実施の形態1.
(構成の説明)
図1は、実施の形態1及び実施の形態2に係る電源装置を用いた画像形成装置1を概略的に示す構成図である。
この画像形成装置1は、例えば、電子写真方式のカラー画像形成装置であり、4色の各現像器2(例えば、ブラック現像器2K、イエロー現像器2Y、マゼンタ現像器2M及びシアン現像器2C)がそれぞれ着脱自在に装着されている。各色の現像器2は、各色の感光体ドラム32(例えば、ブラック感光体ドラム32K、イエロー感光体ドラム32Y、マゼンタ感光体ドラム32M及びシアン感光体ドラム32C)にそれぞれ接した、各色の帯電ローラ36(例えば、ブラック帯電ローラ36K、イエロー帯電ローラ36Y、マゼンタ帯電ローラ36M及びシアン帯電ローラ36C)によってそれぞれ一様に帯電される。帯電された各色の感光体ドラム32は、各色の発光素子ヘッド(以下、LEDヘッドという)3(例えば、ブラックLEDヘッド3K、イエローLEDヘッド3Y、マゼンタLEDヘッド3M及びシアンLEDヘッド3C)の発光によって、それぞれ潜像が形成される。
各色の現像器2内の各色の供給ローラ33(例えば、ブラック供給ローラ33K、イエロー供給ローラ33Y、マゼンタ供給ローラ33M及びシアン供給ローラ33C)が、各色の現像ローラ34(例えば、ブラック現像ローラ34K、イエロー現像ローラ34Y、マゼンタ現像ローラ34M及びシアン現像ローラ34C)にトナーを供給し、各色の現像ブレード35(例えば、ブラック現像ブレード35K、イエロー現像ブレード35Y、マゼンタ現像ブレード35M及びシアン現像ブレード35C)により、各色の現像ローラ34の表面に一様にトナー層が形成され、各色の感光体ドラム32上にトナー像が現像される。各色の現像器2内の各色のクリーニングブレード37(例えば、ブラッククリーニングブレード37K、イエロークリーニングブレード37Y、マゼンタクリーニングブレード37M及びシアンクリーニングブレード37C)は、転写後の残トナーをクリーニングする。
各色のトナーカートリッジ4(例えば、ブラックトナーカートリッジ4K、イエロートナーカートリッジ4Y、マゼンタトナーカートリッジ4M及びシアントナーカートリッジ4C)は、各色のチャンネルの現像器2にそれぞれ着脱自在に取り付けられ、内部のトナーを各チャンネルの現像器2にそれぞれ供給できる構造になっている。各色の転写ローラ5(例えば、ブラック転写ローラ5K、イエロー転写ローラ5Y、マゼンタ転写ローラ5M及びシアン転写ローラ5C)は、転写ベルト8の裏面から転写ニップ部にバイアスが印加できるように配置されている。転写ベルト駆動ローラ6及び転写ベルト従動ローラ7は、転写ベルト8を張架しローラの駆動によって記録媒体である用紙15を搬送できる構造になっている。
転写ベルトクリーニングブレード11は、転写ベルト8上のトナーを掻き落とすことができるように形成されていて、掻き落とされたトナーが転写ベルトクリーナ容器12に収容される。用紙カセット13は、画像形成装置1に着脱自在に取り付けられ、用紙15が積載される。ホッピングローラ14は、用紙15を用紙カセット13から搬送する。レジストローラ16及び17は、用紙15を転写ベルト8に所定のタイミングで搬送する。定着器18は、用紙15のトナー像を熱と加圧によって定着させる。用紙ガイド19は、用紙15を排紙トレー20にフェースダウンで排出する。
レジストローラ16及び17と、転写ベルト従動ローラ7との間には、用紙検出センサ40が配置されている。用紙検出センサ40は、接触又は非接触にて用紙15の通過を検出するものである。この用紙検出センサ40のセンサ位置から転写ニップ部までの距離と用紙搬送スピードの関係から求まる時間より、電源装置が転写を行う時の転写バイアスの印加タイミングが決定される。
図2は、図1に示されている画像形成装置1における制御回路9の構成を示すブロック図である。
この制御回路9は、ホストインタフェース部51を有し、このホストインタフェース部51がコマンド/画像処理部52に対してデータを送受信する。コマンド/画像処理部52は、LEDヘッドインタフェース部53に対して画像データを出力する。LEDヘッドインタフェース部53は、プリンタエンジン制御部60によってヘッド駆動パルス等が制御され、各色のLEDヘッド3を発光させる。
プリンタエンジン制御部60は、用紙検出センサ40の検出結果に基づき、高圧制御部61に対して帯電バイアス、現像バイアス、転写バイアス等の制御値を送る。高圧制御部61は、帯電バイアス発生部62、現像バイアス発生部63及び転写バイアス発生部64に信号を送り、これらに高電圧を発生させる。帯電バイアス発生部62及び現像バイアス発生部63は、各色の各帯電ローラ36及び各現像ローラ34に対してバイアスを印加する。転写バイアス発生部64は、各色の各転写ローラ5に対して転写バイアスを印加する。用紙検出センサ40は、転写バイアスの発生タイミングを調整するために用いられる。
また、プリンタエンジン制御部60は、ホッピングモータ70、レジストモータ71、ベルトモータ72、定着器ヒータモータ73及び各色のドラムモータ74を所定のタイミングで駆動させる。定着器ヒータ75は、サーミスタ76の検出値に応じてプリンタエンジン制御部60によって温度制御される。
図3は、高圧電源装置80の概略構成を示すブロック図である。なお、高圧電源装置80は、各色の転写ローラ5毎に設けられているが、各色の高圧電源装置80は、同様に構成されているため、以下では、1色分の高圧電源装置80について説明する。
プリンタエンジン制御部60は、リセット信号を出力する出力ポートOUT1と、ON/OFF信号を出力する出力ポートOUT2と、高圧電源装置80からの出力させる目標電圧を示す8bitの目標値に対応するパラレル信号を出力する出力ポートOUT3とを有し、これらの出力ポートOUT1、OUT2、OUT3に、高圧電源装置80が接続されている。リセット信号は、「H」から「L」となったときに制御部612をリセットすることを示す。ON/OFF信号は、用紙15が転写ローラ5と感光体ドラム32との間のニップにある間は、「H」となる。
高圧電源装置80は、プリンタエンジン制御部60から、リセット信号RESET、ON/OFF信号及び目標値を受け取り、この目標値に対応する、DCの高圧電圧を生成して、負荷81に出力する装置である。高圧電源装置80は、高圧制御部61と、転写バイアス発生部64とを備える。
高圧制御部61は、発振器611と、制御部612とを備える。
発振器611は、一定の周波数(例えば、50MHz)のクロック信号CLKを発生する発振部である。発振器611の出力側に制御部612が接続されている。
制御部612は、プリンタエンジン制御部60から与えられる各種信号に基づいて、発振器611から供給されるクロック信号を分周して圧電トランスの駆動パルスを出力する。制御部612は、クロック信号の入力を受け付けるクロック入力ポートCLK_INと、リセット信号の入力を受け付ける入力ポートIN1と、ON/OFF信号の入力を受け付ける入力ポートIN2、目標値の入力を受け付ける入力ポートIN3と、圧電トランスの駆動パルスを出力する出力ポートOUT4とを備える。また、制御部612は、出力電圧検出部646から入力される第1アナログ電圧を8bitのデジタル信号に変換する第1アナログデジタルコンバータ(以下、ADCという)612Aと、出力電流検出部647から入力される第2アナログ電圧を8bitのデジタル信号に変換する第2ADC612Bとを備える。
転写バイアス発生部64は、電源640と、電圧出力部641と、抵抗645と、出力電圧検出部646と、出力電流検出部647とを備える。また、電圧出力部641は、圧電トランス駆動回路642と、圧電トランス643と、整流回路644とを備える。
