JP5979739B2 - 炭化珪素単結晶の成長装置およびその方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液相成長(Solution growth)により炭化珪素単結晶を成長させるための装置およびその方法に関し、黒鉛(Graphite)ルツボに含有された炭素が主原料のシリコン液相中にスムーズに溶け込むようにして、炭化珪素単結晶を迅速に成長させるための装置および方法に関する。
現在、半導体の材料として最も広く用いられているシリコンより優れた特性を有する次世代半導体の材料として、炭化珪素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)および窒化アルミニウムなどの化合物半導体の材料について広く研究されている。その中でも特に炭化珪素は、機械的強度に優れるだけでなく、熱安定性および化学的安定性に優れており、熱伝導度が4W/cm以上と非常に高いだけでなく、動作限界温度が200℃以下のシリコンのそれと比較して650℃以下と非常に高い。また、結晶構造が3C炭化珪素、4H炭化珪素、6H炭化珪素の場合に、バンドギャップがすべて2.5eV以上と、シリコンの2倍以上であるため、高電力および低損失変換装置用半導体の材料として非常に優れており、近年、LEDのような光半導体および電力変換用半導体の材料として注目されている。
通常、炭化珪素単結晶を成長させるためには、例えば、炭素とシリカを2000℃以上の高温電気炉で反応させるアチソン(Acheson)法、および炭化珪素(SiC)を原料とし2000℃以上の高温で昇華させて単結晶を成長させる昇華法が用いられる。その他にも、ガス源を用いて化学的に蒸着させる方法が用いられている。
しかし、アチソン(Acheson)法では、高純度の炭化珪素単結晶を得るのが非常に困難であり、化学的気相蒸着法では、薄膜としてのみ厚さが制限された水準に成長させることができる。そのため、高温で炭化珪素を昇華させて結晶を成長させる昇華法に関する研究が集中的に行われてきた。しかし、昇華法もまた、通常2200℃以上の高温で行われており、微細欠陥(micropipe)および積層欠陥(stacking fault)のような多くの欠陥が生じる可能性が高く、生産コスト面で限界があるという問題を抱えている。
かかる昇華法の問題を解決するために、チョクラルスキー法(Czochralski method;結晶引上げ法(crystal pulling method))を応用した液相成長法が導入された。チョクラルスキー法は、融液から単結晶を育成する方法である。結晶の形状や性質は、引上げ速度(成長速度)、回転速度、温度勾配または結晶方位に応じて決まる。炭化珪素単結晶のための液相成長法は、通常、黒鉛ルツボの中にシリコンまたは炭化珪素粉末を装入した後、約1600℃から1900℃の高温に昇温して、ルツボの上部に位置する炭化珪素種結晶の表面から結晶が成長するようにする。しかし、このような方法では、結晶成長の速度が50μm/hr以下と非常に遅いため経済性に劣る。
日本特開2004−2173号公報では、シリコンの他に、チタン(Ti)あるいはマンガン(Mn)を所定の割合でシリコン(Si)とともに混合することで結晶の成長速度を高めている。
また、日本特開2006−143555号公報には、シリコンの他にも、鉄(Fe)とコバルト(Co)を所定の割合でシリコン(Si)とともに使用することで結晶の成長速度を高めることについて開示されている。かかる方法は、シリコン以外の金属を混合して共融点(Eutectic point)を形成してシリコン溶液内の炭素溶解度を高める効果を奏し、これにより炭化珪素単結晶の速度が上がった。しかし、炭素源として用いられる黒鉛ルツボの内部表面積のうち、金属溶融物と接触する面積が小さいという限界点が依然として存在する。
また、炭化珪素単結晶を成長させるための液相成長法の場合、結晶成長用の炭素は、通常、黒鉛(Graphite)ルツボ(crucible)を用いる。すなわち、黒鉛ルツボを構成している炭素原子が液相に分離されて、以降、溶液中に広がってからその一部が炭化珪素単結晶の成長点に移動して単結晶が成長する。しかし、炭素原子が供給されるルツボ周辺の炭素濃度と、炭素原子が炭化珪素に合成されて消滅する単結晶成長周辺の炭素濃度とに差が生じる。そのため、高温で稼働され、密閉された成長炉の中でルツボ内の溶液中の炭素濃度を均一にすることで、実際に単結晶成長周辺の炭素濃度を高める必要がある。このために、通常、チョクラルスキー法に用いられる方法のように、種結晶が固定されている種結晶固定棒を回転させるかおよび/またはルツボを回転させて溶液中の炭素濃度の均一度を高める。
