JP6813305B2 - 搬送用パレット - Google Patents
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その中でも、特許文献2、3に示したような、不使用時(空荷時)に支柱を折り畳んでコンパクト化できる折り畳み式の搬送用パレットは、不使用時の小スペース化を図ることができる上に、支柱又はその付属品の紛失の虞もなく、使用時には迅速に組み立てることができる等の種々の利点があり、近年、その需要が高い。
搬送物の嵩高が低いパレットの場合、搬送物と支柱の天端とが形成する内部空間がそのままデッドスペースとなるので、仮に1つのパレットで搬送物の嵩高に応じて支柱の高さを低く切り換えることができれば、段積みの数量を増やして搬送効率を高めたり、限られた保管スペースを有効利用できるので、より作業性、経済性、及び合理性に優れたパレットを提供できることは明らかである。
前記支柱は、前記柱受け部材に上下摺動自在に嵌挿される下部柱と、同下部柱に上下摺動自在に嵌挿される上部柱とからなること、
前記支柱が互いに折り重なり合う側の左右の柱受け部材にそれぞれ設けられた前記下部柱は、対向する内側面の上部を切り欠いた断面コ字形に形成され、前記下部柱と前記上部柱とは、一方に鉛直方向に長い長孔を設け、他方に前記長孔を貫通するピンを設けたピン連結とすることにより、上方に引き上げられた上部柱が内方に折り曲げ自在な構成とされ、前記内方に折り曲げられた上部柱は、互いに内方に折り曲げられた状態で対向配置となり、前記対向配置となる上部柱のいずれか一方には、他方の上部柱に掛け留めて連結する連結部材が設けられていることを特徴とする。
(1)支柱を基端部(下端部)で折り畳める構成であることに加え、中間部(下部柱と上部柱との連結部)でも折り曲げることが可能な構成を実現できるので、使用時(搬送時)の支柱の高さ、ひいては搬送用パレットの高さを低く(又は高く)切り換えることができる。また、低く切り換えた場合であっても、良好な段積み状態を実現することができる。
例えば、本実施例に係る搬送用パレット(高さ1177mm程度)によれば、支柱(上部柱)を折り曲げた際の高さが751mm程度と低くなり、支柱を折り曲げない場合の2段積みが、1177×2=2345mmであるのに対し、支柱(上部柱)を折り曲げた場合の3段積みが、751×3=2253mmであり、2段積みよりも3段積みの方が低くなる。
よって、搬送物の搬送効率を高めたり、保管物の保管スペースを有効利用できる、作業性、経済性、及び合理性に優れた搬送用パレットを実現することができる。
(2)また、請求項3〜請求項9を適宜採用することにより、強度・剛性をより効果的に高めて良好な形態保持を実現できるほか、設計の自由度を高めることができる搬送用パレットを実現することができる。
(3)単一の支柱で高さ調節が可能となるので、高さの異なる支柱を用意する従来方式と比し、面倒な支柱の取り替え作業、使用しない方の支柱の保管場所の確保や紛失の虞等の課題は一切生じない。
前記支柱3は、図3、図4にも示したように、前記柱受け部材2に上下摺動自在に嵌挿される下部柱4と、同下部柱4に上下摺動自在に嵌挿される上部柱5とからなる。
前記支柱3が互いに折り重なり合う側の左右の柱受け部材2、2にそれぞれ設けられた前記下部柱4、4は、対向する内側面の上部を切り欠いた断面コ字形に形成され、前記下部柱4と前記上部柱5とは、一方(本実施例では上部柱5)に鉛直方向に長い長孔6を設け、他方(本実施例では下部柱4)に前記長孔6を貫通するピン7を設けたピン連結とすることにより、上方に引き上げられた上部柱5が内方に折り曲げ自在な構成とされている。
前記パレット基台1は、本実施例では一例として、縦材と横材と束材(金属製の角パイプが好適)とを適宜組み合わせてフォークリフトのフォーク挿入口を形成した平面が矩形のフレーム枠体12と、同フレーム枠体12の上面部と下面部に敷設した床板材13と、同フレーム枠体12の外周部の四隅部近傍位置にバランスよく配設した柱受け部材2と、同フレーム枠体12の外周部の四隅部に配設したキャップ受け部材11とからなる。
なお、前記フレーム枠体12の構成は図示例に限定されるものではなく、パレット収容物を安定した状態で搬送できる形態で、且つ所要の強度・剛性を備えた平面が矩形の枠体であれば適宜設計変更可能である。
なお、前記床板材13の構成も図示例に限定されるものではなく、単一の面材(例えば、プラダン)でも勿論代用可能である。パレット収容物によっては床板材13自体を設けなくても実施可能である。
図示例に係る4本の支柱3は、それぞれ同形同大等の共通する構成をなすので、図1、図2の右手前の支柱3を例に説明する。
前記支柱3は、図3に示すように、前記柱受け部材2に上下摺動自在に嵌挿される下部柱4と、同下部柱4に上下摺動自在に嵌挿される上部柱5とからなる。
