JP5481746B2 - フロクマリン類の含有量を低減したイチジクの製造方法 - Google Patents

フロクマリン類の含有量を低減したイチジクの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、イチジクを加工処理する方法に関するものである。
イチジクは、アラビア南部を原産地とするクワ科の植物であり、単に飲食用だけでなく、古くから薬用植物としても利用されている(非特許文献1参照)。また近年の研究では、イチジクは、血糖値の降下作用、降血圧作用、抗がん作用、及び免疫力を高める作用等を有することも明らかとなっている(非特許文献2参照)。
レイ・タナヒル(Reay Tannahill)著、栗山 節子訳、「美食のギャラリー(The Fine Art of Food)」、東京、八坂書房、2008年11月25日、p12-18 梁 晨千鶴著、「東方栄養新書」、京都、メディカルユーコン、2005年、p70−71
飲食用や薬用としても有用なイチジクではあるが、成分としてフロクマリン類を含んでいる。このフロクマリン類はそれを摂取あるいは皮膚に付着することによって、紅斑、色素沈着、びらんの症状を呈する光毒性接触皮膚炎を発症したり、あるいは薬物の副作用が増大して健康被害を招く場合がある。これは、フロクマリン類が、光増感剤として作用する、あるいはある種の薬物代謝酵素の働きを阻害することが原因であると考えられている。実際に、イチジク葉を揉み出した水で行水を行って、上記症状を伴う光毒性接触皮膚炎を発症した例が報告されている(谷 守、「化学物質による皮膚障害 36 植物による光毒性接触皮膚炎」、医薬ジャーナル38巻、2002年、p2398−2405)。
従って本発明の目的は、光毒性接触皮膚炎等の光による皮膚疾患の発症や、薬物の副作用を増大させる虞のないイチジクを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係る第1特徴構成は、イチジクを95℃〜100℃の蒸気で加熱する加熱工程と、前記加熱工程で加熱したイチジクの温度を35℃〜60℃に維持して撹拌又は揉捻しながら乾燥する第1乾燥工程と、前記第1乾燥工程で乾燥したイチジクを、55℃〜65℃で乾燥する第2乾燥工程とを包含する点にある。
〔作用及び効果〕
本発明によれば、イチジクに含まれるフロクマリン類が分解又は揮発・散逸されてその含有量が大幅に低減されるため、光毒性接触皮膚炎等の光による皮膚疾患の発症や、薬物の副作用を増大させる等の健康被害をもたらす虞のないイチジクを製造することができる。
本発明に係る第2特徴構成は、イチジクを40℃〜60℃で保温する保温工程と、前記保温工程で保温したイチジクを95℃〜100℃で加熱する加熱工程と、前記加熱工程で加熱したイチジクの温度を35℃〜60℃に維持して攪拌しながら乾燥する第1乾燥工程と、前記第1乾燥工程で乾燥したイチジクを、55℃〜65℃で乾燥する第2乾燥工程とを包含する点にある。
〔作用及び効果〕
フロクマリン類は、フロクマリン関連配糖体が加水分解されることによっても生成され得る。そのため、イチジクがフロクマリン関連配糖体を含む場合、例えフロクマリン類の含有量を低減したとしても、フロクマリン関連配糖体が加水分解されれば、再びフロクマリン類が生成されることになり、摂取したヒトに対して健康被害をもたらす虞がある。
本発明では、保温工程によってあえてフロクマリン関連配糖体の加水分解を促してフロクマリン類を生成させて、その後の加熱工程、第1及び第2乾燥工程においてフロクマリン類の含有量を低減させるように構成されている。
従って、本発明によれば、イチジクに含まれるフロクマリン関連配糖体及びフロクマリン類の両方の含有量を大幅に低減してより安全なイチジクを製造することができる。
本発明に係る第3特徴構成は、前記第1乾燥工程後のイチジクの含水率が12%〜30%である点にある。
〔作用及び効果〕
第1乾燥工程は、イチジクの組織内の水の分布を均一にならしつつ、熱を加えて除々に乾燥させることにより、次の第2乾燥工程での乾燥の効率を高め、且つイチジクの組織全体が同じ水分となるようにすることを目的とする。
第1乾燥工程後のイチジクの含水率が12%〜30%であれば、この範囲よりも高い含水率を有する場合と比べて、第2乾燥工程における乾燥時間が短くて済み、風味の劣化を防止することができると共に、イチジク組織内の水分にバラツキが生じ難いので、カビも繁殖し難い(部分的に水分の多い場所があると、そこはカビが繁殖しやすくなり、品質保持上好ましくない)。
