以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
この構成によれば、周壁部が永久磁石の外周面からロータの外側に向かって突出する部分を小さくすることができる。この結果、周壁部が永久磁石の外周面から突出する部分を考慮して、永久磁石とステータとの隙間を大きくせずに済む。
(特徴2)複数個の周壁部のそれぞれは、永久磁石の外周面に沿って伸びる連結部分で、外周部分と連結されていてもよい。シャフト軸線と直交する平面において、連結部分の一方の端とシャフトの軸心とを結ぶ直線と連結部分の他方の端とシャフトの軸心とを結ぶ直線との角度は、40°以上であってもよい。
この構成によれば、ロータの回転によって、永久磁石がロータの外側に向かって変位することを、適切に抑制することができる。この結果、ロータ回転時の永久磁石の変位を考慮して、ロータとステータとの隙間を大きくしなくて済む。
この構成によれば、マグネットホルダの基部が、シャフト軸線方向に変形することを抑制することができる。この結果、マグネットホルダは、安定して、永久磁石を支持することができる。
(特徴7)基部は、複数個の外周部分のそれぞれについて、当該外周部分に連結される梁部分よりも外周側において、シャフト軸線方向に貫通する貫通孔を備えていてもよい。樹脂部材は、貫通孔内に配置されていてもよい。複数個の外周部分のそれぞれは、貫通孔内に配置される樹脂部材に対して、内周側から当接する当接部を備えていてもよい。
この構成によれば、当接部が樹脂部材の内周側に当接することによって、外周部分が、外側に移動することを抑制することができる。この結果、ロータの回転時に梁部分が変形することを適切に抑制することができる。
(第1実施例)
本実施例に係るブラシレスモータは、自動車用の燃料ポンプ10に用いられる。燃料ポンプ10は、燃料タンク内に配置され、燃料タンク内の燃料を自動車のエンジンへ供給する。まず、燃料ポンプ10の構成について説明する。
図1に示すように、燃料ポンプ10は、モータ部(即ちブラシレスモータ)20とポンプ部40を備えており、モータ部20とポンプ部40がハウジング14内に収容されている。ハウジング14は略円筒状に形成されている。ハウジング14の上側にはモータ部20が配置され、ハウジング14の下側にはポンプ部40が収容されている。ハウジング14の上端には、モータカバー16が固定されている。モータカバー16には、上方に向かって開口する吐出ポート18と、外部電源に接続されるコネクタ端子48が設けられている。
モータ部20は、ロータ50と、ロータ50の外周側に配置されたステータ32を有している。後で詳述するロータ50は、シャフト52を備える。シャフト52は、ハウジング14に対して、軸受26,28によって回転可能に支持されている。ステータ32は、ハウジング14の内周面に固定されている。ステータ32は、複数のスロットが形成されたヨークを有している。複数のスロットは、ステータ32の周方向に間隔を空けて配置されている。複数のスロットの先端面は、ロータ50の外周面とわずかな隙間を空けて対向している。各スロットには、コイルが巻回されている。各コイルには、コネクタ端子48が接続されている。
ポンプ部40は、略円板状のインペラ44と、インペラ44を収容するポンプケーシング38,42とを備えている。インペラ44の上面には、その外周縁に沿って凹所群44aが設けられている。インペラ44の下面には、その外周縁に沿って凹所群44bが設けられている。インペラ44の中心には貫通孔が形成されており、その貫通孔にはシャフト52が相対回転不能に嵌合する。このため、シャフト52が回転するとインペラ36も回転する。
ポンプケーシング38,42は、その内部にインペラ44を収容した状態で、ハウジング14の下端に固定されている。ポンプケーシング38,42は、吐出側ケーシング38と吸入側ケーシング42とから構成される。吐出側ケーシング38には、インペラ44の上面の凹所群44aに対向する領域に溝38aが形成されている。溝38aは、インペラ44の回転方向に沿って上流端から下流端まで伸びる略C字型に形成されている。吐出側ケーシング38には、溝38aの下流端から吐出側ケーシング38の上面に至る吐出口(図示省略)が形成されている。吐出口は、ポンプケーシングの内部と外部(モータ部20の内部空間)とを連通させている。
吸入側ケーシング42には、インペラ44の下面の凹所群44bに対向する領域に溝42aが形成されている。溝42aも溝38aと同様に、インペラ44の回転方向に沿って上流端から下流端まで伸びる略C字型に形成されている。吸入側ケーシング42には、吸入側ケーシング42の下面から溝42aの上流端に至る吸入口46が形成されている。吸入口46は、ポンプケーシング38,42の内部と外部(燃料ポンプ10の外部)とを連通させている。
上述した燃料ポンプ10において、コネクタ端子48を介してステータ32のコイルに電力が供給されると、ロータ50が回転する。ロータ50の回転に伴ってインペラ44が回転すると、吸入側ケーシング42の吸入口46からポンプケーシング内に燃料が吸い込まれる。ポンプケーシング38,42内に吸い込まれた燃料は、ポンプ流路(42a,44b,44a,38a)を上流側から下流側に昇圧されながら流れる。ポンプ流路で昇圧された燃料は、吐出口を通ってモータ部20のハウジング14内に送り出される。ハウジング14内に送り出された燃料は、ハウジング14内を上方に向けて流れ、モータカバー16の吐出ポート18から吐出される。
次に、ロータ50の構成について詳細に説明する。図1に示すように、ロータ50は、シャフト52と、複数個(本実施例では4個)の永久磁石60と、2個のマグネットホルダ58,62と、2個の規制部材56,64と、樹脂層54と、バックヨーク66(図6参照)とを備える。
