以下、添付図面を参照して、本発明に係る画像形成装置および画像形成方法について詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
図1はプリンタ1の概略構成を説明するための図である。なお、図1では、プリンタ1が備える各構成要素の内で、説明のために必要な部分のみを示し、その他の構成要素については省略している。
カラー印刷等の多色印刷を行うプリンタでは、三原色(イエロー、マゼンタ、シアン)あるいはブラックを含めた4色で印刷が行われる。このような多色印刷のプリンタとして、ロール状の記録用紙を往復動させながら印刷を複数回繰り返すことによって、同一紙面上に異なる色の印刷を行うプリンタがある。プリンタ1(画像形成装置の一例)は、ヘッドに対してロール状の記録用紙(記録媒体の一例)を往復動させることによって、記録用紙に画像形成を複数回繰り返すことで、同一紙面上に例えば異なる色の画像を形成するプリンタである。
プリンタ1は、ロール状の記録用紙10をロール紙ホルダ2に保持しておき、このロール紙ホルダ2からほどかれた記録用紙10の記録面上に画像を形成する。ロール状の記録用紙10をロール紙ホルダ2に保持させるには、例えば、ロール状の記録用紙10が有する中心軸をロール紙ホルダ2によって回転自在に支持させる。これによって、記録用紙10をロール紙ホルダ2に回転可能に収納することができる。
画像形成は、インクリボン4(転写媒体の一例)を記録用紙10の記録面に当接させながら、ヘッド3によって所定位置にインクを記録することによって行う。その際は、インクリボン4と記録用紙10を重ねて移動させて、ヘッド3とプラテンローラ9の間に通過させる。ヘッド3は、プラテンローラ9に対して移動可能に構成され、画像形成時にプラテンローラ9に押圧されて接触する。プリンタ1は、ヘッド3を構成する発熱体を所定のパターンで発熱させて、インクリボン4から記録用紙10の上に画像を転写することにより、画像を形成する。
カラー画像を形成するには、画像形成する色に対応したイエロー、マゼンタおよびシアンのインク部分(転写材料の一例)を、インクリボン4の巻き取る方向に沿ってインクリボン4に順に用意しておき、インクリボン4を巻き取りながらインク部分をヘッド3に通過させる動作を、色毎に繰り返す。インクリボン4は、供給側リボンローラ4Aから供給され、巻上側リボンローラ4Bに巻き取られる。以下、これらのローラを単に、「リボンローラ4A,4B」ともいう。インクリボン4は、供給側リボンローラ4Aとヘッド3の間にあるリボンガイドローラ15や、ヘッド3と一体に構成されたリボンガイド部16(図2(A)を参照)によって案内される。
記録用紙10は、各色の画像形成において、一旦ヘッド3の位置を通過して画像を形成する長さに応じた紙送りが行われた後、向きを反転して巻き戻しが行われる。ヘッド3は、この記録用紙10を巻き戻す過程において画像を形成する。プリンタ1は、画像形成の際、記録用紙10の同一の画像形成領域に各色の画像を重ねて形成するために、記録用紙10を往復動させる。この記録用紙10の往復動は、記録用紙10の搬送経路に設けられたグリップローラ17とピンチローラ18により行われる。これらのローラにより記録用紙10の搬送方向に応じてロール紙ホルダ2の回転方向を変えて、記録用紙10の巻きほどきと巻き戻しが繰り返される。画像形成を行わないときは、グリップローラ17に対してピンチローラ18が離間して、記録用紙10を解放する。一方、画像形成時には、グリップローラ17とピンチローラ18が、記録用紙10を挟んで搬送する。このようにして、記録用紙10をヘッド3に対して往復動させ、記録用紙10の同一の画像形成領域に対して複数回の画像形成を繰り返して行う。
なお、インクリボン4は、イエロー、マゼンタおよびシアンのインク部分に加えてオーバーコート層(転写材料の一例)を備え、全色の画像形成が終了した記録用紙10の面上をこのオーバーコート層で覆うことによってその面を保護することができる。
画像形成が終了した記録用紙10は、ヘッド3部分を通過した後、排出経路13を通過し、プリンタ1の筐体7に設けた排出口6からプリンタ外部に排出される。
また、プリンタ1は、排出経路13上であって排出口6の直前の位置に記録用紙切断部5を備える。記録用紙切断部5は、排出経路13を通過し、排出口6から外部に送り出された記録用紙10を、排出口6の手前の位置で切断する。これによって、カットされた記録用紙10を排出口6から取り出すことができる。また、記録用紙切断部5は、記録用紙10が排出口6から突出する前の状態において、記録用紙10を複数箇所で切断することによって、記録用紙10を短く裁断することができる。
さらにプリンタ1は、制御部30、データメモリ31、記録用紙駆動部32、ヘッド駆動部33、インクリボン駆動部34、切断制御部35および通信インタフェース36を備える。
制御部30は、プリンタ1の全体の動作を制御する。制御部30は、CPUやRAM、ROMなどを含み、ROMに予め記憶されたプログラムをRAMにロードして実行することにより、後述する第1〜第3の動作例を実行する。データメモリ31は、通信インタフェース36を介してホストコンピュータから受信した画像データを蓄積する記憶領域である。
