JP5969826B2 - 水銀汚染水の浄化方法及びそれに用いられる浄化装置 - Google Patents
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Description
溶性である金属イオン含有還元剤を添加し、該水銀汚染水中の水銀化合物と反応させて水
銀イオンを還元することにより水銀を遊離、気化させる工程、及び
金属イオン含有還元剤の金属イオンのうち、上記反応により価数の増加した金属イオン
を、電気化学的に元の価数の金属イオンに戻す工程を行い、
金属イオン含有還元剤の金属イオンのうち反応により価数の増加した金属イオンと元の価数の金属イオンを分離するために、金属イオンの価数の相違によりその通過を選択できる多価陽イオン透過膜を用いることを特徴とする水銀汚染水の
浄化方法により達成することができる。
(1)元の価数に戻された金属イオンを含有する還元剤を前記水銀汚染水に再び添加する。これによりリサイクルが可能となる。
(2)金属イオン含有還元剤が、金属鉄、塩化第1鉄、硫酸第1鉄及び塩化第1スズから選択される少なくとも1種である。特に、塩化第1鉄又は硫酸第1鉄が好ましい。このような還元剤の使用により、還元を迅速に行うことができる。
(3)金属イオン含有還元剤の金属イオンがFe2+であり、価数の増加した金属イオンがFe3+である。このような還元剤の使用により、還元を迅速に行うことができる。
(4)水銀汚染水に、さらにタングステン化合物及び/又は多価カルボン酸塩を添加する。これにより鉄酸化細菌の活動を抑制することができ、酸化鉄の生成を抑制することができ、還元を迅速に行うことができる。
(5)価数の増加した金属イオンを、元の価数の金属イオンに戻す反応を、電気分解により行う。還元剤の再生を容易に行うことができる。
(6)pHの調整に硫酸を用いる。酸性に保つことにより酸化された鉄の析出を抑えることができる。そして、硫酸はHgOに対する高い溶解性能を有するので好ましい。
(7)金属イオンの価数の相違によりその通過を選択できる多価陽イオン透過膜で仕切られた2室を有し、その一方の室に陽極が、他方の室に陰極が設けられ、さらに該電極に電気を送るための電源を備えた水銀汚染水の浄化装置を用いて、
陽極を有する室に、水銀汚染水を導入して、該水銀汚染水に、pHが4以上の水には不溶性で、pHが4未満の水には可溶性である金属イオン含有還元剤を添加し、該汚染水中の水銀化合物と反応させて還元することにより水銀を遊離、気化させる工程、
金属イオン含有還元剤の金属イオンのうち、この反応により価数の増加した金属イオンを、元の価数の金属イオンが通過しない多価陽イオン透過膜を通過させて陰極を有する室に導き、該陰極上で電気化学的に電子を受け取って元の価数の金属イオンに戻す工程を行う。
(8)水の電気分解が起こらないよう或いは少し起こるように、電圧をできるだけ低く調整する(一般に0.05〜0.5V、特に0.05〜0.3V)。水の電気分解が起こり過ぎると還元反応を阻害する。
金属イオンの価数の相違によりその通過を選択できる多価陽イオン透過膜で仕切られた2室を有し、その一方の室に陽極が、他方の室に陰極が設けられ、さらに該電極に電気を送るための電源を備えた、請求項1〜7のいずれか1項に記載の水銀汚染水の浄化方法に用いられる水銀汚染水の浄化装置であって、
陽極を有する室において、水銀汚染水を導入して、該水銀汚染水に、pHが4以上の水には不溶性で、pHが4未満の水には可溶性である金属イオン含有還元剤を添加し、該汚染水中の水銀化合物と反応させて水銀イオンを還元することにより水銀を遊離、気化させ、
金属イオン含有還元剤の金属イオンのうち、この反応により価数の増加した金属イオンを、元の価数の金属イオンが通過しない多価陽イオン透過膜を通過させて陰極を有する室に導き、該陰極上で電気化学的に電子を受け取らせて元の価数の金属イオンに戻すことを特徴とする水銀汚染水の浄化装置によっても達成される。
(1)元の価数に戻された金属イオンを含有する還元剤を前記水銀汚染水に再び添加する。これによりリサイクルが可能となる。
(2)当該水銀汚染水の浄化装置が複数連結されている。高い生産性が得られる。
(3)気化した水銀を回収するための水銀トラップ槽が陽極を有する室に連結されている。
