コイン(硬貨)や紙幣などの貨幣を投入することにより自動的に精米作業を行わせる、コイン式精米機などとも称せられる自動精米設備は、既に広く知られている。この自動精米設備は、建屋の内部が、仕切壁により、利用客が自由に行き来できる客室と、管理者や保守点検員などの限定した人しか入ることができない機械室とに仕切られている。そして、機械室内に、利用者が投入した被処理米から石などの異物を除去する石抜機や、実際に精米動作を行う精米機などが配設されている。
従来の自動精米設備では、精米対象となる被処理米(玄米など)が投入される投入ホッパ(張込ホッパとも称せられる)や、精米した被処理米(白米)を排出する白米ホッパなどが、客室に臨んで開放された状態(客室に露出した状態)で配設されている(特許文献1、2等)。そして、前記投入ホッパの上面に開口された投入口から利用者が被処理米を投入するとともに、貨幣を投入することで、自動精米設備が稼動されて、被処理米が、機械室の内部に設けられた昇降機などの搬送装置を介して、石抜機や精米機に順次送られて精米されるよう構成されている。
しかし、この種の自動精米設備を人口が密集した都会などに設置した場合には、利用客以外の多数の人が自動精米設備の近くを通行することとなるため、客室に露出した投入口内に、一部の人がごみなどを投げ込むおそれがある。この場合には、投げ込まれたごみの一部が前記網などを通り抜けて被処理米と混じって処理される場合があるため、内部の搬送用通路や精米機、石抜機などの処理装置が不衛生となったり、前記処理装置が損傷(例えば、異物が詰まって精米機内の精米用ロールなどを損傷することがある)したり、ごみに含まれていたものが白米に混じったりするおそれ(不具合)がある。
このような不具合を解消する構造として、図18〜図20に示すように、投入口101に連通する連通開口部106(図20参照)を開閉する開閉扉102を上下にスライド自在に配設した自動精米設備が、特許文献3等に開示されている。この自動精米設備では、利用者により貨幣が投入されるまでは、開閉扉102を閉じて投入口101が客室側に露出しない状態とし、利用者により貨幣が投入されると開閉扉102が開けられ、精米処理が終わると開閉扉102を閉じられるよう構成されている。
この構成によれば、自動精米設備を利用しない場合には、開閉扉102が閉じられているので、利用者でない者によりごみなどが投入口101内に投げ込まれることを防止でき、これにより、ごみなどの内部の侵入による上記不具合を防止できる。
なお、開閉扉102は、図20に示すように、客室104と機械室105とを仕切る仕切壁103に沿うように形成されて投入口101へ連通する連通開口部106において上下にスライドするよう構成されている。図18に示すように、開閉扉102の下部には、投入口101の内部を視認できるように確認用窓部が設けられて、この確認用窓部に、透光性を有する透光板107が、開閉扉102に沿った鉛直姿勢で配設されている。
しかしながら、図18〜図20に示す自動精米設備においては、開閉扉102が閉じられた状態において、透光板107が鉛直姿勢で配設されているため、透光板107を正面側から見ると連通開口部106の奥側の背面部分はよく見えるが、投入口101の内部については見え難い場合があった。また、投入口101内をよく見るために、透光板107を斜め上方から見ようとすると、顔を開閉扉102における透光板107の上方箇所に近づけなければならず、不便である課題もあった。
また、図18〜図20に示す自動精米設備では、図19、図20に示すように、投入口101の全ての領域が仕切壁103よりも奥側(機械室105側)に配設されているため、利用客が被処理米を投入する際に、被処理米を収容した収容袋などを仕切壁10よりも奥側の投入口101まで差し入れた状態で上下にひっくり返さなければ(逆さにしなければ)ならず、利用者への負担が大きくなって、利便性が低下するおそれがあった。