シャフト52は、バックヨーク66を貫通して伸びており、その下端にインペラ44の貫通孔と係合する係合部52aが形成されている。係合部52aでは、シャフト軸線Xに直交する断面(以下、単に直交断面ということがある)の形状が略D字状となっている。このため、シャフト52の係合部52aがインペラ44の貫通孔に係合すると、両者は一体となって回転するようになっている。係合部52a以外の部位では、シャフト52の直交断面の外形状は円形となっている(図2参照)。
図6に示すように、バックヨーク66は、軸線X方向に積層された複数のコアプレート66aによって構成されている。各コアプレート66aは、磁性鋼板により形成されている。各コアプレート66aの中央には貫通孔が形成されている。各コアプレート66aに形成された貫通孔によって、バックヨーク66には、軸線X方向に伸びる貫通孔66bが形成されている。バックヨーク66の貫通孔66bには、シャフト52が圧入されている。貫通孔66bは、軸線X方向に見たときに、後述する貫通孔94と同一形状を有するこのため、バックヨーク66の貫通孔66bにシャフト52が圧入されると、シャフト52の外周面と各コアプレート貫通孔66bの内周面の間の4箇所に連通孔70が形成される。各連通孔70は、軸線Xと平行に伸びており、バックヨーク66を貫通している。
複数個の永久磁石60は、バックヨーク66の外周面に配置されている。各永久磁石60は、バックヨーク66の上端から下端まで伸びる。各永久磁石60は、バックヨーク66の外周形状に沿った形状を有しており、直交断面の形状が円弧状となっている(図2参照)。永久磁石60がバックヨーク66の外周面に当接するように配置されると、各永久磁石60は、隣接する永久磁石と当接し、円筒状の永久磁石部が形成される。永久磁石60は、交互に異なる方向に磁化されている。例えば、1個の永久磁石60は、その外周面側がN極となり、その内周面側がS極となるように磁化され、当該永久磁石60の両端に隣接する2個の永久磁石60のそれぞれは、その外周面側がS極となり、その内周面側がN極となるように磁化されている。
各永久磁石60の上端部には、直交断面において、永久磁石60の中間部の外周面60bよりも、軸線Xとの距離が近い外周面60aが設けられている。同様に、各永久磁石60の下端部には、直交断面において、永久磁石60の中間部の外周面60bよりも、軸線Xとの距離が近い外周面60cが設けられている。外周面60a,60cは、外周面60bと比較して、後述するマグネットホルダ58,62の板厚分だけ、軸線Xとの距離が近い。言い換えると、複数個の外周面60a及び複数個の外周面60cで構成される円筒の外径は、複数個の外周面60bで構成される円筒の外径よりも小さい。
バックヨーク66の上面と永久磁石60の上面には、マグネットホルダ58が配置されている。マグネットホルダ58は、非磁性材料で作製されている。図3に示すように、マグネットホルダ58は、基部80と複数個(本実施例では4個)の周壁部82とを備える。基部80は、円形の平板形状を有する。基部80は、バックヨーク66の上面と永久磁石60の上面とに対向する。基部80は、複数個の永久磁石60に取り付けられる前の状態では、複数個の永久磁石60の外周面60aで構成される円筒の外径よりも若干小さい。図3に示すように、基部80は、内周部分90と、複数個(本実施例では4個)の周縁部分81とを備える。
内周部分90は、中心部に貫通孔94を有する環状形状を有する。貫通孔94の孔径は、シャフト52の直径よりも若干小さく形成されている。貫通孔94には、基部80の半径方向(以下では「第1半径方向」と呼ぶ)に伸びる複数個(本実施例では4個)の矩形状の連通孔96が設けられている。複数個の貫通孔96は、基部80の周方向(以下では「周方向」と呼ぶ)に等間隔に配置されている。貫通孔94には、シャフト52が圧入される。この結果、各連通孔96は、シャフト52とバックヨーク66とによって形成される各連通孔70に連通する。言い換えると、各連通孔70は、軸線Xと平行に伸びており、バックヨーク66及びマグネットホルダ58を貫通している。
複数個の周縁部分81は、内周部分90の外縁に、間隔を空けて配置されている。隣接する周縁部分81の間には、切欠92が形成されている。切欠92は、第1半径方向に伸びる第1部分92bの第1半径方向内側の端に、周方向に伸びる第2部分92aが連結されて構成されている。第1部分92bは、隣接する永久磁石60の境界の位置に一致する。
各周縁部分81は、部分円環形状を有する。各周縁部分81の内周縁には、内周部分90が連結されている。各周縁部分81の外周縁には、周壁部82と連結される連結部分81aが設けられている(図2参照)。各周縁部分81の内縁側には、周方向の両端に、梁部分86が設けられている。即ち、各周縁部分81は、2個の梁部分86を備える。各梁部分86は、基部80の中で、板幅が最も狭い部分である。各梁部分86は、基部80の中で、最も剛性が低い部分である。各梁部分86は、周方向に沿って伸びており、その一方の端に、内周部分90が連結されている。各梁部分86の他方の端には、外周部分84が連結されている。即ち、内周部分90と外周部分84とは、2個の梁部分86によって連結されている。2個の梁部分86のそれぞれは、外周部分84の周方向における一端に接続されている。外周部分84と内周部分90との間には、貫通孔88が形成されている。貫通孔88は、第2部分92aよりも第1半径方向外側に位置しており、周方向に伸びている。各梁部分86は、貫通孔88と切欠92との間に形成されている。より詳細には、梁部分86を第1半径方向内側から外側に辿ったときに、梁部分86は、貫通孔88と第2部分92aとの間で、周方向に伸び、次いで、貫通孔88と第1部分92bとの間で、第1半径方向に伸びている。
