JP5950189B2 - 熱転写インクシートおよび熱転写箔 - Google Patents
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基材シートと、該基材シートの一方の面に少なくとも2層の色材層と、を有してなる熱転写インクシートであって、
該色材層が、該基材シート側から順に、第一の色材層と第二の色材層とを有してなり、
該第一の色材層の光学濃度(OD値1)と該第二の色材層の光学濃度(OD値2)が、OD値1>OD値2の条件を満たす、熱転写インクシートが提供される。
基材と、該基材の一方の面に、離型層と、ハードコート層と、アンカーコート層と、受容層と、少なくとも2層の色材層と、をこの順に有してなる熱転写箔であって、
該色材層が、該基材側から順に、第二の色材層と第一の色材層とを有してなり、
該第一の色材層の光学濃度(OD値1)と該第二の色材層の光学濃度(OD値2)が、OD値1>OD値2の条件を満たす、熱転写箔が提供される。
被転写体と、該被転写体上に、上記の熱転写箔の色材層が転写されて形成された加飾層と、を有してなる加飾成形品が提供される。
下記の工程(1)〜(3):
(1)基材シートと、該基材シートの一方の面に少なくとも2層の色材層と、を有してなる熱転写インクシートを用意する工程であって、該色材層が、該基材シート側から順に、第一の色材層と第二の色材層とを有してなり、該第一の色材層の光学濃度(OD値1)と該第二の色材層の光学濃度(OD値2)が、OD値1>OD値2の条件を満たす、工程と、
(2)基材と、該基材の一方の面に、離型層と、ハードコート層と、アンカーコート層と、受容層と、をこの順に有してなる透明箔を用意する工程と、
(3)該透明箔の受容層上に、該熱転写インクシートを用いた熱転写プリンターによって、該色材層を転写する工程と
を含んでなる、熱転写箔の製造方法が提供される。
下記の工程(4)〜(7):
(4)上記の熱転写箔の製造方法により製造された熱転写箔を用意する工程と、
(5)インモールド成形用金型内に、該熱転写箔を挿入する工程と、
(6)該金型内に溶融した射出樹脂を射出注入する工程と、
(7)該熱転写箔と、該射出樹脂とを一体化させて、樹脂成形体の表面上に加飾層を形成する工程と
を含んでなる、加飾成形品の製造方法が提供される。
下記の工程(8)〜(10):
(8)上記の熱転写箔の製造方法により製造された熱転写箔を用意する工程と、
(9)被転写体上に、該熱転写箔を当接する工程と、
(10)当接したまま熱圧によりロール転写する工程と、
を含んでなる、加飾成形品の製造方法が提供される。
本発明による熱転写インクシートは、基材シートと、基材シートの一方の面に少なくとも2層の色材層と、を有してなるものである。熱転写インクシートは、基材シートと色材層の間に剥離層をさらに有してもよく、色材層上に接着層をさらに有してもよい。また、熱転写インクシートは、基材シートの他方の面に耐熱滑性層をさらに有してもよい。好ましい態様によれば、耐熱滑性層/基材シート/剥離層/色材層/接着層の順序で形成されてなる層構成を有する熱転写インクシートを用いるのがよい。本発明による熱転写インクシートは、透明箔(色材層転写前の状態の熱転写箔)の受容層上に、熱転写プリンターを用いて色材層を転写するのに好適に用いられる。
本発明に用いられる熱転写インクシートを構成する基材シートの材料は、従来公知のものを使用することができ、また、それ以外のものであっても、ある程度の耐熱性と強度とを有していれば使用することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイミド、ナイロン、酢酸セルロース、アイオノマー等の樹脂フィルム、コンデンサー紙、パラフィン紙等の紙類、不織布等が挙げられる。これらを単独で使用してもよいし、これらを任意に組み合わせた積層体を使用してもよい。これらの中でも、薄膜化可能で安価な汎用性プラスチックであるポリエチレンテレフタレートが好ましい。
熱転写インクシートの色材層は、少なくとも2層からなり、基材シート側から順に、第一の色材層と第二の色材層とを有してなる。本発明において、第一の色材層の光学濃度(OD値1)と第二の色材層の光学濃度(OD値2)は、OD値1>OD値2の条件を満たすものである。OD値1は、好ましくは1.2以上4.0以下であり、より好ましくは1.3以上3.5以下であり、さらに好ましくは1.5以上3.0以下である。OD値2は、好ましくは0.1以上1.0以下であり、より好ましくは0.1以上0.8以下であり、さらに好ましくは0.2以上0.6以下である。なお、色材層の光学濃度(OD値)は、例えば、マクベス透過濃度計 TR−927を用いて、従来公知の方法により測定することができる。色材層のOD値1とOD値2がこの条件を満たすことにより、熱転写箔を用いて被転写体に加飾を施した際に、加飾成形品の表面の虹ムラの発生を抑えることができる熱転写箔を製造することができる。
