[実施形態1]
図1は、実施形態1に係るエレベータの全体の概略構成例を示す模式図である。図2、図5および図6は、実施形態1に係る照光式側板の概略構成例を示す斜視図である。図3および図4は、実施形態1に係る照光式側板の概略構成例を示す断面図である。図7は、実施形態1に係る照光扉の概略構成例を示す斜視図である。図8および図9は、実施形態1に係る支持部の概略構成例を示す斜視図である。図10は、実施形態1に係る光源部の概略構成例を示す図である。図11は、実施形態1に係る支持フレームの概略構成例を示す斜視図である。図12および図13は、実施形態1に係るヒンジの概略構成例を示す斜視図である。
図1に示す実施形態1に係るエレベータ1は、建造物(建築物ともいう)の昇降路(図示省略)内に設置されて、乗りかご10のかご室10a(図2参照)内に設けられた操作盤の各種の釦の操作入力に基づいて、乗客や積荷等を建造物の任意の階の乗り場へ運搬するものである。ここで、昇降路は、建造物の複数の階にわたって設けられ、かつ鉛直方向に沿って直線状に延びている。本実施形態に係るエレベータ1は、乗りかご10が昇降路内を昇降することで、任意の階の乗り場に移動することができるものである。
エレベータ1は、図1に示すように、乗りかご10と、駆動機構20と、カウンタウェイト30と、エレベータ制御部40と、を含んで構成されている。
乗りかご10は、昇降路内に鉛直方向に移動可能に収容されている。乗りかご10は、図1に示すように、一対のかご用ガイドレール2同士の間に位置する大きさに形成されている。乗りかご10は、図2に示すように、かご室10aを有している。
一対のかご用ガイドレール2は、図1に示すように、水平方向に互いに間隔をあけて、鉛直方向に対して互いに平行に昇降路内に設けられている。一対のかご用ガイドレール2は、鉛直方向に対して平行となる直線状に延びている。一対のかご用ガイドレール2は、互いの間に乗りかご10を位置付けて、乗りかご10を鉛直方向に昇降可能に支持している。
かご室10aは、乗客を乗せたり積荷等を載せたりするための空間である。かご室10aは、図1から図3に示すように、床板11と、巾木12と、側板13と、天井板14と、かごドア15と、照光式側板16と、により囲まれて箱状に形成されている。
床板11は、かご室10aの床を構成するものである。床板11は、例えば、水平面に対して平行で平坦な平板状に形成され、鉛直方向視で四角形状に形成されている。床板11は、乗りかご10に対して、かご室10a外側で、チャンネル鋼Cと締結部材T(例えばボルトとナット等)とにより取り付けられ、固定されている。
巾木12は、乗客や積荷等から側板13を保護するものである。巾木12は、鉛直方向において、床板11と側板13との間に配置され、床板11と側板13とに隣接している。巾木12は、鉛直方向に平行で平坦な平板状に形成され、水平方向に延在されて鉛直方向の幅より水平方向の幅が広く形成されている。巾木12は、例えば、四角形状の床板11の各辺に沿って複数立設され、互いの長手方向の端部同士が隣接するように配置されている。巾木12は、床板11に対して、かご室10a外側で、チャンネル鋼Cと締結部材Tとにより取り付けられ、固定されている。巾木12には、かご室10a外側の鉛直方向の上端側に、チャンネル鋼Cを介してボールプランジャ12aが取り付けられている。ボールプランジャ12aは、圧縮コイルばね等の付勢手段により、ボール12bを鉛直方向の上方に向けて付勢している。
側板13は、かご室10aの側壁10bを構成するものである。側板13は、鉛直方向に平行な平板状に形成され、水平方向の幅より鉛直方向の幅が広く形成されている。側板13は、巾木12から複数立設され、互いの水平方向の端部同士が隣接するように配置されている。側板13は、鉛直方向視で、かご室10aの空間を囲む四角形状に配置され、かご室10aの空間を囲む側壁10bを形成している。側板13は、巾木12に対して、かご室10a外側で、チャンネル鋼(図示省略)と締結部材(図示省略)とにより取り付けられ、固定されている。
天井板14は、かご室10aの天井を構成するものである。天井板14は、床板11に対して、鉛直方向の上方に間隔をおいて対向配置されている。天井板14は、側板13に対して、かご室10a外側で、チャンネル鋼(図示省略)と締結部材(図示省略)とにより取り付けられ、固定されている。天井板14には、かご室10a内を光で照らす照明装置14aが設けられている。照明装置14aは、天井板14に対して、かご室10a内側に配置されている。照明装置14aは、例えば、LED(Light Emitting Diode)、冷陰極管、蛍光管、白熱電球等の光源、および光源を駆動するためのインバータ等の駆動回路などを備えている。照明装置14aは、カバー14bにより覆われている。カバー14bは、照光式側板16と干渉しないように、鉛直方向において、下端部の位置が、照光式側板16の上端部の位置より上方に位置している。
かごドア15は、電動機(モータ)等を含んで構成されるドア開閉機構により開閉駆動され、エレベータ制御部40により開閉駆動が制御される。かごドア15は、乗りかご10が任意の階の着床位置に着床している場合に開放可能である。なお、かごドア15は、図1では両開きのドアとして図示しているが、片開きのドアであってもよい。