電源640は、DC24Vを出力する。
圧電トランス駆動回路642は、圧電トランス643の駆動を行う圧電トランス駆動部である。例えば、圧電トランス駆動回路642は、制御部612からの駆動パルスを受け取り、この駆動パルスに応じて、電源640から入力されたDC24Vのスイッチングを行い、駆動電圧を生成し、この駆動電圧を圧電トランス643に与える。
圧電トランス643は、セラミック等の圧電振動子の共振現象を利用して駆動電圧の昇圧を行い、ACの高圧電圧を出力するトランスである。
整流回路644は、圧電トランス643から出力されたACの高圧電圧をDCの高圧電圧に変換する変換部である。
抵抗645は、負荷81の負荷変動を吸収するために備えられている。なお、抵抗645は、必ずしも必要なものではない。本実施の形態においては、抵抗645は、100MΩである。
出力電圧検出部646は、抵抗分圧等により、整流回路644から出力される高圧電圧を、この高圧電圧の値に応じて、3.3V以下の低い電圧に変換し、第1アナログ電圧として、制御部612に与える。
出力電流検出部647は、整流回路644に電流を供給し、この電流に対応する電圧を第2アナログ電圧として、制御部612に与える。
負荷81は、転写ローラ軸に高圧電圧を印加することにより発生する負荷である。
図4は、図3に示されている高圧電源装置80の回路構成を概略的に示す回路図である。
制御部612にクロック信号を提供する発振器611は、水晶発振器611Aにより構成されており、電源611Bから供給されるDC3.3Vにより動作して、発信周波数50MHzのクロック信号を発生する。水晶発振器611Aは、DC3.3Vが印加される電源ポートVDD1と、DC3.3Vが印加される出力イネーブルポートOEと、クロック信号を出力するクロック出力ポートCLK_OUTと、グランドポートGNDとを備える。クロック出力ポートCLK_OUTは、抵抗611Cを介して、制御部612のクロック入力ポートCLK_INに接続されている。
クロック信号に同期して動作する制御部612において、駆動パルスを出力する出力ポートOUT4は、抵抗648を介して、圧電トランス駆動回路642が接続されている。また、制御部612は、電源ポートVDD2より、DC3.3Vが印加されている。圧電トランス駆動回路642には、電源640が接続されている。電源640は、例えば、図示しない低圧電源装置から商用電源であるAC100Vを変圧整流することにより提供されるDC24Vの電源である。
圧電トランス駆動回路642は、スイッチング素子であるパワートランジスタ(例えば、NチャネルパワーMOSFET(以下、NMOSという)642Aを有し、このNMOS642Aのゲート・ソース間に、短絡防止用の抵抗642Bが接続されている。NMOS642Aのドレインは、インダクタ(コイル)642Cを介して、電源640に接続されている。NMOS642Aのドレイン・ソース間には、コンデンサ642Dが並列に接続され、このコンデンサ642D及びインダクタ642Cにより共振回路が構成されている。NMOS642Aのゲートに、制御部612からの駆動パルスが入力されると、このNMOS642Aが「DC24V」のスイッチングを行い、これが共振回路により共振されてピークがAC100V程度の正弦半波(サイン波)の駆動電圧が出力される。
圧電トランス駆動回路642の共振回路の出力側には、圧電トランス643の1次側の入力端子643Aが接続され、2次側の出力端子643Bから、NMOS642Aのスイッチング周波数に応じて、0〜数kVのAC高電圧が出力される。
圧電トランス643の2次側の出力端子643Bには、AC/DC変換用の整流回路644が接続されている。整流回路644は、圧電トランス643の2次側の出力端子643Bから出力されたAC高電圧をDC高電圧に変換して出力する回路であり、ダイオード644A、644B及びコンデンサ644Cを備える。整流回路644の出力側には、抵抗645を介して、負荷81である転写ローラ5が接続されると共に、出力電圧検出部646及び出力電流検出部647が接続されている。
出力電圧検出部646は、分圧抵抗646A、646Bと、分圧抵抗646A、646Bで分圧された低電圧を平滑化するRCフィルタ646Cと、RCフィルタ646Cに接続されたオペアンプ646Fからなるボルテージフォロア回路とを備える。分圧抵抗646Aの抵抗値は100MΩ、分圧抵抗646Bの抵抗値は32.4kΩであり、出力電圧検出部646は、整流回路644から出力されたDC高電圧を「10000分の3.24」に分圧して、低電圧(例えば、「DC3.3V」以下の低い電圧)に変換する。分圧された低電圧は、RCフィルタ646Cにより平滑化される。RCフィルタ646Cは、抵抗646Dと、コンデンサ646Eとにより構成される。RCフィルタ646Cにより平滑化された低電圧は、オペアンプ646Fによりインピーダンス変換されて、第1アナログ電圧として、第1ADC612Aに入力される。
出力電流検出部647は、オペアンプ647Aと、抵抗647Bと、コンデンサ647Cとを備える。オペアンプ647Aは、「+」入力端子が接地され、「−」入力端子が整流回路644のダイオード644Aのアノード及び出力電圧検出部646の分圧抵抗646Bに接続されている。オペアンプ647Aの「−」入力端子と出力端子との間には、47kΩの抵抗647Bが接続されており、この抵抗647Bと並列に、オペアンプ647Aの出力平滑用のコンデンサ647Cが接続されている。
オペアンプ647Aの出力端子から出力される電流は、抵抗647Bを介して、ダイオード644Aのアノードに供給される。オペアンプ647Aの「+」入力端子は、接地されているため、「−」入力端子の電圧レベルが0Vとなり、オペアンプ647Aからの出力は、抵抗645及び負荷81に流れる電流に対応した電圧となる。ここで、オペアンプ647Aから出力される電圧は、最大3.3Vであり、抵抗645は47kΩであるため、出力電流検出部647で抽出される電流の範囲は、3.3Vを47kΩで除した値である70.213μA以下となる。オペアンプ647Aからの出力は、第2アナログ電圧として、第2ADC612Bに入力される。
図5は、図3に示されている制御部612の概略構成を示すブロック図である。制御部612は、例えば、特定の用途向けに複数機能の回路を1つにまとめた集積回路であるASIC(Application Specific Integrated Circuit)、CPU(Cental Processing Unit)を内蔵したマイクロプロセッサ、又は、ユーザが独自の論理回路を書き込むことができるFPGA(Field Programmable Gate Array)等により実現することができる。
出力電圧検出部646から出力された第1アナログ電圧は、第1ADC612Aに入力される。第1ADC612Aは、0〜3.3Vを00〜FFhexに、0.0129Vの分解能で、第1アナログ電圧を第1電圧値に変換する。この第1電圧値は、第1比較器612D、第2比較器612F及び分周比値テーブル処理部612Eに与えられる。
入力ポートIN3を介して入力された目標値は、第1演算器612C、第2比較器612F及び分周比値テーブル処理部612Eに与えられる。第1演算器612Cは、入力された目標値に対して、所定の割合の値を算出して出力する演算部である。ここで、本実施の形態においては、入力された目標値の93.75%の値を出力する。なお、第1演算器612Cで演算するパーセントの値は、100%よりも小さく、0%よりも大きい任意の値である。例えば、この値を低くすることにより、オーバーシュートの程度が小さくなるが、目標電圧への到達時間が長くなる。そのため、この値は、オーバーシュートの程度と、目標電圧への到達時間とを考慮して、任意の値を選択すればよい。なお、この値は、圧電トランス643の出力のばらつき、特に、負荷81の大きさに応じた出力のばらつきを吸収することのできる範囲で選択されることが望ましい。第1比較器612Dは、第1ADC612Aの出力である第1電圧値が、第1演算器612Cからの出力である目標値の所定パーセントの値以上であるか否かを比較する比較部である。この比較結果は、第2演算器612Gに与えられる。