切欠92の第1部分92bが2個の永久磁石60の境界に位置することから、各外周部分84は、各永久磁石60の端面に対向する位置に配置されている。各外周部分84の第1半径方向外側の端には、周壁部82が連結している。図2に示すように、周壁部82は、基部80から永久磁石60側に垂直に突出している。周壁部82と外周部分84の第1半径方向外側の端との周方向における長さは等しい。この構成では、複数個の周壁部82によって、円筒形状が構成される。周壁部82は、周方向の全長で、外周部分84に連結されている。図3に示すように、連結部分81aでは、軸線Xに直交する平面内において、周方向における一方の端から基部80の中心O(即ちシャフト52の軸心)を結ぶ直線と、周方向における他方の端から基部80の中心Oを結ぶ直線との角度θは、86°である。
図2に示すように、マグネットホルダ58が永久磁石60に取り付けられる場合、貫通孔94に、シャフト52が圧入される。そして、複数個の周壁部82で構成される円筒形状に、永久磁石60が嵌合される。これにより、永久磁石60の外周面60aは、マグネットホルダ58の周壁部82の内周面に当接する。マグネットホルダ58が永久磁石60に取り付けられる前の状態(即ち自然状態)では、複数個の周壁部82で構成される円筒の内径は、複数個の永久磁石60の外周面60aで構成される円筒の外径よりも若干小さい。このため、複数個の周壁部82で構成される円筒に、永久磁石60が嵌合される際、基部80のうち、最も剛性の低い梁部分86が変形して、外周部分84が内周部分90から離間するように変位する。この際、基部80から永久磁石60側に垂直に突出している周壁部82の基部80に対する角度は、垂直に維持される。即ち、マグネットホルダ58が永久磁石60に取り付けられる場合、周壁部82は、ロータ50の外側に向かって傾斜しない。言い換えるとは、梁部分86は、マグネットホルダ58が永久磁石60に取り付けられた状態で、周壁部82がロータ50の外側に向かって傾斜しないように設けられている。なお、基部80は、バックヨーク66の上面に当接している一方、永久磁石60の上面との間に間隔を有する。
バックヨーク66の下面と永久磁石60の下面には、マグネットホルダ62が配置されている。マグネットホルダ62は、マグネットホルダ58と同一の構成を有する。マグネットホルダ62は、マグネットホルダ62の貫通孔に、シャフト52が圧入され、複数個の周壁部で構成される円筒に永久磁石60が嵌合されて、永久磁石60に取り付けられる。この結果、各連通孔70は、バックヨーク66、マグネットホルダ58に加えて、マグネットホルダ62を貫通している。なお、マグネットホルダ62の基部は、複数個の永久磁石60の外周面60cで構成される円筒の外径よりも若干小さい。このため、マグネットホルダ62は、永久磁石60に取り付けられる際、マグネットホルダ58が永久磁石60に取り付けられる場合と同様に変形する。
マグネットホルダ58の永久磁石60と反対側には、規制部材56が配置されている。図2に示すように、規制部材56は、押圧部102と外周部100とを備える。押圧部102は、円板形状を有する。押圧部102は、永久磁石60に取り付けられた状態の基部80と略同一の半径を有する。押圧部102は、基部80に当接した状態でシャフト52に取り付けられる。押圧部102の中心部には、貫通孔106が形成されている。貫通孔106の孔径は、シャフト52の直径よりも若干小さく形成されている。貫通孔106には、マグネットホルダ58の連通孔96の重複する位置に、貫通孔96と同一形状の複数個の矩形状の連通孔108が設けられている。貫通孔106には、シャフト52が圧入される。貫通孔106にシャフト52が圧入されると、シャフト52の外周面と各貫通孔108とによって、シャフト52とバックヨーク66とマグネットホルダ58,62によって形成される連通孔70に連なる連通孔が形成される。言い換えると、各連通孔70は、バックヨーク66、マグネットホルダ58,62及び規制部材56を貫通している。
押圧部102の外縁には、外周部100が配置されている。外周部100は、押圧部102に対して、マグネットホルダ58と反対側に向かって、垂直に突出している。外周部100は、押圧部102の外縁に沿って、押圧部102を一巡している。外周部100の外径は、マグネットホルダ58の外径よりも大きい。
図2に示すように、マグネットホルダ62の永久磁石60と反対側には、規制部材64が配置されている。規制部材64は、規制部材56と同一の構成を有する。規制部材64は、規制部材64の貫通孔に、シャフト52が圧入されて、マグネットホルダ62の基部と規制部材64の押圧部とが当接した状態で、シャフト52に取り付けられる。この結果、各連通孔70は、バックヨーク66、マグネットホルダ58,62及び規制部材56に加えて、規制部材64を貫通する。
図6に示すように、規制部材56,64の永久磁石60の反対側には、樹脂層54が配置されている。樹脂層54は、押圧部102の永久磁石60と反対側から、規制部材64の押圧部の永久磁石60と反対側まで、貫通孔70を通過して一体で形成されている。また、樹脂層54は、規制部材56の貫通孔104内とマグネットホルダ58の貫通孔88内とにも配置されている。
続いて、ロータ50を製造する方法を説明する。まず、バックヨーク66の貫通孔66bにシャフト52を圧入する。次いで、マグネットホルダ58,62の貫通孔94にシャフト52を圧入し、マグネットホルダ58に永久磁石60を嵌合する。この際、マグネットホルダ58に外力を負荷して、梁部分86を変形させることによって、外周部分84を、内周部分90から離間するように移動させる。これにより、複数個の周壁部82によって構成される円筒の内径が大きくなる。複数個の周壁部82によって構成される円筒に、永久磁石60が挿入されると、マグネットホルダ58に負荷されている外力を解放する。これにより、梁部分86の弾性変形が元に戻る。この結果、周壁部82は、永久磁石60を、永久磁石60の半径方向に押圧する。マグネットホルダ62も同様である。なお、マグネットホルダ58が永久磁石60に取り付けられた状態では、基部80の周方向と永久磁石60の周方向とは同じ方向である。