照光式側板16は、かご室10a内側に照光するものであり、側板13とともにかご室10aの側壁10bを構成するものである。照光式側板16は、いわゆるエッジライト方式で照光する。照光式側板16は、側板13の鉛直方向の幅より狭い幅で、側板13の水平方向の幅より狭い幅で、水平方向の幅より鉛直方向の幅が広い。本実施形態では、照光式側板16は、図2に示すように、互いの水平方向の幅方向の延長線が直交する側板13a、13b同士の間に配置されている。照光式側板16のかご室10a内側の面は、一方の側板13aのかご室10a内側の面に対して、平行で面一となっている。また、照光式側板16のかご室10a内側の面は、他方の側板13bのかご室10a内側の面に対して、直交する方向に延在され、間隔をおいて一部が重なっている。照光式側板16は、鉛直方向視で、側板13とともにかご室10aの空間を囲む側壁10bを形成している。照光式側板16は、かご室10aに対して、一つ配置されていてもよいし、複数配置されていてもよい。照光式側板16は、図5および図6に示すように、照光扉161と、支持フレーム162と、遮光カバー163と、上部パネル164と、を備えている。
照光扉161は、かご室10aの側壁10bの少なくとも一部を構成するものである。照光扉161は、図2に示すように、一方の側板13aに対して、面一となっている。照光扉161は、水平方向の他方の側板13b側の端部が、他方の側板13bのかご室10a外側に配置されている。照光扉161は、鉛直方向の下端部の下方に巾木12が配置されている。照光扉161は、鉛直方向視で、側板13とともにかご室10aの空間を囲む側壁10bを形成している。つまり、照光扉161は、側壁10bの少なくとも一部を構成している。照光扉161は、支持フレーム162に対して、図13に示すヒンジHを介して着脱可能に取り付けられている。また、照光扉161は、支持フレーム162に対して、かご室10a内側に開閉可能に支持されている。照光扉161は、巾木12、一方の側板13a、他方の側板13bおよび上部パネル164に対して、照光扉161の開閉に支障がない(つまり互いに干渉しない)隙間があけられている。照光扉161は、図7に示すように、支持板161aと、背板161bと、導光板161cと、透光板161dと、縁枠161eと、を備えている。
支持板161aは、背板161b、導光板161cおよび透光板161dを支持するものである。支持板161aは、図8および図9に示すように、鉛直方向に平行な平板状に形成され、水平方向の幅より鉛直方向の幅が広く形成されている。支持板161aは、図9に示すように、かご室10a外側の面に取り付けられた補強部161hによって機械的強度が補強されている。支持板161aは、鉛直方向の上端側と下端側とに、ねじ部材(図示省略)を締め付けることで背板161bを固定するための取付穴hを有している。支持板161aは、水平方向の一方の側板13a側の端部を曲げ加工等によりかご室10a外側に向けて曲げて形成された縁枠側面側取付部161iと、鉛直方向の上端部を曲げ加工等によりかご室10a外側に向けて曲げて形成された縁枠上端側取付部161uと、鉛直方向の下端部を曲げ加工等によりかご室10a外側に向けて曲げて形成された縁枠下端側取付部161wと、を一体に有している。支持板161aは、水平方向の他方の側板13b側の端部に、鉛直方向の全幅にわたってブラケット部161gが取り付けられている。
縁枠側面側取付部161iは、図4および図9に示すように、締結部材Tにより、縁枠161eの後述する側面側取付部161qと固定される。縁枠上端側取付部161uは、図3および図7に示すように、締結部材Tにより、縁枠161eの後述する上端側取付部161oと固定される。縁枠下端側取付部161wは、締結部材Tにより、縁枠161eの後述する下端側取付部161pと固定される。
ブラケット部161gには、図8および図9に示すように、かご室10a内側に縁枠取付部161kが取り付けられ、かご室10a外側にヒンジHを構成する板状羽根161jが取り付けられている。縁枠取付部161kは、鉛直方向に平行な平板状に形成されている。縁枠取付部161kは、鉛直方向に延在されるフラットバーである。縁枠取付部161kは、ねじ部材(図示省略)を締め付けることで縁枠161eを固定するための取付穴hを有している。板状羽根161jは、図12および図13に示すように、ヒンジHを構成する一方の羽根である。板状羽根161jは、ブラケット部161gに固定される板状部161sと、芯棒Sを介して後述するU字状羽根162jに連結される軸筒部161tと、を一体に有している。板状部161sは、ブラケット部161gに対して締結されるねじ部材(図示省略)が取り付けられる取付穴hを有している。軸筒部161tは、板状部161sに対して鉛直方向に間隔をおいて二つ配置され、鉛直方向に貫通する円筒状に形成されている。軸筒部161tは、鉛直方向に延在されて円柱状に形成された芯棒Sが挿抜可能に挿入され、芯棒Sを鉛直方向に平行な回動中心として回動可能である。軸筒部161tは、芯棒Sを介して後述するU字状羽根162jの軸筒部162mと同軸上で連結され、軸筒部162mに対して相対的に回動される。
背板161bは、導光板161cを支持するものであり、導光板161cに対して光を照射するものである。背板161bは、図7および図10に示すように、支持板161aと導光板161cとの間に配置される。背板161bは、図4に示すように、支持板161a上に重ねられるように、支持板161aと鉛直方向の幅が同じ幅で、支持板161aより水平方向の幅が狭い幅の平板状に形成されている。背板161bは、かご室10a内側の表面が光を反射しやすいように形成されていることが好ましい。また、背板161bは、放熱しやすいように、アルミニウム等で構成されていることが好ましい。背板161bは、図7に示すように、鉛直方向の上端側と下端側とに、支持板161aに締結されるねじ部材(図示省略)の取付穴hを有している。背板161bは、発光素子161mと、ヒートシンク161nと、を一体的に備えている。
