JP5942700B2 - 磁気共鳴信号検出用プローブ - Google Patents

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Description

本発明は磁気共鳴信号検出用プローブに関し、特に、検出系冷却型の核磁気共鳴信号検出用プローブの構造に関する。
(1)従来技術の一般的説明
核磁気共鳴(NMR)プローブの一種として、検出系冷却型NMRプローブ(クライオプローブ)が知られている。検出系冷却型NMRプローブでは、真空容器が利用され、真空容器内の個々の部品(特に検出系)が低温状態におかれる。冷却対象の内で、特に重要な部分は、核磁気共鳴信号を検出する検出モジュール(以下「コアモジュール」という)である。従来のコアモジュールは、例えば、ボビンとその外周面に巻き付けられたコイルとで構成される。検出系を冷却するために、真空容器内に熱交換器が配置される。測定対象となる試料が固体であれば、その固体試料を収容した試料管が、真空容器における筒状隔壁内に所定の傾斜角度(いわゆるマジック角)をもった傾斜姿勢で回転可能に配置される。試料測定時には試料管が駆動されて、それが高速で回転運動する。その際、試料それ自体は室温下におかれ、一方、真空容器内の検出系(特にコアモジュール)が上記のように低温状態におかれる。試料温度を任意温度にして測定を行うこともある。真空容器内に存在する冷却対象部品として、具体的には、上記のコアモジュールの他、検出回路を構成する素子(可変コンデンサ、固定コンデンサ等)、送受信信号切替器(デュプレクサー)、前置増幅器(プリアンプ)、方向性結合器(ディレクショナルカプラー)、同軸ケーブル、輻射シールド等があげられる。
(2)NMRプローブの感度
NMRプローブを用いて観測されるNMR信号の周波数は数MHz〜数百MHzの帯域内にある。この周波数帯域内における主たる雑音は、信号検出回路を構成する導体中のフォノンの揺らぎに由来するジョンソン雑音(熱雑音)である。かかる熱雑音の強度(電圧単位)は、送信信号の周波数(搬送波周波数)に依らず一定であり、いわゆるホワイトノイズである。他の雑音としてフリッカ雑音などがあるが、高周波帯域ではそれを無視できる。熱雑音を低減して感度を向上するためには検出系を冷却することが望まれる。検出系冷却型NMRプローブは、そのような考え方の下で開発されたプローブであり、それは高い検出感度を実現するものである。
NMRスペクトル計測におけるSN比(signal-noise ratio)は一般に以下の方程式で与えられる(但し誘電性結合については無視している)。
上記方程式における各パラメータの意味は次のとおりである。「VS」は核スピンに由来するNMRシグナルを生じさせる起電力であり(電圧単位)、「VN」は 送受信コイルからプリアンプ出力までの間で生じる雑音についての起電力の総和である(電圧単位)。「M0」は静磁場における核スピンの熱平衡磁化を示し、「θm」は送受信コイルの作る振動磁場と静磁場の為す角度である。固体試料に対するNMR計測の場合はマジック角であり、それは具体的にはcosθm=1/√3を満たす角度(およそ54.7°)である。「μ0」は真空の透磁率であり、「vs」は試料の体積である。「ω0」は静磁場における核スピンのラーモア周波数であり、「kB」はボルツマン定数であり、「Δf」は観測帯域幅である。「Qc」は送受信コイルのQ値であり、「ηf」はフィリングファクターである。このフィリングファクターは、原則として、試料空間における磁場強度と、送受信コイルが感じる全体の磁場強度と、の比である。送受信コイルがソレノイドコイルである場合、試料体積とコイル内の円筒体積との比として、それを簡略的に表せる。「Tc」は送受信コイルを構成する導体の温度であり、「Ta」はプリアンプの温度(雑音温度)である。
検出系冷却型NMRプローブは、試料を室温(又は所定の温度)下におき、試料を高速で回転させ、検出用コイル(RFパルス送信コイルを兼ねており、その意味で送受信コイル)を極低温下(例えば20 K 以下)におくことにより、送受信コイルを構成する導体に由来する熱雑音(Tcに依存)を低減すると共に、送受信コイルを構成する導体の抵抗(Tcに依存)を低減してつまり高周波抵抗を下げて、送受信コイルのQ 値(Qc) を向上させるものである。
