図1は、本発明のエアガイドの一実施形態の斜視図、図2は、図1に示すエアガイドの拡大斜視図、図3は、図2におけるA−A線に沿う側断面図、図4は、図2におけるB−B線に沿う平断面図、図5は、図1に示すエアガイドが折り畳まれている状態の斜視図、図6は、図5に示すエアガイドを広げる途中の状態の斜視図、図7は、本発明の車両の一実施形態である自動車の一部拡大斜視図、図8は、図7に示す自動車に図1に示すエアガイドが取り付けられた状態の斜視図、図9は、図8のC−C線に沿う平断面図を、図10は、図8の自動車にラジエータグリルが取り付けられた状態の斜視図、図11は、図8に示すエアガイドが座屈する状態の斜視図、図12は、図11のD−D線に沿う平断面図、図13は、本発明のエアガイドの一実施形態の連結部の折り曲げ状態を示す工程図を示す。
なお、図1および図8において、エアガイド1に関し、方向について言及する場合には、前後方向に沿って自動車2に取り付けたときの方向を基準として、具体的には、各図に示した方向矢印を基準とする。
図1において、このエアガイド1は、図7および図9が参照されるように、車両としての自動車2に装備されるラジエータ3の前方に配置される。
エアガイド1は、ラジエータ3の前方に配置されたときに、車幅方向(図1における左右方向、以下同様)に延びる第1平板状部材4、および、上下方向に延びる第2平板状部材5と、第1平板状部材4および第2平板状部材5を連結する連結部6と、第1平板状部材4および第2平板状部材5の前端面および後端面に設けられる弾性部材7と、第2平板状部材5に装着されるクリップ8とを備えている。
第1平板状部材4および第2平板状部材5によって、エアガイド1は、正面視略矩形枠形状に形成されている。
第1平板状部材4は、上下方向に間隔を隔てて2つ設けられており、上下方向に投影したときに、外形形状が略同一となるように形成されている。各第1平板状部材4は、左右方向に延びる略矩形平板形状に形成されている。
第2平板状部材5は、左右方向に間隔を隔てて2つ設けられており、左右方向に投影したときに、外形形状が略同一となるように形成されている。
各第2平板状部材5は、上下方向に延びる平板形状に形成されている。具体的には、第2平板状部材5は、前方に向かって開く側面視略コ字形状をなし、前部の上下方向中央部には、切欠部9が形成されている。
切欠部9は、後方に向かって側面視略矩形状に切り欠かれるように、形成されている。
また、第2平板状部材5の上部における前部には、前方に突出する突出部10が形成されている。突出部10は、上方に向かって前後方向長さが次第に短くなる台形状に形成されている。つまり、突出部10の前端面は、上方に向かうに従って後側に傾斜する傾斜面に形成されている。
第1平板状部材4および第2平板状部材5を形成する材料としては、熱可塑性樹脂が挙げられ、具体的には、オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、または、これらの共重合体など)、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、アクリル樹脂などが挙げられる。好ましくは、オレフィン系樹脂、さらに好ましくは、ポリプロピレンが挙げられる。
次に、第1平板状部材4および第2平板状部材5を詳細に説明する。
第1平板状部材4は、図3に示すように、断面梯子形状(断面ハーモニカ形状)をなし、第1平板11、第1平板11と間隔を隔てて対向配置される第2平板12、および、第1平板11と第2平板12との間に架設される複数の柱部13を一体的に備えている。
第2平板12は、エアガイド1がラジエータ3(図9参照)の前方に配置されたときに、ラジエータ3を前後方向に投影したときの投影面から離間する離間方向ED(図8参照)、具体的には、図2が参照されるように、正面視においてラジエータ3から外側に向かう方向(外方OD)に、第1平板11と間隔を隔てて配置されている。
具体的には、図3に示すように、上側の第1平板状部材4において、第2平板12は、第1平板11に対して上側に配置されている。一方、図3において図示されないが、下側の第1平板状部材4において、第2平板12は、第1平板11に対して下側に配置されている。
第1平板11および第2平板12は、第1平板状部材4の外形形状、具体的には、第1平板状部材4の平面視形状に対応する平板状に形成されている。
第1平板11の厚みT1は、図3に示すように、例えば、0.15〜1.2mm、好ましくは、0.2〜0.8mmである。
第2平板12の厚みT2は、第1平板11の厚みT1より薄く形成され、第1平板11の厚みT1に対して、例えば、90%以下、好ましくは、70%以下であり、また、30%以上でもある。第2平板12の厚みT2は、具体的には、例えば、0.1〜1mm、好ましくは、0.15〜0.6mmである。