発光素子161mは、光を照射するものである。本実施形態では、発光素子161mは、可視光を照射するLED(Light Emitting Diode)である。発光素子161mとしては、例えば、赤色LED、緑色LEDおよび青色LEDを組み込んで、白色光を照射可能なLEDチップが用いられる。発光素子161mは、かご電源から給電され、LEDチップを駆動する駆動回路により点灯駆動される。発光素子161mは、所望の照度や面発光が得られるように、鉛直方向に間隔をおいて、複数配置されている。発光素子161mは、導光板161cが背板161bに支持された際に、導光板161cの水平方向の一端面と対向するように、ヒートシンク161nに取り付けられている。つまり、発光素子161mは、導光板161cの水平方向の端部(他方の側板13b側の端部)に対して光を照射する、いわゆるエッジライトである。駆動回路には、着脱可能なコネクタ機構を介して、かご電源から電力を供給する動力線(図示省略)が接続されている。動力線は、照光扉161と支持フレーム162との間に形成される隙間に配索され、かご電源に接続されている。ヒートシンク161nは、図7および図10に示すように、背板161bのかご室10a内側の面の水平方向の端部(他方の側板13b側の端部)に、鉛直方向の全幅にわたって設けられている。ヒートシンク161nは、鉛直方向視で、四角形状に形成されている。ヒートシンク161nは、放熱しやすいように、アルミニウム等で構成されていることが好ましい。
導光板161cは、発光素子161mから照射された光を導光し、かご室10a内側に照光するものである。導光板161cは、例えば、透明なアクリル樹脂の板、または透明なポリカーボネート樹脂の板等で構成されている。導光板161cは、図4および図7に示すように、背板161bと透光板161dとの間に配置される。導光板161cは、背板161b上に重ねられるように、背板161bと鉛直方向の幅が同じ幅で、背板161bより水平方向の幅が狭い平板状に形成されている。導光板161cは、例えば、背板161bと対向する面に反射ドットを印刷、または溝をレーザー加工等により形成したものであってもよいし、射出成形等で凹凸を形成したものであってもよい。導光板161cは、背板161bに支持された状態で、水平方向の端部(他方の側板13b側の端部)と対向する発光素子161mから照射された光を内部で反射させながら、導光板161cの全体に導光する。また、導光板161cは、背板161bとは反対側の面、つまり透光板161dと対向する面を面発光させ、透光板161dと対向する面からかご室10a内側へ照光する。
透光板161dは、導光板161cから照光された光を透光するものであり、導光板161cを保護するものである。透光板161dは、図7に示すように、導光板161cと鉛直方向の幅および水平方向の幅が同等の平板状に形成されている。透光板161dは、図3および図7に示すように、導光板161cと縁枠161eとの間に配置される。透光板161dは、例えば、透明なガラスの板、透明なアクリル樹脂の板、または和紙などを挟み込んだ透明な合わせガラスの板、導光板161cと対向する面に模様や色彩が印刷されたシートを張り付けた透明な板等、面発光する導光板161cから照光される光を透過させることができる板である。また、透光板161dは、かご室10a内側の全面が均一に面発光するように、導光板161cと対向する面に拡散シートが貼り付けられていてもよいし、導光板161cと対向する面が乳白色のすりガラス状に形成されていてもよい。透光板161dは、導光板161cから照光された光をかご室10a内側に透過させることで、かご室10a内側に照光する。なお、透光板161dは、模様(文字なども含む)や色彩、またはこれらの組み合わせが施され、かご室10a内の乗客に対して、視覚を通じて美観を起こさせるものであることが好ましい。
縁枠161eは、支持板161aとの間に、背板161b、導光板161cおよび透光板161dを固定するものである。縁枠161eは、図7に示すように、透光板161dのかご室10a内側の面と連通する開口が形成され、透光板161dのかご室10a内側の面の縁を覆う四角形状に形成されている。縁枠161eは、図7に示すように、支持板161aの縁枠取付部161k(フラットバー)と締結するねじ部材(図示省略)が取り付けられる取付穴hを有している。縁枠161eは、水平方向の他方の側板13b側の端部(縁枠取付部161kに固定される端部とは反対側の端部)を曲げ加工等によりかご室10a外側に向けて曲げて形成された側面側取付部161qと、鉛直方向の上端部を曲げ加工等によりかご室10a外側に向けて曲げて形成された上端側取付部161oと、鉛直方向の下端部を曲げ加工等によりかご室10a外側に向けて曲げて形成された下端側取付部161pと、を一体に有している。縁枠161eは、支持板161aに対して背板161b、導光板161cおよび透光板161dが重ねられた状態で、支持板161aに取り付けられることで、各板161b〜161dを重ね合わせて固定する。縁枠161eは、図2および図4に示すように、複数の側板13とともにかご室10aの側壁10bを形成する際に、ねじ部材(図示省略)により縁枠取付部161kと固定される部分が、他方の側板13bのかご室10a外側に位置し、他方の側板13bによってかご室10a内の乗客からは見えない。なお、縁枠161eの各取付部161o〜161qには、図3および図4に示すように、縁枠161eが支持板161aに固定された際に、各板161a〜161dの端部と当接して、各板161a〜161dのがたつきを抑える目地161rが設けられている。つまり、縁枠161eは、目地161rを介して、各板161a〜161dを挟み込んで固定する。目地161rとしては、各板161a〜161dに対して可撓性を発揮するゴム材、いわゆるコーキング材、またはいわゆるシーリング材などが用いられる。
