実施の形態1.
図1は、本発明による高圧電源装置を備えた画像形成装置の実施の形態1の要部構成を概略的に示す要部構成図である。
画像形成装置11は、例えば、電子写真カラープリンタとしての構成を備え、4つの独立した画像形成部を構成する画像形成ユニット12K、12Y、12M、12C(特に区別する必要がない場合は単に画像形成ユニット12と称す場合がある)が、記録媒体としての記録用紙30の搬送方向(矢印A方向)に沿って上流側から順に配設されている。画像形成ユニット12Kはブラック(K)の画像を形成し、画像形成ユニット12Yはイエロー(Y)の画像を形成し、画像形成ユニット12Mはマゼンタ(M)の画像を形成し、画像形成ユニット12Cはシアン(C)の画像を形成する。なお、記録媒体として、記録用紙30の他に、OHP用紙、封筒、複写紙、特殊紙等を使用することができる。
各画像形成ユニット12K、12Y、12M、12Cには、感光体ドラム13K、13Y、13M、13C(特に区別する必要がない場合は単に感光体ドラム13と称す場合がある)と、対応する感光体ドラム13K、13Y、13M、13Cの表面を一様に、且つ、均一に帯電させる帯電ローラ14K、14Y、14M、14C(特に区別する必要がない場合は単に帯電ローラ14と称す場合がある)と、対応する感光体ドラム13K、13Y、13M、13Cの表面に形成された静電潜像に図示しない現像剤(例えば、トナー)を付着させ、可視像である各色のトナー像を形成する現像ローラ16K、16Y、16M、16C(特に区別する必要がない場合は単に現像ローラ16と称す場合がある)と、対応する現像ローラ16K、16Y、16M、16Cに圧接させたトナー供給ローラ18K、18Y、18M、18C(特に区別する必要がない場合は単にトナー供給ローラ18と称す場合がある)とが配設されている。
各トナー供給ローラ18K、18Y、18M、18Cは、画像形成ユニット本体に対して着脱可能に装着された対応するトナーカートリッジ20K、20Y、20M、20C(特に区別する必要がない場合は単にトナーカートリッジ20と称す場合がある)から供給された各色のトナーを対応する現像ローラ16K、16Y、16M、16Cに供給するローラである。各現像ローラ16K、16Y、16M、16Cには、それぞれ対応する現像ブレード19K、19Y、19M、19C(特に区別する必要がない場合は単に現像ブレード19と称す場合がある)が圧接されている。現像ブレード19は、現像ローラ16上において、トナー供給ローラ18から供給されたトナーを薄層化するものである。尚、ここでは、トナーカートリッジ20は、画像形成ユニット12本体に対して着脱自在に装着されるものとしたが、一体的に形成されていてもよい。
各画像形成ユニット12K、12Y、12M、12Cにおける、感光体ドラム13K、13Y、13M、13Cの上方には、それぞれ対応するLEDヘッド15K、15Y、15M、15C(特に区別する必要がない場合は単にLEDヘッド15と称す場合がある)が、感光体ドラム13K、13Y、13M、13Cと対向する位置に配設されている。各LEDヘッド15は、対応する色の画像データに従って、感光体ドラム13を露光し、静電潜像を形成する装置である。
4つの画像形成ユニット12の各感光体ドラム13の下方には、転写ユニット21が配設されている。転写ユニット21は、転写ローラ17K、17Y、17M、17C(特に区別する必要がない場合は単に転写ローラ17と称す場合がある)と、転写ベルト駆動ローラ21a及び転写ベルト従動ローラ21bによって、張架した状態で図1中の矢印A方向へ走行可能に配設された転写ベルト26を備えている。各転写ローラ17は、転写ベルト26を介してそれぞれ対応する感光体ドラム13に圧接して配置され、このニップ部において用紙をトナーと逆の極性に帯電させ、対応する感光体ドラム13に形成された各色のトナー像を順次記録用紙30に重ねて転写する。
画像形成装置11の下部には、転写ベルト26に用紙を供給するための給紙機構が配設されている。給紙機構は、ホッピングローラ22、レジストローラ対23、用紙収容カセット24等を備えている。
更に、転写ベルト26による記録用紙30の排出側には、定着器28が設けられている。定着器28は、加熱ローラ及びバックアップローラを有し、記録用紙30上に転写されたトナーを加圧、加熱することによって定着させる装置であり、この排出側には、用紙ガイド31に沿って配置された図示しない排出ローラ及び用紙スタッカ部29等が設けられている。
以上のように構成された画像形成装置11における印刷動作について、簡単に説明する。先ず、用紙収容カセット24内の記録用紙30は、ホッピングローラ22によって繰り出され、レジストローラ対23へ送られて斜行が矯正され、続いてレジストローラ対23から転写ベルト26に送られ、この転写ベルト26の走行に伴って、画像形成ユニット12K、12Y、12M、12Cへと順次搬送される。レジストローラ23対の後段には用紙検出センサ25が配置され、通過する記録用紙30の通過を接触或いは非接触で検出し、後述するプリンタエンジン制御部153(図2)に検出信号を出力する。
一方、各画像形成ユニット12において、感光体ドラム13の表面は、帯電ローラ14によって帯電された後、対応するLEDヘッド15によって露光され、この露光によって表面に静電潜像が形成される。静電潜像が形成された部分には、現像ローラ16上で薄層化されたトナーが静電的に付着されて対応する色のトナー像が形成される。各感光体ドラム13に形成されたトナー像は、対応する転写ローラ17によって記録用紙30に順次重ねて転写され、記録用紙上にカラーのトナー像を形成する。転写後に、各感光体ドラム13上に残留したトナーは、それぞれ図示しないクリーニング装置によって除去される。
カラーのトナー像が形成された記録用紙30は、定着器28に送られる。この定着器28において、カラーのトナー像が記録用紙30に定着され、カラー画像が形成される。カラー画像が形成された記録用紙30は、図示しない排出ローラによって用紙ガイド31に沿って搬送され、用紙スタッカ部29へ排出される。以上のような過程を経て、カラー画像が記録用紙30上に形成される。尚、転写ベルト26上に付着する残留トナーは、ベルトクリーニングブレード32によってベルトクリーナ容器33内に収容される。
図2は、画像形成装置11における制御系の回路構成を示すブロック図である。
ホストインターフェース部150は、コマンド/画像処理部151に対してデータを送受信し、コマンド/画像処理部151は、LEDヘッドインターフェース部152に画像データを出力する。LEDヘッドインターフェース部152は、プリンタエンジン制御部153によってヘッド駆動パルス等を制御され、LEDヘッド15K、15Y、15M、15Cを発光させる。
プリンタエンジン制御部153は、帯電バイアス発生部161、現像バイアス発生部162、及び後述するように圧電トランスを用いて構成された転写バイアス発生部163に電圧設定信号を送る。帯電バイアス発生部161は、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)用の各画像形成ユニット12の帯電ローラ14(図1)に個別に帯電バイアス電圧を印加し、現像バイアス発生部162は、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)用の各画像形成ユニット12の、現像ローラ16(図1)、トナー供給ローラ18及び現像ブレード19(図1)に個別にバイアス電圧を印加する。転写バイアス発生部163については後で詳しく説明する。帯電バイアス発生部161、現像バイアス発生部162、及び転写バイアス発生部163は、それぞれ高圧電源装置として1枚の紙フェノール片面基板180上に配置される。
用紙検出センサ25(図1参照)は、後述するように、転写バイアス発生部163によるバイアス電圧発生タイミングを調整する為に用いられる。プリンタエンジン制御部153は、ホッピングローラ22を駆動するホッピングモータ154、レジストローラ対23を駆動するレジストモータ155、転写ベルト駆動ローラ21aを駆動するベルトモータ156、定着器28の各ローラを駆動する定着器モータ157、画像形成ユニット12の感光体ドラム13等の各回転体を画像形成ユニット毎に個別に駆動する4つのドラムモータ(K、Y、M、C)158を所定のタイミングで駆動する。定着器28の加熱ローラに備えられる定着器ヒータ159は、加熱ローラの温度を検出するサーミスタ165の検出値に応じてプリンタエンジン制御部153によって温度制御される。
図3は、本発明の高圧電源装置に相当する転写バイアス発生部163を説明するブロック図である。
同図において、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)203は、プリンタエンジン制御部153から、リセット信号201を入力ポートRESETに受信し、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4系統の出力開始信号である転写バイアス指示信号220C、220M、220Y、220Kをそれぞれ入力ポートON_C、ON_M、ON_Y、ON_Kで受信し、更に2ビットのシリアル通信信号202を入力ポートで受信する。このシリアル通信信号202は、同時に不揮発性メモリE2PROM204及びデジタル/アナログコンバータ(以下、DACと称す)205にも接続され、受信される。
そして、ASIC203は、出力部から4系統の圧電トランス駆動パルスを出力する。ここでは、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4つの系統の転写バイアス電圧を個別に制御するために、出力ポートOUT_C、OUT_M、OUT_Y、OUT_K(特に区別する必要がない場合は単に出力ポートOUT_と称す場合がある)から、それぞれ対応する圧電トランス駆動回路210C、210M、210Y、210K(特に区別する必要がない場合は単に圧電トランス駆動回路210と称す場合がある)に、個別に圧電トランス駆動パルス219C、219M、219Y、219K(特に区別する必要がない場合は単に圧電トランス駆動パルス219と称す場合がある)を出力する。
尚、ASIC203は、紙フェノール片面基板にフロー実装可能な半導体パッケージに封止される。例えばピンピッチ0.8mn〜0.5mm程度、ピン数44〜64ピン程度のQFPパッケージ等である。
シリアル通信信号202は、ASIC203、E2PROM204、及びDAC205に、同時に指定のアドレスを付与し、そのアドレスによって各デバイスの内部アドレスを指定してデータを読み書きする構成となっている。E2PROM204は、不揮発性メモリでデジタルデータが記憶され、プリンタエンジン制御部153により読み書き可能となっている。
