JP5978932B2 - 誘導性負荷制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、誘導性負荷に流れる電流を制御する装置に関する。
リニアソレノイド等の誘導性負荷に流れる電流をフィードバック制御する従来の装置が、例えば特許文献1に記載されている。
特許文献1に記載されている従来の装置では、リニアソレノイドに電流を流すための通電経路において、リニアソレノイドに対し直列に、PWM(パルス幅変調)信号で駆動される電流制御用のスイッチング素子を設けている。そして、上記通電経路に設けた電流検出抵抗により、リニアソレノイドに流れる電流に応じた電圧の電流検出信号を発生させ、その電流検出信号を、リニアソレノイドの電流波形をトレースするような短い一定時間毎に、A/D変換器によりA/D変換(アナログ/デジタル変換)している。そして更に、CPUが、PWM信号1周期分のA/D変換器によるA/D変換値を平均化することにより、リニアソレノイドに流れる電流を検出し、その電流の検出値が目標値となるように、スイッチング素子の駆動信号であるPWM信号のデューティ比を制御している。
特開2000−114038号公報
上記従来の装置では、PWM信号のレベル変化タイミングとは無関係の一定時間毎に、電流検出信号をA/D変換しており、リニアソレノイドに流れる電流を精度良く検出するためには、A/D変換間隔をPWM信号の周期よりも十分に短くする必要がある。このため、リニアソレノイドの電流波形をトレースするような短い間隔で、電流検出信号をA/D変換している。
しかし、CPUは、A/D変換器による電流検出信号のA/D変換が完了する毎に、その回のA/D変換器によるA/D変換値を読み取ってRAMに保存する処理などを行わなければならない。よって、リニアソレノイドを制御するための処理負荷が大きくなってしまう。
また一般に、CPUは、A/D変換器によるA/D変換が完了すると発生するA/D変換完了割り込みの処理により、A/D変換器によるA/D変換値を読み取ってRAMに保存することとなる。そして、A/D変換完了割り込みの処理の開始が、他の優先度が高い割り込みの処理によって遅れて、A/D変換値のRAMへの保存をし損ねると、電流の検出精度(延いては電流の制御精度)が低下するため、A/D変換完了割り込みの優先度は、制御精度面の必要性に応じて高く設定する必要がある。しかし、従来の装置では、A/D変換完了割り込みの発生間隔が短くなるため、A/D変換完了割り込みの優先度を高く設定すると、逆に他の処理を所望のタイミングで実行することができなくなってしまう。
そこで本発明は、誘導性負荷制御装置において、誘導性負荷の電流制御精度を確保しつつ、制御のための処理負荷を低減することを目的としている。
本発明の誘導性負荷制御装置は、誘導性負荷に電流を流すための通電経路において誘導性負荷に対し直列に接続され、誘導性負荷に流れる電流を制御するためにPWM信号で駆動されるスイッチング手段と、誘導性負荷に流れる電流に応じた電圧信号を出力する電流検出手段と、その電流検出手段からの電圧信号をA/D変換するA/D変換手段と、A/D変換手段を起動して、該A/D変換手段による電圧信号のA/D変換値(A/D変換されたデータ)をメモリに記憶する電流値取得手段と、メモリに記憶されたA/D変換値に基づいて、スイッチング手段を駆動するためのPWM信号のデューティ比を制御する制御手段と、を備えている。
そして、電流値取得手段は、第1手段と第2手段とからなる。
第1手段は、誘導性負荷に流れる電流がPWM信号の1周期中において極小値になるときにA/D変換手段が動作するように、該A/D変換手段を起動して、該A/D変換手段による電圧信号のA/D変換値を、電流極小時のA/D変換値としてメモリに記憶する。
また、第2手段は、誘導性負荷に流れる電流がPWM信号の1周期中において極大値になるときにA/D変換手段が動作するように、該A/D変換手段を起動して、該A/D変換手段による電圧信号のA/D変換値を、電流極大時のA/D変換値としてメモリに記憶する。
そして、制御手段は、メモリに記憶された電流極小時のA/D変換値と電流極大時のA/D変換値とに基づいて誘導性負荷に流れる電流を検出し、その検出電流値が目標値となるようにPWM信号のデューティ比を制御する。
つまり、この誘導性負荷制御装置では、PWM信号の1周期において、誘導性負荷に流れる電流(以下、負荷電流ともいう)が極小値と極大値との各々になるときに、A/D変換手段が動作するように、該A/D変換手段を起動し、負荷電流が極小値のときのA/D変換値(電流極小時のA/D変換値)と、負荷電流が極大値のときのA/D変換値(電流極大時のA/D変換値)とに基づいて、PWM信号のデューティ比を決めるための負荷電流を検出している。
そして、この誘導性負荷制御装置によれば、A/D変換手段を起動してA/D変換値をメモリに記憶する電流値取得手段としての処理は、PWM信号の1周期あたりに2回で済むため、誘導性負荷を制御するための処理負荷を低減することができる。
また、その2回のA/D変換によるA/D変換値(電流極小時のA/D変換値と電流極大時のA/D変換値)から、負荷電流を精度良く検出することができるため、誘導性負荷の電流制御精度も確保することができる。
また例えば、電流値取得手段としての処理を、マイコン(マイクロコンピュータ)による割り込み処理で実現する場合に、その割り込み処理の優先度を他の特定の割り込み処理より高くしたとしても、電流値取得手段としての処理の実行頻度はPWM信号1周期あたりに2回というように少ないため、他の特定の割り込み処理に対する影響を抑えることができる。このため、誘導性負荷の制御を行うことによって他の処理が行えなくなってしまうことを、抑制することができる。
