JP4004861B2 - 吊り下げ式の伸縮門扉 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、吊り下げ式の伸縮門扉に関し、扉体の伸長状態での移動端側の垂れ下がりを防止できるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
吊り下げ式伸縮門扉には、特開平9−177455号公報に記載のように、扉体の伸長状態での移動端側の垂れ下がりを防止できるようにしたものがある。
【0003】
この吊り下げ式伸縮門扉は、複数本の右上がり傾斜リンクと左上がり傾斜リンクとをその交差部でピン軸により枢着して左右方向に伸縮自在に構成された1個のパンタグラフ機構と、上下方向に配置され且つパンタグラフ機構に交差部の固定ピン軸、可動ピン軸を介して連結された伸縮方向に複数個の縦枠材とを含む扉体を備え、この扉体の一端側を吊り元側支柱等の取り付け部に取り付けている。
【0004】
そして、各傾斜リンクは7箇所の交差部で交差し、その上下中央の交差部を除く各交差部で両傾斜リンクをピン軸により枢着すると共に、各傾斜リンク上の隣接するピン軸相互のピン軸間距離の内、扉体の下部のピン軸間距離を上部のピン軸間距離よりも長くしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
吊り下げ式伸縮門扉には、上下一対のパンタグラフ機構と、一対のパンタグラフ機構に跨がって上下方向に配置され且つ交差部で該各パンタグラフ機構に連結された伸縮方向に複数個の縦枠材とを含む扉体を備えたものがあるが、この種の伸縮門扉には従来の垂れ下がり防止構造を直ちに適用することはできない。
【0006】
即ち、扉体の主要部分が1個のパンタグラフ機構で構成された伸縮門扉の場合には、扉体の中間部分に使用する各傾斜リンクは非常に長く、両傾斜リンクが7箇所等の交差部で交差する等その交差部の数が多い上に、各傾斜リンクのピン軸間距離も比較的長くなっているため、扉体の下部のピン軸間距離を上部のピン軸間距離よりも長くすることにより、扉体の移動端側の垂れ下がりを容易に防止できる。
【0007】
しかし、上下一対のパンタグラフ機構を備えた伸縮門扉の場合には、各パンタグラフ機構で傾斜リンクが別々になるため、各パンタグラフ機構毎の傾斜リンクの長さが短く、ピン軸間距離が短い上に各パンタグラフ機構毎の交差部の数も少なくなっている。
【0008】
従って、このように上下一対のパンタグラフ機構を備えた伸縮門扉において、各パンタグラフ機構の傾斜リンクをその交差部でピン軸により枢着して、その下部のピン軸間距離を上部のピン軸間距離よりも長くしても、傾斜リンクの夫々のピン軸間距離が一般に短いために、製作時の誤差等の影響によるバラツキが非常に大きくなり、また交差部の数が少ないために扉体全体の剛性が小さくなるため、扉体の移動端側の垂れ下がりを十分に防止できないという問題がある。
【0009】
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、製作時の誤差等の影響によるバラツキを極力少なくできると共に、扉体全体の剛性を十分に確保でき、扉体の移動端側の垂れ下がりを未然に防止できる吊り下げ式の伸縮門扉を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、複数本の右上がり傾斜リンク14,15と左上がり傾斜リンク16,17とをその交差部12,13でピン軸18〜23により枢着して伸縮自在に構成された上側パンタグラフ機構4及び下側パンタグラフ機構5と、該両パンタグラフ機構4,5に跨がって上下方向に配置され且つ交差部12,13で該各パンタグラフ機構4,5に連結された伸縮方向に複数本の縦枠材8とを含む扉体3を備え、該扉体3の一端側を吊り元側支柱等の取り付け部1に取り付けた吊り下げ式の伸縮門扉において