また、第1平板11および第2平板12の間の間隔は、例えば、0.8〜10mm、好ましくは、2〜5mmである。
第1平板状部材4の厚みT3は、例えば、2.2〜10mm、好ましくは、2.7〜7.7mmである。
柱部13は、第1平板状部材4の全面にわたって、前後方向に間隔を隔てて複数並列配置されている。各柱部13は、図2に示すように、左右方向に沿って一直線状に形成されている。また、柱部13は、図3に示すように、上下方向に延びる平板状に形成されている。
そして、第1平板状部材4において、各柱部13の間の第2平板12が、衝撃力I(後述)が加わることによって座屈する応力集中部としての第1脆弱部14として形成されている。つまり、第1脆弱部14は、柱部13が形成されている部分に比べて脆弱に形成されている。
すなわち、第1脆弱部14は、一直線状に形成される各柱部13の間の第2平板12において、一方向(図2において、脆弱部形成方向Fとして示す。)に沿って形成されており、各第1脆弱部14は、脆弱部形成方向Fと直交する方向に間隔を隔てて、第2平板12の全面にわたって筋状に形成されている。
第2平板状部材5は、図4に示すように、断面梯子形状(断面ハーモニカ形状)をなし、第1平板11、第2平板12および柱部13を備えている。
以下、第2平板状部材5の第1平板11、第2平板12および柱部13を説明するが、第1平板状部材4の第1平板11、第2平板12および柱部13と同様の配置、構成および寸法については省略する。
図4に示すように、右側の第2平板状部材5(図2参照)において、第2平板12は、第1平板11に対して右側に配置されている。一方、図4において図示されないが、左側の第2平板状部材5において、第2平板12は、第1平板11に対して左側に配置されている。
柱部13は、図2に示すように、第2平板状部材5の全面にわたって、前後方向に間隔を隔てて複数並列配置されている。柱部13は、上下方向に延びる平板状に形成されている。
そして、図4に示すように、第2平板状部材5において、各柱部13の間の第2平板12が、外力が加わることによって座屈する応力集中部としての第1脆弱部14として形成されている。つまり、第1脆弱部14は、柱部13が形成されている部分に比べて脆弱に形成されている。
すなわち、第1脆弱部14は、一直線状に形成される各柱部13の間の第2平板12において、一方向(図2において、脆弱部形成方向Fとして示す。)に沿って形成されており、各第1脆弱部14は、脆弱部形成方向Fと直交する方向に間隔を隔てて、第2平板12の全面にわたって形成されている。
次に、第1平板状部材4、第2平板状部材5および連結部6を製造する方法を詳述する。
第1平板状部材4、第2平板状部材5および連結部6を製造するには、例えば、まず、図3および図4が参照されるように、第1平板状部材4および第2平板状部材5と同一の断面梯子形状を有する、つまり、第1平板11、第2平板12および柱部13を備える長尺状のシート(図示せず)を用意する。
シートは、上記した熱可塑性樹脂から、押出成形により、上記した断面形状に形成する。
シートの目付けは、例えば、200〜2000g/m2、好ましくは、300〜1500g/m2である。
シートとしては、市販のプラスチックダンボールシート(プラダンシート)を用いることができる。
次いで、シート(図示せず)を、例えば、打抜金型を用いる打抜加工などによって、第1平板状部材4および第2平板状部材5に対応する外形形状に形成する。
具体的には、図1が参照されるように、シートを、上側の第1平板状部材4および左側の第2平板状部材5が長尺方向に連続する形状に、形成する。同時に、シートを、下側の第1平板状部材4および右側の第2平板状部材5が長尺方向に連続する形状に、形成する。
なお、上側の第1平板状部材4および左側の第2平板状部材5に対応するシート(第1シート)と、下側の第1平板状部材4および右側の第2平板状部材5に対応するシート(第2シート)とは、平面視において同一形状に形成される。
その後、各シートにおいて、隣接する第1平板状部材4および第2平板状部材5の境界に、プレス加工によって、薄肉部15を形成する。具体的には、プレス加工では、直線部分を有する金型を用いて、シートにおける上記した境界をプレスする。好ましくは、熱プレスする。
これによって、第1シートに1つの薄肉部15が形成されるとともに、第2シートに1つの薄肉部15が形成される。
そのような薄肉部15について図13を参照して詳述する。
薄肉部15は、図13(a)に示すように、互いに隣接する2つの第1凹部16から形成されている。
2つの第1凹部16は、第2平板12において、第1平板12に向かって凹むノッチとして形成されている。
2つの第1凹部16の間隔は、例えば、平板状部材(第1平板状部材11および第2平板状部材5)の厚みTに対して、例えば、1.5〜5.0倍、好ましくは、2〜4倍であり、具体的には、例えば、4〜15mm、好ましくは、6〜11mmである。なお、平板状部材の厚みTは、例えば、2〜7mm、好ましくは、3〜5mmである。