本発明は、従来技術の限界点を改善するために導き出されたものであって、本発明の目的は、炭化珪素単結晶の成長をより迅速に行える炭化珪素成長装置およびその方法を提供することにある。
前記およびその他の目的を達成するために、本発明は、所定の圧力状態の反応室と、前記反応室の内部に設けられ、内部にシリコン(Si)または炭化珪素(SiC)粉末またはこれらの混合物が装入され、内側上部に炭化珪素が成長する炭化珪素種結晶および前記炭化珪素種結晶から延長して形成された種結晶連結棒を有する黒鉛材質のルツボと、前記ルツボを加熱するための発熱体と、を含み、前記ルツボの内部には、少なくとも一部または全部が前記ルツボの内周面に沿って形成された少なくとも一つ以上の黒鉛材質の突出段部が設けられている炭化珪素単結晶の成長装置を提供する。
本発明において、前記突出段部の一部または全部が、ルツボの内部に装入されるシリコン溶液の流れを妨げない構造に形状化されることが好ましく、特に、例えば、ドーナツ状の形状を有することが好ましい。
本発明において、前記炭化珪素種結晶は、前記種結晶連結棒により前記ルツボに対して回転自在に設けられることもできる。それだけでなく、このような炭化珪素種結晶は、種結晶連結棒により前記ルツボに対して上下に移動自在に設けられる。このような炭化珪素種結晶の回転および上下移動が可能な構造により、ルツボの内部の温度分布を容易に制御することができる。
本発明において、好ましくは、前記ルツボの下部に、前記ルツボを回転させるために設けられた回転支持体をさらに含むことができる。このような回転支持体により、反応室の内部に配置されたルツボそのものの回転が可能となり、これにより、ルツボの内部に充填されているシリコン(Si)と炭素がより迅速に接触する機会が与えられて、炭化珪素単結晶の成長速度が高まる。
本発明において、前記発熱体は、ルツボ周辺のいずれの位置に配置されてもよく、ルツボの内部に設けられている突出段部を介するよりスムーズな流れのために、ルツボの外周面に沿って配置されることが好ましい。このような発熱体としては、発熱特性または発熱作動を有するいかなる発熱体でも可能であるが、代表的に、例えば、抵抗式発熱体または誘導加熱式発熱体が用いられてもよい。前記発熱体によるルツボの内部における温度勾配を上下方向に5℃/cm以上にすることが好ましい。
本発明において、前記反応室の内部にはアルゴンまたはヘリウムガスのような不活性ガスが充填されており、反応室の内部の圧力が0.3〜50kgf/cmに維持される。このような圧力を維持するために、例えば、真空ポンプおよび雰囲気制御用ガスシリンダーが弁を介して連結されてもよい。本明細書を熟知した当業者であれば、反応室の内部を真空状態に維持できる様々な他の手段を認知しているであろう。
本発明のより好ましい具体例において、所定の方向に流体の流れを誘導するために前記ルツボの内部の底面に設けられた黒鉛材質の翼状補助具をさらに含むことができる。このような翼状補助具は、炭化珪素種結晶の回転に伴う流体の流れおよび/またはルツボの下部に設けられている回転支持体によるルツボの回転に伴う流体の流れを、一方向に選択的に配向させる機能を果たすことで、炭素などの物質が炭化珪素種結晶に、より迅速かつ頻繁に接触する機会を与えて、炭化珪素単結晶の形成速度を高める。
本発明によれば、炭化珪素種結晶周辺の炭素濃度が増加し、これにより炭化珪素単結晶の成長速度が高まる。
本発明の一つの好ましい具体例による炭化珪素単結晶の成長装置の要部を概略的に示す断面図である。 図1に示された黒鉛材質のルツボの内部の形状の一部を示す部分切開斜視図である。 本発明のより好ましい具体例による炭化珪素単結晶の成長装置の要部を概略的に示す断面図である。 図3に示された翼状補助具が設けられている黒鉛材質のルツボの内部の形状の一部を概略的に示す部分切開斜視図である。
以下、本発明を添付の図を参照してより詳細に説明する。ただし、本発明を説明するに際し、すでに公知となった機能あるいは構成に関する説明は、本発明の要旨を明瞭にするために省略する。
図1には本発明の一つの好ましい具体例による炭化珪素単結晶の成長装置の要部が概略的に示されており、図2には黒鉛材質のルツボの内部の形状の一部が部分切開されて概略的に示されている。