、各パンタグラフ機構4,5の各縦枠材8に対応する上下方向に複数の交差部12,13の内、1個の交差部12,13を縦枠材8に固定された固定ピン軸18,19により、他の交差部12,13を縦枠材8に摺動自在な可動ピン軸20,21により夫々枢着し、下側パンタグラフ機構5の隣り合う縦枠材8間の各傾斜リンク15,17の長さAを、上側パンタグラフ機構4の隣り合う縦枠材8間の各傾斜リンク14,16の長さBよりも長くし、固定ピン軸18,19により隣り合う縦枠材8に夫々枢着された右上がり傾斜リンク14,15と左上がり傾斜リンク16,17とを前記隣り合う縦枠材8間の交差部12,13で枢着する各パンタグラフ機構4,5の遊動ピン軸22,23を上下に連結する連結杆24を設け、該各連結杆24上の両パンタグラフ機構4,5の遊動ピン軸22,23間の長さEを、各縦枠材8上の両パンタグラフ機構4,5の固定ピン軸18,19間の長さFよりも長くしたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳述する。図1〜図3は本発明の吊り下げ式伸縮門扉の第1の実施形態を例示する。この吊り下げ式伸縮門扉は、図1に示すように、出入り口等の左右両側で地面に立設された吊り元側支柱1及び戸当たり側支柱2と、これらの両支柱1,2間に左右方向に伸縮自在に配置され且つ一端側が吊り元側支柱1に取り付けられた扉体3とを備えている。
【0012】
扉体3は左右方向に伸縮自在に構成された上下一対のパンタグラフ機構4,5と、この一対のパンタグラフ機構4,5に跨がってその一端側に上下方向に配置された吊り元側端枠6と、一対のパンタグラフ機構4,5に跨がってその他端側に上下方向に配置された戸当たり側端枠7と、両端枠6,7間に上下方向に配置され且つ一対のパンタグラフ機構4,5に跨がって連結された伸縮方向に複数個の縦枠材8とを備えている。なお、中間の縦枠材8には落とし棒9が設けられている。
【0013】
吊り元側端枠6、戸当たり側端枠7は縦枠材8を兼用している。吊り元側端枠6は扉体3を吊り元側支柱1の背後等に旋回収納できるように、吊り元側支柱1に対して縦方向のヒンジ10廻りに回動自在に装着されている。戸当たり側端枠7は把手、施錠手段等を備え、戸当たり側支柱2に当接した閉状態で施錠手段により施錠可能である。吊り元側端枠6、戸当たり側端枠7及び縦枠材8は図2に示すように、前後一対の縦桟部8aと、この一対の縦桟部8aの上端間を前後に連結する連結部8bとを備えた側面視逆U字状であって、一対の縦桟部8aの下端部が前後方向の連結部材11により連結されており、これらの内部にパンタグラフ機構4,5が配置されている。
【0014】
各パンタグラフ機構4,5は、交差部12,13で交差する複数本の右上がり傾斜リンク14,15と左上がり傾斜リンク16,17とを備え、その両傾斜リンク14,16、15,17が所定の交差部12,13で固定ピン軸18,19、可動ピン軸20,21及び遊動ピン軸22,23等の前後方向の各ピン軸18〜23により枢着されている。
【0015】
傾斜リンク14,16、15,17には長短複数種類のものがあり、その各傾斜リンク14,16、15,17は、各端枠6,7を含む各縦枠材8に対して上下方向の3箇所の交差部12,13で交差し、各端枠6,7を含む隣り合う縦枠材8間で上下方向の2箇所の交差部12,13で交差するように互いに交差状に配置されている。
【0016】
なお、長い傾斜リンク14,16、15,17は隣り合う3本の縦枠材8に対応する交差部12,13とその中間の交差部12,13との5箇所で互いに交差し、また他の短い傾斜リンク14,16、15,17はその5箇所の交差部12,13に対応する交差部12,13で交差している。
【0017】