入力ポートIN2を介して入力されたON/OFF信号は、第2比較器612F及び出力セレクタ612Qに与えられる。そして、第2比較部612Fは、ON/OFF信号がONを示している期間において、第1ADC612Aの出力である第1電圧値と、入力された目標値とを比較し、第1電圧値が目標値以上であるか否かを比較する比較部である。この比較結果は、第2演算器612Gに与えられる。
出力電流検出部647から出力された第2アナログ電圧は、第2ADC612Bに入力される。第2ADC612Bは、3.3Vに対して8bitの分解能で、第2アナログ電圧を第2電圧値に変換する。ここで、第2電圧値は、負荷81を流れる電流の値を示したものである。言い換えると、出力電流検出部647から出力される電流は、47kΩの抵抗647B(図4参照)を流れる電流であるため、第2ADC612Bに入力されるアナログ電圧は、0〜70.213μAを0〜3.3Vで示したものとなる。そして、第2ADC612Bは、この0〜70.213μAを00〜FFhexに0.275μAの分解能にて変換することとなる。第2電圧値は、分周比値テーブル処理部612Eに与えられる。分周比値テーブル処理部612Eは、第1ADC612Aの出力である第1電圧値と、目標値と、第2ADC612Bの出力である第2電圧値との入力を受けて、19bitの設定分周比値を出力する。分周比値テーブル処理部612Eについては、図6を用いて詳細に説明する。
分周比上限値レジスタ612Hは、分周比の上限値を記憶する記憶部である。分周比の上限値は、例えば、高圧電源装置80から出力される電圧の最大値「7000V」以上の電圧に対応する分周比値が、図12に示す無負荷分周比値テーブルNDRから選択されたものである。ここで、本実施の形態においては、分周比の上限値は、73018hexにされている。
周期値レジスタ612Iは、予め定められた周期をカウントするためのカウンタ値を格納する記憶部である。本実施の形態においては、カウンタ値は、1B58hex(7000)である。タイマ612Jは、周期値レジスタ612Iに格納されているカウンタ値を読み込み、クロック入力ポートCLK_INから入力されるクロック信号毎に減算を行い、減算後の値が0になると再び値を初期値となるカウンタ値(7000)に戻してカウントを繰り返す計時部である。そして、タイマ612Jは、値が0になる毎に立ち上がる140μsec周期のタイマ信号を、第2演算器612G、第1ADC612A、第2ADC612B及び分周比値テーブル612Eに与える。
第2演算器612Gは、第1比較器612Dからの出力、第2比較器612Fからの出力、分周比値処理部612Eからの設定分周比値、分周比上限値レジスタ612Hからの分周比の上限値、及び、タイマ612Jからのタイマ信号を受け取って、19bitレジスタ612Lに記憶されている出力用分周比値を更新する処理を行う演算部である。なお、第2演算器612Gでの処理については、図17を用いて詳細に説明する。第2演算器612Gは、出力処理部612Kに接続されている。
出力処理部612Kは、分周器612Pを備え、分周器612Pに設定可能な分周比値よりも細かい分周比値で駆動パルスを生成した場合と同様の効果を発揮できるようにしたものである。
19bitレジスタ612Lは、第2演算器612Gから与えられた設定分周比値を出力用分周比値として記憶する記憶部である。また、19bitレジスタ612Lは、第2演算器612Gから与えられた設定分周比値の内、分周器612Pに設定できる分周比値の桁よりも低位の桁に対応する部分、本実施の形態においては、下位の10bitを誤差保持レジスタ部612Mに与える。さらに、19bitレジスタ612Lは、第2演算器612Gから与えられた設定分周比値の内、分周器612Pに設定できる分周比値の桁以上に対応する部分、本実施の形態においては、上位9bitを加算器612N及び分周セレクタ612Oに与える。
誤差保持レジスタ部612Mは、分周器612Pの立ち上がりエッジ毎に、19bitレジスタ612Lから与えられた値を積算し、桁上がりが発生した場合には、次に分周器612Pから立ち上がりエッジが入力されるまで、分周セレクタ612OにHレベルの信号を出力する処理部である。加算器612Nは、19bitレジスタ612Lから与えられた値に1を加算して、分周セレクタ612Oに与える加算部である。分周セレクタ612Oは、誤差保持レジスタ部612MからHレベルの信号が入力されている期間においては、加算器612Nから与えられた値を分周器612Pに出力し、その他の期間においては、19bitレジスタ612Lから与えられた値を分周器612Pに出力する。
分周器612Pは、分周セレクタ612Oから与えられた値で、クロック入力ポートCLK_INから入力されるクロック信号を分周して、駆動パルスを生成する。この駆動パルスは、出力セレクタ612Qに与えられる。出力セレクタ612Qは、入力ポートIN2から入力されるON/OFF信号がONを示す場合に、分周器612Pから与えられた駆動パルスを出力ポートOUT4から出力する。
図6は、図5に示されている分周比値テーブル処理部612Eの構成を概略的に示すブロック図である。分周比値テーブル処理部612Eは、最大負荷値テーブル処理部612E1と、第3比較器612E2と、負荷変動値テーブル処理部612E3と、第3演算器612E4と、無負荷分周比値テーブル処理部615E5と、加算器612E6とを備える。
最大負荷値テーブル処理部612E1は、図7に示すような、第1電圧値に対応する短絡時の電圧値を示す最大負荷値テーブルRTを記憶するメモリM1を備える。この短絡時の電圧値は、高圧電源装置80の出力端を短絡させた場合において、第1電圧値で示される出力電圧が整流回路644から出力されているときに、出力電流検出部647から出力された第2アナログ電圧を第2ADC612Bで変換した第2電圧値に相当するものである。なお、図7においては、入力値が第1電圧値に対応し、出力値が短絡時の電圧値に対応する。そして、最大負荷値テーブル処理部612E1は、この最大負荷値テーブルRTを参照して、第1ADC612A(図5参照)から与えられた第1電圧値に対応する短絡時の電圧値を、第3比較器612E2及び第3演算器612E4に与える。
第3比較器612E2は、第2ADC612Bから与えられた第2電圧値と、最大負荷値テーブル処理部612E1から与えられた短絡時の第2アナログ電圧を示す値とを比較して、短絡時の電圧値が第2電圧値よりも大きい場合には、短絡時の電圧値を第3演算器612E4に与える比較部である。また、第3比較器612E2は、短絡時の電圧値が第2電圧値以下である場合には、第2電圧値を第3演算器612E4に与える。但し、第3比較器612E2は、短絡時の電圧値が第2電圧値以下である場合において、第2電圧値が00hexであるときには、01hexを第3演算器612E4に与える。