図1および図2を参照すると、本発明の一つの好ましい具体例による炭化珪素単結晶の成長装置1は、反応室10と、前記反応室10の内部に設けられているルツボ30と、ルツボ30を加熱するための発熱体50と、を含む。ルツボ30の内部には、図1および図2に示されたように、少なくとも一部または全部がルツボ30の内周面に沿って形成された少なくとも一つ以上の黒鉛材質の突出段部38が設けられる。
反応室10を真空状態に維持した後、アルゴンまたはヘリウムのような不活性ガスが反応室10に充填され、圧力が0.3〜50kgf/cmの水準に調節される。このような雰囲気を維持するために、図には示されていないが、反応室10には、真空ポンプおよび雰囲気制御用ガスシリンダーが、弁を介して連結される。本明細書を熟知した当業者であれば、反応室の雰囲気を維持するための様々な他の手段を認知しているであろう。
ルツボ30は、上述したように、反応室10の内部に設けられ、ルツボ30の内部には、シリコン(Si)または炭化珪素(SiC)粉末またはこれらの混合物が装入される。ルツボ30は黒鉛材質からなり、ルツボ30そのものが炭素の供給源として活用されてもよい。
ルツボ30の内側上部には、図1に示されたように、種結晶連結棒34により炭化珪素が成長する炭化珪素種結晶32が設けられる。種結晶連結棒34は、必要に応じて、ルツボ30の上端部に対して回転自在に設けられる。さらに、種結晶連結棒34は、ルツボ30の上端部に対して上下に移動自在に設けられる。これにより、炭化珪素種結晶32もまた回転自在に設けられ、また、単結晶の成長に伴い、必要なときに上下に移動するように設けられる。このような構成は、図には示されていないが、本明細書を熟知した当業者にとっては自明な事項であろう。
ルツボ30の外周面側には、図1に示されたように、発熱体50が設けられる。このような発熱体50としては、発熱特性を有するものであればいかなるものを用いてもよく、本発明では、抵抗式発熱体または誘導加熱式発熱体が好ましく用いられる。
ルツボ30の内部には、少なくとも一部または全部がルツボ30の内周面に沿って形成された少なくとも一つ以上の黒鉛材質の突出段部38が設けられる。かかる黒鉛材質の突出段部38には、ルツボ30の内部に充填されているシリコン含有液とのより多い接触機会を与えるために多数の突起または気孔を形成してもよい。このような突起構造および気孔構造もまた本発明の構成に含まれる。このような突出段部38により、シリコンを含有した溶液中に、より多い炭素が溶解されて単結晶が成長する周辺の炭素濃度を高めることで、炭化珪素単結晶の成長速度を高める。
かかる突出段部38は、そのものが炭素供給源となるとともに発熱体50によるルツボ30の加熱、必要に応じて、炭化珪素種結晶32の回転および/または後述の回転支持体40の回転によって発生したシリコンおよび添加物の誘導接触または強制接触による接触面の増加により炭素供給源の量が増加し、炭素供給源の供給量および速度がより高まる。この際、ルツボ30の内表面とともに突出段部38からの炭素溶解量が増加し、螺旋状の流れによって炭化珪素種結晶32の結晶成長部位周辺の炭素濃度をより高めるようになり、結果、炭化珪素単結晶の成長速度を高める結果をもたらす。
また、ルツボ30の下部には回転支持体40が設けられている。このような回転支持体40は、必要なときに回転作動してルツボ30を所定の速度で回転させる。このような回転によってもルツボ30からの炭素とルツボ30の内部に形成されている突出段部38からの炭素がシリコン含有溶液に迅速に溶解され、そのような回転によって炭化珪素種結晶32周辺の炭素濃度が増加するようになり、炭化珪素単結晶の成長速度がより高まる。
図3には本発明のより好ましい具体例による炭化珪素単結晶の成長装置の要部が概略的に示されており、図4には黒鉛材質の翼状補助具を介して誘導された流体の流れとともにルツボの内部の形状が概略的に示されている。
図3および図4を参照すると、本発明のより好ましい具体例による炭化珪素単結晶の成長装置は、上述した具体例に加えて、ルツボ30の底部に設けられた黒鉛材質の翼状補助具90をさらに含む。
本発明では、本発明の一部の構成に属する黒鉛材質の翼状補助具90が、上述した突出段部38とともに設けられているが、本明細書を十分熟知した当業者であれば、ルツボの内周面に沿って形成された突出段部38なしに黒鉛材質の翼状補助具90が単独で設けられてもよいことを認知するであろう。