本発明に係る第4特徴構成は、前記第2乾燥工程後のイチジクの含水率が4%〜5%である点にある。
〔作用及び効果〕
第2乾燥工程後のイチジクの含水率が4%〜5%であれば、処理後のイチジクにおいて風味劣化が生じ難く、尚且つカビの繁殖も防止されるため、品質保持効果に優れる。
本明細書中において使用される用語について説明する。
(イチジク)
本発明に適用されるイチジク(Ficus carica L.)とは、アラビア南部を原産地とするクワ科の植物であり、その果実、葉、茎、根等が本発明の適用対象となる。
本発明に適用可能なイチジクの品種としては、例えば、「桝井ドーフィン」、「蓬莱柿」、「ヌアール・ド・カロン」、「ホワイト・イスキア」、「ネグローネ」、「ブランスウィック」、「ブルジャソット・グリス」、「テマリイチジク」、「ポルトガロ」、「ビオレ・ソリエス」、「ブラウン・ターキー」、「シュガー」、「アーテナ」、「セレスト」、「ホワイト・ゼノア」、「ポー・デュール」、「カリフォルニア・ブラック」、「フィグ・ド・マルセイユ」、「カドタ」、「ネグロ・ラーゴ」、「プレコス・ロンデ・ド・ボルドー」、「グリース・セント・ジャン」、「グリーズ・ビール」、「アイーダ」、「ミッション」、「グリスト・ジーン」、「グット・ドール」、「ベローネ」、「早生ドーフィン」、「ロンデ・ド・ボルドー」、「ダルマティー」、「アーチペル」、「リサ」、「ショート・ブリッジ」、「デザート・クイーン」、「サンピエトロ」、「サルタン」、「パスティエ」等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(フロクマリン類)
フロクマリン(furocoumarine)類とは、フラン環が縮合したクマリン誘導体の総称である。フロクマリン類は、セリ科、ミカン科、マメ科、クワ科、キク科、オトギリソウ科等の植物に多く含まれる。フロクマリン類に属する化合物としては、例えば、プソラレン(psoralen)、ベルガプテン(bergapten)、キサントトキシン(xanthotoxin)、イソピンピネリン(isopimpinellin)、ベルガモチン(bergamottin)、ジヒドロキシベルガモチン(dihydroxybergamottin)等が挙げられる。
フロクマリン類は、抗菌作用や、植物を食べる昆虫の消化を妨げる作用を有しており、植物の防御機構を担う物質の一つと考えられているが、後述するように、フロクマリン類を摂取又は接触したヒトにおいていくつかの健康被害をもたらす場合がある。
例えば、プソラレンが皮膚に付着した状態で日光(紫外線)を浴びると、日焼けの度合いが強くなったり、シミが生じたり、さらには光毒性接触皮膚炎を発症させる場合がある(谷 守著、「化学物質による皮膚障害 36 植物による光毒性接触皮膚炎」、医薬ジャーナル、2002年、38、p2398−2405)。これは、フロクマリン類は、自らが光を吸収して得たエネルギーを他の物質に渡すことで、反応や発酵のプロセスを促進させる、いわゆる光増感作用を有するためであると考えられている。
また、ベルガモチンやジヒドロキシベルガモチンと共にある種の薬物を摂取したとき、その薬物の副作用を増大させてしまう場合がある。これは、ベルガモチンやジヒドロキシベルガモチンが、小腸上皮細胞に存在する薬物代謝酵素(CYP3A4)の機能を阻害するためであると考えられている。CYP3A4には、ある種の薬物をある程度代謝して不活性化することによって循環血液中に移行する薬物量を少なくする働きがある。そのため、ベルガモチンやジヒドロキシベルガモチンによってCYP3A4の機能が阻害されると、CYP3A4による薬物の不活性化が妨げられて、循環血液中に移行する薬物量が多くなり、結果として薬物が効き過ぎて副作用を増大させてしまうこととなる。
尚、フロクマリン類を経口摂取した場合の許容量については、必ずしも全てのフロクマリン類について明確な知見が得られてはいないが、ベルガプテン及びキサントトキシンのヒトに対する許容量を調べた研究によると、一度に15mg以上摂取して紫外線を浴びると光毒症を発症する虞があり、10mg以下であれば発症する可能性は低いとの報告がある(Schlatter,J.,Zimmerli,B.,Dick,R,Panizzon,R.and Schlatter,Ch.、「Dietary Intake and Risk Assessment of Phototoxic Furocoumarins in Humans」、Food Chem.Toxicology、1991、29(8)、p523−530)。
