JP5509495B2 - 植物抽出組成物およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、植物体から抽出した機能性成分を含有する植物抽出組成物およびその製造方法に関する。
植物は様々な機能性成分を含んでいる。機能性成分としては例えば抗酸化物質が挙げられる。抗酸化物質とは、活性酸素やフリーラジカルを消去する抗酸化作用を有する物質のことである。例えばβカロテン・ビタミンC・ビタミンE・ポリフェノール類などが抗酸化物質として知られている。
イチジクの葉にはポリフェノールの一種であるルチンやクロロゲン酸が含まれている事が知られている(非特許文献1)。また、抗酸化物質であるカフェリンゴ酸はイラクサやレタスなどの少数の植物に含まれていることが知られている(非特許文献2,3)。カフェリンゴ酸は抗酸化能だけではなく、アセチルコリン(ACh)に誘導される痙攣を穏やかに鎮める効果(非特許文献4)や、喘息のようなアレルギー症状に効果があることが示唆されている(非特許文献5)。
機能性成分としては、その他にイソプソラル酸グルコシド(Isopsoralenoside glycoside:以下、IPGと称する)が公知である。非特許文献6には、漢方生薬の原料であるマメ科植物Psoralea corylifoliaの果実から抽出されたIPGが記載してある。
植物に含まれる機能性成分を薬効成分や香り成分として利用するべく、種々の植物を混合して飲料の材料として利用することが広く行なわれている(例えば特許文献1〜4)。
特許文献1には、薬用植物として柿、ドクダミ、イチジク、熊笹、松、ヨモギ、雪の下、アロエ、ビワ、桑、ウコギ、ハトムギ、クコ、センブリのうちの1種又は2種以上を使用して健康茶を作製することが記載してある。
特許文献2には、乾燥された柑橘頚、ジャスミン、ベルガモット、葡萄、イチジクその他の植物、果物から抽出した香料液を香料成分として利用することが記載してある。
特許文献3には、健康飲料材の一成分として、イチジク葉1〜25重量部を含有することが記載してある。
特許文献4には、老化防止皮膚化粧料の一成分として、イチジクの葉および実の混合物からの抽出物を利用することが記載してある。
植物体から機能性成分を抽出する手法としては、熱湯水200mLで2分間抽出すること(特許文献3)、水およびプロピレングリコールの混合抽出液によって抽出温度10〜30℃の低温で抽出すること(特許文献4)が記載してある。
上述した植物のうち、例えばイチジクは、稀にその葉を飲用茶として利用することがある。
イチジク葉(イチジク茶葉)の製茶工程の一例を以下に説明する。
1.蒸し(殺青:さっせい)
「蒸し」は、熱で酵素を失活させる処理である。イチジク茶葉を収容した回転する胴筒の中に100℃の蒸気を吹き込む。加熱時間は100℃で30〜40秒が標準的で、深蒸しでは50〜90秒である。胴筒の回転数はイチジク茶葉の状態や蒸し度により調節する。胴の内径が0.24mの場合、普通の葉を標準蒸しする際は毎分35回転程度となる。蒸し終わった葉は、速やかにムラ無く室温程度(34℃以下)に冷却する。
2.揉捻
茶葉全体が効率よく均一に乾燥するように水分を移動させる事を主目的とした処理である。また、本処理では、葉に含まれる成分が抽出されやすい状態にする作用もある。
蒸煮直後の水分を多量に含んだイチジク茶葉を、最終的に含水率13%程度になるまで、50〜60℃の温風に曝す。揉捻処理は、粗揉・中揉・精揉の三段階に分けられる。この時、茶葉そのものの温度は34〜35℃に保つ。
粗揉は、イチジク茶葉を撹拌して、主に表面に付いた水を除去する。初めはイチジク茶葉に加重をかけず、乾燥するにつれて徐々に転がすように加重をかける。約45分行なう。
中揉は、イチジク茶葉の中心部分の水分を表面まで滲み出させ、イチジク茶葉をしなやかにして撚れ易くするために行う。適度な重りで圧力をかけながら、イチジク茶葉を旋回運動させ、イチジク茶葉同士が転がりながら互いに揉まれあう状態を保って処理する。30〜40分で含水率32〜35%にする。
精揉は、40〜50分をかけて、含水率を12〜13%程度までに乾燥させつつ、適度に撚れた状態に仕上げる。
3.乾燥
イチジク茶葉の保存性を高めるために行う。含水率13%程度のイチジク茶葉を、穴の開いたベルトコンベヤで移動させながら、70〜76℃の温風に35分〜40分間当て、含水率4〜5%に乾燥させて仕上げる行程である。温度が高すぎると、茶色く変色し、また香りも変化してしまうので、80℃以下で処理するのがよい。