記録用紙駆動部32は、グリップローラ17とピンチローラ18で記録用紙10を挟んで記録用紙10を駆動する。記録用紙駆動部32は、グリップローラ17およびロール紙ホルダ2を回転駆動することによって記録用紙10の送り出しを行う。また記録用紙駆動部32は、駆動方向を反転させてグリップローラ17およびロール紙ホルダ2を回転駆動することによって、送り出された記録用紙10を巻き戻すことができる。プリンタ1は、送り出された記録用紙10が巻き戻されるときに、記録用紙10上に画像を形成する。
また、ヘッド駆動部33は、画像データに基づいてヘッド3を駆動し、記録用紙10上に画像を形成する。ヘッド3は、昇華型のプリンタ、熱溶融型プリンタ等の各種の画像形成方式に応じた機構を用いることができる。プリンタ1では、記録媒体上に画像を形成する画像形成部の一例として、ヘッド3や、プラテンローラ9、ヘッド駆動部33を設けている。
また、インクリボン駆動部34は、供給側リボンローラ4Aと巻上側リボンローラ4Bを駆動し、ヘッド3の駆動と同期してインクリボン4をヘッド3に対して移動させる。インクリボン駆動部34はインクリボン4の巻戻し機構も備えており、巻取り方向(搬送方向)とは逆方向である巻戻し方向にインクリボン4を駆動することが可能である。プリンタ1では、帯状の転写媒体を搬送する搬送部の一例として、リボンローラ4A,4Bや、インクリボン駆動部34を設けている。
切断制御部35は、記録用紙10が排出経路13を経由し排出口6から外部に排出されるときに、記録用紙10の記録部分の後端を切断して1枚ずつに切り分けるように記録用紙切断部5を制御する。
また、通信インタフェース36は、通信ケーブルを介してホストコンピュータとの間でデータを送受信する。タイマ37は、後述する第2および第3の動作例で経過時間を計測するために用いられる。
図2(A)および図2(B)は、図1のヘッド3の周辺を拡大した図である。プリンタ1では、イエロー、マゼンタ、シアンおよびオーバーコートが順次塗布されたインクリボン4の各インク塗布領域の境界を検出するためのセンサが設けられている。このセンサでインク等の領域同士の境界を検出し、その検出結果に応じてインクリボンの搬送量を制御することにより、ヘッドにてインクリボンを位置決めする。以下では、そのようなインクやオーバーコートの領域、およびその境界を検出するセンサのことを、それぞれ「パネル」および「リボンセンサ」という。
プリンタ1では、ヘッド3に対しインクリボン4の搬送方向の上流側であって、インクリボン4の搬送経路と記録用紙10の搬送経路が重なる位置に、リボンセンサが配置される。なお、リボンセンサは、ヘッド3に対しインクリボン4の搬送方向の下流側に配置してもよい。インクリボン4については、供給側リボンローラ4Aから巻上側リボンローラ4Bへの向きが、上流から下流への向きになる。これは、記録用紙10がヘッド3やプラテンローラ9を通って、排出経路13を経て排出される方向とは逆向きである。
後述するプリンタ1の第1および第3の動作例では、リボンセンサとして透過型カラーセンサを用いる。後述するプリンタ1の第2の動作例では、リボンセンサとして透過型カラーセンサと透過型赤外線センサのどちらを用いてもよい。透過型センサを用いる場合、リボンガイド部16内の8Aで示す位置と、インクリボン4の搬送経路を挟んでそれに対向する8Bで示す位置に、それぞれ投光側リボンセンサと受光側リボンセンサが設けられる。以下、これらのセンサを単に、「リボンセンサ8A,8B」または「リボンセンサ8」という。リボンセンサ8は、画像形成が行われるヘッド位置に搬送された転写材料を検出する検出部の一例である。なお、投光側リボンセンサ8Aと受光側リボンセンサ8Bを、互いに逆の位置に配置してもよい。
このように、プリンタ1では、透過型センサを構成する一方の素子を、ヘッド3の本体またはヘッド3を含むサーマルヘッド組立体と一体に配置する。また、プリンタ1では、ヘッド3がプラテンローラ9と接離する際の移動方向にリボンセンサ8A,8Bの光軸方向が一致するようにリボンセンサ8を配置する。すなわち、画像形成時(ヘッド3がプラテンローラ9に接触しているとき)とそうでないとき(ヘッド3がプラテンローラから離間しているとき)のどちらでもリボンセンサ8を使用できるような範囲内で、両方のヘッド位置におけるリボンセンサ8の光軸がずれないように、ヘッド3の移動方向とリボンセンサ8の光軸方向を合わせている。なお、図2(A)では、画像形成中のヘッド3とリボンセンサ8A,8Bの位置を実線で、画像形成していないときのヘッド3とリボンセンサ8A,8Bの位置を破線で、それぞれを1つの図に重ねて表示している。
図2(A)は、1つの色について画像形成が始まるときのリボンセンサ8と記録用紙10の位置関係を示す。まず、画像形成される領域の長さに応じて記録用紙10が矢印A方向に送り出され、記録用紙10の端部10Eが図中左側に来る。例えば、イエローについての画像形成が始まるときを考えると、このとき、ヘッド3が画像を形成する位置(画像形成位置)(以下、ヘッド位置Phという)に、イエローのパネルの先頭と記録用紙10上に画像形成される領域の先頭とが位置合わせされる。そして、インクリボン4と記録用紙10は重なった状態で一緒に矢印B方向に搬送されながら、ヘッド3により記録用紙10上にイエローについての画像形成が行われる。
なお、図示しないが、リボンローラ4A,4Bのどちらか一方か、または両方は、インクリボン4の移送量を検出するエンコーダを備えている。インクリボン駆動部34は、そのエンコーダのパルス数や、リボンローラ4A,4Bのどちらか一方か、または両方の巻き径、リボンセンサ8の検出結果などに基づいて、ヘッド3のヘッド位置Phにイエローの先頭を位置決めするために必要な送り量を算出する。そして、インクリボン駆動部34によりヘッド位置Phまでイエローの先頭を送って、インクリボン4を位置決めする。
