JP5977468B1 - アリ溝式ワーク挟持装置及びアリ溝式ワーク挟持方法 - Google Patents

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【課題】多様なワークを支持台上の任意の位置に高い精度で挟持するアリ溝式ワーク挟持装置、及びアリ溝式ワーク挟持方法を提供する。【解決手段】アリ溝式ワーク挟持装置1a,1bは、支持台と、ストッパ7の締め込みにより支持台上の移動可能な任意の位置に固定される位置固定用摺動ブロック3a,3bと、アリ溝とアリとの嵌合により支持台に対して自在に摺動する位置設定用摺動ブロック2a,2bと、位置固定用摺動ブロック3a,3bに設けられた空洞部を貫通し、位置設定用摺動ブロック2a,2bに係合するねじ部を有し、ハンドル5に連結する雄ネジ棒4とを備え、ハンドル5の回転操作により摺動する位置設定用摺動ブロック2a,2bと位置固定用摺動ブロック3a,3bとによりワーク10を挟持する。【選択図】図1

Description

本発明は、アリ溝式ワーク挟持装置及びアリ溝式ワーク挟持方法に係り、特に、アリ溝式の摺動機構によりワークを挟持して固定するアリ溝式ワーク挟持装置、及びアリ溝式ワーク挟持装置についてワークを挟持して固定するアリ溝式ワーク挟持方法に関する。
機械加工の分野などでワーク(対象物)を加工する際にワーク自体を挟み込んで固定することが行われている。その挟み込む工具として、例えば、横万力に代表される「万力」又はマシンバイスに代表される「バイス」等が一般的に用いられる。万力は、ワークを作業台などに固定する工具をいい、バイスはワーク自体を固定する工具をいう。
万力は、固定側クランプと可動側クランプによりワークを固定する工具である。例えば、特許文献1には、工作機械のテーブル上に設置され、平担な固定面を有する固定側クランプ部材および可動側クランプ部材でワークを締付け固定し、ワークに機械加工を施すようにした工作機械のワーク固定装置が開示されている。
また、「ミニチュアバイス」と称されるワークを挟持する小型固定治具が知られている。このミニチュアバイスは、ハンドルを回して固定用ブロックを移動させてワークを挟み込む治具である。
一方、アリ溝摺動ステージは、主としてCCDカメラやセンサなどの電機・電子機器、レンズや顕微鏡等の光学機器、LEDなどの照明機器といった精密機器に用いられ、精密な位置決めやピント合わせなどの位置調整用のステージとして用いられている。すなわち、アリ溝摺動ステージは、対象物を挟持して位置決めする装置であり、アリ溝式ワーク挟持装置の機能を備えていると言える。さらに、アリ溝摺動ステージに用いられる、アリ及びアリ溝による摺動機構は、精度の高い位置合わせに必須の技術としてアリ溝摺動ステージに採用されている。
例えば、特許文献2には送りネジ式アリ溝ステージの性能を向上させ、送りネジ式アリ溝ステージに複数の機能を追加した多機能送りネジ式アリ溝ステージが開示されている。ここでは、多機能送りネジ式アリ溝ステージは、両端部にハンドルとの連結部を有する雄ネジ棒と、固定部品の両側にそれぞれ設けられ、雄ネジ棒を回転自在に保持する第1支持台及び第2支持台と、連結部を介して雄ネジ棒と着脱自在に連結して雄ネジ棒を回転させるハンドルとを備え、摺動部品は、固定部品と接続する雌ネジ筒が移動して第1支持台及び第2支持台に当接するまで移動することが記載されている。
さらに、アリ及びアリ溝による摺動機構の実施例を挙げる。特許文献3には、回転ステージが開示されている、ここでは、回転テーブルがベースに対し回転する回転ステージにおいて、回転テーブルにアリが、ベースにアリに嵌合するアリ溝が形成されると共に、回転テーブルの回転軸が回転テーブルのテーブル面内に設定され、アリ及びアリ溝の互いに接触する斜面(アリ斜面、アリ溝斜面)が、回転テーブルの回転軸を囲む位置に湾曲して延びることが記載されている。
特開2014−240102号公報 特開2011−27556号公報 特開2006−21283号公報
従来のアリ溝摺動ステージのユーザは、対象となるワークをアリ溝摺動ステージの面上に固定するために自ら治具を設計、製作するのが一般的であった。これは、アリ溝摺動ステージに取り付ける物品の構成や形状が多種多様であるためユーザ側で自ら設計、製作せざるを得ないからであった。すなわち、従来、アリ溝摺動ステージ用のワーク挟持装置はユーザにより製作されていた。