また、各第1凹部16の深さD7は、例えば、0.5〜6mm、好ましくは、1.5〜4mmである。
そして、図1に示すように、上記した薄肉部15(図1において第1凹部16は図示されない)は、連結部6として形成される。
その後、図2が参照されるように、薄肉部15を、第1平板11が谷、第2平板12が山となるように、折り曲げる。
薄肉部15を折り曲げるには、例えば、図13(b)に示すように、2つの第1凹部16のそれぞれを屈曲させるように、第1平板状部材4および第2平板状部材5を折り曲げ、その後、図13(b)の矢印および図13(c)に示すように、第1平板状部材4の第2平板状部材5と、第2平板状部材5の第2平板状部材5とを隣接させる。
その後、各シートの長尺方向両端部を突き合わせる。すなわち、第1シートの長尺方向両端部のそれぞれと、第2シートの長尺方向両端部のそれぞれとを突き合わせる。
具体的には、第1シートの長尺方向一端部と、第2シートの長尺方向一端部とを突き合わせるとともに、第2シートの長尺方向他端部と、第2シートの長尺方向他端部とを突き合わせる。
これにより、突合部分を形成する。
その後、突合部分を跨ぐように、突合部分に隣接する2つの第2平板12に接着テープ18を貼着する。接着テープ18は、例えば、紙、PETなどの柔軟な基材と、基材テープの表面に積層される接着層とを備える。接着テープ18の厚みは、例えば、0.1〜2.0mmである。
そして、接着テープ18が形成された突合部分も、連結部6として形成される。
つまり、連結部6は、2つの第1平板状部材4の左右方向両端部のそれぞれと、2つの第2平板状部材5の上下方向両端部のそれぞれとを連結している。
これによって、2つの第1平板状部材4および2つの第2平板状部材5と、それらをそれぞれ連結する4つの連結部6とを製造する。
そして、このエアガイド1において、突合部分に対応する連結部6は、それを形成する接着テープ18の強度が比較的低いことから、脆弱部としての第2脆弱部19として形成される。
従って、連結部6は、薄肉部15および第2脆弱部19から形成されていることから、第1平板状部材4および第2平板状部材5を屈曲自在に連結することができる。
弾性部材7は、図3および図4に示すように、第1平板状部材4および第2平板状部材5の前端面および後端面の両端面に巻き付けられている。
弾性部材7は、公知の接着剤などからなる接着剤層20を介して、第1平板状部材4および第2平板状部材5の前端面および後端面の両端面に接着されている。
弾性部材7を形成する弾性材料としては、例えば、ポリウレタンゴム発泡体、エチレン・プロピレンゴム発泡体、エチレン・プロピレン・ジエンゴム発泡体などの合成ゴム発泡体が挙げられ、好ましくは、エチレン・プロピレン・ジエンゴム発泡体が挙げられる。
クリップ8は、例えば、硬質の合成樹脂成形品などから形成されており、図1に示すように、第2平板状部材5の後部を左右方向から挟む挟持部21と、ラジエータサポート26(後述、図9参照)に取り付けるための固定部22とを一体的に備えている。クリップ8は、各第2平板状部材5において、上下方向に間隔を隔てて2つずつ配置されている。
そして、このエアガイド1を製造するには、まず、上記したように、第1平板状部材4、第2平板状部材5および連結部6を用意し、続いて、第1平板状部材4および第2平板状部材5のそれぞれの前端面および後端面に、弾性部材7を接着する。
また、クリップ8を、挟持部21によって第2平板状部材5の後部を挟持することにより、第2平板状部材5に取り付ける。
これによって、エアガイド1を得る。
このようにして得られるエアガイド1は、連結部6が、第1平板状部材4および第2平板状部材5を屈曲自在に連結している。具体的には、図5および図6に示すように、第1平板状部材4と第2平板状部材5とは、それらの成す角度が、例えば、0度を超過し、180度未満となる範囲内において、屈曲自在とされる。
つまり、エアガイド1は、折り畳むことができる。
エアガイド1の折り畳みでは、図6の実線で示すように、上側の第1平板状部材4を、左右方向に投影したときに、下側の第1平板状部材5に対して近接させる。また、右側(車幅方向一方側)の第2平板状部材5を、下側の第1平板状部材5に対して重ねる一方、左側(車幅方向他方側)の第2平板状部材5を、下側の第1平板状部材5に対して、前後方向に投影したときに、直線状となるように、広げる。
具体的には、製造後のエアガイド1は、図6の実線矢印および図5に示すように、折り畳まれて、出荷される。さらに、出荷後、自動車2に取り付けられる直前まで、折り畳まれた状態で、エアガイド1は、作業者などによって取り扱われる。
