以下、本発明に係るカードホルダを、カードホルダ1に適用した実施形態に基づいて、図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係るカードホルダ1の構成について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態に係るカードホルダ1は、組立工場や配送場等において、対象物(後述するコンテナCや金属ラックR)に対して取り付けられ、識別カードTを保持可能に構成されている(図7、図8参照)。識別カードTは、無線タグTWを有しており、無線タグTWには、物品の名称や属性、ロット番号等の多様な情報が記録されている。
尚、以下の説明においては、カードホルダ1が対象物(後述するコンテナCや金属ラックR)に取り付けられている状態を基準として、カードホルダ1の上下方向を定義し、対象物側を後側、その逆側を前側(正面)として、前後方向を定義して説明する。又、カードホルダ1の左右方向については、対象物側から前側を向いた場合の左右方向として定義して説明する。
図1〜図6に示すように、本実施形態に係るカードホルダ1は、カード保持部10と、薄肉ヒンジ20と、受け部30と、枠体部40と、取付部50を有しており、図9に示すように、上側金型MA及び下側金型MBを用いて、合成樹脂を射出成型することで、一体成型されている。カード保持部10は、一部が開放された箱型状に形成されており、識別カードTを着脱可能に保持する。当該カード保持部10は、その一辺側に形成された薄肉ヒンジ20を介して、カード保持部10の前方に配置された平板状の受け部30に対して回動自在に接続されている。従って、当該カードホルダ1は、薄肉ヒンジ20を軸としたカード保持部10の回動状態に応じて、通常状態(図1〜図3参照)と、使用状態(図4〜図6参照)の2つの態様をとり得る。
尚、通常状態とは、図1〜図3に示すように、薄肉ヒンジ20を軸として、カード保持部10を回動させることなく、略水平に保持している状態である。そして、使用状態とは、薄肉ヒンジ20を軸として、カード保持部10を回動させ、受け部30上面に重ね合わせた状態を意味し、カードホルダ1として、対象物(金属ラックRやコンテナC等)に取り付けられ、使用される状態を意味する。
カード保持部10は、本体部11と、側壁12と、保持片13と、係止突起14を有し、識別カードTを着脱可能に保持するカードホルダ1の主要部を構成する。当該カード保持部10は、本体部11と、側壁12と、保持片13によって、一部が開放された箱型状に形成される。本体部11は、略四角形を為す板状に形成されており、箱状を為すカード保持部10の一面を構成する。又、本体部11の一辺側(受け部30側に位置する一辺)には、薄肉ヒンジ20が形成されている。
側壁12は、本体部11において、薄肉ヒンジ20が形成された一辺と、その左右両側に位置する2辺に沿って、本体部11の一面側(通常状態における下面側)に立設されており、箱状を為すカード保持部10の側面を構成する。
保持片13は、カード保持部10の左右両側に形成された側壁12の端縁から、本体部11表面に対して水平に延出されており、本体部11表面に対して所定の間隔を隔てた位置に形成されている。図7、図8に示すように、当該カードホルダ1は、本体部11と保持片13の間に識別カードTを挿入することで、識別カードTの左右両側端部を押さえることができ、もって、識別カードTを保持することができる。
又、各保持片13は、図1、図5に示すように、本体部11側の一面に、本体部11表面に向かって突出形成された保持リブ13Aを有している。この保持リブ13Aによって、保持リブ13A端部と本体部11表面の間隔を若干狭めることができるので、識別カードTの左右両側端部を挟持することができる。
ここで、上述したように、カードホルダ1は、上述した凹凸金型である上側金型MA及び下側金型MBを用いて、合成樹脂を射出成型することにより一体に形成される。そして、保持片13を本体部11表面から所定間隔を隔てた位置に形成し、下側金型MBを抜く必要がある為、本体部11には、各保持片13と対向する範囲以上の大きさの開口部11Aが、必然的に形成されている。
そして、係止突起14は、本体部11の他面側(通常状態における上面側)に突出形成されており、薄肉ヒンジ20を軸に、カード保持部10を受け部30に重ね合わせた場合に、受け部30に形成された係止孔31と係合する(図5、図6参照)。従って、カード保持部10の係止突起14を、受け部30の係止孔31と係合させることにより、カードホルダ1は、カード保持部10を受け部30に重ね合わせた使用状態を維持することができる。
