以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳述する。図1〜図19は本発明に係る伸縮式門扉の第1の実施形態を例示する。図1及び図2において、1は吊り元支柱、2は戸当たり支柱で、これら一対の支柱1,2は出入り口3の左右両側で地面4上に立設されている。5は伸縮式の扉体で、出入り口3を開閉するように吊り元支柱1と戸当たり支柱2との間に左右方向に伸縮開閉自在に配置され、また収縮状態で出入り口3側の収納位置Z1と回転収納位置Z2とに収納可能である。
この扉体5は、左右方向に伸縮自在に構成されたパンタグラフ機構6と、このパンタグラフ機構6を前後両側から挟み且つ左右方向(伸縮方向)に略等間隔を置いて配置された複数個の縦枠7とを備えている。複数個の縦枠7の内、その特定の縦枠7が区分縦枠71となっており、この区分縦枠71の左右両側に、パンタグラフ機構6が互いに独立して伸縮可能に配置され、その各パンタグラフ機構6に複数個の縦枠7を装着することにより、第1扉体部8と第2扉体部9とが構成されている。
区分縦枠71は各扉体部8,9に共通である。第1扉体部8は区分縦枠71と反対の吊り元側端の縦枠7に吊り元側端枠10が、第2扉体部9は区分縦枠71と反対の戸当たり側端の縦枠7に戸当たり側端枠(移動側端枠)11が夫々連結されている。
吊り元側端枠10は収縮状態の扉体5を吊り元支柱1の内側に旋回収容できるように、吊り元支柱1に対してヒンジ1aを介して縦軸廻りに回動可能に装着されている。戸当たり側端枠11には把手11a、施錠手段11bが設けられている。区分縦枠71、戸当たり側端の縦枠7にはキャスター車輪12が、区分縦枠71には保持部材71aにより上下摺動自在に保持された落とし棒13が夫々設けられている。
キャスター車輪12は地面4上に移動可能であり、例えば区分縦枠71、縦枠7の前後両側に配置されている。落とし棒13は区分縦枠71を所定位置で移動不能にロックするためのもので、区分縦枠71に上下動自在に設けられ、下降して地面4の落とし孔14に係脱自在に係合することにより区分縦枠71を移動不能にロックするようになっている。なお、落とし棒13は他の縦枠7、例えば戸当たり側端の縦枠7にも設けても良い。
各縦枠7、区分縦枠71は、図2に区分縦枠71側について示すように、パンタグラフ機構6を挟んでその前後に配置された一対の前後縦桟15,16と、パンタグラフ機構6の上下両側で前後縦桟15,16の上下両端を前後方向に連結する一対の連結材18a,18bとを備えている。前後縦桟15,16には図6、図8及び図9に示すように、上下方向の案内溝等の案内部15a,16aが相対向して設けられている。各端枠10,11は縦枠7よりも広い左右幅を有し、各縦枠7と略同様な側面視形状に構成されている。後縦桟16に落とし棒13用の保持部材71aが装着されている。
複数個の縦枠7の内、左右方向の中間(例えば左右方向の略中央等)の縦枠7が区分縦枠71となっている。区分縦枠71は図1に示すように扉体5を吊り元側の第1扉体部8と移動端側の第2扉体部9とに区分するもので、この区分縦枠71の左右両側で各扉体部8,9が別々に伸縮して開閉できるようになっている。
区分縦枠71は、図2に示すように、前後縦桟15,16と、この前後縦桟15,16間の前後方向の略中央に配置された中間縦桟17とを有する。中間縦桟17は図8、図9に示すように、左右幅が前後縦桟15,16よりも小さい略断面H型であって、前後両側に前後縦桟15,16の案内部15a,16aと相対向する案内溝等の案内部17aを有する。なお、中間縦桟17の上下両端は、上下の連結材18a,18bに固定されている。