そして、折り畳まれているエアガイド1は、図6の破線矢印および図1に示すように、作業者などによって広げられて、上記した正面視略矩形状に整えられて、自動車2に取り付けられる。
具体的には、図9に示すように、エアガイド1は、ラジエータ3の前方に配置して、エアを前方からラジエータ3へガイドするために、自動車2に設けられる。
次に、図1に示されるエアガイド1を備える自動車2について、図7〜図10を参照して説明する。
自動車2は、図7、図8および図10に示すように、ラジエータ3(図7参照)と、ラジエータ3およびエンジン(図示せず)などを収容するラジエータサポート26と、ラジエータサポート26の前側に設けられる補強材27(図8参照)と、補強材27の前側に設けられるラジエータグリル28(図10参照)と、エアガイド1とを備えている。
図7に示すように、ラジエータ3は、正面視略矩形状に形成に形成されており、エンジンの近傍に配置され、ラジエータサポート26の前側に収容されている。
ラジエータサポート26は、図7に示すように、自動車2の前側に設けられ、平面視略矩形枠状に形成されている。
また、ラジエータサポート26の前壁24には、前後方向を貫通する開口部29が形成されている。開口部29は、次に説明するラジエータ3の正面視形状と実質的に同一形状に開口されている。
また、前壁24の前面には、クリップ8の固定部22に対応する孔(図示せず)が形成されている。
補強材27は、図8に示すように、ラジエータサポート26の前壁24の前側に設けられている。また、補強材27は、開口部29と前方に間隔を隔てて対向配置されている。また、補強材27は、開口部29を跨ぐように、左右方向に延びるように形成されている。
ラジエータグリル28は、図9に示すように、補強材27(図8参照)の前方に設けられ、開口部29を被覆するように、左右方向に延びるように形成されている。また、ラジエータグリル28は、開口部29の前方に間隔を隔てて配置される網部31を備えている。
網部31は、左右方向および上下方向に間隔を隔てて複数配置されている。
そして、図8および図10に示すように、エアガイド1は、前後方向において、ラジエータサポート26の前壁24と、ラジエータグリル28との間に配置されている。
つまり、エアガイド1は、図9に示すように、ラジエータ3の前方に配置されている。
エアガイド1をラジエータ3の前方に配置するには、例えば、まず、図1に示すように、エアガイド1の形状を正面視略矩形枠形状に整え、続いて、図9に示すように、補強材27が設けられていない自動車2(図7参照)において、ラジエータサポート26の前壁24の孔に、クリップ8の固定部22を挿入する。その後、必要により、接着テープ18(図9に図示せず)によって、エアガイド1を補強しつつ、ラジエータ3に固定する。
これにより、第1平板状部材4および第2平板状部材5の後端縁が、開口部29の周囲の前壁24に当接する。
次いで、図8に示すように、補強材27を、第2平板状部材5の切欠部9に嵌合するように、前壁24に取り付ける。
次いで、図10に示すように、ラジエータグリル28を、正面視において、前壁24の開口部29を被覆するように、補強材27(図9参照)の前方に設ける。
そして、この自動車2では、図9の矢印で示すように、エアは、ラジエータグリル28の前方から、網部31を通過して、ラジエータグリル28の後方に至る。
次いで、エアは、第1平板状部材4と第2平板状部材5とによって、ガイドされて、前壁24の開口部29を通過して、ラジエータ3に衝突する。これによって、ラジエータ3が冷却(空冷)される。
次に、エアガイド1に外力としての衝撃力Iが加わった場合におけるエアガイドの動作について、図11および図12を参照して説明する。
衝撃力Iが加わる方向(図11において矢印で示す方向)は、例えば、自動車2が対象物と正面衝突することにより、ラジエータグリル28(図10参照)に衝撃力Iが前側から後側に向かう方向として想定される。
図10に示すラジエータグリル28は、図示しないが、衝撃力Iが前側から後側に加わることにより、変形する。このとき、衝撃力Iによって、ラジエータグリル28は、エアガイド1を後側に向かって押圧する。
すると、第1平板状部材4および第2平板状部材5にかかる応力は、衝撃力Iの加わり方(衝撃力の大きさ、方向、加わる部位など)に対応して、第1平板状部材4および第2平板状部材5のいずれかの部位に集中する。
例えば、第1平板状部材4および第2平板状部材5には、第1脆弱部14(図2)が形成されているので、図12に示すように、特に応力が集中する第1脆弱部14において、第2平板12が座屈することにより、第1平板状部材4および第2平板状部材5が、外方ODに座屈する。
詳しくは、第1脆弱部14を起点として、第1脆弱部14より前側の第1平板状部材4および第2平板状部材5が、第1脆弱部14より後側の第1平板状部材4および第2平板状部材5に対して、ラジエータ3(図7参照)を前後方向に投影したときの投影面から離間するように、座屈する。