DAC205は、プリンタエンジン制御部153から送信されるデータに従って、その出力ポートDAC_C、DAC_M、DAC_Y、DAC_K(特に区別する必要がない場合は単に出力ポートDAC_と称す場合がある)から、それぞれ対応する帰還制御回路214C、214M、214Y、214K(特に区別する必要がない場合は単に帰還制御回路214と称す場合がある)に、個別に8ビット分解能(0〜3.3V)の基準電圧信号221C、221M、221Y、221Kを出力する。
動作クロック発振器206は、後述するように水晶発振子、コンデンサ及び抵抗により構成される発振回路で、ASIC203の動作クロック、ここでは24.576MHzを生成する。3.3VのLDO207は、降圧タイプのDC−DCコンバータで、図示しない低圧電源から供給される5VDC電源からの直流電圧を3.3V直流電圧に変換し、ASIC203のVCC入力ポート、E2PROM204のVcc入力ポート、及びDAC205のVcc入力ポートに電源として印加する。図示しない低圧電源から供給される24VDC電源は、DC−DCコンバータ209C、209M、209Y、209K(特に区別する必要がない場合は単にDC−DCコンバータ209)に印加している。
圧電トランス駆動手段としての圧電トランス駆動回路210C、210M、210Y、210K(特に区別する必要がない場合は単に圧電トランス駆動回路210と称す場合がある)は、DC−DCコンバータ209によって可変電圧が印加され、ASIC203の出力ポートOUT_から圧電トランス駆動パルス219を入力する。圧電トランス211C、211M、211Y、211K(特に区別する必要がない場合は単に圧電トランス311と称す場合がある)は、圧電トランス駆動回路210からスイッチング信号としての半波正弦波の駆動信号を入力し、昇圧した高電圧の出力正弦波を出力する。
整流手段としての整流回路212C、212M、212Y、212K(特に区別する必要がない場合は単に整流回路212と称す場合がある)は、入力する高圧交流電圧を整流し、高圧の直流電圧を出力する。この高出力電圧は、出力負荷としての対応する転写ローラ17の回転軸に転写バイアス電圧として印加する。出力変換手段としての出力電圧変換回路213C、213M、213Y、213K(特に区別する必要がない場合は単に出力電圧変換回路213と称す場合がある)は、対応する各整流回路212からの高出力電圧(ここでは転写バイアス電圧)を所定の比率で降圧した低電圧の帰還電圧信号(ここでは3.3V以下)230C、230M、230Y、230K(特に区別する必要がない場合は単に帰還電圧信号230と称す場合がある)に変換し、帰還制御手段としての帰還制御回路214C、214M、214Y、214K(特に区別する必要がない場合は単に帰還制御回路214と称す場合がある)に出力する。
帰還制御回路214は、電圧変換回路212からの帰還電圧信号230とDAC205の出力ポートDACから入力する基準電圧信号221とが同値となるように、DC−DCコンバータ209へ0〜24Vの制御信号を出力する。即ち、DC−DCコンバータ209の可変の出力電圧を制御する。
転写バイアス発生部163は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)に対応して上記した同構成の高圧生成部216C、216M、216Y、216K(特に区別する必要がない場合は単に高圧生成部216と称す場合がある)を備え、それぞれが生成した直流の高圧出力電圧を転写バイアス電圧として転写ローラ17C、17M、17Y、17Kに印加するように構成されている。
次に、高圧生成部216の回路構成について説明する。簡単のため、ここではマゼンタ(M)の高圧生成部216Mのみを例にして、プリンタエンジン制御部153、ASIC203等と共に図4に示し、その構成について以下に説明するが、他の系統の構成も同様である。図4において、図3と同じ構成要素には同じ部号を付している。
即ち、153はプリンタエンジン制御部、203はASIC、204はE2PROM、205はDAC、206は動作クロック発振器、209Mはマゼンタ(M)用のDC−DCコンバータ、210Mはマゼンタ(M)用の圧電トランス駆動回路、211Mはマゼンタ(M)用の圧電トランス、212Mはマゼンタ用の整流回路、213Mはマゼンタ(M)用の出力電圧変換回路、214Mはマゼンタ(M)用の帰還制御回路、17Mはマゼンタ(M)用の転写ローラ(M)である。
尚、画像形成装置の説明で、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)を区別する場合には、( )系統と記述する場合がある。
動作クロック発振器206は、水晶発振器303、抵抗304,305、及びコンデンサ301,302によって構成され、ASIC203の動作クロック、24.576MHzを生成する。
DC−DCコンバータ209Mは、NPNトランジスタ313、抵抗311,312、及び電解コンデンサ314によって構成され、NPNトランジスタ313のベースは抵抗312を介して後述する帰還制御回路214Mのオペアンプ308の出力端子に接続され、NPNトランジスタ313のコレクタには抵抗311を介して24VDC電圧が印加され、NPNトランジスタ313のエミッタは、電解コンデンサ314を介してアースされると共に後述する圧電トランス駆動回路210Mのオートトランス324を介してNチャンネルパワーMOSFET323のドレインに接続され、後述するように、帰還制御回路214Mに制御されて0V〜22V程度の直流電圧を圧電トランス駆動回路210Mに出力する。
圧電トランス駆動回路210Mは、抵抗315,316,318,319,320,321、NPNトランジスタ317,322、NチャンネルパワーMOSFET(以後、FETと称す)323、オートトランス324、及びコンデンサ325によって構成されている。トランジスタ317のベースは抵抗315を介してASIC203の出力ポートOUT_Mに接続されると共に抵抗316を介してアースされ、トランジスタ317のエミッタは直接アースされ、トランジスタ317のコレクタには抵抗318を介して3.3V直流電圧が印加されている。トランジスタ322のベースは抵抗319を介してトランジスタ317のコレクタに接続されると共に抵抗320を介してアースされ、トランジスタ317のエミッタは直接アースされ、トランジスタ317のコレクタには抵抗321を介して24V直流電圧が印加されている。
FET323のゲートは、トランジスタ322のコレクタに接続され、FET323のドレインは、オートトランス324を介して、DC−DCコンバータ209の出力であるNPNトランジスタ313のエミッタに接続されると共に(M)系統の圧電トランス211Mの1次側入力端子211aに接続され、FET323のソースは、アースされると共にコンデンサ325を介してドレインに接続されている。
以上の構成において、圧電トランス駆動回路210Mは、ASIC203の出力ポートOUT_Mから圧電トランスパルス219Mを入力すると、圧電トランス211Mの1次側入力端子211aに、ピークがDC−DCコンバータ209の出力電圧に応じて変化する正弦半波(スイッチング信号)を印加する。このとき圧電トランス211Mの2次側出力端子211bからは、FET323のスイッチング周波数及びDC−DCコンバータ209の出力電圧に応じて変化する昇圧された高電圧を出力する。
整流回路212Mは、ダイオード326,327、及びコンデンサ328により構成され、圧電トランス211Mから出力される高電圧交流を直流の高出力電圧に変換する。この高出力電圧は、高圧生成部216Mの出力、即ちここでは転写バイアス電圧として、出力抵抗329を介して出力負荷としての(M)系統の転写ローラ17Mに印加される。出力電圧変換回路213Mは、抵抗330と抵抗331とでこの転写バイアス電圧を分圧して低電圧の帰還電圧信号230(ここでは3.3V以下)とし、更に抵抗333とコンデンサ334で平滑化した後、帰還制御回路214Mのオペアンプ308のマイナス入力端子に出力する。尚、分圧抵抗330と331の接続点には、プルアップ抵抗332を介して3.3V直流電圧が印加されている。尚、ここでは、抵抗330が100MΩ、抵抗331が47kΩ、抵抗332が10MΩに設定されている。
帰還制御回路214Mは、オペアンプ308、抵抗310、及びコンデンサ309で構成され、オペアンプ308のマイナス入力端子と出力端子間にコンデンサ309と抵抗310とが直列に接続されて積分回路として働き、抵抗335とコンデンサ336とによる平滑回路を介してプラス入力端子に入力する、DAC205の出力ポートDAC_Mから出力される基準電圧信号221Mと、マイナス入力端子に入力する帰還電圧信号230Mとが等しくなるようにDC−DCコンバータ209の出力電圧を制御する。
図5は、図3に示すASIC203の構成を機能別にブロック化したブロック図であるが、回路は論理記述言語等により記述されている。また同図において、4重ブロックで記述された構成要素は、それぞれ(K)、(Y)、(M)、(C)の4系統で構成されたものであるが、概ね同様の動作を行うため、同図では、便宜上4重ブロックで記述して特定しない1系統として説明し、必要に応じて4系統を分けて説明する。
図5において、図3と同じ構成要素には同じ符号を付している。即ち、153はプリンタエンジン制御部、203はASIC、204はE2PROM、205はDACである。
メモリ401は、フリップフロップ等により構成されている。4系統の分周値保持手段としての分周比設定値レジスタ404は、各々24ビット(8ビット×3)の領域を有し、対応する4系統の演算器402に対して19ビットの出力を持つ。5ビットの不使用領域を有するが、通信系の転送単位8bitに対応させた為であり、特にこの値に限定されるものでない。4系統の補正値保持手段としての分周比補正値レジスタ405は、同様に各々24ビット(8ビット×3)の領域を有し、対応する4系統の演算器402に対して19ビットの出力を持つ。これらの分周比設定値レジスタ404及び分周比補正値レジスタ405は、プリンタエンジン制御部153から入力ポートSCIに入力する2ビットシリアル通信信号202によって、これを入力する通信処理部412によって値が更新される。
4系統の分周値設定手段としての演算器402は、それぞれ対応する分周比設定値レジスタ404から入力した分周比設定値と、分周比補正値レジスタ405から入力した分周比補正値とを演算し、演算値を4系統の対応する19ビットレジスタ406へ設定する。
分周手段としてのパルス出力生成部403は、演算器402によって設定され、19ビットレジスタ406によって保持された19ビット分周比値に従って、後述するように、平均周期が((19ビット分周比値×40.69nsec)/2048)の、オンデューティ30%の圧電トランス駆動パルス219を生成するもので、それぞれ4系統の19ビットレジスタ406、1プラス加算器408、分周セレクタ409、誤差保持レジスタ407、分周器410、及び出力セレクタ411によって個別に構成されている。