パンタグラフ機構6は図3、図4に示すように、左右方向に一定間隔で配置された複数の右上がり傾斜リンク19と左上がり傾斜リンク20とを前後に備え、各傾斜リンク19,20は各縦枠7に対しては少なくとも上下方向の3箇所の交差部21〜23で交差し、隣り合う縦枠7間では上下方向の2箇所の中間交差部24,25で夫々交差している。各扉体部8,9の傾斜リンク19,20には、縦枠7の左右幅よりも小さい角筒状のアルミ型材等が使用されている。各扉体部8,9は収縮状態のときに左右に隣り合う縦枠7同士が当接するか、又は隣り合う縦枠7側の後述の摺動体同士が当接して近接するようになっている。
区分縦枠71を除く縦枠7上の上下3箇所の交差部21,22,23の内、その中間の交差部22は、図5に示すように、前後縦桟15,16間に支架された固定枢軸26により上下動不能に枢支され、また上下方向の両側の交差部21,23は、図6に示すように可動枢軸27,28により縦枠7に対して上下動自在に枢支されている。隣り合う縦枠7間の中間交差部24,25では、図7に示すように中間枢軸29,30により傾斜リンク19,20が枢支されている。
下側の中間枢軸30は扉体部8,9の下側の各中間交差部25に設けられている。また上側の中間枢軸29は扉体部8,9の上側の中間交差部24の内、その左右両端部にのみ設けられている。なお、中間枢軸29,30は上下逆に配置しても良いし、全ての中間交差部24,25に設けても良い。
傾斜リンク19,20には、図3に示すように、上下両端の可動枢軸27,28に跨がる長さの長い長尺リンクの他に、各扉体部8,9の左右両端で隣り合う二つの縦枠7(区分縦枠71を含む)間に配置される、長尺リンクよりも短い短尺リンクがある。区分縦枠71とその左右両側の縦枠7との間を除く部分では、各傾斜リンク19,20は、図5、図6に示すように縦枠7の前後縦桟15,16に跨がって配置された固定枢軸26、可動枢軸27,28により枢支されており、伸長状態、収縮状態の何れの場合にも略平行である。
区分縦枠71とその左右両側の縦枠7との間を除く部分では、図4に示すように、各傾斜リンク19,20の固定枢軸26とその隣の中間枢軸29,30との間の長さ、隣り合う縦枠7相互間の可動枢軸27,28と中間枢軸29,30との間の長さは略同一のLであり、固定枢軸26と可動枢軸27,28との間の長さは略2Lである。
区分縦枠71の左右両側の短尺リンクである上部リンク32,33及び下部リンク34,35は、反対側である端枠10,11の上部及び下部の短尺リンクよりも若干短くなっており、その区分縦枠71の左右両側の各扉体部8,9の上部リンク32,33の下端部同士、下部リンク34,35の上端部同士が、図3、図4及び図14に示すように、区分縦枠71上で上下に近接して配置された2個の固定枢軸36,37により別々に枢着されている。
区分縦枠71の上下両側の交差部21,23には、図8、図9に示すように、区分縦枠71に対して別々に上下動自在な可動枢軸39,40、41,42が各扉体部8,9の長尺側の傾斜リンク19,20に対応して前後に配置され、この可動枢軸39,40、41,42により各扉体部8,9の長尺側の各傾斜リンク19,20が枢支されている。
長尺側の傾斜リンク19,20の区分縦枠71上の可動枢軸39,40、41,42と、その左右両側の縦枠7上の固定枢軸26との間の長さは、上部リンク32,33及び下部リンク34,35の長さに対応して、他の部分の固定枢軸26と可動枢軸27,28との間の長さよりも若干短くなっている。
上部リンク32,33、下部リンク34,35を区分縦枠71に枢支する固定枢軸36,37は、図14に示すように、区分縦枠71の左右両側で右上がり、左上がりに傾斜する上部リンク32,33、下部リンク34,35の内、同一方向に傾斜する上部リンク32と下部リンク35、上部リンク33と下部リンク34とに対してリンク幅方向の反対側(外側)に略同じ寸法γだけ偏心して配置されている。
従って、上部リンク32と下部リンク35、上部リンク33と下部リンク34は、図14に二点鎖線で示すように、各扉体部8,9を折り畳んで収縮させたときに正面視において略直線状となる。このため左右に隣り合う傾斜リンク19,20同士の干渉を防止でき、両扉体部8,9を収縮状態に折り畳んだときの折り畳み長さを短くできる。
