JP6432436B2 - 回転電機のステータ - Google Patents

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本発明は、回転電機のステータに関するものである。
回転電機のステータにおいて、ストレートティースに対しコイルを巻装したボビンを挿入する構成が知られている。特許文献1に開示のスイッチド・リラクタンスモータにおいては、ステータティースにおける内径側先端部において左右対称に凹部を設けてボビンを内径側から挿入してボビンを固定している。
特開2001−157387号公報
ところが、ステータティースにおける内径側先端部、即ち、スロット側面に凹部を設けてボビンを位置決めしようとすると、凹部により磁路が妨げられ、磁気性能の低下を招く懸念がある。
本発明の目的は、磁気性能を低下させることなくボビンを少なくとも周方向に位置決めすることができる回転電機のステータを提供することにある。
請求項1に記載の発明では、ロータの外周側において内周側がギャップを介して対向するように配置され、内周面に開口し周方向に並設されたスロット、および、前記スロットの間に形成されバックヨーク側から内径側に向かって延びるストレートティースを有するステータコアと、前記ストレートティースに挿入される筒状のボビンと、前記ボビンに巻装されるコイルと、を備え、前記ステータコアにおける前記スロットの底部は、前記バックヨークの最小幅となる第1のスロット底面部と、前記第1のスロット底面部において前記バックヨークが最小幅になる部分を基準とした仮想円の中心側に位置する第2のスロット底面部を有し、前記第2のスロット底面部に、前記仮想円の中心側に凹部が設けられ、前記ボビンにおける前記ステータコアのバックヨーク側において前記凹部に対応する突起が形成され、前記ステータコアの前記凹部に前記ボビンの前記突起が嵌められて前記ボビンが前記ステータコアの内周面において少なくとも周方向に位置決めされていることを要旨とする。
請求項1に記載の発明によれば、ステータコアにおけるスロットの底部は、バックヨークの最小幅となる第1のスロット底面部と、第1のスロット底面部においてバックヨークが最小幅になる部分を基準とした仮想円の中心側に位置する第2のスロット底面部を有する。凹部が、第2のスロット底面部に、仮想円の中心側に設けられている。一方、ボビンにおけるステータコアのバックヨーク側において凹部に対応する突起が形成されている。そして、ステータコアの凹部にボビンの突起が嵌められてボビンがステータコアの内周面において少なくとも周方向に位置決めされる。これにより、磁気性能を低下させることなくボビンを少なくとも周方向に位置決めすることができる。
請求項2に記載のように、請求項1に記載の回転電機のステータにおいて、前記凹部は、前記ステータコアのスロットの底部における角部に形成されているとよい。
請求項3に記載のように、請求項1または2に記載の回転電機のステータにおいて、前記ステータコアの前記凹部に前記ボビンの前記突起が嵌合しているとよい。
請求項4に記載のように、請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転電機のステータにおいて、前記ステータコアの前記凹部と前記ボビンの前記突起とは、抜け止め構造をなすとよい。
請求項5に記載のように、請求項1〜4のいずれか1項に記載の回転電機のステータにおいて、前記ボビンの前記突起は、軸方向において分割されてなるとよい。
本発明によれば、磁気性能を低下させることなくボビンを少なくとも周方向に位置決めすることができる。
実施形態における回転電機の一部断面図。 回転電機のステータの一部拡大断面図。 回転電機のステータの一部拡大断面図。 回転電機のティース、ボビン等の分解斜視図。 (a)は回転電機のステータの一部平面図、(b)は回転電機のステータの一部正面図。 別例の回転電機のステータの一部断面図。 別例のボビン等の斜視図。 別例の回転電機のティース、ボビン等の分解斜視図。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、回転電機10のステータ20は、ステータコア30と、筒状のボビン(インシュレータボビン)40と、コイル50を備える。