図2(B)は、1つの色(例えばイエロー)についての画像形成が終わるときのリボンセンサ8と記録用紙10の位置関係を示す。プリンタ1では、1つの色についての画像形成が終わる前にはインクリボン4上のパネルの境界と記録用紙10が重ならない位置関係になるように、インクリボン4のパネルピッチと記録用紙10上の画像形成領域の長さとの関係を定めておく。これにより、1つの色についての画像形成が終わるときに、記録用紙10の端部10Eがヘッド位置Phに近付いて、リボンセンサ8A,8Bの位置(以下、センサ位置Psという)より図中右側に来ており、記録用紙10がリボンセンサ8A,8Bを通り過ぎている。このため、リボンセンサ8A,8Bの間を遮っていた記録用紙10がなくなり、リボンセンサ8A,8Bは次のマゼンタについてパネルの境界を検出可能な状態になる。
イエローの画像形成が終わると、記録用紙10が再び矢印A方向に送り出されて、図2(A)と同じ状態になる。そして、次のマゼンタのパネルの先頭と記録用紙10上の画像形成領域の先頭とがヘッド位置Phに位置合わせされ、マゼンタの画像形成が行われる。このように、記録用紙10は、図中の左右に行き来しながらイエロー、マゼンタ、シアンおよびオーバーコートについて画像形成される。その後、記録用紙10は矢印A方向に送られ、記録用紙切断部5により画像後端で切断されて排出される。
記録用紙10上に画像形成できる長さはインクリボン4の各色の長さに依存する。プリンタ1は、例えばL版、2L版の写真に相当する画像を形成する場合には、L版、2L版の寸法に応じた長さを有するインクリボン4を例えば搬送方向に画像の長さ分移動させて画像を形成する。プリンタ1は、インクリボン4が対応する長さより短い画像も形成できる。例えば、2L版のインクリボンが取り付けられているときには、プリンタ1は、2L版の他、L版の画像を形成することができる。
このように、プリンタ1は、インクリボン4のパネルのサイズより小さなサイズの画像を印刷可能である。以下では、例えば、各パネルのサイズが6×8インチ(152×203mm)のインクリボン4を使用して、サイズが6×8インチか、またはその半分である6×4インチ(152×101mm)の画像を印刷する場合を説明する。ただし、サイズはこれらに限定されず、面積が2倍以上異なる2つのサイズの組について、以下の第1から第3の動作例は適用可能である。例えば、2つのサイズの組は、A5サイズ(148×210mm)とA6サイズ(105×148mm)や、2Lサイズ(127×178mm)とLサイズ(89×127mm)などでもよい。なお、以下では、サイズが6×8インチであることを「6×8サイズ」といい、サイズが6×4インチであることを「6×4サイズ」という。6×8サイズは第1の大きさの一例であり、6×4サイズは第1の大きさの半分以下である第2の大きさの一例である。
以下では、プリンタ1の第1の動作例について説明する。従来のプリンタでは、各色パネルのサイズの半分以下であるサイズの画像を印刷したときは、半分未使用のパネルがあることをプリンタの電子メモリ内に保持し、その保持されたデータと次に印刷される画像サイズにより、その半分未使用のパネルを再使用して印刷するかどうかを決定する。そして、半分未使用のパネルを再使用して次の画像を印刷可能な場合には、リボン巻戻し機構によりインクリボンを巻き戻し、その半分未使用のパネルを使用して印刷する。このように、従来のプリンタでは、半分未使用のパネルを再使用するためには、インクリボンの使用状況を記憶する電子メモリをプリンタまたはホストコンピュータに設ける必要がある。
そこで、プリンタ1の第1の動作例では、電子メモリにインクリボン4の使用状況を記憶するのではなく、半分未使用のパネルがあるか否かを示す情報を、インクリボン4の停止位置により表す。具体的には、第1の動作例ではリボンセンサ8として透過型カラーセンサを用いて、インクリボン4が停止しているときにセンサ位置Psにあるパネルの色をリボンセンサ8が検出する。そして制御部30は、検出されたセンサ位置Psでのパネルの色から、インクリボン4に半分未使用のパネルがあるか否かを判定する。制御部30は、インクリボン4が停止しているときに、リボンセンサ8がイエローを検出すれば半分未使用のパネルはないと判定し、リボンセンサ8がイエロー以外の色(例えばシアンかマゼンタ)を検出すれば半分未使用のパネルがあると判定する。以下では、半分未使用のパネルがあることを示す判定用の色をシアンとして説明する。
さらに制御部30は、リボンセンサ8の検出結果と、ホストコンピュータから受信した次に印刷される画像のサイズから、インクリボン4に半分未使用のパネルがある場合にはそれを次の画像の印刷に使用できるか否かを判定する。制御部30は、先の画像形成に使用された各領域に含まれる未使用の転写材料を新たな画像形成に再使用できるか否かを判定する判定部の一例である。
次の画像データが受信され、制御部30が半分未使用のパネルを再使用可能であると判定した場合に、インクリボン駆動部34は、半分未使用のイエローのパネルにおける未使用領域の先頭位置がヘッド位置Phに来るまで、巻戻し機構によりインクリボン4を巻き戻す。そして、その半分未使用のパネル領域を使用して、ヘッド3が記録用紙10上に次の画像を印刷する。一方、制御部30が半分未使用のパネルを再使用可能でないと判定した場合には、インクリボン駆動部34は、新たなイエローのパネルの先頭をヘッド位置Phに位置合わせする。そして新たなパネルを使用して、ヘッド3が記録用紙10上に次の画像を印刷する。