側面側取付部161qは、図4および図9に示すように、取付穴hを有しており、締結部材Tにより、支持板161aの縁枠側面側取付部161iと固定される。上端側取付部161oは、図3および図7に示すように、取付穴hを有しており、締結部材Tにより、支持板161aの縁枠上端側取付部161uと固定される。下端側取付部161pは、図3および図9に示すように、取付穴hを有しており、締結部材Tにより、支持板161aの縁枠下端側取付部161wと固定される。
支持フレーム162は、照光扉161をかご室10a内側に開閉可能に支持するものである。支持フレーム162は、図4に示すように、ヒンジHを介して照光扉161を支えている。支持フレーム162は、図3から図5に示すように、水平方向の幅が照光扉161の水平方向の幅より狭く、鉛直方向の幅が照光扉161の鉛直方向の幅より広い。支持フレーム162は、鉛直方向において、照明装置14aのカバー14bと照光扉161とが干渉しない幅に設定、つまり床板11からカバー14bまでの幅と同等の幅に設定されている。支持フレーム162は、図3に示すように、床板11に対して、かご室10a外側で、締結部材Tにより取り付けられ、固定されている。また、支持フレーム162は、図4に示すように、一方の側板13aに対して、かご室10a外側で、チャンネル鋼Cと締結部材Tとにより取り付けられ、固定されている。支持フレーム162は、図11に示すように、フレーム本体部162aと、パネル取付部162bと、床板取付部162cと、側板取付部162dと、ブラケット162eと、を一体に有している。
フレーム本体部162aは、図11に示すように、鉛直方向に間隔をおいて、複数の点検口162fを有している。点検口162fは、昇降路側から作業員が点検するための開口である。点検口162fは、図6に示すように、点検カバー162hにより覆われて塞がれる。点検カバー162hは、点検口162fより大きい平板状に形成されている。点検カバー162hは、複数の取付穴hを有しており、ねじ部材(図示省略)により支持フレーム162のかご室10a外側の面に取り付けられ、固定される。また、フレーム本体部162aのかご室10a内側の面には、図11に示すように、隣り合う点検口162fの間に磁石取付部162gが取り付けられている。つまり、フレーム本体部162aには、鉛直方向に間隔をおいて、複数の磁石取付部162gが取り付けられている。磁石取付部162gは、図4および図11に示すように、水平方向の一方の側板13a側の端部側に取り付けられている。磁石取付部162gは、鉛直方向視で、L字形状に形成されている。磁石取付部162gには、照光扉161の支持板161aのかご室10a外側の面と対向して接触し、支持板161aに吸着する磁石162iが取り付けられている。磁石162iは、例えば、かご室10a内の作業員によって照光扉161がかご室10a外側に向けて押される押下操作で、磁石取付部162gに対して、かご室10a内側に向けて突出した突出状態と、かご室10a外側に向けて後退した後退状態とに切り替え可能な進退機構(いわゆるプッシュ式マグネットキャッチ機構)を備えている。磁石162iとしては、特に限定されないが、フェライト磁石、ネオジム磁石またはサマリウムコバルト磁石等、支持板161aを吸着することができる磁力の永久磁石が用いられる。また、磁石162iは、磁気回路を構成する継鉄(ヨーク)を備えていることが好ましく、継鉄と支持板161aとを接触させることが好ましい。
パネル取付部162bは、図3および図11に示すように、支持フレーム162の鉛直方向の上端部を曲げ加工等によりかご室10a内側に向けて曲げて形成されている。パネル取付部162bは、かご室10a外側で、締結部材Tにより上部パネル164が取り付けられる取付穴hを有している。つまり、パネル取付部162bは、締結部材Tにより、上部パネル164に取り付けられ、固定される。
床板取付部162cは、支持フレーム162の鉛直方向の下端部を曲げ加工等によりかご室10a内側に向けて曲げて形成されている。床板取付部162cは、かご室10a外側で、締結部材Tにより床板11に取り付けられる取付穴hを有している。つまり、床板取付部162cは、締結部材Tにより、床板11に取り付けられ、固定される。
側板取付部162dは、図4および図11に示すように、支持フレーム162の水平方向の一端部(一方の側板13a側の端部)を曲げ加工等によりかご室10a内側に向けて曲げて形成されている。側板取付部162dは、鉛直方向視で、L字形状に形成されている。側板取付部162dは、かご室10a外側で、締結部材Tにより、一方の側板13aに取り付けられて、固定される。
ブラケット162eは、図4および図11に示すように、支持フレーム162の水平方向の他端部(他方の側板13b側の端部)を曲げ加工等によりかご室10a内側に向けて曲げて形成されている。ブラケット162eには、他方の側板13b側の面に、鉛直方向に間隔をおいて、図13に示すヒンジHを構成するU字状羽根162jが複数取り付けられている。