本発明は上記課題を解決するもので、利用者でない者によりごみなどが投入口内に投げ込まれることを防止できると同時に、開閉扉が閉じられている状態でも、投入口内を良好に視認することができ、また、利便性も良好である自動精米設備を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために本発明は、投入された被処理米に対して精米処理を行う自動精米設備であって、仕切壁により仕切られた客室および機械室と、利用者が被処理米を投入する投入口と、上下方向にスライド可能に配設され、前記投入口へ連通する連通開口部を開閉する開閉扉と、を備え、前記開閉扉が折曲部を介して上下に分割され、前記開閉扉が下方にスライドされて、前記連通開口部を前記開閉扉により閉じた際に、前記開閉扉における折曲部よりも下方の部分が、下方側ほど大きく客室側に延びる傾斜姿勢となるように配設され、
前記開閉扉における折曲部よりも下方の部分には、透光性を有して投入口内部を視認可能な透光板が設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、開閉扉により連通開口部を閉じた際に、前記開閉扉の透光板が、透光板の下方側ほど大きく客室側に延びる傾斜姿勢となるよう配設されているので、前記透光板に対して略直交するように斜め下方に見ることで、前記開閉扉の透光板を通して、投入口内を良好に視認することができる。
また、本発明は、前記投入口の少なくとも一部が前記仕切壁よりも客室側に突出されて配設されていることを特徴とする。この構成により、被処理米を投入口に投入する際に、被処理米を収容した収容袋などを奥側(機械室側)に移動させる距離が少なくて済み、利用者への負担を軽減できて利便性が向上する。
また、本発明は、開閉扉における折曲部よりも下方の部分を、前記開閉扉が下方にスライドされた際に客室側に案内して移動させる開閉扉傾斜案内部が設けられていることを特徴とする。
この構成により、前記連通開口部を前記開閉扉により閉じた際に、前記透光板を、この透光板の下方側ほど大きく客室側に延びる傾斜姿勢となるように配設することができる。
また、本発明は、被処理米を収容した収容袋を載せることが可能な載台が客室側に突出した姿勢で配設され、前記載台における左右の少なくとも一方の辺が、平面視して手前側ほど横幅が小さくなるように傾斜または切欠かれていることを特徴とする。
この構成により、前記載台における左右の少なくとも一方の辺が、単に手前側に延びた形状の場合と比較して、利用客が被処理米を投入口に投入する際に投入口に近づくことができて、利便性が向上する。
以上のように本発明によれば、開閉扉が折曲部を介して上下に分割され、前記開閉扉が下方にスライドされて、前記連通開口部を前記開閉扉により閉じた際に、前記開閉扉における折曲部よりも下方の部分が、下方側ほど大きく客室側に延びる傾斜姿勢となるように配設され、前記開閉扉における折曲部よりも下方の部分には、透光性を有して投入口内部を視認可能な透光板が設けられていることにより、前記開閉扉の透光板を通して、投入口内を良好に視認することができる。これにより、利用者でない者によりごみなどが投入口内に投げ込まれることを防止できると同時に、開閉扉が閉じられている状態でも、投入口内を良好に視認することができる。したがって、被処理米の投入前に投入口内の状態を視認することができて、前の利用者等が残した被処理米を予め確認したり、投入口内の衛生状態を予め確認したりすることが可能となる。
また、投入口の少なくとも一部を仕切壁よりも客室側に突出させて配設させることで、被処理米を投入口に投入する際の利用者の負担を軽減できて利便性を向上させることができる。また、開閉扉における折曲部よりも下方の部分を、前記開閉扉が下方にスライドされた際に客室側に案内して移動させる開閉扉傾斜案内部を設けることにより、比較的簡単な構成で、連通開口部を開閉扉により閉じた際に、前記透光板をこの透光板の下方側ほど大きく客室側に延びる傾斜姿勢となるように構成することができて、製造コストの増加を最小限に抑えることができる。
また、被処理米を収容した収容袋を載せることが可能な載台を客室側に突出した姿勢で配設し、前記載台における左右の少なくとも一方の辺を、平面視して手前側ほど横幅が小さくなるように傾斜または切欠くことにより、利用客が被処理米を投入口に投入する際に、利用客が投入口に近づくことができて、利便性が向上する。
以下、本発明の実施の形態にかかる自動精米設備を図面に基づき説明する。