即ち、扉体部8,9が伸長状態の場合には、区分縦枠71とその両側の縦枠7との間の上部リンク32,33、下部リンク34,35を含む傾斜リンク19,20は、他の傾斜リンク19,20と非平行状態であり、収縮状態の場合には図14に二点鎖線で示すように平行状態である。
図4に示すように各扉体部8,9の伸長状態において、区分縦枠71とその両側の縦枠7との間での傾斜リンク19,20、上部リンク32,33、下部リンク34,35の交差部21〜25間の距離(又は間隔)L1〜L4は、L1>L2>L3>L4であり、L1>L>L2であり、2L>L1+L3>L2+L4である。因みにL=225mmとした場合、L1≒226mm、L2≒224mm、L3≒219mm、L4≒216mm程度が適当である。また区分縦枠71とその両側の縦枠7との間隔W1は他の縦枠7間の間隔Wよりも若干小であり、W=230mmとした場合、W1≒227mm程度である。また固定枢軸36,37間の間隔Dとすると、D≒19mmである。なお、図4において、各部の間隔等は上下、左右に略対象である。またこれらの各長さは単なる例示に過ぎない。
傾斜リンク19,20と枢軸26〜30,36,37,39〜42との間、縦枠7と枢軸26〜28,36,37,39〜42との間には寸法公差程度又はそれ以上の所定のクリアランスがある。例えば区分縦枠71とその両側の縦枠7との間の中間交差部24,25では、図10〜図13に示すように、中間枢軸29,30と、上部リンク32及び下部リンク35を含む右上がり傾斜リンク19との間に通常の寸法公差よりも大きいクリアランスが設けられている。そして、各扉体部8,9の伸縮時には、各部のクリアランス、取り分け区分縦枠71とその両側の縦枠7との間の中間交差部24,25のクリアランス等により、各パンタグラフ機構6の伸縮を許容するようになっている。なお、各扉体部8,9の伸縮時にはクリアランスの他に、区分縦枠71とその両側の縦枠7との間で傾斜リンク19,20に若干の弾性変形を伴うようにしても良い。
区分縦枠71の固定枢軸36,37は、図14、図18に示すように、前後縦桟15,16及び中間縦桟17に跨がって固定され、その中間縦桟17の前後両側に各扉体部8,9の上部リンク32,33又は下部リンク34,35が設けられている。上部リンク32,33、下部リンク34,35は固定枢軸36,37側の端部に継ぎ手32a〜35aを有し、その継ぎ手32a,33aが固定枢軸36に、継ぎ手34a,35aが固定枢軸37に夫々枢着されている。
継ぎ手32a〜35aは、図15〜図17に示すように、上部リンク32,33、下部リンク34,35の角筒部45に着脱自在に嵌着される取り付け部44と、この取り付け部44の先端に一体に設けられ且つ外周が円形状に形成された軸挿通部46とを有する。取り付け部44は前後壁47,48及び上下壁49,50を一体に有する角筒状であって、その内部には上下壁49,50の中央部間を左右に連結する補強部51が、前後壁47,48に弾性係合部47a,48aが夫々設けられている。
継ぎ手32a〜35aは取り付け部44を上部リンク32,33、下部リンク34,35の角筒部45に挿入して、その弾性係合部47a,48aを角筒部45の前後係合孔45aに係合することにより、上部リンク32,33、下部リンク34,35に対して着脱自在に固定されている。軸挿通部46は固定枢軸36,37を挿通する挿通孔46aが略同心状に設けられ、その挿通孔46aは取り付け部44の中心線に対して所定角度α振った位置に設けられている。なお、挿通孔46aは取り付け部44の中心線に対して所定角度α振ることにより、γ分偏心している。区分縦枠71の固定枢軸36,37は、図14に示すように継ぎ手32a〜35aの軸挿通部46の外周が干渉しない程度に近接して配置されている。