19ビットレジスタ406は、上記したように演算器402によって、保持する19ビットの分周比値が設定されると共に、19ビット分周比値の上位8ビットを分周セレクタ409及び1プラス加算器408に出力し、下位11ビットを誤差保持レジスタ407に出力する。誤差保持レジスタ407は、分周器410から出力されるパルスの立ち上がり毎に入力する下位11ビットの値を11ビットのレジスタ保持値に加算してこのレジスタ保持値を逐次更新し、加算時にオーバーフローが発生した場合に「H」となり、そうでない場合には「L」となるセレクト信号を分周セレクタ409に出力する。
分周セレクタ409は、一方の入力部に19(N)ビット分周比値の上位8(S)ビット値を直接入力し、他方の入力部に1プラス加算器408によって19ビット分周比値の上位8ビット値に1を加算した8ビット値を入力し、誤差保持レジスタ407から入力するセレクト信号が、「L」の場合には直接入力した分周比値の上位8ビットを選択して分周器410へ出力し、「H」の場合には1プラス加算器408によって1を加算した8ビット値を選択して分周器410へ出力する。
分周器410は、分周セレクタ409から入力した8ビット値をカウントし、(8ビット値×40.69nsec)周期でオンデューティ30%のパルス信号を出力セレクタ411へ出力する。40.69nsecは、動作クロック発振器206(図4)によって形成されるCLK信号の周期である。出力セレクタ411は、後述するように、プリンタエンジン制御部153から入力する転写バイアス指示信号220のオン「H」によって分周器410からのパルス信号を圧電トランス駆動パルスとして出力し、転写バイアス指示信号220のオフ「L」時には、0V(アースレベル)出力となる。尚、オンデューティ30%のパルス信号は、8ビット出力値の1/4値、1/32値、1/64値の和、即ち分周セレクタ409の8ビット出力をそれぞれ右シフト2ビット、右シフト5ビット、右シフト6ビットした値による。
パルス出力生成部403の動作について更に説明する。上記したように、分周セレクタ409は、一方の入力部に19ビットレジスタ406が保持する19ビット分周比値の整数値に相当する上位8ビット値、例えばDを入力し、他方の入力部にD+1を入力し、この2つの値を誤差保持レジスタ407から入力する選択信号によって選択出力している。この選択は、分周器410から出力されるパルス信号の周期で行われ、2048パルスの間にDをE回、(D+1)を(2048−E)回出力することにより、
{D×E+(D+1)×(2048−E)}/2048
=上位8ビット値+(下位11ビット値/2048)
=分周比平均
となるように制御する。このように制御することによって、8ビット入力の分周器410から出力されるパルス信号の、少なくとも2048のパルスを生成する間における平均周期は、19ビットレジスタ406が保持する19ビット分周比値に基づいて、同条件でそのまま(少数値を含む)、仮に19ビット入力の分周器で分周して得たパルス信号の周期と一致する。
従ってここでいう平均周期とは、分周器410が出力するパルス信号が所定数(ここでは2048)のパルスを生成する間の平均周期のことである。
図16は、上記等式でのEを導くため、誤差保持レジスタ407が実行する処理を説明するためのフローチャートである。尚、誤差保持レジスタ407は、実際にはハードウェアにて実現される。
処理が開始されると、分周器410が出力するパルス信号のパルスの立ち上がりを監視し(ステップS401)、パルスの立ち上がりを検出すると(ステップS401、Yes)、19ビットレジスタ406の下位11ビット値と誤差保持レジスタ407が保持する11ビットのレジスタ保持値を加算した12ビット値が7FFhexより大きいか否かを監視し(ステップS402)、大きい場合(ステップS402、Yes)、分周セレクタ409が(D+1)を選択すべく選択信号を「H」とし(ステップS403)、そうでない場合(ステップS402、No)、分周セレクタ409が(D)を選択すべく選択信号を「L」とする(ステップS404)。そして、誤差保持レジスタ407の12ビットのレジスタ保持値に、19ビットレジスタ406の下位11ビット値を加算してこれを更新し、ステップS101に戻って同様の動作を繰り返す。
以上の処理により、誤差保持レジスタ407は、例えば19ビットレジスタ406の下位11ビット値が大きいほど選択信号が「H」となる回数が増えて分周セレクタ409が(D)を選択する比率が低くなるような、上記等式におけるEと同じ特性の選択信号を出力し、8ビット入力の分周器410が出力するパルス信号の平均周期を、19ビット入力相当の精度まで上げることができる。更に19ビットレジスタ406が保持する分周比値が変化しなければ上記通りであるが、変化する場合にもそれに追随して2048パルス周期未満にて値が変化する。その場合も、単位時間辺りの上記等式の左辺と右辺の平均値はほぼ等しくなる。
以上の構成において、先ず画像形成装置の印刷動作の概要について説明する。
図1に示す画像形成装置11は、図示しない外部機器からホストインターフェース部150(図2)を介してPDL(Page Description Language)等で記述された印刷データを入力する。入力されたデータは、コマンド/画像処理部151(図2)によってビットマップデータに変換される。画像形成装置11は、定着器28の加熱ローラを、サーミスタ165(図2)の検出値に応じて定着器ヒータ159を温度制御することにより所定の温度にした後、印字動作を開始する。
用紙収容カセット24にセットされた記録用紙30をホッピングローラ22で給紙し、後述する画像形成動作に同期したタイミングでレジストローラ対23によって記録用紙30を転写ベルト26上に搬送する。4つの画像形成ユニット12は、電子写真プロセスにより内部の感光体ドラム13にトナー像を形成する。この時、感光体ドラム13は、ビットマップデータに応じて点灯するLEDヘッド15によって静電潜像が形成され、現像ローラ16によって現像されることによりトナー像が形成される。
感光体ドラム13上に形成されたトナー像は、感光体ドラム13K、13Y、13M、13Cに対向して配置された転写ローラ17K、17Y、17M、17Cに印加された各転写バイアス電圧によって、転写ベルト26上を搬送される記録用紙30に順次重ねて転写される。記録用紙30は、4色のトナー像が重ねて転写された後、定着器28によって定着されて更に搬送され、用紙スタッカ部29に排出される。
上記した印刷動作中、図2に示すプリンタエンジン制御部153は、予め定められたテーブル値に従って高圧出力電圧を設定し、帯電バイアス発生部161、現像バイアス発生部162、転写バイアス発生部163へ所定の電圧設定信号を出力する。帯電バイアス発生部161は、電圧設定信号に基づいて、各画像形成ユニット12の帯電ローラ14(図1)に個別にバイアス電圧を印加し、現像バイアス発生部162は、電圧設定信号に基づいて、各画像形成ユニット12の、現像ローラ16、トナー供給ローラ18及び現像ブレード19(図1)に個別にバイアス電圧を印加し、そして転写バイアス発生部163は、電圧設定信号に基づいて、各転写ローラ17へ転写バイアスを供給する。
このときの転写バイアス発生部163の動作について更に説明する。
図3のブロック図において、プリンタエンジン制御部153は、イニシャル時にリセット信号201をASIC203へ送信してASIC203内の諸々の設定をリセットしてASIC203を初期化し、続いて2線式同期クロック通信(2ビット)によるシリアル通信信号202によってコマンドを送受信する。
先ず、プリンタエンジン制御部153は、DAC205にデータを送信して8ビットのDAC設定値を4系統とも00hexとする。このとき、DAC205の各出力ポートDAC_からは、D/A変換された電圧値0Vの基準電圧信号221が出力される。続いて後述するように、E2PROM204からデータを読み出し、印字動作に入る前に、転写出力電圧に応じた読み出し値をASIC203へ送信して設定する。そして印刷開始時に、ASIC203の入力ポートONへ出力する各色の転写バイアスの出力開始信号である転写バイアス指示信号220をそれぞれ「L」から「H」とする。
高圧生成部216は、転写バイアス指示信号220が「H」となった時点で、所定周期の圧電トランス駆動パルス219を入力するが、DAC205出力の基準電圧信号が0Vであるため、転写ローラ17に印加する高圧生成部216の高出力電圧(ここでは転写バイアス電圧)も略0Vとなっている。プリンタエンジン制御部153は、記録用紙30がニップ部に到達するタイミングでDAC205へ各高圧出力に対応したDAC設定値を送信し、DAC205は、各出力ポートDAC_から、D/A変換された電圧値を基準電圧信号221として出力する。
高圧生成部216は、帰還制御回路が入力する基準電圧信号221と転写バイアス電圧を分圧して低電圧とした帰還電圧信号230が等しくなるまで、DC−DCコンバータ209の出力を0Vから上昇させ、圧電トランス駆動回路210は、DC−DCコンバータ209より供給される電圧に比例して、圧電トランス211の1次側に印加する半波正弦波の電圧を上昇させる。圧電トランス211の2次側には交流の昇圧された電圧が出力され、整流回路212により高電圧の高出力電圧(転写バイアス電圧)が出力抵抗329を介して出力負荷である転写ローラ17へ印加されると同時に、出力電圧変換回路213により降圧され、帰還制御回路214へ入力される。
プリンタエンジン制御部153は、その後、記録用紙30の後端がニップ部に到達するタイミングで、DAC205の出力ポートDAC_から出力される基準電圧信号221が0Vとなるように8ビットのDAC設定値を再度00hexとする。印刷動作が継続する場合には、次の記録用紙30の先端がニップ部に到達するタイミングでDAC205へ高圧出力に対応したDAC設定値を再度送信し、以後、同様の動作を繰り返す。印刷動作終了時には、DAC_の出力を0Vにするのに続いて、転写バイアス指示信号220を「L」とし、ASIC203の出力ポートOUT_から出力される圧電トランス駆動パルスもオフとする。
図4を参照して、転写バイアス発生部163の動作について更に説明する。前記したように、転写バイアス発生部163は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)に対応して同構成の高圧生成部216C、216M、216Y、216Kを備えるため、ここでは、マゼンタ(M)の高圧生成部216Mのみを示し、必要に応じて4系統を分けて説明する。
ASIC203は、動作クロックとして基準クロック発振器206から24.576MHzのクロック信号を入力する。DC−DCコンバータ209Mは、オペアンプ308から出力される電位により出力を制御され、NPNトランジスタ313は、抵抗312を介してベース電流を流されることによりエミッタの電位が決定する。抵抗311は、突入電流からNPNトランジスタ313を保護する抵抗で、数Ω〜10数Ω程度である。