図1〜図6などに示すように、この自動精米設備においても、仕切壁1により建屋2の内部が、利用客が自由に出入りできる客室3と、係員や管理人などが出入り可能な機械室4とに仕切られた構造とされている。なお、図1における5Aは精米済みの白米を収容する白米の収容袋、図2〜図4における5Bは玄米などの被処理米を収納する被処理米の収容袋、6は客室3への出入口に配設されている出入口扉、7は係員や管理人などが出入りする管理用扉である。なお、被処理米の収容袋5Bを白米の収容袋5Aとして兼用する場合もある。
機械室4には、被処理米(玄米)が投入される投入ホッパ8の本体枠部分、投入ホッパ8内に投入された被処理米を石抜機9側に搬送する張込昇降機10、投入された被処理米から石などの異物を取り除く石抜機9、石抜機9で異物が取り除かれた被処理米を精米機11側に搬送する精米昇降機12、実際に精米処理を行う精米機11、精米機11で発生した糠を糠回収袋13側に排出するための糠排出用送風機14や糠排出用ダクト15A、15B、糠排出用サイクロン16、精米された白米を溜める白米ホッパ19などが配設されている。また、機械室4内における精米機11の略上方箇所に、精米機11へ供給する被処理米を一時的に溜める精米タンク17が配置され、さらに、石抜機9の上方に、石抜機9へ供給する被処理米が一時的に溜められるとともにこの被処理米から、わらなどの夾雑物が除去される夾雑物除去装置としても用いられる玄米タンク18が配設されている。
精米機11は、図7、図8に示すような構造とされている。すなわち、玄米供給用モータ35により回転される供給用スクリュ29によって、被処理米(玄米)が供給用ケーシング30を通して、縦方向に配置された本体ケーシング21内の精米室27内に送り込まれる。精米室27内では、駆動モータ20(図6参照)により駆動プーリ25を介して中空の回転軸22が回転されており、中空の回転軸22の上部に取り付けられた送りロール23によって被処理米(玄米)が精米室27内の下方に送られつつ、回転軸22の下方寄り箇所に取り付けられた精米ロール24と、これより所定距離外周側に離れた網26(精米室27の外殻部分をなす)との間で被処理同士が搗精されて(摺りあわされて)精米あされる。また、網26内の糠は糠排出部28を介して空気とともに糠排出用送風機14により吸引して糠回収袋13内に排出される。
なお、図示しないが、糠排出用送風機14は送風ケーシング内で送風羽根が糠排出用モータによって回転される。また、本体ケーシング21の下端部には、精米室27からの開度を調節することで精米の際の圧力などを調整する開度規制部材31と、この開度規制部材31と精米ロール24との間から排出される白米を下方に案内する排出筒32とが、それぞれ昇降自在に嵌合されている。そして、精米ロール24を駆動させる駆動モータ20の電力量などから精米ロール24の負荷(精米状態の負荷)を検出しながら、開度調整用モータ33を作動させることで、開度調整用アーム34を介して開度規制部材31の上下位置を変えて、利用者が選択した精米白度に合った白度の米が得られるように白度制御が行われる。なお、図7、図8における33は開度調整用モータ、36は開度調整用モータ33に連結されたねじ軸に螺合して昇降される開度調整用ブロック、37は、開度調整用ブロック36によりその下方への押圧力が調整される付勢ばねである。
図3、図4、図9、図10などに示すように、投入ホッパ8の上面開口部分である投入口40の上方箇所には、仕切壁1から機械室4側(奥側)に窪むように一体形成されてなる投入フード41が設けられ、この投入フード41によって投入空間部42が形成されている。そして、この投入空間部42を介して投入口40が客室3に連通するとともに開口するように配設されている。なお、この実施の形態では、投入口40に、大きな異物が中に入らないように金属製の網が取り付けられている。