しかし、検出系冷却型NMRプローブにおいては、送受信コイルと試料管との間に真空断熱層を形成するための筒状隔壁を設ける必要があることから、送受信コイル内径が通常のNMRプローブのそれに比べてどうしても大きくなり、これによりフィリングファクターが通常のNMRプローブのそれよりも小さくなってしまう(後に説明する図3を参照)。これに対処するためには、送受信コイルの内径を小さくしてフィリングファクターを増大させることが望まれるが、そのために送受信コイルが巻かれているボビンの肉厚を薄くすると、ボビンを媒体として送受信コイルを十分に冷却できなくなってしまう(つまりTcが変化してしまう)。このようにボビンの薄肉化には限界があり、つまり送受信コイルの内径を小さくすることには限界がある。
(3)従来技術の具体的説明
図1乃至図4には、後述する実施形態と比較される比較例としての検出系冷却型NMRプローブが示されている(特許文献1参照)。磁場発生装置10のボア12内には同プローブの挿入部14が差し込まれる。挿入部14はプローブヘッド16とプローブ本体18とで構成される。真空容器20は隔壁を構成するものであり、真空容器20における上部には筒状隔壁としてのスリーブ24が設けられている。その内部の通路に試料管26が回転可能な状態で差し込まれる。試料管26は所定角度傾斜した姿勢をもって配置される。符号28は、試料管26の両端を保持し、それに回転力を与える機構を示している。スリーブ24内の通路は大気圧状態かつ室温状態にあり、真空容器20の中は真空状態にあり、その内部に配置された各部品は低温状態にある。プローブヘッド16内には、検出系の要部又は中核をなすコアモジュール30が配置されている。コアモジュール30は、この例では、シルクハット型ボビン32と送受信コイル34とからなる。送受信コイル34は、ソレノイド形を有し、それはボビン32における円筒部32Aの外周面上に形成されたものである。送受信コイル34は、試料に対して高周波磁場を与え、それにより試料で生じた核磁気共鳴を信号として検出するものである。ボビン32の鍔部(円形フリンジ)にはフレキシブルな熱リンク38の上端部が連結されている。ボビン32は例えばサファイヤ製である。図示の例では、FRP(繊維強化プラスチック)などの断熱材料で構成された複数の治具(図示せず)によって、ボビン32が真空容器20に固定されている。熱リンク38の下端部は熱交換器36の端部に連結されている。熱交換器36には例えば液体ヘリウムが導入されており、それは主としてヘリウム蒸発潜熱により極低温下(例えば4K)におかれる。熱交換器36は熱リンク38を経由してボビン32に熱的に接続され、これにより送受信コイル34が冷却される。
図2には、図1に示したコアモジュール30の斜視図が示されている。コアモジュール30は、シルクハット型ボビン32と、送受信コイル34(図示省略)と、からなる。ボビン32の円筒部の中には真空容器の一部を構成するスリーブ24が配置され、その中には試料管26が挿入されている。ボビン32の鍔部表面と熱交換器36とに跨って熱伝導部材としてフレキシブルな熱リンク38が設けられ、それは帯状部材38A,38Bからなる。それらは弛みをもっている。後に詳述するように、冷却時の収縮により熱交換器36が下方へ変位した場合、真空容器に固定されたボビン32と、変位した熱交換器36との間の距離が変わり、その距離変化が弛みによって吸収される。逆に言えば、収縮によって熱交換器36が下方へ変位しても、コアモジュール30の位置が変化しないように、ボビン32が真空容器に対して固定されている。なお、図3には、それぞれの部材の直径が示されており、試料管26の内径がφ1、試料管26の外径がφ2、スリーブ24の内径がφ3、スリーブ24の外径がφ4、ボビン円筒部の内径がφ5、ボビン円筒部の外径がφ6で示されている。送受信コイルを試料にできるだけ近付けるのが望ましいが、両者間にはスリーブ24及びボビン円筒部32Aが存在し、両者の近接には限界がある。
