JP4297381B2 - 車両用エアガイド - Google Patents

Description

本発明は、車両用エアガイドに関する。

従来、熱交換器への導風機能と熱風吹き返し防止機能を目的として、ラジエータコアサポートのラジエータコアサポートサイドから車両前方へ張り出すように設けられた車両用エアガイドの技術が公知になっている（特許文献１、２参照）。
また、通常、車両用エアガイドの後端部はラジエータコアサポートサイドにクリップ等の締結手段で固定される一方、前端部はバンパフェイシア等に当接してシールした状態で設けられている。
特開２００６−３２１３１７号公報 特開２００６−１９９２５０号公報

しかしながら、従来の発明にあっては、車両衝突時の衝撃がバンパフェイシア等を介してエアガイドの前端部から入力されるため、車両の軽衝突時であってもエアガイドが破損する場合があり、修理費用が高く付くという問題点があった。
また、エアガイドを再現性の高い潰れプロフィルで潰して衝撃吸収部材として機能させたいという要求があった。

本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、車両の軽衝突時にエアガイドが破損するのを防止すると同時に、衝撃を吸収できる車両用エアガイドを提供することである。

本発明の請求項１記載の発明では、車両構造体から車両前方へ張り出すように平板部を有したエアガイドを設け、前記エアガイドの平板部に脆弱部を形成し、外力作動時に前記エアガイドの前端部を脆弱部で板厚方向へ曲折させ、前記エアガイドの外縁に前記平板部板厚方向へ屈折した第１フランジ部を形成すると共に、この第１フランジ部に前記脆弱部と連続した第１切欠部を形成したことを特徴とする。

本発明の請求項１記載の発明にあっては、車両構造体から車両前方へ張り出すように平板部を有したエアガイドを設け、前記エアガイドの平板部に脆弱部を形成し、外力作動時に前記エアガイドの前端部を脆弱部で板厚方向へ曲折させるため、外力作動時（車両の軽衝突時）にエアガイドが破損するのを防止すると同時に、衝撃を吸収できる。
また、エアガイドの外縁に前記平板部板厚方向へ屈折した第１フランジ部を形成すると共に、この第１フランジ部に前記脆弱部と連続した第１切欠部を形成したため、前端部の軽量化を図ると同時に必要剛性を得ることができる。
また、第１切欠部により第１フランジ部の脆弱部周辺部位の剛性を低くでき、これにより、車両衝突時に前端部を脆弱部で確実に曲折できる。

以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。

以下、実施例１を説明する。
なお、車両前後方向及び車幅方向を前後方向及び左右方向と称して説明する。
図１は本発明の実施例１の車両用エアガイドが採用された車両構造体を構成するラジエータコアサポートとエアガイドの分解斜視図、図２は同斜視図である。

図３は本実施例１の車両用エアガイドの前方斜視図、図４は図３の矢視Ａ１による車両用エアガイドの斜視図、図５は図４の矢視Ａ２による前端部の上面図、図６は本実施例１の作用を説明する図である。

先ず、全体構成を説明する。
図１、２に示すように、本実施例１の発明では、金属製のラジエータコアサポート１と、樹脂製のエアガイド2,3が備えられている。

車両構造体を構成するラジエータコアサポート１は、左右方向に延在するラジエータコアサポートアッパ４と、このラジエータコアサポートアッパ４と並行するラジエータコアサポートロア５と、ラジエータコアサポートアッパ４とラジエータコアサポートロア５の両端部同士を結合するラジエータコアサポートサイド6,7で構成されている。
なお、ラジエータコアサポート１は全体を樹脂製としても良いし、部位に応じて樹脂製部分と金属製部分で構成しても良い。

ラジエータコアサポートアッパ４は、後方へ開口した略コ字状断面のラジエータコアサポートアッパセンタ４ａと、このラジエータコアサポートアッパセンタ４ａの両端部から斜め後方へ延設され、下方へ開口した略コ字状断面のラジエータコアサポートアッパサイド4b,4cで構成されている。
また、ラジエータコアサポートアッパセンタ４ａの長手方向中央には、フードロック取付部４ｄが設けられている。

ラジエータコアサポートサイド6,7には、サイドメンバ取付部6a,7aが設けられると共に、これら各サイドメンバ取付部6a,7aの後面には図外のサイドメンバが締結される一方、前面には図外のバンパステイを介して左右方向に延在する図外のバンパアーマチュアが締結されるようになっている。
また、本実施例１のサイドメンバ取付部6a,7aの上部は、結合部材6b,7bを介してそれぞれ対応するラジエータコアサポートアッパサイド4b,4cに結合されている。
さらに、各ラジエータコアサポートサイド６（７）には、前後方向に開口した固定穴6c,6d（7c,7d）が上下に離間して設けられている。