圧電トランス駆動回路210Mは、ASIC303の出力ポートOUT_Mから出力される圧電トランス駆動パルスによりNPNトランジスタ317をスイッチングし、圧電トランス駆動パルスの反転信号をNPNトランジスタ322のベースへ入力する。この2つのNPNトランジスタは、ASIC203の3.3V出力を24V出力に変換し、パワーMOSFET323のゲートドライブ電位を生成する。FET323は、圧電トランス駆動パルスと同相のゲート信号によりゲートをオン、オフされ、オートトランス324、コンデンサ325、及び圧電トランス211Mにより構成される共振回路を駆動し、圧電トランス1次側に半波正弦波を印加する。
図6、図7に、高圧生成部216Mの各部での信号波形を示す。同図中の矢印A、B、C、Dで示す波形は、それぞれ図4に示す高圧生成部216Mの回路中の点A、B、C、Dでの信号波形を示している。図6(a)は、点Cでの高出力電圧(転写バイアス電圧)が1kVのとき、図6(b)は、点Cでの高出力電圧が2.5kVのとき、図7(a)は、点Cでの高出力電圧(転写バイアス電圧)が5kVのとき、図6(b)は、点Cでの高出力電圧が6.5kVのときの各波形を示している。
点Cでの波形は、整流回路212Mの出力波形であり、2000:1の高圧プローブで測定されている。点Aでの波形は、DC−DCコンバータ209Mの出力波形であり、点Dでの波形はパワーMOSFET323のドレイン部分での波形であり、点Bでの波形は圧電トランス211の1次側入力部分の波形であり、オートトランス324によって点Dの電位が昇圧されたものである。点Cで得られる高出力電圧(転写バイアス電圧)は、DC−DCコンバータ209Mの出力電圧に応じて得られるようになっている。尚、図6、図7は、図4に示す高圧生成部216Mの回路中の点A、B、C、Dでの信号波形を示すもので、各波形のレベルは正確に描写していない。
圧電トランス211Mの2次側出力はダイオード326、327及びコンデンサ328により構成される整流回路212Mで整流されて直流の高出力電圧(転写バイアス電圧)となり、出力抵抗329を介して転写負荷としての転写ローラ(M)17Mへ印加される。
一方、出力電圧変換回路213Mは、この高出力電圧(転写バイアス電圧)を100MΩの抵抗330と47kΩの抵抗331により分圧する。例えばC点の高出力電圧が7000V出力の場合、
7000×47k/(100000k+47k)=3.288
によって算出される3.288Vへ降圧して出力する。
また出力電圧変換回路213Mは、3.3Vを抵抗332(10MΩ)と抵抗331(47kΩ)で分圧した、
3.3×47k/(10000k+47k)=0.015
によって算出される最小値電圧0.015Vを得て、高出力電圧(転写バイアス電圧)がオフのときの出力が0Vとならないよう規制する。抵抗333とコンデンサ334は、リップル除去のためのCRフィルタである。
積分回路として動作する帰還制御回路214Mは、DAC205の出力ポートDAC_Mから出力される基準電圧信号221Mの電位と出力電圧変換回路213から出力される帰還電圧信号230Mの電位が等しくなるように出力を制御する。例えば、DAC205が、入力する8ビットのDAC設定値00hexに対応して出力ポートDAC_Mから出力する基準電圧信号221Mを0Vとした場合、出力電圧変換回路213の帰還電圧信号230Mの電圧は上記したように最小値電圧0.015V以下であるため、オペアンプ308の出力が0Vとなり、NPNトランジスタ313のベース電流が流れず、DC−DCコンバータ209M及び高出力電圧(転写バイアス電圧)の出力も略0Vとなる。
尚、ここで、DAC205は、系統毎に0〜FFhexをDAC設定値として入力した場合、対応する出力ポート出力ポートDAC_から0V〜3.3Vの直流電圧を出力するように設定されているものとする。
DAC205が、02hex以上のDAC設定値を入力して、出力ポートDAC_Mから、
3.3×2/255=0.026
によって算出される0.026V以上の準電圧信号221Mを出力すると、前記最小値電圧0.015V以上となり、帰還制御回路214Mは、負帰還制御によりDC−DCコンバータ209Mの出力を上昇させて、基準電圧信号221Mの電位と帰還電圧信号230の電位が等しくなるように出力を制御する。従って、DAC205が、DAC設定値02hexを入力するとき、点Cの高出力電圧(転写バイアス電圧)は、
0.026×(100000+47)/47=55
によって算出される55Vに制御される。
従って、高圧生成部216Mは、DAC205が、8ビットのDAC設定値02hex〜FFhexを入力するとき、これに対応して高出力電圧(転写バイアス電圧)を55V〜7025Vの範囲でリニアに出力制御する。
ここで、DC−DCコンバータ209Mの出力は、NPNトランジスタ313の損失分があり、24Vの供給電圧に対して0V〜20V乃至22Vの範囲で飽和する。従って、高出力電圧(転写バイアス電圧)が7025Vを出力するとき、DC−DCコンバータ209の出力が20V未満で動作できる昇圧比が得られるように、予め圧電トランス211の駆動周波数を設定する必要がある。
圧電トランス211Mは、ASIC203の出力ポートOUT_Mから出力される圧電トランス駆動パルスの駆動周波数によって昇圧比が変化し、また後述するように駆動周波数によって立ち上がり時間が異なる。従って、高出力電圧(転写バイアス電圧)が所定レベル、ここでは4985V以下のときには、まだ最大昇圧比まで余裕あり且つDC−DCコンバータ209の出力が20V未満で動作可能な昇圧比となる第1の駆動周波数に設定し、4985Vより高い時には、この領域でもDC−DCコンバータ209の出力が20V未満で動作可能となるより高い昇圧比が得られる第2の駆動周波数に切り替えるようにして、なるべく立ち上がり時間が遅くならないように考慮している。これらについては、後に更に詳しく説明する。
上記したように、ここでは(M)系統の高圧生成部216Mの動作について説明したが、他の(C)、(Y)、(K)系統の高圧生成部でも同様に動作する。
次に図5を参照して、ASIC203の動作について説明する。プリンタエンジン制御部153は、シリアル通信信号202で通信を行い、E2PROM204からデータを読み出す。ここでのデータは、図18に示すようなフォーマットで記録されており、図中の31バイトをプリンタエンジン制御部153の図示しないメモリ等に保存する。ここではアドレス00hex〜02hexに第1の設定分周値に相当する3バイトの分周比値1がメモリされ、アドレス03hex〜05hexに第2の設定分周値に相当する3バイトの分周比値2がメモリされ、アドレス1Ehexには、切替値B5hex(DAC設定値)がメモリされている。
切替値B5hexは、圧電駆動パルスの周波数切り替の閾値であり、10進では181に相当し、DAC205の出力では
3.3×181/255=2.342
によって算出される2.342Vに相当し、更に高出力電圧(転写バイアス電圧)では、
2.342×(100000+47)/47=4985
によって算出される4985Vに相当する。
プリンタエンジン制御部153は、DAC205のDAC設定値がB5hex(高出力電圧で4985V)以下の場合に、分周比値1の70000hexを選択してASIC203に出力し、DAC205のDAC設定値がB5hex(高出力電圧で4985V)より大きい場合に、分周比値2の70400hexを選択してASIC203に出力する。
この分周比設定値の選択は、E2PROM204の値に応じてプリンタ制御部253がASIC203へ設定する。即ち、シリアル通信信号202による所定の通信フォーマットでASIC203の通信処理部412に送信し、分周比設定値レジスタ404に設定する。分周比設定値レジスタ404は、4系統分あり、系統毎のDAC設定値に応じて予め設定する。
続いて、E2PROM204のアドレス06hex〜1Dhexに設定されている各補正値のうち、分周比値1の場合には補正値1を、分周比値2の場合には補正値2を、系統毎に、同様に送信して分周比補正値レジスタ405に設定する。ここで各補正値は2の補数とする。分周比設定値レジスタ404、分周比補正値レジスタ405の各値を設定した後、転写バイアス指示信号220を「H」とし、その次にDAC205の出力を0から目標に応じた値に切り替える。
図13は、(C)、(M)、(Y)、(K)の4系統の出力負荷としての転写ローラ17に、所定の高出力電圧(転写バイアス電圧)を印加するためのDAC設定値をDAC205に設定する際の、プリンタエンジン制御部153が行う手順を示すフローチャートであり、このフローチャートに従って、その内容ついて説明する。
先ず、印刷する媒体、印刷速度等の各種条件から、予め記憶されたテーブルなどを用いて(C)、(M)、(Y)、(K)の4系統の所望の転写バイアス電圧を決定し(ステップS101)、4系統のDAC設定値に変換する(ステップS102)。ここで、DAC205から出力される基準電圧信号が3.3Vのときの高出力電圧(転写バイアス電圧)は、
3.3×(100000k+47k)/47k=7025
によって算出される7025Vとなるので、DAC設定値1変化辺りの電圧ステップは、
7025/255=27.55
によって算出される27.55Vとなる。従って、ステップS101で決定した所望値の転写バイアス値を27.55で除算した値が、DAC設定値となる。
DAC設定値に応じた分周比設定値及び分周比補正値を、ASIC203の分周比設定値レジスタ404及び分周比補正値レジスタ405に設定し(ステップS103)、印刷開始時のイニシャル駆動が開始された後、転写バイアス指示信号220を「H」として出力セレクタ411(図5)が分周器410からのパルス信号を圧電トランス駆動パルスとして出力できる状態とし(ステップS104)、DAC205にDAC設定値を設定する(ステップS105)。
図14は、(C)、(M)、(Y)、(K)の4系統の分周比設定値レジスタ404に、分周比設定値を設定するための、プリンタエンジン制御部153が行う手順を示すフローチャートであり、このフローチャートに従って、その内容ついて説明する。
先ず、(C)系統のDAC設定値が切替値B5hexより大きいか否かを判定し、B5hexより大きい場合(ステップS201:Yes)には、分周比設定値70400hexを分周比設定値レジスタ404Cに設定し(ステップS202)、B5hex以下の場合(ステップS201:No)には、分周比設定値70000hexを分周比設定値レジスタ404Cに設定する(ステップS203)。