区分縦枠71の上下両側の可動枢軸39,40、41,42は、図8、図9に示すように各傾斜リンク19,20に挿通され、前後縦桟15,16及び中間縦桟17の相対向する案内部15a〜17aにより摺動体53〜56を介して上下方向に摺動自在に保持されている。区分縦枠71の上下両側の交差部21,23の可動枢軸39,40、41,42に加わる外力は、各扉体部8,9が伸長状態のときと収縮状態のときでは逆向きとなり、摺動体53〜56と案内部15a〜17aとの間のクリアランスが逆向きとなる。
即ち、扉体部8,9が伸長状態の場合には、図8(A)に示すように上側の交差部21では前側の可動枢軸39にX矢示方向に、後側の可動枢軸40にY矢示方向に夫々外力が加わり、また図9(A)に示すように下側の交差部23では前側の可動枢軸41にY矢示方向に、後側の可動枢軸42にX矢示方向に外力が加わる。扉体部8,9が収縮状態の場合には、図8(B)に示すように、上側の交差部21では前側の可動枢軸39にY矢示方向に、後側の可動枢軸40にX矢示方向に夫々外力が加わり、また図9(B)に示すように、下側の交差部23では前側の可動枢軸41にX矢示方向に、後側の可動枢軸42にY矢示方向に外力が加わる。
区分縦枠71とその左右両側の縦枠7との間の中間枢軸29,30は、図10〜図13に示すように、その後部側が左上がり傾斜リンク20、上部リンク33、下部リンク34に挿通して固定され、前部側が右上がり傾斜リンク19、上部リンク32、下部リンク35の遊嵌孔19b,32b,35bに遊動自在に遊嵌されている。そして、扉体部8,9が伸長状態の場合には、図10(A)〜図13(A)に示すように、上下の中間交差部24,25で中間枢軸29,30が遊嵌孔19b,32b,35bの反対側に位置し、扉体部8,9が収縮状態の場合には、図10(B)〜図13(B)に示すように、中間枢軸29,30が遊嵌孔19b,32b,35bの略中央に位置する。
区分縦枠71以外の各縦枠7の可動枢軸27,28は、図6に示すように前後縦桟15,16の案内部15a,16aに摺動体53,54を介して上下方向に摺動自在に支持されている。なお、図中、57は筒状の幅決め材である。
このような構成の伸縮式門扉において、出入り口3を閉じる場合には、扉体5を最大伸長状態まで伸長させて、その戸当たり側端枠11が戸当たり支柱2に当接した状態で施錠手段11bにより施錠する。このとき区分縦枠71の落とし棒13を落とし孔14に落とし込んで、区分縦枠71が内外方向に移動しないようにロックしておく。
なお、各扉体部8,9の収縮状態では、隣り合う縦枠7の上下の可動枢軸27,28の摺動体53,54が左右方向に当接して各縦枠7が左右に近接した状態となるが、収縮状態では各扉体部8,9の左右の縦枠7又は傾斜リンク19,20同士が当接するようにしても良い。
人の出入り等に際しては、図19に示すように、第1扉体部8は伸長状態のままで第2扉体部9のみを伸縮させて出入り口3の一部を開閉する。このとき落とし棒13を落とし孔14に落とし込んだままで、把手11aを把持して戸当たり側端枠11を吊り元側へと移動させて行けば、その移動に伴って第2扉体部9が第1扉体部8とは別に独立して収縮し、第2扉体部9側のみを開放することができる。
また自動車の出入り等に際しては、第2扉体部9を収縮させた後、落とし棒13を落とし孔14から抜いて区分縦枠71のロックを解除して戸当たり側端枠11を吊り元側へと移動させて行けば、第1扉体部8が収縮して扉体5全体を吊り元支柱1側に収縮するため、図1(A)に二点鎖線で示すように、出入り口3全体を開放することができる。
このような第1扉体部8、第2扉体部9の伸縮時には、縦枠7の上下両側の可動枢軸27,28が案内部15a,16aに沿って上下動すると共に、区分縦枠71の上下両側の前後の可動枢軸39〜42が案内部15a〜17aに沿って別々に上下動する。
