以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図1、図7等に示すように、折畳み容器1は、略矩形板状の底壁部2と、底壁部2の相対する一対の長辺部に対応してそれぞれ回動可能に設けられた長辺側側壁部3と、底壁部2の相対する一対の短辺部に対応してそれぞれ回動可能に設けられた短辺側側壁部4とを備えている。本実施形態では、底壁部2、長辺側側壁部3、及び短辺側側壁部4はポリプロピレンにより構成されている。
図4、図8、図12等に示すように、底壁部2には、各長辺部に沿って底壁部2から上方に突出する長辺側土台部5と、各短辺部に沿って底壁部2から上方に突出する短辺側土台部6とが設けられている。本実施形態では、長辺側側壁部3及び短辺側側壁部4は、それぞれ長辺側土台部5及び短辺側土台部6に対して回動可能に連結されており、それぞれ土台部6、7の上方に立設される起立位置(図1参照)と、底壁部2の上方に折畳まれ、当該底壁部2と平行して延在する寝かせ位置(図4参照)との間を回動変位可能に構成されている。
また、本実施形態では、短辺側土台部6の底壁部2からの突出長は、長辺側土台部5の底壁部2からの突出長よりも長くなっており、短辺側土台部6を回動可能に支持するための軸受部(図示略)の形成位置も、長辺側土台部5を回動可能に支持するための軸受部(図示略)の形成位置よりも上方に位置している。さらに、各長辺側土台部5は、相対する一対の短辺側土台部6の内面同士を連結するようにして設けられている。このため、本実施形態では、図8に示すように、長辺側側壁部3を先に畳まないと、短辺側側壁部4を畳むことができないようになっている。そして、図4に示すように、全ての側壁部3、4を寝かせ位置とした折畳み容器1の折畳み状態では、長辺側側壁部3が、底壁部2の上面に重なる(対面する)ようにして畳まれるとともに、短辺側側壁部4が、長辺側側壁部3の上側に重なるようにして畳まれることとなる。
加えて、本実施形態では、一対の長辺側側壁部3の寝かせ位置の高さが揃っているとともに、一対の短辺側側壁部4の寝かせ位置の高さが揃っている。これにより、折畳み状態にある折畳み容器1の高さを低くすることができ、運搬効率や保管効率の向上等を図ることができる。また、長辺側土台部5の底壁部2からの突出長は、長辺側側壁部3の厚みとほぼ同じであり、寝かせ位置にある長辺側側壁部3の上縁と、長辺側土台部5の上縁とがほぼ同じ高さとなっている。さらに、短辺側土台部6の底壁部2からの突出長は、長辺側側壁部3の厚みと短辺側側壁部4の厚みとの和とほぼ同じであり、寝かせ位置にある短辺側側壁部4の上縁と、短辺側土台部6の上面とがほぼ同じ高さとなっている。
さて、本実施形態では、図1〜図3等に示すように、長辺側側壁部3及び短辺側側壁部4の高さを変更(伸縮)可能に構成されている。以下、長辺側側壁部3及び短辺側側壁部4についてより具体的に説明する。
図10等に示すように、第1側壁部としての長辺側側壁部3は、長辺側土台部5に対して回動可能に取付けられる第1側板としてのスライド側ベース壁11と、スライド側ベース壁11に対し、長辺側側壁部3の高さ方向に沿ってスライド可能に取付けられる第2側板としてのスライド側伸長壁21とを備えている。
スライド側ベース壁11は、長辺側土台部5とほぼ同じ横幅を有する略矩形板状のベース壁本体12と、ベース壁本体12の下辺部(起立位置では下側を向き、寝かせ位置では底壁部2の外周側を向く面)から突出する図示しないヒンジ部とを備えている。そして、スライド側ベース壁11のヒンジ部が、長辺側土台部5の軸受部に軸支されることで、スライド側ベース壁11が長辺側土台部5に対して回動可能に連結されている。
また、ベース壁本体12には、ベース壁本体12を内方に凹ませるようにして形成され、ベース壁本体12の高さ方向(上下方向)に沿って延在する2本のガイドレール14が設けられ、ガイドレール14には、ガイドレール14の延在方向に沿って上下に延在するガイド孔15が形成されている。
