JP5960381B2 - マンノオリゴ糖の製造方法 - Google Patents
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Description
(1)コーヒー抽出残渣を揮発性の酸を含む溶液に懸濁し、コーヒー抽出残渣を1.0〜40%(w/w)で含む懸濁液を調製する工程;
調製した懸濁液を150〜190℃で2〜20分間加熱する工程;および
加熱後の懸濁液から残渣を除去して水溶液を得る工程;
を含むマンノオリゴ糖含有物の製造方法。
(2)揮発性の酸は、酢酸またはギ酸である、(1)に記載の方法。
(3)溶液中の酢酸の濃度は、0.1〜10.0%(v/v)である、(2)に記載の方法。
(4)溶液中のギ酸の濃度は、0.05〜1.0%(v/v)である、(2)に記載の方法。
(5)懸濁液の加熱は、160〜190℃で5.0〜17.5分間行う、(1)〜(4)のいずれか1に記載の方法。
(7)マンノオリゴ糖含有物中のフルフラール含量が、3.0%(w/w)以下である、(1)〜(6)のいずれか1に記載の方法。
(8)(1)〜(7)のいずれか1に記載の方法により製造された、マンノオリゴ糖含有物。
(9)(8)に記載のマンノオリゴ糖含有物を配合した、呈味改善作用、血清脂質改善作用、過酸化脂質上昇抑制作用、腸内有用菌増殖促進作用、抗う蝕作用、または免疫賦活作用を有する、食品、飼料または化粧品。
(10)(8)に記載のマンノオリゴ糖含有物を配合した、呈味改善作用、血清脂質改善作用、過酸化脂質上昇抑制作用、腸内有用菌増殖促進作用、抗う蝕作用、または免疫賦活作用を有する、医薬組成物。
本明細書において、マンノオリゴ糖とは、少なくとも1分子以上のマンノースを構成糖に含むオリゴ糖である。例えば、マンノースを構成糖に含む単糖が2〜20分子結合したものであり、好ましくはマンノースを構成糖に含む単糖が2〜15分子結合したものであり、より好ましくはマンノースを構成糖に含む単糖が2〜10分子結合したものである。マンノオリゴ糖の構成糖に占めるマンノースの割合は、限定されないが、構成糖の30%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、特に好ましくは90%以上である。例えば、コーヒー由来のマンノオリゴ糖の大部分は、マンノースのみから構成される。
本明細書において、コーヒー抽出残渣とは、コーヒー飲料の調製において、コーヒー豆をドリップ抽出した後の、いわゆる出がらしであればよく、乾燥の有無、コーヒー豆の種類、焙煎度、および抽出の度合いなどに影響されることなく用いることができる。一態様として、コーヒー残渣は、焙煎し、ミル等で粉砕したコーヒー豆を市販のペーパーフィルター等に入れ、適量の熱湯(たとえば90〜98℃)を注ぎ入れてコーヒー豆から熱水可溶性画分を除くことによって得ることができる。
(i)懸濁液中のコーヒー抽出残渣の濃度が1.0〜10.0%(w/w)の場合、酢酸濃度を0.1〜5.0%(v/v)、好ましくは0.2〜2.0%(v/v)、より好ましくは0.5〜2.0%(v/v)に設定する。
(I)懸濁液中のコーヒー抽出残渣の濃度が1.0〜10.0%(w/w)の場合、ギ酸濃度を0.05〜0.5%(v/v)、好ましくは0.05〜0.3%(v/v)、より好ましくは0.05〜0.2%(v/v)に設定する。
本明細書において、加熱は、懸濁液に熱を加えることが可能であれば、どのような手段を使用してもよい。例えば、一般的なガス炎、電気、または電磁誘導等により反応容器の外部から加熱する外部加熱、または、遠赤外線、マイクロ波、または高周波等による反応器の内部から加熱する内部加熱のいずれを使用してもよい。また、反応容器は、密閉バッチ式、連続式のいずれを使用してもよい。
懸濁液の加熱によって、マンノオリゴ糖が生成し、当該マンノオリゴ糖は揮発性の酸を含む溶液中に可溶化される。加熱後の懸濁液から、例えば、ろ過、遠心分離などの一般的な方法により、不溶性の残渣を分離し、水溶液を得ることができる。当該水溶液は、マンノオリゴ糖含有物に相当し、必要に応じて凍結乾燥、スプレードライ等の一般的な濃縮操作に供することによって、マンノオリゴ糖含有物のシロップ、乾燥粉末を調製することができる。
マンノオリゴ糖含有物中のマンノオリゴ糖の分析および測定には、特に限定されないが、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いることができる。一態様として、以下のような条件で測定することができる。
検出器: 示差屈折計(RI検出器);
カラム温度: 80℃;
移動相: 超純水;
溶出条件: 定組成
流速: 0.3mL/min.
