JP5969842B2 - コンクリート型枠の製造方法 - Google Patents
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Description
下塗り塗料としては、水系ラテックス、水系アクリル樹脂エマルジョンなどがあるが、型枠製造時、水系塗料のため乾燥工程が必要となり、型枠基材に近年質の悪化している南洋材合板、または針葉樹合板を使用する場合、加熱乾燥を行うと、基材に反り、アバレ、ねじれが生じるという問題があった。また、非加熱乾燥を行うと時間がかかり、生産性に悪影響を及ぼす。他にも、水系樹脂では耐水性に劣るため、耐クラック性、表面平滑性などの問題がある。これらの問題を解決するため、充填材とイソシアネート系化合物とを含有する低粘度の目止め材溶液を基材表面に塗布含浸させて耐水性の目止め層を形成することが提案されている(特許文献1)。
更に、充填剤として炭酸カルシウム等の無機フィラーが配合されることがあるが、これらの無機フィラー中の水分とポリウレタンとが反応して早期硬化を起してしまうため、予め無機フィラーを乾燥してから混合する必要が生じ、作業が繁雑になり生産性が低下していた。
(A)湿気硬化型ポリウレタンホットメルト(PUR)と、(B)無機フィラーに、粘
着付与剤、ポリオールおよび可塑剤の群から選ばれる1種または2種以上を配合した配合物とを、40℃以上の温度で加熱混合してコンクリート用下塗り塗料を得る工程、及び
該コンクリート用下塗り塗料を加熱塗装用塗装機により木質板上に溶融塗布する工程
からなることを特徴とするコンクリート型枠の製造方法であって、
前記無機フィラーの添加量が前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト100重量部に対して60〜480重量部であり、
前記配合物の添加量が前記無機フィラーに対して20〜50重量%であり、
前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルトは融点が40〜100℃、遊離イソシアネート基が1〜10重量%で、120℃で溶融した後、表面温度20℃の試片上に240g/m 2 の塗布量で塗布した塗膜の20℃雰囲気下でのタックフリータイムが30秒〜5分で
あり、且つ分子末端に水酸基を有するポリオールと、分子末端にイソシアネート基を有するポリイソシアネートとの付加反応により得られる末端にイソシアネート基を有する化合物であり、
前記無機フィラーは平均粒子径が0.5〜90μmであり、且つ炭酸カルシウム、クレー、タルク、シリカ、酸化チタン、マイカ及びガラスフレークからなる群から選ばれる一種又は二種以上であり、
前記粘着付与剤はロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油系樹脂、スチレン系樹脂、クマロン系樹脂及びフェノール系樹脂から選ばれる一種又は二種以上であり、
前記ポリオールはポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリアルキレンポリオール及びポリカーボネートポリオールから選ばれる一種又は二種以上であり、そして
前記可塑剤はフタル酸ジイソノニル、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル、ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル、アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステル、オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル、トリメリット酸トリス(2−エチルヘキシル)及びトリメリット酸トリノルマルアルキルからなる群から選ばれる一種又は二種以上である、製造方法である。
ル等が挙げられる。
上述したこれらのポリオールは単独で用いても良く、2種以上を併せて用いても良いが、本発明においては、互いに相溶性の乏しい2種以上のポリオールを併用するのが好ましい。例えば、結晶性ポリエステルポリオールと非結晶性ポリエステルポリオール、結晶性ポリエステルポリオールとポリエーテルポリオール、結晶性ポリエステルポリオールと非結晶性ポリエステルポリオールとポリエーテルポリオール等の組合せが挙げられ、お互いに相溶性の乏しいポリオールを併用することにより、得られたプレポリマーの溶融粘度が高くなりすぎるのが抑制されホットメルトとして好適に用いられる。
、20℃雰囲気下で、指触にて塗膜表面のタック(指への付着)が消失するまでの時間のことを言い、本発明のホットメルトの場合、その時間が30秒から10分、好ましくは30秒から5分の間に入ると良い。試片には、塗料の試験で通常使用されるガラス板などが用いられるが、実用的には南洋材合板を用いることが出来る。
T.F.T.が30秒未満の場合、塗料としての可使時間が短く、使用が困難である。また、T.F.T.が10分以上であった場合、塗装後も長い時間タックが残り、タックが消えるまで保管等で塗装品を積み上げることができず、生産性が悪化する。
平均粒径が0.5μm未満では、フィラーの総表面積が増えすぎ、粘度が高くなりすぎる為、塗料のハンドリングが難しくなる。90μmを超えるとフィラー混練時にフィラーが沈降するうえ、塗膜表面のざらつきが目立つようになり、仕上り感が悪くなる。
また、本発明の塗料組成物において無機充填剤の添加量は、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト100重量部に対して、60〜480重量部である。