図4の(A)には冷却前の状態(室温状態)での検出系冷却型NMRプローブが模式的に示されている。同図の(B)には冷却状態での検出系冷却型NMRプローブが模式的に示されている。真空容器20内には、熱交換器36が設けられ、それは支柱37によって支持されている。支柱37の基端が下部ユニット43に固定されている。符号39は円筒形を有する輻射シールドであり、それは外部からの赤外線や真空容器20から内側へ出る赤外線を反射する。符号41は輻射シールド39を支柱37に固定するための連結部材を示している。連結部材41は支柱37に固定されている。真空容器20それ自体の温度は(A)の場合も(B)の場合も基本的に変わらず室温である。一方、真空容器20の内部構造体は、室温状態から冷却状態への遷移過程で、各部材固有の線膨張係数に従って、(B)中の矢印で示すように収縮し、各部材が下方へつまり下部ユニット43側へ変位する。その変位量は上方に位置する部材ほど大きい。h1は基準レベルを示しており、h2は熱交換器36の上面レベルを示しており、h3は検出中心(試料中心)のレベルを示している。各部材の収縮により、熱交換器36の上面レベルh2がΔhだけ下がってh4に変化している。その変化に伴い、フレキシブルな熱リンク38が伸長変形している(符号38a参照)。但し、図面上その伸長変形が誇張して表現されている。一方、ボビンは真空容器20に対して治具(図示せず)によって固定されているため、送受信コイルのレベルは冷却前後で不変である。
(4)フィリングファクターの面からの考察
フィリングファクターは、送受信コイルが作る高周波磁場空間における被測定試料の占有空間の割合として定義されるものである。それは無次元数であって、NMR検出感度性能(S/N)に対して正の比例関係を有する。非常に単純な近似として、送受信コイルの体積中に占める試料の体積の比をもってフィリングファクターとみなせる。通常、固体試料に対するNMR計測では、試料が送受信コイルの外側空間にまではみ出すことはあまり無いので、試料管の同軸的な構成を前提として、フィリングファクターを、コイル内径に対する円筒型試料の外径の比([試料外径]/[コイル内径])と近似できる。したがって、S/Nの観点からは、コイル内径をできる限り試料外径に近づけた方が有利である。
上述した比較例(あるいは従来例)においては、シルクハット型ボビンの円筒部における外周面にソレノイド形のコイルが形成されていた。このような送受信コイルの内径は、以下によって規定される(図3も参照)。
[数2]
[送受信コイル内径φ6] = [試料外径]+
[試料管の厚み]×2+
[試料回転空間のクリアランス]×2+
[真空隔壁スリーブの厚み]×2+
[断熱真空空間のクリアランス]×2+
[サファイヤボビン円筒部の厚み]×2
フィリングファクターの最適化とは、各項目の寸法を必要最小限に制限することである。しかしながら、最終項の[サファイヤボビン円筒部の厚み]に着目すると、それを薄くすればするほど、ボビンの熱伝導断面積を削ぐことになり、コイル温度をより下げるべき要請に対して相反する結果を招く。
一般に、高周波電流により発生する交番磁場は、導体内部に侵入しにくく表面に分布しており、電流密度もまた導体表面に集中する(表皮効果)。それに加えて、ソレノイドコイルのような形状を有する導体の場合は、各線要素がそれに隣接する線要素で生じる交番磁場の影響を受け、導体の内側表面(径方向中心側の表面)に電流が集中し、そこでの電流密度が高くなる(近接効果)。したがって、従来のシルクハット型ボビンにおいては、送受信コイルを構成する導体中の最も内側の表面(表層)における比抵抗と、当該表面の性状と、が損失の大きさを左右する。送受信コイルをめっき処理にて形成する場合、コイル導体における最も内側の表面とボビンの基材(サファイヤ)の密着性を高めるために、両者間のメタライズ界面に対して触媒微粒子などを埋め込むことがあり、その場合には、バルクの導体(無酸素銅など)を用いる場合に比べ、電気伝導度が低くなる、表面の凹凸が大きくなる、といった事象が想定され得る。そのような送受信コイルに高周波信号を流す場合、当該送受信コイルで生じる損失は、理想的なバルクの無酸素銅によって作られたコイルで生じる損失に比べて、大きくなり易く、それはコイルQの悪化を招くものである。冷却によってコイル温度が低下すると、金属の比抵抗が減少するが、コイル内側への電流密度の集中がさらに強まるので、コイルQの観点からの不利な状況が冷却によって改善されるわけでもない。
なお、特許文献2に開示されたNMRプローブにおいては、インサートコイルが設けられている。インサートコイルの外側にはそれを包み込む筒状部材が認められる。この構成では、インサートコイルの温度がガスによって直接的に操作されており、筒状部材は熱伝導媒体として機能していない。特許文献3には、プリント板状にコイルパターンを形成した上で、コイル面を内側にしつつプリント基板を丸めることにより、NMR用ソレノイドコイルを製作することが記載されている。この構成でもプリント基板は熱伝導媒体として機能していない。