また、図3および図4を参照すると、本発明の一部の構成に属する黒鉛材質の翼状補助具90は、ルツボ30の底部に所定の配向の流体の流れを誘導するために設けられる。翼状補助具90は単独で設けられてもよく、上述した突出段部38とともに設けられてもよい。翼状補助具90が上述した突出段部38とともに設けられる場合、突出段部38と並んでともに設けられるか、最下端に設けられた突出段部38と所定の距離だけ離隔した状態で別に設けられてもよい。
翼状補助具90は、特に図4に示されたように、一方向に流体が流れるように構成される。また、翼状補助具90は、黒鉛材質からなるため、そのものが炭素供給源として用いられる。かかる一方向の流れを誘導できる翼状補助具90は、発熱体50による加熱、炭化珪素種結晶32および/または回転支持体40による回転流れが発生する場合、その流れをより増加させて炭化珪素種結晶32周辺の炭素濃度を高める。炭化珪素種結晶32および/または回転支持体40による回転流れがない場合にも発熱体40によるルツボ30の加熱によって発生した流体の流れを一方向に誘導することにより、炭化珪素種結晶32周辺の炭素濃度を高めて最終的には炭化珪素単結晶が成長する周辺での炭素濃度を高めることができる。本発明では、翼状補助具90として二つの翼の構造のみが示されているが、翼の数および形状は、図3および図4に示された数と構造に限定されない。
以上、本発明の好ましい具体例を参照して説明しているが、当該技術分野において熟練された当業者であれば、下記の特許請求の範囲に記載の本発明の思想および領域から外れない範囲内で本発明を多様に修正および変更できることを理解することができる。
10 反応室
30 (黒鉛材質の)ルツボ
32 炭化珪素種結晶
34 種結晶連結棒
38 突出段部
50 発熱体
90 翼状補助具

Claims (10)

  1. 所定の圧力状態の反応室と、
    前記反応室の内部に設けられ、内部にシリコン(Si)または炭化珪素(SiC)粉末またはこれらの混合物が装入され、内側上部に炭化珪素が成長する炭化珪素種結晶および前記炭化珪素種結晶から延長して形成された種結晶連結棒を有する黒鉛材質のルツボと、
    前記ルツボを加熱するための発熱体と、を含み、
    前記ルツボの内部には、前記ルツボの内周面に沿って黒鉛材質の突出段部が、前記ルツボの上下方向に複数個設けられており、前記突出段部の少なくとも1つ以上が、前記SiまたはSiC粉末またはこれらの混合物である融液の液面よりも下側に設けられていることを特徴とする炭化珪素単結晶の成長装置。
  2. 前記突出段部の各々が、多数の突起または気孔を有する、請求項1に記載の炭化珪素単結晶の成長装置。
  3. 所定の方向に流体の流れを誘導するために前記突出段部の下部に設けられた黒鉛材質の翼状補助具をさらに含む、請求項1または2に記載の炭化珪素単結晶の成長装置。
  4. 前記突出段部の少なくとも一部がドーナツ状の形状を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の炭化珪素単結晶の成長装置。
  5. 前記炭化珪素種結晶が、前記種結晶連結棒により前記ルツボに対して回転自在に設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の炭化珪素単結晶の成長装置。
  6. 前記ルツボの下部に配置されて、前記ルツボを回転させるために設けられた回転支持体をさらに含む、請求項1または2に記載の炭化珪素単結晶の成長装置。
  7. 前記発熱体が、前記ルツボの外周面に配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の炭化珪素単結晶の成長装置。
  8. 前記発熱体が、抵抗式発熱体または誘導加熱式発熱体であることを特徴とする、請求項に記載の炭化珪素単結晶の成長装置。
  9. 前記発熱体によるルツボの内部における温度勾配が、上下方向に5℃/cm以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の炭化珪素単結晶の成長装置。
  10. 前記反応室の内部にアルゴンまたはヘリウムガスが充填されており、前記反応室の内部の真空度が0.3〜50kgf/cmであるとを特徴とする、請求項1または2に記載の炭化珪素単結晶の成長装置。
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