扉体5は第1扉体部8、第2扉体部9により構成されており、その各々が独立して伸縮自在であるが、区分縦枠71の両側の各パンタグラフ機構6の上部リンク32,33同士を枢支する固定枢軸36と、下部リンク34,35同士を枢支する固定枢軸37とを区分縦枠71に上下に近接して配置しているため、区分縦枠71が左右の両扉体部8,9の一部を構成することとなる。
従って、両扉体部8,9の対向端側の縦枠7同士を連結金具を介して連結する場合に比較して扉体5全体の見栄えが著しく向上する利点があり、また扉体5全体を収縮させて折り畳んだ場合にもその最小長さを短くでき、吊り元支柱1側で収縮状態での扉体5の収納も容易にできる利点がある。
各扉体部8,9が伸長して出入り口3を閉じた状態では、区分縦枠71の左右両側の各パンタグラフ機構6は図4に示す状態にある。このとき各枢軸26〜30,39〜42間の長さL1〜L4がL1>L2>L3>L4であり、L1>L>L2であり、2L>L1+L3>L2+L4の関係にあるため、区分縦枠71の上下両側の交差部21,23、区分縦枠71の左右両側の上下の中間交差部24,25では、各枢軸29,30,39〜42に加わる外力の方向が異なり、その外力の方向に応じて各交差部21,23〜25にできるクリアランスの方向が異なる。
例えば、区分縦枠71の上側の交差部21では、図8(A)に示すように、前側の可動枢軸39にX矢示方向に、後側の可動枢軸40にY矢示方向に夫々外力が加わり、また下側の交差部23では、図9(A)に示すように、前側の可動枢軸41にY矢示方向に、後側の可動枢軸42にX矢示方向に夫々外力が加わるため、各可動枢軸39〜42の摺動体53〜56と区分縦枠71の案内部15a〜17aとの間には、互いに反対側にクリアランスができる。区分縦枠71とその両側の縦枠7との間にある中間交差部24,25では、上側の中間交差部24と下側の中間交差部25との間で、遊嵌孔19b,32b,35bに対する中間枢軸29,30の位置が図10(A)〜図13(A)に示すように異なっている。
両扉体部8,9を収縮させて扉体5を最小状態に折り畳んだ場合には、区分縦枠71を含む縦枠7が左右に当接又は近接した状態となる。このとき区分縦枠71の上側の交差部21では、図8(B)に示すように、前側の可動枢軸39にY矢示方向に、後側の可動枢軸40にX矢示方向に夫々外力が加わり、また下側の交差部23では、図9(B)に示すように、前側の可動枢軸41にX矢示方向に、後側の可動枢軸42にY矢示方向に外力が加わるため、各可動枢軸39〜42の摺動体53〜56と区分縦枠71の案内部15a〜17aとの間には、互いに反対側にクリアランスができる。区分縦枠71とその両側の縦枠7との間にある中間交差部24,25では、左右の中間交差部24,25間、上下の中間交差部24,25間で、遊嵌孔19b,32b,35bに対する中間枢軸29,30の位置が図10(B)〜図13(B)に示すように異なっている。
従って、上部リンク32,33、下部リンク34,35の固定枢軸36,37と可動枢軸27,28との間の長さを短くする等して、上部リンク32,33同士、下部リンク34,35同士を区分縦枠71に枢着する固定枢軸36,37を上下に配置しているので、区分縦枠71の左右両側の各パンタグラフ機構6を個別に独立して伸縮させることができる。
しかも上部リンク32,33同士、下部リンク34,35同士を区分縦枠71に枢着する固定枢軸36,37を上下に配置しているため、各扉体部8,9の上部リンク32,33、下部リンク34,35の4個を1個の固定枢軸により枢支する場合に比較して継ぎ手23a等の枢支部分の構造を簡素化でき、継ぎ手の損傷等による耐久性の低下を防止することができる。