スライド側伸長壁21は、スライド側ベース壁11の内面側と対向するようにして取付けられる略矩形板状の伸長壁本体22と、伸長壁本体22の上辺部に沿って外方に突出する上外枠23とを備えている。また、伸長壁本体22の下部には、スライド側ベース壁11の各ガイド孔15にそれぞれ挿通可能に構成され、先端部に拡径部を有する一対のスライド突起24が設けられている。そして、スライド側ベース壁11の内面側から、スライド側伸長壁21のスライド突起24をガイド孔15に挿通させることによって、図1〜図3に示すように、スライド側伸長壁21がスライド側ベース壁11に対して、重なり合う面積を変化させるようにして、上下にスライド変位可能に取付けられている。
本実施形態では、スライド側伸長壁21は、スライド側ベース壁11に対し、スライド側伸長壁21の上外枠23の下面が、スライド側ベース壁11の上面に当接する基準位置(図1等参照)と、スライド突起24が、ガイド孔15の上縁部に当接又は近接する伸長位置(図2等参照)との間を相対変位可能に構成されている。スライド側伸長壁21が伸長位置にある場合には、基準位置にある場合よりもスライド側ベース壁11と重なり合う面積が小さくなり、基準位置にある場合よりも長辺側側壁部3の起立位置にあるときの高さが高くなる。
尚、スライド側伸長壁21のスライド側ベース壁11への取付状態においては、スライド側ベース壁11(ベース壁本体12)の外面と、上外枠23の外面とが略面一となっている(図8等参照)。さらに、スライド側ベース壁11の内面側からガイド孔15に挿通されたスライド突起24の先端部は、ガイドレール14の内側に位置することとなり、スライド側ベース壁11よりも外方に突出しないようになっている。また、本実施形態のスライド突起24はスライド側伸長壁21に一体的に設けられているが、別体として構成されてもよい。
加えて、スライド側伸長壁21の上外枠23の下辺部中央部には、上方に凹となる持ち手部25が形成されている。当該持ち手部25においては、図1等に示すように、スライド側伸長壁21が基準位置にあっても、スライド側ベース壁11との間に隙間が形成されることから、スライド側伸長壁21が基準位置となるように、全ての側壁部3、4を起立位置として折畳み容器1を組立状態とした場合にも、持ち手部25に手を掛けて、折畳み容器1を持ち運ぶことができるようになっている。
図11、図12に示すように、第2側壁部としての短辺側側壁部4は、短辺側土台部6に対して回動可能に取付けられる第3側板としての着脱側ベース壁31と、着脱側ベース壁31に対応して着脱自在に取付けられる第4側板としての着脱側伸長壁41とを備えている。
着脱側ベース壁31は、短辺側土台部6とほぼ同じ横幅を有する略矩形板状のベース壁本体32と、ベース壁本体32の下辺部から突出する図示しないヒンジ部とを備えている。そして、着脱側ベース壁31のヒンジ部が、短辺側土台部6の軸受部に軸支されることで、着脱側ベース壁31が短辺側土台部6に対して回動可能に連結されている。
また、図11等に示すように、ベース壁本体32の外面側には、上下に延びる突条部が、左右対称に4本ずつ、合計8本設けられている。特に、本実施形態では、8本の突条部のうちベース壁本体32の左右側辺部側の6本(以下、「係合突条部33」と称する)には、上下方向において互いに所定距離を隔てた3箇所に対し、当該係合突条部33が切欠かれるようにして形成された係合溝34が設けられている。
さらに、8本の突条部のうちベース壁本体32の横幅方向中央部側の2本(以下、「抜け止め突条部35」と称する)には、互いに対向するベース壁本体32の横幅方向中央部側の面に対し、上下に延在する抜け止め係止孔36が形成されている。
着脱側伸長壁41は、着脱側ベース壁31のベース壁本体32とほぼ同じ横幅を有する略矩形板状の着脱壁本体42と、着脱壁本体42の上辺部に沿って内方に突出する上内枠43とを備えている。図12に示すように、着脱壁本体42の内面側は、着脱側ベース壁31の外面側形状に対応した凹凸形状をなしており、そのうちの凸部分が、係合突条部33及び抜け止め突条部35の間の空間に進入するようにして、着脱側伸長壁41が着脱側ベース壁31に取付けられている(図7参照)。これにより、着脱側ベース壁31に対する着脱側伸長壁41の短辺側側壁部4の横幅方向への相対変位が防止されることとなる。
また、図12に示すように、着脱壁本体42の下辺部には係合突条部33の係合溝34に挿入可能な係合リブ44が設けられている。図7、図8に示すように、係合リブ44が係合溝34に挿入されることにより、係合リブ44が係合溝34の上縁部や下縁部に当接又は近接することとなり、上下方向における係合突条部33に対する係合リブ44の相対変位、ひいては、着脱側ベース壁31に対する着脱側伸長壁41の上下方向への相対変位が防止されることとなる。