さらに、規制部材56,64の貫通孔106にシャフト52を圧入し、規制部材56,64のそれぞれを、マグネットホルダ58,62のそれぞれに当接される。この状態で、各部52,56,58,60,62,64,66を金型内に配置する。そして、金型内に樹脂を射出し、樹脂層54を成形する。この結果、樹脂層54によって、規制部材56の押圧部102は、マグネットホルダ58の基部80を、バックヨーク66に向けて押圧する。同様に、樹脂層54によって、規制部材64の押圧部は、マグネットホルダ62の基部を、バックヨーク66に向けて押圧する。この結果、マグネットホルダ58,62の基部80が、軸線X方向に変形することを防止することができる。
(本実施例の効果)
本実施例では、永久磁石60は、マグネットホルダ58,62によって、バックヨーク66に対して移動することが規制された状態で支持されている。この結果、永久磁石60が、ロータ50の回転によって、ロータ50の半径方向(以下では「第2半径方向」と呼ぶ。)外側に変位することを抑制することができる。このため、永久磁石60の第2半径方向外側への変位を考慮して、ロータ50とステータ32との隙間を大きく広げなくて済み、モータ部20のモータ効率を低下させずに済む。
マグネットホルダ58が永久磁石60に取り付けられる前では、周壁部82によって構成される円筒の内径は、複数個の永久磁石60によって形成される円筒の外径よりも小さい。この結果、マグネットホルダ58が永久磁石60に取り付けられた状態では、マグネットホルダ58は、第2半径方向内側向きの力を、永久磁石60に負荷する。このため、永久磁石60が、第2半径方向外側に変位することを、適切に抑制することができる。マグネットホルダ62も同様である。
また、マグネットホルダ58が永久磁石60に取り付けられる際に、基部80の梁部分86が変形することによって、複数個の周壁部82によって構成される円筒の内径が拡大する。このため、マグネットホルダ58が永久磁石60に取り付けられる際、周壁部82がロータ50の外側に傾斜することを抑制することができる。このため、周壁部82の傾斜を考慮して、ロータ50とステータ32との隙間を大きくせずに済む。従って、モータ部20のモータ効率を低下させずに済む。マグネットホルダ62も同様である。
梁部分86は、周方向において、外周部分84の両端に連結している。この構成によれば、外周部分84に対して、1個の梁部分が設けられている構成と比較して、外周部分84を安定して、内周部分90に連結することができる。このため、マグネットホルダ58は、永久磁石60を安定して支持することができる。また、梁部分86が変形して外周部分84が変位する際に、1個の外周部分84に連結されている2個の梁部分86がバランスして、外周部分84を、第2半径方向(即ち第1半径方向)外側に向けて適切に変位させることができる。マグネットホルダ62も同様である。
周壁部82が当接する永久磁石60の外周面60aは、直交断面において、永久磁石60の外周面60bと比較して、マグネットホルダ58の板厚分だけ、軸線Xとの距離が近い。この構成によれば、周壁部82は、永久磁石60の外周面60aと同一面内に配置される。このため、周壁部82の板厚を考慮して、ロータ50とステータ32との隙間を大きく広げなくて済む。マグネットホルダ62と外周面60cとの関係においても同様である。また、周壁部82の傾斜を考慮して、外周面60aを軸線Xに近づけなくて済む。この構成によれば、永久磁石60のうち、マグネットホルダ58,62が取り付けられている部分とステータ32との間隔を、大きくせずに済む。この結果、永久磁石60のうち、マグネットホルダ58,62が取り付けられている部分も、永久磁石60の他の部分と同様に、ロータ50を回転させるための磁力を発生させることができる。これにより、モータ部20のモータ効率が低下することを抑制することができる。
ロータ50の回転時に、永久磁石60に、第2半径方向外側向きの力が負荷されると、マグネットホルダ58の周壁部82は、永久磁石60から第2半径方向外側向きの力が負荷される。樹脂層54は、規制部材56の貫通孔104とマグネットホルダ58の貫通孔88とに挿入されている。このため、マグネットホルダ58の梁部分86は、樹脂層54によって、第2半径方向外側に変形することを規制することできる。規制部材64とマグネットホルダ62との関係においても同様である。なお、変形例では、規制部材56は、マグネットホルダ58の外周部分84に設けられた貫通孔又は凹部に挿入される突起部を備えていてもよい。この構成によれば、突起部は、ロータ50の回転中に、マグネットホルダ58の外周部分84が内周部分90と離間する方向に移動して、第2半径方向外側への変形を抑制することができる。一般的には、ロータ50は、ロータ50の回転中に、マグネットホルダ58の外周部分84が、内周部分90と離間する方向(軸線Xから離間する方向)に変位することを規制する規制部を備えていてもよい。
規制部材56の外周部100の外径は、マグネットホルダ58の外径よりも大きい。この構成によれば、外周部100の外形形状を調整することによって、ロータ50の重量バランスを容易に調整することができる。
また、外周部100によれば、樹脂層54の成形の際に、樹脂が永久磁石60に到達することを抑制することができる。この結果、樹脂成形時の樹脂の圧力が、永久磁石60に負荷されることを抑制することができる。このため、樹脂成形時に、永久磁石60が損傷されることを抑制することができる。さらに、永久磁石60の外周に樹脂が被覆されることを防止することができる。このため、永久磁石60とステータ32との隙間を小さくすることができる。