U字状羽根162jは、図12および図13に示すように、板状羽根161jとともにヒンジHを構成する他方の羽根である。U字状羽根162jは、支持フレーム162のブラケット162eに固定されるU字状部162kと、芯棒Sを介して板状羽根161jに連結される軸筒部162mと、を一体に有している。U字状部162kは、鉛直方向視で、U字状に形成されている。U字状部162kは、ブラケット162eに対して締結されるねじ部材(図示省略)が取り付けられる取付穴hを有している。また、U字状部162kは、取付穴hとは反対側に規制部162nを一体に有している。規制部162nは、板状羽根161jと当接することで、板状羽根161jの芯棒S周りの回動を規制するものである。規制部162nは、板状羽根161jの板状部161sに当接する当接部162oが形成され、鉛直方向視で、五角形状の平板状に形成されている。規制部162nは、図14に示すように、ヒンジHを介して支持フレーム162に支持される照光扉161を開放しても、ヒンジHを回動中心として開放された照光扉161が他方の側板13bに接触する前に、板状部161sと当接するように設定されている。つまり、規制部162nは、照光扉161が支持フレーム162に対して開放された開放位置を規制する。軸筒部162mは、U字状部162kに対して鉛直方向の中央に一つ配置され、鉛直方向に貫通する円筒状に形成されている。軸筒部162mは、芯棒Sが挿抜可能に挿入され、芯棒Sを鉛直方向に平行な回動中心として回動可能である。軸筒部162mは、芯棒Sを介して板状羽根161jの軸筒部161tと同軸上で連結され、軸筒部161tに対して相対的に回動される。なお、開放位置は、かご室10a内の作業員により芯棒Sを挿抜することができる程度に照光扉161が開放され、かつ他方の側板13bと照光扉161とが干渉しない位置である。
ここで、ヒンジHは、図13に示すように、芯棒Sが各軸筒部161t、162mに挿抜可能に挿入され、板状羽根161jとU字状羽根162jとが互いに芯棒S周りに相対的に回動可能かつ着脱可能に連結されることで、構成される。つまり、ヒンジHには、照光扉161が支持フレーム162に対して開放された開放位置を規制する規制部162nが設けられている。また、ヒンジHは、図4に示すように、照光扉161に対してかご室10a外側に配置され、照光扉161の水平方向の他方の側板13b側の端部から一方の側板13a側に偏倚した位置に配置されている。このため、照光扉161は、支持フレーム162に対して、ヒンジHを介して着脱可能に取り付けられ、かつかご室10a内側に開閉可能に支持される。また、照光扉161は、支持フレーム162に対して照光扉161が開放される際に、照光扉161の水平方向の他方の側板13b側の端部が、かご室10a外側に向かって移動する。
遮光カバー163は、照光扉161からの光が昇降路側へ漏れることを防止するものである。遮光カバー163は、図4から図6に示すように、一方の側板13aと平行なカバー本体部163aと、他方の側板13bと平行な側板取付部163bと、を一体に有している。つまり、遮光カバー163は、鉛直方向視で、L字形状に形成されている。カバー本体部163aのかご室10a外側の面には、点検口(図示省略)を覆って塞ぐ点検カバー163cが取り付けられている。側板取付部163bは、他方の側板13bと締結する締結部材Tが取り付けられる取付穴hを有している。つまり、遮光カバー163は、図4に示すように、他方の側板13bに対して、かご室10a外側で、チャンネル鋼Cと締結部材Tとにより取り付けられ、固定されている。
上部パネル164は、照光扉161の鉛直方向の上方に配置されるパネルである。上部パネル164は、図2および図3に示すように、天井板14と照光扉161との間に配置されている。上部パネル164は、一方の側板13aのかご室10a内側の表面と平行で面一となるパネル本体部164aと、パネル本体部164aの下端側が曲げ加工等によりかご室10a外側に向けて曲げられたフレーム取付部164bと、を一体に有している。つまり、パネル本体部164aは、L字形状に形成されている。パネル本体部164aは、鉛直方向の幅が照明装置14aのカバー14bの鉛直方向の幅と同じ幅で、水平方向の幅が縁枠161eの水平方向の幅と同じである。つまり、パネル本体部164aは、鉛直方向に平行な平板状に形成され、水平方向の幅が鉛直方向の幅より広い長方形状に形成されている。パネル本体部164aは、図3に示すように、天井板14に対して、かご室10a外側で、チャンネル鋼Cと締結部材Tとにより取り付けられ、固定されている。パネル本体部164aは、側板13との一体感を演出するために、側板13aのかご室10a内側の表面と同様の外観であることが好ましい。フレーム取付部164bは、支持フレーム162と締結される締結部材Tが取り付けられる取付穴hを有している。フレーム取付部164bは、支持フレーム162に対して、かご室10a外側で、チャンネル鋼Cと締結部材Tとにより取り付けられ、固定されている。また、フレーム取付部164bには、支持フレーム162を固定するための固定手段164cが着脱可能に取り付けられている。固定手段164cは、チャンネル鋼Cに固定されるナットと、ナットと螺合して鉛直方向に立設されるボルトとから構成されている。固定手段164cは、チャンネル鋼Cに対して締め付けることで、鉛直方向の下方に突出して縁枠161eの上端側取付部161oと当接し、照光扉161が支持フレーム162に対して開放されることを規制する。また、固定手段164cは、ボールプランジャ12aにより縁枠161eの鉛直方向の下端部が上方に向けて押されていることから、ボールプランジャ12aを鉛直方向の下方に押し返す程度に締め付けることで、照光扉161を支持フレーム162に対して固定する。
駆動機構20は、図1に示すように、例えば、昇降路内に設けられている。駆動機構20は、図示しない周知の巻き上げ機と、巻き上げ機の出力軸に取り付けられた駆動シーブ21と、を備えている。駆動シーブ21は、その鉛直方向の上方に、乗りかご10とカウンタウェイト30とに取り付けられたメインロープ22が架けられている。
カウンタウェイト30は、昇降路内に鉛直方向に移動可能に収容されている。カウンタウェイト30は、一対のウェイト用ガイドレール3同士の間に位置する大きさに形成されている。一対のウェイト用ガイドレール3は、互いに水平方向に間隔をおいて、互いに鉛直方向に平行に延在されて昇降路内に設けられている。