尚、本実施形態では、係合溝34のうち、少なくとも係合リブ44を差込む方向の奥側の部位の上下幅は、係合リブ44の厚みとほぼ同じであり、係合溝34に対して係合リブ44を奥まで差し込めば、係合リブ44が係合溝34の上縁部及び下縁部に当接するようになっている。また、本実施形態では、係合リブ44が係合部に相当し、係合突条部33の係合溝34が被係合部に相当する。
さらに、図9、図11、図12等に示すように、着脱側伸長壁41の外面側下端部中央には、外方に開口した凹状に形成されるとともに、着脱側伸長壁41と着脱側ベース壁31とを連結するロック部材51を収容するための収容部45が設けられている。ロック部材51は、四角桝状の操作部52と、操作部52の一側辺部から側方に突出する係止片53とを備えている。
また、収容部45には、ロック部材51の係止片53を挿通可能とし、係止片53の挿通先を、着脱側ベース壁31の抜け止め突条部35の抜け止め係止孔36に挿入させるためのロック孔46(図9参照)が形成されている。そして、図7等に示すように、着脱側伸長壁41内面側の係合リブ44を着脱側ベース壁41外面側の係合溝34に挿入させることで、着脱側ベース壁31の一対の抜け止め突条部35の間に、着脱側伸長壁41の収容部45が位置し、短辺側側壁部4の厚み方向において、ロック孔46の位置と、抜け止め係止孔36の位置とが合致する。かかる状態としてから、ロック部材51の係止片53を、ロック孔46を介して抜け止め係止孔36に挿入させることにより、着脱側ベース壁31に対する着脱側伸長壁41の外方(脱落する方向)への相対変位が規制され、着脱側伸長壁41が着脱側ベース壁31に取付けられることとなる。尚、着脱側伸長壁41の着脱側ベース壁31への取付状態においては、着脱側ベース壁31(ベース壁本体32)の内面と、上内枠43の内面とが略面一となっている(図8等参照)。
また、上記のように、本実施形態では、係合溝34が上下3箇所に設けられている。このため、係合リブ44をどの係合溝34に挿入させるかによって、短辺側側壁部4の高さを3段階で変更することができる。従って、本実施形態では、短辺側側壁部4の高さを変更する場合には、着脱側ベース壁31に対して着脱側伸長壁41を着脱する必要がある。より具体的には、着脱側伸長壁41の着脱側ベース壁31からの取外しに際しては、短辺側側壁部4を寝かせ位置とした後、ロック部材51を操作して係止片53が抜け止め係止孔36から抜け出すまでロック部材51を移動させてから、着脱側伸長壁41を外側(上方)に引っ張ることで着脱側伸長壁41が取外されることとなる。さらに、着脱側伸長壁41の着脱側ベース壁31への取付けに際しては、ロック部材51がロック孔46から突出しない状態を維持しつつ、着脱側ベース壁31の外面側から、着脱側伸長壁41の係合リブ44を、係合突条部33の係合溝34に挿入させるとともに、ロック部材51を操作して、係止片53を抜け止め係止孔36に挿入させる。これにより、着脱側伸長壁41が着脱側ベース壁31に対して相対変位不可能に取付けられることとなる。
尚、本実施形態では、ロック部材51が規制手段を構成し、収容部45が規制収容部を構成する。また、図示は省略するが、ロック部材51及び収容部45には、ロック部材51の抜け止め係止孔36への出没変位を許容しつつ、脱落を防止する構成が備わっているものとする。
加えて、本実施形態では、起立位置とされた一対の長辺側側壁部3間の距離(一対の長辺側土台部5間の距離)は、スライド側伸長壁21が基準位置とされた長辺側側壁部3の高さを2倍した長さよりも若干長い程度である。すなわち、スライド側伸長壁21を基準位置とすれば、一対の長辺側側壁部3を寝かせ位置へと変位させることが可能となるが、スライド側伸長壁21を伸長位置とした状態では、一対の長辺側側壁部3を寝かせ位置となるまで変位させることができない構成となっている。その一方で、起立位置とされた一対の短辺側側壁部4間の距離は、最も伸長させた状態にある短辺側側壁部4の高さを2倍した長さよりも長く、短辺側側壁部4については、図5、図6に示すように、伸長させた状態であっても、一対の短辺側側壁部4を寝かせ位置へと変位させることができるようになっている。