周壁部82と周縁部分81(即ち外周部分84)の連結部分81aでは、周方向における一方の端から基部80の中心Oを結ぶ直線と、周方向における他方の端から基部80の中心Oを結ぶ直線と、の角度θは、86°である。この構成によれば、ロータ50の回転時に、永久磁石60から周壁部82に負荷される第2半径方向(即ち第1半径方向)外側向きの力によって、周壁部82が、ロータ50の外側に傾斜することを適切に抑制することができる。
図7には、角度θを変化させて、周壁部82の第2半径方向(即ち第1半径方向)の最も外側に位置する外周端が、ロータ50の回転によって変位する変位量を、シミュレーションによって算出した結果を示す。なお、ロータ50の回転数は、通常の燃料ポンプのモータの回転数として採用される12000rpmである。図7の縦軸は変位量を示し、横軸は角度θを示す。この結果、角度θが40°以上である場合には、周壁部82が、ロータ50の外側に傾斜することを適切に抑制することができる。また、角度θが40°未満の範囲では、角度θの変化量に対する周壁部82の外周端の変位量の変化量が、角度θが40°以上の範囲の場合と比較して大きい。従って、仮に、角度θが40°未満に設計された場合、実際の寸法が1°小さくなると、周壁部82の外周端の変位量は、設計時に想定した変位量よりもかなり大きくなってしまう。一方、角度θが40°以上に設計された場合、実際の寸法が1°小さくなった場合でも、周壁部82の外周端の変位量は、設計時に想定した変位量とそれほど変わらない。このため、角度θが40°以上の場合、寸法精度を考慮して、ロータ50とステータ32との隙間を大きくせずに済む。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、上述した実施例では、複数のコアプレートを積層してバックヨークを形成したが、このような形態に限られず、円筒形状のバックヨークを用いてもよい。
また、マグネットホルダは、マグネットホルダ58,62以外の形状を有するマグネットホルダであってもよい。例えば、マグネットホルダ158,258,358,458であってもよい。
図8に示すように、マグネットホルダ158は、マグネットホルダ58と比較して、切欠192と梁部分186の形状が、切欠92と梁部分86の形状と異なっていてもよい。それ以外では、マグネットホルダ158は、マグネットホルダ58の各構成81(84,88),82,90,94と同様の各構成181(184,188),182,190,194を備えていてもよい。切欠192は、第1半径方向の伸びる第1部分192bの中間位置(詳細には、貫通孔188よりも第1半径方向外側)に、周方向に伸びる第2部分192aが連結されて構成されていてもよい。梁部分186は、貫通孔188と切欠192との間に形成されていてもよい。より詳細には、梁部分186を第1半径方向内側から外側に辿ったときに、梁部分186は、貫通孔188と第1部分192bとの間で、第1半径方向に伸び、次いで、貫通孔188と第2部分192aとの間で、周方向に伸びていてもよい。
図9に示すように、マグネットホルダ258は、マグネットホルダ58と比較して、切欠292と貫通孔288と梁部分286の形状が、切欠92と貫通孔88と梁部分86の形状と異なっていてもよい。それ以外では、マグネットホルダ258は、マグネットホルダ58の各構成81(84),82,90,94と同様の各構成281(284),282,290,294を備えてもよい。切欠292は、第1半径方向の伸びる第1部分292bの第1半径方向内側の端に、略三角形の第2部分292aが連結されて構成されていてもよい。貫通孔288は、第2部分292aよりも第1半径方向外側に位置しており、周方向に伸びていてもよい。貫通孔288の両端部の周縁は、第2部分292aの形状に沿って、直線状に形成されていてもよい。梁部分286は、貫通孔288と切欠292との間に形成されていてもよい。梁部分286は、貫通孔288と第2部分292aとの間で、第1半径方向に対して傾斜する直線状に伸びていてもよい。
図10に示すように、マグネットホルダ358は、マグネットホルダ58と比較して、切欠392と梁部分386の形状が、切欠92と梁部分86の形状と異なっていてもよい。それ以外では、マグネットホルダ358は、マグネットホルダ58の各構成81(84,88),82,90,94と同様の各構成381(384,388),382,390、394を備えていてもよい。切欠392は、第1半径方向の伸びる第1部分392bの第1半径方向内側の端(詳細には、貫通孔388よりも第1半径方向内側)に、周方向に伸びる第2部分392aが連結されており、第1部分392bの中間位置(詳細には、貫通孔388よりも第1半径方向外側)に、周方向に伸びる第3部分392cが連結されて構成されていてもよい。梁部分386は、貫通孔388と切欠392との間に形成されていてもよい。より詳細には、梁部分386を第1半径方向内側から外側に辿ったときに、梁部分386は、貫通孔388と第2部分392aとの間で、周方向に伸び、次いで、貫通孔388と第1部分392bとの間で、第1半径方向に伸び、さらに、貫通孔388と第3部分392cとの間で、周方向に伸びていてもよい。
図11に示すように、マグネットホルダ458では、貫通孔488,489と梁部分486,487の構成が、マグネットホルダ58の貫通孔88と梁部分86の構成と異なっていてもよい。それ以外では、マグネットホルダ458は、マグネットホルダ58の各構成81(84),82,90,92,94と同様の各構成481(484),482,490,492,494を備えていてもよい。
貫通孔488は、切欠492の第2部分492aよりも第1半径方向外側に形成されていてもよい。1個の周縁部分481に、2個の貫通孔488が形成されていてもよい。1個の周縁部分481に形成されている2個の貫通孔488の間には、2個の貫通孔488と間隔を開けて、貫通孔489が形成されていてもよい。貫通孔489は、略三角形状を有していてもよい。梁部分487は、各貫通孔488と貫通孔489との間に形成されていてもよい。即ち、マグネットホルダ458では、内周部分490と1個の外周部分484とが、2個の梁部分486と2個の梁部分487とで連結されていてもよい。なお、内周部分と外周部分とは、5個以上の梁部分で連結されていてもよい。