上記の条件で分離された試料中のオリゴ糖のうち、より長鎖のオリゴ糖も存在するが明らかに定量可能な2〜5糖に相当するピークをマンノオリゴ糖とし、これらピークの面積の合計値を算出する。一方、マンノース標品を同様に分析し、ピーク面積を算出する。2〜5糖のピーク面積の合計値を、マンノース標品のピーク面積値で割ることによって、試料中のマンノオリゴ糖を定量することができる。本明細書中に記載されたマンノオリゴ糖の定量値は、特段の記載がある場合を除き、当該方法によって得られたものである。
フルフラールの含量は、特に限定されないが、例えば、市販のフルフラールをHPLCを用いて作成した検量線から算出することができる。一態様として、以下のような条件で測定することができる。
検出器: 紫外検出器(測定波長:280nm);
カラム温度: 25℃;
移動相: 超純水(A)、メタノール(B);
溶出条件: 0〜1分(A:B=90:10),1〜10分(A:B=90:10→60:40(B=10%/3分上昇))。
マンノオリゴ糖含有物およびマンノオリゴ糖は、呈味改善作用、血清脂質改善作用、過酸化脂質上昇抑制作用、腸内有用菌増殖促進作用、抗う蝕作用、または免疫賦活作用を発揮することが可能である。そして、本発明の方法によって製造されるマンノオリゴ糖は、フルフラール含量が低いという特性を有しているため、従来品と比べて安全性の観点からより好ましい。したがって、当該マンノオリゴ糖を食品、飼料、化粧品、または医薬組成物に配合させれば、安全性のより高められた食品、飼料、化粧品、または医薬組成物を得ることができる。
本発明によれば、コーヒー抽出残渣からマンノオリゴ糖を高い収率で製造することが可能になるだけでなく、フルフラールの前駆体となり得るアラビノガラクタン等を予め除去するための前処理工程や、生成したフルフラールを除去するための活性炭または吸着樹脂などを使用する工程などを設けることなく、フルフラールの生成を抑制することができる。さらには、フルフラール除去工程に由来する廃液が発生することもない。
[試験例1]
マンノオリゴ糖の収量およびフルフラールの含量を指標として、揮発性の酸としての酢酸濃度、および懸濁液の加熱温度について検討を行った。
[ろ液中に存在する、コーヒー抽出残渣由来成分の量]=[コーヒー抽出残渣の乾燥重量]−[凍結乾燥した、残渣の重量]
すなわち、ろ液中に存在する、コーヒー抽出残渣由来成分の量は、マンノオリゴ糖含有物の収量に相当する。
[試験例2]
マンノオリゴ糖の収量およびフルフラールの含量を指標として、揮発性の酸としてのギ酸濃度、および懸濁液の加熱温度について検討を行った。
マンノオリゴ糖の収量の観点からは、加熱温度は150℃以上にする必要があるが、180℃付近が好適な加熱温度であると考えられる。そして、フルフラール含量と加熱温度は相関する傾向が示唆されることから、加熱温度をできるだけ低く設定することは、フルフラール含量を低下させる観点から好ましい。すなわち、マンノオリゴ糖の収量およびフルフラール含量の両方の観点から、揮発性の酸としてギ酸を用いる場合には、加熱温度180℃付近が好ましいと考えられる。
[試験例3]
試験例1において、揮発性の酸として酢酸を用いる場合には、酢酸濃度1.0%(v/v)でマンノオリゴ糖の収量が最も高いことが示された。本試験例では、懸濁液の加熱時間および温度を詳細に検討した。
[試験例4]
試験例2において、揮発性の酸としてギ酸を用いる場合には、ギ酸濃度0.1%(v/v)でマンノオリゴ糖の収量が最も高いことが示された。本試験例では、懸濁液の加熱時間および温度を詳細に検討した。
[試験例5]
コーヒー抽出残渣の懸濁液中の濃度と、揮発性の酸としての酢酸の濃度について検討した。
[試験例6]
コーヒー抽出残渣の懸濁液中の濃度と、揮発性の酸としてのギ酸の濃度について検討した。
Claims (7)
- コーヒー抽出残渣を揮発性の酸を含む溶液に懸濁し、コーヒー抽出残渣を1.0〜40.0%(w/w)で含む懸濁液を調製する工程;
調製した懸濁液を150〜190℃で2〜20分間加熱する工程;および
加熱後の懸濁液から残渣を除去して水溶液を得る工程;
を含むマンノオリゴ糖含有物の製造方法であって、
当該マンノオリゴ糖は1分子以上のマンノースを構成糖として有する、前記製造方法。 - 揮発性の酸は、酢酸またはギ酸である、請求項1に記載の方法。
- 溶液中の酢酸の濃度は、0.1〜10.0%(v/v)である、請求項2に記載の方法。
- 溶液中のギ酸の濃度は、0.05〜1.0%(v/v)である、請求項2に記載の方法。
- 懸濁液の加熱は、160〜190℃で5.0〜17.5分間行う、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- マンノオリゴ糖の収量は、コーヒー抽出残渣1.0gあたり20mg以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- マンノオリゴ糖含有物中のフルフラール含量が、3.0%(w/w)以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
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