(5)冷却に伴う収縮についての考察
図4に示したように、室温状態から冷却状態への遷移過程で各部材が収縮し、それは各部材の下方への変位として現れる。図4に示した構成では支柱37の固定端レベルが基準面をなし、それに対して、支柱37をはじめとして各部材が近接するように変位する。よって、上にある部材ほど変位量が大きくなる。もし、コアモジュール30を熱交換器36だけに連結するならば、冷却状態においてコアモジュール30が下方へ変位することになり、スリーブに対してボビンが接触してしまう。これにより、コアモジュール30の断熱状態が崩れてしまい、送受信コイルの冷却状態を維持できなくなり、試料容器の温度も変化してしまって結露・結霜という問題が生じてしまう。そこで、上記比較例ではボビンが固定部材を介して真空容器に固定されている。その一方、コアモジュール30と熱交換器36との間の距離が変動しても熱伝導を確保するため、両者間には銅や銀などの軟らかい金属箔や線からなるフレキシブルな熱リンク38が設けられている。
しかし、熱リンクの熱断面積は比較的に小さく、そこでの熱伝導性を十分に確保することが困難である。例えば、図4に示した熱リンク38を用いた構成では、熱交換器36とボビンとの間に10 Kの温度差が生じ、送受信コイルを効果的に冷却できないおそれがある。また、熱リンク38が金属導体により構成され、それが送受信コイルの近傍に設置されているので、場合によっては熱リンク38が送受信コイルの特性に悪影響を与えてしまう可能性もある。また、ボビンを固定する治具はFRPなどの断熱部材で構成されていたが、そうであっても常温体と極低温体との間での治具上の熱伝導を無視し得ないので、そのような治具はできる限り使用しない方がよい。更に、熱伝導性の観点から見て熱伝達経路上における部品数の削減が望まれる。
なお、特許文献4にも上記収縮の問題が記載されている。特許文献4に示された構成では、真空容器の中に冷却器及び検出部からなる内部機構が配置されている。検出部の下方には支柱が設けられ、その支柱によって内部機構が下側から支持されている。一方、真空容器が有する上板(天板)の下面側には断熱部材を介して検出器が固定されており、内部機構が上側でも支持されている。断熱部材はスペーサのような板状の形態を有する。断熱部材の上面が上板の下面に密着し、その下面が検出部の上面に密着している。この構成では、収縮に伴う検出部の下方変位を制限できるものの、断熱部材を介して少なからずの熱流入が生じる可能性を指摘できる。なお、そのような構成は、固体試料を対象とする検出系冷却型NMRプローブに対してはそもそも適用困難なものである。
特開2008−241493号公報 実開昭58−99655号公報(実願昭56−198075号) 実開昭60−70083号公報(実願昭58−162897号) 特開2004−233337号公報
従来の検出系冷却型の磁気共鳴信号検出用プローブにおいて、内部構造体が下部ユニットに固定されている場合、室温状態から冷却状態への遷移過程で、各部材の収縮に伴って内部構造体が下方へ変位してしまうため、コアモジュール(特に送受信コイル)を真空容器に対して治具(固定部材)をもって固定するしかなかった。これにより以下の問題が生じていた。
第1に、常温下にある真空容器と極低温状態にある送受信コイルとの間において治具を媒介とした熱流入という問題があった。そのような熱流入により送受信コイルを十分に冷却できないおそれが生じていた。
第2に、熱交換器が下方へ変位する一方において、コアモジュールが固定されることになるので、両者間に剛体としての熱リンク(熱伝導部材)を配置できないという問題があった。従来例ではフレキシブルな熱リンクが用いられていたが、そのような熱リンクでは良好な熱伝導を確保できない結果、コアモジュールを十分に冷却できないおそれが生じていた。
本発明の目的は、上記であげた課題の内で少なくとも1つを解決することにある。すなわち、本発明の目的は、検出モジュールそれ自体を真空容器に固定しなくても、検出モジュールの位置を適正に維持できるようにすることにある。あるいは、本発明の目的は、熱交換器と検出モジュールとの間において十分な熱伝導を確保できるようにすることにある。あるいは、本発明の目的は、検出用コイルを十分に冷却して感度を高められるようにすることにある。