上記の実施例では、直交断面において、周壁部82が当接する永久磁石60の外周面60aは、永久磁石60の外周面60bと比較して、マグネットホルダ58の板厚分だけ、軸線Xとの距離が近い。しかしながら、図12に示すように、直交断面において、永久磁石60の外周面60bは、上端から下端まで、軸線Xからの距離が一定であってもよい。あるいは、外周面60aは、直交断面において、外周面60bと比較して、マグネットホルダ58の板厚分以下の長さだけ、軸線Xとの距離が近くてもよい。
また、規制部材56の外径は、マグネットホルダ58の外径と同一であってもよい。
上記の実施例では、ロータ50とステータ32との隙間は、一定である。しかしながら、図13に示すように、ロータ50とステータ32との隙間のうち、永久磁石60とステータ32との隙間は、ロータ50の他の部分(例えばマグネットホルダ58)とステータ32との隙間よりも小さくてもよい。この構成によれば、ロータ50とステータ32との隙間をより小さくすることができる。
上記の実施例では、マグネットホルダ58は、4個の周壁部82を備える。しかしながら、マグネットホルダ58は、5個以上の周壁部を備えていてもよいし、3個以下の周壁部を備えていてもよい。本変形例では、周壁部と外周部分との連結部分の両端を結ぶ角度θが、40°以上に設定されていればよい。
上記の実施例では、1個の周壁部82は、1個の外周部分84と連結している。しかしながら、1個の周壁部82は、2個以上の外周部分84と連結していてもよい。あるいは、2個以上の周壁部82が、1個の外周部分84と連結していてもよい。即ち、周壁部82の個数と外周部分84の個数とは異なっていてもよい。
また、マグネットホルダ58,62は、永久磁石60の軸線X方向の両端に嵌合されているが、マグネットホルダ58,62は、永久磁石60の軸線X方向の一方の端のみに嵌合されていてもよい。また、隣接する永久磁石60の境界の位置と、切欠92の位置とは、永久磁石60の周方向において一致していなくてもよい。例えば、隣接する永久磁石60の境界の位置と、切欠92の位置とは、永久磁石60の周方向に45°ずれていてもよい。
上記の実施例では、樹脂層54は、規制部材56,64の永久磁石60の反対側に配置されている。しかしながら、樹脂層54は、規制部材56とマグネットホルダ58との間に配置されていてもよい。同様に、樹脂層54は、規制部材64とマグネットホルダ62との間に配置されていてもよい。
(第2実施例)
第1実施例と異なる点について説明する。図14に示すように、第2実施例では、マグネットホルダ558の形状がマグネットホルダ58,62の形状と異なり、規制部材556の形状が、規制部材56,64と異なる。また、樹脂層554の形状が、樹脂層54の形状と異なる。なお、図14,15では、樹脂層554の断面と、シャフト552の断面とが記載されている。その他の構成は、第1実施例の燃料ポンプ10(即ちモータ部20)の構成と同様である。以下では、燃料ポンプ10と同様の構成については、第1実施例と同一の符号を用いる。
マグネットホルダ558は、バックヨーク66及び永久磁石60の上面と下面とのそれぞれに配置されている。マグネットホルダ558は、非磁性材料で作製されている。図14に示すように、マグネットホルダ558は、基部580と複数個(本実施例では4個)の周壁部582とを備える。周壁部582は、周壁部82と同様である。
基部580は、円形の平板形状を有する。一方のマグネットホルダ568の基部580は、バックヨーク66の上面と永久磁石60の上面とに対向する。他方のマグネットホルダ568の基部580は、バックヨーク66の下面と永久磁石60の下面とに対向する。基部580は、複数個の永久磁石60に取り付けられる前の状態では、複数個の永久磁石60の外周面60aで構成される円筒の外径よりも若干小さい。基部580は、内周部分590と、複数個(本実施例では4個)の周縁部分581とを備える。
内周部分590は、中心部に貫通孔94と同様の貫通孔594を有する環状形状を有する。貫通孔594には、シャフト552が圧入される。貫通孔594の各連通孔は、シャフト552とバックヨーク66とによって形成される各連通孔70に連通する。
複数個の周縁部分581は、内周部分590の外縁に、間隔を空けて配置されている。隣接する周縁部分581の間には、切欠92と同様の切欠592が形成されている。各周縁部分581は、部分円環形状を有する。各周縁部分581の内周縁には、内周部分590が連結されている。各周縁部分581の外周縁には、周壁部582と連結される連結部分が設けられている。各周縁部分581の内縁側には、周方向の両端に、梁部分586が設けられている。即ち、各周縁部分581は、2個の梁部分586を備える。各梁部分586は、基部580の中で、板幅が最も狭い部分である。各梁部分586は、基部580の中で、最も剛性が低い部分である。各梁部分586は、周方向に対して第1半径方向(即ち基部580の半径方向)に傾斜して伸びており、その一方の端に、内周部分590が連結されている。各梁部分586の他方の端には、外周部分584が連結されている。即ち、内周部分590と外周部分584とは、2個の梁部分586によって連結されている。2個の梁部分586のそれぞれは、外周部分584の周方向における一端に接続されている。複数個の外周部分584のそれぞれと内周部分590との間には、貫通孔588が形成されている。
貫通孔588は、基部580の上面から下面(シャフト552の軸線方向の両端)を貫通している。貫通孔588は、内周部分590と外周部分584との間に形成されている。貫通孔588は、梁部分586の外周部分584側に沿って設けられている。言い換えると、梁部分586は、貫通孔588と切欠592との間に設けられている。貫通孔588は、一方の梁部分586の外周部分584側の端から、他方の梁部分586の外周部分584側の端まで連続的に形成されている。