熱転写インクシートの剥離層は、熱転写の際に、色材層が基材シートからの剥離を容易に行うために設けられた層である。また、熱転写により熱転写インクシートから熱透明箔へと転写されて、熱転写箔を形成した後は、熱転写箔の色材層を保護するものである。また、加飾成形品を製造する際には、樹脂成形体の表面に接着する役割を果たすものであってもよい。本発明において、剥離層は、樹脂を含むものであり、添加剤等をさらに含んでもよい。剥離層の形成に用いる樹脂としては、熱可塑性樹脂を用いて形成するのがよい。例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、および塩素化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
熱転写インクシートの耐熱滑性層は、基材シートの他方の面(色材層と反対側の面)に設けられるものであり、熱転写プリンターのサーマルヘッドの熱によるスティキングやシワ等の悪影響を防止するためのものである。耐熱滑性層は、主に耐熱性樹脂からなるものである。耐熱性樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンまたはエポキシのプレポリマー、ニトロセルロース樹脂、セルロースナイトレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテート−ヒドロジエンフタレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、および塩素化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
本発明による熱転写箔は、基材と、該基材の一方の面上に、少なくとも、離型層と、ハードコート層と、アンカーコート層と、受容層と、少なくとも2層の色材層とをこの順に有してなるものである。熱転写箔は、色材層上に接着層をさらに有してもよい。また、熱転写箔は、基材の他方の面に帯電防止層をさらに有してもよい。好ましい態様によれば、帯電防止層/基材/離型層/ハードコート層/アンカーコート層/受容層/色材層/接着層の順序で形成されてなる層構成を有する熱転写箔が提供される。本発明の熱転写箔は、加飾成形品のインモールド成形やインサート成形等の射出成形用またはロール転写用として好適に使用される。
熱転写箔の基材は、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチルなどのアクリル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、三酢酸セルロース、セロファン、ポリカーボネート、ポリウレタン系などのエラストマー系樹脂などによるものが利用される。これらのうち、成形性および剥離性が良好である点から、ポリエステル系樹脂、特にポリエチレンテレフタレート(以下「PET」ということがある。)が好ましい。基材の厚さとしては、成形性や形状追従性、取り扱いが容易であるとの観点から、25〜150μmの範囲が好ましく、さらに38〜100μmの範囲がより好ましい。
熱転写箔の離型層は、少なくともハードコート層と、アンカーコート層と、受容層と、色材層とを有し、好ましくは接着層をさらに有する転写層が、基材からの剥離を容易に行うために設けられる層である。離型層を設けることで、本発明の熱転写箔から転写層を確実かつ容易に被転写体へ転写させ、帯電防止層と、基材と、離型層とを有する剥離シートを確実に剥離することができる。離型層に用いられる離型剤としては、メラミン樹脂系離型剤、シリコーン系離型剤、フッ素樹脂系離型剤、セルロース樹脂系離型剤、尿素樹脂系離型剤、ポリオレフィン樹脂系離型剤、パラフィン系離型剤、アクリル樹脂系離型剤、およびこれらの複合型離型剤等の離型剤が好ましい。これらのなかで、アクリル樹脂系離型剤およびポリオレフィン樹脂系離型剤が好ましく、アクリル−ポリエチレン系などのこれらを複合したものが特に好ましい。
熱転写箔のハードコート層は、転写層が熱転写箔から樹脂成形体へと転写された後は、加飾成形品の最外層となり、摩耗や光、薬品等から成形品や加飾層を保護するための層である。ハードコート層は、電離放射線硬化性樹脂を含むものであることが好ましく、電離放射線硬化性官能基を有するポリマーを用いて形成されることが好ましい。電離放射線硬化性とは、電磁波または荷電粒子線の中で分子を架橋・重合させうるエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線または電子線等の照射により励起して、重合反応を生じることにより架橋・硬化する性能のことである。また、電離放射線硬化性官能基とは、上記電離放射線硬化性を発現しうる官能基のことであり、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基、およびエポキシ基からなる群から選択される少なくとも1種である。