負荷変動値テーブル処理部612E3は、図8に示すような、目標値に対応する、無負荷時の分周比値と短絡時の分周比値との間の差分である分周比値差を示す負荷変動値テーブルRCTを記憶するメモリM2を備える。図9は、高圧電源装置80の出力端を開放した場合(無負荷にした場合)と、短絡させた場合とにおいて、制御部612から圧電トランス駆動回路642(図3参照)に出力する駆動パルスの周波数(駆動周波数)と、この周波数における高圧電源装置80から出力される電圧(出力電圧)との関係を示すグラフである。なお、高圧電源装置80の出力端を開放した場合(無負荷にした場合)における駆動周波数と出力電圧との関係は、図10に示されており、高圧電源装置80の出力端を短絡させた場合における駆動周波数と出力電圧との関係は、図11に示されている。図9に示されているように、駆動周波数に対応する出力電圧は、高圧電源装置80に接続される負荷81によって異なっている。そして、高圧電源装置80に接続される負荷81に流れる電流は、短絡状態である場合と、開放状態(無負荷状態)である場合との間の値を取ることになる。図8に示されている負荷変動値テーブルRCTは、目標電圧を示す目標値毎に、このような目標電圧を出力するための、無負荷時の分周比値と短絡時の分周比値との間の差分である分周比値差を示すものである。なお、負荷変動値テーブルRCTの分周比値は、11bitの値となっており、その上位1bitが整数を示し、下位10bitが小数を示す。そして、負荷変動値テーブル処理部612E3は、入力ポートIN3(図3参照)から入力された目標値に対応する分周比値差を第3演算器612E4に与える。
第3演算器612E4は、タイマ612Jから入力されるタイマ信号の立ち上がりエッジにおいて、最大負荷値テーブル処理部からの出力をA、第3比較器612E2の出力をB、及び、負荷変動値テーブル処理部612E3からの出力をCとした場合に、下記の(1)式により、負荷対応分周比値差を算出し、次の立ち上がりエッジにおいて、これを加算器612E6に与える演算部である。
C×B÷A :(1)
ここで、B÷Aは、高圧電源装置80の出力端に特定の負荷が接続された場合における負荷81に流れる電流の値を、高圧電源装置80の出力端を短絡させた場合に負荷81に流れる電流の値で除算したものに相当する。従って、B÷Aの値は、高圧電源装置80の出力端に接続される負荷81が大きいほど、大きな値となる。このため、(1)式で算出される負荷対応分周比値差は、高圧電源装置80の出力端に接続される負荷81が大きいほど大きなものとなる。
無負荷分周比値テーブル処理部612E5は、図12に示すような、目標値に対応する、無負荷時の分周比値を示す無負荷分周比値テーブルNDRを記憶するメモリM3を備える。図12に示されている無負荷分周比値テーブルNDRは、図10に示されている駆動周波数と出力電圧との関係に対応するものであり、目標電圧が高いほど目標値も高くなり、目標値が高くなると、分周比値の値も高くなり、駆動周波数は小さなものになる。なお、図12においては、入力値が目標値であり、出力値が分周比値である。また、分周比値は、19bitの値となっており、上位9ビットが整数値、下位10ビットが小数値を示す。
加算器612E6は、第3演算器612E4から出力された値と、無負荷分周比値テーブル処理部612E5から出力された値とを加算して、加算後の値を設定分周比値として出力する加算部である。ここで、設定分周比値は、高圧電源装置80の出力端に接続される負荷が大きいほど大きなものとなる。これは、図9に示されているように、高圧電源装置80に接続される負荷が大きいほど、駆動周波数は小さくなり、分周比値は大きくなることに基づく。
(動作の説明)
次に、以上に記載された画像形成装置1の動作について説明する。
まず、図1及び図2を用いて、画像形成装置1の全体における動作を説明する。
画像形成装置1は、図示されていない外部機器からホストインタフェース部51を介して、PDL(Page Description Language)等で記述された印刷データの入力を受け付ける。入力された印刷データは、コマンド/画像処理部52によってビットマップデータに変換される。
画像形成装置1は、サーミスタ76の検知値に応じて定着器ヒータ75を制御することにより、定着器18の熱定着ローラを所定の温度にした後、印刷動作を開始する。
そして、画像形成装置1は、給紙カセット13にセットされた用紙15をホッピングローラ14で給紙する。用紙15は、後述する画像形成動作に同期したタイミングで、レジストローラ16、17によって転写ベルト8上に搬送される。現像器2は、電子写真プロセスにより内部の感光体ドラム32にトナー像を形成する。この時、ビットマップデータに応じてLEDベッド3が点灯される。現像器2によって現像されたトナー像は、転写ローラ5に印加されたバイアスによって、転写ベルト8上を搬送される用紙15に転写される。用紙15は、トナー像が転写された後、定着器18によってこのトナー像が定着され、排紙される。
トナーカートリッジ容器4は、現像器2に着脱自在で、内部のトナーを現像器2に供給することができる構造になっている。プリンタエンジン制御部60は、予め定められたテーブル値に従って、出力する高圧電圧を設定する。
次に、図3を用いて高圧電源装置80から出力する高圧電圧を制御する際の処理について説明する。本実施の形態では、4色分の高圧電圧を出力する必要があるが、各色における処理は同様であるため、1色分の処理についてのみ説明する。
まず、プリンタエンジン制御部60は、出力ポートOUT1から出力するリセット信号を「L」とする。高圧制御部61の制御部612は、リセット信号が「L」になると、内部のレジスタ等の設定を初期化する。
次に、プリンタエンジン制御部60は、高圧電源装置80から出力させる目標電圧を示す8bitの目標値を出力ポートOUT3から出力する。8bitの目標値は、0〜10.2kVの電圧を00〜FFhexの値で示す。なお、本実施の形態における高圧電源装置80の最大出力電圧は、7kVであるため、目標値は、00〜AFhexとなる。
プリンタエンジン制御部60は、所定のタイミングで印刷を開始し、目標値を、例えば7Dhexとすることで、出力電圧を約5000Vに設定する。そして、プリンタエンジン制御部60は、用紙15が、各転写ローラ5と感光体ドラム32とのニップ間にあるときには、ON/OFF信号を「H」にし、各転写ローラ5に転写バイアスを印加させる。プリンタエンジン制御部60は、用紙検出センサ40が用紙を検出したタイミングから、用紙の搬送スピードに対応した所定時間を計測することで、用紙15がニップ間にあるか否かを認識する。
制御部612は、入力ポートIN2から入力されるON/OFF信号が「H」になると、出力ポートOUT4から駆動パルスを出力する。制御部612が行う処理については、図4〜6を用いて詳細に説明する。
圧電トランス駆動回路642は、制御部612からの駆動パルスにより、電源640から与えられるDC24Vをスイッチングして、圧電トランス643の1次側に半波正弦波の駆動電圧を印加する。圧電トランス643は、1次側に印加された電圧を昇圧して、2次側から正弦波の交流電圧を出力する。整流回路644は、圧電トランス643から出力された交流電圧を整流平滑して、直流電圧を生成し、この直流電圧を抵抗645及び負荷81に印加するとともに、出力電圧検出部646に印加する。負荷81は、転写ローラ5の軸である。
出力電圧検出部646は、整流回路644からの直流電圧を0〜3.3Vレンジの低い電圧に分圧変換し、分圧後の低電圧を、第1アナログ電圧として、第1ADC612Aに与える。出力電流検出部647は、整流回路644に電流を供給するとともに、供給する電流に対応した電圧を、第2アナログ電圧として、第2ADC612Bに与える。