(4)電源が太陽光発電パネルを含むシステムである。省エネルギーが可能となる。
水銀汚染水に、pHが4以上の水には不溶性で、pHが4未満の水には可溶性である金属イオン含有還元剤を添加し、該水銀汚染水中の水銀化合物と反応させて水銀イオンを還元することにより水銀を遊離、気化させる工程、
金属イオン含有還元剤の金属イオン(例、Fe2+)のうち、この反応により価数の増加した金属イオン(例、Fe3+)を、電気化学的に元の価数の金属イオンに戻す工程
を有する。そして、得られた元の価数に戻された金属イオン(例、Fe2+)を含有する還元剤を前記水銀汚染水に再び添加することが好ましい。これによりリサイクルが可能となり、還元剤の量を低く抑えることができる。また金属イオン含有還元剤と水銀化合物と反応は、pHを低く抑えることにより容易に行うことができるので簡便であり、さらに、価数の増加した金属イオンを元の価数の金属イオンに戻すのを電気化学的に迅速に行うため酸化鉄等の不要な酸化物の沈殿をもたらさない。このため、本発明の方法では、特に高温にする必要がないので、高いエネルギーを必要とすることはなく、また処理効率も高いので、大型の設備も必要としない。
図1の浄化装置を用いて、以下の浄化試験を行った。多価陽イオン透過膜1に、旭化成(株)製のアシプレックスK192を用いた。
水銀汚染水(水銀濃度:600μg/L前後)を、陽極4が設置された反応槽2に導入した。水銀汚染水に硫酸を添加して、pH3に調整した。さらに、水銀汚染水に、金属イオン含有還元剤として硫酸第1鉄を、水銀汚染水における含有量が0.05質量%となるように添加した。その後、上記浄化装置を2時間稼働させた(電位0.2V)。硫酸第1鉄のさらなる添加は行わなかった。
稼働前、終了後の水銀濃度、及びpHを図2のグラフに示す。
実施例1において、硫酸第1鉄の水銀汚染水における含有量を0.15質量%とした以外は同様にして浄化試験を実施した。
稼働前、終了後の水銀濃度、及びpHを図2のグラフに示す。
実施例1において、硫酸第1鉄の水銀汚染水における含有量を0.30質量%とした以外は同様にして浄化試験を実施した。
稼働前、終了後の水銀濃度、及びpHを図2のグラフに示す。
実施例1において、pH4に調整した以外は同様にして浄化試験を実施した。
稼働前、終了後の水銀濃度、及びpHを図3のグラフに示す。
図1の浄化装置を用いて、以下の浄化試験を行った。多価陽イオン透過膜1に、旭化成(株)製のアシプレックスK192を用いた。
水銀汚染水(水銀濃度:93.0μg/L)を、陽極4が設置された反応槽2に導入した。水銀汚染水に硫酸を添加して、pH3に調整した。さらに、水銀汚染水に、金属イオン含有還元剤として硫酸第1鉄を、水銀汚染水における含有量が0.05質量%となるように添加した。その後、上記浄化装置を2時間稼働させた(電位0.1V)。硫酸第1鉄のさらなる添加は行わなかった。なお、稼働中にpHが4.2Vになったため、電位を1.5Vに上昇させ5分間保持することによりpHを3.4まで下げた。
稼働前、終了後の水銀濃度、及びpHを図4のグラフに示す。
実施例4において、硫酸第1鉄の水銀汚染水における含有量を0.15質量%とした以外は同様にして浄化試験を実施した。
稼働前、終了後の水銀濃度、及びpHを図4のグラフに示す。
実施例4において、硫酸第1鉄の水銀汚染水における含有量を0.30質量%とした以外は同様にして浄化試験を実施した。
稼働前、終了後の水銀濃度、及びpHを図4のグラフに示す。
図1の浄化装置を用いて、以下の浄化試験を行った。多価陽イオン透過膜1に、旭化成(株)製のアシプレックスK192を用いた。
水銀汚染水(水銀濃度:8.4μg/L)を、陽極4が設置された反応槽2に導入した。水銀汚染水に硫酸を添加して、pH3に調整した。さらに、水銀汚染水に、金属イオン含有還元剤として硫酸第1鉄を、水銀汚染水における含有量が0.05質量%となるように添加した。その後、上記浄化装置を2時間稼働させた(電位0.1V)。硫酸第1鉄のさらなる添加は行わなかった。
稼働前、終了後の水銀濃度、及びpHを図5のグラフに示す。
実施例7において、硫酸第1鉄の水銀汚染水における含有量を0.15質量%とした以外は同様にして浄化試験を実施した。
稼働前、終了後の水銀濃度、及びpHを図5のグラフに示す。