同様にして、(M)系統のDAC設定値が切替値B5hexより大きいか否かを判定し、B5hexより大きい場合(ステップS204:Yes)には、分周比設定値70400hexを分周比設定値レジスタ404Mに設定し(ステップS205)、B5hex以下の場合(ステップS204:No)には、分周比設定値70000hexを分周比設定値レジスタ404Mに設定する(ステップS206)。
同様にして、(Y)系統のDAC設定値が切替値B5hexより大きいか否かを判定し、B5hexより大きい場合(ステップS207:Yes)には、分周比設定値70400hexを分周比設定値レジスタ404Yに設定し(ステップS208)、B5hex以下の場合(ステップS207:No)には、分周比設定値70000hexを分周比設定値レジスタ404Yに設定する(ステップS209)。
同様にして、(K)系統のDAC設定値が切替値B5hexより大きいか否かを判定し、B5hexより大きい場合(ステップS210:Yes)には、分周比設定値70400hexを分周比設定値レジスタ404Kに設定し(ステップS211)、B5hex以下の場合(ステップS210:No)には、分周比設定値70000hexを分周比設定値レジスタ404Yに設定する(ステップS212)。
図15は、(C)、(M)、(Y)、(K)の4系統の分周比補正値レジスタ405に、分周比補正値を設定するための、プリンタエンジン制御部153が行う手順を示すフローチャートであり、このフローチャートに従って、その内容ついて説明する。
先ず、(C)系統のDAC設定値が切替値B5hexより大きいか否かを判定し、B5hexより大きい場合(ステップS301:Yes)には、分周比設定値70400hexに対応する分周比補正値、ここでは000006hex(図18参照)を分周比補正値レジスタ405Cに設定し(ステップS302)、切替値B5hex以下の場合(ステップS301:No)には、分周比設定値70000hexに対応する分周比補正値、ここでは000005hex(図18参照)を分周比補正値レジスタ405Cに設定する(ステップS303)。
同様にして、(M)系統のDAC設定値が切替値B5hexより大きいか否かを判定し、B5hexより大きい場合(ステップS304:Yes)には、分周比設定値70400hexに対応する分周比補正値、ここでは000011hex(図18参照)を分周比補正値レジスタ405Mに設定し(ステップS305)、切替値B5hex以下の場合(ステップS304:No)には、分周比設定値70000hexに対応する分周比補正値、ここでは000010hex(図18参照)を分周比補正値レジスタ405Mに設定する(ステップS306)。
同様にして、(Y)系統のDAC設定値が切替値B5hexより大きいか否かを判定し、B5hexより大きい場合(ステップS307:Yes)には、分周比設定値70400hexに対応する分周比補正値、ここではFFFFFAhex(図18参照)を分周比補正値レジスタ405Yに設定し(ステップS308)、切替値B5hex以下の場合(ステップS307:No)には、分周比設定値70000hexに対応する分周比補正値、ここではFFFFF8hex(図18参照)を分周比補正値レジスタ405Yに設定する(ステップS309)。
同様にして、(K)系統のDAC設定値が切替値B5hexより大きいか否かを判定し、B5hexより大きい場合(ステップS310:Yes)には、分周比設定値70400hexに対応する分周比補正値、ここでは000000hex(図18参照)を分周比補正値レジスタ405Kに設定し(ステップS311)、切替値B5hex以下の場合(ステップS310:No)には、分周比設定値70000hexに対応する分周比補正値、ここでは000000(図18参照)を分周比補正値レジスタ405Yに設定する(ステップS312)。以上説明したフローによってASIC203のメモリ401にデータが転送保持される。
分周比設定値レジスタ404及び分周比補正値レジスタ405は、それぞれ24ビット(8ビット×3)のデータを入力し保持するが、保持データを演算器402に送る際には、上位5ビットを切り捨てた下位19ビットのデータを送信する。この処理は、データを入力する際のシリアル通信等においては通常8ビット単位でデータの送受信が行われるのにあわせて、外部から設定される値を8の倍数ビットとした為であり、特に値に制限がある訳ではない。また出力側の19bitという値も、この値に限らず必要な周波数分解能に応じて設定するものであり、12bit或いは24bitという値を取るなどしても良い。
演算器402は、分周比設定値レジスタ404及び分周比補正値レジスタ405から入力する19ビットの分周比設定値と分周比補正値とを加算し、その加算データをパルス出力生成部403の19ビットレジスタ406に出力する。
図19は、ここで出力される出力例としての分周比設定値と分周比補正値の各値を示している。この場合、(C)系統では分周比設定値70000hexと分周比補正値00005hexが加算された70005hexが19bitレジスタ406Cに設定され、同様に(M)系統では分周比設定値70000hexと分周比補正値00010hexが加算された70010hexが19bitレジスタ406Mに設定され、(Y)系統では分周比設定値70000hexと分周比補正値FFFF8hexが加算された6FFF8hexが19bitレジスタ406Yに設定され、(K)系統では分周比設定値70000hexと分周比補正値00000hexが加算された70000hexが19bitレジスタ406Kに設定される。
パルス出力生成部403は、前記したように、19ビットレジスタ406によって保持された19ビット分周比値に従って、後述するように、平均周期が((19ビット分周比値×40.69nsec)/2048)の、オンデューティ30%の圧電トランス駆動パルス219を生成する。
ここで(Y)系統の数値データを例にして説明する。この場合19ビットレジスタ406は、6FFF8hexを保持し、上位8ビット(DFhex)を分周セレクタ409及び1プラス加算器408に出力し、1プラス加算器408は1プラスしたE0hexを分周セレクタ409に出力する。誤差保持レジスタ407は、19ビットレジスタ406の下位11ビット(7F8hex)を入力し、分周器410は、分周セレクタ409から出力される8ビット(DFhex68又はE0hex)を入力してカウントし、カウント周期(入力する8ビット値×40.69nsec)で、オンデューティ30%のパルス信号を出力セレクタ412へ出力する。ここで、40.69nsecは、基準クロック発振器206(図4)によって形成されるCLK信号の周期である。
誤差保持レジスタ407は19ビットレジスタの下位11ビット(7F8hex)入力し、分周器410の出力パルス信号の立ち上りエッジを検出する毎に下位11ビット(7F8hex)を加算し、例えば、000、7F8、7F0と加算される過程の、7F8(11ビット)+7F8(11ビット)=FF0(12ビット)のように、桁上りが生じるタイミングで「H」となるセレクト信号を分周セレクタ409に出力する。分周セレクタ409は、セレクト信号「H」のときのみ1プラス加算器408の出力E0hexを分周器410へ出力する。従って、分周器410は、周波数110.2063kHz(223×40.69nsec)のパルス信号と周波数109.7143kHz(224×40.69nsec)のパルス信号とが混在したパルス信号を出力する。
この時の混在したパルス信号の分周比平均は、前記したように
上位8ビット値+(下位11ビット値/2048)=223.996
となり、平均周期は9.114μsec(223.996×40.69nsec)、平均周波数は109.7162kHzとなる。
このように、パルス出力生成部403は、8ビットの分周器410を用いて、出力するパルス信号の平均周期が、仮に19ビット入力の分周器で分周して得たパルス信号の周期と一致するように動作するが、その詳細な動作説明は前記した通りなのでここでの詳細な説明は省略する。
パルス出力生成部403から出力される圧電トランス駆動パルスは、分周器410が出力する前記した2つの周波数(110.2063kHzと109.7143kHz)が混在するパルス信号となるが、圧電トランス駆動パルスによって駆動される圧電トランス211(図4)が機械的振動となるので、実質的に上記した平均周波数の109.7162kHzで振動することになる。
以上のように、ここでは4系統のパルス出力生成部403が、系統毎に設定された分周比設定値及び分周比補正値に応じてそれぞれ個別に設定された駆動周波数の圧電トランス駆動パルスを各出力セレクタ411から出力するものである。
図8〜図11は、圧電トランス駆動パルスの駆動周波数及び出力電圧によって異なる、図4に示すDC−DCコンバータ209の出力と整流回路212の出力である高出力電圧(転写バイアス電圧)の各立ち上がり波形を示す。
立ち上がり時間tは、積分回路時定数及びNPNトランジスタ313の特性により決まるが、同じ定数を用いた場合に、高出力電圧の電圧値や駆動周波数によって変ってくる。図8(a)は、第1の駆動周波数である駆動周波数109.7143kHz(70000hex)の時に高出力電圧7kVを出力する場合の立ち上がり特性を示し、図8(b)は、第2の駆動周波数である駆動周波数109.4699kHz(70400hex)の時に高出力電圧7kVを出力する場合の立ち上がり特性を示す。図9(a)は、第1の駆動周波数の時に高出力電圧5kVを出力する場合の立ち上がり特性を示し、図9(b)は、第2の駆動周波数の時に高出力電圧5kVを出力する場合の立ち上がり特性を示す。図10(a)は、第1の駆動周波数の時に高出力電圧2.5kVを出力する場合の立ち上がり特性を示し、図10(b)は、第2の駆動周波数の時に高出力電圧2.5kVを出力する場合の立ち上がり特性を示す。図11(a)は、第1の駆動周波数の時に高出力電圧1kVを出力する場合の立ち上がり特性を示し、図10(b)は、第2の駆動周波数の時に高出力電圧1kVを出力する場合の立ち上がり特性を示す。
高出力電圧が90%まで立ち上がる時間を比較すると、第1の駆動周波数で飽和状態になってしまう高出力電圧が7kV時を除いて、第1の駆動周波数で駆動している時の方が立ち上がり時間tが短く、しかも高圧出力電圧が低くなるほどその差が大きくなる。
即ち、高出力電圧5kV時には、第1の駆動周波数での立ち上がり時間t3は17msecで、第2の駆動周波数での立ち上がり時間t4との差は2msecであり、高出力電圧2.5kV時には、第1の駆動周波数での立ち上がり時間t5は18.8msecで、第2の駆動周波数での立ち上がり時間t6との差は6.8msecであり、高出力電圧1kV時には、第1の駆動周波数での立ち上がり時間t7は21.6msecで、第2の駆動周波数での立ち上がり時間t8との差は11.2msecである。
第1の駆動周波数で駆動する高出力電圧7kV時には、DC−DCコンバータ209の出力が飽和するため、図8(a)に示すように余裕がなくなって負荷変動等に耐えられない状態となる。これを改善するため、第2の駆動周波数に変えて圧電トランス211の昇圧比を上げることによって、図8(b)に示すようにDC−DCコンバータ209が飽和領域に達しない範囲で動作するように設定する。尚、第2の駆動周波数とすることによって圧電トランス211の昇圧比が上がる理由については後述する。