ステータコア30は、ロータ60の外周側において内周側がギャップGを介して対向するように配置される。ステータコア30は、電磁鋼板を複数枚積層して構成されている。ステータコア30は、スロット31およびストレートティース35を有する。スロット31は、内周面に開口し、周方向に並設されている。ストレートティース35は、スロット31の間に形成され、バックヨーク36側から内径側に向かって延びている。図4に示すように、ストレートティース35は、鍔が設けられておらず、幅Wtが一定である。また、ストレートティース35は、高さHtが一定である。
図4,5に示すように、樹脂製のボビン40は、両端が開口する四角筒状部41と、四角筒状部41の一方の開口部に設けられた第1鍔部42と、四角筒状部41の他方の開口部に設けられた第2鍔部43とを有する。第1鍔部42および第2鍔部43は、四角筒状部41の開口部において外径側に突出し、全周にわたり形成されている。
図4,5に示すように、ボビン40の四角筒状部41における内部孔は、幅Wbがストレートティース35の幅Wtより僅かに大きく、高さHbがストレートティース35の高さHtより僅かに大きい。このボビン40がストレートティース35に挿入される。
ボビン40の四角筒状部41の周りには、コイル50が、第1鍔部42と第2鍔部43との間において巻装されている。図1においてステータコア30のバックヨーク36の外周側が、半径R1である。また、ストレートティース35の内径側の先端面が、半径R3である。
図2に示すように、ステータコア30におけるスロットの底部32は、第1のスロット底面部32aと第2のスロット底面部32bを有する。第1のスロット底面部32aは、バックヨーク36の最小幅となっている。第1のスロット底面部32aの半径はR2である。第2のスロット底面部32bは、第1のスロット底面部32aを基準とした仮想円(仮想線で示す半径R2の円)33の中心側に位置している。図3に示すように、第2のスロット底面部32bに、基準とした仮想円33の中心側に凹部34が設けられている。
凹部34は、ステータコア30のスロット31の底部32における角部に形成されている。凹部34は、図4に示すように、軸方向に連続して延設されている。
詳しくは、図2に示すように、スロット31の底部32は、中央が、円弧をなす第1のスロット底面部32aであり、中央の円弧の第1のスロット底面部32aの両側は平面よりなる第2のスロット底面部32bとなっている。この平面よりなる第2のスロット底面部32bにボビン40が面接触する。スロット31の底部32の角部において仮想円33の中心側に凹部34が形成されている。即ち、スロット底面が円弧の場合の仮想線(33)よりも中心側が余肉となり、この余肉部分に凹部34が形成されている。
これにより、バックヨーク幅が狭くなることがない。つまり、磁路となるバックヨークの最小幅を維持しながら凹部34を形成している。
このように仮想円33の中心側に凹部34が形成されていても磁気特性上邪魔にならず凹部34は磁気特性上の劣化を招くことがない範囲で作製している。
図2,3に示すように、ボビン40におけるステータコア30のバックヨーク36側において凹部34に対応する突起45が形成されている。突起45は、図4に示すように、軸方向に連続して延びている。樹脂製のボビン40を金型で製作するときに金型に窪みを形成しておくことにより突起45を設けることができる。
ステータコア30の凹部34にボビン40の突起45が嵌められてボビン40がステータコア30の内周面において少なくとも周方向に位置決めされている。ここで、ステータコア30の凹部34にボビン40の突起45が嵌合している。詳しくは、突起45と凹部34の嵌め合いをきつくしており、凹部34に対し突起45を圧入して摩擦により周方向および径方向に突起45の移動が規制されている。
次に、作用について説明する。
回転電機のステータの組み立ては、以下のように行う。
まず、ステータコア30と、筒状のボビン40と、コイル50を用意する。ステータコア30はストレートティース35を有する。ステータコア30には、スロット31の底部32に凹部34が設けられている。また、ボビン40には突起45が形成されている。
そして、ボビン40の四角筒状部41の周りにコイル50を第1鍔部42および第2鍔部43により規制された状態で巻装する。即ち、ボビン40にコイル50を巻線する。
その後、図4に示すように、コイル50を巻装したボビン40を、ステータコア30の内径側からストレートティース35に対して挿入する。このとき、図2,3に示すように、ステータコア30の凹部34にボビン40の突起45を嵌め入れて嵌合させる。これにより、ボビン40がステータコア30の内周面において周方向に位置決めされ、位置ずれが防止される。