しかし、ユーザが自らワーク固定用治具を設計、製作する場合に、対象となる物品の構成、仕様、形状、寸法などのバリエーションが多岐にわたる場合には、汎用的な治具を設計、製作するのが難しいという問題がある。また、アリ溝摺動ステージについても、多様な型式があり、また、それらの形状や寸法も異なるが、それに対応する汎用的な治具を設計、製作するのが難しいという問題がある。
さらに、ワークに対する加工精度が問題になり、アリ溝摺動ステージと同等の高い精度で位置出しをした上で加工したいというニーズが高まりつつあり、従来の万力やダイスを凌駕する高機能なワーク挟持装置が要求されつつある。
また、上述した「ミニチュアバイス」の場合には、固定用ブロックを移動させるための摺動ガイドを2本の細いシャフトだけに頼っているためガタが大きく簡易なホビー用品の構成である。従って、加工精度が要求される精密機械や機械加工の場合には適さないという問題がある。また、このミニチュアバイスは、アリ溝摺動ステージへの取り付けが全く不可であるという問題がある。
本願の目的は、かかる課題を解決し、多様なワークを支持台上の任意の位置に高い精度で挟持するアリ溝式ワーク挟持装置、及びアリ溝式ワーク挟持方法を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明に係るアリ溝式ワーク挟持装置は、支持台と、前記支持台に設けられ、ストッパを締め込むことで前記支持台上の移動可能な任意の位置に固定される位置固定用摺動ブロックと、前記支持台に設けられ、アリ溝とアリとの嵌合により前記支持台に対して自在に摺動する位置設定用摺動ブロックと、前記位置固定用摺動ブロックに設けられた空洞部を貫通し、前記位置設定用摺動ブロックに係合するねじ部を有し、ハンドルに連結する雄ネジ棒と、を備え、前記ハンドルの操作により摺動する前記位置設定用摺動ブロックと前記位置固定用摺動ブロックとによりワークを挟持し、位置設定用摺動ブロックは、着脱自在な位置設定用挟持部を有し、位置固定用摺動ブロックは、着脱自在な位置固定用挟持部を有し、位置設定用挟持部及び位置固定用挟持部によりワークが挟持され、位置設定用挟持部及び位置固定用挟持部は、弾性材により相互に連結されることを特徴とする。
上記構成により、アリ溝式ワーク挟持装置は、まず位置固定用摺動ブロックを位置決めして固定し、位置設定用摺動ブロックを摺動させて固定するという2段階による単純な操作により、ワークを挟み込んで支持台上の任意の位置で支持台に固定することができる。すなわち、ワークの一端の位置は、位置固定用摺動ブロックにより任意の位置に選択され、ワークの他端の位置は、位置設定用摺動ブロックにより調整され、位置の変更も容易にできるからである。
また、位置設定用摺動ブロックは、アリ溝摺動ステージの技術であるアリ溝とアリとの嵌合による摺動機構を採用し、位置設定用摺動ブロックを支持台に対して自在に摺動させるため高い精度によりワークを挟持して固定することができる。さらに、位置設定用挟持部及び位置固定用挟持部が、弾性材により連結されることで、ワークを挟み込む際に緊張させられた弾性材の復元力によりワークを確実に挟持して固定することができる
上記目的を達成するため、本発明に係るアリ溝式ワーク挟持装置は、支持台と、前記支持台に設けられ、ストッパを締め込むことで前記支持台上の移動可能な任意の位置に固定される位置固定用摺動ブロックと、前記支持台に設けられ、アリ溝とアリとの嵌合により前記支持台に対して自在に摺動する位置設定用摺動ブロックと、前記位置固定用摺動ブロックに設けられた空洞部を貫通し、前記位置設定用摺動ブロックに係合するねじ部を有し、ハンドルに連結する雄ネジ棒と、を備え、前記ハンドルの操作により摺動する前記位置設定用摺動ブロックと前記位置固定用摺動ブロックとによりワークを挟持し、前記位置設定用摺動ブロックは、上部に突出した位置設定用挟持部を有し、前記位置固定用摺動ブロックは、上部に突出した位置固定用挟持部を有し、前記位置設定用挟持部及び前記位置固定用挟持部により前記ワークが挟持され、前記位置設定用挟持部及び前記位置固定用挟持部は、弾性材により相互に連結されることを特徴とする