図3(A)〜図3(G)は、プリンタ1の第1の動作例におけるインクリボン4の動きを説明するための図である。図3(A)は、6×8サイズのインクリボン4を示す。領域40は全面使用済みのパネルであり、領域41は全面未使用のパネルである。領域40はイエローY0、マゼンタM0、シアンC0およびオーバーコートOP0のパネルを含み、領域41はイエローY1、マゼンタM1、シアンC1およびオーバーコートOP1のパネルを含む。領域40の左側および領域41の右側の図示しない範囲にも、イエロー、マゼンタ、シアンおよびオーバーコートの各パネルがこの順序で繰り返し配置されているとする。図3(A)は、領域40までのパネルが全面使用され、領域41を使用した印刷開始前の状態を示している。ヘッド位置PhにイエローY1の先頭部分が位置し、センサ位置PsにもイエローY1が位置している。
図3(B)は、領域41のパネルを半分使用して6×4サイズの画像が印刷された後の状態を示す。インクリボン4は、印刷時にインクリボン駆動部34によって巻上側リボンローラ4Bに巻き上げられ、矢印C方向(搬送方向、巻取り方向)に搬送される。印刷前に全面未使用のパネルだった領域41は、6×8サイズのパネルの搬送方向に沿った前半部分が使用されて半分未使用のパネルになる。なお、図示しないが、このときパネルの搬送方向に沿った後半部分を使用してもよい。
図3(C)は、領域41が半分未使用のパネルであることを表すために、センサ位置PsにシアンC1が来るまでインクリボン4を巻き戻した状態を示す。インクリボン4は、巻戻しの際、インクリボン駆動部34によって、供給側リボンローラ4Aに向けて印刷時とは反対方向に、矢印D方向(巻戻し方向)に搬送される。このように、6×4サイズの画像を印刷した後にもう一度6×4サイズの画像を印刷することができるパネル領域が残っている場合には、予め定められた判定用の色のパネル(第1の動作例ではシアン)がセンサ位置Psに来るまで、インクリボン4を巻き戻す。
そして、半分未使用のパネルを再使用して次の画像を印刷可能な場合は、さらに半分未使用のイエローのパネルにおける未使用領域の先頭位置がヘッド位置Phに来るまでインクリボン4を巻き戻して印刷を開始する。具体的には、制御部30は、次の画像がパネルの半分の領域に収まるサイズ(ここでは6×4サイズ)かどうかをまず判定する。次の画像がパネルの半分の領域に収まる場合には、制御部30は、リボンセンサ8がシアンを検出したかどうかを判定する。シアンが検出された場合には、半分未使用の領域で次の画像を印刷可能である。この場合、インクリボン駆動部34は、エンコーダのパルス数や、リボンローラ4A,4Bの巻き径などに基づいて、イエローY1の中間である未使用領域の先頭位置をヘッド位置Phに位置決めするために必要な送り量を算出する。そしてこの送り量に従って、インクリボン駆動部34は、インクリボン4を矢印D方向に巻き戻す。
図3(D)は、半分未使用の領域41で次の画像を印刷可能な場合(すなわち、次の画像が6×4サイズの場合)に、イエローY1の中間である未使用領域の先頭位置がヘッド位置Phに来るまでインクリボン4を矢印D方向に巻き戻した状態を示す。この後、インクリボン4は矢印C方向に搬送されて、次の6×4サイズの画像が印刷される。図3(E)は、半分未使用の領域41が印刷に使用され、次のイエローY2の先頭位置がヘッド位置Phに来た状態を示す。
一方、半分未使用のパネルを再使用して次の画像を印刷可能でない場合は、次のイエローY2の先頭位置がヘッド位置Phに来るまでインクリボン4を搬送し印刷を行う。具体的には、これは、次の画像が未使用領域に収まらないサイズ(ここでは6×8サイズ)である場合か、または、収まるサイズであってもリボンセンサ8がシアンを検出しない場合(すなわち、半分未使用の領域自体がない場合)である。
図3(F)は、例えば次の画像が6×8サイズであり、半分未使用の領域41で次の画像を印刷可能でない場合に、次のイエローY2の先頭位置がヘッド位置Phに来るまでインクリボン4を矢印C方向に搬送した状態を示す。この後、インクリボン4はさらに矢印C方向に搬送されて、次の6×8サイズの画像が印刷される。図3(G)は、領域42のパネルが印刷に使用され、さらに次のイエローY3の先頭位置がヘッド位置Phに来た状態を示す。
図4(A)および図4(B)は、プリンタ1の第1の動作例を示したフローチャートである。図4(A)および図4(B)に示したフローは、制御部30内のROMに予め記憶されたプログラムに従って、制御部30内のCPUにより実行される。プリンタ1には6×8サイズのインクリボン4がセットされているとする。
図4(A)は、第1の動作例のメインルーチンを示す。プリンタ1は、まず、ホストコンピュータから印刷指示および印刷対象の画像データを受信する(S11)。すると制御部30は、その画像データが6×4サイズであるか否かを判定する(S12)。例えば6×8サイズなど、画像データが6×4サイズでない場合(S12でNo)は、6×8サイズのパネルの全面を使用して、ヘッド3が記録用紙10上にその画像を印刷する(S13)。なお、6×8サイズのパネルより大きなサイズの画像データであった場合にはエラー処理が行われる(図示せず)。