特開平5−56772号公報 特開平9−233998号公報 特開2002−315547号公報 特表2005−532375号公報
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植物に含まれる機能性成分を薬効成分や香り成分として利用するには、多種類の植物体を混合して抽出処理を行う必要があるため、当該抽出処理が煩雑となっていた。
また、茶の木以外の樹木の葉が利用されることは少ない。例えばイチジクは、果実を食する以外では、上述したようにごく一部の地域でイチジク葉を飲用茶に加工されるのみである。そのため、果実以外の部位は殆ど破棄されており、有効利用されていないのが現状である。
従って、本発明の目的は、単一の植物体の果実以外の部位から抽出したルチン、カフェリンゴ酸およびイソプソラル酸グルコシドなどの機能性成分を含有する植物抽出組成物、および、効率よくこれら機能性成分を抽出できる植物抽出組成物の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係る植物抽出組成物の第一特徴構成は、アルコールに酸を終濃度が0.1〜5%となるように添加した酸−アルコール溶媒を抽出溶媒としてイチジク葉から抽出した機能性成分としてルチン、カフェリンゴ酸およびイソプソラル酸グルコシドを含有する点にある。
本構成によれば、抗酸化物質であるルチン、カフェリンゴ酸およびイソプソラル酸グルコシド(IPG)を含んだ植物抽出組成物を、単一種類の植物体から取得することができる。このように本構成では多種類の植物体を混合して抽出処理を行う必要が無くなるため、当該植物抽出組成物の抽出処理が簡便となる。
また、単一の植物体から複数の所望の機能性成分が抽出できるため、効率よく機能性成分を抽出することができるようになる。
本発明では、単一の植物体をイチジクとしてある。上述したように、従来、イチジクの葉にはポリフェノールの一種であるルチンやクロロゲン酸が含まれている事が知られていた。本発明者らは、鋭意研究の結果、イチジク葉にカフェリンゴ酸およびIPGが含有されていることを新たに見出した。
本構成によれば、これら所望の機能性成分を含む植物抽出組成物を得るために、イチジク葉など、果実以外の部位をも利用することができる。そのため、イチジクの植物体を有効利用することができる。
後述の実施例1において機能性成分を抽出する溶媒を検討したところ、水ではカフェリンゴ酸やIPGが殆ど抽出されないのに対して、溶媒としてアルコールを使用すれば、機能性成分が効率よく抽出できることが判明している(実施例(1−2)の結果参照)。
また、後述の実施例1において機能性成分を抽出する溶媒を検討したところ、溶媒として使用するアルコールに塩酸などの酸を0.1〜5%となるように添加すれば、機能性成分を効率よく抽出できることが判明している(実施例(1−1)の結果参照)。
従って、本構成によれば、所望の機能性成分をより効率よく得るための溶媒およびその濃度を特定することができる。
本発明に係る植物抽出組成物の第二特徴構成は、植物体であるイチジク葉を95℃〜100℃の蒸気で0.5〜10分間蒸煮する加熱処理、前記加熱処理を行った植物体を茶葉温が35〜60℃となる状態で25〜40分間揉念する揉念処理、前記揉念処理を行った植物体を55〜65℃で2〜5時間乾燥する乾燥処理、前記乾燥した植物体に抽出溶媒である熱水を添加して1気圧で80〜100℃の温度で抽出処理し、機能性成分として、ルチン、カフェリンゴ酸およびイソプソラル酸グルコシドを含有する点にある。
後述の実施例2において、機能性成分の抽出効率を向上させるために有効な抽出方法を検討したところ、イチジク葉に対して加熱処理、揉念処理、乾燥処理および抽出処理を行い、抽出に使用する抽出溶媒を熱水とすることで、機能性成分を効率よく抽出できることが判明している。
従って、本構成によれば、有機溶媒を使用することなく、所望の機能性成分を効率よく抽出できた植物抽出組成物となる。
本発明に係る植物抽出組成物の第三特徴構成は、前記イチジク葉をイチジクの新梢先端部の若葉とした点にある。
本構成によれば、植物体の部位を新梢先端部の若葉とすることにより、本発明で所望する機能性成分を多く含んだ植物抽出組成物を効率よく取得することができる。
本発明に係る植物抽出組成物の第四特徴構成は、前記イチジク葉をテマリイチジク又はプレコス・ロンデ・ド・ボルドーとした点にある。
後述の実施例3において、各機能性成分を効率よく抽出できるイチジクの品種を調べたところ、ルチンとカフェリンゴ酸はテマリイチジクが顕著に多く、IPGはプレコス・ロンデ・ド・ボルドーが顕著に多いことが判明している。