熱転写箔のアンカーコート層は、ハードコート層と受容層との密着性を向上させるために設けられる層である。本発明において、アンカーコート層は、アクリルポリオールと多官能イソシアネートが反応してなる樹脂と、熱可塑性樹脂とを含むものであることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、および塩素化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。アクリルポリオールと多官能イソシアネートが反応してなる樹脂であるウレタン樹脂と、熱可塑性樹脂とによってアンカーコート層を形成することで、アンカーコート層の多官能イソシアネートの少なくとも一部と、受容層のアクリルポリオールまたは熱可塑性樹脂の少なくとも一部と反応または粘接着し、アンカーコート層と受容層の密着性を向上することができる。また、ハードコート層の電離放射線硬化性樹脂とアンカーコート層のアクリルポリオールと多官能イソシアネートが反応してなる樹脂(ウレタン樹脂)との親和性、アンカーコート層の熱可塑性樹脂と受容層の熱可塑性樹脂との親和性により、ハードコート層、アンカーコート層、および受容層の各層間の密着性を向上させることができる。
熱転写箔の受容層は、アンカーコート層へ直接印画できないため、熱転写による絵柄形成時に熱転写インクシートから転写される色材層を受容層上に形成および保持するためのものである。アンカーコート層との密着性と色材層を形成する熱転写性多色インクとの密着性が求められるためアンカーコート層と色材層の両方に親和性のある樹脂を使用することが好ましい。そのため、受容層は、アクリルポリオールと、熱可塑性樹脂とを含むものであることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、および塩素化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。アンカーコートと同様の熱可塑性樹脂を用いることで、アンカーコート層と受容層の密着性をより向上することができる。
熱転写箔の色材層は、少なくとも2層からなり、基材側から順に、第二の色材層と第一の色材層とを有してなる。本発明において、第一の色材層の光学濃度(OD値1)と第二の色材層の光学濃度(OD値2)は、OD値1>OD値2の条件を満たすものである。好ましい態様によれば、熱転写箔の色材層は、上記の熱転写インクシートを用いた熱転写プリンターによって、熱転写インクシートの色材層が転写して形成されるものである。なお、色材層の詳細は、上記の熱転写インクシートの色材層で説明したとおりである。また、熱転写箔は、受容層上に、下記の装飾層を色材層と面順次に設けたものであってもよい。
熱転写箔の装飾層は、熱転写箔の意匠性を付与するために設けられる層であり、模様、文字、およびパターン状の絵柄等を表現する柄層である。柄としては、例えば、木目、石目、布目、砂目、幾何学模様、文字、ストライプ状やグラデーションの絵柄等が挙げられる。なお、より深みのある意匠を表現するために、例えば絵柄層間に透明アンカーコート層及び/または透明メジウム層を挟むような層順とするなどの工夫を施してもよい。好ましい態様によれば、装飾層は、上記の熱転写インクシートを用いた熱転写プリンターによって、熱転写インクシートが転写して形成されるものである。このように熱転写により装飾層を形成することで、小ロット多品種での製造に対応でき、グラデーション等の複雑な意匠を表現することができる。また、印画する画像は、デジタル情報での画像処理工程のみであり、一般の製版、印版等の工程が不要となり、工程数の低減による納期の短縮および設備の不要によるコストの低減を実現することができる。
本発明における接着層は、色材層を接着性よく樹脂成形体に転写するための層である。本発明において、接着層は、樹脂を含むものであり、添加剤等をさらに含んでもよい。接着層の形成に用いる樹脂としては、樹脂成形体の素材に適した感熱性または感圧性の樹脂を適宜選択して用いることができる。例えば、樹脂成形体の材質が、ポリフェニレンオキサイド−ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、およびスチレン系樹脂の場合には、これらの樹脂と親和性のあるアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、およびポリアミド系樹脂等を用いることが好ましい。また、樹脂成形体の材質が、ポリプロピレン樹脂の場合には、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、および環化ゴム、クマロンインデン樹脂等を使用することが好ましい。