一方、一構成例として、電流値取得手段のうちの第1手段は、PWM信号がスイッチング手段をオフさせる方の非アクティブレベルからスイッチング手段をオンさせる方のアクティブレベルへ変化するオン切り替わりタイミングよりも所定時間前のタイミングであるオン直前タイミング毎に、A/D変換手段を起動することにより、そのオン直前タイミングからオン切り替わりタイミングまでの間にA/D変換手段を動作させ、該A/D変換手段による電圧信号のA/D変換値を、電流極小時のA/D変換値としてメモリに記憶するように構成することができる。
同様に、一構成例として、電流値取得手段のうちの第2手段は、PWM信号がアクティブレベルから非アクティブレベルへ変化するオフ切り替わりタイミングよりも所定時間前のタイミングであるオフ直前タイミング毎に、A/D変換手段を起動することにより、そのオフ直前タイミングからオフ切り替わりタイミングまでの間にA/D変換手段を動作させ、該A/D変換手段による電圧信号のA/D変換値を、電流極大時のA/D変換値としてメモリに記憶するように構成することができる。
そして、このような一構成例によれば、上記所定時間を適宜設定するだけで、負荷電流がPWM信号の1周期中において極小値になるときにA/D変換手段を動作させることと、負荷電流がPWM信号の1周期中において極大値になるときにA/D変換手段を動作させることとを、確実に実施することができる。
実施形態の電子制御装置(ECU)の構成を表す構成図である。 初期化処理を表すフローチャートである。 タイマ割り込み処理を表すフローチャートである。 FB演算処理を表すフローチャートである。 実施形態の電子制御装置の作用を表すタイムチャートである。
以下に、本発明が適用された実施形態の、誘導性負荷制御装置としての電子制御装置について説明する。
尚、本実施形態の電子制御装置(以下、ECUという)は、例えば、自動車のエンジンと変速機を制御するものであり、変速機の制御として、変速機の変速状態を切り替えるリニアソレノイドの制御を行う。そして、ここでは、主にリニアソレノイドの制御に関する部分について説明する。
図1に示すように、本実施形態のECU1は、自動車のエンジンと変速機を制御するための処理を行うマイコン5を備えている。
そして、マイコン5は、CPU7と、CPU7が実行するプログラムや固定の制御データ等が記憶されたROM9と、CPU7による演算結果や演算対象データ等が記憶されるRAM11と、割り込みコントローラ12と、A/D変換器(ADC)13と、A/D変換器13がA/D変換を完了する毎に、そのA/D変換器13によるA/D変換値がソフトウェアを介さずに格納されると共に、CPU7からアクセス可能なレジスタ(A/D変換値用のレジスタ)15と、変速機の変速状態を切り替えるリニアソレノイド3をデューティ制御するための、PWM信号を生成して当該マイコン5の外部へ出力するPWM信号出力回路17と、PWM信号出力回路17がPWM信号を生成するのに用いるPWMデータが、CPU7によって書き込まれるレジスタ(PWMデータ用のレジスタ)19と、を備えている。
A/D変換器13は、複数の入力チャンネルを有しており、その入力チャンネル毎に、当該A/D変換器13の起動モードがCPU7によって設定可能となっている。その起動モードとしては、例えば、CPU7からの起動指令によってその都度起動する第1モードと、CPU7によって設定された一定時間毎に自動的に起動する第2モードとがある。そして、レジスタ15も、A/D変換器13の入力チャンネル毎にそれぞれ設けられている。
また、CPU7がレジスタ19に書き込むPWMデータは、PWM信号の1周期時間を表す周期データと、PWM信号のデューティ比を表すデューティ比データとからなる。そして、デューティ比データは、PWM信号の1周期において該PWM信号をアクティブレベル(即ち、後述するスイッチング手段をオンして電源電圧からリニアソレノイド3に通電する方のレベルであり、本実施形態では例えばハイレベル)にする時間も間接的に示す。つまり、デューティ比データが示すデューティ比を、周期データが示す周期に乗じた値が、PWM信号のハイレベル時間(以下、オン時間という)になる。また、周期データが示す周期から、そのオン時間を引いた時間が、PWM信号のローレベル時間(以下、オフ時間という)になる。
そして、PWM信号出力回路17は、レジスタ19に書き込まれたPWMデータが示す周期及びデューティ比のPWM信号を生成して当該マイコン5の外部へ出力する。具体的には、PWM信号出力回路17は、出力するPWM信号の周期を、周期データが示す周期に設定すると共に、そのPWM信号の1周期中において、該1周期の開始時からデューティ比データが示すオン時間は、PWM信号の出力レベルをアクティブレベル(ハイレベル)にし、残りのオフ時間は、PWM信号の出力レベルを非アクティブレベル(ローレベル)にする。
また、ECU1は、電源電圧(本実施形態では、自動車のバッテリ電圧)VBからリニアソレノイド3に電流を流すための通電経路を断続させるスイッチング手段として、例えばPチャンネル形のMOSFET(以下単にFETという)21を備えている。FET21は、上記通電経路において、リニアソレノイド3に対し直列に且つリニアソレノイド3よりも上流側に、所謂ハイサイドスイッチとして設けられている。
そして、ECU1は、FET21をオン/オフさせる(駆動する)ためのトランジスタとして、コレクタがFET21のゲートに接続され、エミッタがグランドラインに接続されたNPNトランジスタ23を備えている。そのNPNトランジスタ23のベースには、PWM信号出力回路17によってマイコン5から出力されるPWM信号が、駆動信号として入力される。
更に、ECU1は、FET21のリニアソレノイド3側の端子(この例ではドレイン)にカソードが接続され、アノードがグランドラインに接続された電流環流用のダイオード25と、リニアソレノイド3の下流側とグラインドラインとの間に接続された電流検出用の抵抗27と、抵抗27の両端の電圧差を増幅して出力する増幅回路29と、を備えている。