したがって、本構成によれば、所望の機能性成分を効率よく得るための品種を特定することができる。
本発明に係る植物抽出組成物の製造方法の第一特徴構成は、アルコールに酸を終濃度が0.1〜5%となるように添加した酸−アルコール溶媒を抽出溶媒としてイチジク葉から抽出することにより、機能性成分としてルチン、カフェリンゴ酸およびイソプソラル酸グルコシドを含有する抽出組成物を取得する抽出処理を行なう点にある。
後述の実施例1において機能性成分を抽出する溶媒を検討したところ、水ではカフェリンゴ酸やIPGが殆ど抽出されないのに対して、溶媒としてアルコールを使用すれば、機能性成分が効率よく抽出できることが判明している(実施例(1−2)の結果参照)。
また、後述の実施例1において機能性成分を抽出する溶媒を検討したところ、溶媒として使用するアルコールに塩酸などの酸を0.1〜5%となるように添加すれば、機能性成分を効率よく抽出できることが判明している(実施例(1−1)の結果参照)。
従って、本構成によれば、所望の機能性成分をより効率よく得るための溶媒およびその濃度を特定することができる。
本発明に係る植物抽出組成物の製造方法の第二特徴構成は、前記アルコールをメタノール又はエタノールとした点にある。
後述の実施例1において機能性成分を抽出する溶媒を検討したところ、溶媒として使用するアルコールおよび含水アルコールに含まれるアルコールをメタノール又はエタノールとすれば、機能性成分をより効率よく抽出できることが判明している(実施例(1−2,1−3)の結果参照)。
従って、本構成によれば、所望の機能性成分をより効率よく得るための溶媒を特定することができる。
本発明に係る植物抽出組成物の製造方法の第三特徴構成は、前記アルコールが含水アルコールであり、前記含水アルコールにおいて、水とアルコールとの混合比率を1:1〜1:3とした点にある。
本構成によれば、所望の機能性成分をより効率よく得るための含水アルコールのアルコール比率を特定することができる。尚、本明細書における当該含水アルコールとは、アルコールと水との混合液のことをいう。
本発明に係る植物抽出組成物の製造方法の第四特徴構成は、植物体であるイチジク葉を蒸煮する加熱処理、前記加熱処理を行った植物体を揉念する揉念処理、前記揉念処理を行った植物体を乾燥する乾燥処理、前記乾燥した植物体に抽出溶媒である熱水を添加し、機能性成分としてルチン、カフェリンゴ酸およびイソプソラル酸グルコシドを含有する抽出組成物を取得する抽出処理、を行ない、前記加熱処理は95℃〜100℃の蒸気で0.5〜10分間行い、前記揉念処理は茶葉温が35〜60℃となる状態で25〜40分間行い、前記乾燥処理は55〜65℃で2〜5時間行ない、前記抽出処理は1気圧で80〜100℃の温度で行う点にある。
後述の実施例2において、機能性成分の抽出効率を向上させるために有効な抽出方法を検討したところ、イチジク葉に対して加熱処理、揉念処理、乾燥処理および抽出処理を行い、抽出に使用する抽出溶媒を熱水とすることで、機能性成分を効率よく抽出できることが判明している。
従って、本構成によれば、有機溶媒を使用することなく、所望の機能性成分を効率よく抽出できる。
本構成では、前記加熱処理を95℃〜100℃の蒸気で0.5〜10分間行い、前記揉念処理を茶葉温が35〜60℃となる状態で25〜40分間行い、前記乾燥処理を55〜65℃で2〜5時間行ない、前記抽出処理は1気圧で80〜100℃の温度で行っている。
本構成によれば、加熱処理、揉念処理、乾燥処理および抽出処理の好適な条件を特定することができる。
本発明に係る植物抽出組成物の製造方法の第五特徴構成は、前記イチジク葉を、樹脂フィルム袋で包装し、低温で所定期間保管する低温貯蔵処理を行ったものとした点にある。
後述の実施例6において、イチジク葉に対して低温貯蔵処理を行った場合に、機能性成分がどのように変動するかを検討したところ、ルチン、カフェリンゴ酸およびIPGのいずれも約1〜2割程度増加することが判明している。
従って、本構成によれば、所望の機能性成分をより効率よく得るための条件を特定することができる。
抽出溶媒を水とした場合の生葉より調製した抽出液の波長250nmにおけるHPLCクロマトグラムの分析結果を示す図である。 抽出溶媒を0.1%塩酸添加メタノールとした場合の生葉より調製した抽出液の波長250nmにおけるHPLCクロマトグラムの分析結果を示す図である。 製茶処理済みのイチジク葉における80℃熱水抽出液の波長250nmにおけるHPLCクロマトグラムの分析結果を示す図である。 製茶処理を行わずに凍結乾燥したイチジク葉における80℃熱水抽出液の波長250nmにおけるHPLCクロマトグラムの分析結果を示す図である。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