本発明における帯電防止層は、加飾成形品の製造工程、特に転写工程において、転写箔への異物の付着を防止するために形成される層である。本発明において、帯電防止層は、アルミニウム、金、銀、銅、ニッケル等の金属、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫ドープ酸化インジウム(ITO)等の金属酸化物、および黒鉛等からなる導電性物質の粉末または微薄片、あるいは導電性ポリマーを含むものであり、界面活性剤等の添加剤をさらに含んでもよい。
本発明の熱転写箔の製造方法は、下記の工程(1)〜(3):
(1)基材シートと、該基材シートの一方の面に少なくとも2層の色材層と、を有してなる熱転写インクシートを用意する工程であって、該色材層が、該基材シート側から順に、第一の色材層と第二の色材層とを有してなり、該第一の色材層の光学濃度(OD値1)と該第二の色材層の光学濃度(OD値2)が、OD値1>OD値2の条件を満たす、工程と、
(2)基材と、該基材の一方の面に、離型層と、ハードコート層と、アンカーコート層と、受容層と、をこの順に有してなる透明箔を用意する工程と、
(3)該透明箔の受容層上に、該熱転写インクシートを用いた熱転写プリンターによって、該色材層を転写する工程と
を含んでなるものである。このような製造工程により熱転写箔の色材層を形成することで、他の印刷方法で必要な一般の製版、印版等の工程を省き、工程数および設備の削減によりコストの低減を図ることができる。
本発明による加飾層を有する加飾成形品は、上記の熱転写箔を用いて、上記の射出成形同時転写加飾法により成形するのがよい。好ましい態様によれば、加飾成形品の製造方法は、下記の工程(4)〜(7):
(4)上記の熱転写箔の製造方法により製造された熱転写箔を用意する工程と、
(5)インモールド成形用金型内に、該熱転写箔を挿入する工程と、
(6)該金型内に溶融した射出樹脂を射出注入する工程と、
(7)該熱転写箔と、該射出樹脂とを一体化させて、樹脂成形体の表面上に加飾層を形成する工程と
を含むものである。さらに、樹脂成形体を冷却して金型から取り出した後、該転写箔の剥離シートを剥離することにより、加飾成形品を得ることができる。このような製造工程により加飾成形品を製造することで、樹脂成形体の表面にグラデーション等の複雑な意匠を表現することができる。
(8)上記の熱転写箔の製造方法により製造された熱転写箔を用意する工程と、
(9)被転写体上に、該熱転写箔を当接する工程と、
(10)当接したまま熱圧によりロール転写する工程と、
を含むものであってもよい。さらに、該転写箔の剥離シートを剥離することにより、加飾成形品を得ることができる。このような製造工程により加飾成形品を製造することで、樹脂成形体の表面にグラデーション等の複雑な意匠を表現することができる。
まず、混合樹脂と、着色剤とを下記の組成で有機溶剤に溶解させて第一の色材層用インキおよび第二の色材層用インキを調製した。次に、4.5μmの厚さのPET基材シートを用意し、このPET基材シートの一方の面に、下記組成の剥離層用インキを用いて、グラビアリバースコート法によって、0.2μmの厚さの剥離層を形成した。続いて、該剥離層上に、下記の第一の色材層用インキを用いて、グラビアリバースコート法によって、0.4μmの厚さの第一の色材層を形成した。さらに、第一の色材層上に、下記の第二の色材層用インキを用いて、グラビアリバースコート法によって、0.4μmの厚さの第二の色材層を形成した。そして、該色材層上に、接着層用インキを用いて、グラビアリバースコート法によって、0.3μmの厚さの接着層を形成した。以上により、基材シート/剥離層/色材層(第一の色材層/第二の色材層)/接着層の順序で形成されてなる層構成を有する熱転写インクシートを作製した。
第一の色材層用インキ1の組成
・アクリル系樹脂と塩酢ビ系樹脂の混合樹脂100質量部に着色剤(下記)のいずれかを40質量部混合したカラーインキ材料(DNPファインケミカル(株)製、CR700シリーズ)。第一の色材層の光学濃度(OD値1)が、1.5になるように調製したものである。なお、OD値は、グレタグマクベス社製、商品名:TR−927を用いて測定した値である。
第二の色材層用インキ1の組成