実施例7において、硫酸第1鉄の水銀汚染水における含有量を0.30質量%とした以外は同様にして浄化試験を実施した。
稼働前、終了後の水銀濃度、及びpHを図5のグラフに示す。
2 反応槽
3 水槽
4 陽極
5 陰極
6 参照電極
7 ポテンショメータ
8 水銀トラップ槽
9、11 配管
10 ソーラーパネル
12 ポンプ
Claims (12)
- 水銀汚染水に、pHが4以上の水には不溶性で、pHが4未満の水には可溶性である金属イオン含有還元剤を添加し、該水銀汚染水中の水銀化合物と反応させて水銀イオンを還元することにより水銀を遊離、気化させる工程、及び
金属イオン含有還元剤の金属イオンのうち、上記反応により価数の増加した金属イオンを、電気化学的に元の価数の金属イオンに戻す工程を行い、
金属イオン含有還元剤の金属イオンのうち反応により価数の増加した金属イオンと元の価数の金属イオンを分離するために、金属イオンの価数の相違によりその通過を選択できる多価陽イオン透過膜を用いることを特徴とする水銀汚染水の浄化方法。 - 元の価数に戻された金属イオンを含有する還元剤を前記水銀汚染水に再び添加する請求項1に記載の水銀汚染水の浄化方法。
- 金属イオン含有還元剤が、金属鉄、塩化第1鉄、硫酸第1鉄及び塩化第1スズから選択される少なくとも1種である請求項1又は2に記載の水銀汚染水の浄化方法。
- 金属イオン含有還元剤の金属が、塩化第1鉄又は硫酸第1鉄である請求項1〜3のいずれか1項に記載の水銀汚染水の浄化方法。
- 金属イオン含有還元剤の金属イオンがFe2+であり、価数の増加した金属イオンがFe3+である請求項1〜4のいずれか1項に記載の水銀汚染水の浄化方法。
- 水銀汚染水に、さらにタングステン化合物及び/又は多価カルボン酸塩を添加する請求項1〜5のいずれか1項に記載の水銀汚染水の浄化方法。
- 金属イオンの価数の相違によりその通過を選択できる多価陽イオン透過膜で仕切られた2室を有し、その一方の室に陽極が、他方の室に陰極が設けられ、さらに該電極に電気を送るための電源を備えた水銀汚染水の浄化装置を用いて、
陽極を有する室に、水銀汚染水を導入して、該水銀汚染水に、pHが4以上の水には不溶性で、pHが4未満の水には可溶性である金属イオン含有還元剤を添加し、該汚染水中の水銀化合物と反応させて水銀イオンを還元することにより水銀を遊離、気化させる工程、
金属イオン含有還元剤の金属イオンのうち、上記反応により価数の増加した金属イオンを、元の価数の金属イオンが通過しない多価陽イオン透過膜を通過させて陰極を有する室に導き、該陰極上で電気化学的に電子を受け取らせて元の価数の金属イオンに戻す工程を行う請求項1〜6のいずれか1項に記載の水銀汚染水の浄化方法。 - 金属イオンの価数の相違によりその通過を選択できる多価陽イオン透過膜で仕切られた2室を有し、その一方の室に陽極が、他方の室に陰極が設けられ、さらに該電極に電気を送るための電源を備えた、請求項1〜7のいずれか1項に記載の水銀汚染水の浄化方法に用いられる水銀汚染水の浄化装置であって、
陽極を有する室において、水銀汚染水を導入して、該水銀汚染水に、pHが4以上の水には不溶性で、pHが4未満の水には可溶性である金属イオン含有還元剤を添加し、該汚染水中の水銀化合物と反応させて水銀イオンを還元することにより水銀を遊離、気化させ、
金属イオン含有還元剤の金属イオンのうち、この反応により価数の増加した金属イオンを、元の価数の金属イオンが通過しない多価陽イオン透過膜を通過させて陰極を有する室に導き、該陰極上で電気化学的に電子を受け取らせて元の価数の金属イオンに戻すことを特徴とする水銀汚染水の浄化装置。 - 元の価数に戻された金属イオンを含有する還元剤を前記水銀汚染水に再び添加する請求項8に記載の水銀汚染水の浄化装置。
- 当該水銀汚染水の浄化装置が複数連結されている請求項8又は9に記載の水銀汚染水の浄化装置。
- 気化した水銀を回収するための水銀トラップ槽が陽極を有する室に連結されている請求項8〜10のいずれか1項に記載の水銀汚染水の浄化装置。
- 電源が太陽光発電パネルを含むシステムである請求項8〜11のいずれか1項に記載の水銀汚染水の浄化装置。
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