本発明は、単一の植物体から抽出した機能性成分として、ルチン、カフェリンゴ酸およびイソプソラル酸グルコシドを含有する植物抽出組成物である。
植物体は、機能性成分としてルチン、カフェリンゴ酸およびイソプソラル酸グルコシドを含有するものであれば特に限定されるものではない。本実施形態では、当該植物体としてイチジクを使用する場合について説明する。
「機能性成分」とは、生体リズムの調整や神経のバランス、免疫の調節などを正常に保つ作用のある成分のことであり、例えば抗酸化物質などが挙げられる。「抗酸化物質」とは、活性酸素やフリーラジカルを消去する抗酸化作用を有する物質であり、ルチンおよびカフェリンゴ酸の他、βカロテン・ビタミンC・ビタミンE・ポリフェノール類などを含む。
抗酸化物質は老化を防止し、ガン・心臓病・脳血栓などの成人病の危険率を下げ、関節炎・アトピー性皮膚炎・花粉症などのアレルギー体質の改善に役立つとされている。
抗酸化物質が有する抗酸化作用としては、他に、食品・化粧品等を酸化して劣化させることを防止する、すなわち油脂類の変質、色素の退色、香味の劣化、褐変現象等を防止することが知られている。
本発明で用いる植物体は、植物体の根から葉の先端までの全てである全草を利用することができるが、好ましくは葉を利用するとよい。植物体としてイチジクを利用する場合、特に新梢先端部の若葉を利用するのが好ましい。本明細書では、例えばイチジク等の植物の全草或いはその一部を「植物体」と称する。
新梢とは、新しく伸びた枝のことで、当年枝(とうねんし)とも呼ばれる。
若葉とは、生えたばかりの葉のことを指す。例えば、イチジクの場合、出葉した後14日程度までの葉で、新梢先端部から第5節程度までの葉を使用するのがよい。
植物体は、生でも乾燥物でもよい。抗酸化物を抽出する際に使用する植物体の大きさ(粉砕程度)は特に制限されないが、例えば粉末状態〜粗切り状態が好ましい。
本発明に適用されるイチジク(Ficus carica L.)は、クワ科イチジク属の植物である。本発明の植物抽出組成物は、例えば栽培品種であるテマリイチジク、プレコス・ロンデ・ド・ボルドー、ネグロ・ラーゴ、ショートブリッジ、桝井ドーフィン、ダルマティー、ネグローネ、シュガー、早生ドーフィンなどを使用するとよい。これらのうちで、特にテマリイチジク、プレコス・ロンデ・ド・ボルドーであれば、機能性成分が多い植物抽出組成物が得られる。
<植物抽出組成物の製造方法(1)>
本発明の植物抽出組成物は、単一の植物体に抽出溶媒であるアルコールまたは含水アルコールの何れかを添加し、機能性成分としてルチン、カフェリンゴ酸およびイソプソラル酸グルコシドを含有する抽出組成物を取得する抽出処理を行なうことによって製造する。
抽出溶媒は、アルコールまたは含水アルコールの何れかを使用する。アルコールは、炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状の飽和アルコールを使用するとよい。具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール等が挙げられ、これらの中でも、メタノール、エタノールが好ましい。
含水アルコールのアルコール濃度は、20〜80重量%、好ましくは50〜75重量%とする。尚、例えばアルコール濃度50重量%の含水アルコールとは、アルコール50重量部と水50重量部を別々に量った後、一つの容器に両者を入れて良く混合したものを言う。
抽出時の温度としては、植物原料の種類等にもよるが、通常室温〜90℃、好ましくは50〜80℃の範囲である。更に好ましくは、常圧にて含水アルコールが還流する程度の温度である。このとき、抽出器は解放系でも閉鎖系でもよい。抽出時間は、原料及び抽出温度等にもよるが、通常0.5〜10時間、好ましくは1〜4時間である。
<植物抽出組成物の製造方法(2)>
また、本発明の植物抽出組成物は、単一の植物体を蒸煮する加熱処理、加熱処理を行った植物体を揉念する揉念処理、揉念処理を行った植物体を乾燥する乾燥処理、乾燥した植物体に抽出溶媒である熱水を添加し、機能性成分としてルチン、カフェリンゴ酸およびイソプソラル酸グルコシドを含有する抽出組成物を取得する抽出処理、を行なうことによって製造する。