上記構成により、アリ溝式ワーク挟持装置は、まず位置固定用摺動ブロックを位置決めして固定し、位置設定用摺動ブロックを摺動させて固定するという2段階による単純な操作により、ワークを挟み込んで支持台上の任意の位置で支持台に固定することができる。すなわち、ワークの一端の位置は、位置固定用摺動ブロックにより任意の位置に選択され、ワークの他端の位置は、位置設定用摺動ブロックにより調整され、位置の変更も容易にできるからである。また、位置固定用挟持部や位置設定用挟持部が、位置固定用摺動ブロックや位置設定用摺動ブロックと一体化して製作され、部品製作コストや部品組み立てコストを低減することができる。さらに、位置設定用挟持部及び位置固定用挟持部が、弾性材により連結されることで、ワークを挟み込む際に緊張させられた弾性材の復元力によりワークを確実に挟持して固定することができる
また、アリ溝式ワーク挟持装置は、雄ネジ棒の一端が先端支持部に支持され、他端が後端支持部に支持されてハンドルに連結されることが好ましい。これにより、雄ネジ棒はその両端が支持され、そのボルトが抉れることがなく高い精度で位置設定用摺動ブロックを摺動させることができる。
また、アリ溝式ワーク挟持装置は、位置設定用挟持部及び位置固定用挟持部が、弾性材により連結されることが好ましい。これにより、ワークを挟み込む際に緊張させられた弾性材の復元力によりワークを確実に挟持して固定することができる。
また、アリ溝式ワーク挟持装置は、位置固定用摺動ブロックに設けられたストッパを位置設定用摺動ブロックの方向に回転させて締め込むことで固定することが好ましい。これにより、位置設定用摺動ブロックをストッパにより支持台に固定する際に、ワークの挟持が緩むことなく固定できる。
また、アリ溝式ワーク挟持装置は、位置固定用摺動ブロックには、与圧調整ネジ用の孔が設けられ、与圧調整ネジを締め込むことで位置固定用摺動ブロックの走行中のガタが解消されることが好ましい。これにより、ガタを発生させることがなく高い精度で位置設定用摺動ブロックを摺動させることができる。
上記目的を達成するため、本発明に係るアリ溝式ワーク挟持方法は、保持するワークの一端に合わせて位置固定用摺動ブロックの位置決めをするステップと、前記位置固定用摺動ブロックをストッパにより前記支持台に固定するステップと、ハンドルを操作して位置設定用摺動ブロックを摺動させるステップと、前記位置設定用摺動ブロックに設けられた位置設定用挟持部と、前記位置設定用摺動ブロックに設けられた前記位置設定用挟持部とを弾性体により連結させるステップと、前記位置設定用摺動ブロックを前記ワークの他端に合わせ、前記位置固定用摺動ブロックと共に挟持するステップと、を備えることを特徴とする。
上記構成により、アリ溝式ワーク挟持方法は、まず、位置固定用摺動ブロックを位置決めして固定し、次に、位置設定用摺動ブロックを摺動させて固定するという2段階による単純な操作方法により、ワークを支持台上の任意の位置で挟み込んで固定することができる。ワークの一端の位置は、位置固定用摺動ブロックにより任意の位置に選択され、ワークの他端の位置は、位置設定用摺動ブロックにより調整され、位置の変更も容易にできるからである。さらに、位置設定用挟持部及び位置固定用挟持部を弾性材により連結されるステップを設けることで、ワークを挟み込む際に緊張させられた弾性材の復元力によりワークを確実に挟持して固定することができる
さらに、位置設定用摺動ブロックは、アリ溝とアリとの嵌合により支持台に対して自在に摺動するため高い精度によりワークを挟持して固定することができる。
以上のように、本発明に係るアリ溝式ワーク挟持装置、及びアリ溝式ワーク挟持方法によれば、多様なワークを支持台上の任意の位置に高い精度で挟持することができる。
本発明に係るアリ溝式ワーク挟持装置の一つの実施形態の概略構成を示す平面図である。 図1のアリ溝式ワーク挟持装置の立面図である。 図1のアリ溝式ワーク挟持装置の背面図である。 図1のアリ溝式ワーク挟持装置の拡大した側面図である。 位置設定用摺動ブロックと位置固定用摺動ブロックとの間の挟持範囲を最大限にした場合を示す立面図である。 アリ溝式ワーク挟持装置によるワークの挟持方法を示すフロー図である。