以下、エアガイド2,3は左右対称形状であるため、エアガイド２について詳述する。

図３、４に示すように、エアガイド２は、ＰＰ（ポリプロピレン）、ＰＥ（ポリエチレン）、ＬＤＰＥ（低密度ポリエチレン）等を素材とする比較的柔軟性を持つ樹脂を用いて薄い厚みで一体的に形成されている。

エアガイド２の前端部１０は、前方に行くにつれて内側に低く延設される他、その先端には突出部１１が形成されている。
また、エアガイド２の前端部１０の外縁には、内側へ屈折した板状の第１フランジ部１２が形成されることにより、周辺部位の必要剛性が確保されている。

そして、図４、５に示すように、突出部１１（前端部１０と共に請求項の平板部に相当）の内側には、他の部位に比べて厚みが小さい薄肉部１３（請求項の脆弱部に相当）が上下方向に延設されると共に、この薄肉部１３と連続して第１フランジ部１２に第１切欠部１４が形成されている。
さらに、第１フランジ部１２の第１切欠部１４の前方には第２切欠部１５が形成されている。

また、突出部１１の下部には略水平な水平部１６と、この水平部１６から下方へ延設された垂直部１７が第１フランジ部１２と共に連続的に形成されている。
また、垂直部１７の後方には前方に開口されて上方へ延びる開口部１８が形成されている。

一方、エアガイド２の後端部１９には、内側に屈折した板状の第２フランジ部１９が上下方向に延設されることより、周辺部位の必要剛性が確保されている。
また、第２フランジ部２０のラジエータコアサポートサイド６の各固定穴6c,6dと合致する位置には、前後方向に開口された固定穴21a.21b（請求項の固定部に相当）がそれぞれ形成されている。

さらに、第２フランジ部２０の両固定穴21a.21bの間には、第３切欠部２２が形成されている。

その他、エアガイド２の内側の各部には複数のリブ２３が形成され、これによって、剛性が強化されている。

このように構成されたエアガイド２（３）は、図１、２に示すように、第２フランジ部２０をそれぞれ対応するラジエータコアサポートサイド６（７）の前面に沿わせた状態として固定穴21a,21bと固定穴6c,6d（7c,7d）にそれぞれクリップやボルト等の締結部材（図示せず）を挿入して固定することにより、ラジエータコアサポートサイド６（７）から前方へ張り出した状態で設けられる。

また、図示を省略するが、ラジエータコアサポート１の後方には、開口部Ｏ１に臨んだ状態で図外の車両用熱交換器のコア部が配置される。
また、各エアガイド2,3の前端部１０はバンパフェイシア等に当接してシールする一方、水平部１６と垂直部１７はそれぞれバンパーマチュアの上面と後面に当接してシールする。
さらに、開口部１８には、周辺部材が貫通した状態で配置される。

次に、作用を説明する。
このように構成されたエアガイド2,3は、前方からの車両走行風を車両用熱交換器のコア部の前面へ導くと同時に、エンジン側の熱気が側方から車両用熱交換器のコア部の前面へ吹き返すのを防止し、エアガイドとして機能する。

そして、車両衝突時の衝撃が比較的小さい場合には、その衝撃がバンパフェイシアを介してエアガイド2,3の前端部１０の突出部１１に入力（外力作動）され、これによって、図６に示すように、突出部１１が薄肉部１３を境にして内側へ曲折する。

これにより、エアガイド2,3の前端部１０が破損するのを防止できると同時に衝撃を吸収できるようになっている。

また、第１フランジ部１２の第１切欠部１４によって、突出部１１の曲折が妨げられる虞がなく、薄肉部１３で確実に突出部１１を曲折できる。

また、第２切欠部によって第１フランジ部１２の薄肉部１３の前方周辺部位の剛性が低くなって変形し易いため、突出部１１の曲折の起点にできる。

また、曲折した突出部１１は、樹脂による弾性力により元の形状に戻るため、亀裂・破損することがなく、修理費用を低く抑えることができる。

さらに、本実施例１では、エアガイド2,3の前端部１０の最も前方に形成されて、衝撃が最初に入力される突出部１１に薄肉部１３を形成したため、好適となる。

一方、車両衝突時の衝撃が大きい場合には、前述と同様に、突出部１１が薄肉部１３で内側へ曲折した後、さらに、第３切欠部２２でエアガイド2,3全体が前方へ略く字状に変形し、これによってエアガイド2,3を所望の潰れプロフィルで潰して剛体として作用するのを防止できると同時に衝撃を吸収できるようになっている。

次に、効果を説明する。
以上、説明したように、本実施例１の車両用エアガイドにあっては、ラジエータコアサポート１のラジエータコアサポートサイド６（７）から車両前方へ張り出すようにエアガイド２（３）を設け、エアガイド２（３）の前端部１０に脆弱部（薄肉部１３）を形成し、車両衝突時にエアガイド２（３）の前端部１０を脆弱部（薄肉部１３）で車幅方向へ曲折させるため、車両の軽衝突時にエアガイド２（３）が破損するのを防止すると同時に、衝撃を吸収できる。