(フロクマリン関連配糖体)
本発明におけるフロクマリン関連配糖体とは、加水分解を受けることでフロクマリン類を生じる物質を意味するものであり、例えば、イソプソラル酸グルコシド(以下、IPGと称する)、及びイソプソラル酸グルコシドにメトキシル基が一つ付加された以下の〔化1〕に示された化合物(以下、mIPGと称する)等が挙げられる(笠島直樹、古武孝仁、塩田澄子、金田幸、「日本生薬学会 第55回年会 長崎2008 講演要旨集 (薬用植物資源の研究 クワ科植物イチジク(Ficus carica)葉部の成分(第1報))」、日本生薬学会、平成20年9月19日・20日、p238)。
Figure 0005481746
尚、IPGは漢方薬素材「補骨脂」の原料になるマメ科植物のオランダヒユ類(Psoralea corylifolia L.)の種子にも含まれており、加水分解されるとプソラレンを生じる(Qiao,C.−F.,Han,Q.−B.,Mo,S.−F.,Song,J.−Z.,Xu,L.−J.,Chen,S.−L.,Yang,D.−J.,Kong,L.−D.,Kung,H.−F. and Xu,H.−X.、「Psoralenoside and Isopsoralenoside, Two New Benzofuran Glycosides from Psoralea corylifolia」、Chem.Pharm.Bull、2006、54(5)、p714―716)。また、mIPGが加水分解されると、ベルガプテンを生じると推定される。
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
本発明の第1実施形態は、イチジクの果実、葉、茎、根等をそのままか、あるいは処理効果を上げるために所定の大きさに刻んで小さくしたものを、95℃〜100℃の蒸気で加熱する加熱工程と、前記加熱工程で加熱したイチジクの温度を35℃〜60℃に維持して攪拌しながら乾燥する第1乾燥工程と、前記第1乾燥工程で乾燥したイチジクを、55℃〜65℃で乾燥する第2乾燥工程とを包含するものである。
加熱工程は、イチジクに対して、95℃〜100℃の蒸気、より好ましくは99℃〜100℃の蒸気を所定時間(例えば、0.5分間〜10分間)供給して実施される。加熱処理が終わった後は、イチジクを速やかにむらなく室温程度(34℃以下)に冷却することが望ましい。
第1乾燥工程では、上記加熱工程後のイチジクに70℃〜100℃の温風を当てる、もしくは50℃〜70℃に加熱された焙炉上に置く、もしくは70℃〜100℃のプレート上に置く、ことによりイチジクの温度を35℃〜60℃、より好ましくは35℃〜45℃に維持しつつ、所定時間(例えば、25分〜40分)攪拌又は揉捻しながら乾燥させる。尚、この攪拌操作は、特に限定されるものではないが、例えば、茶葉の製造工程における揉捻作業(手又は機械で葉を圧縮したり捻ったりする作業)を参考にして実施しても良い。この工程により、イチジクに付着した水分が移動して、イチジク全体が効率良く均一に乾燥する。第1乾燥工程後のイチジクの含水率は12%〜30%であることが望ましい。
第2乾燥工程では、第1乾燥工程で乾燥したイチジクに、55℃〜65℃の温風、より好ましくは55℃〜60℃の温風を当てて所定時間(例えば、120分〜300分)乾燥させる。尚、この工程では、イチジクの色や香りが変化するのを防ぐために、高温(80℃以上)での乾燥は避けるべきである。第2乾燥工程後のイチジクの含水率は4%〜5%であることが望ましい。
本実施形態によれば、後述する実施例1に示されるように、イチジクに含まれるフロクマリン類が分解されてその含有量が元の量のおよそ10%〜60%程度にまで大幅に低減されるため、光毒性接触皮膚炎等の光による皮膚疾患の発症や、薬物の副作用を増大させる等の健康被害をもたらす虞のないイチジクを製造することができる。
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