加熱処理は、熱により植物体の酵素を失活させる処理であり、例えば植物体を100℃の水蒸気に曝すことにより行なう。加熱温度は、当該酵素が失活する温度であればよいため、100℃に限定されるものではなく、例えば80〜100℃、好ましくは95〜100℃の範囲で行なえばよい。加熱処理時間は、確実に酵素活性を失活させる時間を設定すればよく、例えば0.5〜10分程度とする。加熱処理は、回転可能な筒胴や蒸し器などで行なうが、これに限られるものではない。
揉念処理は、均一に乾燥するように水分を移動させるため、ならびに植物体から機能性成分を抽出しやすくするために行う処理である。揉念処理は、例えば茶葉温が35〜60℃となる状態で25〜40分間揉む処理を行う。揉念処理により、植物体の含水率は13〜30%程度になっていると考えられる。
乾燥処理は、植物体の保存性を高めるために行う。好ましくは、含水率が4〜5%になるように植物体を乾燥させる。乾燥処理は、例えば55〜65℃で2〜5時間乾燥させる処理を行う。
本方法の抽出処理では、抽出溶媒として有機溶媒は使用せずに、熱水で行なう。熱水は、例えば1気圧で80〜100℃の温度にするとよい。
<植物抽出組成物の製造方法(3)>
上述した植物抽出組成物の製造方法において、当該植物抽出組成物を得るに際して、採取した直後の植物体を利用するか、或いは、所定の条件で保管した植物体を利用するとよい。当該保管は、例えば、植物体を樹脂フィルム袋で包装し、低温で所定期間保管する低温貯蔵処理を行うとよい。樹脂フィルム袋は、例えば厚さ0.02〜0.04mm程度の低密度ポリエチレン袋とし、温度条件は例えば0〜8℃程度とし、所定期間は例えば10日以上とする。
〔実施例1〕
イチジク葉に含まれる機能性成分の抽出方法を検討した。本実施例では、生の葉から機能性成分を抽出する溶媒を検討した。イチジク葉は、プレコス・ロンデ・ド・ボルドー種およびネグロ・ラーゴ種のイチジク樹より採取した。採取した葉を約2センチ角に刻み、直ちに冷凍保存した。以下のように、溶媒として、水、含水アルコール、アルコール溶媒を使用した場合について、各機能性成分の抽出状態を比較した。
機能性成分は、分析用試料の10μLを液体クロマトグラフ−質量分析計(LC−MS装置:アジレント社製)に注入して検出・定量した。分析条件は以下の通りである(表1)。
Figure 0005509495
(1−1)溶媒として水を使用した場合
冷凍状態のイチジク葉(プレコス・ロンデ・ド・ボルドー種)に対して9倍量(重量比)の水を加え、ミキサーで破砕した後、破砕液をガーゼで濾過し、次に遠心(500g×5分間)して上清を得た。適宜希釈し、ポアサイズ0.45μmのメンブランフィルターで濾過して分析用試料を得た。
尚、比較対照として、抽出溶媒として水の代わりに、メタノールに塩酸を終濃度が0.1%となるように添加した塩酸−メタノール溶媒を使用したこと以外は同じ条件で分析用試料を得た。
尚、塩酸−メタノール溶媒の濃度は0.1〜5%の範囲で設定するとよい。また、アルコールはメタノールの他にエタノールを使用してもよく、酸は塩酸の他に蟻酸、酢酸などを使用してもよい。
検出波長250nmにおけるHPLCクロマトグラムの分析結果を、図1(溶媒:水),図2(溶媒:0.1%塩酸添加メタノール)に示す。
この結果、水による抽出では、ルチンは抽出されているが、カフェリンゴ酸やIPGが殆ど抽出されない事が判明した(図1)。一方、塩酸添加メタノール抽出液では、ルチンだけでなく、カフェリンゴ酸やIPGのピークも相対的に大きく検出されるため、これら機能性成分を効率よく抽出できるものと認められた。水抽出でカフェリンゴ酸やIPGがほとんど含まれていなかった原因としては、当該成分の抽出効率が極めて低い、或いは、酵素が活性を保っていてそれにより分解されたことなどが考えられる。
(1−2)溶媒として含水アルコールを使用した場合
凍結乾燥したイチジク葉(プレコス・ロンデ・ド・ボルドー種)を粉砕し、その0.2gを三角フラスコに入れ、30mLの抽出溶媒を加えた。抽出溶媒は水1重量部に対して、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール)1重量部を混合したものをそれぞれ用いた。
室温で3時間、毎分120回転で円運動で振盪しながら抽出した。その後、毎分12000回転で10分間遠心し、上清を回収した。残渣に10mLの抽出溶媒を加えて撹拌し、再び毎分12000回転で10分間遠心し、上清を回収した。残渣に、再度、抽出溶媒10mLを加えて攪拌・遠心した後、上清を回収した。回収した上清を合わせて50mLに定容した後、適宜水で希釈し、ポアサイズ0.45μmのメンブランフィルターで濾過して分析用試料を得た。