薄肉ヒンジ20は、カードホルダ1の前方部分を構成する受け部30と、カード保持部10の間において、カード保持部10を構成する本体部11の一辺側に沿って形成されている(図1〜図6参照)。上述したように、薄肉ヒンジ20は、カード保持部10や受け部30等、カードホルダ1を構成する各部と一体に形成されており、カード保持部10の本体部11の厚み及び、受け部30の厚みよりも薄く形成されている。カード保持部10及び受け部30よりも薄肉に形成することにより、薄肉ヒンジ20は、前記カード保持部10を、前記受け部30に対して回動可能に接続し得る。
受け部30は、略四角形の平板状に形成されており、当該カードホルダ1の前方部分を構成する。受け部30は、カードホルダ1において、前方側ほど上方に位置するように、所定角度で傾斜した状態で配置されている。上述したように、受け部30における後方下側に位置する一辺には、薄肉ヒンジ20が一体形成されており、カード保持部10を回動可能に保持している。従って、図4〜図6に示すように、薄肉ヒンジ20を軸として、カード保持部10を回動させて使用状態にすると、カード保持部10は、受け部30の傾斜に沿った状態となる。又、受け部30の中央部分には、係止孔31が形成されており、カード保持部10の係止突起14と協働することにより、カード保持部10を受け部30に重ね合わせた使用状態を維持する。
枠体部40は、カードホルダ1の前方部分を構成する受け部30と、カードホルダ1の後方部分を構成する取付部50との間を接続し、通常状態にあるカード保持部10の側面(即ち、薄肉ヒンジ20が形成されている部分を除く三方の側面)を囲むように形成されている。
取付部50は、当該カードホルダ1の後方部分を構成し、当該カードホルダ1を対象物(例えば、金属ラックRやコンテナC)に取り付ける際に用いられる。又、当該取付部50には、取付溝51と、取付突起52が形成されている。取付溝51は、取付部50において、下方が開放されており溝状に形成されており、カードホルダ1の左右方向に延びている。取付溝51は、その内部に対象物(金属ラックRやコンテナC)の一部が挿入されることにより、カードホルダ1を対象物に対して保持する。取付突起52は、取付溝51の内壁面に形成されており、取付溝51内に挿入された対象物の一部を挟持する。
図1〜図3に示すように、本実施形態に係るカードホルダ1が通常状態にある場合、カード保持部10は、受け部30と取付部50の間の位置において、枠体部40と略平行な状態で保持されている。図9に示すように、当該カードホルダ1は、上側金型MA及び下側金型MBを用いて、射出成型されると、通常状態で上側金型MA及び下側金型MBの間に形成される。従って、本実施形態に係るカードホルダ1は、上側金型MA及び下側金型MBから取り外され、製造された時点では、通常状態を為す。
そして、本実施形態に係るカードホルダ1は、対象物(金属ラックRやコンテナC)に取り付けて使用する場合、図4〜図6に示す使用状態に変更して使用される。具体的に通常状態から、薄肉ヒンジ20を軸として、カード保持部10を、カードホルダ1の上方に向かって回動させ、カード保持部10を、受け部30上面に重ね合わせることにより、カードホルダ1を使用状態に変更する。この時、カード保持部10の係止突起14は、受け部30に形成された係止孔31を挿通し、カード保持部10を受け部30上面に係止する。係止突起14と係止孔31の協働により、カードホルダ1は、使用状態を維持することができる。
図4〜図6に示すように、カードホルダ1が使用状態にある場合、カード保持部10の本体部11は、受け部30上面に対して重ね合わされている。上述したように、本体部11には、各保持片13に対向する範囲に、開口部11Aを有している為、当該カードホルダ1が使用状態にある場合に、各開口部11Aの少なくとも一部は、受け部30によって閉塞され、受け部30と重畳する位置に配置される(図6参照)。
ここで、カード保持部10において、保持片13と対向する部分には、開口部11Aが形成されている為、カード保持部10における各保持片13近傍の強度は、他の部分よりも低いことになる。この点、図4〜図6に示すように、カードホルダ1を使用状態にすれば、各開口部11Aの少なくとも一部を、受け部30と重畳する位置に配置することができるので、受け部30によって、各保持片13近傍の強度を補うことができ、カードホルダ1における保持強度を、十分なものとすることができる。
次に、本実施形態に係るカードホルダ1の使用態様について、図7、図8を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係るカードホルダ1を、金属ラックRに取り付けて使用する場合について説明する。ここで、当該金属ラックRは、自動倉庫、組立工場や配送場等において、物品や、当該物品を収納した運搬用容器(例えば、コンテナC)等を収納・保管する為のラックであり、棚枠RAを含む金属製の部材によって構成されている。図7に示すように、棚枠RAは、金属ラックRを構成する所定の断面形状を有する金属鋼材であり、金属ラックRにおいて、水平方向に延びるように配設されている。又、棚枠RAの下側リップ部分を構成する下側端縁は、上方に向かって鉛直に立設されている。