図8、図12等に示すように、各短辺側側壁部4の左右両側部には、内面側から突出する支持壁部61が設けられている。本実施形態では、支持壁部61は、着脱側伸長壁41の上端部と、着脱側ベース壁31の上端部及び下部とに設けられている。そして、折畳み容器1を組立状態とすることで、長辺側側壁部3の外面側が支持壁部61に当接して支持され、長辺側側壁部3の外方への傾倒変位が防止されることとなる。
また、図8、図10等に示すように、長辺側側壁部3の外面のうち支持壁部61に支持される部位については凹状に形成されており、これによって、長辺側側壁部3を支持した支持壁部61が、長辺側側壁部3よりも外方に突出しないようになっている。さらに、長辺側側壁部3の外面側には、当該支持壁部61に支持される凹状部位から外方に突出するスライド側係止部としての係止突起62が設けられている。本実施形態では、係止突起62は、スライド側伸長壁21の上端部と、スライド側ベース壁11の上端部及び下部とに設けられている。
これに対し、支持壁部61には、図7、図12等に示すように、係止突起62を挿入可能な孔状又は凹状の着脱側係止部63が設けられている。そして、図1等に示すように、長辺側側壁部3及び短辺側側壁部4を起立位置に変位させ、折畳み容器1を組立状態とすることで、各着脱側係止部63に対してそれぞれに対応する係止突起62が挿入され(着脱側係止部63と係止突起62とが係止状態とされ)、長辺側側壁部3の伸縮変形(スライド側伸長壁21のスライド変位)や、短辺側側壁部4の外倒れ等が防止されることとなる。従って、本実施形態の長辺側側壁部3自体には、スライド側伸長壁21の上下方向への変位を防止する構成は存在しないものの、折畳み容器1を組立状態とすることで、スライド側伸長壁21の上下方向への変位を防止することができる。このため、例えば、スライド側伸長壁21が基準位置にある場合に、スライド側伸長壁21の持ち手部25を掴んで折畳み容器1を持ち上げたとしても、スライド側伸長壁21が上方の伸長位置側にスライド変位してしまうことを防止することができる。さらには、伸長位置にあるスライド側伸長壁21に対して下向きの力を加えたとしても、スライド側伸長壁21が下方の基準位置側にスライド変位してしまうことを防止することができる。本実施形態では、係止突起62及び着脱側係止部63によってスライド防止手段が構成される。
加えて、図1、図7等に示すように、着脱側伸長壁41の上内枠43の内面側には、外面側が支持壁部61に支持された長辺側側壁部3の内面側に当接し、長辺側側壁部3の内倒れを防止する弾性係止片64が設けられている。これにより、着脱側係止部63と係止突起62との係止状態が不用意に解除されてしまうといった事態を防止することができ、折畳み容器1の組立状態をより確実に維持することができる。
尚、各着脱側係止部63に対してそれぞれ対応する係止突起62が挿入されることによって、組立状態とされた折畳み容器1の長辺側側壁部3の上辺部と、短辺側側壁部4の上辺部との高さ位置が揃うように構成されている。また、本実施形態では、3段階で高さ変更可能な短辺側側壁部4を最も高くした状態として、着脱側係止部63と係止突起62とを係止させることで、スライド側伸長壁21が伸長位置で保持されるようになっている。さらに、短辺側側壁部4を最も低くした状態として、着脱側係止部63と係止突起62とを係止させることで、スライド側伸長壁21が基準位置で保持されるようになっている。加えて、短辺側側壁部4を中間の高さとして、着脱側係止部63と係止突起62とを係止させることで、スライド側伸長壁21が、基準位置と伸長位置との中間地点で保持されるようになっている。
また、図1、図10等に示すように、長辺側土台部5には、上方かつ外方に開口し、寝かせ位置とされた短辺側側壁部4の支持壁部61を挿入可能な収容凹部66が形成されている。これにより、図4等に示すように、短辺側側壁部4を寝かせ位置へと変位させる場合に、短辺側側壁部4の着脱側伸長壁41から突出する支持壁部61が長辺側土台部5に干渉して、短辺側側壁部4と長辺側側壁部3との間に比較的大きな隙間が形成されてしまうことを避けることができ、短辺側側壁部4を長辺側側壁部3と略平行に延びるまで折畳むことができる。従って、折畳み状態にある折畳み容器1のコンパクト化をより一層図ることができる上、支持壁部61が収容凹部66に係止されることとなり、短辺側側壁部4の位置ずれ等をより確実に防止することができる。さらに、本実施形態では、短辺側側壁部4の高さを3段階で変更可能に構成されていることに対応して、短辺側側壁部4がいずれの高さにあっても、支持壁部61を収容凹部66に挿入可能なように、支持壁部61が位置し得る範囲に収容凹部66が形成されている(図4〜図6参照)。