また、エアガイド２（３）の前端部１０の外縁に車幅方向へ屈折した第１フランジ部１２を形成すると共に、この第１フランジ部１２に脆弱部（薄肉部１３）と連続した第１切欠部１４を形成したため、前端部１０の軽量化を図ると同時に必要剛性を得ることができる。

また、第１切欠部１４により第１フランジ部１２の脆弱部（薄肉部１３）周辺部位の剛性を低くでき、これにより、車両衝突時に前端部１０を脆弱部（薄肉部１３）で確実に曲折できる。

また、第１フランジ部１２の第１切欠部１４の車両前方位置に第２切欠部１５を形成したため、第１フランジ部１２の脆弱部（薄肉部１３）の前方周辺部位の剛性を低くでき、車両衝突時に前端部１０の曲折の起点にできる。

また、エアガイド２（３）の後端部にラジエータコアサポートサイド６（７）の前面に沿って車幅方向へ屈折した第２フランジ部を形成すると共に、この第２フランジ部にラジエータコアサポートサイド６（７）との固定部（固定穴6c,6d（7c,7d））を上下に離間して設け、第２フランジ部の両固定部（固定穴6c,6d（7c,7d））の間に第３切欠部２２を形成したため、第３切欠部２２を起点としてエアガイド２（３）を所望の潰れプロフィルで潰して衝撃を吸収できる。

また、脆弱部を他の部位に比べて厚みが小さい薄肉部１５としたため、簡便な構成でもって前端部１０を曲折できる。

以上、本実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、本実施例１で説明した各部の材質や、脆弱部及び切欠部の詳細な形状、形成位置、形成数等については適宜設定できる。

また、本実施例１では、突出部１１が最も前方に突出しているため、ここに脆弱部を設けたが、脆弱部の前後形成位置を変更することにより曲折部位も変化する。

また、本実施例１では、脆弱部を薄肉部としたが、この限りではなく、例えば、蛇腹状の断面形状にしても同様の効果を得られる。

本発明の実施例１の車両用エアガイドが採用された車両構造体を構成するラジエータコアサポートと車両用エアガイドの分解斜視図である。 本発明の実施例１の車両用エアガイドが採用されたラジエータコアサポートと車両用エアガイドの斜視図である。 本実施例１の車両用エアガイドの前方斜視図である。 図３の矢視Ａ１による車両用エアガイドの斜視図である。 図４の矢視Ａ２による前端部の上面図である。 本実施例１の作用を説明する図である。

符号の説明

１ ラジエータコアサポート
２、３ 車両用エアガイド
４ ラジエータコアサポートアッパ
４ａ ラジエータコアサポートアッパセンタ
４ｂ、４ｃ ラジエータコアサポートアッパサイド
４ｄ フードロック取付部
５ ラジエータコアサポートロア
６、７ ラジエータコアサポートサイド
６ａ、７ａ サイドメンバ取付部
６ｂ、７ｂ 結合部材
６ｃ、６ｄ、７ｃ、７ｄ 固定穴
１０ 前端部
１１ 突出部
１２ 第１フランジ部
１３ 薄肉部
１４ 第１切欠部
１５ 第２切欠部
１６ 水平部
１７ 垂直部
１８ 開口部
１９ 後端部
２０ 第２フランジ部
２１ａ、２１ｂ 固定穴
２２ 第３切欠部
２３ リブ

Claims (4)

1. 車両構造体から車両前方へ張り出すように平板部を有したエアガイドを設け、
   前記エアガイドの平板部に脆弱部を形成し、
   外力作動時に前記エアガイドの前端部を脆弱部で板厚方向へ曲折させ、
   前記エアガイドの外縁に前記平板部板厚方向へ屈折した第１フランジ部を形成すると共に、この第１フランジ部に前記脆弱部と連続した第１切欠部を形成したことを特徴とする車両用エアガイド。
2. 請求項１記載の車両用エアガイドにおいて、
   前記第１フランジ部の第１切欠部の車両前方に第２切欠部を形成したことを特徴とする車両用エアガイド。
3. 請求項２記載の車両用エアガイドにおいて、
   前記エアガイドの後端部に車両構造体の前面に沿って平板部板厚方向へ屈折した第２フランジ部を形成すると共に、この第２フランジ部に車両構造体との固定部を上下に離間して設け、
   前記第２フランジ部の両固定部の間に第３切欠部を形成したことを特徴とする車両用エアガイド。
4. 請求項１〜３のうちのいずれか記載の車両用エアガイドにおいて、
   前記脆弱部を他の部位に比べて厚みが小さい薄肉部としたことを特徴とする車両用エアガイド。