エレベータ制御部40は、例えば、昇降路内に設けられている。エレベータ制御部40は、図示しないRAM、ROM、CPU、入出力ポートおよび記憶装置を備えた演算装置である。エレベータ制御部40は、テールコード41を備えている。テールコード41は、かご電源等に電力を供給する動力線やかご室10a内の操作盤等との間で制御信号を伝送する伝送線を束ねたコードである。テールコード41は、一端が乗りかご10に接続され、他端がエレベータ制御部40に接続されている。エレベータ制御部40は、エレベータ1の全体の動作を制御する。
次に、上記のように構成された実施形態1に係るエレベータ1の基本動作について説明する。
エレベータ1は、かご室10a内の操作盤による行先階登録操作、または乗り場の呼び装置による呼び登録操作に基づいて、乗りかご10の現在階、乗りかご10の昇降方向等に応じて駆動機構20の駆動動作を制御し、乗りかご10を任意の階の乗り場へと移動させる。ここで、エレベータ1では、任意の階の乗り場の着床位置に乗りかご10が着床していることを検出すると、かごドア15および乗り場ドアを開放する。また、エレベータ1では、かご室10a内の乗客が乗り場に降りることが可能になり、乗り場の乗客がかご室10a内に乗り込むことが可能となる。
また、エレベータ1では、かご電源から発光素子161mの駆動回路に電力が供給され、発光素子161mから導光板161cの水平方向の端部(他方の側板13b側の端部)に対して光が照射され、照射された光が導光板161c内で反射され、透光板161dと対向する面を面発光させ、透光板161dを透過してかご室10a内側へ照光される。つまり、エレベータ1では、側壁10bの少なくとも一部を構成する照光扉161がかご室10a内側に照光する。
以上のように、実施形態1に係る照光式側板16によれば、光を照射する発光素子161mと、発光素子161mから照射された光を導光し、かご室10a内側に照光する導光板161cと、を備えた照光扉161が、かご室10aの側壁10bの一部を構成している。このため、実施形態1に係る照光式側板16によれば、側壁10bを構成する照光扉161からかご室10a内側に照光することができる。したがって、実施形態1に係る照光式側板16によれば、側壁10bからかご室10a内側に照光することができる。
また、実施形態1に係る照光式側板16によれば、かご室10aの側壁10bからかご室10a内側に照光することで、かご室10a内の乗客に対して、開放感を与えることができ、圧迫感を与えることがない。
また、実施形態1に係る照光式側板16によれば、かご室10aの側壁10bの一部からかご室10a内側に照光するため、側壁10bの全面からかご室10a内側に照光する場合に比べて、かご室10a内の乗客に対して、落ち着いた印象を与えることができる。
また、実施形態1に係る照光式側板16によれば、透光板161dに模様や色彩、またはこれらの組み合わせを施すことで、かご室10a内の乗客に対して、視覚を通じて美観を起こさせることができる。このため、実施形態1に係る照光式側板16によれば、かご室10a内の乗客に対して、退屈感を与えることがない。
また、実施形態1に係る照光式側板16によれば、導光板161cに光を照射する発光素子161mがエッジライトであるので、導光板161cや透光板161dが重ねられる方向の照光扉161の幅(厚み)を抑制することができる。
次に、図14から図17を参照して、実施形態1に係るエレベータ1のメンテナンスについて説明する。図14は、実施形態1に係る照光式側板の動作の一例を示す斜視図である。図15は、実施形態1に係る照光式側板の動作の一例を示す図である。図16は、実施形態1に係る照光式側板の着脱の動作の一例を示す図である。図17は、実施形態1に係る照光式扉のメンテナンスの一例を示す図である。
エレベータ1は、作業員によるメンテナンスモードへの切り替え指示入力に基づいて、乗りかご10を所定の階の乗り場へ移動させ、所定の階の乗り場の着床位置に乗りかご10が着床していることを検出した後、必要があれば、かごドア15および乗り場ドアを開放させる。ここで、エレベータ1では、エレベータ制御部40により、エレベータ1の運転モードが通常運転モードからメンテナンスモードへ切り替えられ、かご電源から発光素子161mの駆動回路への電力の供給が停止される。
昇降路側の作業員が照光扉161と固定手段164cとの締結を解除した後、かご室10a内側の作業員が照光式側板16の照光扉161をかご室10a外側に向かって押し込むことで、支持フレーム162の磁石162iがプッシュ式マグネットキャッチ機構によってかご室10a内側に突出し、一方の側板13aと照光扉161との間に、作業員が手指を差し入れることのできる隙間を形成する。ここで、照光式側板16では、ボールプランジャ12aと固定手段164cとによる縁枠161eの固定が解除される。また、照光式側板16では、磁石162iが支持板161aと当接しており、一方の側板13aと照光扉161との間に隙間が形成された状態で、支持フレーム162に照光扉161が保持される。また、照光式側板16では、かご室10a内側の作業員により、照光扉161のかご室10a内側の表面、つまり透光板161dが養生カバーや養生シートで覆われる。
かご室10a内の作業員が一方の側板13aと照光扉161との間の隙間に手指を差し入れて、照光扉161をかご室10a内側に向けて引き、図14および図15に示すように、照光扉161を支持フレーム162に対して開放する。ここで、照光式側板16では、照光扉161の水平方向の他方の側板13b側の端部が、かご室10a外側に向かって、ヒンジHの芯棒S周りにかご室10a外側に向かって移動する。また、照光式側板16では、図15に示すように、規制部162nに板状羽根161jが当接し、支持フレーム162に対して開放された照光扉161の開放位置が規制され、照光扉161が他方の側板13bと接触しない。また、照光式側板16では、照明装置14aのカバー14bと照光扉161とが接触しない。