このようなハードウェア構成を有したECU1では、マイコン5からのPWM信号がハイレベルであるときに、NPNトランジスタ23がオンして、FET21がオンすることにより、電源電圧VBからリニアソレノイド3への通電経路が導通して、リニアソレノイド3に電流が流れる。また、PWM信号がハイレベルからローレベルに切り替わると、NPNトランジスタ23がオフして、FET21がオフすることにより、電源電圧VBからリニアソレノイド3への通電経路が遮断される。すると、リニアソレノイド3には、該リニアソレノイド3に蓄積されたフライバックエネルギー(逆起電力)により、グランドライン側からダイオード25を経由して電流が流れる。
このため、リニアソレノイド3に流れる電流(以下、ソレノイド電流という)は、図5に示すように、PWM信号がハイレベルになると増加し、PWM信号がローレベルになると減少する。よって、ソレノイド電流は、PWM信号のローレベルからハイレベルへの変化タイミング(以下、オン切り替わりタイミングという)において、極小値となり、PWM信号のハイレベルからローレベルへの変化タイミング(以下、オフ切り替わりタイミングという)において、極大値となる。そして、PWM信号のデューティ比が大きいほど、ソレノイド電流の平均値は大きくなる。尚、FET21は、PWM信号によってオン/オフするため、PWM信号は、NPNトランジスタ23の駆動信号であると共に、FET21の駆動信号でもある。
また、PWM信号がハイレベルとローレベルとの何れの場合でも、ソレノイド電流は、抵抗27にも流れるため、その抵抗27の両端には、ソレノイド電流に比例した電圧(=ソレノイド電流×抵抗27の抵抗値)が生じる。
このため、増幅回路29からは、ソレノイド電流に比例した電圧信号が、ソレノイド電流を表す電流検出信号として出力される。そして、ECU1では、その増幅回路39から出力される電流検出信号が、マイコン5に入力されて、A/D変換器13によりA/D変換される。
また、マイコン5には、エンジンと変速機の制御に用いられる情報を表す他の複数の信号も入力され、それらの信号のうち、アナログ信号は、電流検出信号と同様に、A/D変換器13によりA/D変換される。
尚、電流検出信号と他のアナログ信号は、A/D変換器13の異なる入力チャンネルにそれぞれ入力される。そして、A/D変換器13は、電流検出信号については前述の第1モードで起動されてA/D変換し、他のアナログ信号については、第1モード又は第2モードで起動されてA/D変換する。
このようなECU1において、マイコン5は、ソレノイド電流を目標値となるようにフィードバック制御する。具体的には、マイコン5は、FET21をオン/オフさせるPWM信号の1周期あたりに2回、タイマ割り込みを発生させ、そのタイマ割り込みの処理により、A/D変換器13に増幅回路29からの電流検出信号をA/D変換させる。そして、マイコン5は、その電流検出信号のA/D変換値に基づいて、実際のソレノイド電流が目標値となるように、PWM信号のデューティ比を制御する。
そこで次に、マイコン5がリニアソレノイド3を制御するために行う処理について、フローチャートを用い説明する。尚、マイコン5が行う処理は、実際には、CPU7がROM9内のプログラムを実行することで行う処理である。
まず、マイコン5は、ECU1に電源電圧が供給されて起動すると、図2の初期化処理を行う。
そして、図2に示すように、マイコン5は、初期化処理を開始すると、まずS110にて、タイマ割り込みの、初回の発生タイミングを設定する。
具体的に説明すると、マイコン5において、割り込みコントローラ12は、当該マイコン5における所定周波数の内部クロックでカウントアップされる割り込み発生用タイマ31と、書き込まれた値が割り込み発生用タイマ31の値と比較されるコンペアレジスタ(図示省略)とを備えている。そして、割り込みコントローラ12は、割り込み発生用タイマ31の値がコンペアレジスタの値と一致すると、当該マイコン5内でタイマ割り込みを発生させる。具体的なアクションとしては、タイマ割り込みの要求信号を出力する。すると、CPU7は、そのタイマ割り込みに対してROM9に用意されたプログラムの処理であるタイマ割り込みの処理(以下、タイマ割り込み処理ともいう)を実行する。また、本実施形態において、割り込みコントローラ12は、タイマ割り込みを発生させると、割り込み発生用タイマ31を自動的にリセットスタートさせる(図5の時刻t1,t3,t5参照)。
このため、マイコン5は、S110にて、上記コンペアレジスタに、タイマ割り込みを発生させるタイミングに該当する値(詳しくは、現在からタイマ割り込みを発生させるタイミングまでの時間を、上記内部クロックの周期で割った値)を書き込むと共に、割り込み発生用タイマ31をリセットスタートさせる。また、このS110では、図5における時刻t1であって、当該マイコン5が起動してからPWM信号が最初にハイレベルになる時刻t2よりも微小な所定時間Tb(本実施形態では、例えば100μs)だけ前の時刻に、タイマ割り込みを発生させる値を、上記コンペアレジスタに書き込む。
そして、マイコン5は、次のS120にて、後述する図3のタイマ割り込み処理で参照される処理識別フラグを“0”に設定する。その処理識別フラグは、タイマ割り込み処理において、今回の処理が、PWM信号のオン切り替わりタイミング直前に実行されるオン直前処理と、PWM信号のオフ切り替わりタイミング直前に実行されるオフ直前処理との、何れであるかを識別するためのフラグである。