このとき、ボビン40の突起45をステータコア30の凹部34に圧入にて差し込むだけでよく、内径方向に抜けることもない。従って径方向にも移動が規制され、位置決めされる。
このように、ステータコア30のスロット31の底部32に形成した凹部(溝)34にボビン40の突起45を挿入してボビン40およびコイル50をステータコア30に固定する。バックヨーク36の最小幅となるスロットの底部が円弧の場合(図2,3において仮想線(33)で示す半径R2のスロットの底部とした場合)と同等のバックヨークの幅が確保でき、磁気性能の低下を招くこともない。
つまり、ボビン40の突起45を、ステータコア30の底部32に設けた凹部34に挿入することで、性能を落とさず、低コストなコイル固定構造とすることができる。このようにして、スロット31の底部32に設けた凹部34にボビン40の突起45を嵌めることでコイル50を固定することができる。また、図2に示すごとく、スロット31の底部32を平面(32b)にして凹部34を設けることで、スロット31の底部が円弧(33)の場合と同等の磁路(図4に示した磁力線による磁路)を確保することができる。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)回転電機のステータの構成として、ロータ60の外周側において内周側がギャップGを介して対向するように配置され、内周面に開口し周方向に並設されたスロット31、および、スロット31の間に形成されバックヨーク36側から内径側に向かって延びるストレートティース35を有するステータコア30を備える。さらに、ストレートティース35に挿入される筒状のボビン40と、ボビン40に巻装されるコイル50を備える。ステータコア30におけるスロット31の底部32は、バックヨーク36の最小幅となる第1のスロット底面部32aと、第1のスロット底面部32aを基準とした仮想円33の中心側に位置する第2のスロット底面部32bを有し、第2のスロット底面部32bに、基準とした仮想円33の中心側に凹部34が設けられている。一方、ボビン40におけるステータコア30のバックヨーク36側において凹部34に対応する突起45が形成されている。ステータコア30の凹部34にボビン40の突起45が嵌められてボビン40がステータコア30の内周面において少なくとも周方向に位置決めされている。これにより、磁気性能を低下させることなくボビン40を少なくとも周方向に位置決めすることができる。
(2)凹部34は、ステータコア30のスロット31の底部32における角部に形成されている。よって、バックヨーク36の磁路を確保する上で好ましい。また、凹部の深さを深くできるので、より確実に位置決めできる。
(3)ステータコア30の凹部34にボビン40の突起45が嵌合しているので、位置決めする上で好ましい。また突起45が凹部34に圧入されているので摩擦により径方向の移動も規制され、位置決めされる。
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
・図3に示した凹部34の形状、突起45の形状に代えて、図6に示すように、ステータコア30の凹部70において周方向に延びる窪み71を形成するとともにボビン40の突起80に周方向に延びる突出部81を形成することにより抜け止め構造をなすようにしてもよい。
即ち、凹部70は、入口を狭くすることにより挿入したら抜けにくくなっており、突起80は先端が根元よりも幅広であり、突起80に対応した凹部70の形状としている。
このように、ステータコア30の凹部70とボビン40の突起80とは、抜け止め構造をなすものとすることにより、固定性能を向上させることができる。
・図4に示した構成に代わり、図7に示すように、突起45a,45bで示すように図4の突起45を軸方向に2つに分割してもよい。このように分割して短くすることにより突起の製作の際に精度良く突起を作ることができ、突起の凹部への挿入性を向上させることができる。なお、軸方向に延びる突起の分割数は限定しない。
このように、ボビン40の突起は、軸方向において分割されてなるとよい。
・図8に示すように、凹部および突起の数は限定しない。つまり、図4の場合は1つのスロット31に対し1つの凹部34を設けるとともにボビン40に凹部34に対応する突起45を設けたが、図8においては、1つのスロット31に対し2つの凹部90,91を設けるとともにボビン40に凹部90,91に対応する突起92,93を設けている。なお、図8は例示であり、1つのスロットに対し3つ以上の凹部を設けるとともにボビンに凹部に対応する突起を設けてもよい。