この下部柱4の上端部は、対向する支柱3方の内側面を切り欠いた断面コ字形に形成されている。この切欠き部は、前記上部柱5の内方への折り曲げを可能にすることはもとより、当該上部柱5の内方への折り曲げ角度を律することに供される。本実施例に係る切欠部は、上方へ引き上げた上部柱5を内方へ略水平(90度)に折り曲げ得る寸法に設定されている。
また、下部柱4の下端部における前記柱受け部材2の領域内の両側面部に、下端部を拡径した鉛直方向に長い長孔4aが形成され、同長孔4aを貫通するピン8が前記柱受け部材2の両側面部に軸支されたピン連結構造とされている。このピン連結構造により、前記下部柱4、ひいては支柱3全体を基端部から折り畳むことができる。前記長孔4aの下端部を拡径し、いわば変位裕度を持たせたのは、左右の支柱3、3を順不同で折り畳むことができる等、良好な折り畳み作業を実現するためである。
さらに、下部柱4の上端部の前寄り位置の両側面部には上部柱5の折り曲げ操作に供されるピン孔4bが形成されている。
ちなみに本実施例に係る下部柱4の高さは、一例として、前記柱受け部材2の高さが230mm程度であるのに対し、680mm程度で実施されている。即ち、前記下部柱4は、前記柱受け部材2の上端から450mm程度露出した構成で実施されている。
前記長孔6は、前記上部柱5を下部柱4内に良好に収めることができ、かつ上方へ引き上げた上部柱5を所要の角度(本実施例では90度)に回動可能な部位及び長さ(ストローク)で実施される。
また、前記上部柱5は、本実施例では、その下端部の外側部分に、当該上部柱5が折り曲げられた状態で下部柱4の上端部に嵌められるキャップ部材20を規制保持するための切欠き部5aが形成されている。前記上部柱5を折り曲げて支柱3全体の高さを低く切り換えた場合であっても良好な段積み状態を実現するためである。
ちなみに本実施例に係る上部柱5の高さは、一例として、前記下部柱4の高さが680mm程度に対し、650mm程度で実施されている。要するに、この上部柱5の高さは、略水平に折り曲げた際にパレット10の長手方向略中央部に到達する程度の長さであって、対向する折り曲げられた上部柱5との間隔を数cm程度に確保できる長さに設定されている。
なお、前記長孔6と前記ピン7とからなるピン連結構造は、前記構成とは逆に、前記長孔6を下部柱4に形成し、前記ピン7を上部柱5に設けたピン連結構造でも同様に実施できる。ただし、本実施例のように、下部柱4の外周に鞘部材9を巻装する等して補強する場合は、やはり図示例のように前記長孔6を上部柱5に形成し、前記ピン7を下部柱4に設けて実施する。
例えば、本実施例に係る搬送用パレット10(高さ1177mm程度)によれば、支柱3(上部柱5)を折り曲げた際の高さが751mm程度と低くなり、支柱3を折り曲げない場合の2段積みが、1177×2=2345mmであるのに対し、支柱3(上部柱5)を折り曲げた場合の3段積みが、751×3=2253mmであり、2段積みよりも3段積みの方が低くなる。
よって、搬送物の搬送効率を高めたり、保管物の保管スペースを有効利用できる、作業性、経済性、及び合理性に優れた搬送用パレットを実現することができる。
この掛止片16は、前記鉛直姿勢をより安定して保持するのに寄与するほか、当該掛止片16がない場合には長孔6の上端にピン7を突き当てて位置決めするほかなかった構成を、当該掛止片16を設けることにより任意の部位で位置決めすることが可能となるので、設計の自由度をより高めることができる。
一方、前記下部柱4の内側面を除いた側面の所定部位(特には外側面部)にも、前記柱受け部材2の上端部の側面に当てがい前記下部柱4の鉛直姿勢を保持する掛止片17が設けられている。
この掛止片17は、前記鉛直姿勢をより安定して保持するのに寄与するほか、当該掛止片17がない場合にはパレット基台1(下枠材12b)の上面に当接して立設するほかなかった構成を、当該掛止片17を設けることにより当該上面に当接させることなく浮かせた状態でも位置決めすることが可能となるので、やはり設計の自由度をより高めることができる。
ただし、前記掛止片16、又は掛止片17は、下記する拡幅部が形成されていない場合は、図示例のような平板状ではなく、掛け留められる側の下部柱4、又は柱受け部材2の板厚分だけ外方に突き出した逆L字形に形成する必要がある。
この拡幅効果により上部柱5を下部柱4の上端縁4cに係止でき、当該上部柱5の自重を下部柱4がバランスよく負担するので、より剛性を高めた搬送用パレット10を実現できる。また、拡幅部18と下部柱4との外形(断面形状)を一致させて実施できるので、拡幅部18の下端部に設ける前記掛止片16は、単なる平板状で実施できるほか、拡幅部18がない場合と比し、上部柱5の自重を負担する必要はなくなり、より合理的に上部柱5を下部柱4に取り付けることが可能となる。