本発明に係る磁気共鳴信号検出用プローブは、静磁場発生装置内に挿入され、中心軸方向に伸長した真空容器と、前記真空容器内に設けられ、試料からの磁気共鳴信号を検出するための検出用コイル及びそれを冷却するための冷却源を有する内部構造体と、前記真空容器の根元レベルよりも前記中心軸方向の上方において前記真空容器に対して前記内部構造体を固定する部材であって、前記真空容器と前記内部構造体との間において前記中心軸方向に伸長する伸長部分を有する固定部材と、を含むことを特徴とする。
上記構成によれば、真空容器内の内部構造体(少なくとも検出用コイルと冷却源とを含むもの)が、真空容器に対して固定部材を介して固定される。これにより内部構造体の支持レベルつまり収縮基準レベルを根元レベルから上方へ引き上げることができるので、内部構造体の上部における変位を実質的にゼロにでき又は従来例よりも小さくすることができる。内部構造体の支持位置をより上方に設定すれば内部構造体の上部の変位つまり検出用コイルの変位をより小さくすることができる。そのような構成により、検出用コイルの変位を許容範囲内に抑えられる場合、検出コイルを備えるコアモジュールそれ自体を真空容器に対して固定する必要がなくなり、また、冷却源からコアモジュールまでの間を熱伝導性の良好な剛体で連結することが可能となる。これにより検出用コイルを十分に冷却することが可能となる。
固定部材は、真空容器と内部構造体との間において中心軸方向に伸長する伸長部分を有する。伸長部分は真空容器から内部構造体への熱流入をできるだけ抑えるために設けられた冗長部分である。伸長部分をもって熱移動距離(熱的隔絶性)を増大できるからである。一方、伸長部分は内部構造体の収縮によってそれが水平方向に変位した場合に内向き変形するものである。これにより温度変化によらずに内部構造体を確実に保持することが可能になる。なお、真空容器は中心軸方向に伸長する部材であり、その内部には様々な部品が配置されるが、通常その内部には中心軸方向に沿って広がる一定の隙間空間(一般的には円筒形状の隙間空間)が存在する。そのような隙間空間に上記伸長部分が配置されるのが望ましい。
検出対象となる磁気共鳴信号は基本的には核磁気共鳴(NMR)信号であるが、他の信号(例えば電子スピン共鳴信号)を検出する場合に上記構成を転用することも可能である。冷却源は、真空容器内に配置された熱交換器又はそれに相当する部材である。冷却源に対して直接的に、又は支持部材を介して間接的に、コアモジュールが連結されるのが望ましい。検出用コイルは、通常、送受信兼用コイルである。送信コイルと受信コイルとが別々に設けられる場合においても上記構成を適用可能である。上記の中心軸方向は通常、上下方向であるが、そうでない場合にも上記構成を適用可能である。その場合、中心軸方向において根元から離れる方向が上記で言うところの上方に相当する。内部構造体は、望ましくは、輻射シールドを含む。一方、輻射シールドを独立して設置し、それ以外の冷却源等を固定部材の支持対象とすることも可能である。上記構成においては、真空容器がそれ本来の真空隔壁の機能に加えて、内部構造体の荷重を受ける外骨格機能を発揮することになる。
望ましくは、前記固定部材は、前記真空容器に固定される外端部と、前記内部構造体を支持する内端部と、前記外端部と前記内端部との間の部分であって、前記伸長部分を備えた中間部と、を含む。熱的に見て中間部は重要な要素であり、そこでの熱伝導ができるだけ少なくなるように固定部材の形態及び材料を定めるのが望ましい。機械的に見ても中間部は重要な要素である。すなわち、冷却に伴って内部構造体に水平方向の変位が生じた場合に伸長部分の下端が内向きに追従移動する。そのような変形を許容ししかも内部構造体をしっかり支持できる材料で固定部材を構成するのが望ましい。特に望ましくは、中間部あるいは伸長部分が、互いに水平方向に離間した複数のリンクによって構成される。そのような構成によれば熱伝導断面積を小さくして熱流入をより抑制できる。
望ましくは、前記内部構造体は、前記真空容器の内面に沿って上下方向に伸長し赤外線を遮蔽する輻射シールドを有し、前記内端部が前記輻射シールドを保持し、前記輻射シールドによって前記冷却源が支持される。この構成によれば輻射シールドが熱拡散作用を発揮し、同時に冷却源までの熱伝導距離を増大する機能を発揮する。
