JP5968722B2 - ポリカーボネート樹脂組成物及び成形体 - Google Patents
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Description
本発明は、以下のポリカーボネート樹脂組成物および成形体を提供する。
[2]混合物(D)は、さらに、酸化亜鉛(D−3)を、(D−1)〜(D−3)の合計100質量%基準で、0.01〜1質量%含有することを特徴とする上記[1]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[3]スチレン系共重合体(B)が、アクリロニトリル−スチレン系共重合体である上記[1]または[2]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[4]上記[1]乃至[3]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形体。
[5]成形体が、カメラ部品または携帯端末用筺体であることを特徴とする上記[4]に記載の成形体。
このため、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、強度、剛性、耐衝撃性、さらに多数のカラーバリエーションが要求される、携帯電話等の各種携帯端末、携帯オーディオプレーヤー、デジタルカメラ、ノートブックパソコン、タブレット型コンピューター、電子ブック、電子辞書等の筐体等の部品等に好適に使用することができ、特にカメラ部品や携帯端末用筺体として有用である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)40〜94質量%、スチレン系共重合体(B)1〜20質量%、及び、エポキシ系収束剤で収束された平均繊維長が50〜2000μm、繊維断面の長径と短径の比(長径/短径)の平均値が1.5〜8である扁平断面ガラス繊維(C)5〜60質量%とからなる(A)、(B)および(C)の合計100質量部に対し、硫化亜鉛(D−1)を50〜99.5質量%および硫酸バリウム(D−2)を0.5〜50質量%含有する混合物(D)を0.1〜10質量部、有機ホスフェート化合物系熱安定剤(E)を0.01〜1質量部含有することを特徴とする。
なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本発明に使用される芳香族ポリカーボネート樹脂(A)は、芳香族ジヒドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲン又は炭酸ジエステルと反応させることによって得られる、分岐していてもよい熱可塑性重合体又は共重合体である。
芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知のホスゲン法(界面重合法)や溶融法(エステル交換法)により製造したものを使用することができる。
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、
1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)(4−プロペニルフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルエタン、
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、
10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、
等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルシクロヘキサン、
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,4−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−プロピル−5−メチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−tert−ブチル−シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、
等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類;
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;
等が挙げられる。
なお、芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。
以下、これらの方法のうち、特に好適なものについて具体的に説明する。
まず、芳香族ポリカーボネート樹脂を界面重合法で製造する場合について説明する。界面重合法では、反応に不活性な有機溶媒及びアルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(好ましくは、ホスゲン)とを反応させた後、重合触媒の存在下で界面重合を行うことによってポリカーボネート樹脂を得る。なお、反応系には、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)を存在させるようにしてもよく、ジヒドロキシ化合物の酸化防止のために酸化防止剤を存在させるようにしてもよい。