(アリ溝式ワーク挟持装置の構成)
以下に、図面を用いて本発明に係るアリ溝式ワーク挟持装置1a,1bの一つの実施形態について図1に、本発明に係るアリ溝式ワーク挟持装置1a,1bの概略構成を平面図で示し、図2に図1の立面図を示す。図1(a)及び図2(a)は、アリ溝式ワーク挟持装置1a,1bの第1実施例であり図2(a)は図1(a)のA1−A1方向から見た立面図である。図1(b)及び図2(b)は、アリ溝式ワーク挟持装置1の第2実施例であり図2(b)は図1(b)のA2−A2方向から見た立面図である。さらに、図3に図1(a)の第1実施例及び図2(b)の第2実施例に共通の背面図であり、図2のB−B方向から見た背面図を示す。なお、本明細書で「挟持する」とは、ワーク等の対象物を両側から挟んで固定することを言う。
図1及び図2に示すように、アリ溝式ワーク挟持装置1a,1bは、支持台6、位置設定用摺動ブロック2a,2b、位置固定用摺動ブロック3a,3b、雄ネジ棒4から構成され、ワーク10を挟持する。支持台6は、アリ溝式ワーク挟持装置1の土台としてこれらの構成要素を支持する。そして、支持台6は、図2(a),(b)に示す支持台固定ネジ孔22に挿入された支持台固定ネジ20(図3参照)により固定される。位置固定用摺動ブロック3a,3bは、本実施形態では、アリ溝式ワーク挟持装置1a,1bの操作者が手動で動作させてワーク10の一方を狭持する。但し、位置固定用摺動ブロック3a,3bは、手動以外の手段で動作させても良い。そして、ストッパ7を締め込むことで支持台6上の移動可能な任意の位置に固定される。位置設定用摺動ブロック2a,2bは、後述するアリ溝8及びアリ9(図4(b)参照)の嵌合により支持台6に対して自在に摺動する。更に、雄ネジ棒4は、一端が先端支持部15に支持され、他端が後端支持部16を介してハンドル5に連結される。また、雄ネジ棒4は、位置固定用摺動ブロック3a,3bに設けられた空洞部11を貫通し、位置設定用摺動ブロック2a,2bに係合するネジ部を有する。そして、ハンドル5の回転操作により摺動する位置固定用摺動ブロック3a,3b及び位置設定用摺動ブロック2a,2bによりワーク10を適切に挟持する。
図1(a)及び図2(a)に示すアリ溝式ワーク挟持装置1aの第1実施例は、位置設定用摺動ブロック2aに位置設定用挟持部13aが設けられ、位置固定用摺動ブロック3aに位置固定用挟持部14aが設けられる実施例であり、位置設定用挟持部13a及び位置固定用挟持14aによりワーク10が挟持される。
このアリ溝式ワーク挟持装置1aは、例えば筒状、球状などのワーク10を挟持するのに適している。すなわち、位置設定用挟持部13a及び位置固定用挟持部14aは、それぞれ2個の円筒形の突起体であるため、筒状、球状のワーク10は、4個の突起体である位置設定用挟持部13a及び位置固定用挟持部14aにより4点の接触点により安定的に挟持される。このように、少ない接触点で挟持されることでワーク10への損傷を最小限に抑えることができる。なお、アリ溝式ワーク挟持装置1aは、ワーク10の形状が筒状、球状に限らず、例えば立方体、板状、線形等のワーク10にも使用可能であることは言うまでもない。
また、図1(b)及び図2(b)に示すアリ溝式ワーク挟持装置1bの第2実施例は、位置設定用摺動ブロック2b自体が位置設定用挟持部13bとなり、位置固定用摺動ブロック3b自体が上部に突出した位置固定用挟持部14bとなる実施例である。すなわち、位置設定用摺動ブロック2bと位置設定用挟持部13bとが一体となり、位置固定用摺動ブロック3bと位置固定用挟持部14bとが一体となる実施例である。そして、位置設定用挟持部13b及び位置固定用挟持部14bによりワーク10が挟持される。
このアリ溝式ワーク挟持装置1bは、例えば、板状、棒状などのワーク10を挟持するのに適している。すなわち、図1(b)、図2(b)に示すように、位置設定側ワーク把持面23、及び位置固定側ワーク把持面24には、V字状の溝がそれぞれ設けられている。つまり、位置設定側ワーク把持面23、及び位置固定側ワーク把持面24には、十字状に交差する溝が設けられている。この溝により板状、棒状などのワーク10に対してその芯を出して挟持することが可能になる。また、この溝は十字状に設けられているのでワーク10を縦方向又は横方向のいずれかに設置して芯を出すことができる。なお、アリ溝式ワーク挟持装置1bは、ワーク10の形状が板状、線状に限らず、例えば、筒状、球体、立方体等のワーク10にも使用可能であることは言うまでもない。