・アクリル系樹脂と塩酢ビ系樹脂の混合樹脂100質量部に着色剤(下記)のいずれかを40質量部混合したカラーインキ材料(DNPファインケミカル(株)製、CR700シリーズ)。第二の色材層の光学濃度(OD値2)が、0.3になるように調製したものである。
剥離層用インキ(熱転写インクシート)1の組成
・アクリル系樹脂と塩酢ビ系樹脂の混合樹脂(DNPファインケミカル(株)製、剥離ニスDX): 100質量部
接着層用インキの組成
・アクリル系樹脂(三菱レイヨン(株)製、BR83): 100質量部
まず、基材として、50μmの厚さのPETフィルム(東レ(株)製、商品名:F99)を用意した。この基材の一方の面に、下記組成の離型層用インキを用いて、グラビアリバースコート法によって、2μmの厚さの離型層を形成した。次いで、該離型層上に、下記組成のハードコート層用インキを用いて、グラビアリバースコート法によって、5μmの厚さのハードコート層を形成した。そして、該ハードコート層に水銀燈から紫外線を照射して、未反応のアクリレート(アクリロイル)基が残る程度に架橋硬化させた。
離型層用インキの組成
・メラミン樹脂系離型主剤(大日精化(株)製、商品名:EX−114Dメジウム):
100質量部
・硬化剤(大日精化(株)製、商品名:PTC NO.7硬化剤): 10質量部
ハードコート層用インキの組成
・紫外線硬化樹脂(成分:ウレタンアクリレート系プレポリマー、 大日精化(株)製、商品名:セイカビーム EXF−HT−S) 60質量部
・反応性無機粒子(反応性コロイダルシリカ粒子、平均粒子径d50:44nm、日産化学工業(株)製、商品名:MIBK−SD−L) 40質量部
・多官能イソシアネート系硬化剤(成分:ヘキサンメチレンジイソシアネート、大日精化(株)製、商品名:PTC−RC3 硬化剤): 10質量部
アンカーコート層用インキの組成
・アクリルポリオール系樹脂(大日精化(株)製、商品名:TM−VMAC):70質量部
・多官能イソシアネート系硬化剤(成分:ヘキサンメチレンジイソシアネート、大日精化(株)製、商品名:PTC−RC3 硬化剤): 30質量部
受容層用インキの組成
・アクリルポリオール系樹脂(大日精化(株)製、商品名:TM−VMAC):80質量部
・塩化ビニル酢酸ビニル共重合体(DNPファインケミカル(株)製、商品名:SAニス) 20質量部
帯電防止層用インキの組成
・導電性ポリマー(ナガセケムテックス(株)製、商品名:デナトロン) 20質量部
・純水(和光純薬(株)製、商品名:純水) 30質量部
なお、上記の帯電防止層用インキは、適宜、水にて希釈し、帯電防止層用インキを除く各インキは、適宜、有機溶剤にて希釈して用いた。
上記で作製した透明箔1の受容層上に、サーマルヘッドを搭載した熱転写プリンターと上記で作製した熱転写インクシートとを用いて、熱転写インクシートの色材層を熱転写させた。以上により、帯電防止層/基材/離型層/ハードコート層/アンカーコート層/受容層/色材層(第二の色材層/第一の色材層)/接着層の順序で形成されてなる層構成を有する熱転写箔1を作製した。なお、熱転写箔1の色材層上に形成された接着層は、熱転写インクシートの剥離層が転写したものである。
熱転写インクシートの第二の色材層用インキの組成を下記のとおりにした以外は、実施例1と同様にして熱転写箔2を作製した。
第二の色材層用インキ2の組成
・アクリル系樹脂と塩酢ビ系樹脂の混合樹脂100質量部に着色剤(下記)のいずれかを40質量部混合したカラーインキ材料(DNPファインケミカル(株)製、CR700シリーズ)。第二の色材層の光学濃度(OD値2)が、0.7になるように調製したものである。
熱転写インクシートの第一の色材層用インキの組成を下記のとおりにした以外は、実施例1と同様にして熱転写箔3を作製した。
第一の色材層用インキ2の組成
・アクリル系樹脂と塩酢ビ系樹脂の混合樹脂100質量部に着色剤(下記)のいずれかを40質量部混合したカラーインキ材料(DNPファインケミカル(株)製、CR700シリーズ)。第一の色材層の光学濃度(OD値 1 )が、2.5になるように調製したものである。
熱転写インクシートの第一の色材層用インキとして、上記の第一の色材層用インキ2を用いた以外は、比較例1と同様にして熱転写箔4を作製した。
熱転写インクシートの第二の色材層用インキの組成を下記のとおりにした以外は、実施例1と同様にして熱転写箔5を作製した。
第二の色材層用インキ3の組成
・アクリル系樹脂と塩酢ビ系樹脂の混合樹脂 100質量部第二の色材層の光学濃度(OD値2)が、0になるように調製したものである。
上記で作製した熱転写箔をインモールド成形用金型内に挿入し、溶融樹脂を金型内に流し込んで(射出成形して)、インモールド成形を行い、加飾層を有する加飾成形品を得た。得られた加飾成形品の表面を目視によって虹ムラについて評価した。評価基準は下記の通りである。
評価基準
3:目視で全く虹ムラが確認できなかった。