各パンタグラフ機構4,5の傾斜リンク14,16、15,17は、図2及び図3に示すように、各端枠6,7を含む隣り合う縦枠材8間の上側の交差部12,13を除く各交差部12,13が固定ピン軸18,19、可動ピン軸20,21及び遊動ピン軸22,23で枢着されている。固定ピン軸18,19は各パンタグラフ機構4,5の上下中間の交差部12,13に設けられ、各端枠6,7を含む各縦枠材8に前後に貫通して固定されている。可動ピン軸20,21は各パンタグラフ機構4,5の上下の交差部12,13に設けられ、各端枠6,7を含む各縦枠材8に上下摺動自在に設けられている。
【0018】
遊動ピン軸22,23は、各パンタグラフ機構4,5の隣り合う縦枠材8間の上下2箇所の交差部12,13の内その下側の交差部12,13に設けられ、この両遊動ピン軸22,23を連結する連結杆24が上下のパンタグラフ機構4,5に跨がって上下方向に設けられている。なお、連結杆24は上下のパンタグラフ機構4,5において、その前後の傾斜リンク14,16、15,17間に配置されており、下端側が下側のパンタグラフ機構4,5の上側の交差部12,13の傾斜リンク14,16、15,17間を経て遊動ピン軸22,23に連結されている。各ピン軸上には、両傾斜リンク14,16、15,17間又は各傾斜リンク14,16、15,17を挟んでスペーサが套嵌されている。
【0019】
上下の各パンタグラフ機構4,5は、その右上がり傾斜リンク14,15同士、左上がり傾斜リンク16,17同士、各端枠6,7を含む隣り合う縦枠材8の各パンタグラフ機構4,5に対応する部分同士が平行又は略平行であって、これらにより各パンタグラフ機構4,5毎に夫々平行リンクが構成されており、しかも両パンタグラフ機構4,5の対応する右上がり傾斜リンク14,15及び左上がり傾斜リンク16,17が平行又は略平行になっている。
【0020】
下側のパンタグラフ機構5の各端枠6,7を含む隣り合う各縦枠材8間の各傾斜リンク15,17の長さ、即ち傾斜リンク15,17の長手方向の隣り合う縦枠材8上のピン軸19,21間のピン軸間距離Aは、その上側のパンタグラフ機構4の各端枠6,7を含む隣り合う縦枠材8間の各傾斜リンク14,16の長さ、即ち傾斜リンク14,16の長手方向の隣り合う縦枠材8上のピン軸18,20間のピン軸間距離Bよりも若干長くなっている。
【0021】
各パンタグラフ機構4,5の遊動ピン軸22,23は、各端枠6,7を含む隣り合う各縦枠材8間の中央にあり、この遊動ピン軸22,23と固定ピン軸18,19又は可動ピン軸20,21との間のピン軸間距離C,Dは、その上側の傾斜リンク14,16、15,17のピン軸間距離の1/2になっている。
【0022】
連結杆24の上下の遊動ピン軸22,23間のピン軸間距離Eは、各パンタグラフ機構4,5の固定ピン軸18,19により各端枠6,7を含む縦枠材8に枢着された左上がり傾斜リンク16,17を平行又は略平行に保つように、各端枠6,7を含む各縦枠材8上の固定ピン軸18,19間のピン軸間距離Fよりも若干長くなっている。
【0023】
因みに、各ピン軸間距離は図3に示すように、下側のパンタグラフ機構5の上側(遊動ピン軸23のない側)のピン軸間距離Aが230mm、下側(遊動ピン軸23のある側)のピン軸間距離Cが115mmであり、上側のパンタグラフ機構4の上側(遊動ピン軸22のない側)のピン軸間距離Bが224mm、下側(遊動ピン軸22のある側)のピン軸間距離Dが112mmである。また上下のパンタグラフ機構4,5の固定ピン軸18,19間のピン軸間距離Fが491.5mmであり、上下の遊動ピン軸22,23間のピン軸間距離Eが493.2mmである。
【0024】
このような構成の伸縮門扉では、扉体3が上下一対のパンタグラフ機構4,5に跨がって複数本の縦枠材8を設けた構成であるにも拘わらず、扉体3の伸長状態での移動端側の垂れ下がりを防止することができる。
【0025】