また上部リンク32,33、下部リンク34,35の固定枢軸36,37と可動枢軸27,28との間の長さを短くする等して、上部リンク32,33同士、下部リンク34,35同士を区分縦枠71に枢着する固定枢軸36,37を上下に配置しているにも拘わらず、扉体部8,9が伸長状態から収縮状態へと収縮する場合と、収縮状態から伸長状態へと伸長する場合とでは、各枢軸29,30と傾斜リンク19,20との間にできるクリアランスの方向が変化するため、上部リンク32,33及び下部リンク34,35、長尺リンクの上部リンク32,33及び下部リンク34,35に対応する部分が他の傾斜リンク19,20に対して略平行に近い状態を保ちながら、各パンタグラフ機構6を別々に独立して伸縮させることができる。
図20〜図24は本発明の第2の実施形態を例示する。この実施形態では、区分縦枠71とその両側の縦枠7との間の中間交差部24,25で前後両側の傾斜リンク19,20を中間枢軸29,30により枢着するに当たって、その長尺リンクである傾斜リンク19,20に中間枢軸29,30を固定し、この中間枢軸29,30が遊嵌する遊嵌孔32b〜35bを短尺の上部リンク32,33、下部リンク34,35に形成したものである。他の構成は第1の実施形態と同様である。なお、図21〜図24は伸長状態を示す。収縮状態では、中間枢軸29,30が遊嵌孔32b〜35bの略中央に位置する。
このように中間交差部24,25において、傾斜リンク19,20とこれらと交差する上部リンク32,33及び下部リンク34,35との少なくとも一方と中間枢軸29,30との間にクリアランスを設ける場合には、上部リンク32,33、下部リンク34,35にのみ遊嵌孔32b〜35bを設けても良い。また前側の傾斜リンク19又は後側の傾斜リンク20に設けても良い。扉体部8,9で変更しても良い。
図25〜図27は本発明の第3の実施形態を例示する。この実施形態では、左右に隣り合う各縦枠7間に中間縦枠72を配置し、この中間縦枠72を上下の中間枢軸29,30により縦枠7、区分縦枠71等と略平行に支持するようにしたものである。
中間縦枠72は図25、図26に示すように、上部リンク32,33、下部リンク34,35を含む前後の傾斜リンク19,20間に上下方向に配置され、上側の中間枢軸29により枢支されると共に、下側の中間枢軸30により上下動自在に支持されている。下側の中間枢軸30は中間縦枠72の長孔72aに上下動自在に挿通されている。中間縦枠72は、各扉体部8,9が収縮状態のときにその左右両側の固定枢軸26,36,37に当接するようになっている。なお、左右の縦枠7の摺動体53,54同士が当接して、中間縦枠72が固定枢軸26等に当接しないようにしても良い。
区分縦枠71とその両側の縦枠7との間の中間交差部24,25では、第2の実施形態と同様に長尺リンクに中間枢軸29,30が固定され、短い上部リンク32,33、下部リンク34,35に中間枢軸29,30用の遊嵌孔32b〜35bが形成されている。他の構成は第1又は第2の実施形態と同様である。
このように左右の縦枠7間に中間縦枠72を設けても良い。この場合には、図25、図26に示すように、扉体5が伸長した状態において、その縦枠7、中間縦枠72のピッチを細かくできる利点がある。また中間縦枠72はパンタグラフ機構6の伸縮によって上下動するが、最大伸長状態のときにその下端が縦枠7の下端と略一致するようにしておけば、この扉体5によりペット等の出入りを防止することもできる。
更に区分縦枠71とその両側の縦枠7との間の中間交差部24,25では、図27(A)〜(D)に示すように、長尺リンクに中間枢軸29,30を固定し、短い上部リンク32,33、下部リンク34,35に中間枢軸29,30用の遊嵌孔32b〜35bを形成することにより、パンタグラフ機構6の伸縮の如何に関係なく中間縦枠72を他の縦枠7、区分縦枠71と略平行に保つことができる。
なお、この実施形態とは逆に、短い上部リンク32,33、下部リンク34,35に中間枢軸29,30を固定し、長尺リンクに中間枢軸29,30用の遊嵌孔を形成しても良い。