なお、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は通常は数分(例えば、10分)〜数時間(例えば、6時間)である。
次に、芳香族ポリカーボネート樹脂を溶融エステル交換法で製造する場合について説明する。溶融エステル交換法では、例えば、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応を行う。
一方、炭酸ジエステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート等の炭酸ジアルキル化合物;ジフェニルカーボネート;ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネートなどが挙げられる。中でも、ジフェニルカーボネート及び置換ジフェニルカーボネートが好ましく、特にジフェニルカーボネートがより好ましい。なお、炭酸ジエステルは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、より積極的な調整方法としては、反応時に別途、末端停止剤を混合する方法が挙げられる。この際の末端停止剤としては、例えば、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類などが挙げられる。なお、末端停止剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、溶液粘度から換算した粘度平均分子量[Mv]は、通常10000以上、好ましくは16000以上、より好ましくは17000以上であり、また、通常40000以下、好ましくは30000以下、より好ましくは24000以下である。粘度平均分子量を前記範囲の下限値以上とすることにより、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の機械的強度をより向上させることができ、機械的強度の要求の高い用途に用いる場合により好ましいものとなる。一方、粘度平均分子量を前記範囲の上限値以下とすることにより、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の流動性低下を抑制して改善でき、成形加工性を高めて成形加工を容易に行えるようになる。
なお、粘度平均分子量の異なる2種類以上の芳香族ポリカーボネート樹脂を混合して用いてもよく、この場合には、粘度平均分子量が上記の好適な範囲外である芳香族ポリカーボネート樹脂を混合してもよい。
ただし、再生されたポリカーボネート樹脂は、本発明のポリカーボネート樹脂組成物に含まれるポリカーボネート樹脂のうち、80質量%以下であることが好ましく、中でも50質量%以下であることがより好ましい。再生されたポリカーボネート樹脂は、熱劣化や経年劣化等の劣化を受けている可能性が高いため、このようなポリカーボネート樹脂を前記の範囲よりも多く用いた場合、色相や機械的物性を低下させる可能性があるためである。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、スチレン系共重合体(B)を含有する。スチレン系共重合体(B)を含有することで、ポリカーボネート樹脂組成物の流動性(成形性)を改良することができ、また赤変色を抑制することが可能となる。
ここでスチレン系共重合体(B)とは、スチレン系単量体と必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル単量体及びゴム質重合体より選ばれる1種以上を重合して得られる樹脂である。。
これらのビニル単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記の(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等が挙げられる。
ブタジエン−(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステル共重合体又はブタジエン−スチレン−(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステル共重合体における(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステルの割合は、ゴム質量の30質量%以下であることが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物が含有する扁平断面ガラス繊維(C)は、その平均繊維長が50〜2000μmの範囲にあり、かつ、長径と短径の比(長径/短径)の平均値が1.5〜8である扁平断面ガラスであり、エポキシ系収束剤で収束されたものを用いる。このような平均繊維長とすることで、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の流動性、剛性、低ソリ性、耐衝撃性、収縮異方性を効果的に高めることができる。
扁平断面ガラス繊維(C)の平均繊維長は、好ましくは70〜1000μmであり、より好ましくは100〜700μm、さらに好ましくは200〜500μmである。平均繊維長が50μm未満では補強効果が少なく機械的強度が不十分であり、2000μmを超えるとソリや異方性が大きくなるほか、成形品の外観が悪化する。