図4、図9、図12〜図15などに示すように、この自動精米設備においては、投入口40に臨む投入空間部42と客室3内の空間とが、連通開口部43を介して連通され、この連通開口部43が、図3、図4、図9〜図15などに示すように、上下方向にスライド可能に配設された開閉扉44によって開閉される。ここで、開閉扉44は、水平方向に延びる軸心部を中心として蝶番(ヒンジ)状に接続された折曲部47を介して、上下に二分割されており、中央部から上部をなす開閉扉本体45と、開閉扉44の下部をなす開閉扉下部46とから構成されている。また、開閉扉下部46には、投入口40(投入ホッパ8)の内部を視認できるように確認用窓部が貫通して形成されており、この確認用窓部に、透光性を有する透光板48が配設されている。
ここで、この自動精米設備では、投入口40および投入ホッパ8の前部が仕切壁1よりも客室3側に突出されて配設されている。また、これに対応して、開閉扉44が完全に閉じられた状態で、透光板48が設けられている開閉扉下部46が、下方側ほど大きく客室3側に延びる傾斜姿勢となるように配設されている。
詳しく述べると、開閉扉44は、連通開口部43を閉鎖する閉鎖姿勢(閉じられている状態であり、図3、図9、図10、および図11の実線部参照)と、この閉鎖姿勢より上方に移動して連通開口部43を開放する開放姿勢(開けられている状態であり、図4、図14、図15、および図11の仮想線部ならびに、一部開けられている状態については図12、図13参照)とにわたって昇降する。そして、開閉扉44により連通開口部43を全て開放した時には、開閉扉44が仕切壁1に沿った鉛直姿勢となるように配置されている。一方、開閉扉44により連通開口部43を全て閉鎖した時には、開閉扉本体45は鉛直面に沿った姿勢となるように配置されているが、透光板48が設けられている開閉扉下部46は、その下方側部分ほど大きく客室3側に延びる傾斜姿勢となるように配設されている。図9、図11、図12、図14に示すように、開閉扉本体45の両側部における上端部近傍箇所と下端部近傍箇所には、それぞれ本体案内用ガイドローラ53が転動自在に取り付けられている。また、開閉扉下部46の両側部における下端部近傍箇所には、下部案内用ガイドローラ54が転動自在に取り付けられている。
図11などに示すように、仕切壁1の裏面における開閉扉44の移動範囲の左右の側部には上下に延びる縦支持枠51がそれぞれ固着されている。そして、これらの縦支持枠51における連通開口部43の上部両側部から上方に延びるように、本体案内用ガイドローラ53および下部案内用ガイドローラ54に摺接して開閉扉44を昇降自在に案内する開閉扉垂直案内部52がそれぞれ取り付けられている。また、図12〜図15などに示すように、投入フード41における連通開口部43の下部両側部箇所には、仕切壁1から前方(客室3側)に向けて略板状に突出する突出支持部41aが形成されており、この突出支持板部41aも、その下方側部分ほど大きく客室3側に延びる傾斜姿勢となるように形成されている。そして、この突出支持板部41aの内側に、下部案内用ガイドローラ54に摺接する開閉扉傾斜案内部55が溝状に窪んで形成され、この開閉扉傾斜案内部55により、開閉扉44における透光板48が配設されている部分を、開閉扉44が下方にスライドされた際に客室3側に案内して移動させるよう構成されている。
また、図2〜図4、図9〜図15などに示すように、被処理米を収容した収容袋5Bを載せることが可能な載台50が、投入ホッパ8の上部よりもさらに客室3側に突出した姿勢で配設されている。ここで、図2、図16などに示すように、この載台50における客室3の中央寄りの辺である左辺部50aは、平面視して手前側ほど横幅が小さくなるように傾斜されている。すなわち、この実施の形態では、載台50の左辺部50aが手前側ほど右側に寄るように傾斜された略台形状とされている。これにより、利用者が、収容袋5Bを載台50に載せた状態で、投入ホッパ8の投入口40に、より近づけるよう構成されている。
また、図3、図4、図9〜図15に示すように、開閉扉44の上辺部には、開閉扉44を、この開閉扉44の重量と略同じ力で引上げるための引上げ用チェーン62の下端部が固定されているとともに、開閉扉44を昇降させるためのループ状の昇降用チェーン61の一部が固定されている。