60重量部未満では粘度が低く、針葉樹合板の抜け節等の欠点部に対して良好に補修が行えず、また、適度な脆性を得られないため、セパレートを通す穴を開ける際に塗膜と共に合板表面が大きく剥がれてしまい、コンクリートの硬化不良を起こす。480重量部を超えると湿気硬化型ポリウレタンの比率が低くなりすぎてしまい、十分な塗膜強度が得ら
れない。
上述したこれらのポリオールは融点30〜100℃のものが好ましく、単独で用いても良く、二種以上を混合して用いても良い。
ハク酸イソデシル、ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル、アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステル、オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル、トリメリット酸トリス(2−エチルヘキシル)、トリメリット酸トリノルマルアルキル等が挙げられる。可塑剤は、沸点350℃以上のものが好ましく、二種以上の可塑剤を併用して配合しても良い。
本発明に用いるポリオール、粘着付与剤、可塑剤の添加量は、そのうちの一種、または二種からなる混合物、または三種からなる混合物として、無機フィラーに対して20〜50重量%である。20重量%未満では無機フィラー添加後の粘度が高く、混合が困難であるなどの作業性の悪化を招き、50重量%を超えると塗膜強度が低下するほか、T.F.T.が長くなり生産性が悪化する、塗料可使時間が短くなるなどの問題が起きる。
更に、本発明においては、以下に記載する硬化剤を適宜配合しても良い。硬化剤を配合すると型枠基材、上塗り塗料との密着性が良くなり、塗膜剥離が起き難くなる。
本発明のコンクリート型枠用下塗り塗料塗布後、無溶剤型ウレタン樹脂等、様々な種類の上塗り塗料を塗布することが可能である。
(A)として、従来の技術で製造した融点60℃、遊離イソシアネート基含有量2.3%、T.F.T.1分の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト(製品名HP−P1 株式会社J−ケミカル製)を100部使用した。(B)として、無機フィラーとして平均粒子径1.8μm炭酸カルシウム(製品名ホワイトンP−30 東洋ファインケミカル株式会社製)を160部と、粘着付与剤としてT−100(テルペンフェノール樹脂 ヤスハラケミカル株式会社製)を16部と、ポリオールとしてSE−2606(セバシン酸系ポリエステルポリオ
ール 伊藤製油株式会社製)を16部と、可塑剤としてフタル酸ジイソノニル(DINP)(第一工業製薬株式会社製)を16部混合して無機フィラー配合物とした。
(A)と(B)を120℃で混合し、塗料の性能評価、針葉樹合板へ塗布試験を行った。また、塗膜強度、セパ穴加工性試験は塗料を針葉樹合板へ塗布後、気温20℃、湿度50%の条件下で1週間養生させたものを使用した。
(A)、(B)は実施例1と同じ組成のものを使用した。(A)と(B)の混合時、硬化剤としてポリメリックMDI(製品名CP−B 株式会社J−ケミカル製)を20部添加し、実施例1と同様の試験を行った。
(A)は実施例1と同じものを使用した。(B)として、無機フィラーP−30を160部、粘着付与剤T−100を24部、ポリオールSE−2606を24部混合したものを用い、実施例1と同様の試験を行った。
(A)は実施例1と同じものを使用した。(B)はP−30を160部、T−100を24部、フタル酸ジイソノニル(DINP)を24部混合したものを用い、実施例1と同様の試験を行った。
(A)は実施例1と同じものを使用した。(B)として、P−30を160部、SE−2606を24部、DINPを24部混合したものを用い、実施例1と同様の試験を行った。
(A)は実施例1と同じものを使用した。(B)はP−30を160部、T−100を48部混合したものを用い、実施例1と同様の試験を行った。
(A)は実施例1と同じものを使用した。(B)として、P−30を160部、SE−2606を48部混合したものを使用し、実施例1と同様の試験を行った。
(A)は実施例1と同じものを使用した。(B)として、P−30を160部、DINPを48部混合し、実施例1と同様の試験を行った。
(A)は実施例1と同じものを使用した。(B)は無機フィラーとして平均粒子径85μm炭酸カルシウム(製品名G−60 三共製粉株式会社製)を160部、T−100を16部、SE−2606を16部、DINPを16部混合し、実施例1と同様の試験を行った。
(A)は実施例1と同じものを使用した。(A)に(B)として、P−30を160部、T−100を8部、SE−2606を8部、DINPを8部混合し、実施例1と同様の試験を行った。
(A)は実施例1と同じものを使用した。(B)はP−30を160部、T−100を30部、SE−2606を30部、DINPを30部混合し、実施例1と同様の試験を行った。
(A)は実施例1と同じものを使用した。(B)は無機フィラーとして平均粒子径100μmシリカ(電気化学工業株式会社製)を160部、T−100を16部、SE−2606を16部、DINPを16部混合し、実施例1と同様の試験を行った。
(A)は実施例1と同じものを使用した。(B)はP−30を50部、T−100を5部、SE−2606を5部、DINPを5部混合し、実施例1と同様の試験を行った。
(A)は実施例1と同じものを使用した。(B)はP−30を500部、T−100を50部、SE−2606を50部、DINPを50部混合し、実施例1と同様の試験を行った。
(A)として、従来の技術で製造した融点60℃、遊離イソシアネート基含有量2.3%、T.F.T.0.33分(20秒)の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト(製品名HP−P3 株式会社J−ケミカル製)を100部使用した。(B)はP−30を160部、T−100を16部、SE−2606を16部、DINPを16部混合し、実施例1と同様の試験を行った。