各機能性成分のピーク面積を比較した結果を表2に示す。
Figure 0005509495
この結果、ルチンおよびカフェリンゴ酸は、三種の含水アルコールの何れにおいても効率よく抽出できるものと認められた。ルチンやカフェリンゴ酸に関してはメタノール水溶液を用いた場合が最も良く成分を抽出できる事が判明した。IPGは、ルチンおよびカフェリンゴ酸より少量であるが、抽出されている。
(1−3)溶媒として含水アルコールを使用し、アルコールの比率を変更した場合
凍結乾燥したイチジク葉(プレコス・ロンデ・ド・ボルドー種およびネグロ・ラーゴ種)を粉砕し、その0.2gを三角フラスコに入れ、30mLの抽出溶媒を加えた。抽出溶媒は、プレコス・ロンデ・ド・ボルドー種には水1重量部とメタノール1又は3重量部とを混合したものを用い、ネグロ・ラーゴ種には水1重量部とエタノール1又は3重量部とを混合したものを用いた。尚、比較対照として、プレコス・ロンデ・ド・ボルドー種を使用した場合においては、メタノールのみを抽出溶媒としたものを用いた。
各機能性成分のピーク面積を比較した結果を表3,4に示す。
Figure 0005509495
Figure 0005509495
水とメタノールの混合比を変えた溶媒で抽出した結果(表3)、メタノール比率を高めるとIPGの抽出は向上するものと認められた。水とエタノールの混合比を変えた溶媒で抽出した結果(表4)、メタノールの場合と同様の傾向が観察された。
以上より、生の葉からの機能性成分を抽出する場合、水ではカフェリンゴ酸やIPGが殆ど抽出されないのに対して、溶媒として含水アルコールを使用すれば、機能性成分が効率よく抽出できるものと認められた。当該アルコールとしては、メタノールおよびエタノールが好ましく、水およびアルコールの混合比率は1:1〜1:3が好ましいことが判明した。
また、IPGの抽出効率を向上させたい場合は、メタノールの混合比率を上昇させればよく、好ましくは、メタノールのみで抽出するとよいことが判明した。
〔実施例2〕
機能性成分の抽出効率を向上させるために有効な抽出方法を検討した。本実施例では、植物体に対して加熱処理、揉念処理、乾燥処理、および、抽出処理を行う。抽出に使用する抽出溶媒は熱水とした。
植物体のイチジク葉はショートブリッジ種のイチジク樹より、新梢先端から第5節までの葉(若葉)を採取した。採取した葉を約2センチ角に刻み、その一部を直ちに製茶用に供し、残りを冷凍保存した。
(製茶処理)
刻んだイチジク葉を蒸し器に収容し、蒸煮した(加熱処理)。本実施例の加熱処理では、蒸し始めから終わりまでの時間を約4分間に設定したため、イチジク葉が100℃で加熱される時間は概ね70〜80秒である。
ホットプレート天板にクラフト紙を敷き、その上に加熱処理を終えたイチジク葉を移した。ホットプレートの天板を70〜100℃程度に加熱しながら上で、手作業でイチジク葉を揉捻した(揉念処理)。本実施例の揉念処理では、イチジク葉の温度を40〜45℃程度になるようにした。処理時間は、約30分であった。揉念処理後のイチジク葉を送風式乾燥器に入れ、60℃で4時間乾燥させた(乾燥処理)。乾燥処理後、直ちにアルミ箔をラミネートした樹脂フィルム袋で密封包装し、冷凍保存した。
(機能性成分の抽出)
上述した製茶処理済みのイチジク葉、および、製茶処理を行わずに凍結乾燥したイチジク葉のそれぞれ1gに、80℃の湯100mLを添加し、3分間、静置した。3分経過後に撹拌し、200メッシュのナイロンメッシュで濾過して抽出液を得た(抽出処理)。抽出液は室温になるまで放置した。適宜水で希釈し、ポアサイズ0.45μmのメンブランフィルターで濾過して分析用試料とした。
機能性成分の分析方法は、分析用試料の10μLを液体クロマトグラフ−質量分析計(LC−MS装置:アジレント社製)に注入して検出・定量した。分析条件は、実施例1と同様の条件で行なった(表1)。
製茶処理済みのイチジク葉、および、製茶処理を行わずに凍結乾燥したイチジク葉における80℃熱水抽出液の波長250nmにおけるHPLCクロマトグラムの分析結果を、図3(製茶処理済みイチジク葉),図4(凍結乾燥イチジク葉)に示す。また、各機能性成分のピーク面積を比較した結果を表5に示す。
Figure 0005509495