図7に示すように、本実施形態に係るカードホルダ1は、取付部50の取付溝51を介して、金属ラックRを構成する棚枠RAの下側端縁に対して取り付けられる。具体的には、棚枠RAの下側端縁の上方から、当該使用状態とされたカードホルダ1を下方に移動させ、取付部50の取付溝51内に、棚枠RAの下側端縁を挿入する。これにより、取付部50の取付溝51によって、棚枠RAの下側端縁が挟持されることになるので、本実施形態に係るカードホルダ1を、金属ラックRの棚枠RAに対して取り付けることができる。
尚、本実施形態に係るカードホルダ1を対象物(金属ラックRやコンテナC)に取り付けた状態で、カードホルダ1が使用状態であればよく、通常状態で取り付けた後に、カード保持部10を回動させて使用状態にしても良い。
そして、使用状態で棚枠RAに取り付けられたカードホルダ1において、識別カードTが、カード保持部10内に挿入されて保持される。上述したように、識別カードTは、無線タグTWを有しており、無線タグTWには、物品の名称や属性、ロット番号等の多様な情報が記録されている。
ここで、無線タグTWに記録されている情報の読取を正常に行う為には、無線タグTWと、無線タグリーダ(図示せず)との間で、電波の送受信が正常に行われることが必要である。この点、無線タグTWと、無線タグリーダとの間で送受信される電波は、無線タグTW近傍に位置する金属や液体の影響を受ける場合があり、これらの金属や液体の影響を受けた場合、無線タグTWに記録された情報の読取不良が生じ得る。
本実施形態に係るカードホルダ1を、金属ラックRの棚枠RAに対して、使用状態で取り付けた場合、カード保持部10は、棚枠RAから、枠体部40に相当する距離の分だけ離間した位置に位置する(図7参照)。従って、カード保持部10に保持された識別カードTの無線タグTWは、金属である棚枠RAから、枠体部40に相当する距離以上離間した位置に位置する。これにより、無線タグTWに記録された情報を読み取る際に送受信される電波が、金属製の棚枠RAから受ける影響を小さくすることができるため、当該カードホルダ1は、無線タグTWの読取不良が少ない態様で、識別カードTを保持することができる。
又、本実施形態に係るカードホルダ1を、金属ラックRの棚枠RAに対して、使用状態で取り付けた場合、カード保持部10は、受け部30に沿って所定角度で傾斜した状態となる。この場合、カード保持部10に保持された識別カードTも、所定角度で傾斜した状態となる為、無線タグTWに記録された情報の読取精度を向上させ得る。
次に、本実施形態に係るカードホルダ1を、コンテナCに取り付けて使用する場合について説明する。ここで、当該コンテナCは、自動倉庫、組立工場や配送場等において、物品(例えば、金属製部品や液体等)を収納する運搬用容器であり、合成樹脂によって、上方が開放された箱状に形成されている。図8に示すように、コンテナCは、その開口縁を構成する四辺に、取付穴CAを有している。取付穴CAは、本実施形態に係るカードホルダ1を取り付ける為の長穴であり、取付部50の一部を挿入可能に構成されている。
図8に示すように、本実施形態に係るカードホルダ1は、取付部50の取付溝51を介して、コンテナCの取付穴CAに対して取り付けられる。具体的には、コンテナCの取付穴CAの上方から、当該使用状態とされたカードホルダ1を下方に移動させ、取付部50の一部を、コンテナCの取付穴CA内に挿入する。これにより、取付部50の取付溝51によって、コンテナCの開口縁の一部が挟持されることになるので、本実施形態に係るカードホルダ1を、コンテナCに対して取り付けることができる。
図8に示すように、使用状態でコンテナCに取り付けられたカードホルダ1において、識別カードTが、カード保持部10内に挿入されて保持される。そして、本実施形態に係るカードホルダ1を、コンテナCに使用状態で取り付けた場合、カード保持部10は、コンテナCの側面から、枠体部40に相当する距離の分だけ離間した位置に位置する。従って、コンテナC内に、金属製部品や液体等が収納されている場合において、カード保持部10に保持された識別カードTの無線タグTWは、コンテナC内部に収納されている金属製部品等から、枠体部40に相当する距離以上離間した位置に位置する。これにより、無線タグTWに記録された情報を読み取る際に送受信される電波が、コンテナC内部に収納された金属製部品等から受ける影響を小さくすることができるため、当該カードホルダ1は、無線タグTWの読取不良が少ない態様で、識別カードTを保持することができる。