本発明の第2実施形態は、イチジクの果実、葉、茎、根等をそのままか、あるいは処理効果を上げるために所定の大きさに刻んで小さくしたものを、40℃〜60℃で保温する保温工程と、前記保温工程で保温したイチジクを95℃〜100℃で加熱する加熱工程と、前記加熱工程で加熱したイチジクの温度を35℃〜60℃に維持して攪拌しながら乾燥する第1乾燥工程と、前記第1乾燥工程で乾燥したイチジクを、55℃〜65℃で乾燥する第2乾燥工程とを包含するものである。
保温工程では、イチジクを40℃〜60℃、より好ましくは45℃〜55℃で所定時間(例えば、1時間〜4時間)保温する。この工程によって、イチジクに含まれるフロクマリン関連配糖体の加水分解が促されてフロクマリン類が生成される。尚、この保温工程は、イチジクをポリエチレン等の袋に入れて、その口を完全には密封せずある程度のガス交換ができるように隙間をあけた状態で実施すると良い。
保温処理したイチジクについて、加熱工程、第1及び第2乾燥工程を実施するが、これらの工程は、上述の第1実施形態と同様に実施されるものであるため説明を省略する。
本実施形態では、保温工程によってあえてフロクマリン関連配糖体の加水分解を促してフロクマリン類を生成させて、その後の加熱工程、第1及び第2乾燥工程においてフロクマリン類を低減(分解又は揮発・散逸)するように構成されている。
従って、本実施形態によれば、イチジクに含まれるフロクマリン関連配糖体及びフロクマリン類の両方の含有量を大幅に低減してより安全なイチジクを製造することができる。
以下、本発明の実施例について説明する。
上記第1実施形態に係る製造方法を、5品種のイチジク(桝井ドーフィン、テマリイチジク、ダルマティー、プレコス・ロンデ・ド・ボルドー、ネグローネ)のそれぞれの葉に対して実施した。次いで、製造方法を実施していない未処理の生葉、及び製造方法を実施した処理葉におけるプソラレン及びベルガプテンの含有量を測定して比較した。
(実験方法)
1.葉の採取
(1)イチジク樹より新梢先端付近の葉を採取した。
(2)一部を分析用試料としておよそ2センチ角に刻み、4gずつポリエチレン袋に密封し、冷凍保存した。
2.製造処理(製造処理は葉の採取当日に行った。)
(1)およそ2センチ角に刻んだ葉をザルに入れ、蒸籠で4分間蒸煮した(加熱工程)。
(2)ホットプレート天板にクラフト紙を敷き、その上に蒸した葉を移した。
(3)70℃〜100℃程度に加熱したホットプレート上で、手作業で葉を25分〜40分揉捻した(第1乾燥工程)。このときの葉の温度は、40℃〜45℃であった。
(4)揉捻後の葉をザルに入れて、そのまま送風式乾燥器に入れ、60℃で4時間乾燥させた(第2乾燥工程)。
(5)乾燥後、直ちにアルミ箔をラミネートした樹脂フィルム袋で密封包装し、冷凍保存した。
3.成分の抽出方法
(1)生葉は凍結乾燥した後に、処理葉はそのまま粉砕して、それぞれ0.2gを三角フラスコに入れ、30mLの抽出溶媒(水1重量部とメタノール3重量部を混合したもの)を加えた。
(2)室温で3時間、毎分120回転で円運動で振とうしながら抽出した。
(3)毎分12000回転で10分間遠心し、上清を回収した。
(4)残渣に抽出溶媒を10mL加えて撹拌し、再び毎分12000回転で10分間遠心し、上清を回収した。
(5)上記(4)の操作をもう一度繰り返した。
(6)回収した上清を合わせて50mLに定容した。
(7)適宜水で希釈し、ポアサイズ0.45μmのメンブランフィルターで濾過して分析用試料を得た。
4.成分の分析方法
(1)分析用試料の5μL(マイクロリットル)を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)装置に注入して検出・定量した。
(2)HPLCの分析条件は以下の通りとした。
(a)カラム:Phenomenex社のSynergi Hydro−RP、粒子径2.5μm、内径3.0mm×長さ100mm
(b)移動相A:2%酢酸
(c)移動相B:0.5%酢酸とアセトニトリルを1:1の割合で混合したもの
(d)移動相の流速:毎分0.4mL
(e)移動相グラジエント:分析時間に応じて、移動相Bの比率を以下の通りに変化させた。分析開始時:10%、8分後:24%、16分後:30%、24分後:55%、30分後:100%、33.2分後まで:100%、34分後:10%、36分後(分析終了)まで:10%。
(f)カラム温度:40℃
(g)成分の検出:吸光度検出器により波長250nmの吸光度を測定した。