引上げ用チェーン62には、機械室4の天井部近傍箇所に取り付けられた、中間スプロケット68、69を介して、他端部に、開閉扉44と略同様の重さのカウンタウェイト71が取り付けられている。そして、このカウンタウェイト71の重量が、開閉扉44に対して引上げ方向に作用することで、開閉扉44の重量とカウンタウェイト71の重量とが釣り合い、昇降用チェーン61が移動されていない状態では、開閉扉44はその位置が変動しないように図られているとともに、後述する比較的小さな駆動力の昇降用モータ65の力で支障無く開閉扉44を昇降できるように構成されている。
また、昇降用チェーン61は、投入フード41の天面部上側に回転自在に支承された従動スプロケット64と、仕切壁1の裏面上端部に取り付けられた減速機構付きの昇降用モータ65により回転される駆動スプロケット66との間で、上下に循環するようにループ状に配置されている。そして、昇降用モータ75で駆動スプロケット76が回転駆動されることにより、開閉扉44が昇降するように構成されている。
また、図1、図5などに示すように、客室3に臨む仕切壁1の略中央箇所(仕切壁1を正面視した場合には精米機11の下方の箇所)には、精米した被処理米を溜める白米ホッパ19が配設され、客室3の床面上における白米ホッパ19の下方近傍箇所には、白米ホッパ19の開閉シャッタを開閉する足踏み式の踏み台19aが配設されている。また、白米ホッパ19や精米機11の側方(客室3側から仕切壁1に向かって左側)には、その前面部が客室3に臨むように操作制御盤72が配設されている。操作制御盤72の前面部には、精米処理料金としてのコインを投入するコイン投入口72aや、精白度(例えば、5ぶ、7ぶ、普通、上白など)を選択する複数の精白度選択ボタン72bなどが設けられている。操作制御盤72の内部には、コインの投入の検知や精白度選択ボタン72bの選択などに応じて各部分を制御する制御部73(図2参照)が内蔵されている。
そして、この制御部73により、コイン投入口72aからコインが投入されたことを検知した時点で、開閉扉44が開放姿勢に移動されて開けられるようになっている。なお、客室3内の目立つ箇所には、案内表示板(図示せず)が取り付けられ、コインの投入により、開閉扉44が自動的に開けられることなどを示す案内表示が記載されている。また、操作制御盤72の一部にはスピーカなどの音声発生手段72cが設けられ、制御部73に設けられた記憶部には、利用者などへの案内メッセージが記憶されている。
また、図1〜図5に示すように、建屋2の客室3の一部、例えば、客室3内の出入口扉が設けられている箇所の上方に、客室3内の利用者の有無を検知する(例えば人体より発せられる赤外線の有無などにより検知する)人検知センサ77が設けられている。そして、精米機11の精米処理が終了した信号を制御部73が認識し、その後さらに、利用者が客室3から出て、客室3内に人がいないことが人検知センサ77により検知され、この検知信号を制御部73が認識してから、開閉扉44が自動的に閉じられるように構成されている。
上記構成において、利用者などが建屋2の客室3内にいない状態では、開閉扉44が閉じられるので、利用者でない者などによってごみなどが投入口40内に投げ込まれることが防止される。したがって、これに起因する不具合、すなわち、被処理米が導入される内部の搬送通路や精米機11、石抜機9などの内部の処理装置が不潔となったり、これらの装置が損傷したり、ごみに含まれていたものが白米に混じったりする不具合を防止することができる。この結果、精米機11、石抜機9などの処理装置などが衛生的に維持されるとともに、前記処理装置の損傷が防止され、信頼性が向上する。
一方、利用者が建屋2の客室3内に入ると、人検知センサ77が、利用者などが入ってきたことを検知し、料金(コイン)の投入を促す音声が出力される。この場合に、利用者が被処理米を入れた収容袋5Bを持ち込んで、精米しようとした際に、予め、投入口40内の状態を見て、投入口40内に前の利用者の被処理米が残っていないことや不衛生でないことを予め確かめたい場合がある。この際、図17〜図19に示すような従来の自動精米設備では、透光板107が鉛直姿勢で配設されているため、透光板107を正面側から見ても投入口101の内部については見え難い場合があった。