あるいは、図11に示すように、連結部6には、第2脆弱部19(図2参照)が形成されているので、第2脆弱部19が、壊れる。具体的には、接着テープ18が、前後方向に沿って破れるか、あるいは、接着テープ18が、第1平板状部材4および/または第2平板状部材5から引き剥がされる。
これによって、第1平板状部材4および第2平板状部材5の連結が解除されて、それらが自由に移動する。つまり、エアガイド1が変形する。
そして、このエアガイド1では、図6の矢印で示すように、連結部6が、第1平板状部材4および第2平板状部材5を屈曲自在に連結するので、図5に示すように、第1平板状部材4および第2平板状部材5を略平板形状に折り畳むことができる。
そのため、出荷時には、エアガイド1を折り畳むことにより、コンパクトにすることができる。その結果、エアガイド1の輸送コストを低減することができる。
また、作業者は、折り畳まれているエアガイド1を優れた作業性で取り扱いながら、取付時には、連結部6を屈曲させて、図6の破線矢印で示すように、エアガイド1を略平板形状から略平行四辺形状に広げて、その後、図1に示すように、エアガイド1を略矩形枠形状に容易に整えて、図9に示すように、ラジエータ3の前方に取り付けることができる。
そして、エアガイド1を、自動車2に装備されるラジエータ3の前方に配置することにより、エアを前方からラジエータ3へ効率的にガイドすることができる。
なお、図1の実施形態では、第1平板状部材4および第2平板状部材5をそれぞれ2つずつ設けているが、例えば、図示しないが、第1平板状部材4を1つ設けて、第2平板状部材5を2つ設け、そして、1つの第1平板状部材4の車幅方向両端部のそれぞれと、2つの第2平板状部材5の上下方向両端部のそれぞれとを連結することができる。すなわち、エアガイドを、上方または下方に開く正面視略コ字形状に形成することもできる。
さらには、第2平板状部材4を1つ設けて、第1平板状部材4を2つ設け、そして、2つの第1平板状部材4の車幅方向両端部のそれぞれと、1つの第2平板状部材5の上下方向両端部のそれぞれとを連結することもできる。すなわち、エアガイドを、左方または右方に開く正面視略コ字形状に形成することもできる。
好ましくは、図1に示すように、第1平板状部材4および第2平板状部材5をそれぞれ2つずつ設け、連結部6が、2つの第1平板状部材4の車幅方向両端部のそれぞれと、2つの第2平板状部材5の上下方向両端部のそれぞれとを連結する。
これにより、折り畳まれているエアガイド1を広げて、略啓板形状から略平行四辺形状を介して、エアガイド1を容易に矩形枠形状に整えることができる。
そのため、ラジエータ3が前後方向に投影したときに矩形枠形状に形成されているので、かかるラジエータ1の前方に、矩形枠形状のエアガイド1を配置して、ラジエータ3にエアを前方からラジエータ3へより一層効率的にガイドすることができる。
また、図2の実施形態では、第1平板状部材4および第2平板状部材5の両方に第1脆弱部14を形成しているが、例えば、図示しないが、いずれか一方を、第1脆弱部14が形成されていない平板から形成することができる。
さらには、第1平板状部材4および第2平板状部材5の両方を、第1脆弱部14が形成されていない平板から形成することもできる。
好ましくは、図2に示すように、第1平板状部材4および第2平板状部材5の両方に第1脆弱部14を形成する。
そのようなエアガイド1では、衝撃力Iが応力集中部に加えられると、第1平板状部材4および第2平板状部材5の両方を座屈させることができる。
しかも、第1脆弱部14が第1平板状部材4および第2平板状部材の両方に、一方向に沿って形成されているので、衝撃力Iがかかる部位において、第1平板状部材4および第2平板状部材5の両方を、一方向に沿って確実に座屈させることができる。
つまり、第1平板状部材4には、第1脆弱部14が左右方向に沿って形成されているので、衝撃力Iがかかる部位において、第1平板状部材4を、左右方向に沿って確実に座屈させることができる。
また、第2平板状部材5には、第1脆弱部14が上下方向に沿って形成されているので、衝撃力Iがかかる部位において、第2平板状部材5を、上下方向に沿って確実に座屈させることができる。
一方、衝撃力Iがかかる部位において、第1平板状部材4および第2平板状部材5は、前後方向に対する交差方向に沿って座屈しにくいので、前後方向に沿う座屈などの変形を有効に防止することができる。
その結果、エアガイド1は、前後方向にかかる衝撃力Iを、第1平板状部材4の左右方向に沿う座屈、および、第2平板状部材4の上下方向に沿う座屈によって、確実に吸収することができるとともに、前後方向以外の方向にかかる外力に起因する変形を有効に防止することができる。