この結果、凍結乾燥イチジク葉から抽出した抽出液に比べて、製茶処理済みイチジク葉から抽出した抽出液には、機能性成分であるルチン・カフェリンゴ酸・IPGが多量に含まれることが判明した。即ち、植物体に対して加熱処理、揉念処理、乾燥処理、および、抽出処理を行うことで、機能性成分を効率よく取得できるものと認められた。
〔実施例3〕
植物体の若葉における機能性成分の含有量を調べた。本実施例では、5品種(テマリイチジク、プレコス・ロンデ・ド・ボルドー、桝井ドーフィン、ダルマティー、ネグローネ)のイチジク樹より、新梢先端から第5節までの葉(若葉)を6月に採取した。採取した葉を約2センチ角に刻み、直ちに冷凍保存した。
(機能性成分の抽出)
イチジク葉は凍結乾燥した後に粉砕し、0.2gを三角フラスコに入れ、30mLの抽出溶媒を加えた。抽出溶媒は、ルチンおよびカフェリンゴ酸の抽出には水1重量部とメタノール3重量部を混合したものを用い、IPGの抽出には0.1%塩酸添加メタノールを使用した。抽出溶媒を添加した後、室温で3時間、毎分120回転で円運動で振盪しながら抽出した。その後、毎分12000回転で10分間遠心し、上清を回収した。残渣に、再度、抽出溶媒を10mL加えて撹拌・遠心した後、上清を回収する操作を二回繰り返した。回収した上清を合わせて50mLに定容した後、適宜水で希釈し、ポアサイズ0.45μmのメンブランフィルターで濾過して分析用試料を得た。
機能性成分は、分析用試料の5μLを液体クロマトグラフ−質量分析計(LC−MS装置:アジレント社製)に注入して検出・定量した。分析条件は以下の通りである(表6)。
Figure 0005509495
各機能性成分の含有量を比較した結果を表7に示す。単位は乾物1g当たりの重量(mg)である。
Figure 0005509495
この結果、ルチンとカフェリンゴ酸は「テマリイチジク」が顕著に多く、IPGは「プレコス・ロンデ・ド・ボルドー」が顕著に多いことが判明した。
〔実施例4〕
イチジク3品種(シュガー、早生ドーフィン、ショート・ブリッジ)について、新梢における着生位置によって機能性成分がどのように変動するかを調査した。
新梢の先端部より第5節目までの葉を若葉、新梢の中位(10節目程度)に着生する葉を成葉(成熟葉)とした。採取した葉を約2センチ角に刻み、その一部を直ちに製茶用に供し、残りを冷凍保存した。
本実施例の製茶処理は実施例2に記載の製茶処理と同様の手法で行なった。
また、本実施例の機能性成分の抽出は、抽出溶媒を水1重量部とメタノール3重量部を混合したものに統一したこと以外は、実施例3に記載の機能性成分の抽出と同様の手法で行ない、製茶処理済みイチジク葉については実施例2に記載の機能性成分の抽出と同様の手法で行なった。
機能性成分の分析は、実施例3に記載の手法によって行なった(表6)。
製茶処理済みのイチジク葉、および、製茶処理を行わずに凍結乾燥したイチジク葉における各機能性成分の含有量を比較した結果を表8(凍結乾燥イチジク葉),表9(製茶処理済みイチジク葉)に示す。単位は乾物1g当たりの重量(mg)である。
Figure 0005509495
Figure 0005509495
凍結乾燥イチジク葉(表8)および製茶処理済みイチジク葉(表9)においては、全ての品種・成分で若葉の方が多かった。
〔実施例5〕
イチジク樹において、機能性成分が最も多い時期を調査した。調査対象は、プレコス・ロンデ・ド・ボルドー種における新梢先端部より第5節目までの若葉とした。調査は、出葉から落葉までの期間である6〜11月までのイチジク葉において、6月と8月に採取することにより行なった。採取した葉を約2センチ角に刻み、その一部を直ちに製茶用に供し、残りを冷凍保存した。
本実施例の製茶処理は実施例2に記載の製茶処理と同様の手法で行なった。
また、本実施例の機能性成分の抽出は、凍結乾燥イチジク葉についてはIPGの抽出における抽出溶媒をメタノールとしたこと以外は、実施例3に記載の機能性成分の抽出と同様の手法で行ない、製茶処理済みイチジク葉については実施例2に記載の機能性成分の抽出と同様の手法で行なった。
機能性成分の分析は、実施例3に記載の手法によって行なった(表6)。
製茶処理済みのイチジク葉、および、製茶処理を行わずに凍結乾燥したイチジク葉における各機能性成分の含有量を比較した結果を表10(凍結乾燥イチジク葉),表11(製茶処理済みイチジク葉)に示す。単位は乾物1g当たりの重量(mg)である。
Figure 0005509495
Figure 0005509495
この結果、ルチンとカフェリンゴ酸は6月に採取した葉の方が多く、IPGは8月採取の方が多くなるものと認められた。
〔実施例6〕
イチジク樹から採取したイチジク葉に対して低温貯蔵処理を行った場合に、機能性成分がどのように変動するかを調査した。