これに対して、本実施の形態の自動精米設備によれば、開閉扉44により連通開口部43を閉じた際に、開閉扉44の透光板48が、透光板48の下方側ほど大きく客室3側に延びる傾斜姿勢となるよう配設されているので、利用者は、開閉扉44の透光板48に対して略直交するように斜め下方に見ることで、透光板48を通して、投入口40内を良好に視認することができる。したがって、被処理米の投入前に投入口40内の状態を予め視認することができて、前の利用者等が残した被処理米がないかどうか確認したり、投入口40内の衛生状態を確認したりすることが可能となり、信頼性が向上する。
なお、このようにして、投入口40内を確認した後、利用者がコイン投入口72aからコインなどの精米料金を投入すると、この料金の投入が検知されて、制御部73により昇降用モータ75が駆動されて開閉扉44が自動的に開けられる。これに対応して、利用者により被処理米を、投入空間部42を通して投入口40内に投入し、何れかの精白度選択ボタン72bが選択されて精白度(例えば、5ぶ、7ぶ、普通、上白など)が決定されると、精米処理が開始される。
ここで、本実施の形態では、投入口40および投入ホッパ8の前部が仕切壁1よりも客室3側に突出されて配設されている。これにより、利用者により被処理米を投入口40内に投入する際に、従来の自動精米設備のように投入口の全ての領域が仕切壁よりも奥側(機械室側)に配設されている場合と比較して、被処理米を収容している収容袋5Bを奥側(機械室4側)まで持ち込まなくても済む。この結果、被処理米を投入口40に投入する際の利用者の負担を軽減できて利便性を向上させることができる。
また、載台50の左辺部50aを、平面視して手前側ほど横幅が小さくなるように傾斜させたことにより、利用客が被処理米を投入口に投入する際に、利用客が一層、投入口40に近づくことができる。これにより、利用者の負担をさらに軽減できて利便性をより向上させることができる。
なお、コインが投入されるとともに何れかの精白度選択ボタン72bが選択されると、張込昇降機10および石抜機9が駆動されて異物除去動作が行われ、引き続き、精米昇降機12および精米機11が駆動されて精米処理が行われる。精米処理が終了した際には、白米が白米ホッパ19内に排出されているので、利用者が白米ホッパ19の下方に白米の収容袋5Aを置いた状態で、足踏み式の踏み台19aを踏んで、白米の収容袋5A内に白米を回収する。
この後、白米を回収した利用者が、客室3を出ると、この利用客が出たことが人検知センサ77に検知される。そして、人検知センサ77からの信号を入力した制御部73により、昇降用モータ75が駆動されて開閉扉44が下限位置(閉鎖位置)に達するまで閉鎖姿勢側に移動されて自動的に閉じられる。なお、この実施の形態においては、音声により、開閉扉44が自動的に閉じられることもアナウンスされる。
上記したように、本構成によれば、開閉扉44により連通開口部43を閉じた際に、開閉扉44の透光板48が下方側ほど大きく客室3側に延びる傾斜姿勢となるよう配設されているので、投入口40内を良好に視認することができる。また、上記構成によれば、開閉扉44を上下方向にスライド可能に配設する構成に、開閉扉44を開閉扉本体45と開閉扉下部46とに分割してこれらを折曲部47で接続し、閉鎖時に開閉扉下部46を案内する開閉扉傾斜案内部55を設けただけの比較的簡単な構成で、開閉扉下部46に設けられた透光板48を、下方側ほど大きく客室側に延びる傾斜姿勢となるように良好に、かつ製造コストの増加を最小限に抑えながら配設することができる。すなわち、開閉扉44を比較的簡単な構造とすることができるので、製造コストの増加も抑えることができる。
なお、上記実施の形態では、載台50の一方の辺(本実施の形態では左辺部50a)を、平面視して手前側ほど横幅が小さくなるように傾斜させた場合を述べたが、これに限るものではなく、図17に示すように、左辺部50aの一部(左辺部50a全体でもよい)を、平面視して手前側ほど横幅が小さくなるように切欠いてもよい。また、載台50の位置によっては、載台50の右辺を傾斜または切欠いたり、載台50の左右の辺を傾斜または切欠いたりしてもよい。
また、上記実施の形態では、被処理米が玄米である場合を述べたが、これに限るものではなく、籾摺装置を備えて、投入口に投入される被処理米が籾である自動精米設備にも適用できることはもちろんである。