外周部分584は、当接部587を備える。当接部587は、外周部分584の内周部分590側の縁が、内周部分590に向かって突出することによって形成されている。当接部587は、貫通孔588の中央部において、周方向に伸びる当接面587aを備える。
基部580と周壁部582との連結部分では、連結部分81aと同様に、軸線Xに直交する平面内において、周方向における一方の端から基部580の中心O(即ちシャフト552の軸心)を結ぶ直線と、周方向における他方の端から基部580の中心Oを結ぶ直線との角度θは、86°である。
マグネットホルダ558が永久磁石60に取り付けられる場合、複数個の周壁部582で構成される円筒に、永久磁石60が嵌合される。この際、マグネットホルダ558と同様に、基部580のうち、最も剛性の低い梁部分586が変形して、外周部分584が内周部分590から離間するように変位する。この結果、周壁部582の基部580に対する角度は、垂直に維持される。
マグネットホルダ558の永久磁石60と反対側には、規制部材556が配置されている。図15に示すように、規制部材556は、押圧部502と外周部500とを備える。外周部500は、外周部100と同様の構成を有する。押圧部502は、円板形状を有する。押圧部502は、永久磁石60に取り付けられた状態の基部580と略同一の半径を有する。押圧部502は、基部580に当接した状態でシャフト552に取り付けられる。押圧部502の中心部には、貫通孔106と同様の貫通孔506が形成されている。貫通孔506には、シャフト552が圧入される。これにより、貫通孔106には、連通孔70に連なる連通孔が形成される。
押圧部502は、貫通孔588の上方に位置する貫通孔504を備える。貫通孔504は、貫通孔588の外形に沿った外形を有する。押圧部502は、当接部587の永久磁石60と反対側の面に接触する接触部510を備える。この構成によれば、当接部587が、永久磁石60と反対側に変形することを抑制することができる。
規制部材556の永久磁石60の反対側には、樹脂層554が配置されている。樹脂層554は、ロータ50の上方に位置する規制部材556の押圧部502の永久磁石60と反対側から、ロータ50の下方に位置する規制部材556の押圧部502の永久磁石60と反対側まで、貫通孔70を通過して一体で形成されている。また、樹脂層554は、規制部材556の貫通孔504内とマグネットホルダ558の貫通孔588内とに配置されている。即ち、樹脂層554は、貫通孔588を貫通する。当接部587の当接面587aは、当接面587aよりも外周側に位置する樹脂層554に対して、内周側(シャフト552側)から当接する。ロータ50の回転時に、永久磁石60に、第2半径方向外側向きの力が負荷されると、マグネットホルダ558の周壁部582は、永久磁石60から第2半径方向外側向きの力が負荷される。樹脂層554は、規制部材556の貫通孔504とマグネットホルダ558の貫通孔588とに挿入されている。このため、マグネットホルダ558の梁部分586は、樹脂層554に当接することよって、第2半径方向外側に変形することを規制することできる。さらに、当接部587の当接面587aは、その全面で、樹脂層554に内周側から当接する。このため、外周部分584が、第2半径方向外側に移動することが強固に規制される。この結果、梁部分586が第2半径方向外側に変形することを規制することできる。
また、第2実施例においても、第1実施例と同様の効果を奏することができる。
(第3実施例)
第2実施例と異なる点について説明する。図16に示すように、第3実施例では、マグネットホルダ658の形状がマグネットホルダ558の形状と異なり、規制部材656の形状が、規制部材556と異なる。また、樹脂層654の形状が、樹脂層554の形状と異なる。なお、図16,17では、樹脂層654の断面と、シャフト652の断面とが記載されている。なお、マグネットホルダ658、規制部材656及び樹脂層654の配置は、マグネットホルダ558、規制部材556及び樹脂層554と同様である。その他の構成は、第2実施例の燃料ポンプ10(即ちモータ部20)の構成と同様である。以下では、燃料ポンプ10と同様の構成については、第1実施例と同一の符号を用いる。
図16に示すように、マグネットホルダ658は、基部680と複数個(本実施例では4個)の周壁部682とを備える。周壁部682は、周壁部582と同様である。
基部680は、円形の平板形状を有する。基部680は、複数個の永久磁石60に取り付けられる前の状態では、複数個の永久磁石60の外周面60aで構成される円筒の外径よりも若干小さい。基部680は、内周部分690と、複数個(本実施例では4個)の周縁部分681とを備える。
内周部分690は、中心部に貫通孔594と同様の貫通孔694を有する環状形状を有する。貫通孔694には、シャフト652が圧入される。貫通孔694の各連通孔は、シャフト652とバックヨーク66とによって形成される各連通孔70に連通する。
複数個の周縁部分681は、内周部分690の外縁に、間隔を空けて配置されている。隣接する周縁部分681の間には、切欠592と同様の切欠692が形成されている。各周縁部分681は、部分円環形状を有する。各周縁部分681の内周縁には、内周部分690が連結されている。各周縁部分681の外周縁には、周壁部682と連結される連結部分が設けられている。各周縁部分681の内縁側には、周方向の両端に、梁部分686が設けられている。即ち、各周縁部分681は、2個の梁部分686を備える。各梁部分686は、基部680の中で、板幅が最も狭い部分である。各梁部分686は、基部680の中で、最も剛性が低い部分である。各梁部分686は、周方向に対して第1半径方向(即ち基部680の半径方向)に傾斜して伸びており、その一方の端に、内周部分690が連結されている。各梁部分686の他方の端には、外周部分684が連結されている。即ち、内周部分690と外周部分684とは、2個の梁部分686によって連結されている。2個の梁部分686のそれぞれは、外周部分684の周方向における一端に接続されている。複数個の外周部分684のそれぞれと内周部分690との間には、貫通孔688が形成されている。