扁平断面ガラス繊維(C)の繊維断面の長径と短径の比(長径/短径)の平均値は、1.5〜8であり、好ましくは1.6〜7、より好ましくは1.7〜6、さらに好ましくは1.8〜5である。扁平断面ガラス繊維(C)の断面形状は、扁平断面の他、楕円状、繭状、三つ葉状、及びこれに類する形状の非円形形状が含まれるが、機械的強度、低ソリ性、異方性の観点より、扁平状のものがより好ましく、その中で、上記範囲の長径と短径の比を有するガラス繊維を用いることで、本発明のポリーボネート樹脂組成物の流動性や低ソリ性、耐衝撃性、収縮異方性を高めることができる。
1.樹脂組成物を600〜700℃で燃焼、またはメチレンクロライドに溶解させ樹脂分を取り除き、扁平断面ガラス繊維を単離する。
2.取り出した扁平断面ガラス繊維をガラス上に極力重ならない様に広げ、光学顕微鏡にて40〜100倍で観察、撮影を行う。
3.得られた写真から、扁平断面ガラス繊維の長さをノギスにて測定し、1,000個の測定を行い、加算平均を求める。
このような繊維径の扁平断面ガラス繊維は、連続的に巻き取ったガラスロービングを切り揃えたもの、長さ1mm乃至10mmに切り揃えたチョップドストランド等を用いることができる。
エポキシ系収束剤のガラス繊維表面への塗布量は、好ましくは0.1〜2質量%、より好ましくは0.3〜1.8質量%である。かかる範囲にあると、強度、耐湿性に優れ、またポリカーボネート樹脂組成物の溶融粘度を高くして成形が困難となるようなことがない。
本発明の樹脂組成物には、硫化亜鉛(D−1)および硫酸バリウム(D−2)の混合物(D)を白色顔料として使用する。硫化亜鉛(D−1)と硫酸バリウム(D−2)の混合割合は、両者の合計100質量%基準で、硫化亜鉛(D−1)50〜99.5質量%および硫酸バリウム(D−2)0.5〜50質量%である。
混合物(D)は、扁平断面ガラス繊維(C)の破砕を起こしにくく、樹脂組成物の強度低下、特に弾性率の低下を引き起こすことなく白度に優れた着色を可能にすることができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物では、有機ホスフェート化合物系熱安定剤(E)を使用する。
有機ホスフェート化合物系熱安定剤(E)としては、下記一般式(1)で表される有機ホスフェート化合物が好ましい。
O=P(OH)n(OR)3−n (1)
(式中、Rはアルキル基又はアリール基を表し、Rが複数ある場合、これらは互いに同一でも、異なっていてもよい。mは0〜2の整数を示す。)
一般式(1)中、Rは炭素原子数1〜30のアルキル基又は炭素原子数6〜30のアリール基であることが好ましく、中でも炭素原子数2〜25のアルキル基であることが好ましい。またnは、1又は2であることが好ましい。なお、Rが2以上存在する場合、R同士はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
なお、有機ホスフェート化合物系熱安定剤(E)は、1種を単独で含有してもよく、2種以上を任意の割合で併用してもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリシロキサン(F)を含有することも好ましい。ポリシロキサンを含有することで、混合物(D)の表面にポリシロキサンが付着することで、ポリカーボネート樹脂組成物中での均一分散性および分散状態の安定性を向上させる。
ポリシロキサン(F)としては、なかでも混合物(D)の表面と反応する反応性の官能基を持つ反応性官能基含有有機珪素化合物が好ましい。反応性の官能基としては、Si−H基、Si−OH基、Si−NH基、Si−OR基が挙げられるが、Si−H基、Si−OH基、Si−OR基を持つものがより好ましく、Si−H基をもつSi−H基含有有機珪素化合物が、特に好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、さらに、ポリカーボネートオリゴマー(G)を含有することも好ましく、ポリカーボネートオリゴマー(G)を含有することで扁平断面ガラス繊維(C)の浮きによる外観不良の発生を防止することができる。
ポリカーボネートオリゴマー(G)としては、粘度平均分子量が1,000〜10,000のものが好ましく、2,000〜8,000のものがより好ましい。分子量が1,000未満では機械的強度が低下し、10,000を超えると外観の改良効果が小さい。
ポリカーボネートオリゴマーの重合度の調整は、ホスゲンを用いる界面重合法では、フェノール及び/又はアルキル置換フェノールを重合系に添加して、末端封止すれば良い。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、カプロラクトン系重合体(H)を含有することも好ましい。カプロラクトン系重合体を含有することで、扁平断面ガラス繊維(C)の浮きによる外観不良の発生を防止することができる。
カプロラクトン系重合体とは、重合体中にε−カプロラクトン由来の構成単位を、通常70質量%以上含有する重合体又は共重合体である。ε−カプロラクトンと共重合するモノマーとしては、β−プロピオラクトン、ピバロラクトン、ブチロラクトンなどのラクトンモノマー、エチレンオキシド、1,2−プロピオンオキシド、1,3−プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン等のアルキレンオキシド、スチレン、メチルメタクリレート、ブタジエン等の不飽和モノマー及びテレフタル酸ジメチル、ジフェニルカーボネート等のカップリング剤等が挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、更に他の添加剤を含有していても良い。このような添加剤としては、離型剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、染顔料、蛍光増白剤、滴下防止剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。