制御部612は、図12に示されている無負荷分周比値テーブルNDRにおいて、入力ポートIN3に入力された目標値である7Dhexに対応する分周比値「726D4hex」で、発振器611から入力される50MHzを分周して、図10に示されているように、出力電圧「5000V」に対応する駆動周波数「109.2402kHz」の駆動パルスを出力して、圧電トランス643の駆動を開始する。なお、無負荷時の駆動周波数で駆動を開始するのは、無負荷時が最も高い駆動周波数となるからである。そして、制御部612は、第1アナログ電圧で検出される出力電圧が、目標電圧の約90%以上、例えば、目標電圧が5000Vであったときには4600V以上となった後は、第1アナログ電圧で検出される出力電圧が目標値と等しくなるように、駆動パルスの駆動周波数を制御する。ここで、目標電圧の約90%の値を閾値電圧という。そして、用紙15がニップ部を通過する直前にON/OFF信号が「L」になり、制御部612は、出力ポートOUT4からの駆動パルスの出力を停止することで、転写バイアスの印加を停止する。
次に、図4を用いて詳細に説明する。
水晶発振器611Aは、電源ポートVDD1及び出力イネーブルポートOEに電源611Bより3.3Vが入力され、クロック出力ポートCLK_OUTから50MHzのクロック信号を出力する。クロック信号は、抵抗611Cを介して、制御部612のクロック入力ポートCLK_INに入力される。制御部612は、入力されるクロック信号に同期して動作し、50MHzを分周した30%オンデューティの駆動パルスを出力ポートOUT4から出力する。上述のように、駆動パルスの初期値は、駆動周波数109.2402kHzである。出力された駆動パルスは、NMOS642Aのゲートに入力される。NMOS642Aは、インダクタ642Cを介して電源640から入力されるDC24Vを、駆動パルスに応じてスイッチングする。NMOS642Aにより、圧電トランス643の1次側の入力端子643Aに半波正弦波の駆動電圧が印加され、圧電トランス643の2次側の出力端子643Bからは、駆動電圧に応じた高圧の交流電圧が出力される。出力された交流電圧はダイオード644A、644Bにより、正バイアスに整流され、コンデンサ644Cにより平滑化されて、高圧の直流電圧が出力される。出力された高圧の直流電圧は、100MΩの分圧抵抗646Aと、32.4kΩの分圧抵抗646Bとにより、「10000分の3.24」に分圧される。分圧により低電圧にされたアナログ電圧は、抵抗646D及びコンデンサ646Eにより構成されるRCフィルタ646Cでさらに平滑化され、オペアンプ646Fによりインピーダンス変換され、第1アナログ電圧として、第1ADC612Aに与えられる。
また、整流回路644から出力された高圧の直流電圧は、47kΩの抵抗645を介して負荷81に印加される。抵抗645を介して負荷81に流れる電流は、オペアンプ647Aの出力端から、47kΩの抵抗647Bを介して供給される。そして、オペアンプ647Aの出力端からは、抵抗647Bを流れる電流に対応した電圧が出力され、この電圧は、第2アナログ電圧として第2ADC612Bに与えられる。第2アナログ電圧により検出される電流の範囲は、3.3Vを47kΩで除した値である70.213μA以下となる。
制御部612は、図10に示されている、目標電圧に対応する、無負荷時の周波数の駆動パルスから、圧電トランス643の駆動を開始する。具体的には、制御部612は、図12に示されている無負荷分周比値テーブルNDRにおいて、入力ポートIN3に入力された目標値に対応する分周比値で、発振器611から入力される50MHzを分周することで、駆動パルスの初期値とする。図12に示されている無負荷分周比値テーブルNDRにおいて、例えば、目標電圧「5000V」を示す目標値「7Dhex」に対応する分周比値は726D4hexである。このため、制御部612は、分周比値「726D4」の整数部である上位9bit「1C9hex(457)」と、その小数部である下位10bit「2D4hex(724)」とにより、発振器611から得られる50MHzに対して、457分周と458分周とをそれぞれ特定のタイミングで行うことにより、平均して457.7分周を実現する。
そして、制御部612は、第1ADC612Aにより第1アナログ電圧を変換した第1電圧値が、目標値の約90%以上となるまでは、図12に示されている無負荷分周比値テーブルNDRから選択された、無負荷時の分周比値に、負荷81の値に対応した負荷対応分周比値差を加算した設定分周比値で分周を行う。
ここで、8bitの目標値をα(7:0)とし、この目標値を右に1ビットシフトした値(2分の1の値)をα(7:1)とし、この目標値を右に2ビットシフトした値(4分の1の値)をα(7:2)とし、この目標値を右に3ビットシフトした値(8分の1の値)をα(7:3)とし、この目標値を右に4ビットシフトした値(16分の1の値)をα(7:4)とすると、目標値の約90%以上の値は、以下の(2)式で算出される。
α(7:1)+α(7:2)+α(7:3)+α(7:4) :(2)
また、負荷対応分周比値差Dは、目標電圧に対応する無負荷時の分周比値から目標電圧に対応する短絡時の分周比値を減算した分周比差に、第2電圧値を第1電圧値に対応する短絡時の電圧値で除算した値を乗算することで算出される。従って、負荷対応分周比値差は、負荷81に流れる電流が大きいほど大きな値となる。このため、設定分周比値は、目標電圧に対応する短絡時の分周比値から目標電圧に対応する無負荷時の分周比値までの間の値であり、負荷81に流れる電流が小さいほど、目標電圧に対応する無負荷時の分周比値に近い値となる。
従って、駆動周波数Fは、目標電圧に対応する無負荷時の周波数から目標電圧に対応する短絡時の周波数を減算した値をX、第2電圧値を第1電圧値に対応する短絡時の電圧値で除算した値をY、目標電圧に対応する無負荷時の駆動周波数をZとした場合に、下記の(3)式で示される値となる。
F=Z−X×Y :(3)
言い換えると、駆動周波数は、140μsec毎にサンプリングされた第2電圧値により、短絡時における負荷に対する負荷率を演算し、目標電圧に対応する短絡時の周波数と目標電圧に対応する無負荷時の周波数との差にこの負荷率を乗算した乗算値を、目標電圧に対応する無負荷時の駆動周波数から減算した周波数となる。
次に、制御部612は、第1電圧値が目標値の約90%以上となると、第1電圧値が目標値よりも低い場合には駆動周波数を下げ、第1電圧値が目標値よりも高い場合には駆動周波数を上げる。言い換えると、制御部612は、第1電圧値が目標値の約90%までは、目標電圧に対応して負荷81の値に応じて駆動周波数を決定し、第1電圧値が目標値の約90%以上になった場合には、比例制御によって駆動周波数を決定する。なお、本実施の形態では、目標電圧に到達すると交互に駆動周波数の上下が行われるが、制御周波数の分解能が高いため、ほぼ一定の平均駆動周波数に制御され、出力が定電圧に安定する。
次に、図5を用いて、制御部612の内部での処理を説明する。
まず、周期値レジスタ612Iには、予め定められたカウンタ値「1B58hex(7000)」が設定される。タイマ612Jは、周期値レジスタ612Iに設定されているカウンタ値を読み込み、このカウンタ値を初期値として、クロック入力ポートCLK_INから入力されるクロック信号の周期毎に減算を行う。そして、タイマ612Jは、減算後の値が0になる度に立ち上がる140μsec周期のタイマ信号を第2演算器612G、第1ADC612A、第2ADC612B及び分周比値テーブル処理部612Eに与える。
第1ADC612Aは、第1アナログ電圧「0〜3.3V」を、0.0129Vの分解能で、8bitの第1電圧値に変換する。そして、第1ADC612Aは、この第1電圧値を、第1比較器612D、第2比較器612F及び分周比値テーブル処理部612Eに与える。第2ADC612Bは、第2アナログ電圧「0〜3.3V」を、0.0129Vの分解能で、8bitの第2電圧値に変換する。