次に、マイコン5は、S130にて、A/D変換機能の初期設定を行う。具体的には、A/D変換器13の各入力チャンネルについて、起動モードを設定すると共に、起動モードを前述の第2モードに設定した入力チャンネルについては、A/D変換器13を自動的に起動する時間間隔も設定する。そして、電流検出信号の入力チャンネルについては第1モードに設定し、後述するタイマ割り込み処理により、A/D変換器13を起動して、その電流検出信号のA/D変換が実施されるようにする。
尚、以下の説明において、「A/D変換器13を起動する」ということは、電流検出信号の入力チャンネルについてA/D変換器13を起動するということであり、複数のアナログ信号のうちの電流検出信号をA/D変換させるためにA/D変換器13を起動するということである。更に、以下の説明におけるレジスタ15は、電流検出信号の入力チャンネルに対応するレジスタ15であって、電流検出信号のA/D変換値が格納されるレジスタ15のことである。
次に、マイコン5は、S140にて、PWM出力機能の初期設定を行う。具体的には、PWMデータの初期値(即ち、PWM信号の周期とデューティ比との初期値)をレジスタ19に書き込むと共に、PWM信号出力回路17の動作を開始させる。
尚、PWMデータのうち、デューティ比データの初期値としては、0を書き込む。また、周期データの初期値としては、例えば300ヘルツに相当する3.33msに該当する値を書き込む。また、本実施形態において、PWM信号の周期(1周期時間)は、このS140で設定される初期値から変更されることはないが、マイコン5の動作中にPWM信号の周期を変更することも可能である。
そして、マイコン5は、上記S140の処理を行った後、当該初期化処理を終了し、その後は、割り込みコントローラ12によってタイマ割り込みが発生される毎に、図3のタイマ割り込み処理を行う。
図3に示すように、マイコン5は、タイマ割り込み処理を開始すると、まずS210にて、処理識別フラグが“1”であるか否かを判定し、処理識別フラグが“1”でなければ(即ち“0”であれば)、今回の当該タイマ割り込み処理が、PWM信号のオン切り替わりタイミング直前に実行されるオン直前処理であると判断して、S220に進む。
そして、S220にて、A/D変換器13を起動して該A/D変換器13に電流検出信号をA/D変換させる。
次に、マイコン5は、S230にて、レジスタ19内のPWMデータを更新する。
具体的には、マイコン5は、図5において☆印で示しているように、PWM信号のデューティ比を算出するFB演算処理(FBはフィードバックの略)を、一定時間毎に行うようになっている。尚、FB演算処理については後で図4を用い説明する。そして、マイコン5は、S230では、レジスタ19内のPWMデータのうち、デューティ比データを、FB演算処理で算出した最新のデューティ比を表すデータに書き換える。
次に、マイコン5は、S240にて、レジスタ19にPWMデータのかたちで現在設定しているPWM信号の周期及びデューティ比に基づいて、PWM信号の次回のオフ切り替わりタイミングよりも前述の所定時間Tbだけ前のタイミングを算出し、そのタイミングを、次回のタイマ割り込みの発生タイミングとして設定する。
具体的には、本実施形態において、オン直前処理としてのタイマ割り込み処理を起床するタイマ割り込みは、PWM信号のオン切り替わりタイミングよりも所定時間Tbだけ前のタイミングで発生されるようになっている。このため、S240では、S230で設定した最新の周期及びデューティ比から、PWM信号のオン時間(ハイレベル時間)を、目的のタイミングとして算出する。今回のタイマ割り込みの発生時からそのオン時間が経過したタイミングが、PWM信号の次回のオフ切り替わりタイミングよりも所定時間Tbだけ前のタイミングになるからである。そして更に、S240では、算出したオン時間に相当する値(詳しくは、オン時間を上記内部クロックの周期で割った値)を、前述のコンペアレジスタに書き込む。すると、その後、PWM信号の次回のオフ切り替わりタイミングよりも所定時間Tbだけ前のタイミングになると、次回のタイマ割り込みが発生し、その時に実行される当該タイマ割り込み処理はオフ直前処理となる。
そして、マイコン5は、次のS250にて、処理識別フラグを“1”に設定する。次回の当該タイマ割り込み処理にて、オフ直前処理であることを判別するためである。
次に、S260にて、レジスタ15から電流検出信号のA/D変換値を読み出して、そのA/D変換値を、電流極小時のA/D変換値としてRAM11に記憶する。そして、その後、当該タイマ割り込み処理を終了する。
尚、S260の処理が行われる時点において、上記S220で起動されたA/D変換器13は電流検出信号のA/D変換を完了しており、レジスタ15には今回のA/D変換による電流検出信号のA/D変換値が格納されている。また、S260の処理は、電流検出信号のA/D変換が完了してからであれば、S220以降のどのタイミングで実施しても良い。また、電流極小時のA/D変換値とは、ソレノイド電流がPWM信号の1周期中において極小値になったときの、電流検出信号のA/D変換値を意味する。
一方、マイコン5は、上記S210にて、処理識別フラグが“1”であると判定した場合には、今回の当該タイマ割り込み処理が、PWM信号のオフ切り替わりタイミング直前に実行されるオフ直前処理であると判断して、S320に進む。
そして、S320にて、S220と同様に、A/D変換器13を起動して該A/D変換器13に電流検出信号をA/D変換させる。
次に、マイコン5は、S340にて、レジスタ19にPWMデータのかたちで現在設定しているPWM信号の周期及びデューティ比に基づいて、PWM信号の次回のオン切り替わりタイミングよりも前述の所定時間Tbだけ前のタイミングを算出し、そのタイミングを、次回のタイマ割り込みの発生タイミングとして設定する。