離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。
これらの中では、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスまたはポリエチレンワックスの部分酸化物が好ましく、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスがさらに好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、白色顔料混合物(D)以外の他の染顔料を配合して着色することができる。本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、他の染顔料を含有することにより、色映え良く、各種の色に着色でき、意匠性も高めることができる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック;カドミウムレッド、カドミウムイエロー等の硫化物系顔料;群青などの珪酸塩系顔料;弁柄、酸化クロム、鉄黒、チタンイエロー、亜鉛−鉄系ブラウン、チタンコバルト系グリーン、コバルトグリーン、コバルトブルー、銅−クロム系ブラック、銅−鉄系ブラック等の酸化物系顔料;黄鉛、モリブデートオレンジ等のクロム酸系顔料;紺青などのフェロシアン系顔料などが挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法としては、任意の方法が採用される。
例えば、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)、スチレン系共重合体(B)、扁平断面ガラス繊維(C)、白色顔料混合物(D)及び有機ホスフェート化合物系熱安定剤(E)、さらに、適宜その他の添加剤等をV型ブレンダー等の混合手段を用いて混合し、一括ブレンド品を調整した後、ベント付き押出機で溶融混練してペレット化する方法が挙げられる。あるいは、二段階練込法として、予め、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)、スチレン系共重合体(B)、白色顔料(D)及び有機ホスフェート化合物系熱安定剤(E)、その他の添加剤等を、十分混合後、ベント付き押出機で溶融混練りしてペレットを製造した後、そのペレットと扁平断面ガラス繊維(C)を混合後、ベント付き押出機で溶融混練りする方法が挙げられる。
更に、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を製造するのに特に好ましい方法として、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)、スチレン系共重合体(B)、白色顔料混合物(D)及び有機ホスフェート化合物系熱安定剤(E)、その他の添加剤等を、V型ブレンダー等で十分混合したものを予め調整しておき、それをベント付き二軸押出機の第一シュートより供給し、扁平断面ガラス繊維(C)は押出機途中の第二シュートより供給して溶融混練、ペレット化する方法が挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、通常、任意の形状に成形して成形体として用いる。この成形体の形状、模様、色、寸法などに制限はなく、その成形体の用途に応じて任意に設定すればよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、強度に優れ、着色時の色映えに優れ、さらに成形収縮の異方性が小さく、成形品の外観特性にも優れるポリカーボネート樹脂材料であるので、各種用途における成形体として使用できる。
電気電子機器、情報端末機器、家電製品、OA機器としては、例えば、パソコン、ゲーム機、テレビ、電子ペーパーなどのディスプレイ装置、プリンター、コピー機、スキャナー、ファックス、電子手帳;PDA、携帯電話、タブレット端末等の各種携帯端末;電子式卓上計算機、電子辞書;カメラ、ビデオカメラやそのレンズ;電池パック、記録媒体のドライブや読み取り装置、マウス、テンキー、CDプレーヤー、MDプレーヤー、携帯ラジオ・オーディオプレーヤー等の部品が挙げられる。
なかでも、各種携帯端末の筺体;デジタルカメラ、ビデオカメラ、またそのレンズ筒等のカメラ部品等に、特に好適に用いることができる。
なお、以下の説明において[部]とは、特に断りのない限り、質量基準に基づく「質量部」を表す。
<樹脂ペレット製造>
上記表1に記載したガラス繊維を除く各成分を、後記表2〜4に記した割合(質量比)で配合し、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製二軸押出機(TEX30HSST)に供給し、表2〜3に記載のガラス繊維を押出機途中より溶融樹脂中へサイドフィードで供給した。スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/時間、バレル温度280℃の条件で混練し、ストランド状に押出された溶融樹脂を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