第1演算器612Cは、入力ポートIN3から入力された8bitの目標値に対して、その目標値の2分の1の値と、その目標値の4分の1の値と、その目標値の8分の1の値と、その目標値の16分の1の値とを加算することで、この目標値の約90%(93.75%)の値を算出する。そして、第1演算器612Dは、第1比較器612Dに演算した値を与える。図13に、第1演算器612Cにおける入力値と出力値との関係を示す。
第1比較器612Dは、第1ADC612Aの出力である第1電圧値が、第1演算器612Cからの出力である目標値の約90%の値以上であるか否かを比較して、この比較結果を、第2演算器612Gに与える。第1比較器612Dでの処理を、図14を用いて説明する。
図14は、第1比較器612Dが行う処理を示すフローチャートである。
まず、第1比較器612Dは、第1ADC612Aの出力である第1電圧値が、第1演算器612Cからの出力である目標値の約90%の値以上であるか否かを比較する(S10)。そして、第1比較器612Dは、第1電圧値が目標値の約90%の値以上である場合(S10でYes)には、ステップS11に進み、「H」を第2演算器612Gに出力する。一方、第1比較器612Dは、第1電圧値が目標値の約90%の値よりも小さい場合(S10でNo)には、ステップS12に進み、「L」を第2演算器612Gに出力する。
図5に戻り、第2比較器612Fは、ON/OFF信号が「L」の場合には、常に「L」を出力する。そして、第2比較器612Fは、ON/OFF信号が「H」の場合には、入力ポートIN3を介して入力された目標値が第1ADC612Aから出力された第1電圧値よりも大きいときは「H」を出力し、当該目標値が当該第1電圧値以下であるときには「L」を出力する。第2比較器612Fでの処理を、図15を用いて説明する。
図15は、第2比較器612Fが行う処理を示すフローチャートである。
まず、第2比較器612Fは、入力ポートIN2から入力されたON/OFF信号が「H」であるか否かを判断する(S20)。そして、第2比較器612Fは、ON/OFF信号が「L」である場合(S20でNo)には、ステップS21に進み、「L」を第2演算器612Gに出力する。一方、第2比較器612Fは、ON/OFF信号が「H」である場合(S20でYes)には、ステップS22の処理に進む。
ステップS22では、第2比較器612Fは、入力ポートIN3を介して入力された目標値が第1ADC612Aから出力された第1電圧値よりも大きいか否かを判断する。そして、第2比較器612Fは、目標値が第1電圧値よりも大きい場合(S22でYes)には、ステップS23に進み、「H」を第2演算器612Gに出力する。一方、第2比較器612Fは、目標値が第1電圧値以下である場合(S22でNo)には、ステップS24に進み、「L」を第2演算器612Gに出力する。
図5に戻り、分周比上限値レジスタ612Hは、分周比の上限値である19bitの値「73018hex」を第2演算器612Gに与える。
分周比値テーブル処理部612Eは、入力ポートIN3からの目標値、第1ADC612Aからの第1電圧値及び第2ADC612Bからの第2電圧値の入力を受けて、19bitの設定分周比値を第2演算器612Gに出力する。ここで、分周比値テーブル処理部612Eの内部の動作を図6を用いて説明する。
図6に示されているように、第1ADC612Aの出力は、第1電圧値として、最大負荷値テーブル処理部612E1に入力される。最大負荷値テーブル処理部612Eは、メモリM1に記憶されている最大負荷値テーブルRT(図7参照)に基づいて、入力された第1電圧値に対応する短絡時の電圧値を特定し、この短絡時の電圧値を第3比較器612E2及び第3演算器612E4に出力する。
第3比較器612E2は、第2ADC612Bから出力された第2電圧値と、最大負荷値テーブル処理部612E1から出力された短絡時の電圧値とを比較して、8bitの値を出力する。第3比較器612E2での処理を、図16を用いて説明する。
図16は、第3比較器612E2での処理を示すフローチャートである。
まず、第3比較器612E2は、第2ADC612Bから出力された第2電圧値が、最大負荷値テーブル処理部612E1から出力された短絡時の電圧値よりも大きいか否かを判断する(S30)。そして、第3比較器612E2は、第2電圧値が短絡時の電圧値よりも大きい場合(S30でYes)には、ステップS31の処理に進み、短絡時の電圧値を第3演算器612E4に出力する。一方、第3比較器612E2は、第2電圧値が短絡時の電圧値以下である場合(S30でNo)には、ステップS32の処理に進む。
ステップS32では、第3比較器612E2は、第2ADC612Bから出力された第2電圧値が00hexであるか否かを判断する。そして、第3比較器612E2は、第2電圧値が00hexである場合(S32でYes)には、ステップS33の処理に進み、01hexを第3演算器612E4に出力する。一方、第3比較器612E2は、第2電圧値が00hexではない場合(S32でNo)には、ステップS34の処理に進み、第2電圧値を第3演算器612E4に出力する。
図6に戻り、負荷変動値テーブル処理部612E3は、入力ポートIN3から目標値の入力を受ける。そして、負荷変動値テーブル処理部612E3は、メモリM2に記憶されている負荷変動値テーブルRCT(図8参照)に基づいて、入力された目標値に対応する分周比値差を特定し、この分周比値差を第3演算器612E4に出力する。
第3演算器612E4は、まず、初期値として、11bitの値「000hex」を、加算器612E6に与え、以降、タイマ612Jから入力されるタイマ信号の立ち上がりエッジにおいて、負荷変動値テーブル処理部612E3からの出力に、第3比較器612E2の出力を乗算した乗算値を、最大負荷値テーブル処理部612E1からの出力で除算することにより、負荷対応分周比値差を算出する。そして、第3演算器612E4は、タイマ信号の次の立ち上がりエッジにおいて、この負荷対応分周比値を加算器612E6に与える。
無負荷分周比値テーブル処理部612E5は、入力ポートIN3から目標値の入力を受ける。そして、無負荷分周比値テーブル処理部612E5は、メモリM3に記憶されている無負荷分周比値テーブルNDR(図12参照)に基づいて、入力された目標値に対応する無負荷分周比値を特定し、この無負荷分周比値を加算器612E6に出力する。
加算器612E6は、無負荷分周比値テーブル処理部612E5から出力された無負荷分周比値に、第3演算器612E4から出力された負荷対応分周比値差を加算して、設定分周比値を算出し、この設定分周比値を第2演算器612Gに出力する。
図5に戻り、第2演算器612Gは、第1比較器612Dからの出力、第2比較器612Fからの出力、分周比値処理部612Eからの設定分周比値、分周比上限値レジスタ612Hからの分周比の上限値、及び、タイマ612Jからのタイマ信号を受け取って、19bitレジスタ612Lに記憶されている出力用分周比値を更新する処理を行う。ここでは、第2演算器612Gでの処理を、図17を用いて説明する。
図17は、第2演算器612Gが行う処理を示すフローチャートである。
まず、第2演算器612Gは、タイマ612Jから入力されるタイマ信号の立ち上がりエッジを検出したか否かを判断する(S40)。そして、第2演算器612Gは、タイマ信号の立ち上がりエッジを検出した場合(S40でYes)には、ステップS41の処理に進む。
ステップS41では、第2演算器612Gは、第1比較器612Dから入力される信号が「H」か否か、即ち、第1ADC612Aから出力された第1電圧値が、入力ポートIN3を介して入力された目標値の約90%の値以上であるか否かを判断する。そして、第2演算器612Gは、第1比較器612Dから入力される信号が「L」である場合(S41でNo)、即ち、第1電圧値が目標値の約90%の値よりも小さい場合には、ステップS42の処理に進み、分周比値テーブル処理部612Eから受け取った設定分周比値を出力分周比値として、19bitレジスタ612Lに記憶させる。一方、第2演算器612Gは、第1比較器612Dから入力される信号が「H」である場合(S41でYes)、即ち、第1電圧値が目標値の約90%の値以上である場合には、ステップS43の処理に進む。