図2(a)に示すように、位置固定用摺動ブロック3a,3b及び位置設定用摺動ブロック2a,2bには与圧調整ネジ用孔18が設けられ、与圧調整ネジを締め込むことで位置固定用摺動ブロック3a,3b及び位置設定用摺動ブロック2a,2bの走行中のガタが解消される。このように、アリ溝式ワーク挟持装置1a,1bには、アリ溝摺動ステージの技術が転用され、高い精度が担保されている。
図1、図2に示すように、位置固定用挟持部14a,14b及び位置設定用挟持部13a,13bが、それぞれ弾性体17により連結されても良い。ここで、弾性体17とは、弾性を有する線状の部材であれば良く、例えば、ゴム、バネ等が該当する。また、粘性と弾性とを共に有する線状の粘弾性体であっても良い。この弾性体17により、ワーク10を位置固定用挟持部14a,14bと位置設定用挟持部13a,13bとの間に挟み込む場合に、ワーク10を締め込むという効果が発生する。すなわち、弾性体17に張力を加えてワーク10を挟み込み、その張力を解除すると弾性体17が復元してワーク10に圧縮力が発生する。その結果、ワーク10は緩むことなく挟み込まれて固定される。
図4に、図1のアリ溝式ワーク挟持装置1a,1bを拡大した側面図で示す。図4(a)は、図2のC−C方向から見た側面図であり、図4(b)は、図2のD−D方向から見た側面図である。これらの側面図は、アリ溝式ワーク挟持装置1a,1bに共通である。
図4(b)に示すように、位置固定用摺動ブロック3a,3bの側面には、ストッパ7が設けられる。このストッパ7を回転させると、ストッパ7の先端部に設けられたネジが位置固定用摺動ブロック3a,3bに連結された三角形の突出部25を内部側の支持台6に抑え込む。従って、ストッパ7を締め込むことで位置固定用摺動ブロック3a,3bが支持台6に固定される。すなわち、ストッパ7を締め込む際に、位置固定用摺動ブロック3a,3bを位置設定用摺動ブロック2a,2bから離すように回転させると、位置固定用摺動ブロック3a,3bと位置設定用摺動ブロック2a,2bとが離間するように働いてしまいワーク10を確実に挟持できなくなる。
図5に、位置設定用摺動ブロック2a,2bと位置固定用摺動ブロック3a,3bとの間の挟持範囲を最大限にした場合を示す。位置設定用摺動ブロック2a,2bは、後端支持部16の近傍にまで摺動することが可能である。これは、ネジ切りされた雄ネジ棒4が後端支持部16にまで接続しているからである。また、位置固定用摺動ブロック3a,3bは、先端支持部15の近傍にまで移動させて固定することができる。このように、本願のアリ溝式ワーク挟持装置1a,1bは、先端支持部15から後端支持部16までの広い挟持範囲を有し、大型のワーク10にも対応可能となっている。
(アリ溝式ワーク挟持方法)
図6に、アリ溝式ワーク挟持装置1a,1bによるワーク10の挟持方法を示すフロー図を示す。図6のフロー図では、各ステップをS1〜S4で示す。まず、保持するワーク10の一端に合わせて位置固定用摺動ブロック3a,3bの位置決めをする(S1)。次に、位置固定用摺動ブロック3a,3bをストッパ7により支持台6に固定する(S2)。そして、ハンドル5を回転操作して位置設定用摺動ブロック2a,2bを摺動させる(S3)。さらに位置設定用摺動ブロック3a,3bをワーク10の他端に合わせ、位置固定用摺動ブロック3a,3bと共に挟持する(S4)。
このように、本願のアリ溝式ワーク挟持装置1a,1bは、位置固定用摺動ブロック3a,3bを位置決めして固定し、位置設定用摺動ブロック2a,2bを摺動させて固定するという2段階の単純な操作により、ワーク10を支持台6の任意の位置に固定することができる。
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさ、及び配置関係については、本発明が理解、実施できる程度に概略的に示したものにすぎない。従って、本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