以上詳述したように、本実施形態によれば、長辺側側壁部3及び短辺側側壁部4を折畳むことのできる折畳み容器1において、長辺側側壁部3及び短辺側側壁部4を伸縮させて、折畳み容器1の容積を変化させることができる。このため、折畳み容器1に収容される物品の大きさや数量等に応じて折畳み容器1の容積を変化させ、折畳み容器1内における物品が存在しない余剰空間を極力小さくすることができる。換言すれば、物品を収容した状態にある折畳み容器1のコンパクト化を図り、物品の運搬・保管効率の向上を図ることを前提とした上で、大きさや数量等が異なる複数種類の物品に対応することができる。従って、容積の異なる折畳み容器1を多種類用意しておくといった事態を抑制することができ、折畳み容器1そのものの保管効率の向上や、折畳み容器1を使用して物品を運搬等する場合の折畳み容器1の準備・片付け段階での作業効率の向上を図ることができる。結果として、保管スペースの縮小や作業時間の短縮等に伴いコストダウンを図ることができる。
さらに、本実施形態によれば、長辺側側壁部3はスライドで伸縮させる構成となっているのに対し、短辺側側壁部4は、底壁部2に回動可能に取付けられた着脱側ベース壁31に対する着脱側伸長壁41の取付位置を変えることで伸縮させる構成となっている。すなわち、全ての側壁部を長辺側側壁部3のようにスライドで伸縮させる場合には、伸縮させる際の操作性に優れるものの、側壁部を所定の高さに伸長させた場合に、スライド部位(スライド側伸長壁21)をその位置で保持する機構が別途必要となり、構成の複雑化や、折畳み容器1の組立て・折畳みに際しての作業性の低下を招くことが懸念される。
そこで、本実施形態では、短辺側側壁部4については、高さ方向にスライドさせることなく、着脱側ベース壁31に対する着脱側伸長壁41の取付位置に応じて高さが変わるように構成し、長辺側側壁部3のスライド部位であるスライド側伸長壁21に設けられた係止突起62を、短辺側側壁部4に設けられた着脱側係止部63と係止させることで、長辺側側壁部3(スライド側伸長壁21)のスライド変位を確実に防止できるようになっている。従って、スライドで伸縮する側壁部において自身のスライド変位を防止するための構成を別途設けなくても済み、構成の簡素化等を図りつつ、箱型に組立てられた折畳み容器1の形状を確実に維持することができる。
また、短辺側側壁部4は、底壁部2の上側に畳まれた一対の長辺側側壁部3の上側に重なるようにして畳まれ、且つ、着脱側ベース壁31に対して着脱自在に取付けられる着脱側伸長壁41は、その内面が着脱側ベース壁31の外面と対向するように取付けられている。これらの構成により、全ての長辺側側壁部3及び短辺側側壁部4を寝かせ位置に変位させ、折畳み容器1を折畳み状態としてから、着脱側ベース壁31に対して着脱側伸長壁41を着脱する作業を行うことができる。より具体的に、例えば、着脱側伸長壁41が着脱側ベース壁31の内面側に取付けられる場合、短辺側側壁部4を完全に寝かせ位置としてしまうと着脱側伸長壁41を取外すことが困難となり、短辺側側壁部4を回動変位させている途中で着脱側伸長壁41を着脱したりしなければならず、作業性が悪い。この点、本実施形態のように、着脱側伸長壁41が着脱側ベース壁31の外面側に取付けられることで、短辺側側壁部4を寝かせ位置としてから、着脱側伸長壁41の着脱作業を円滑に行うことができる。
さらに、例えば、寝かせ位置とされた(畳まれた)短辺側側壁部4の上側に長辺側側壁部3が畳まれる構成、つまり、短辺側側壁部4が長辺側側壁部3よりも先に畳まれる構成の場合には、長辺側側壁部3を畳んだ後からでは短辺側側壁部4の着脱側伸長壁41を取外せなくなる。このため、作業者は、相対する一対の起立した長辺側側壁部3の間に潜り込むようにして、着脱側伸長壁41の着脱作業を行わなければならず、作業性が悪い。この点、本実施形態のように、先に長辺側側壁部3を畳み、その後、短辺側側壁部4を畳んでから、着脱側伸長壁41の着脱作業を行える構成とすることで、全ての長辺側側壁部3及び短辺側側壁部4を寝かせ位置としてから、落ち着いて着脱側伸長壁41の着脱作業を行うことができる。従って、着脱側伸長壁41の着脱作業をより容易(スピーディー)、かつ、より正確に行うことができる。