桝井ドーフィン種のイチジク樹より新梢先端から第5節までの葉(若葉)を採取した。採取した葉を約2センチ角に刻み、約100gを厚さ0.04mm、大きさ260×380mmの低密度ポリエチレン(LDPE)袋に密封し、4℃で10日間貯蔵した(低温貯蔵処理)。
低温貯蔵処理が終わったイチジク葉は、その一部を直ちに製茶用に供し、残りを冷凍保存した。
本実施例の製茶処理は実施例2に記載の製茶処理と同様の手法で行なった。
また、本実施例の機能性成分の抽出は、実施例4に記載の機能性成分の抽出と同様の手法で行ない、製茶処理済みイチジク葉については実施例2に記載の機能性成分の抽出と同様の手法で行なった。
機能性成分の分析は、実施例3に記載の手法によって行なった(表6)。
製茶処理済みのイチジク葉、および、製茶処理を行わずに凍結乾燥したイチジク葉における各機能性成分の含有量を比較した結果を表12(凍結乾燥イチジク葉:乾物1g当たりの重量(mg))、表13(製茶処理済みイチジク葉:茶液100ml当たりの成分mg(mg/100ml))に示す。
Figure 0005509495
Figure 0005509495
この結果、凍結乾燥イチジク葉においては、低温貯蔵処理を行うことにより、カフェリンゴ酸が約1割程度増加しており、ルチン・IPGは微増することが確認できた。
また、製茶処理済みイチジク葉においては、低温貯蔵処理を行うことにより、ルチン、カフェリンゴ酸、IPGのいずれも約1〜2割程度増加することが確認できた。また、ポリフェノールの一種であるクロロゲン酸についても、無処理の場合(57)に比べて低温貯蔵処理の場合(78)は34%増加することが確認できた(ピーク面積比)。
本発明は、植物体から抽出した機能性成分を含有する植物抽出組成物およびその製造方法に利用できる。

Claims (9)

  1. アルコールに酸を終濃度が0.1〜5%となるように添加した酸−アルコール溶媒を抽出溶媒としてイチジク葉から抽出した機能性成分としてルチン、カフェリンゴ酸およびイソプソラル酸グルコシドを含有する植物抽出組成物。
  2. 植物体であるイチジク葉を95℃〜100℃の蒸気で0.5〜10分間蒸煮する加熱処理、
    前記加熱処理を行った植物体を茶葉温が35〜60℃となる状態で25〜40分間揉念する揉念処理、
    前記揉念処理を行った植物体を55〜65℃で2〜5時間乾燥する乾燥処理、
    前記乾燥した植物体に抽出溶媒である熱水を添加して1気圧で80〜100℃の温度で抽出処理し、機能性成分としてルチン、カフェリンゴ酸およびイソプソラル酸グルコシドを含有する植物抽出組成物。
  3. 前記イチジク葉がイチジクの新梢先端部の若葉である請求項1または2に記載の植物抽出組成物。
  4. 前記イチジク葉がテマリイチジク又はプレコス・ロンデ・ド・ボルドーである請求項1〜3の何れか一項に記載の植物抽出組成物。
  5. アルコールに酸を終濃度が0.1〜5%となるように添加した酸−アルコール溶媒を抽出溶媒としてイチジク葉から抽出することにより、機能性成分としてルチン、カフェリンゴ酸およびイソプソラル酸グルコシドを含有する抽出組成物を取得する抽出処理を行なう植物抽出組成物の製造方法。
  6. 記アルコールがメタノール又はエタノールである請求項5に記載の植物抽出組成物の製造方法。
  7. 記アルコールが含水アルコールであり、前記含水アルコールにおいて、水とアルコールとの混合比率が1:1〜1:3である請求項5又は6に記載の植物抽出組成物の製造方法。
  8. 植物体であるイチジク葉を蒸煮する加熱処理、
    前記加熱処理を行った植物体を揉念する揉念処理、
    前記揉念処理を行った植物体を乾燥する乾燥処理、
    前記乾燥した植物体に抽出溶媒である熱水を添加し、機能性成分としてルチン、カフェリンゴ酸およびイソプソラル酸グルコシドを含有する抽出組成物を取得する抽出処理、を行ない、
    前記加熱処理は95℃〜100℃の蒸気で0.5〜10分間行い、前記揉念処理は茶葉温が35〜60℃となる状態で25〜40分間行い、前記乾燥処理は55〜65℃で2〜5時間行ない、前記抽出処理は1気圧で80〜100℃の温度で行う植物抽出組成物の製造方法。
  9. 前記イチジク葉が、樹脂フィルム袋で包装し、低温で所定期間保管する低温貯蔵処理を行ったものである請求項5〜の何れか一項に記載の植物抽出組成物の製造方法。
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