貫通孔688は、基部680の上面から下面(シャフト652の軸線方向)まで貫通している。貫通孔688は、内周部分690と外周部分684との間に形成されている。貫通孔688は、梁部分686の外周部分684側に沿って設けられている。言い換えると、梁部分686は、貫通孔688と切欠692との間に設けられている。貫通孔688は、一方の梁部分686の外周部分684側の端から、他方の梁部分686の外周部分684側の端まで連続的に形成されている。
外周部分684は、基部680の上面から下面(シャフト652の軸線方向)まで貫通する貫通孔689を備える。貫通孔689は、三角形状を有する。なお、貫通孔689の形状は、三角形状に限られず、四角形状、円形状等の他の形状であってもよい。貫通孔689は、貫通孔688よりも外周側に設けられている。外周部分684は、さらに、当接部687を備える。当接部687は、貫通孔689の内周側の縁に設けられている。当接部687は、貫通孔688と貫通孔689との間に設けられている。当接部687は、貫通孔689の内周側の縁の全長に亘って設けられている。
基部680と周壁部682との連結部分では、上記の各実施例と同様に、軸線Xに直交する平面内において、周方向における一方の端から基部680の中心O(即ちシャフト652の軸心)を結ぶ直線と、周方向における他方の端から基部680の中心Oを結ぶ直線との角度θは、86°である。
マグネットホルダ658が永久磁石60に取り付けられる場合、複数個の周壁部682で構成される円筒に、永久磁石60が嵌合される。この際、マグネットホルダ658と同様に、基部680のうち、最も剛性の低い梁部分686が変形して、外周部分684が内周部分690から離間するように変位する。この結果、周壁部682の基部680に対する角度は、垂直に維持される。
マグネットホルダ658の永久磁石60と反対側には、規制部材656が配置されている。図17に示すように、規制部材656は、押圧部602と外周部600とを備える。外周部600は、外周部500と同様の構成を有する。押圧部602は、円板形状を有する。押圧部602は、永久磁石60に取り付けられた状態の基部680と略同一の半径を有する。押圧部602は、基部680に当接した状態でシャフト652に取り付けられる。押圧部602の中心部には、貫通孔506と同様の貫通孔606が形成されている。貫通孔606には、シャフト652が圧入される。これにより、貫通孔606には、連通孔70に連なる連通孔が形成される。
押圧部602は、貫通孔688の上方に位置する貫通孔604を備える。貫通孔604は、貫通孔688の外形に沿った外形を有する。押圧部602は、さらに、貫通孔689の上方に位置する貫通孔610を備える。貫通孔610は、貫通孔689の外形に沿った外形を有する。
規制部材656の永久磁石60の反対側には、樹脂層654が配置されている。樹脂層654は、ロータ50の上方に位置する規制部材656の押圧部602の永久磁石60と反対側から、ロータ50の下方に位置する規制部材656の押圧部602の永久磁石60と反対側まで、貫通孔70を通過して一体で形成されている。また、樹脂層654は、規制部材656の貫通孔604内とマグネットホルダ658の貫通孔688内とに配置されると共に、貫通孔610内と貫通孔689内とに配置される。即ち、樹脂層654は、貫通孔688,689を貫通する。当接部687は、貫通孔689内の樹脂層654に対して、内周側(シャフト652側)から当接する。ロータ50の回転時に、永久磁石60に、第2半径方向外側向きの力が負荷されると、マグネットホルダ658の周壁部682は、永久磁石60から第2半径方向外側向きの力が負荷される。樹脂層654は、規制部材656の貫通孔604とマグネットホルダ658の貫通孔688とに挿入されている。このため、マグネットホルダ658の梁部分686は、樹脂層654に当接することよって、第2半径方向外側に変形することを規制することできる。さらに、当接部687は、当接部687の貫通孔689側の面の全体で、樹脂層654に内周側から当接する。このため、外周部分684が、第2半径方向外側に移動することが強固に規制される。この結果、梁部分686が第2半径方向外側に変形することを規制することできる。
また、第3実施例においても、第1実施例と同様の効果を奏することができる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、外周部分581,681には、樹脂層554,654が配置される貫通孔が、複数個設けられていてもよい。例えば、外周部分681には、貫通孔689よりも外周側に、樹脂層654が配置される1個以上の貫通孔が設けられていてもよい。この場合、規制部材656には、外周部分681に設けられる貫通孔に重複する貫通孔を備えていてもよい。樹脂層654は、外周部分681の貫通孔と規制部材656の貫通孔との両方を貫通していてもよい。
樹脂層554,654は、貫通孔以外に配置されていてもよい。例えば、外周部分581,681に設けられる切欠、例えば、切欠592,692から周方向に伸びる切欠内に配置されていてもよい。この場合、外周部分581,681に設けられる切欠の内周側の縁に当接部が設けられていてもよい。
本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。