かご室10a内の作業員が照光扉161と支持フレーム162との間に入り、例えばラジオペンチ等の工具を用いて芯棒Sを鉛直方向の上方に引き抜いて、図16に示すように、支持フレーム162から照光扉161をかご室10a内側へ取り外す。ここで、照光式側板16では、芯棒Sが引き抜かれる前に、かご室10a内の作業員により、コネクタ機構によるかご電源と発光素子161mの駆動回路との接続が解除される。
かご室10a内の作業員が支持板161aから縁枠161eを取り外し、図17に示すように、支持板161a、背板161b、導光板161c、透光板161dおよび縁枠161eを必要に応じて取り換えたり、LEDチップを交換したり、取り外された照光扉161を他の照光扉161と交換したりする。
取り換えや交換などを実施した後、かご室10a内の作業員が支持フレーム162に対して照光扉161を開放位置に保持しつつ、板状羽根161jの軸筒部161tとU字状羽根162jの軸筒部162mとに芯棒Sを挿入し、支持フレーム162と照光扉161とをヒンジHで連結する。ここで、照光式側板16では、かご室10a内の作業員により、かご電源と発光素子161mの駆動回路とがコネクタ機構で接続される。
かご室10a内の作業員が養生カバーや養生シートを照光扉161から取り外し、照光扉161をかご室10a外側に押し込んで、支持板161aを磁石162iに当接させて吸着させる。ここで、照光式側板16では、磁石162iがプッシュ式マグネットキャッチ機構によってかご室10a外側に後退し、一方の側板13aと照光扉161とが面一となる。また、照光式側板16では、縁枠161eの鉛直方向の下端部にボールプランジャ12aが当接される。
昇降路側の作業員が固定手段164cを照光扉161に対して締め付け、ボールプランジャ12aと固定手段164cとにより照光扉161を固定する。ここで、エレベータ1では、作業員による通常運転モードへの切り替え指示入力に基づいて、エレベータ1の運転モードがメンテナンスモードから通常運転モードへと切り替えられる。また、エレベータ1では、エレベータ制御部40により、かご電源から発光素子161mの駆動回路への電極が供給され、照光扉161がかご室10a内側に照光する。
以上のように、実施形態1に係る照光式側板16によれば、支持フレーム162に対して照光扉161がヒンジHを介して着脱可能に取り付けられ、支持フレーム162に対して照光扉161がかご室10a内側に開閉可能に支持されるので、照光扉161を支持フレーム162に対してかご室10a内側に開放することができ、照光扉161を支持フレーム162からかご室10a内側に取り外すことができる。このため、実施形態1に係る照光式側板16によれば、かご室10a内で、照光扉161を構成する各板161a〜161dおよび縁枠161eを取り換えたり、照光扉161を交換したりといったメンテナンスを実施することができる。したがって、実施形態1に係る照光式側板16によれば、かご室10a内でメンテナンスを容易に実施することができ、保守しやすく、安全性を向上することができる。
また、実施形態1に係る照光式側板16によれば、かご室10a内で透光板161dの取り換えを実施することができるので、透光板161dの模様や色彩などを取り換えることで、容易にかご室10a内の意匠を変更することができる。したがって、実施形態1に係る照光式側板16によれば、例えば定期メンテナンスの際に、透光板161dの模様や色彩などを取り換えると、定期的にかご室10a内の意匠が変更されるので、すでに利用したことのある乗客に対して、定期的に新しい美観を与えることができる。
また、実施形態1に係る照光式側板16によれば、照光扉161が他方の側板13bに接触する前に、U字状羽根162jの規制部162nが板状羽根161jの板状部161sに当接し、照光扉161が支持フレーム162に対して開放された開放位置を規制するので、照光扉161と他方の側板13bとの干渉を防ぐことができる。したがって、実施形態1に係る照光式側板16によれば、隣接する側板13との干渉を防ぐことができる。
また、実施形態1に係る照光式側板16によれば、ヒンジHがかご室10a外側に配置されるので、かご室10a内の乗客からヒンジHが見えない。したがって、実施形態1に係る照光式側板16によれば、かご室10a内の乗客に対して、照光式側板16の美観を高めることができる。
また、実施形態1に係る照光式側板16によれば、メンテナンス時を除いて、照光扉161がボールプランジャ12aと固定手段164cとにより固定されているので、かご室10a内の乗客により照光扉161が不用意に開放されることを防ぐことができる。
また、実施形態1に係る照光式側板16によれば、かご電源から発光素子161mの駆動回路に電力を供給する動力線が、照光扉161と支持フレーム162との間に形成される隙間に配索されるので、コネクタ機構の着脱操作などを実施しやすく、メンテナンスをしやすい。
また、実施形態1に係る照光式側板16によれば、床板11、側板13および天井板14に対して、チャンネル鋼Cや締結部材Tにより取り付けられるので、組み付けしやすく、取り外しやすい。
〔実施形態2〕
次に、図18を参照して、実施形態2に係る照光式側板16Aについて説明する。図18は、実施形態2に係る照光扉の概略構成例を示す斜視図である。