ステップS43では、第2演算器612Gは、第2比較器612Fから入力される信号が「H」か否か、即ち、入力ポートIN3を介して入力された目標値が、第1ADC612Aから出力された第1電圧値よりも大きいか否かを判断する。そして、第2演算器612Gは、第2比較器612Fから入力される信号が「L」である場合(S43でNo)、即ち、目標値が第1電圧値以下である場合には、ステップS44の処理に進み、19bitレジスタ612Lに記憶されている出力分周比値から、所定の値、例えば「1」を減算する。一方、第2演算器612Gは、第2比較器612Fから入力される信号が「H」である場合(S43でYes)、即ち、目標値が第1電圧値よりも大きい場合には、ステップS45の処理に進む。
ステップS45では、第2演算器612Gは、19bitレジスタ612Lに記憶されている出力分周比値が、分周比上限値レジスタ612Hから入力された分周比の上限値と一致しているか否かを判断する。そして、第2演算器612Gは、出力分周比値が分周比の上限値と一致していない場合(S45でNo)には、ステップS46の処理に進み、19bitレジスタ612Lに記憶されている出力分周比値に、所定の値、例えば「1」を加算する。一方、第2演算器612Gは、出力分周比値が分周比の上限値と一致している場合(S45でYes)には、出力分周比値が既に分周比の上限値に達しているため、出力分周比値をそのまま維持して、ステップS40の処理に戻る。
以上に説明したフローにより、例えば、目標電圧を5000Vとして目標値を7Dhexにした場合、出力電圧が0〜4600Vの範囲にあるときには、19bitレジスタ612Lに設定される出力分周比値は、726D4〜72AC7hexの範囲に制御される。そして、出力電圧が4600〜5000Vの範囲にあるときには、4600Vで設定された出力分周比値に対して、第1電圧値と目標値との間の関係に応じて、所定の値(ここでは、「1」)が加減算される。加算値は1msecあたり「7」であり、図12に示されている無負荷分周比値テーブルNDRにおいて、目標値「7Ehex(5040V)」での分周比値「726FEhex(468734)」と、目標値「7Dhex(5000V)」での分周比値「726D4hex(468692)」との差分は「42」であるため、駆動周波数は、1msecあたり7V程度目標電圧より高い電圧の周波数となるが、出力電圧が目標電圧に到達した時に、出力分周比値が減算され、僅かなオーバーシュートで目標電圧に制御される。
図5に戻り、19bitレジスタ612Lは、第2演算器612Gから与えられた設定分周比値を出力用分周比値として記憶する。また、19bitレジスタ612Lは、第2演算器612Gから与えられた設定分周比値の内、下位の10bitを誤差保持レジスタ部612Mに与える。さらに、19bitレジスタ612Lは、第2演算器612Gから与えられた設定分周比値の内、上位9bitを加算器612N及び分周セレクタ612Oに与える。
誤差保持レジスタ部612Mは、分周器612Pの立ち上がりエッジ毎に、19bitレジスタ612Lから与えられた値を積算し、桁上がりが発生した場合には、次に分周器612Pから立ち上がりエッジが入力されるまで、分周セレクタ612OにHレベルの信号を出力する。加算器612は、19bitレジスタ612Lから与えられた値に1を加算して、分周セレクタ612Oに与える。分周セレクタ612Oは、誤差保持レジスタ部612MからHレベルの信号が入力されている期間においては、加算器612Nから与えられた値を分周器612Pに出力し、その他の期間においては、19bitレジスタ612Lから与えられた値を分周器612Pに出力する。
分周器612Pは、分周セレクタ612Oから与えられた値で、クロック入力ポートCLK_INから入力されるクロック信号を分周して、駆動パルスを生成する。この駆動パルスは、出力セレクタ612Qに与えられる。出力セレクタ612Qは、入力ポートIN2から入力されるON/OFF信号がONを示す場合に、分周器612Pから与えられた駆動パルスを出力ポートOUT4から出力する。
以上のように、出力分周比値の上位9bitの値、及び、出力分周比値の上位9bitの値に「1」を加算した値が、誤差保持レジスタ部612Mでの桁上がりのタイミングに応じて、選択的に分周器612Pに入力される。このため、分周器612Pに入力される分周比値の平均は、出力分周比値の上位9bitの値に、出力分周比値の上位9bitの値に「1」を加算した値を「1024」で除算した値を、加算した値となる。
出力処理部612Kは、以上のように、分周器612Pに設定することのできる分周比値よりも下位の桁に対応した分周比値で駆動パルスを生成した場合と同様の効果を発揮できるようにしているが、例えば、19bitレジスタに記憶されている出力分周比値を分周器619Pに直接入力することも可能である。このような場合には、誤差保持レジスタ部612M、加算器612N及び分周セレクタ612Oは不要である。
以上に記載された実施の形態1に係る高圧電源装置80から出力される高圧電圧は、図18に示すようになる。図18は、高圧電源装置80から出力される高圧電圧の出力特性を示すグラフである。図18に示すように、高圧電源装置80は、出力開始時間t1から、目標電圧の約90%に到達する時間t2までは、高圧電源装置80に接続された負荷81に応じた駆動周波数で駆動される。この時間t1からt2の間の駆動周波数は、高圧電源装置80の出力端を無負荷とした場合の駆動周波数と、高圧電源装置80の出力端を短絡させた場合の駆動周波数との間の周波数となる。そして、高圧電源装置80は、時間t2以降は、出力電圧が目標電圧に一致するように、駆動周波数の比例制御を行う。なお、一般的には転写電流は、10〜20μA程度であるため、転写電圧の範囲が1〜7kVであれば、10〜70μAの範囲の電流値に対応できる。
以上のように、本実施の形態に係る高圧電源装置80によれば、無負荷時の目標電圧に対応する駆動周波数にて駆動を開始し、出力立ち上げ中の検出電圧と検出電流との関係から、負荷を計測し、この負荷に対応した目標電圧での駆動周波数で駆動を行うことにより、従来よりも早い立ち上げ制御を行うことができ、かつ、目標電圧に向かって出力がスムーズになり、ほとんどオーバーシュートなく立ち上げることができる。
本実施の形態においては、高圧電源装置80からの出力は、0〜7kVの範囲としているが、プリンタエンジン制御部60の制御プログラム次第で、同一の構成であっても、例えば、0〜5kVといったように、必要な範囲での出力が可能である。
また、本実施の形態では、短絡状態から無負荷状態までの駆動周波数の特性を線形として扱っているが、負荷毎の分周比値を特定したテーブルを用いても良い。また、目標電圧での駆動周波数にて駆動を開始し、僅かなオーバーシュートを生じる設定となっているが、無負荷分周比値テーブルに設定された値を、上述の説明で記載された値よりもやや小さな値とすることにより、オーバーシュートが生じないようにすることもできる。
さらに、以上に記載した実施の形態においては、駆動周波数の制御を切り替える閾値を、目標電圧の約90%としているが、80%又は95%等、他の値でもよい。さらに、目標電圧付近及び目標電圧到達後の制御を比例制御として分周比値を「1」づつ加減算しているが、ゲインを設定してPI制御やPID制御としてもよい。
実施の形態2.