又、本実施形態に係るカードホルダ1を、コンテナCに対して、使用状態で取り付けた場合、カード保持部10は、受け部30に沿って所定角度で傾斜した状態となる。この場合、カード保持部10に保持された識別カードTも、所定角度で傾斜した状態となる為、無線タグTWに記録された情報の読取精度を向上させ得る。
続いて、本実施形態に係るカードホルダ1の製造工程について、図9を参照しつつ詳細に説明する。上述したように、本実施形態に係るカードホルダ1は、上側金型MA及び下側金型MBを用いて、合成樹脂を射出成型することによって、一体的に形成される。即ち、図9に示すように、上側金型MAの下面及び下側金型MBの上面によって形成される空間(コア及びキャビティによって構成される空間)内に、合成樹脂を射出成型することによって、本実施形態に係るカードホルダ1は、一体的に形成される。
そして、上側金型MA及び下側金型MBにより構成される空間内に射出成型された合成樹脂が冷却固化された段階で、上側金型MA若しくは下側金型MBを、離間する方向(即ち、図9における上又は下方向)に移動させて、空間内に形成された本実施形態に係るカードホルダ1を、上側金型MA若しくは下側金型MBから取り外す。これにより、本実施形態に係るカードホルダ1は、上側金型MA及び下側金型MBを用いて、合成樹脂を射出成型して、製造することができる。
尚、図9に示すように、本実施形態に係るカードホルダ1は、上側金型MA及び下側金型MBの間で、通常状態で成型されている為、カード保持部10を構成する側壁12の厚み等が小さくなることはなく、所定の強度を維持した状態で成型される。
ここで、上側金型MA及び下側金型MBのような、凹凸金型を用いて、本実施形態に係るカードホルダ1の使用状態と同様の状態のカードホルダ100を製造した場合について、図10を参照しつつ考察する。当該カードホルダ100は、上述した本実施形態に係るカードホルダ1の使用状態と同様に、前方側において所定角度で傾斜した状態で配置されたカード保持部110と、後方側に形成された取付部150を有している。
そして、このカードホルダ100におけるカード保持部110は、所定角度で傾斜した平板状の本体部111と、本体部111における三辺に沿って立設された側壁112と、カード保持部110の左右両側に形成された側壁112の端縁から、本体部111表面に対して水平に延出された保持片113とを有して構成されている。又、この場合においても、上側金型MA及び下側金型MBと同様の凹凸金型により、保持片113を形成する関係上、保持片113の下方に相当する部分を含む本体部111の所定範囲には、開口部111Aが形成される。
上述したように、当該カードホルダ100は、凹凸金型を用いて合成樹脂を射出成型して製造され、凹凸金型を上又は下方向に移動させて、離間させることにより、凹凸金型内から取り出される。図10に示すように、カードホルダ100においては、カード保持部110が所定角度で傾斜した状態で射出成型されるので、カード保持部110下部に形成される側壁112は、凹凸金型の移動方向(即ち、上又は下方向)の関係上、その厚みが小さくなってしまい、本実施形態に係るカードホルダ1よりも強度の低い強度低下部分Wとなってしまう。この点、本実施形態に係るカードホルダ1は、図9に示すように、上側金型MA及び下側金型MB内に、通常状態で形成される為、使用状態においてカード保持部10下部に位置する側壁12の厚みが小さくなることはなく、十分な強度を有するカード保持部10を形成し得る。
又、図10に示すように、カードホルダ100においては、保持片113と対向する部分に、開口部111Aが形成された状態で使用されることになり、本実施形態に係るカードホルダ1のように、受け部30で強度を補うこともできない。従って、当該カードホルダ100においては、カード保持部110における保持片113近傍の強度が、本実施形態に係るカードホルダ1よりも低下した状態で使用されることになる。上述したように、本実施形態に係るカードホルダ1によれば、使用状態にすることで、カード保持部10における開口部11Aの一部を、受け部30と重ね合わせることができ、もって、カード保持部10における保持片13近傍の強度を補うことができる。
更に、当該カードホルダ100は、凹凸金型に合成樹脂を射出成型することによって、本実施形態に係るカードホルダ1が使用状態である状態と同様の構成で形成される。この点、本実施形態に係るカードホルダ1では、上側金型MA及び下側金型MBに合成樹脂を射出成型することにより、受け部30及び取付部50の間に、カード保持部10が位置する通常状態で形成される。図9、図10からわかるように、当該カードホルダ100の前後方向の長さは、本実施形態に係るカードホルダ1と比較して長く形成されることになる為、カードホルダ100を構成する為の凹凸金型は、本実施形態に係るカードホルダ1を形成する為の上側金型MA及び下側金型MBと比較して、大型なものとなってしまう。換言すれば、本実施形態に係るカードホルダ1によれば、図10に示すカードホルダ100と比較して、小型の金型(上側金型MA及び下側金型MB)を用いて製造することができるので、製造コストを低減することができる。
