層フィルム。
JP2011002072A 2011-01-07 2011-01-07 積層フィルム Withdrawn JP2012143895A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014046569A (ja) * 2012-08-31 2014-03-17 Teijin Dupont Films Japan Ltd 積層フィルム
JP2014133325A (ja) * 2013-01-09 2014-07-24 Mitsubishi Plastics Inc ポリエステルフィルム
JP2015196329A (ja) * 2014-04-01 2015-11-09 日本ゼオン株式会社 複層フィルム及びその製造方法、並びに位相差フィルム

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