以上のことから、本実施の形態では、図14のフローチャートで示すように、高出力電圧を4985V(DAC設定値B5hexに相当)より大きく設定する場合には第2の駆動周波数である駆動周波数109.4699kHz(70400hex)に設定し、高出力電圧を4985V以下に設定する場合には第1の駆動周波数である駆動周波数109.7143kHz(70000hex)駆動するようにしている。これにより、高出力電圧が4985V以下の場合には立ち上がり速度優先で高圧生成部216を駆動し、高出力電圧が4985Vより高い場合には圧電トランス211の昇圧比を上げることによって正常動作を維持するように高圧生成部216を駆動する。
次に、分周比補正値レジスタ405に設定された分周比補正値によって分周比設定値を補正する方法について説明する。
図12は、圧電トランス211の駆動周波数特性を示すグラフである。このグラフは、図4に示すDC−DCコンバータ209において、NPNトランジスタ313のベースに抵抗312を介して24VDC電圧を直接印加してNPNトランジスタ313を実質的にショート状態とし、圧電トランス駆動パルスの駆動周波数を変化した時の高出力電圧(転写バイアス電圧)、即ち圧電トランスの周波数特性を測定したものである。ここでは、4系統の圧電トランス211について測定している。
同図に示すように、駆動周波数と高出力電圧の関係が、4つの圧電トランス211でばらつき、例えば駆動周波数110kHzでの高出力電圧を比較すると、最大と最小で1kV以上の違いが生じる。しかしながら、横軸で見ると各圧電トランス211のカーブ特性が類似しているため、各圧電トランス211の特性に合わせて駆動周波数を適切に補正することによって略等しい周波数特性を得ることができる。本実施の形態では、分周比補正値によって、圧電トランス211毎の周波数特性のばらつきを補正する。
以下に、圧電トランス211の周波数特性のばらつきの補正方法について説明する。
図20は、分周比補正値を決定するためのファンクションテスタのブロック図である。ファンクションテスタ500は、マイコン501、A/D(アナログ/デジタル)コンバータ502、商用電源AC100Vから24Vと5VのDC直流電圧を生成する定電圧源503、直流電圧0V〜24Vを直流電圧0V〜3.3Vに変換する降圧回路504、及び降圧タイプのDC−DCコンバータである3.3VLDO505によって構成されている。
ファンクションテスタ500は、転写バイアス発生部163が形成されて画像形成装置11に組み込まれる紙フェノール片面基板180を単体にてテストする装置である。図2に示すように、紙フェノール片面基板180は、画像形成装置11ではプリンタエンジン制御部153に接続されるが、ファンクションテストでは、図20に示すようにファンクションテスタ500に接続され、直流電圧5V、24Vを入力し、更に必要に応じて、リセット信号、シリアル通信信号(SCI)、転写バイアス指示信号(ON)等を入力する。
ファンクションテスタ500は、マイコン501によって、記憶する2種の分周比設定値70000hex(駆動周波数109.7143kHzに対応)、70400hex(駆動周波数109.4699kHzに対応)の値を、ASIC203の分周比設定値レジスタ404(図5)に設定可能となっている。また、図4に示すように転写バイアス発生部163のDC−DCコンバータ209の出力電圧をチェックするため、同回路内に点Aで示す箇所をプローブ等で接続して検出し、降圧回路504で(3.3/24)に降圧してA/Dコンバータ502に入力する。
マイコン501は、初期設定として先ず以下の処理を行って、基準値としてのデジタルデータを記憶する。
基準となる圧電トランスを組み込んだ紙フェノール片面基板を用意してファンクションテスタ500に接続し、以下の手順で基準値としてのデジタルデータを記憶する。
(1)分周比設定値70000hex、分周比補正値00000を各メモリに設定して、圧電トランス駆動パルスをASIC203から出力して圧電トランスを動作させる。
(2)DAC設定値B5hexを設定して、高出力電圧(転写バイアス電圧)が4985Vを出力しているときの点Aの電圧を降圧回路504で降圧し、A/Dコンバータ502でデジタル変換したデジタル平均値を基準平均値αとして予め記憶する。
次に、
(3)分周比設定値70400hex、分周比補正値00000を各メモリに設定して、圧電トランス駆動パルスをASIC203から出力して圧電トランスを動作させる。
(4)DAC設定値FFhexを設定して、高出力電圧(転写バイアス電圧)が7025Vを出力しているときの点Aの電圧を降圧回路504で降圧し、A/Dコンバータ502でデジタル変換したデジタル平均値を基準平均値βとして予め記憶する。
図17は、ファンクションテスタ500によって、実際に使用する紙フェノール片面基板180(図2)をテストし、基準平均値α、βを参照して、ASIC203の分周比補正レジスタ405に設定する分周比補正値を決定する手順を示すフローチャートである。同フローチャートを参照しながら、4系統の分周比補正値の決定方法について説明する。尚、この補正値決定処理はシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4系統で同様に行うが、処理方法が同一であるため、ここでは系統を特定しないで説明する。
実際に使用する紙フェノール片面基板180をファンクションテスタ500に接続し、処理を開始すると、先ずDAC設定値をB5hex(高出力電圧の4985Vに相当)に、分周比設定値を70000hexに、分周比補正値を00000hexにそれぞれ設定し(ステップS501)、圧電トランス211の駆動を開始する(ステップS502)。尚、駆動開始は、前記した図13のフローと同様に、転写バイアス指示信号(ON信号)を「H」として圧電トランス駆動パルスを供給した後にDAC設定値を設定することによって始める。
駆動開始してから所定時間、ここでは50msec経過したかを監視し(ステップS503)、50msec経過した後、DC−DCコンバータ209の出力平均、即ち図4に示す点Aの箇所での電圧検出平均値(降圧回路504で降圧し、A/Dコンバータ502でデジタル変換したデジタル平均値)が上記した基準平均値αと等しいか否かを判定する(ステップS504)。尚、ここでいう等しいという定義は、平均値化するさいに、複数回のサンプリング平均値の四捨五入等により丸めた値が等しいとか、或いは差が±1以内であれは等しいとみなすとか、ある程度の幅を持たすことが可能である。これはファンクションテスタ500のA/Dコンバータ分解能等により適宜決定すれば良い。この判定方針は、このフローにおける他のステップでの判定でも同様である。
ここで等しくない場合(ステップS504:No)、この電圧検出平均値が基準平均値αより大きいか否かを判定し(ステップS508)、大きければ(ステップS508:Yes)、圧電トランス211の昇圧比が基準の圧電トランスの昇圧比より小さいことを意味するため、分周比補正に1を加算して駆動周波数を下げて圧電トランス211の昇圧比を上げ(図12参照)、基準の圧電トランスの昇圧比に近づけ(ステップS509)、電圧検出平均値が基準平均値α以下であれば(ステップS508:No)、圧電トランス211の昇圧比が基準の圧電トランスの昇圧比より大きいことを意味するため、分周比補正から1を減算して駆動周波数を上げて圧電トランス211の昇圧比を下げ(図12参照)、基準の圧電トランスの昇圧比に近づけ(ステップS510)、ステップS504に戻る。以後、ステップS504で等しいと判定されるまで、同様の処理を繰り返す。
点Aの箇所での電圧検出平均値と基準平均値αとが等しいと判定されると(ステップS504:Yes)、転写バイアス指示信号(ON信号)を「L」に、またDAC設定値を00hexとして一旦高出力電圧(転写バイアス電圧)を停止し(ステップS5506)、ASIC203に設定した分周比補正値をE2PROM204に記録する(ステップS506)。この時の分周比補正値が、図18に示す補正値1として記録される。
次に、DAC設定値をFFhex(高出力電圧の7025Vに相当)に、分周比設定値を70400hexに、分周比補正値をステップS506でE2PROM204に記録した値(補正値1)にそれぞれ設定し(ステップS507)、圧電トランス211の駆動を開始する(ステップS511)。尚、駆動開始は、前記した図13のフローと同様に、転写バイアス指示信号(ON信号)を「H」として圧電トランス駆動パルスを供給した後にDAC設定値を設定して行う。
駆動開始してから所定時間、ここでは50msec経過したかを監視し(ステップS512)、50msec経過した後、DC−DCコンバータ209の出力、即ち図4に示す点Aの箇所での電圧検出平均値(降圧回路504で降圧し、A/Dコンバータ502でデジタル変換したデジタル平均値)が上記した基準平均値βと等しいか否かを判定する(ステップS513)。
ここで等しくない場合(ステップS513:No)、この電圧検出平均値が基準平均値βより大きいか否かを判定し(ステップS515)、大きければ(ステップS515:Yes)、圧電トランス211の昇圧比が基準の圧電トランスの昇圧比より小さいことを意味するため、分周比補正に1を加算して駆動周波数を下げて圧電トランス211の昇圧比を上げ(図12参照)、基準の圧電トランスの昇圧比に近づけ(ステップS516)、電圧検出平均値が基準平均値β以下であれば(ステップS515:No)、圧電トランス211の昇圧比が基準の圧電トランスの昇圧比より大きいことを意味するため、分周比補正から1を減算して駆動周波数を上げて圧電トランス211の昇圧比を下げ(図12参照)、基準の圧電トランスの昇圧比に近づけ(ステップS517)、ステップS513に戻る。以後、ステップS513で等しいと判定されるまで、同様の処理を繰り返す。
点Aの箇所での電圧検出平均値と基準平均値βとが等しいと判定されると(ステップS513:Yes)、ASIC203に設定した分周比補正値をE2PROM204に記録する(ステップS514)。この時の分周比補正値が、図18に示す補正値2として記録される。以上により、分周比補正値を決定する処理を終了する。
上記したように、図17のフローは、不特定の1系統について説明したが、実際にはこの補正値決定処理を、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4系統で繰り返す。またファンクションテスタ500は、この補正値決定処理によって、図18に示す分周比値1(70000hex)、分周比値2(70400hex)、分周比値1に対応する4系統の補正値1、分周比値2に対応する4系統の補正値2、及び切替値をE2PROM204に記録する。