即ち、一対のパンタグラフ機構4,5を備えた扉体3の場合には、各パンタグラフ機構4,5の傾斜リンク14,16、15,17の長さが比較的短く、その交差部12,13の数も少ない上に、各ピン軸間距離A〜Dも短いが、一対のパンタグラフ機構4,5の遊動ピン軸22,23を連結杆24で連結して、一対のパンタグラフ機構4,5の各端枠6,7を含む隣り合う縦枠材8間に、これら隣り合う縦枠材8と上下のパンタグラフ機構4,5の各傾斜リンク14,16、15,17と連結杆24とにより四節リンクを構成することにより、一対のパンタグラフ機構4,5の相対応する傾斜リンク14,16、15,17を平行又は略平行に保つことができ、扉体3全体の剛性が増大する。
【0026】
従って、下側のパンタグラフ機構5のピン軸間距離Aを上側のパンタグラフ機構4のピン軸間距離Bよりも長くしておけば、各端枠6,7を含む隣り合う縦枠材8間の間隔をその上側よりも下側を大にした状態に確実に維持できるので、製作時の誤差等の影響によるバラツキを極力少なくできると共に、扉体3全体の剛性を十分に確保でき、扉体3の伸長状態での移動端側の垂れ下がりを未然に防止できる。
【0027】
また隣り合う縦枠材8間に、その上下のパンタグラフ機構4,5に跨がる連結杆24があるため、扉体3全体を見た場合にも上下方向の部材数が増加し、その意匠性が向上する利点がある。
【0028】
なお、この実施形態では、上下のパンタグラフ機構4,5の隣り合う一対の縦枠材8間の上下2個の交差部12,13の内、その下側の交差部12,13に夫々遊動ピン軸22,23を設けて、その両遊動ピン軸22,23を連結杆24で上下に連結するようにしているが、上側の交差部12,13に遊動ピン軸22,23を設けても良い。
【0029】
また実施形態では、ピン軸間距離Eをピン軸間距離Fよりも長くしているが、ピン軸間距離Eとピン軸間距離Fとを同じにしても良いし、逆にピン軸間距離Fをピン軸間距離Eよりも長くしても良い。
【0030】
図4は本発明の第2の実施形態を例示する。この実施形態では、上側のパンタグラフ機構4には隣り合う縦枠材8間の上側の交差部12に、下側のパンタグラフ機構5には隣り合う縦枠材8間の下側の交差部13に夫々遊動ピン軸22,23が設けられ、隣り合う縦枠材8間にその両遊動ピン軸22,23を連結する連結杆24が上下方向に設けられている。
【0031】
因みに、この実施形態の場合には上側のパンタグラフ機構4のピン軸間距離は、遊動ピン軸22のない下側がB=220mm、遊動ピン軸22のある上側がD=110mmであり、下側のパンタグラフ機構5のピン軸間距離は、遊動ピン軸23のない上側がA=230mm、遊動ピン軸23のある下側がC=115mmである。他の構成は第1の実施形態と略同じである。
【0032】
このように上下のパンタグラフ機構4,5の隣り合う一対の縦枠材8間の交差部12,13の内、上側のパンタグラフ機構4ではその上側の交差部12に、下側のパンタグラフ機構5ではその下側の交差部13に夫々遊動ピン軸22,23を設ける等、上下のパンタグラフ機構4,5でその上下反対側の交差部12,13に遊動ピン軸22,23を設けて、この上下の遊動ピン軸22,23を連結杆24で上下に連結した場合にも、同様の効果を得ることができる。
【0033】
従って、第1の実施形態では、各パンタグラフ機構4,5の上下2個の交差部12,13の内、その同一側の交差部12,13に遊動ピン軸22,23を設けて、その遊動ピン軸22,23を連結杆24で連結しているが、この第2の実施形態に例示するように上下2個の交差部12,13の内、その反対側の交差部12,13に遊動ピン軸22,23を設けても良い。
【0034】
図5は本発明の第3の実施形態を例示する。この実施形態では、上側のパンタグラフ機構4には隣り合う縦枠材8間の上下両側の交差部12に、下側のパンタグラフ機構5には隣り合う縦枠材8間の下側の交差部13に夫々遊動ピン軸22,23が設けられ、上側のパンタグラフ機構4の下側の遊動ピン軸22と、下側のパンタグラフ機構5の下側の交差部13の遊動ピン軸23とを連結するように連結杆24が上下方向に設けられている。なお、他の構成は、第1又は第2の実施形態と同様である。