印刷時には、インクリボン駆動部34は、ヘッド3のヘッド位置PhにイエローYの先頭(使用開始位置)を位置決めする。記録用紙駆動部32は、記録用紙10上に画像形成する画像形成領域のサイズに合わせて記録用紙10を送り出す。またヘッド駆動部33は、ヘッド3を移動させてプラテンローラ9に対して押圧する。そして記録用紙駆動部32が送り出した記録用紙を巻き戻しながら、1つの色(最初はイエローY)についてヘッド3により画像を形成する。このときインクリボン4も一緒に移動させる。この記録用紙10の巻き戻しとインクリボン4の巻き取りとヘッド3による画像形成は、同期をとって行う。イエローYについての画像形成が終わると、ヘッド駆動部33はヘッド3をプラテンローラ9から離間させる。そして次はマゼンタMについて、パネルの先頭(使用開始位置)をヘッド位置Phに位置決めし、再び記録用紙10を所定長さだけ送り出す。このように、記録用紙10の同じ画像形成領域上に、イエローY、マゼンタMおよびシアンCの各色カラー画像を形成し、オーバーコート層を被覆して保護層を形成する。そして印刷後は、次のイエローの先頭位置をヘッド位置Phに合わせて、インクリボン4を停止させる。こうした一連の画像形成処理は、6×8サイズと6×4サイズのどちらの画像形成を行う場合も同様である。
画像データが6×4サイズである場合(S12でYes)は、後述する図4(B)のフローに従い、その6×4サイズの印刷が行われる(S14)。印刷終了後に、記録用紙駆動部32が記録用紙10を送り出し、記録用紙切断部5が記録用紙10を切断して、排出口6から排出する(S15)。以上で、プリンタ1は動作を終了する。
図4(B)は、6×4サイズの印刷についてのサブルーチンを示す。まず、リボンセンサ8が、センサ位置Psにあるパネルの色を検出する(S21)。そして制御部30は、リボンセンサ8がシアンを検出したか否かを判定する(S22)。シアンが検出された場合(S22でYes)には、半分未使用のパネルがあるため、インクリボン駆動部34は、半分使用されたイエローのパネルにおける未使用領域の先頭位置がヘッド位置Phに来るまでインクリボン4を巻き戻す(S23)。続いて、半分未使用のパネルを使用して、上記の画像形成処理により、記録用紙10上に6×4サイズの画像が印刷される(S24)。これで6×8サイズのパネルの全面が消費されるので、インクリボン駆動部34は、次のイエローの先頭位置がヘッド位置Phに来るまでインクリボン4を搬送して停止させる(S25)。これで、第1の動作例での6×4サイズの印刷は終了する。
一方、リボンセンサ8によりシアンが検出されなかった場合には、制御部30は、半分未使用のパネルがないと判定し(S22でNo)、インクリボン駆動部34は、次のイエローの先頭位置がヘッド位置Phに来るまでインクリボン4を搬送する(S26)。ただし、既にイエローの先頭位置がヘッド位置Phにある場合はそのままとする。続いて、6×8サイズのパネルの搬送方向に沿った前半部分を使用して、上記の画像形成処理により、記録用紙10上に6×4サイズの画像が印刷される(S27)。それにより、使用されたパネルは半分未使用の状態になるため、そのことを表すために、インクリボン駆動部34は、シアンのパネルがセンサ位置Psに来るまでインクリボン4を巻き戻して停止させる(S28)。これで、第1の動作例での6×4サイズの印刷は終了する。
図5(A)および図5(B)は、第1の動作例の変形例を説明するための図である。半分未使用のパネルがあることを示す判定用の色として、オーバーコートを用いることも可能である。このような場合を第1の動作例の変形例として、図5(A)および図5(B)を用いて説明する。
図5(A)は、半分未使用のパネルがない状態のインクリボン4を示す。領域40は全面使用済みのパネルであり、領域41は全面未使用のパネルである。印刷終了時には、ヘッド位置PhにイエローY1の先頭部分が位置し、センサ位置PsにもイエローY1が位置した状態で、インクリボン4が停止する。このとき、リボンセンサ8はイエローYを検出する。一方、図5(B)は、新しいパネルの前半部分を使用して印刷が行われた後のインクリボン4を示す。印刷終了時には、ヘッド位置PhにオーバーコートOP1の中間部分が位置し、センサ位置PsにもオーバーコートOP1が位置した状態で、インクリボン4が停止する。このとき、リボンセンサ8はオーバーコートOPを検出する。したがって、センサ位置PsにあるパネルがオーバーコートOPとイエローYの何れであるかにより、インクリボン4の使用状況を判定することも可能である。
しかしながら、半分未使用のパネルがあるか否かの判定は、センサ位置Psでのパネルの色がオーバーコートかイエローかよりも、シアン(またはマゼンタ)かイエローかにより行うことが好ましい。これは、ユーザがプリンタ1のカバーを開けて一旦リボンローラ4A,4Bを取り外し、再度セットするときにインクリボン4を少し巻き戻すことがよく行われるためである。そこで、この操作について説明するために、プリンタ1のリボンローラ4A,4B周辺の機構を簡単に説明する。
図6(A)および図6(B)は、プリンタ1の引き出し部11を示す概略断面図である。プリンタ1は、プリンタ1の外周を覆う筐体7と、この筐体7内に出し入れ自在に収納される引き出し部11とを備える。図6(A)は引き出し部11を筐体7から引き出した状態を示し、図6(B)は引き出し部11を筐体7に収納した状態を示す。引き出し部11は、プリンタ1の前面12に設けられたオープンレバー(図示せず)を引くことにより、筐体7から引き出される。引き出し部11は、ロール紙ホルダ2や、記録用紙10の排出口6、プラテンローラ9、リボンローラ4A,4Bなどを備える。一方、筐体7は、ヘッド3や、制御部30などを備える。