図28〜図30は本発明の第4の実施形態を例示する。この実施形態では、各扉体部8,9が伸長状態のときに、左右に隣り合う各縦枠7間に配置された中間縦枠72の上下両端が、図28に示すように、他の縦枠7の上下両端と略一致するべく構成されている。中間縦枠72は、図29、図30に示すように、前後の傾斜リンク19,20間で上下の中間枢軸29,30により支持された上縦枠74と下縦枠75とを有する。
上縦枠74は扉体部8,9が伸長状態のときにその上端が他の縦枠7と略一致するように下側の中間枢軸30により枢支され、長孔74aに挿通する上側の中間枢軸29に上下摺動自在に案内されている。また下縦枠75は扉体部8,9が伸長状態のときにその下端が区分縦枠71を含む他の縦枠7と略一致するように上側の中間枢軸29により枢支され、長孔75aに挿通する下側の中間枢軸30に上下摺動自在に案内されている。上縦枠74、下縦枠75は角筒状であって、上縦枠74内に下縦枠75が摺動自在に挿入されている。上縦枠74、下縦枠75は共に帯板状、断面コ字状、角筒状、その他の形状であっても良い。他の構成は第1〜第3の実施形態と同様である。
左右の縦枠7間に中間縦枠72を配置するに当たっては、その中間縦枠72の上下両端が他の各縦枠7と略同一高さで揃うようにしても良い。この中間縦枠72は扉体部8,9の伸縮時に各中間枢軸29,30に連動するように、上縦枠74が下側の中間枢軸30に、下縦枠75が上側の中間枢軸29に夫々連動して上下動するようになっている。
従って、扉体部8,9が収縮すれば、中間縦枠72の上下縦枠74,75が、図30に実線で示すように上下方向に収縮して縦枠7よりも短くなって、中間縦枠72は縦枠7の上下長さ内に収まる。また扉体部8,9が伸長すれば、中間縦枠72の上下縦枠74,75が縦枠7と略同一長さまで伸長し、中間縦枠72の上下両端の高さを他の縦枠7と略同一高さに揃えることができる。
以上、本発明の各実施形態について詳述したが、本発明は各実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、各実施形態では、扉体5を区分縦枠71により吊り元側の第1扉体部8と移動端側の第2扉体部9との二つに区分しているが、左右方向に多数配置される縦枠7の内、間に複数個の縦枠7、例えば縦枠7上の交差部21,22,23の数と同数又はそれ以上の数の縦枠7を挟んで複数個の区分縦枠71を配置して扉体5を少なくとも3区分にして、例えば吊り元側から第1扉体部8、第2扉体部9及び第3扉体部としても良い。
縦枠7を構成する前後縦桟15,16、区分縦枠71の中間縦桟17、傾斜リンク19,20、継ぎ手32a〜35a等の各部材の形状、構造は任意に変更可能である。また縦枠7の数は扉体5の長さに応じて適宜変更可能であり、また傾斜リンク19,20の縦枠7に対する交差部21,22,23の数は3箇所以上であればよい。上部リンク32,33、下部リンク34,35を枢支する固定枢軸36,37は、継ぎ手32a〜35aを使用せずに直接各リンク32〜35に挿通しても良い。
中間縦枠72は下側の中間枢軸30によりパンタグラフ機構6に枢着し、上部側の上側の中間枢軸29が上下摺動自在に挿通する長孔72aを設けて、扉体部8,9の伸長時にその上端が他の縦枠7、区分縦枠71の上端と略揃ようにしても良い。また中間縦枠72を設ける場合、その下端、上端又は上下両端が他の縦枠7等の高さを略一致させる他、他の縦枠7よりも上下方向の内側に引っ込むか、又は外側に突出するように、他の縦枠7に対して高低差を持たせるようにしても良い。
区分縦枠71に固定枢軸36,37、可動枢軸39〜42により枢着される左右一側又は左右両側の上部リンク32,33、下部リンク34,35を含む傾斜リンク19,20に着脱自在に継ぎ手を設け、その継ぎ手を固定枢軸36,37、可動枢軸39〜42により区分縦枠71に枢着しておき、施工現場において、その継ぎ手に上部リンク32,33、下部リンク34,35を含む傾斜リンク19,20を連結することにより所定長さの扉体部8,9を仕上げるようにしても良い。各傾斜リンク19,20の端部は継ぎ手を介して枢着してもよい。