具体的には、本実施形態において、オフ直前処理としてのタイマ割り込み処理を起床するタイマ割り込みは、PWM信号のオフ切り替わりタイミングよりも所定時間Tbだけ前のタイミングで発生されるようになっている。このため、S340では、現在設定しているPWM信号の周期及びデューティ比から、PWM信号のオフ時間(ローレベル時間)を、目的のタイミングとして算出する。今回のタイマ割り込みの発生時からそのオフ時間が経過したタイミングが、PWM信号の次回のオン切り替わりタイミングよりも所定時間Tbだけ前のタイミングになるからである。そして更に、S340では、算出したオフ時間に相当する値(詳しくは、オフ時間を上記内部クロックの周期で割った値)を、前述のコンペアレジスタに書き込む。すると、その後、PWM信号の次回のオン切り替わりタイミングよりも所定時間Tbだけ前のタイミングになると、次回のタイマ割り込みが発生し、その時に実行される当該タイマ割り込み処理はオン直前処理となる。
そして、マイコン5は、次のS350にて、処理識別フラグを“0”に設定する。次回の当該タイマ割り込み処理にて、オン直前処理であることを判別するためである。
次に、S360にて、レジスタ15から電流検出信号のA/D変換値を読み出して、そのA/D変換値を、電流極大時のA/D変換値としてRAM11に記憶する。そして、その後、当該タイマ割り込み処理を終了する。
尚、S360の処理が行われる時点において、上記S320で起動されたA/D変換器13は電流検出信号のA/D変換を完了しており、レジスタ15には今回のA/D変換による電流検出信号のA/D変換値が格納されている。また、S360の処理は、電流検出信号のA/D変換が完了してからであれば、S320以降のどのタイミングで実施しても良い。また、電流極大時のA/D変換値とは、ソレノイド電流がPWM信号の1周期中において極大値になったときの、電流検出信号のA/D変換値を意味する。
一方、割り込み発生用タイマ31の値がコンペアレジスタの値と一致してタイマ割り込みが発生したときから、タイマ割り込み処理における上記S220又はS320でA/D変換器13が起動されて該A/D変換器13が電流検出信号をA/D変換するまでの遅れ時間を、TDとすると、上記所定時間Tbは、TDの設計上の最大値以上に設定されている。このため、電流検出信号のA/D変換は、PWM信号のレベル変化タイミング(オン切り替わりタイミング及びオフ切り替わりタイミング)か、あるいはそのレベル変化タイミングの直前で行われることとなる。
また、図5における時刻t3から時刻t4までの間と、図5における時刻t5から時刻t6までの間に例示しているように、PWM信号のレベル変化タイミングの直前において、ソレノイド電流は、既にPWM信号のレベル変化タイミングでの値と同じと見なすことができる値に達する。このため更に、上記所定時間Tbは、TDが設計上の最小値になっても、ソレノイド電流がPWM信号のレベル変化タイミングでの値(即ち、極小値又は極大値)と設計上同一と見なすことができる値(例えば95%以上近づいた値)になっているときに、A/D変換器13が電流検出信号をA/D変換することとなる時間に設定されている。
所定時間Tbが上記のように設定されているため、タイマ割り込み処理により起動されるA/D変換器13は、ソレノイド電流がPWM信号の1周期中において極小値又は極大値になるときに動作して、電流検出信号をA/D変換することとなる。
また、マイコン5は、図4のFB演算処理を、一定時間毎に行う。尚、本実施形態では、FB演算処理は、図5において☆印で示しているように、例えばPWM信号の周期と同じ一定時間毎に実行されると共に、当該マイコン5が起動してからタイマ割り込み処理が最初に実行される前に、1回目が実行されるようになっている。
そして、図4に示すように、マイコン5は、FB演算処理を開始すると、まずS410にて、RAM11に記憶されている最新の、電流極小時のA/D変換値と電流極大時のA/D変換値とを、RAM11から読み込む。尚、電流極小時のA/D変換値と、電流極大時のA/D変換値は、タイマ割り込み処理のS260又はS360でRAM11に記憶されたA/D変換値である。
そして、マイコン5は、次のS420にて、S410で読み込んだ電流極小時のA/D変換値と電流極大時のA/D変換値とに基づいて、ソレノイド電流を検出し、その検出電流値を目標値にするためのFB演算により、PWM信号のデューティ比を算出する。
具体的には、例えば、電流極小時のA/D変換値と電流極大時のA/D変換値とを加算して2で割った値(つまり、両A/D変換値の平均値)を、電流検出値として算出し、FB演算では、目標値から電流検出値を引いた偏差に応じて、偏差が正であればデューティ比を大きくし、偏差が負であればデューティ比を小さくする。
また、マイコン5が起動してから当該FB演算処理が1回目に実行された場合(図5における☆印のうち、左側の☆印のタイミングで当該FB演算処理が実行された場合)には、電流極小時のA/D変換値と電流極大時のA/D変換値との両方がRAM11に未だ記憶されていないため、S420では、デューティ比の算出値を、予め定められた通電開始用のデューティ比(例えば50%)にする。
尚、ソレノイド電流の目標値は、変速機の変速状態を決定する別の演算処理により、例えば一定時間毎に算出されている。また、S420で算出されるデューティ比は、当該FB演算処理の後に実行されるオン直前処理としてのタイマ割り込み処理におけるS230にて、レジスタ19にデューティ比データとして書き込まれ、その書き込み直後のPWM信号1周期におけるデューティ比として反映される。
そして、マイコン5は、上記S420の処理を行った後、当該FB演算処理を終了する。
次に、マイコン5が図2〜図4の処理を行うことによるECU1の作用について、図5を用い説明する。