(h)ピーク成分の同定:プソラレン、ベルガプテンは保持時間が標準物質のデータと一致することで同定した。プソラレンは28分付近、ベルガプテンは31分付近に現れるピークとして検出される。
(i)ピーク成分の定量:標準物質を用いて作成した検量線に基づいて定量した。
5.結果
イチジク5品種の生葉と処理葉におけるプソラレン及びベルガプテンの定量結果を以下の表1に示す。尚、単位(mg/g DW)は乾物1g当たりの重量(mg)であり、DWは乾燥重量を意味する。
Figure 0005481746
処理葉におけるプソラレンの含有量は、生葉の含有量の11%〜19%程度にまで減少した。ベルガプテンはプソラレンと比較して元々の含有量がわずかであったが、それでも本発明を実施することによって生葉の含有量の26%〜60%程度にまで減少した。従って、本発明によれば、イチジクにおけるフロクマリン類の含有量が顕著に低減する。
上記第2実施形態に係る製造方法を、桝井ドーフィンの葉に対して実施した。
収穫直後の桝井ドーフィンの生葉をポリエチレン袋で包装して55℃で3時間保持して保温工程を実施した。次いで、保温工程を実施していない未処理の生葉、及び保温工程を実施した処理葉におけるプソラレン及びIPGの含有量を測定して比較した。尚、プソラレンの抽出方法は、上記実施例1における「3.成分の抽出方法」と同様に行い、IPGの抽出方法は、上記実施例1における「3.成分の抽出方法」において抽出溶媒をメタノール(100%)に替えて実施した。分析方法は、上記実施例1における「4.成分の分析方法」と同様に行い、IPGは11分付近に現れるピークとして検出された。
桝井ドーフィンの生葉と処理葉におけるプソラレン及びIPGの定量結果を以下の表2に示す。
Figure 0005481746
表2に示すように、保温工程によって、IPGが完全に消失した。一方、プソラレンは少し増えており、これはIPGの加水分解によって生じたものが加算されたものと考えられる。
次に、上記保温工程を実施していない未処理の桝井ドーフィンの生葉、及び上記保温工程を実施した桝井ドーフィンの処理葉のそれぞれに対して上記実施例1における「2.製造処理(加熱工程、第1乾燥工程、第2乾燥工程)」を実施し、プソラレン及びIPGの含有量を測定して比較した。それぞれの葉1gを100mLのお湯(80℃)に入れて3分間静置して浸出させてプソラレン及びIPGを抽出した。分析方法は、上記実施例1における「4.成分の分析方法」と同様に実施した。加熱工程、第1乾燥工程、及び第2乾燥工程を実施した通常処理葉、並びに保温工程、加熱工程、第1乾燥工程、及び第2乾燥工程を実施した保温処理葉におけるプソラレン及びIPGの定量結果を以下の表3に示す。
Figure 0005481746
表3に示すように、保温処理葉は、通常処理葉に比べて、IPGが完全に消失した。一方、プソラレン含量はやや高くなったものの、元の生葉よりは減少していた。
本発明のイチジクの製造方法は、光による皮膚疾患の発症や、薬物の副作用を増大させる等の健康被害をもたらす虞のないイチジク茶葉及びその抽出物(お茶)の製造等に利用することができる。

Claims (4)

  1. イチジクを95℃〜100℃の蒸気で加熱する加熱工程と、
    前記加熱工程で加熱したイチジクの温度を35℃〜60℃に維持して攪拌しながら乾燥する第1乾燥工程と、
    前記第1乾燥工程で乾燥したイチジクを、55℃〜65℃で乾燥する第2乾燥工程とを包含するフロクマリン類の含有量を低減したイチジクの製造方法。
  2. イチジクを40℃〜60℃で保温する保温工程と、
    前記保温工程で保温したイチジクを95℃〜100℃で加熱する加熱工程と、
    前記加熱工程で加熱したイチジクの温度を35℃〜60℃に維持して攪拌しながら乾燥する第1乾燥工程と、
    前記第1乾燥工程で乾燥したイチジクを、55℃〜65℃で乾燥する第2乾燥工程とを包含するフロクマリン類の含有量を低減したイチジクの製造方法。
  3. 前記第1乾燥工程後のイチジクの含水率が12%〜30%である請求項1又は2に記載のフロクマリン類の含有量を低減したイチジクの製造方法。
  4. 前記第2乾燥工程後のイチジクの含水率が4%〜5%である請求項1〜3のいずれか1項に記載のフロクマリン類の含有量を低減したイチジクの製造方法。
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