また、本記実施形態では、着脱側ベース壁31と着脱側伸長壁41との取付状態においては、着脱側ベース壁31の係合突条部33に形成された係合溝34に着脱側伸長壁41の係合リブ44が挿入されており、着脱側ベース壁31に対して着脱側伸長壁41を短辺側側壁部4の高さ方向において上下に相対変位させようとしても、係合リブ44と、係合溝34の上縁部又は下縁部とが短辺側側壁部4の高さ方向において当接し、その変位が規制されるようになっている。このため、例えば、長辺側側壁部3のような側壁部の高さ方向に力を加えることで伸縮させることのできる側壁部とは構成が根本的に異なり、短辺側側壁部4が所定の高さとなるように着脱側伸長壁41を着脱側ベース壁31に対し取付状態としたならば、着脱側ベース壁31に対する着脱側伸長壁41の短辺側側壁部4の高さ方向における相対変位を確実に防止することができる。従って、例えば、組立状態にある折畳み容器1を上下に積み重ねる(段積みする)等して、伸長状態にある短辺側側壁部4や、当該短辺側側壁部4に係止された長辺側側壁部3が圧縮荷重を受けたり、折畳み容器1に比較的重量のある物品を収容した状態で短辺側側壁部4や長辺側側壁部3(持ち手部25)に手を掛けて折畳み容器1を持ち上げる等して、収縮状態にある短辺側側壁部4及び長辺側側壁部3が引張り荷重を受けたりしても、短辺側側壁部4及び長辺側側壁部3の伸縮を確実に防止することができる。結果として、所定の箱型形状を維持するといった作用効果がより一層奏されることとなる。
さらに、係合溝34が上下3箇所に設けられており、係合リブ44を挿入する対象を変更することで、短辺側側壁部4の高さを変更可能に構成されている。このため、例えば、長辺側側壁部3及び短辺側側壁部4の両方が高さ方向にスライドすることで伸縮する構成であって、短辺側側壁部4のスライド変位を防止するための構成を別途設けたような構成に比べ、比較的簡単な構成を採用しつつ、着脱側ベース壁31に対して着脱側伸長壁41を上下にがたつきのないようにきっちりと取付けることができ、折畳み容器1の箱型形状の安定化をより一層図ることができる。
また、着脱側ベース壁31に対し着脱側伸長壁41が「着脱自在」に取付けられることを前提とし、着脱側伸長壁41の着脱側ベース壁31からの脱落を防止する構成として、例えば、着脱側ベース壁31に対して先端に係止爪を有する弾性片を一体的に設けるとともに、着脱側伸長壁41に対して前記弾性片を挿通可能な係止孔を設ける場合には、着脱側伸長壁41に外力が加えられた場合に前記弾性片が変形してしまうおそれがある。これに起因して、着脱側伸長壁41の着脱側ベース壁31への取付状態が安定せず、がたついたり、場合によっては、外れてしまったりすることが懸念される。
これに対し、本実施形態によれば、着脱側伸長壁41の着脱側ベース壁31からの脱落を防止する構成として、着脱側ベース壁31や着脱側伸長壁41とは別体であるロック部材51を設けていることから、着脱側伸長壁41の着脱側ベース壁31への取付けに際し、ロック部材51自体を変形させる必要がない。このため、着脱側伸長壁41に対して着脱側ベース壁31から離間する方向に力が加えられた場合でも、ロック部材51の変形を回避させることができ、ロック部材51の変形に起因する着脱側伸長壁41のがたつきや脱落等をより確実に防止することができる。従って、着脱側伸長壁41を着脱側ベース壁31に対して着脱自在に構成しつつ、着脱側ベース壁31に対する着脱側伸長壁41の取付状態の安定化をより一層図ることができる。
また、ロック部材51を左右にスライドさせ、係止片53を抜け止め突条部35の抜け止め係止孔36に対して出没させる簡単な操作で、着脱側伸長壁41の着脱が許容される状態と規制される状態とに切り替えることができる。このため、例えば、別途工具が必要となる取付手段(例えば、ボルト及びナット等)を利用する場合に比べ、短辺側側壁部4の高さを変更する際の作業性の向上を図ることができる。