この拡幅効果により、剛性を高めた搬送用パレット10を実現できる。また、拡幅部9と柱受け部材2との外形(断面形状)を一致させて実施できるので、拡幅部9の下端部に設ける掛止片17は、単なる平板状で実施できる。
例えば、本実施例では、4本の支柱3の挙動を共通させた構成で説明したが、搬送時の形態はこれに限定されず、図1に係る手前側の左右の2本の支柱3、3を折り曲げた構成とし、奥側の左右の2本の支柱3、3を折り曲げない構成として搬送することも勿論できる。或いは、図1に係る右方側の前後の2本の支柱3、3を折り曲げた構成とし、左方側の前後の2本の支柱3、3を折り曲げない構成として搬送することも勿論できる。これらの場合、キャップ部材20は、前記キャップ受け部材11に掛け留めておく。
また、本実施例に係るキャップ部材20は、長尺のバーの両端部に差し込み部を設けた構成で実施しているが、上記特許文献2の図1、図2等の符号19、或いは上記特許文献3の図7、図8等の符号3に示すような単なるキャップ部材でも同様に実施できる。
2 柱受け部材
2a 部材本体
2b 補強部材
2c 上端縁
3 支柱
4 下部柱
4a 長孔
4b ピン孔
4c 上端縁
5 上部柱
5a 切欠き部
6 長孔
7 ピン
8 ピン
9 拡幅部(鞘部材)
10 搬送用パレット
11 キャップ受け部材
12 フレーム枠体
12a 上枠材
12b 下枠材
13 床板材
14 規制バー
15 補強プレート
16 掛止片
17 掛止片
18 拡幅部(柱材(角パイプ))
19 連結部材
20 キャップ部材
21a リベット
21b リベット
Claims (9)
- 柱受け部材を四隅部又は四隅部近傍位置に立設した平面が矩形をなすパレット基台と、前記柱受け部材に基端部が折り畳み可能に立設される支柱とからなる搬送用パレットであって、
前記支柱は、前記柱受け部材に上下摺動自在に嵌挿される下部柱と、同下部柱に上下摺動自在に嵌挿される上部柱とからなること、
前記支柱が互いに折り重なり合う側の左右の柱受け部材にそれぞれ設けられた前記下部柱は、対向する内側面の上部を切り欠いた断面コ字形に形成され、前記下部柱と前記上部柱とは、一方に鉛直方向に長い長孔を設け、他方に前記長孔を貫通するピンを設けたピン連結とすることにより、上方に引き上げられた上部柱が内方に折り曲げ自在な構成とされ、前記内方に折り曲げられた上部柱は、互いに内方に折り曲げられた状態で対向配置となり、前記対向配置となる上部柱のいずれか一方には、他方の上部柱に掛け留めて連結する連結部材が設けられていることを特徴とする、搬送用パレット。 - 前記支柱の上部柱の上端部、又は上部柱が折り曲げられた状態での下部柱の上端部に嵌まるキャップ部材を備えていることを特徴とする、請求項1に記載した搬送用パレット。
- 前記上部柱の内側面を除いた側面の所定部位に、前記下部柱の上端部の側面に当てがい前記上部柱の鉛直姿勢を保持する掛止片が設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載した搬送用パレット。
- 前記上部柱は、前記下部柱の上端縁に突き合わせ当接される拡幅部が形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載した搬送用パレット。
- 前記上部柱の拡幅部は、当該上部柱の上方部分に同上部柱よりも幅広の柱材を外嵌めして形成されていること、又は上部柱の上方部分の外周面に平板材を添設して形成されていることを特徴とする、請求項4に記載した搬送用パレット。
- 前記上部柱は、その下端部の外側部分に、当該上部柱が折り曲げられた状態で下部柱の上端部に嵌められるキャップ部材を規制保持するための切欠き部が形成されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載した搬送用パレット。
- 前記下部柱の内側面を除いた側面の所定部位に、前記柱受け部材の上端部の側面に当てがい前記下部柱の鉛直姿勢を保持する掛止片が設けられていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載した搬送用パレット。
- 前記下部柱は、拡幅部が形成されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載した搬送用パレット。
- 前記下部柱の拡幅部は、当該下部柱の中間部分に外嵌めして一体化される鞘部材で形成されていること、又は下部柱の中間部分の外周面に平板材を添設して形成されていることを特徴とする、請求項8に記載した搬送用パレット。
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