【0035】
このように一対のパンタグラフ機構4,5の内、その一方のパンタグラフ機構4の隣り合う縦枠材8間の上下2個の交差部12に遊動ピン軸22を夫々設けても良い。この場合には、一方のパンタグラフ機構4の交差部12の全てにピン軸18,20,22があるため、そのパンタグラフ機構4,5の剛性が更に向上し、扉体3の移動端側の垂れ下がりを確実に防止できる。
【0036】
なお、この実施形態では、下側のパンタグラフ機構5の隣り合う各縦枠材8間の上下2個の交差部13の内、その下側の交差部13に遊動ピン軸23を設けて、この遊動ピン軸23に連結杆24を連結しているが、上側の交差部13に遊動ピン軸23を設けて、その遊動ピン軸23に連結杆24を連結しても良い。
【0037】
図6及び図7は本発明の第4の実施形態を例示する。この実施形態の連結杆24は、図6及び図7に示すように他の縦枠材8等と同様に、前後一対の縦桟部24aと、この一対の縦桟部24aの上端間を前後に連結する連結部24bとを備えた側面視逆U字状であって、一対の縦桟部24aの下端部が前後方向の連結部材25により連結され、この連結杆24の内部に上下のパンタグラフ機構4,5が設けられている。
【0038】
連結杆24には隣り合う縦枠材8間で各パンタグラフ機構4,5の上下2個の交差部12,13の内、共に同一側である下側の交差部12,13の遊動ピン軸22,23が前後に挿通されている。そして、連結杆24は、扉体3が最大伸長状態のときにその上端が各端枠6,7、縦枠材8の上端と略同一高さとなり、最小の縮小状態のときにその下端が各端枠6,7、縦枠材8の下端と略同一高さとなる長さになっている。
【0039】
なお、連結杆24の下端側には、他の縦枠材8と同様にその下端側を前後に連結する連結部材25を設けても良い。他の構成は、第1〜第3の何れかの実施形態と同様である。
【0040】
このように連結杆24を各端枠6,7、縦枠材8等の同様の側面視逆U字状等に構成して、その連結杆24の内部に上下のパンタグラフ機構4,5を配置しても良い。この場合には、隣り合う縦枠材8間に、この縦枠材8と同様に連結杆24が配置されるので、実質的に縦枠材8の数が増加することになり、伸縮門扉全体の意匠性が向上する。
【0041】
なお、この第4の実施形態では、各パンタグラフ機構4,5の下側の交差部12,13の遊動ピン軸22,23に連結杆24を連結しているため、連結杆24は扉体3を伸長状態から収縮させる際に下降して伸長させる際に上昇するが、各パンタグラフ機構4,5の上側の交差部12,13の遊動ピン軸22,23に連結杆24を連結すれば、連結杆24はその逆に昇降する。
【0042】
図8は本発明の第5の実施形態を例示する。この実施形態では、上下のパンタグラフ機構4,5は、中間の長い傾斜リンク14,16、15,17が4箇所の交差部12,13で交差するように構成されており、各各端枠6,7を含む縦枠材8に対応して上下2箇所の交差部12,13があり、各各端枠6,7を含む隣り合う縦枠材8間に上下2箇所の交差部12,13がある。
【0043】
上側のパンタグラフ機構4の各傾斜リンク14,16は、各端枠6,7を含む縦枠材8に対応する交差部12では上側でその中間が谷状に、下側でその端部が山状に夫々交差し、各端枠6,7を含む隣り合う縦枠材8間の交差部12では上側でその端部が山状に、下側でその中間が谷状に夫々交差している。
【0044】
下側のパンタグラフ機構5の各傾斜リンク15,17は、上側のパンタグラフ機構4と逆になっており、上下のパンタグラフ機構4,5の各傾斜リンク14,16、15,17の配置は上下対称形に配置されている。
【0045】