図7は、リボンローラ4A,4Bのプリンタ1への取付けについて説明するための図である。図7は、リボンローラ4A,4Bと、リボンローラ4A,4Bが取り付けられるリボンカセット20と、前面12とは反対側の後方左方から見た引き出し部11とを示す。リボンローラ4A,4Bは、それぞれのローラ軸14A,14Bをリボンカセット20の四隅に設けられた凹部に載せることにより、回転可能にリボンカセット20に保持される。また、引き出し部11にはガイド部21,22が設けられている。リボンカセット20は、ガイド部21,22に形成された溝内にリボンカセット20の両側壁部を挿入することにより、引き出し部11に固定される。
インクリボン4を交換するとき、ユーザは、引き出し部11を筐体7から引き出し、リボンカセット20を取り外して、リボンローラ4A,4Bを別のものと交換する。このとき、ユーザは、インクリボン4のたわみをなくすなどのために、ローラ軸14A,14Bを回転させて、インクリボン4を少し巻き戻すことがよく行われる。そうした場合、印刷終了時にセンサ位置Psにイエローのパネルがあっても、リボンローラ4A,4Bを交換した後ではセンサ位置Psにオーバーコートのパネルが位置していることがある。このため、図5(A)および図5(B)に示したように、センサ位置Psでのパネルの色がオーバーコートかイエローかにより半分未使用のパネルがあるか否かを判定する場合には、次に説明するように、ユーザが引き出し部11の開閉を行った後で、誤判定が起こる可能性がある。
図8(A)〜図8(D)は、センサ位置Psでのパネルの色がオーバーコートかイエローかにより半分未使用のパネルがあるか否かを判定する場合に起こり得る誤判定を説明するための図である。図8(A)は、半分未使用のパネルがない状態のインクリボン4を示す。領域40は全面使用済みのパネルであり、領域41は全面未使用のパネルである。このとき、センサ位置PsにはイエローのパネルY1がある。図8(B)は、図8(A)に示した状態のときにユーザが引き出し部11を引き出し、インクリボン4を矢印D方向に少し巻き戻して引き出し部11を閉じた場合のインクリボン4を示す。インクリボン4が巻き戻されることにより、センサ位置PsにはオーバーコートのパネルOP0が来る。
図8(B)の状態で次の画像の印刷が指示されると、リボンセンサ8はオーバーコートを検出するため、制御部30は半分未使用のパネルがあると誤判定する。図8(C)は、次の画像の印刷が指示されたときにこの誤判定が起こり、イエローY0の中間部分がヘッド位置Phに来るまでインクリボン4が巻き戻された状態を示す。そして図8(C)の状態で次の画像が印刷されると、使用済みのパネル領域40が再使用される。図8(D)は、領域40が再使用されて次の画像が印刷された状態を示す。領域40の各パネルの矢印C方向に沿った後半部分は画像「B」を印刷するために既に使用されているが、それらの部分を再使用して次の画像「C」が印刷される。
ユーザが引き出し部11の開閉を行わなければ、インクリボン4の停止位置は印刷終了時に停止した位置から変わることがないため、センサ位置Psでのパネルの色がオーバーコートかイエローかにより半分未使用のパネルがあるか否かを判定することができる。しかしながら、実際には、インクリボン4の停止位置は上記のように変わる可能性があるため、イエローの先頭位置からある程度の距離が離れているシアンまたはマゼンタを、判定用の色とすることが好ましい。言い換えると、画像形成の際に最初に転写されるイエロー以外であり、かつ最後に転写されるオーバーコート以外のシアンまたはマゼンタを、判定用の色とすることが好ましい。
パネルが6×8サイズのインクリボン4であれば、ユーザが故意に巻かなければ、もともとイエローのパネルがセンサ位置Psにあった状態からシアンまたはマゼンタのパネルがセンサ位置Psに来た状態までインクリボン4が移動することはないと考えられる。このため、シアンまたはマゼンタを判定用の色とすれば、上記のような誤判定が起こる可能性がより少なくなる。したがって、半分未使用のパネルがあるか否かの判定は、センサ位置Psでのパネルの色がオーバーコートかイエローかよりも、シアン(またはマゼンタ)かイエローかにより行うことが好ましい。
以上説明してきたように、第1の動作例では、6×4サイズの先の画像形成に使用された各パネルに含まれる未使用部分を6×4サイズの新たな画像形成に再使用できるか否かを、リボンセンサ8によりセンサ位置Psで検出されたパネルの色から判定し、再使用ができると判定された場合には、半分未使用のイエローのパネルにおける未使用領域の先頭位置がヘッド位置Phに来るまでインクリボン駆動部34が巻戻し方向にインクリボン4を搬送し、ヘッド3が未使用のパネル領域を使用して新たな画像形成を行う。このように、第1の動作例では、半分未使用のパネルがあるか否かをインクリボン4の停止位置により表すため、プリンタ1は、インクリボンの使用状況を記憶する電子メモリがなくても、半分未使用のパネルを再使用することができる。したがって、プリンタ1は、上記の構成を備えない場合よりも単純化した構造で、パネルに生じ得る無駄を抑えることが可能になる。
次に、プリンタ1の第2の動作例について説明する。従来のプリンタには、6×8サイズのリボンを使用して、1回の印刷で6×4サイズを2面分印刷し、排出時に6×4サイズでカットして排出する機能がある。図9(A)および図9(B)は、従来のプリンタのこのような動作例を説明するための図である。
図9(A)は、従来のプリンタ60で6×8サイズのパネルに6×4サイズの画像を2枚割り付けて、2面印刷を行う場合の例を示す。この例では、ホストコンピュータ50を介してユーザが、6×4サイズの画像Aと画像Bを2面印刷する指示をプリンタ60に送信する。ホストコンピュータ50は、6×4サイズの2枚の画像データを1枚の画像データに合成し、6×8サイズにしてプリンタ60に送信する。一方、プリンタ60には、6×8サイズのインクリボン4がセットされている。プリンタ60は、合成された画像データを受信し、それを1枚の画像データとし、6×8サイズのパネルの全面を使用して一度に印刷する。そしてプリンタ60は、2面印刷された画像を画像Aと画像Bの2枚にカットして排出する。
図9(B)は、従来のプリンタ60で6×8サイズのパネルを使用し、2面印刷を行わずに6×4サイズの画像を2枚印刷する場合の例を示す。この例では、ホストコンピュータ50を介してユーザが、画像Aと画像Bを印刷する指示をプリンタ60に送信する。ホストコンピュータ50は、6×4サイズの2枚の画像データを別々にプリンタ60に送信する。一方、プリンタ60は、画像データを順次受信し、6×8サイズのパネルの前半部分を使用し、まず画像Aを印刷して排出する。続いてプリンタ60は、新たなパネルを使用し、画像Bを印刷して排出する。
プリンタ60では、複数枚の画像を印刷するときにインクリボン4の無駄を減らすためには、ユーザが、ホストコンピュータ50に印刷指示を入力するたびにプリンタ60のインクリボン4のパネルサイズを確認し、印刷すべき画像の6×4サイズより大きな6×8サイズのインクリボン4がセットされていれば、2面印刷を選択する必要がある。2面印刷ができる場合に2面印刷を選択せずに6×4サイズの印刷を指示すると、6×8サイズの各パネルを半分ずつ使用して6×4サイズの画像を1枚ずつ印刷するという無駄が生じる。例えば6×4サイズの画像を10枚印刷する場合には、2面印刷が選択されれば6×8サイズの各パネルの消費量は5枚で済むが、単に6×4サイズの印刷が指示されると各パネルの消費量は10枚に増える。
そこでプリンタ1の第2の動作例では、プリンタ1は、ホストコンピュータ50からパネルの6×8サイズの半分以下である6×4サイズの画像データを通信インタフェース36により受信した後、次の画像データを受信するまで、例えば5秒間など予め定められた一定時間待機する。そしてホストコンピュータ50から送られて来た同じ6×4サイズの次の画像データをその一定時間内に受信した場合には、先に受信された画像データと合わせて、6×8サイズのパネルの全面を使用し、6×4サイズの2面印刷を行う。一方、ホストコンピュータ50から画像データを受信した後、一定時間内に同じ6×4サイズの次の画像データを受信しなかった場合には、プリンタ1は、6×4サイズの先の画像データの印刷を開始する。なお、第2の動作例の場合、リボンセンサ8としては、透過型カラーセンサと透過型赤外線センサのどちらを用いてもよい。
図10(A)および図10(B)は、プリンタ1の第2の動作例を説明するための図である。図10(A)は、プリンタ1で6×8サイズのパネルに6×4サイズの画像を2枚割り付けて、2面印刷を行う場合の例を示す。この例では、ホストコンピュータ50を介してユーザが、画像Aと画像Bを印刷する指示をプリンタ1に送信する。プリンタ1では、ユーザは2面印刷する指示を行う必要はない。ホストコンピュータ50は、6×4サイズの2枚の画像データを別々にプリンタ1に送信する。一方、プリンタ1は、画像Aの画像データを受信し、それをデータメモリ31に記憶する。そしてプリンタ1は、タイマ37を用いて、その受信時から次の画像Bの画像データが受信されるまで予め定められた一定時間待機する。図10(A)の例では、プリンタ1は、続いて画像Bの画像データを受信し、それをデータメモリ31に記憶する。するとプリンタ1は、6×8サイズのパネルの全面を使用して、6×4サイズの2枚の画像データを一度に印刷する。そしてプリンタ1は、2面印刷された画像を画像Aと画像Bの2枚にカットして排出する。
図10(B)は、プリンタ1で6×8サイズのパネルを使用し、6×4サイズの画像を1枚印刷する場合の例を示す。この例では、ホストコンピュータ50を介してユーザが、画像Aを印刷する指示をプリンタ1に送信する。ホストコンピュータ50は、6×4サイズの画像Aの画像データをプリンタ1に送信する。一方、プリンタ1は、画像Aの画像データを受信し、それをデータメモリ31に記憶する。そしてプリンタ1は、タイマ37を用いて、その受信時から次の画像データが送られて来るまで予め定められた一定時間待機する。しかしながら、図10(B)の例では印刷を指示された画像は1枚だけなので、一定時間待機しても次の画像データは送られて来ない。このため、一定時間経過後に、プリンタ1は、6×8サイズのパネルの搬送方向に沿った前半部分を使用し、画像Aを印刷して排出する。なお、図示しないが、このときパネルの搬送方向に沿った後半部分を使用してもよい。
図11は、プリンタ1の第2の動作例を示したフローチャートである。図11に示したフローは、制御部30内のROMに予め記憶されたプログラムに従って、制御部30内のCPUにより実行される。プリンタ1には6×8サイズのインクリボン4がセットされているとする。