図5に示すように、マイコン5は、初期化処理にて、PWM信号のデューティ比を初期値としての0に設定するため(S140)、PWM信号は、マイコン5が初期化処理を行ってからの最初の1周期目はローのままとなる。
そして、マイコン5が初期化処理を終了してからPWM信号の1周期時間よりも所定時間Tbだけ短い時間が経過した時刻t1になると、タイマ割り込みが発生して、マイコン5はタイマ割り込み処理を実行する。尚、この時刻t1でのタイマ割り込みは、初期化処理におけるS110でのタイミング設定によって発生される。また、マイコン5は、時刻t1より前に、FB演算処理を少なくとも1回は実行している。
マイコン5は、時刻t1で起床されるタイマ割り込み処理では、処理識別フラグが初期化処理のS120で“0”に設定されているため、オン直前処理であると判断して、S220〜S260の処理を行うこととなる。そして、そのS220〜S260の処理により、A/D変換器13を起動して、電流検出信号のA/D変換値を電流極小時のA/D変換値としてRAM11に記憶すると共に、レジスタ19内のデューティ比データを、直前のFB演算処理で算出した最新のデューティ比(但し、この場合は、初回であるため、前述した通電開始用のデューティ比)を表すデータに書き換え、更に、PWM信号の次回のオフ切り替わりタイミングよりも所定時間Tbだけ前のタイミングを、次回のタイマ割り込みの発生タイミングとして設定して、処理識別フラグを“1”に設定することとなる。
また、時刻t1よりも所定時間Tbだけ後の時刻t2であって、PWM信号の2周期目の開始時刻t2になると、PWM信号が、ローレベルからハイレベルに変化する。そして、そのPWM信号は、レジスタ19に現在設定されているデューティ比データに応じたオン時間だけハイレベルになる。
その後、PWM信号の次回のオフ切り替わりタイミングである時刻t4よりも所定時間Tbだけ前の時刻t3になると、タイマ割り込みが発生して、マイコン5はタイマ割り込み処理を実行する。尚、この時刻t3でのタイマ割り込みは、前回のタイマ割り込み処理におけるS240でのタイミング設定によって発生される。
マイコン5は、その時刻t3で起床されるタイマ割り込み処理では、処理識別フラグが前回のタイマ割り込み処理におけるS250で“1”に設定されているため、オフ直前処理であると判断して、S320〜S360の処理を行うこととなる。そして、そのS320〜S360の処理により、A/D変換器13を起動して、電流検出信号のA/D変換値を電流極大時のA/D変換値としてRAM11に記憶し、更に、PWM信号の次回のオン切り替わりタイミングよりも所定時間Tbだけ前のタイミングを、次回のタイマ割り込みの発生タイミングとして設定して、処理識別フラグを“0”に設定することとなる。
また、時刻t3よりも所定時間Tbだけ後の時刻t4になると、PWM信号が、ハイレベルからローレベルに変化する。そして、そのPWM信号は、レジスタ19に現在設定されているデューティ比データに応じたオフ時間だけローレベルになる。
その後、PWM信号の次回のオン切り替わりタイミングである時刻t6よりも所定時間Tbだけ前の時刻t5になると、タイマ割り込みが発生して、マイコン5はタイマ割り込み処理を実行する。尚、この時刻t5でのタイマ割り込みは、前回のタイマ割り込み処理におけるS340でのタイミング設定によって発生される。
マイコン5は、その時刻t5で起床されるタイマ割り込み処理では、処理識別フラグが前回のタイマ割り込み処理におけるS350で“0”に設定されているため、オン直前処理であると判断して、S220〜S260の処理を行うこととなる。そして、そのS220〜S260の処理により、A/D変換器13を起動して、電流検出信号のA/D変換値を電流極小時のA/D変換値としてRAM11に記憶すると共に、レジスタ19内のデューティ比データを、直前のFB演算処理で算出した最新のデューティ比を表すデータに書き換え、更に、PWM信号の次回のオフ切り替わりタイミングよりも所定時間Tbだけ前のタイミングを、次回のタイマ割り込みの発生タイミングとして設定して、処理識別フラグを“1”に設定することとなる。
また、時刻t5の直前に実行されるFB演算処理(図5における☆印のうち、右側の☆印のタイミングで実行されるFB演算処理)では、時刻t1で起床されたタイマ割り込み処理によりRAM11に記憶された電流極小時のA/D変換値と、時刻t3で起床されたタイマ割り込み処理によりRAM11に記憶された電流極大時のA/D変換値とに基づいて、PWM信号のデューティ比を算出することとなる。そして、時刻t5で起床されたタイマ割り込み処理においては、その直前のFB演算処理で算出されたデューティ比を、時刻t6から始まる次の周期のPWM信号のデューティ比として設定することとなる。
そして、時刻t5以降は、図5における時刻t1〜t5の動作と同様の動作が繰り返されることにより、ソレノイド電流が目標値となるようにフィードバック制御される。
以上のようなECU1では、ソレノイド電流がPWM信号の1周期中において極小値になるときにA/D変換器13が動作するように、該A/D変換器13を起動して、該A/D変換器13による電流検出信号のA/D変換値を、電流極小時のA/D変換値としてRAM11に記憶し、また、ソレノイド電流がPWM信号の1周期中において極大値になるときにA/D変換器13が動作するように、該A/D変換器13を起動して、該A/D変換器13による電流検出信号のA/D変換値を、電流極大時のA/D変換値としてRAM11に記憶している。そして、RAM11に記憶された電流極小時のA/D変換値と電流極大時のA/D変換値とに基づいてソレノイド電流を検出し、その検出電流値が目標値となるようにPWM信号のデューティ比を制御している。
このECU1によれば、A/D変換器13を起動して電流検出信号のA/D変換値をRAM11に記憶する処理(以下、電流値取得用処理という)は、PWM信号の1周期あたりに2回で済むため、リニアソレノイド3を制御するための処理負荷を低減することができる。