加えて、着脱側伸長壁41の下端部にはロック部材51を収容する収容部45が設けられている。これにより、ロック部材51が着脱側伸長壁41の下端部近傍に位置することとなり、着脱側伸長壁41の高さを効率的に最大限利用して、短辺側側壁部4を伸長させた場合の高さが極力高くなるようにすることができる。さらに、着脱側伸長壁41の両側辺部上端には、着脱側係止部63が形成された支持壁部61が設けられている。これにより、短辺側側壁部4の上端部と長辺側側壁部3の上端部との間を係止することができ、短辺側側壁部4及び長辺側側壁部3の上部の傾倒変形やがたつき等を抑制して、箱型形状の安定化を図ることができる。さらに、着脱側伸長壁41の下端部については、ロック部材51によって、着脱側ベース壁31に取付固定されることとなる。このため、例えば、着脱側係止部63、及び、ロック部材51がともに着脱側伸長壁41の上端部又はその近傍に設けられる場合に、着脱側伸長壁41の下端部ががたつき易くなったり、着脱側係止部63、及び、ロック部材51がともに着脱側伸長壁41の下端部又はその近傍に設けられる場合に、着脱側伸長壁41の上端部ががたつき易くなったりするといった不具合を防止することができる。従って、折畳み容器1の組立状態の安定化等をより一層図ることができる。
また、本実施形態では、スライド側伸長壁21が伸長位置にある長辺側側壁部3の高さを2倍した長さが、当該一対の長辺側側壁部3間の距離よりも長く構成されている。従って、スライド側伸長壁21が伸長位置にある状態では一対の長辺側側壁部3を折畳むことができないが、スライド側伸長壁21を基準位置とすることで、一対の長辺側側壁部3を寝かせ位置へと変位させ、相対する一対の長辺側側壁部3の高さ位置を揃える(横並びにする)ようにして折畳み容器1を折畳むことができるようになっている。このため、相対する一対の長辺側側壁部3を上下に重ねるようにして折畳むように構成しなくてもよく、折畳み状態にある折畳み容器1のコンパクト化、及び、折畳みに関する構成の簡素化等を図ることができる。従って、折畳み状態にある折畳み容器1のコンパクト化に伴って折畳み容器1の運搬・保管効率の向上を図りつつ、より多くの種類の物品形状に対応することができ、利便性の向上をより一層図ることができる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態では、長辺側側壁部3はスライドで伸縮させ、短辺側側壁部4は着脱側伸長壁41の取付位置を変更することで伸縮させるように構成されているが、短辺側側壁部4をスライドで伸縮させ、長辺側側壁部3を着脱式の壁の取付位置の変更で伸縮させるように構成してもよい。但し、長辺側側壁部3が伸長状態にあると折畳めないような構成であって、長辺側側壁部3を着脱式とすると、長辺側側壁部3を伸長状態で使用している状況で折畳み容器1を一時的に折畳み状態としたい場合であっても、長辺側側壁部3を折畳むためには着脱式の壁を逐一取外さなければならない。従って、長辺側側壁部3が伸長状態にあると折畳めないような構成である場合には、長辺側側壁部3をスライド式とすることが望ましい。また、短辺側側壁部4の方を着脱式とすることで、長辺側側壁部3を着脱式とする場合に比べ、着脱する壁である着脱側伸長壁41の面積が比較的小さくなったり、比較的軽量になったりするため、着脱側伸長壁41の着脱作業が比較的行い易くなる。
(b)上記実施形態では、着脱側ベース壁31の外面側に設けられた係合突条部33に形成された係合溝34に対し、着脱側伸長壁41の内面側に設けられた係合リブ44が挿入されることで、着脱側ベース壁31及び着脱側伸長壁41の上下の相対変位が防止され、さらに、係合溝34が上下3箇所に設けられ、係合リブ44の挿入対象を変更することで、短辺側側壁部4の高さを変更しているが、特にこのような構成に限定されるものではない。例えば、着脱側ベース壁31に係合リブ44を設けるとともに、着脱側伸長壁41に係合溝34を設けることとしてもよい。また、例えば、係合溝34を上下に複数形成するのではなく、係合リブ44を上下に複数形成する、或いは、係合溝34及び係合リブ44の両方を上下に複数形成することで、短辺側側壁部4の高さを変更可能に構成してもよい。さらに、係合溝34や係合リブ44の代わりに、例えば、着脱側ベース壁31及び着脱側伸長壁41のうち、一方に設けられた孔部又は凹部に対して、他方に設けられた凸部を挿入させることで、短辺側側壁部4の伸縮が防止されるように構成してもよい。