また、図3および図4の実施形態では、第2平板12の厚みT2を、第1平板11の厚みT1より薄く形成しているが、図示しないが、例えば、第1平板11の厚みT1と同一厚みで形成することもできる。
好ましくは、図3および図4に示すように、第2平板12の厚みT2を、第1平板11の厚みT1より薄く形成する。
これにより、第1脆弱部14が、厚みT1が、第1平板11の厚みT2より薄い第2平板12に形成される。そのため、第1平板状部材4および第2平板状部材5を第2平板12側、すなわち、離間方向ED、つまり、外方ODに向けて座屈させることができる。
そのため、第1平板状部材4および第2平板状部材5が、前後方向にラジエータ3を投影した投影面に進入して、ラジエータ3に接触することを有効に防止することができる。
また、このエアガイド1では、連結部6は、第2脆弱部19を備える。そして、このエアガイドに衝撃力Iが加えられると、第2脆弱部19を容易に壊すことができる。そのため、第1平板状部材4および第2平板状部材5の第2脆弱部19による連結が解除されるので、エアガイド1を容易に変形させることができる。
また、図1の実施形態では、連結部6に、2つの第2脆弱部19を設けているが、その数は、特に限定されず、図示しないが、例えば、1つの第2脆弱部19を設け、3つの薄肉部15を設けたり、あるいは、3つの第2脆弱部19を設け、1つの薄肉部15を設けることもできる。
また、図1の実施形態では、第1平板状部材4および第2平板状部材5の前端面および後端面に弾性部材7が設けられている。とりわけ、第1平板状部材4および第2平板状部材5の前端面に弾性部材7が設けられているので、第1平板状部材4および第2平板状部材5の前端面は、ラジエータグリル28と弾性的に接触することができる。
また、この自動車2は、輸送コストが低減され、取扱性に優れるエアガイド1を備えるので、自動車2の製造コストを低減して、簡易に製造することができる。
図14は、本発明のエアガイドの他の実施形態であり、図3に対応する断面図、図15は、本発明のエアガイドの他の実施形態であり、図2に対応する斜視図、図16は、図15に示すエアガイドの右側の第2平板状部材の右側面図、図17は、図15に示すエアガイドの右側の第2平板状部材の正断面図、図18は、図17に示すエアガイドが座屈する状態の斜視図を示す。また、図19〜図21は、本発明のエアガイドの他の実施形態(分割形成される態様)であり、図19は、ラジエータに取り付けられる前のエアガイドの斜視図、図20は、ラジエータに取り付けられる時のエアガイド(ラジエータサポートおよび補強材などを省略した図)の斜視図、図21は、ラジエータに取り付けられる時のエアガイドの斜視図、図22は、本発明のエアガイドの他の実施形態の平板状部材の断面図、図23は、本発明のエアガイドの他の実施形態の平板状部材(凹部が設けられる態様)の断面図を示す。
なお、図16において、第2平板12は、架橋層33および第1平板11の相対配置を明確に示すため、省略している。
また、以降において、上記と同様の部材には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
次に、本発明の他の実施形態について、図14〜図23を参照して説明する。
図14において、第2平板12には、第2凹部32が形成されている。
第2凹部32は、各柱部13の間の第2平板12に形成されるノッチであって、第1脆弱部14を形成する。また、第2凹部32は、第2平板12において、上記した一方向に沿って形成されている。また、第2凹部32は、第2平板12において、隣接する柱部13の間2つ毎、1つ設けられている。
また、第2凹部32は、周囲の第2平板12から第1平板11に向けて湾曲状に、同一厚みで凹んでいる。第2凹部32の深さD0は、例えば、0.05〜5mm、好ましくは、0.1〜5mmである。
図14の実施形態は、図3と同様の作用効果を奏することができる。
図15および図17において、第2平板状部材5は、第1平板11と、第2平板12と、第1平板11および第2平板12の間に介在される架橋層33とを一体的に備えている。
図17に示すように、第2平板12の厚みは、第1平板11の厚みと同一厚みで形成されている。
架橋層33は、第1平板11および第2平板12に融着(熱融着)されており、それによって、第1平板11および第2平板12間を架橋している。図15および図16に示すように、架橋層33は、側面視において千鳥状に整列配置される複数の柱部としての突出部34と、各突出部34の間を連結する略平板状の第1壁35とを一体的に備えている。
各突出部34は、図17に示すように、右側(左側)側の第2平板状部材5においては、右側(左側)に向かって突出しており、断面視において、上下方向に長い略楕円形状に形成されている。
突出部34は、図16に示すように、上下方向に微少な間隔を隔てて複数並列配置(並設)されており、上下方向に並列配置される突出部34が1列の突出部列36をなしている。