また、その2回のA/D変換によるA/D変換値(電流極小時のA/D変換値と電流極大時のA/D変換値)から、ソレノイド電流を精度良く検出することができるため、リニアソレノイド3の電流制御精度も確保することができる。
また、ECU1では、上記電流値取得用処理を、マイコン5によるタイマ割り込み処理で行っているが、そのタイマ割り込み処理の優先度を他の特定の割り込み処理より高くしたとしても、電流値取得用処理としてのタイマ割り込み処理の実行頻度はPWM信号1周期あたりに2回というように少ないため、他の特定の割り込み処理に対する影響を抑えることができる。このため、リニアソレノイド3の制御を行うことによって他の処理(例えば、エンジンを制御するための処理)が行えなくなってしまうことを、抑制することができる。
また、ECU1では、PWM信号のオン切り替わりタイミングよりも所定時間Tbだけ前のタイミングであるオン直前タイミング毎に、A/D変換器13を起動することにより、そのオン直前タイミングからオン切り替わりタイミングまでの間にA/D変換器13を動作させ、該A/D変換器13による電流検出信号のA/D変換値を、電流極小時のA/D変換値としてRAM11に記憶している。同様に、PWM信号のオフ切り替わりタイミングよりも所定時間Tbだけ前のタイミングであるオフ直前タイミング毎に、A/D変換器13を起動することにより、そのオフ直前タイミングからオフ切り替わりタイミングまでの間にA/D変換器13を動作させ、該A/D変換器13による電流検出信号のA/D変換値を、電流極大時のA/D変換値としてRAM11に記憶している。
このため、上記所定時間Tbを適宜設定するだけで、ソレノイド電流がPWM信号の1周期中において極小値になるときにA/D変換器13を動作させることと、ソレノイド電流がPWM信号の1周期中において極大値になるときにA/D変換器13を動作させることとを、確実に実施することができる。
また、マイコン5は、上記オン直前タイミング毎にタイマ割り込みを発生させ、そのオン直前タイミングで発生するタイマ割り込みの処理により、A/D変換器13を起動すると共に、該A/D変換器13による電流検出信号のA/D変換値を電流極小時のA/D変換値としてRAM11に記憶することにより、前述の第1手段として機能する。同様に、マイコン5は、上記オフ直前タイミング毎にタイマ割り込みを発生させ、そのオフ直前タイミングで発生するタイマ割り込みの処理により、A/D変換器13を起動すると共に、該A/D変換器13による電流検出信号のA/D変換値を電流極大時のA/D変換値としてRAM11に記憶することにより、前述の第2手段として機能する。
そして、この構成によれば、マイコン5のタイマ割り込み処理により、A/D変換器13を起動して、電流極小時のA/D変換値と電流極大時のA/D変換値とをRAM11に記憶することができる。
また特に、上記オン直前タイミングで発生するタイマ割り込みと、上記オフ直前タイミングで発生するタイマ割り込みは、1つの同じタイマ割り込みである。そして、マイコン5は、上記オン直前タイミングで発生するタイマ割り込みの処理にて、次回のオフ直前タイミングでタイマ割り込みを発生させるための処理(S240)を行い、上記オフ直前タイミングで発生するタイマ割り込みの処理にて、次回のオン直前タイミングでタイマ割り込みを発生させるための処理(S340)を行う。
このため、複数のタイマ割り込みを使用することなく、1つのタイマ割り込みにより、電流極小時のA/D変換値と電流極大時のA/D変換値とをRAM11に記憶することができ、マイコン5におけるリソースを節約することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
例えば、前述した実施形態では、RAM11に記憶されると共に、図4のFB演算処理におけるS420でデューティ比の算出に用いる電流極小時のA/D変換値と電流極大時のA/D変換値は、最新の1組であった。これに対して、RAM11に、電流極小時のA/D変換値と電流極大時のA/D変換値とを、最新のものから溯って複数組記憶するようにし、図4のFB演算処理におけるS420では、その複数組の平均をとることにより、ソレノイド電流を算出しても良い。
また、図4のFB演算処理におけるS420では、例えば、電流極小時のA/D変換値と電流極大時のA/D変換値との、両方又は一方に、所定の重み付け定数を乗じ、その乗算後のA/D変換値を用いて、平均化などの演算を行うことにより、ソレノイド電流を算出しても良い。
また、電流極小時のA/D変換値と電流極大時のA/D変換値とをRAM11に記憶するために、2つタイマ割り込みを用いても良い。その場合、上記オン直前タイミング毎に、一方のタイマ割り込みを発生させて、その一方のタイマ割り込みの処理にて、図3のS220、S230及びS260と同じ処理を行うと共に、PWM信号の次回のオフ切り替わりタイミングよりも所定時間Tbだけ前のタイミングを、他方のタイマ割り込みの発生タイミングとして設定し、その他方のタイマ割り込みの処理にて、図3のS320及びS360と同じ処理を行えば良い。
また、A/D変換器13により抵抗27の両端の各電圧(上流側電圧と下流側電圧)を、ソレノイド電流に応じた電圧信号としてA/D変換し、その両A/D変換値の差を、ソレノイド電流を表すA/D変換値して処理する構成を採っても良い。
また、スイッチング手段としては、例えば、Nチャンネル形のMOSFETでも良く、バイポーラトランジスタやIGBT等の他の種類のスイッチング素子でも良い。
また、制御対象の誘導性負荷は、変速機の変速状態を切り替えるリニアソレノイド3に限らず、流れる電流を制御すべき他の誘導性負荷であっても良い。