1,1a,1b アリ溝式ワーク挟持装置、2a,2b 位置設定用摺動ブロック、3a,3b 位置固定用摺動ブロック、4 雄ネジ棒、5 ハンドル、6 支持台、7 ストッパ、8 アリ溝、9 アリ、10 ワーク、11 空洞部、13a,13b 位置設定用挟持部、14a,14b 位置固定用挟持部、15 先端支持部、16 後端支持部、17 弾性体、18 与圧調整用ネジ孔、20 支持台固定ネジ、22 支持台固定ネジ孔、23 位置設定側ワーク把持面、24 位置固定側ワーク把持面、25 突出部。

Claims (6)

  1. 支持台と、
    前記支持台に設けられ、ストッパを締め込むことで前記支持台上の移動可能な任意の位置に固定される位置固定用摺動ブロックと、
    前記支持台に設けられ、アリ溝とアリとの嵌合により前記支持台に対して自在に摺動する位置設定用摺動ブロックと、
    前記位置固定用摺動ブロックに設けられた空洞部を貫通し、前記位置設定用摺動ブロックに係合するねじ部を有し、ハンドルに連結する雄ネジ棒と、を備え、
    前記ハンドルの操作により摺動する前記位置設定用摺動ブロックと前記位置固定用摺動ブロックとによりワークを挟持し、
    前記位置設定用摺動ブロックは、着脱自在な位置設定用挟持部を有し、前記位置固定用摺動ブロックは、着脱自在な位置固定用挟持部を有し、前記位置設定用挟持部及び前記位置固定用挟持部により前記ワークが挟持され、
    前記位置設定用挟持部及び前記位置固定用挟持部は、弾性材により相互に連結されることを特徴とするアリ溝式ワーク挟持装置。
  2. 支持台と、
    前記支持台に設けられ、ストッパを締め込むことで前記支持台上の移動可能な任意の位置に固定される位置固定用摺動ブロックと、
    前記支持台に設けられ、アリ溝とアリとの嵌合により前記支持台に対して自在に摺動する位置設定用摺動ブロックと、
    前記位置固定用摺動ブロックに設けられた空洞部を貫通し、前記位置設定用摺動ブロックに係合するねじ部を有し、ハンドルに連結する雄ネジ棒と、を備え、
    前記ハンドルの操作により摺動する前記位置設定用摺動ブロックと前記位置固定用摺動ブロックとによりワークを挟持し、
    前記位置設定用摺動ブロックは、上部に突出した位置設定用挟持部を有し、前記位置固定用摺動ブロックは、上部に突出した位置固定用挟持部を有し、前記位置設定用挟持部及び前記位置固定用挟持部により前記ワークが挟持され、
    前記位置設定用挟持部及び前記位置固定用挟持部は、弾性材により相互に連結されることを特徴とするアリ溝式ワーク挟持装置。
  3. 請求項1又は2に記載のアリ溝式ワーク挟持装置であって、前記雄ネジ棒は、一端が先端支持部に支持され、他端が後端支持部に支持されてハンドルに連結されることを特徴とするアリ溝式ワーク挟持装置。
  4. 請求項1乃至のいずれか1項に記載のアリ溝式ワーク挟持装置であって、前記位置固定用摺動ブロックに設けられたストッパを前記位置設定用摺動ブロックの方向に回転させて締め込むことで固定することを特徴とするアリ溝式ワーク挟持装置。
  5. 請求項1乃至のいずれか1項に記載のアリ溝式ワーク挟持装置であって、前記位置固定用摺動ブロックには、与圧調整ネジ用の孔が設けられ、与圧調整ネジを締め込むことで前記位置固定用摺動ブロックの走行中のガタが解消されることを特徴とするアリ溝式ワーク挟持装置。
  6. 保持するワークの一端に合わせて位置固定用摺動ブロックの位置決めをするステップと、
    前記位置固定用摺動ブロックをストッパにより前記支持台に固定するステップと、
    ハンドルを操作して位置設定用摺動ブロックを摺動させるステップと、
    前記位置設定用摺動ブロックに設けられた位置設定用挟持部と、前記位置設定用摺動ブロックに設けられた前記位置設定用挟持部とを弾性体により連結させるステップと、
    前記位置設定用摺動ブロックを前記ワークの他端に合わせ、前記位置固定用摺動ブロックと共に挟持するステップと
    を備えることを特徴とするアリ溝式ワーク挟持方法。
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