また、突出部34は、前後方向にも間隔を隔てて複数並列配置されている。つまり、突出部列36は、前後方向に間隔を隔てて複数整列配置されている。
また、図15に示すように、突出部列36をなし、前後方向に隣接する突出部34は、齟齬状に並列配置されている。
詳しくは、図16に示すように、一の突出部列36(36a)における各突出部34は、前後方向に投影したときに、一の突出部列36(36a)の後側の他の突出部列36(36b)における各突出部34と、ずれるように配置されている。
また、突出部34は、前後方向に投影したときに、互いに重複するように配置されている。すなわち、一の突出部34aの左右方向一方(右)側端部は、一の突出部34aの後側に隣接配置される他の突出部34bの左右方向他方(左)側端部と、前後方向に投影したときに重複している。そのため、突出部34は、前後方向に投影したときに、第2平板状部材5の左右方向の全体にわたって形成されている。
各突出部34は、図17に示すように、第2壁37と、周側壁38とを一体的に備え、断面視において、左方(左側の第2平板状部材5の場合)が開放され、左方に向かうに従って拡径する略円錐台形状に形成されている。
第2壁37は、平面視略楕円形状をなし、その周側端が、周側壁38の右端に連結されている。また、第2壁37は、第2平板12に融着(熱融着)されており、それによって、第2平板12と一体的に成形されている。
周側壁38は、その左端(図17参照、右側の第2平板状部材5の場合)が、第1壁35と連結されている。
突出部34は、略円錐台形状に形成されることから、第2平板12に連結する部分の断面積、つまり、第2壁37の面積が、第1平板11に連結する部分の断面積、つまり、周側壁38の左端部の断面積に比べて小さく形成されている。
第1壁35は、平面視において、突出部34の周囲の領域に形成され、また、第1平板11に融着(熱融着)されており、それによって、第1平板11と一体的に成形されている。
そして、第2平板状部材5において、周側壁38と、第1壁35(およびそれに融着される第1平板11)と、第2壁37(およびそれに融着される第2平板12)とによって、断面視略円錐台形構造が形成される。
第2平板状部材5の寸法は、特に限定されず、図16に示すように、各周側壁38間の上下方向の間隔D1(突出部34の底部間の長軸方向の間隔)が、例えば、5mm以下、好ましくは、1〜3mmであり、各周側壁38間の前後方向の間隔D2(突出部34の底部間の短軸方向の間隔)は、例えば、3mm以下、好ましくは、2mm以下である。
また、各周側壁38の左端部(図17)の長径D3(上下方向の外径、長軸方向の長さ)は、例えば、3〜10mm、好ましくは、6〜9mmであり、各周側壁38の左端部の短径D4(前後方向の外径、つまり、短軸方向の長さ)は、例えば、4〜9mm、好ましくは、5〜8mmである。
また、各第2壁37の長径D5(上下方向の外径)は、例えば、1〜10mm、好ましくは、2〜9mmであり、各第2壁37の短径D6(上下方向の外径)は、例えば、1〜9mm、好ましくは、2〜8mmである。
架橋層33の厚み(左右方向長さ、突出部34の高さ)T4は、例えば、2〜8mm、好ましくは、2.5〜6.5mmである。
第2平板状部材5の厚みT5は、例えば、2.2〜10mm、好ましくは、2.7〜7.7mmである。
図15が参照されるように、第1平板状部材4は、第2平板状部材5の第1平板11、第2平板12および架橋層33と同様の部材を備えており、第1平板11および第2平板12が、上下方向に間隔を隔てて対向配置される以外は、第2平板状部材5と実質的に同様であり、その詳細な説明を省略する。
第1平板状部材4および第2平板状部材5は、長尺状のシートを切断加工し、その後、プレス加工することによって、連結部6を形成し、その後、接着テープ18によって第1平板状部材4および第2平板状部材5を連結することによって、第2脆弱部19を含む連結部6とともに、得られる。
なお、シートは、図17に示すように、第1平板11と第2平板12とを、架橋層33を上下方向に挟むように配置して、それらを積層し、そして、熱プレスなどによって熱融着させ、その後、上記した形状に切断加工することによって、得ることができる。
また、シートとしては、市販のプラスチックダンボールシート(プラダンシート)を用いることができる。
図15〜図17の実施形態では、図1の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
具体的には、図15に示すように、第1脆弱部14が、一方向に沿って、第2平板12に形成される。そのため、一方向に沿って、図18に示すように、第1平板状部材4および第2平板状部材5を第2平板12側、すなわち、離間方向ED、つまり、外方ODに向けて座屈させることができる。