尚、側壁部4をスライドさせることなく伸縮させる方法としては、着脱式以外に、例えば、底壁部2に回動可能に取付けられる側板の上辺部に対して、別の側板を回動可能に取付ける構成が考えられる。しかしながら、側壁部4の高さを、例えば、3段階、4段階とする場合には、側板部を折畳んで側壁部4を収縮状態とすると、側壁部4の厚み方向において側板が3枚、4枚と重なることから、収縮状態の側壁部4の厚みがかなり厚くなってしまうおそれがある。さらには、隣接する側壁部3、4間の係止構造の形成が困難になってしまうことが懸念される。この点、上記実施形態の短辺側側壁部4のように、着脱側ベース壁31に対して着脱側伸長壁41を着脱可能に構成し、係合溝34を短辺側側壁部4の高さ方向に沿って複数設けることで、上記不具合を回避しつつ、比較的簡単に短辺側側壁部4、及び、長辺側側壁部3の高さを3段階以上に変更可能に構成することができる。さらに、平面積等は同じでいいが、側壁部3、4を異なる高さで止めておきたいという設計変更が生じた場合には、係合溝34の形成位置を変更するべく、係合溝34が設けられている着脱側ベース壁31を取り換えるだけで済む。従って、生産効率の向上等を図ることができる。
(c)上記実施形態では、着脱側伸長壁41の着脱側ベース壁31からの脱落を防止する規制手段としてロック部材51が設けられているが、これに限定されるものではなく、例えば、着脱側ベース壁31に対して上下複数箇所に孔部を形成するとともに、着脱側伸長壁41に対して孔部を形成し、両孔部を位置合わせしてボルト及びナットで連結してもよい。また、例えば、着脱側伸長壁41に孔部を形成するとともに、着脱側ベース壁31に雌ねじの形成された孔部を上下複数箇所に形成し、両孔部を位置合わせしてねじで固定することとしてもよい。これらの場合、係合突条部33(係合溝34)及び係合リブ44を省略することも可能である。
また、上記実施形態では、規制手段として短辺側側壁部4とは別部材のロック部材51が設けられているが、規制手段を短辺側側壁部4(着脱側伸長壁41)に対して一体的に設けるように構成してもよい。例えば、着脱側ベース壁31の外面、又は、着脱側伸長壁41の内面のうち、一方から突出し、他方に形成された係止孔に係止される係止片をロック部材の代わりに設けることとしてもよい。但し、上記実施形態のように、ロック部材51で着脱側伸長壁41を着脱側ベース壁31に取付けることで、着脱側伸長壁41を着脱側ベース壁31に対して着脱自在に構成しつつ、着脱側伸長壁41の着脱側ベース壁31への取付状態の安定化をより一層図ることができる。
(d)上記実施形態では、持ち手部25は長辺側側壁部3に設けられているが、これに代えて、又は、加えて、短辺側側壁部4に持ち手部を設けることとしてもよい。尚、一対の長辺側側壁部3に持ち手部25を設けることで、持ち手部25に手を掛ける際に、腕をさほど開かずに折畳み容器1を持ち上げることができる。また、上記実施形態のように、長辺側側壁部3はスライドで伸長する側壁部であるが、短辺側側壁部4と係止状態とされることで、確実に伸縮が防止されることから、持ち手部25を持って折畳み容器1を持ち上げたとしても、長辺側側壁部3の伸縮を確実に防止することができる。
(e)図7等では、支持壁部61の内面側において、着脱側伸長壁41に設けられた支持壁部61に形成された上下一対の着脱側係止部63(孔部)と、かかる一対の着脱側係止部63間を連結する壁部との間に段差が形成されているが、かかる段差をなくすように形成してもよい。この場合、長辺側側壁部3を起立位置へと変位させる際に、スライド側伸長壁21に形成された係止突起62が、これに対応する着脱側係止部63の若干下方に相対位置した場合でも、支持壁部61の内面に当接した係止突起62を支持壁部61に摺接させるようにして上方に変位させることで、着脱側係止部63に挿入させることができる。従って、組立時(特に3段階ある高さの中間の高さ時)の作業性の向上を図ることができる。
(f)上記実施形態では、折畳み容器1はポリプロピレンにより構成されているが、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。