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2に係る高圧電源装置は、高圧制御部の制御部の構成において、実施の形態1に係る高圧電源装置と異なっている。このため、以下では、主に実施の形態2における制御部について説明する。
図19は、実施の形態2における制御部912の概略構成を示すブロック図である。実施の形態2における制御部912は、ラッチ912R及び分周比開始値レジスタ912Sがさらに設けられている点、並びに、第2演算器912Gでの処理の点、において実施の形態1における制御部612と異なっている。
ラッチ912は、第1比較器612Dから出力された1ビットの値、即ち、第1電圧値が目標値の約90%以上になったか否かを示す値をラッチして、ラッチされた値を第2演算器912Gに出力する記憶部である。ラッチされた1ビットの値は、入力ポートIN3に入力されるON/OFF信号の立ち上がりエッジ、及び、入力ポートIN1にリセット信号が入力されることによりクリアされる。第1比較器612Dからの出力は、第1電圧値が目標値の約90%以上になると「H」となるが、第1比較器612D及びラッチ912Rの出力がともに「H」である場合には、第1電圧値が目標値の約90%以上であることを示し、第1比較器612Dの出力が「H」で、ラッチ912Rの出力が「L」である場合には、第1電圧値が目標値の約90%になっていることを示す。
分周比開始値レジスタ912Sは、圧電トランス643の駆動開始時の駆動周波数に相当する分周比値である分周比の開始値を保持する記憶部である。この分周比の開始値は、例えば、共振周波数付近の駆動周波数に相当する分周比値とすることが望ましく、本実施の形態においては、73400hexにされている。この値は、出力電圧が7kVを超える駆動周波数に対応するものであり、出力立ち上げ時の単位時間あたりの出力電圧増加量が最大となる。なお、本実施の形態においては、分周比の開始値に相当する駆動周波数で、立ち上げを開始し、目標電圧に到達する前に、分周比値を下げて、駆動周波数を上げるようにしており、分周比の開始値は、立ち上げを加速する為だけに利用される。
実施の形態2における第2演算器912Gは、第1比較器612Dからの出力、第2比較器612Fからの出力、ラッチ912Rからの出力、分周比値処理部612Eからの設定分周比値、分周比上限値レジスタ612Hからの分周比の上限値、分周比開始値レジスタ912Sからの分周比の開始値、及び、タイマ612Jからのタイマ信号を受け取って、19bitレジスタ612Lに記憶されている出力用分周比値を更新する処理を行う。ここでは、第2演算器612Gでの処理を、図20を用いて説明する。
図20は、第2演算器912Gが行う処理を示すフローチャートである。
まず、第2演算器912Gは、タイマ612Jから入力されるタイマ信号の立ち上がりエッジを検出したか否かを判断する(S50)。そして、第2演算器912Gは、タイマ信号の立ち上がりエッジを検出した場合(S50でYes)には、ステップS51の処理に進む。
ステップS51では、第2演算器912Gは、第1比較器612Dから入力される信号が「H」か否か、即ち、第1ADC612Aから出力された第1電圧値が、入力ポートIN3を介して入力された目標値の約90%の値以上であるか否かを判断する。そして、第2演算器912Gは、第1比較器612Dから入力される信号が「L」である場合(S51でNo)、即ち、第1電圧値が目標値の約90%の値よりも小さい場合には、ステップS52の処理に進み、分周比開始値レジスタ912Sから読み込んだ分周比の開始値を出力分周比値として、19bitレジスタ612Lに記憶させる。一方、第2演算器912Gは、第1比較器612Dから入力される信号が「H」である場合(S51でYes)、即ち、第1電圧値が目標値の約90%の値以上である場合には、ステップS53の処理に進む。
ステップS53では、第2演算器912Gは、ラッチ912Rから入力される信号が「H」か否かを判断する。そして、第2演算器912Gは、第2比較器612Fから入力される信号が「L」である場合(S53でNo)には、ステップS54の処理に進み、分周比値テーブル処理部612Eから入力された設定分周比値を出力分周比値として19bitレジスタ612Lに記憶させる。そして、第2演算器912Gは、ラッチ912Rをクリアし、ラッチ出力をLにする。一方、第2演算器912Gは、第2比較器612Fから入力される信号が「H」である場合(S53でYes)には、ステップS55の処理に進む。
ステップS55では、第2演算器912Gは、第2比較器612Fから入力される信号が「H」か否か、即ち、入力ポートIN3を介して入力された目標値が、第1ADC612Aから出力された第1電圧値よりも大きいか否かを判断する。そして、第2演算器912Gは、第2比較器612Fから入力される信号が「L」である場合(S55でNo)、即ち、目標値が第1電圧値以下である場合には、ステップS56の処理に進み、19bitレジスタ612Lに記憶されている出力分周比値から「1」を減算する。一方、第2演算器912Gは、第2比較器612Fから入力される信号が「H」である場合(S55でYes)、即ち、目標値が第1電圧値よりも大きい場合には、ステップS57の処理に進む。
ステップS57では、第2演算器912Gは、19bitレジスタ612Lに記憶されている出力分周比値が、分周比上限値レジスタ612Hから入力された分周比の上限値と一致しているか否かを判断する。そして、第2演算器612Gは、出力分周比値が分周比の上限値と一致していない場合(S57でNo)には、ステップS58の処理に進み、19bitレジスタ612Lに記憶されている出力分周比値に「1」を加算する。一方、第2演算器912Gは、出力分周比値が分周比の上限値と一致している場合(S57でYes)には、出力分周比値が既に分周比の上限値に達しているため、出力分周比をそのまま維持して、ステップS50の処理に戻る。
以上に記載された実施の形態2における高圧電源装置80から出力される高圧電圧は、図21に示すようになる。図21は、実施の形態2における高圧電源装置80から出力される高圧電圧の出力特性を示すグラフである。図21に示すように、高圧電源装置80は、出力開始時間t1から、目標電圧の約90%に到達する時間t2までは、共振周波数付近の分周比値「73400hex」、駆動周波数「108.46kHz」で駆動する。そして、高圧電源装置80は、時間t2以降は、分周比値テーブル処理部612Eから出力される設定分周比値を19bitレジスタ612Lに設定して、出力電圧が目標電圧に一致するように、駆動周波数の比例制御を行う。なお、駆動周波数「108.46kHz」で駆動する時の圧電トランス643の振動速度は、1m/sec以下となるように、1次側の共振回路の定数を選択する。圧電トランス643は、1次側の共振回路で印加される電圧が高く、駆動周波数が共振周波数付近になると、振動速度が1m/secを越えてしまう場合があり、発熱や割れなどを生じる場合がある。立ち上げ時の駆動周渡数は高い出力を得る設定とするが、この振動速度を越えない範囲に設定する。
以上のように、実施の形態2における高圧電源装置80によれば、立ち上がり特性が最も急峻となる共振周波数付近の駆動周波数にて駆動を開始し、出力立ち上げ中の出力電圧と出力電流との関係から負荷を計測し、この負荷に対応した目標電圧での駆動周波数に目標電圧付近で切り替えることにより、負荷によらず早い速度での立ち上げ制御が可能となる。
以上に記載した実施の形態1及び2における高圧電源装置80は、カラータンデム方式の画像形成装置1の転写高圧電源として説明したが、モノクロの画像形成装置にも適用することができ、また、帯電、現像等の転写以外のバイアス源にも適用可能である。