上記の製造方法で得られたペレットを80℃で5時間乾燥させた後、住友重機械工業社製射出成形機(サイキャップM−2、型締め力75T)を用いて、シリンダー温度300℃、金型温度110℃の条件で、ISO多目的試験片(3mm厚、4mm厚)、長さ80mm×幅40mm×厚さ3.2mmの収縮率試験用試験片を射出成形した。
また、色相評価は収縮率試験用試験片を用いて測定した。成形サイクル55秒とした3.2mm厚の収縮率試験用試験片を、さらに、成形サイクル3分とした滞留成形を行い3.2mm厚の収縮率試験用試験片を射出成形した。遮光性評価用には長さ90mm×幅50mm×厚さ2.0mm、1.0mmの2段プレートを射出成形した。
各評価方法は、以下のとおりである。
ポリカーボネート樹脂組成物中の扁平断面ガラス繊維(C)の平均繊維長の測定方法は、前述したとおりである。
ISO178に準拠して、上記ISO多目的試験片(4mm厚)を用いて、23℃の温度で、曲げ弾性率(単位:MPa)と曲げ強度(単位:MPa)を測定した。
上記の収縮率試験用試験片を、23℃、50%RHにて48時間調湿後、成形収縮率を測定した。具体的には、流動方向(MD)および流れと垂直方向(TD)の各々の長さ寸法を測定し、金型寸法からどの程度収縮していたかを収縮率(単位:%)で求め、寸法異方性の評価として、MDとTDとの成形収縮率の比(MD/TD)を算出した。成形収縮率の比が1に近いほど、寸法安定性は優れると評価される。
上述の方法で得られたISO多目的試験片(3mm厚)を用い、ISO179に準拠し、23℃の条件で、それぞれノッチ無しシャルピー耐衝撃強度(単位:kJ/m2)を測定した。
上述した成形サイクル55秒及び成形サイクル3分の滞留成形の3.2mm厚の収縮率試験用試験片を用い、JIS K−7105に準拠して、日本電色工業社製のSE2000型分光式色差計で、反射法により、L、a、b値を測定し、ハンターLab白色度W(Lab)を以下の定義式より求めた。
W(%)=100−[(100−L)2+(a2+b2)]0.5
式中、L、a及びbは、それぞれLab系色座標における明度(L)、及び知覚色度指数(a,b)を示す。
上述した2段プレートの1mm厚の部分を用いて、日本電色工業社製のD2000型濁度計を用いて全光線透過率の測定を行った。全光線透過率が低いほど遮光性が高いと判断される。
上記ISO多目的試験片(4mm厚)を用い、ISO75−1&2に従い、荷重1.80MPaの条件(A法)にて荷重たわみ温度(DTUL、単位:℃)を測定した。
ウベローデ粘度計を用いて、成形後の芳香族ポリカーボネート(熱安定剤、紫外線吸収剤未添加)の塩化メチレン中、20℃における極限粘度[η]を測定し、以下の式より求めた。
[η]=1.23×10−4×(Mv)0.83
以上の評価結果を以下の表2〜表4に示す。
一方、表4にあるように、比較例1〜3のスチレン系共重合体(B)及び有機ホスフェート化合物系熱安定剤(E)を用いない場合は滞留成形品の赤変色が起こり、比較例4〜5のようにエポキシ系収束剤の代わりにウレタン系収束剤で収束した扁平断面ガラス繊維を用いると特に曲げ強度が低下し黄変が起きてしまい、比較例6のようにスチレン系共重合体(B)及び有機ホスフェート化合物系熱安定剤(E)を使用せずエポキシ収束の円形断面ガラス繊維を用いた場合は赤変色を起きていることが分かる。さらに、混合物(D)の代わりに、酸化チタンを用いたもの(比較例7)は曲げ強度が低下し、硫酸バリウム(D−2)のみを含有するもの(比較例8)は分子量の低下が起きている。このように、本発明で規定する要件を満たさないポリカーボネート樹脂組成物は、強度(曲げ弾性、曲げ強度、シャルピー衝撃)、赤変色、白色度、成形収縮異方性の全てをバランスさせながら満足さすことはできず、いずれかの性質が劣ることがわかる。
Claims (5)
- 芳香族ポリカーボネート樹脂(A)40〜94質量%、スチレン系共重合体(B)1〜20質量%、及び、エポキシ系収束剤で収束された平均繊維長が50〜2000μm、繊維断面の長径と短径の比(長径/短径)の平均値が1.5〜8である扁平断面ガラス繊維(C)5〜60質量%とからなる(A)、(B)および(C)の合計100質量部に対し、硫化亜鉛(D−1)、硫酸バリウム(D−2)および酸化亜鉛(D−3)を、(D−1)/(D−2)/(D−3)の質量比が90〜99.5/0.5〜10/0〜9.5の比率で含有する混合物(D)を0.1〜10質量部、有機ホスフェート化合物系熱安定剤(E)を0.01〜1質量部含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
- 混合物(D)は、酸化亜鉛(D−3)を、(D−1)〜(D−3)の合計100質量%基準で、0.01〜1質量%含有することを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- スチレン系共重合体(B)が、アクリロニトリル−スチレン系共重合体である請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物の成形体。
- 成形体が、カメラ部品または携帯端末用筺体であることを特徴とする請求項4に記載の成形体。
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