実施形態2に係る照光式側板16Aは、発光素子161mから照射される光の発光パターンを制御する点で、実施形態1に係る照光式側板16とは異なっている。その他、上述した実施形態1と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略する。
図18に示す照光式側板16Aは、実施形態1に係る照光式側板16と同様に照光扉161と、支持フレーム162と、遮光カバー163と、上部パネル164と、を含み、発光制御手段165をさらに備えている。
発光制御手段165は、発光素子161mから照射される光の発光パターンを制御するものである。発光制御手段165は、図18に示すように、例えば、機能概念的に、発光パターン記憶部165aと、発光パターン選択部165bと、発光制御部165cと、を含んで構成されている。発光制御手段165には、発光素子161mの駆動回路と接続され、駆動回路に電力を供給する動力線や駆動回路に制御信号を伝送する伝送線を含むコード165dと、かご電源と接続され、発光制御手段165に電力を供給する動力線や発光制御手段165に制御信号を伝送する伝送線を含むコード165eと、が電気的に接続されている。発光制御手段165とコード165dとは、着脱可能なコネクタ機構を介して接続されている。発光制御手段165は、例えば、乗りかご10に設置、またはかご室10a内の操作盤内に設置されている。なお、コード165dは、照光扉161と支持フレーム162との間に形成される隙間に配索されている。
発光パターン記憶部165aは、発光素子161mを構成するLEDチップ内の赤色LED、緑色LEDおよび青色LEDの明暗パターン(色彩パターン)、各色LEDの点灯/消灯パターン、各色LEDの点滅パターン、これらの組み合わせの経時的変化パターン、背板161bの鉛直方向に間隔をおいて取り付けられた複数の発光素子161mの個々に対する発光パターン等、発光素子161mの種々の発光パターンを格納している。発光パターン記憶部165aは、タイミングチャートとして発光パターンを格納していてもよいし、プログラムとして発光パターンを格納していてもよい。また、発光パターン記憶部165aは、格納される発光パターンが書き換え可能であってもよい。
発光パターン選択部165bは、発光パターン記憶部165aに格納された種々の発光パターンから、一つまたは複数の発光パターンを選択するものである。発光パターン選択部165bは、予め設定された発光パターンを選択するようにしてもよいし、複数の発光パターンを周期的に繰り返したりランダムに選択したりするようにしてもよい。また、発光パターン選択部165bは、季節、時間帯、乗客人数、乗りかご10の停止する階数、乗りかご10の昇降、かごドア15の開閉などに対応する所定の発光パターンを適宜選択してもよいし、これらの発光パターンを組み合わせて選択してもよい。
発光制御部165cは、発光パターン選択部165bが選択した発光パターンにしたがって、発光素子161mの駆動回路を制御するものである。発光制御部165cは、発光パターン選択部165bが選択した発光パターンのタイミングチャート、またはプログラムを発光パターン記憶部165aから読み出して実行する。
次に、上記のように構成された実施形態2に係る照光式側板16Aによる基本的な照光制御について説明する。
照光式側板16Aは、照光扉161がかご室10a内側に、設定された発光パターンで照光する。ここで、発光制御手段165では、設定された発光パターンが発光パターン選択部165bにより発光パターン記憶部165aから選択され、選択された発光パターンが発光制御部165cにより発光パターン記憶部165aから読み出される。また、発光制御手段165では、読み出された発光パターンが発光制御部165cにより実行され、発光制御部165cにより発光素子161mの制御回路が制御され、選択された発光パターンで発光素子161mが発光される。
以上のように、実施形態2に係る照光式側板16Aによれば、上記の実施形態1に係る照光式側板16の効果に加えて、発光素子161mから照射される光の発光パターンを制御することで、かご室10a内の意匠を容易に変えることができる。つまり、実施形態2に係る照光式側板16Aによれば、容易に多彩なかご室10a内の意匠を表現することができる。したがって、実施形態2に係る照光式側板16Aによれば、かご室10a内の乗客に対して退屈感を与えない。
また、実施形態2に係る照光式側板16Aによれば、季節や時間帯などに応じて発光パターンを変更することで、かご室10a内の乗客を飽きさせない。
また、実施形態2に係る照光式側板16Aによれば、エレベータ1の定期的なメンテナンスの際に、発光パターン記憶部165aに格納される発光パターンを他の発光パターンに書き換えることで、すでにエレベータ1を利用したことのある乗客に対して、定期的に新しいかご室10a内の意匠を表現することができる。
また、実施形態2に係る照光式側板16Aによれば、照光扉161と支持フレーム162との間に形成される隙間にコード165dが配索されているので、照光扉161と支持フレーム162との間に形成される隙間で動力線や伝送線をまとめやすい。このため、実施形態2に係る照光式側板16Aによれば、コネクタ機構によりコード165dを着脱しやすく、メンテナンスしやすい。
なお、上述した実施形態2に係る照光式側板16Aによれば、発光制御手段165により発光素子161mの発光パターンを制御していたが、これに限定されず、例えばエレベータ制御部40により発光素子161mの発光パターンを制御するようにしてもよい。これにより、乗りかご10側の発光制御手段165を省略し、構成を簡略化することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。