以上のようにして決定された分周比補正値は、不特定の圧電トランスを4系統の圧電トランス211として採用した高圧生成部216が、同値(4985V又は7025V)の高出力電圧(転写バイアス電圧)を出力しているとき、DC−DCコンバータ209の出力が等しくなるように分周値設定値を補正して圧電トランス駆動パルスの駆動周波数を調整するので、実際の動作時には、昇圧比が等しい状態で4系統の圧電トランスを使用することになる。
何れの設定でも、DC−DCコンバータ出力及び駆動周波数範囲には、0〜7kV出力に対して余裕があるので、DC−DCコンバータを構成する部品の定数バラツキ等も含め分周比補正値が決定される。分周比補正値を設定することにより、昇圧比不足の駆動周波数で駆動されることもなく、且つ昇圧比上限を超えて共振周波数より低い周波数で駆動されることもないように調整される。
本実施の形態では、図4に示すように、8ビットDAC205を使用し、帰還路に10MΩのプルアップ抵抗332を介して3.3Vを印加することによって、DAC205が、8ビットのDAC設定値02hex〜FFhexを入力するとき、高圧生成部216がこれに対応して高出力電圧(転写バイアス電圧)を55V〜7025Vの範囲でリニアに出力制御する例を示したが、これに限定されるものではなく、20MΩ等の抵抗として更に低い電圧から出力可能とし、また、DAC205を10ビットDACとすることによって、容易に出力分解能を上げることができる。
また、本実施の形態では、転写バイアス発生部163の4系統で構成を説明したが、転写バイアス発生部163、帯電バイアス発生部161、現像バイアス発生部162の12系統の全ての構成を、同様な構成を並置することで容易に実現可能である。また、その場合にも、ASIC203の入出力ポートはパルス出力ポート12ピン、VCC、GND、0N信号入力ポート12ピン、SCI入力ポート2ピンと44ピン以下で構成可能であり、ON信号をシリアル通信により行えば20ピン以下でも実現可能である。またASIC203だけでなく、CPLD、FPGA等も利用可能である。
また本実施の形態では、ASIC203からは、周波数が固定的に設定される圧電トランス駆動パルスが出力されるため、ASIC203と高圧生成部216とにわたって帰還ループを形成せずに、オペアンプ308による負帰還制御により高圧出力が制御されるため、圧電トランス211を圧電トランス駆動回路210の直近に配置することが出来る。このように帰還ループが各駆動回路直近で形成される為、チャンネル数が多くなる程、パターン設計を容易とする効果が大きくなる。
以上のように、本実施の形態の画像形成装置によれば、高圧生成部216が、外部回路によって形成される駆動周波数が固定的に設定さる圧電トランス駆動パルスに基づいて、高出力電圧をアナログ制御しているため、高圧生成部216を複数設ける場合においても、各制御ループを短く配線することが可能となり、制御ループが長くなることによる回路発振等を容易に防止可能となった。また圧電トランス駆動パルスの駆動周波数を可変することにより高出力電圧を負帰還制御する駆動周波数可変制御の場合に問題となるスプリアス周波数での駆動を避けることが可能となった。
また、駆動周波数可変制御の場合には、低い出力電圧を得るにはスプリアス周波数を跨いで周波数を可変する為に、スプリアス周波数において指示値以上の高い電圧を引き起こす場合があったが、本実施の形態では、駆動周波数を固定したまま高出力電圧を負帰還制御するので、このような不都合は生じない。
また、駆動周波数分解能を、分周比の異なるパルスを組み合わせることにより実現したことによって周波数調整分解能が高く、圧電トランスバラツキに比例した正確な駆動周波数補正が可能となり、共振周波数に近い高い昇圧比の領域を含め安定した出力が可能となった。また、低いクロック周波数で前記周波数分解能を上げたことにより、高圧電源基板に多用される紙フェノール基板にASICを実装しても放射ノイズレベルを低く抑えることが可能となった。
更に、高出力電圧が所定値(ここでは4985V)より大きいか否かによって最適な駆動周波数を設定しているため、所定値以下の場合には立ち上がり速度優先で高圧生成部216を駆動し、高出力電圧が所定値より高い場合には圧電トランス211の昇圧比を上げることによって正常動作を維持するように高圧生成部216を駆動することが可能となる。
実施の形態2.
図21は、本発明による実施の形態2の画像形成装置の制御系の回路構成を示すブロック図である。
この制御系を採用する本実施の形態の画像形成装置が、前記した図2に示す実施の形態1の画像形成装置と主に異なる点は、プリンタエンジン制御部1153、紙フェノール片面基板1180、及び帯電バイアス発生部1161の構成である。従って、この本実施の形態の画像形成装置が、前記した実施の形態1の画像形成装置11(図1)と共通する部分には同符号を付して、或いは図面を省いて説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。尚、本実施の形態の画像形成装置の要部構成は、上記制御系以外において図1に示す実施の形態1の画像形成装置11の要部構成と共通するため、必要に応じて図1を参照する。
図22は、本発明の高圧電源装置に相当する帯電バイアス発生部1161を説明するブロック図である。
同図に示すように、帯電バイアス発生部1161は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)に対応して同構成の高圧生成部1216C、1216M、1216Y、1216K(特に区別する必要がない場合は単に高圧生成部1216と称す場合がある)を備え、それぞれが生成した高圧の直流電圧を帯電バイアス電圧として帯電ローラ14C、14M、14Y、14Kに印加するように構成されている。
次に、高圧生成部1216の回路構成について説明する。このため、マゼンタ(M)の高圧生成部1216Mのみを例にして、プリンタエンジン制御部1153、信号分配部1250等と共に図23に示し、それらの構成について以下に説明する。図23において、図22と同じ構成要素には同じ部号を付している。プリンタエンジン制御部1153は、圧電トランス駆動パルス219を信号分配部1250に出力し、シリアル通信信号202で帯電バイアス発生部1161と通信を行う。
信号分配部1250は、図4に示す実施の形態1の高圧生成部216の圧電トランス駆動回路210の1段目のトランジスタ317を移動した構成を有し、プリンタエンジン制御部1153から圧電トランス駆動パルスを入力して、後段の4系統の圧電トランス駆動回路1210を同時に駆動するように出力する。このため、実施の形態1の抵抗318に対してここでは、抵抗1318の抵抗値をより低い値に変更している。尚、図23では、信号分配部1250の後段に(M)系統のみを接続しているが、実際には4系統が接続されるものである。
圧電トランス駆動回路1210Mは、図4に示す実施の形態1の高圧生成部216の圧電トランス駆動回路210に対し、1段目のトランジスタ317を除いた構成を供え、4系統で共有する信号分配部1250の出力に接続して、実施の形態1の圧電トランス駆動回路210と同様に動作する。整流回路1212Mは、負バイアスに整流する為に、ダイオード1326及び1327は、図4に示す実施の形態1の整流回路212Mのダイオード326及び327と極性が逆になるように配置され、負の高圧出力電圧を出力する。この高出力電圧は、出力負荷としての帯電ローラ14の回転軸に帯電バイアス電圧として印加される。
出力電圧変換回路1213は、負の高出力電圧を低電圧に分圧し、更に0〜+3.3Vの間で変化するようにシフトした低電圧の帰還電圧信号230を出力する。尚、ここでの負の高圧出力電圧(帯電バイアス電圧)は、絶対値レベルで実施の形態1の高圧出力電圧(転写バイアス電圧)と異なる(通常は小さい)ため、分圧抵抗1330、1331の抵抗値も図4に示す実施の形態1の出力電圧変換回路213Mの分圧抵抗330、331の抵抗値と異なる。抵抗1332は、出力オフ時に、DAC205のDAC設定値がFFhex(出力で3.3V)時のDC−DCコンバータ209Mの出力が0Vとなるようにグランドに接続される。
帰還制御回路1214は、DAC205から出力される基準電圧信号221と低電圧の帰還電圧信号230とが等しくなるように出力を負帰還制御する。ここでは、帰還電圧信号230の方向性が実施の形態1の場合と逆になるため、実施の形態1の帰還制御回路の場合とオペアンプ308への入力が逆になっている。
従って、ここでの高圧生成部1216Mは、DAC設定値がFFhex(出力で3.3V)から低くなるにつれて、0Vから絶対値が増加する負の高圧出力電圧を出力し、DAC設定値が00hex(出力で0V)のとき、出力する高圧出力電圧を負の最大電圧とする。この最大出力電圧は、分圧抵抗1330,1331の値によって定まるが、ここでは後述するように、−1500V程度となるように設定され、この間のDAC設定値の変化量と高圧出力電圧の変化量は比例する。
図24は、図22に示すプリンタエンジン制御部1153内のエンジン制御LSI1450の構成を機能別にブロック化したブロック図である。
エンジン制御LSI1450には、例えば図5に示す実施の形態1のプリンタエンジン制御部153の機能に相当するプリンタエンジン制御回路1451に加え、図5に示す実施の形態1のASIC203を構成するメモリ401、演算器402、及びパルス出力生成部403に相当するメモリ1401、演算器1402、及びパルス出力生成部1403が含まれる。但し、実施の形態1では、メモリ401、演算器402、及びパルス出力生成部403が4系統に対応して構成されているのに対して、本実施の形態では、メモリ1401、演算器1402、及びパルス出力生成部1403は、1系統に対応して形成されている。
メモリ1401は、分周比設定値レジスタ1404と分周比補正値レジスタ1405で構成され、パルス出力生成部1403は、19ビットレジスタ1406、誤差保持レジスタ1407、1プラス加算器1408、分周セレクタ1409、分周器1410、及び出力セレクタ1411で構成されている。これらの説明は、実施の形態1のASIC203の説明で記述した内容と同じなので、ここでの説明は省略する。
エンジン制御LSI1450は、プリンタエンジン制御部1153を構成する回路基板中に実装され、多層のガラスエポキシ基板上に実装される。従って、本実施の形態の紙フェノール片面基板1180では、実施の形態1のように、ASIC203を実装することによるピンピッチ、パッケージ等の制約が少ない。
以上の構成において、本実施の形態の画像形成装置の動作について説明するが、主に前記した実施の形態1の画像形成装置の動作と異なる点を重点的に、図21〜図24を参照しながら説明する。尚、4系統の高圧生成部1216は、ここでは信号分配部1250から共通のパルス信号を受けて同様に動作するため、ここでは、(M)系統の高圧生成部1216M(図23)を例にして説明する。