2:目視でわずかに虹ムラが確認できた。
1:目視で全面にわたって虹ムラが確認できた。
20 基材シート
30 剥離層
40 第一の色材層
50 第二の色材層
60 色材層
70 接着層
80 耐熱滑性層
110 熱転写箔
120 基材
130 離型層
140 ハードコート層
150 アンカーコート層
160 受容層
170 第二の色材層
180 第一の色材層
190 色材層
200 接着層
210 帯電防止層
220 転写層
230 剥離シート
310 透明箔
Claims (15)
- 基材シートと、前記基材シートの一方の面に少なくとも2層の色材層と、を有してなる熱転写インクシートであって、
前記色材層が、前記基材シート側から順に、第一の色材層と第二の色材層とを有してなり、
前記第一の色材層の光学濃度(OD値1)と前記第二の色材層の光学濃度(OD値2)が、OD値1>OD値2の条件を満たし、
前記OD値2が0.1以上0.3以下である、熱転写インクシート。 - 前記OD値1が1.2以上4.0以下である、請求項1に記載の熱転写インクシート。
- 前記第一の色材層が、黒色系である、請求項1または2に記載の熱転写インクシート。
- 前記第二の色材層が、黒色系である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱転写インクシート。
- 前記基材シートと前記第一の色材層の間に、剥離層をさらに有してなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱転写インクシート。
- 前記基材シートの他方の面に、耐熱滑性層をさらに有してなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱転写インクシート。
- 基材と、前記基材の一方の面に、離型層と、ハードコート層と、アンカーコート層と、受容層と、少なくとも2層の色材層と、をこの順に有してなる熱転写箔であって、
前記色材層が、前記基材側から順に、第二の色材層と第一の色材層とを有してなり、
前記第一の色材層の光学濃度(OD値1)と前記第二の色材層の光学濃度(OD値2)が、OD値1>OD値2の条件を満たし、
前記OD値2が0.1以上0.3以下である、熱転写箔。 - 前記OD値1が1.2以上4.0以下である、請求項7に記載の熱転写箔。
- 前記第一の色材層上に、接着層をさらに有してなる、請求項7または8に記載の熱転写箔。
- 前記基材の他方の面に、帯電防止層をさらに有してなる、請求項7〜9のいずれか一項に記載の熱転写箔。
- 前記ハードコート層が、電離放射線硬化性樹脂を含んでなり、
前記アンカーコート層が、アクリルポリオールと多官能イソシアネートとの反応物を含んでなり、
前記受容層が、熱可塑性樹脂を含んでなる、請求項7〜10のいずれか一項に記載の熱転写箔。 - 被転写体と、前記被転写体上に加飾層とを有してなる加飾成形品の製造方法であって、前記加飾層を請求項7〜11のいずれか一項に記載の熱転写箔の色材層を転写して形成することを含む、加飾成形品の製造方法。
- 下記の工程(1)〜(3):
(1)基材シートと、前記基材シートの一方の面に少なくとも2層の色材層と、を有してなる熱転写インクシートを用意する工程であって、前記色材層が、前記基材シート側から順に、第一の色材層と第二の色材層とを有してなり、前記第一の色材層の光学濃度(OD値1)と前記第二の色材層の光学濃度(OD値2)が、OD値1>OD値2の条件を満たし、前記OD値2が0.1以上0.3以下である、工程と、
(2)基材と、前記基材の一方の面に、離型層と、ハードコート層と、アンカーコート層と、受容層と、をこの順に有してなる透明箔を用意する工程と、
(3)前記透明箔の受容層上に、前記熱転写インクシートを用いた熱転写プリンターによって、前記色材層を転写する工程と
を含んでなる、熱転写箔の製造方法。 - 下記の工程(4)〜(7):
(4)請求項13に記載の熱転写箔の製造方法により製造された熱転写箔を用意する工程と、
(5)インモールド成形用金型内に、前記熱転写箔を挿入する工程と、
(6)前記金型内に溶融した射出樹脂を射出注入する工程と、
(7)前記熱転写箔と、前記射出樹脂とを一体化させて、樹脂成形体の表面上に加飾層を形成する工程と
を含んでなる、加飾成形品の製造方法。 - 下記の工程(8)〜(10):
(8)請求項13に記載の熱転写箔の製造方法により製造された熱転写箔を用意する工程と、
(9)被転写体上に、前記熱転写箔を当接する工程と、
(10)当接したまま熱圧によりロール転写する工程と、
を含んでなる、加飾成形品の製造方法。
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