また、上記実施形態では、電流値取得手段と制御手段とをマイコン5によって実現したが、電流値取得手段と制御手段は、例えば、ソフトウェアを利用しない専用のハードウェア回路で実現しても良い。また、メモリとしては、RAM11以外の書き換え可能なメモリやレジスタでも良い。また、オン直前タイミングを定める所定時間Tbと、オフ直前タイミングを定める所定時間Tbとを、異なる時間に設定しても良い。
一方、割り込みコントローラ12が、タイマ割り込みを発生させたときに、割り込み発生用タイマ31を自動的にリセットスタートさせない構成であれば、一例として、タイマ割り込み処理における何れかのステップ(例えば先頭)で、割り込み発生用タイマ31をリセットスタートさせれば良い。また他の例として、タイマ割り込み処理におけるS240とS340との各々では、現在のコンペアレジスタの値(タイマ割り込みの発生時における割り込み発生用タイマ31の値でもある)に、算出したオン時間又はオフ時間に相当する値を加算した値(但し、加算した値が割り込み発生用タイマ31の最大値を超える場合は、その最大値を超える分の値)を、コンペアレジスタに書き込めば良い。
1…ECU(電子制御装置)、3…リニアソレノイド、5…マイコン、11…RAM、13…A/D変換器、21…FET、27…抵抗、29…増幅回路

Claims (2)

  1. 誘導性負荷(3)に電流を流すための通電経路において前記誘導性負荷に対し直列に接続され、前記誘導性負荷に流れる電流を制御するためにPWM信号で駆動されるスイッチング手段(21)と、
    前記誘導性負荷に流れる電流に応じた電圧信号を出力する電流検出手段(27,29)と、
    前記電流検出手段からの前記電圧信号をA/D変換するA/D変換手段(13)と、
    前記A/D変換手段を起動して、該A/D変換手段による前記電圧信号のA/D変換値をメモリ(11)に記憶する電流値取得手段(5,S220,S260,S320,S360)と、
    前記メモリに記憶されたA/D変換値に基づいて、前記スイッチング手段を駆動するための前記PWM信号のデューティ比を制御する制御手段(5,S410,S420,S230)と、を備え、
    前記電流値取得手段は、
    前記誘導性負荷に流れる電流が前記PWM信号の1周期中において極小値になるときに前記A/D変換手段が動作するように、該A/D変換手段を起動して、該A/D変換手段による前記電圧信号のA/D変換値を、電流極小時のA/D変換値として前記メモリに記憶する第1手段(5,S220,S260)と、
    前記誘導性負荷に流れる電流が前記PWM信号の1周期中において極大値になるときに前記A/D変換手段が動作するように、該A/D変換手段を起動して、該A/D変換手段による前記電圧信号のA/D変換値を、電流極大時のA/D変換値として前記メモリに記憶する第2手段(5,S320,S360)と、からなり、
    前記制御手段は、前記メモリに記憶された前記電流極小時のA/D変換値と前記電流極大時のA/D変換値とに基づいて前記誘導性負荷に流れる電流を検出し、その検出電流値が目標値となるように前記PWM信号のデューティ比を制御し、
    前記第1手段は、
    前記PWM信号が前記スイッチング手段をオフさせる方の非アクティブレベルから前記スイッチング手段をオンさせる方のアクティブレベルへ変化するオン切り替わりタイミングよりも所定時間前のタイミングであるオン直前タイミング毎に、前記A/D変換手段を起動することにより、前記オン直前タイミングから前記オン切り替わりタイミングまでの間に前記A/D変換手段を動作させ、該A/D変換手段による前記電圧信号のA/D変換値を、前記電流極小時のA/D変換値として前記メモリに記憶し、
    前記第2手段は、
    前記PWM信号が前記アクティブレベルから前記非アクティブレベルへ変化するオフ切り替わりタイミングよりも所定時間前のタイミングであるオフ直前タイミング毎に、前記A/D変換手段を起動することにより、前記オフ直前タイミングから前記オフ切り替わりタイミングまでの間に前記A/D変換手段を動作させ、該A/D変換手段による前記電圧信号のA/D変換値を、前記電流極大時のA/D変換値として前記メモリに記憶し、
    前記第1手段と前記第2手段は、マイコン(5)によって実現され、
    前記マイコンは、前記オン直前タイミング毎にタイマ割り込みを発生させ、そのオン直前タイミングで発生するタイマ割り込みの処理により、前記A/D変換手段を起動すると共に、該A/D変換手段による前記電圧信号のA/D変換値を前記電流極小時のA/D変換値として前記メモリに記憶することにより、前記第1手段として機能し、
    前記マイコンは、前記オフ直前タイミング毎にタイマ割り込みを発生させ、そのオフ直前タイミングで発生するタイマ割り込みの処理により、前記A/D変換手段を起動すると共に、該A/D変換手段による前記電圧信号のA/D変換値を前記電流極大時のA/D変換値として前記メモリに記憶することにより、前記第2手段として機能すること、
    を特徴とする誘導性負荷制御装置。
  2. 請求項に記載の誘導性負荷制御装置において、
    前記オン直前タイミングで発生するタイマ割り込みと、前記オフ直前タイミングで発生するタイマ割り込みは、1つの同じタイマ割り込みであり、
    前記マイコンは、前記オン直前タイミングで発生するタイマ割り込みの処理にて、次回の前記オフ直前タイミングで前記タイマ割り込みを発生させるための処理(S240)を行い、前記オフ直前タイミングで発生するタイマ割り込みの処理にて、次回の前記オン直前タイミングで前記タイマ割り込みを発生させるための処理(S340)を行うこと、
    を特徴とする誘導性負荷制御装置。
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