プリンタ1は、まず、ホストコンピュータ50から印刷指示および印刷対象の画像データを受信する(S31)。プリンタ1は、その画像データをデータメモリ31に保持する。すると制御部30は、その画像データが6×4サイズであるか否かを判定する(S32)。例えば6×8サイズなど、画像データが6×4サイズでない場合(S32でNo)は、新たな6×8サイズのパネルの全面を使用して、ヘッド3が記録用紙10上にその画像を印刷する(S33)。画像形成処理は既に述べたものと同様であるため、詳しい説明は省略する。なお、6×8サイズのパネルより大きなサイズの画像データであった場合にはエラー処理が行われる(図示せず)。
画像データが6×4サイズである場合(S32でYes)は、その画像データの受信後にタイマ37による計測を開始する(S34)。そしてプリンタ1は、タイマ37の計測時間が一定時間(例えば5秒)に達するまで待機する(S35,S36)。一定時間が経過してもプリンタ1が次の(すなわち2枚目の)画像データを受信しない場合(S35でYes)には、データメモリ31に保持されている6×4サイズの画像をヘッド3が記録用紙10上に印刷する(S37)。
一定時間経過する前に次の画像データを受信した場合(S36でYes)には、制御部30は、その画像データが6×4サイズであるか否かを判定する(S38)。例えば6×8サイズなど、2枚目の画像データが6×4サイズでない場合(S38でNo)は、6×8サイズのパネルの前半部分を使用して、まずデータメモリ31に保持されている1枚目の6×4サイズの画像をヘッド3が記録用紙10上に印刷する(S39)。そしてこの1枚目の画像が、記録用紙切断部5によりカットされて排出される(S40)。続いて、新たなパネルを使用して、2枚目の6×8サイズの画像をヘッド3が新たな記録用紙10上に印刷する(S41)。
一方、2枚目の画像データも6×4サイズである場合(S38でYes)は、データメモリ31に保持されている1枚目の6×4サイズの画像データと合わせて、6×8サイズのパネルの全面を使用し、ヘッド3が記録用紙10上に6×4サイズの2面印刷を行う(S42)。次に記録用紙切断部5は、2面印刷された画像を6×4サイズの2枚にカットする(S43)。最後に、S33、S37、S41またはS43で得られた画像が排出される(S44)。以上で、プリンタ1は動作を終了する。
以上説明してきたように、第2の動作例では、ホストコンピュータ50から6×4サイズの1枚目の画像データを受信した後予め定められた時間内に6×4サイズの2枚目の画像データを受信した場合に、1枚目および2枚目の画像データをインクリボン4の同じパネル内に割り付けて、記録用紙10上に1枚目および2枚目の画像データの画像を形成する。これにより、画像サイズがパネルサイズの半分以下の画像を印刷する場合に、ユーザが2面印刷を指示しなくても、イエロー、マゼンタ、シアンおよびオーバーコートの1組のパネルを用いて2枚の画像の印刷を行うことができる。例えば、プリンタ1に6×8サイズのインクリボン4がセットされており、ユーザが6×4サイズの印刷を指示した場合に、画像データが続けて送信されて来たときは、自動的に6×4サイズの2面印刷を行うことが出来る。したがって、プリンタ1は、上記の構成を備えない場合よりもユーザにとって容易な操作で、パネルに生じ得る無駄を抑えることが可能になる。
次に、プリンタ1の第3の動作例について説明する。第3の動作例は、第1の動作例と第2の動作例を組み合わせたものである。具体的には、第2の動作例においてホストコンピュータ50から6×4サイズの画像データを受信した後、一定時間内に同じ6×4サイズの次の画像データを受信しない場合、先の6×4サイズの画像を印刷するときに、半分未使用のパネルがあるか否かをリボンセンサ8の検出結果から判定する。そして、半分未使用のパネルを再使用できると判定された場合には、半分未使用のイエローのパネルにおける未使用領域の先頭位置がヘッド位置Phに来るまでインクリボン4を巻き戻し、その半分未使用のパネル領域を使用して先の6×4サイズの画像を印刷する。すなわち、図11に示した第2の動作例のS37とS39にて6×4サイズの画像を印刷する際に、図4(B)に示した第1の動作例を適用する。なお、第3の動作例では、リボンセンサ8として透過型カラーセンサを用いる。
第1の動作例では、6×4サイズの画像を何枚も印刷する場合に、半分未使用のパネルが生じるたびにインクリボン4を巻き戻して印刷する動作が繰り返される。これに対し、第3の動作例では、一定時間内に6×4サイズの画像データを2枚分受信するごとに、インクリボン4を巻き戻すことなくそれらの画像が2面印刷される。したがって、第3の動作例では、6×4サイズの画像を何枚も印刷する場合に、印刷速度を向上させながら、インクリボン4を効率よく消費することが可能になる。また第2の動作例では、ホストコンピュータ50から6×4サイズの画像データを受信した後、一定時間内に同じ6×4サイズの次の画像データを受信しない場合、先の6×4サイズの画像は新たなパネルを使用して印刷される。これに対し、第3の動作例では、その場合でも、半分未使用のパネルがある場合には、インクリボン4を巻き戻し、その半分未使用のパネルにおける未使用領域を使用して先の6×4サイズの画像が印刷される。したがって、第3の動作例では、第2の動作例よりもインクリボン4を効率よく消費することが可能になる。