(A)として、従来の技術で製造した融点60℃、遊離イソシアネート基含有量2.3%、T.F.T.12分の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト(製品名HP−P4 株式会社J−ケミカル製)を100部使用した。(B)はP−30を160部、T−100を16部、SE−2606を16部、DINPを16部混合し、実施例1と同様の試験を行った。
(1)(B)混合作業性
(A)に対する(B)混合作業時の作業性を評価した。
◎:混合が非常に容易である。○:混合が容易である。△:混合がやや難しい。×:混合が難しい。
(A)と(B)の混合溶融液のT.F.T.を測定した。
◎:塗料塗布後の固化が早いため生産性が非常に良い。○:生産性が良い。△:生産性がやや悪い。×:固化が遅いため生産性が悪い。
(A)と(B)を加熱混合後の可使時間を評価した。
◎:加熱した状態でもゲル化しにくいため、塗料可使時間が非常に長い。○:塗料可使時間が長い。△:塗料可使時間がやや短い。×:ゲル化しやすく、塗料可使時間が短い。
塗料を針葉樹合板へ塗布し、気温20℃湿度50%の条件で1週間養生した塗膜の強度を評価した。
◎:塗膜が非常に硬く、傷がつきにくい。○:塗膜が硬い。△:塗膜がやや軟らかい。×:塗膜が軟らかいため傷がつきやすい。
10mm径のドリルを使用し、セパレータを通す穴を開けた際の針葉樹塗装合板の表面、塗膜の状態を観察した。
塗膜の脆性 ◎:セパ穴加工後、塗膜、合板のささくれを容易に除去することが出来る、×:セパ穴加工後、塗膜、合板のささくれが残る。
剥がれた距離:セパ穴加工後、塗膜と共に剥がれた合板の最大距離。(n=5 平均値)
針葉樹合板へ塗料塗布後、塗膜表面の平滑性を目視で評価した。
◎:塗装表面が平滑である、○:塗装表面に僅かに凹凸が見られるが使用上問題ない、×:塗装表面に大きな凹凸が見られる。
Claims (3)
- (A)湿気硬化型ポリウレタンホットメルト(PUR)と、(B)無機フィラーに、粘着付与剤、ポリオールおよび可塑剤の群から選ばれる1種または2種以上を配合した配合物とを、40℃以上の温度で加熱混合してコンクリート用下塗り塗料を得る工程、及び
該コンクリート用下塗り塗料を加熱塗装用塗装機により木質板上に溶融塗布する工程
からなることを特徴とするコンクリート型枠の製造方法であって、
前記無機フィラーの添加量が前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト100重量部に対して60〜480重量部であり、
前記配合物の添加量が前記無機フィラーに対して20〜50重量%であり、
前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルトは融点が40〜100℃、遊離イソシアネート基が1〜10重量%で、120℃で溶融した後、表面温度20℃の試片上に240g/m 2 の塗布量で塗布した塗膜の20℃雰囲気下でのタックフリータイムが30秒〜5分で
あり、且つ分子末端に水酸基を有するポリオールと、分子末端にイソシアネート基を有するポリイソシアネートとの付加反応により得られる末端にイソシアネート基を有する化合物であり、
前記無機フィラーは平均粒子径が0.5〜90μmであり、且つ炭酸カルシウム、クレー、タルク、シリカ、酸化チタン、マイカ及びガラスフレークからなる群から選ばれる一種又は二種以上であり、
前記粘着付与剤はロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油系樹脂、スチレン系樹脂、クマロン系樹脂及びフェノール系樹脂から選ばれる一種又は二種以上であり、
前記ポリオールはポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリアルキレンポリオール及びポリカーボネートポリオールから選ばれる一種又は二種以上であり、そして
前記可塑剤はフタル酸ジイソノニル、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル、ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル、アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステル、オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル、トリメリット酸トリス(2−エチルヘキシル)及びトリメリット酸トリノルマルアルキルからなる群から選ばれる一種又は二種以上であ
る、製造方法。 - コンクリート用下塗り塗料に硬化剤を更に配合した請求項1に記載のコンクリート型枠の製造方法。
- 前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト(PUR)がポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリアルキレンポリオール及びポリカーボネートポリオールからなる群から選ばれる一種又は二種以上の分子末端に水酸基を有するポリオールと、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の液状変性物、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、シクロヘキサンフェニレンジイソシアネート及びナフタリン−1,5−ジイソシアネートからなる群から選ばれる二官能のポリイソシアネートとの付加反応により得られる末端にイソシアネート基を有する化合物である請求項1又は請求項2に記載のコンクリート型枠の製造方法。
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