以上説明したように、本実施形態に係るカードホルダ1は、カード保持部10と、薄肉ヒンジ20と、受け部30とを有し、合成樹脂により一体成型されている。カード保持部10は、平板状の本体部11と、前記本体部11表面から間隔を隔てた位置に形成された保持片13とを有しており、前記本体部11と前記保持片13の間に挿入することで、識別カードTを保持可能に構成されている。そして、当該カード保持部10は、前記本体部11における前記保持片13と対向する範囲を開口した開口部11Aを有している。従って、当該カードホルダ1によれば、単純な金型構造である凹凸金型である上側金型MA及び下側金型MBによって、カード保持部10を構成する本体部11及び保持片13を形成することができる。
そして、本実施形態に係るカードホルダ1において、薄肉ヒンジ20は、前記カード保持部10と、当該カード保持部10における本体部11の一辺側に平板状に形成された受け部30の間において、前記カード保持部10を、前記受け部30に対して回動可能に接続している。従って、当該カードホルダ1によれば、薄肉ヒンジ20を軸として、カード保持部10を回動させることができ、当該カード保持部10を受け部30に対して重ね合わせた使用状態にすることができる。そして、当該カードホルダ1によれば、図6に示すように、当該カードホルダ1を使用状態にした場合に、前記開口部11Aの少なくとも一部分は、前記受け部30と重畳するように構成されている。この結果、本実施形態に係るカードホルダ1によれば、受け部30によって、カード保持部10における保持片13近傍の強度を補うことができ、十分な保持強度を実現し得る。
そして、本実施形態に係るカードホルダ1は、更に、樹脂により一体成型された取付部50と、枠体部40とを有している。取付部50は、前記薄肉ヒンジ20が形成された前記受け部30の一辺に対向し、且つ、前記カード保持部10が回動可能な寸法離間した位置に形成され、当該カードホルダ1を対象物(例えば、コンテナCや金属ラックR等)に取り付ける際に用いられる。枠体部40は、薄肉ヒンジ20が形成された前記受け部30の一辺と、当該受け部30の一辺に対向する前記取付部50の一辺と共に、前記カード保持部10の端縁を囲むように形成されている。従って、当該カードホルダ1によれば、当該カードホルダ1を使用状態とすることで、図4〜図6に示すように、カード保持部10を、前記枠体部40に相当する寸法の分、前記取付部50から離間した位置に位置させることができる。
ここで、本実施形態に係るカードホルダ1においては、物品の名称や属性、ロット番号等の多様な情報が記録された無線タグTWを有する識別カードTが、使用状態にあるカード保持部10に保持される。図7、図8に示すように、本実施形態に係るカードホルダ1は、当該カードホルダ1を使用状態にすることにより、カード保持部10に保持された識別カードTの無線タグTWを、金属である棚枠RAや、内部に金属製部品等を収納したコンテナCから、枠体部40に相当する距離以上離間した位置に位置させることができる。これにより、無線タグTWに記録された情報を読み取る際に送受信される電波が、金属製の棚枠RAや、コンテナC内の金属製部品等から受ける影響を小さくすることができるため、当該カードホルダ1は、無線タグTWの読取不良が少ない態様で、識別カードTを保持することができる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。例えば、上述した実施形態においては、識別カードTは、物品の搬入、搬出及び管理等に利用される種々の情報を記録した無線タグTWを有するものであったが、この態様に限定されるものではない。即ち、識別カードTは、物品の搬入、搬出及び管理等に利用される種々の情報を記録した記憶媒体(例えば、磁気テープ等)を有するものであっても良い。又、識別カードTとして、その表面に、物品の搬入、搬出及び管理等に利用される種々の情報を印刷したものであっても良いし、これらの情報をコード化したもの(例えば、バーコードや二次元コード)を印刷したものを用いることも可能である。
又、上述した実施形態においては、当該カードホルダ1が取り付けられる対象物として、金属ラックRを構成する金属製の棚枠RAや、合成樹脂製のコンテナCを例として挙げていたが、これらに限定されるものではない。即ち、当該カードホルダ1が取り付けられる運搬用容器は、合成樹脂製のものに限定されるものではなく、金属製の線材や板材等で構成される運搬用容器であってもよい。