プリンタエンジン制御部1153は、E2PROM204から、帯電バイアス電圧を生成する際の圧電トランス駆動周波数に相当する分周比設定値と分周比補正値とを読み出し、図25に示すフローチャートのステップS601とステップS602の処理に従って、LSI1450内の分周比設定値レジスタ1404と分周比補正値レジスタ1405に設定する。尚、ここで設定される分周比設定値は70000hexであるが、分周比補正値は、後述するように、予め設定される値となる。
続いてDAC205に初期値であるFFhex(出力で3.3V)を設定する。前記したように、ここでの高圧生成部1216は、DAC設定値がFFhex(出力で3.3V)から低くなるにつれて、0Vから絶対値が増加する負の高圧出力電圧(ここでは帯電バイアス電圧)を出力する。DAC出力、即ち基準電圧信号221を3.3Vとした後、プリンタエンジン制御部1153のエンジン制御LSI1450は、所定のタイミングで転写バイアス指示信号(ON信号)1220を「H」として、信号分配部1250への圧電トランス駆動パルス219の出力を開始する。圧電トランス駆動回路1210Mは、信号分配部1250から出力される反転されたパルス信号を入力し、前記した実施の形態1の圧電トランス駆動回路210と同様に圧電トランス211Mを駆動する。
DAC設定値がFFhexとなっている初期状態において、DC−DCコンバータ209Mの出力は前記したように0Vであるため、高圧生成部1216Mの負の高圧出力電圧(帯電バイアス電圧)も略0Vとなるが、DAC205の出力電圧である基準電圧信号221が3.3Vより低く設定されると、DC−DCコンバータ209M出力が上昇し、負の高圧出力電圧(帯電バイアス電圧)が高圧で出力されるようになる。帰還制御回路1214Mは、DAC205から出力される基準電圧信号221Mと低電圧の帰還電圧信号230Mとが等しくなるようにDC−DCコンバータ209Mの出力を帰還制御する。
図23に示すように、負バイアスの高圧出力電圧(ここでは帯電バイアス電圧)は、出力電圧変換回路1213の分圧抵抗1330と分圧抵抗1331とによって低電圧に分圧され且つプラス側にシフトされて、0〜+3.3Vの間で変化する帰還電圧信号230Mに変換される。この帰還信号230Mは、例えば負バイアスの高圧出力電圧が0Vから絶対値で高い方向に変化する時、その変化に応じて3.3Vから低下する。正確には初期状態では抵抗1332によりプルダウンされているので3.3Vより若干低い電圧からとなる。
抵抗1332で0Vにプルダウンしたのは、前記した実施の形態1の出力電圧変換回路213(図4)において抵抗332によって3.3Vにプルアップした理由と同じ、即ち出力オフ時にDC−DCコンバータ209の出力が0Vとなるようにする為である。DC−DCコンバータ出力が初期状態で24Vに近いと、高圧生成部1216の立ち上げ時に過大なオーバーンュートを生じ、特に低い出力時に無視出来ないレベルとなってしまうためである。
以上のように、本実施の形態の高圧電源装置では、プリンタエンジン制御部1153が設定するDAC設定値がFFhex〜0の間で変化するとき、4系統の高圧生成部1216の負の高圧出力電圧(ここでは帯電バイアス電圧)が0〜マイナス最大ボルト(−1500V)でリニアに変化するように動作する。
ここで、本実施の形態における分周比補正値の設定方法について説明する。
図27は、分周比補正値を決定するためのファンクションテスタ1500のブロック図である。このファンクションテスタ1500が前記した実施の形態1で説明したファンクションテスタ500と主に異なる点は、エンジン制御LSI1450(図24)の構成を備え、圧電トランス駆動パルスを直接出力する点である。
本実施の形態では、図22に示すように、4系統の高圧生成部1216を同じ駆動周波数で駆動するので、4系統の圧電トランスの昇圧比平均が揃うように分周比補正値で調整する。帯電バイアス電圧は、通常−800V〜−1200V程度であって、転写バイアスと比較して絶対値レベルが低いので、駆動周波数ずれに対しては、前記した実施の形態1で説明した圧電トランス211と同程度の周波数特性を有する圧電トランスを使用する場合には余裕が生ずる。
マイコン1501は、初期設定として先ず以下の処理を行って、基準値としてのデジタルデータを記憶する。
基準となる圧電トランスを組み込んだ紙フェノール片面基板を用意してファンクションテスタ1500に接続し、以下の手順で基準値としてのデジタルデータを記憶する。
(1)分周比設定値70000hex、分周比補正値00000をファンクションテスタ1500のエンジン制御LSI1450の各メモリに設定して、圧電トランス駆動パルスを出力して圧電トランスを動作させる。
(2)高出力電圧(帯電バイアス電圧)が−1500Vを出力するように、DAC設定値を設定して点Aの電圧を降圧回路1504で降圧し、A/Dコンバータ1502でデジタル変換したデジタル平均値を基準平均値γとして予め記憶する。
図26は、ファンクションテスタ1500によって、実際に使用する紙フェノール片面基板1180(図21)をテストし、基準平均値γを参照して、プリンタエンジン制御部1153のエンジン制御LSI1450内の分周比補正値レジスタ1405に設定する分周比補正値を決定する手順を示すフローチャートである。同フローチャートを参照しながら、分周比補正値の決定方法について説明する。
実際に使用する紙フェノール片面基板1180をファンクションテスタ1500に接続し、分周比設定値を70000hexに、分周比補正値をFC000hex(補数)にそれぞれ設定し(ステップS701)、圧電トランス211の駆動を開始する(ステップS702)。尚、駆動開始は、先ずファンクションテスタ1500から圧電トランス駆動パルスを出力した後に、DAC出力が、3.3Vから目標電圧に対向した電圧となるようにDAC設定値を設定することによって始める。
駆動開始してから所定時間、ここでは200msec経過したかを監視し(ステップS703)、200msec経過した後、4系統のDC−DCコンバータ209の各出力平均、即ち図23に示す地点Aの箇所(ここでは(M)系統のみ示す)での電圧検出平均値を算出し、更には4系統の全平均値(降圧回路1504で降圧し、A/Dコンバータ1502でデジタル変換したデジタル平均値)を算出する(ステップS704)。
この全平均値が基準平均γ以下か否か判定し(ステップS705)、基準平均値γより大きい場合(ステップS705:No)、4つの圧電トランス211の昇圧比の平均が基準の圧電トランスの昇圧比より小さいことを意味するため、分周比補正に1を加算して駆動周波数を下げて4つの圧電トランス211の昇圧比の平均を上げて基準に圧電トランスの昇圧比に近づけ(ステップS707)、ステップS704に戻る。以後、ステップS705で等しいと判定されるまで、同様の処理を繰り返す。
ここで、本フローでは、分周比補正値の初期設定をFC000hexとしてスタートしている。即ち、このとき演算器1402で加算された分周比値は6C000hexであり、圧電トランス駆動パルス219の駆動周波数は113.7778kHzである。従って、図12に示す圧電トランス211の出力特性を参照すると、基準平均値γを測定したときの分周比設定値70000hex(109.7143kHz相当)の昇圧比に比べると十分低い昇圧比レベルからスタートしている。従って、ステップS704、ステップS705、ステップS707を繰り返すことによって、4系統の圧電トランス211の昇圧比の平均は、図12の特性カーブを左に移動しながら上昇し、やがて、基準トランスが駆動周波数113.7778kHzで得られる昇圧比と一致する(ステップS705:Yes)。
即ち、分周比設定値が70000hexのとき、4系統の圧電トランス211の昇圧比平均が、基準の圧電トランスの昇圧比(分周比設定値70000hex)と一致するような分周比補正値を得て、この分周比補正値をE2PROM204に記録する(図22)。
尚、基準平均値γを測定したときの分周比設定値(ここでは70000hex(109.7143kHz相当))は、図26のフローによって分周比補正値を得る際に、特性のばらつく4つの圧電トランスの何れもが、その共振周波数を超えないように、各圧電トランスの共振周波数の何れよりも、十分に余裕をもって高く設定されるものである。もしいずれかが共振周波数を超えてしまうと、昇圧比が低い方に変化するためフローが正常に処理しなくなる。
以上のようにエンジン制御LSI1450の分周比補正値レジスタ1405に設定する分周比補正値を決定し、そして設定することにより、特性にばらつきがある4つの圧電トランス211を備えた紙フェノール片面基板1180を取り付けた個々の装置を、各装置の圧電トランスの昇圧比の平均を、所望の値にそろえた状態で動作させることができる。
図28は、本実施の形態の変形例を示す構成図である。
この変形例では、ファンクションテスタ1500によって決定した分周比補正値を、紙フェノール片面基板1180のE2PROM204に記録する代わりに、バーコードを利用して処理するようにしている。
図28において、ファンクションテスタ1500は、紙フェノール片面基板1180の分周比補正値を決定すると、E2PROM204に記録する代わりにバーコードラベルプリンタ1601によって所定の文字列をバーコードラベル1602にバーコード印刷し、バーコードラベル1602が対応する紙フェノール片面基板1180に貼り付けられる。データ記憶装置1600は、バーコードラベル1602にバーコード印刷された文字列を、決定された分周比補正値と対にして記憶する。
一方、画像形成装置11に紙フェノール片面基板1180を実装する製造ラインでは、画像形成装置試験装置1603が、バーコードリーダ1604によって、実装される紙フェノール片面基板1180に貼り付けられたバーコードラベル1602のバーコードを読み取り、その文字列に対応する分周比補正値をデータ記憶装置1600から読み出す。そして、確保した分周比補正値を、紙フェノール片面基板1180を実装する画像形成装置11のプリンタエンジン制御部1153の分周比補正値レジスタ1405に設定する。
以上のように、本実施の形態の画像形成装置によれば、圧電トランス駆動周波数が固定的に設定されるため、高圧生成部1216を含む紙フェノール片面基板1180に、別基板からケーブル等による引き回しで駆動周波数信号を供給しても、安定した(回路発振し難い)電圧制御が可能となる。また複数の圧電トランスを、同一駆動周波数で駆動する為、トランス同士を近接配置しても出力干渉によって生じる低周波リップル等の発生を防ぐことができる。
また、分周比補正値の設定により、特性にばらつきがある4つの圧電トランス211を備えた紙フェノール片面基板1180を取り付けた個々の画像形成装置を、各装置の4つの圧電トランスの昇圧比の平均を、所望の値にそろえた状態で動作させることができる。