そのため、第1平板状部材4および第2平板状部材5が、上記した投影面に進入して、ラジエータ3に接触することを有効に防止することができる。
なお、上記した図17の実施形態では、第2平板12の厚みを、第1平板11の厚みと同一厚みで形成しているが、例えば、図示しないが、第1平板11の厚みより薄く形成することもできる。
これによって、第1脆弱部14を起点とする第2平板状部材5の座屈をより一層確実に実施することができる。
また、図3および図4の実施形態では、第1平板状部材4および第2平板状部材5の両方を、断面梯子形状に形成し、あるいは、図17の実施形態では、突出部34が断面略円錐台形状に形成される形状に形成しているが、例えば、図示しないが、第1平板状部材4および第2平板状部材5のうち、いずれか一方を、断面梯子形状に形成し、他方を、突出部34が断面略円錐台形状に形成される形状に形成することもできる。
図1の実施形態では、エアガイド1を、平板状部材4および第2平板状部材5から一体的に形成しているが、例えば、図19〜図21に示すように、2つの部材から分割形成することもできる。
図19において、図20が参照されるように、エアガイド1は、上ガイド39と、下ガイド40とから形成されている。
上ガイド39は、エアガイド1の上部に配置され、第1平板状部材4と、第1平板状部材4の車幅方向両端部に設けられる2つの第2平板状部材5とを一体的に備えている。
2つの第2平板状部材5のそれぞれは、第1平板状部材4の車幅方向両端部から下方に向かって延びるように形成されている。
上ガイド39は、第1平板状部材4および2つの第2平板状部材5によって、正面視において、下方が開口される略コ字形状に形成されている。
下ガイド40は、上ガイド39の下側と対向配置され、第1平板状部材4と、第1平板状部材4の車幅方向両端部に設けられる2つの第2平板状部材5とを一体的に備えている。
2つの第2平板状部材5のそれぞれは、第1平板状部材4の車幅方向両端部から上方に向かって延びるように形成されている。また、下ガイド40の第2平板状部材5の上端部は、上ガイド39の第2平板状部材5の下端部と隣接配置されている。
上ガイド39は、第1平板状部材4および2つの第2平板状部材5によって、正面視において、上方が開口される略コ字形状に形成されている。
そして、エアガイド1は、上下方向に隣接配置される上ガイド39および下ガイド40によって、正面視において略矩形枠形状に形成されている。
図19に示すエアガイド1をラジエータ3(図9参照)の前方に配置するには、例えば、図20に示すように、まず、上ガイド39および下ガイド40のそれぞれを正面視略コ字形状で用意し、続いて、図21に示すように、自動車2(図7参照)において、ラジエータサポート26の前壁24の孔に、上ガイド39および下ガイド40それぞれのクリップ8の固定部22を挿入する。その後、必要により、接着テープ18によって、エアガイド1を補強しつつ、ラジエータ3に固定する。
この場合に、自動車2には、予め補強材27が設けられていてもよく、その場合には、上ガイド39を、補強材27の上方から上ガイド39の第2平板状部材5の切欠部9が補強材27と嵌合するように、補強材27の後側に挿入するとともに、下ガイド40を、補強材27の下方から下ガイド40の第2平板状部材5の切欠部9が補強材27と嵌合するように、補強材27の後側に挿入する。
その後、必要により、図示しない接着テープ18によって、エアガイド1を補強しつつ、ラジエータ3に固定する。
図19〜図21の実施形態では、図1および図8の実施形態と同様の作用効果を奏する。加えて、エアガイド1を、予め補強材27が設けられているラジエータ3に設けることもできる。そのため、エアガイド1の取付作業性を向上させることができる。
また、図3および図4の実施形態では、第1平板11と第2平板12との間に柱部13を設けているが、例えば、図22および図23に示すように、柱部13に代えて、弾性基材41を設けることもできる。
図22および図23において、弾性基材41は、第1平板11と第2平板12との間に介在されるように、それらの間に充填されている。弾性基材41は、例えば、弾性材料から形成されている。弾性基材41の厚みは、例えば、5〜20mm、好ましくは、7〜10mmである。
図22の実施形態では、第1平板11と第2平板12とをともに平板状に形成しているが、例えば、図23に示すように、いずれにも、第2凹部32を形成することもできる。
図23において、第2凹部32は、第1平板11および第2平板12のそれぞれに形成されるノッチであり、第1脆弱部14として形成されている。
図23の実施形態では、第2凹部32を起点として、第1平板11および第2平板12が座屈することができる。
また、図7の実施形態では、本発明の車両を自動車2として説明しているが、これに限定されず、例えば、自動二輪車など、他の車両とすることができる。