・図4においてはボビン40の両側に突起45を形成したが、片側だけでもよい。
・ボビンの突起45は凹部34に圧入されていなくてもよく、少なくとも周方向への移動が規制できればよい(少なくとも周方向に位置決めできればよい)。
・第1のスロット底面部32aは、仮想円の半径R2に沿った円弧(曲面)で形成したが、直線(平面)としても良い。その場合、第1のスロット底面部32aにおいてバックヨーク36の最小幅になる部分を基準に仮想円を形成して、その仮想円の中心側の範囲に凹部34を形成すれば良い。
要は、ステータコア30におけるスロット31の底部は、バックヨークの最小幅となる第1のスロット底面部と、第1のスロット底面部においてバックヨークが最小幅になる部分を基準とした仮想円の中心側に位置する第2のスロット底面部を有し、第2のスロット底面部に、仮想円の中心側に凹部が設けられていればよい。
また、第2のスロット底面部32bは直線(平面)で形成したが、円弧(曲面)で形成しても良い。
30…ステータコア、31…スロット、32…底部、32a…第1のスロット底面部、32b…第2のスロット底面部、33…仮想円、34…凹部、35…ストレートティース、40…ボビン、45…突起、50…コイル、60…ロータ、G…ギャップ。

Claims (5)

  1. ロータの外周側において内周側がギャップを介して対向するように配置され、内周面に開口し周方向に並設されたスロット、および、前記スロットの間に形成されバックヨーク側から内径側に向かって一定幅で延びるストレートティースを有するステータコアと、
    前記ストレートティースに挿入される筒状のボビンと、
    前記ボビンに巻装されるコイルと、
    を備え、
    前記ステータコアは一体に形成されており、
    前記ステータコアにおける前記スロットの底部は、前記バックヨークの最小幅となる第1のスロット底面部と、前記第1のスロット底面部において前記バックヨークが最小幅になる部分を基準とした仮想円の中心側に位置する第2のスロット底面部を有し、前記第2のスロット底面部に、前記仮想円の中心側に凹部が設けられ、
    前記ボビンにおける前記ステータコアのバックヨーク側において前記凹部に対応する突起が形成され、
    前記ステータコアの前記凹部に前記ボビンの前記突起が圧入によって差し込まれた状態で合して前記ボビンが前記ステータコアの内周面において少なくとも周方向に位置決めされていることを特徴とする回転電機のステータ。
  2. 前記凹部は、前記ステータコアのスロットの底部における角部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転電機のステータ。
  3. 前記ステータコアの前記凹部と前記ボビンの前記突起とは、抜け止め構造をなすことを特徴とする請求項1又は2に記載の回転電機のステータ。
  4. 前記ボビンの前記突起は、軸方向において分割されてなることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の回転電機のステータ。
  5. ロータの外周側において内周側がギャップを介して対向するように配置され、内周面に開口し周方向に並設されたスロット、および、前記スロットの間に形成されバックヨーク側から内径側に向かって延びるストレートティースを有するステータコアと、
    前記ストレートティースに挿入される筒状のボビンと、
    前記ボビンに巻装されるコイルと、
    を備え、
    前記ステータコアにおける前記スロットの底部は、前記バックヨークの最小幅となる第1のスロット底面部と、前記第1のスロット底面部において前記バックヨークが最小幅になる部分を基準とした仮想円の中心側に位置する第2のスロット底面部を有し、前記第2のスロット底面部に、前記仮想円の中心側に凹部が設けられ、
    前記ボビンにおける前記ステータコアのバックヨーク側において前記凹部に対応する突起が形成され、
    前記ステータコアの前記凹部に前記ボビンの前記突起が嵌められて前記ボビンが前記ステータコアの内周面において少なくとも周方向に位置決めされており、
    前記ステータコアの前記凹部と前記ボビンの前記突起とは、抜け止め構造をなすことを特徴とする回転電機のステータ。
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