上側のパンタグラフ機構4は、各端枠6,7を含む隣り合う縦枠材8間の2箇所の交差部12で各傾斜リンク14,16が遊動ピン軸22により枢着され、下側のパンタグラフ機構5は下側の交差部13が遊動ピン軸23により枢着されている。そして、上側のパンタグラフ機構4の下側の遊動ピン軸22と下側のパンタグラフ機構5の遊動ピン軸23とが連結杆24により連結されている。
【0046】
なお、その他の構成は、第1〜第4の何れかの実施形態と同様であり、上側のパンタグラフ機構4の各傾斜リンク14,16のピン軸間距離Dは、下側のパンタグラフ機構5の各傾斜リンク15,17のピン軸間距離Cよりも若干短くなっている。因みに、上側のパンタグラフ機構4の各ピン軸間距離は全て同一のD=112mmであり、下側のパンタグラフ機構5のピン軸間距離はC=115mm、A=230mmである。
【0047】
このように各傾斜リンク14,16、15,17が4箇所の交差部12,13で交差する構成のパンタグラフ機構4,5を採用した場合でも、その上下の遊動ピン軸22,23を上下に連結する連結杆24を設けることによって、他の各実施形態と同様に扉体3の移動端側の垂れ下がりを防止できる。
【0048】
なお、上下のパンタグラフ機構4,5は上下逆に構成しても良い。また遊動ピン軸22,23の位置、連結杆24の長さ、形状は、他の各実施形態と同様にすることも可能である。従って、この実施形態の連結杆24を側面視逆U字状に構成して、その連結杆24の内部に各パンタグラフ機構4,5を配置することも可能である。
【0049】
以上、本発明の各実施形態について詳述したが、本発明はこの各実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施することができる。例えば、第1〜第4の実施形態では中間の長い傾斜リンク14,16、15,17が互いに5箇所で交差し、各端枠6,7を含む縦枠材8に対して上下方向に3箇所の交差部12,13で交差するようにしているが、長い傾斜リンク14,16、15,17が互いに3箇所又は7箇所で交差し、各端枠6,7を含む縦枠材8に対して上下2箇所又は4箇所の交差部12,13で交差するようにしても良い。
【0050】
また各実施形態では縦枠材8、連結杆24等に真っ直ぐな部材を使用しているが、扉体3の収縮状態で互いに干渉しない構造であれば、湾曲状、その他の部材を使用することも可能である。パンタグラフ機構4,5は上下方向に2個以上の複数あれば良い。扉体3の吊り元側は、吊り元側支柱1以外のものに取り付けるようにしても良い。
【0051】
縦枠材8は上下方向に配置される部材であれば十分であり、必ずしも実施形態のように逆U字状に構成する必要はなく、逆U字状以外の形状、構造のものを使用しても良い。
【0052】
更に各実施形態のピン軸間距離A〜Dの寸法は、各ピン軸間距離A〜Dの相対的な長短関係を示す一例に過ぎず、その寸法に限定されるものではない。従って、大きい寸法はピン軸間距離が長く、それよりも小さい寸法はピン軸間距離がそれよりも相対的に短いことを示すに過ぎない。
【0053】
【発明の効果】
本発明では、複数本の右上がり傾斜リンク14,15と左上がり傾斜リンク16,17とをその交差部12,13でピン軸18〜23により枢着して伸縮自在に構成された上側パンタグラフ機構4及び下側パンタグラフ機構5と、該両パンタグラフ機構4,5に跨がって上下方向に配置され且つ交差部12,13で該各パンタグラフ機構4,5に連結された伸縮方向に複数本の縦枠材8とを含む扉体3を備え、該扉体3の一端側を吊り元側支柱等の取り付け部1に取り付けた吊り下げ式の伸縮門扉において、各パンタグラフ機構4,5の各縦枠材8に対応する上下方向に複数の交差部12,13の内、1個の交差部12,13を縦枠材8に固定された固定ピン軸18,19により、他の交差部12,13を縦枠材8に摺動自在な可動ピン軸20,21により夫々枢着し、下側パンタグラフ機構5の隣り合う縦枠材8間の各傾斜リンク15,17の長さAを、上側パンタグラフ機構4の隣り合う縦枠材8間の各傾斜リンク14,16の長さBよりも長くし、固定ピン軸18,19により隣り合う縦枠材8に夫々枢着された右上がり傾斜リンク14,15と左上がり傾斜リンク16,17とを隣り合う縦枠材8間の交差部12,13で枢着する各パンタグラフ機構4,5の遊動ピン軸22,23を上下に連結する連結杆24を設け、該各連結杆24上の両パンタグラフ機構4,5の遊動ピン軸22,23間の長さEを、各縦枠材8上の両パンタグラフ機構4,5の固定ピン軸18,19間の長さFよりも長くしているので、製作時の誤差等の影響によるバラツキを極力少なくできると共に、扉体3全体の剛性を十分に確保でき、扉体3の移動端側の垂れ下がりを未然に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す吊り下げ式伸縮門扉の正面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態を示す吊り下げ式伸縮門扉の側面断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態を示す概略構成図である。
【図4】本発明の第2の実施形態を示す吊り下げ式伸縮門扉の正面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態を示す吊り下げ式伸縮門扉の正面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態を示す吊り下げ式伸縮門扉の正面図である。
【図7】本発明の第4の実施形態を示す吊り下げ式伸縮門扉の側面断面図である。
【図8】本発明の第5の実施形態を示す吊り下げ式伸縮門扉の概略構成図である。
【符号の説明】
3 扉体
4,5 パンタグラフ機構
8 縦枠材
12,13 交差部
14,15 右上がり傾斜リンク
16,17 左上がり傾斜リンク
18,19 固定ピン軸
20,21 可動ピン軸
22,23 遊動ピン軸
24 連結杆
Claims (1)
- 複数本の右上がり傾斜リンク(14,15)と左上がり傾斜リンク(16,17)とをその交差部(12,13)でピン軸(18)〜(23)により枢着して伸縮自在に構成された上側パンタグラフ機構(4)及び下側パンタグラフ機構(5)と、該両パンタグラフ機構(4,5)に跨がって上下方向に配置され且つ交差部(12,13)で該各パンタグラフ機構(4,5)に連結された伸縮方向に複数本の縦枠材(8)とを含む扉体(3)を備え、該扉体(3)の一端側を吊り元側支柱等の取り付け部(1)に取り付けた吊り下げ式の伸縮門扉において、各パンタグラフ機構(4,5)の各縦枠材(8)に対応する上下方向に複数の交差部(12,13)の内、1個の交差部(12,13)を縦枠材(8)に固定された固定ピン軸(18,19)により、他の交差部(12,13)を縦枠材(8)に摺動自在な可動ピン軸(20,21)により夫々枢着し、下側パンタグラフ機構(5)の隣り合う縦枠材(8)間の各傾斜リンク(15,17)の長さ(A)を、上側パンタグラフ機構(4)の隣り合う縦枠材(8)間の各傾斜リンク(14,16)の長さ(B)よりも長くし、固定ピン軸(18,19)により隣り合う縦枠材(8)に夫々枢着された右上がり傾斜リンク(14,15)と左上がり傾斜リンク(16,17)とを前記隣り合う縦枠材(8)間の交差部(12,13)で枢着する各パンタグラフ機構(4,5)の遊動ピン軸(22,23)を上下に連結する連結杆(24)を設け、該各連結杆(24)上の両パンタグラフ機構(4,5)の遊動ピン軸(22,23)間の長さ(E)を、各縦枠材(8)上の両パンタグラフ機構(4,5)の固定ピン軸(18,19)間の長さ(F)よりも長くしたことを特徴とする吊り下げ式の伸縮門扉。
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