望ましくは、前記輻射シールドにおける前記外端部の支持位置よりも下がった中間位置に断熱材料で構成された連結部材が設けられ、前記連結部材を介して前記輻射シールドによって前記冷却源が支持される。この構成によれば、真空容器からの冷却源までの間に、固定部材、輻射シールド、連結部材等が存在し、それらが熱伝導経路を構成する。連結部材が中間位置に設けられているので、輻射シールド上の熱伝導距離を増大でき、また、連結部材が断熱部材で構成されているから、熱伝導をより抑制できる。
望ましくは、前記内部構造体が前記固定部材を介して前記真空容器に対して吊り下げ固定される。望ましくは、前記内部構造体の下部における水平運動を規制する規制手段が設けられる。望ましくは、前記規制手段は、前記冷却源から下方へ伸長する第1部材と、前記第1部材に対して係合する部材であって、前記第1部材の中心軸方向のスライド運動を許容しつつ前記第1部材の水平運動を制限する第2部材と、を含む。この構成によれば内部構造体の上部を保持する場合においてその下部が振り子運動することを防止できる。
望ましくは、前記検出用コイルを備えた検出モジュールが硬質の熱伝導体を介して前記冷却源に固定され、前記検出モジュールは前記真空容器から真空断熱層を介して隔てられる。この構成によれば検出モジュールと冷却源との間の熱伝導性を良好にできると共に検出モジュールに対する直接的な熱流入を防止できる。よって、検出モジュールつまり検出用コイルを効果的に冷却でき、その感度特性を高められる。
本発明によれば、検出モジュールをその設置場所で真空容器に固定しなくても、検出モジュールの位置を適正に維持できる。あるいは、熱交換器と検出モジュールとの間において十分な熱伝導を確保できる。あるいは、検出用コイルを十分に冷却して感度を高められる。
検出系冷却型NMRプローブについての比較例を示す断面図である。 図1に示した構成におけるコアモジュールを示す斜視図である。 同心円状に配置された各部材の直径を説明するための平面図である。 図1に示した構成において生じる、収縮による変位を説明するための模式図である。 本発明に係る検出系冷却型NMRプローブの好適な実施形態を示す断面図である。 図5においてVIで特定する部分の拡大図である。 コアモジュールの一例を示す斜視図である。 図7に示したコアモジュールの平面及び断面を示す図である。 一対の引出電極が形成された冷媒ブロック(冷却ブロック)を示す斜視図である。 冷媒ブロックの第2例を示す斜視図である。 冷媒ブロックの第3例を示す斜視図である。 冷媒ブロックの第4例を示す斜視図である。 図5に示した構造の作用を説明するための模式図である。 固定部材の第1実施例を示す図である。 固定部材の第2実施例を示す図である。 保持構造の第2例を示す模式図である。 NMR分光計システムの構成例を示すブロック図である。 閉サイクル式の冷却システムを示す模式図である。 開サイクル式の冷却システムを示す模式図である。
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
(1)検出系冷却型NMRプローブの説明
図5には、本発明に係る検出系冷却型NMRプローブの好適な実施形態が示されている。このNMRプローブは例えば試料について分子構造を解析する際に用いられるものであり、本実施形態において試料は固体試料である。図5においては、発明の説明上、一部の構成が省略されており、また一部の構成が誇張して示されている。
図5において、NMRプローブ44は、挿入部46と下部ユニット48とからなる。挿入部46はそれ全体として垂直方向に伸長した円筒形状を有し、それは静磁場発生装置40のボア42内に差し込まれる。挿入部46は、中間体を構成する本体50とその上側に設けられたプローブヘッド52とからなる。プローブヘッド52は試料管を保持し回転する機構を備え、また後に詳述するコアモジュール54を備えている。NMRプローブ44の全体にわたって真空容器(真空隔壁構造としてのクライオスタット)58が構成されており、その真空容器58は、垂直方向に伸長した筒体60、下部ユニット48の下部筐体62,及び、上部隔壁64により構成されている。真空容器58の内部は真空状態にあり、その外部は大気圧状態にある。筒体60及び上部隔壁64は、アルミニウム、FRP等の磁場に悪影響を与えず構造的強度を確保できる部材で構成される。下部筐体62はアルミニウムその他の金属で構成される。上部隔壁64は、円筒を斜めに切り落としてできるような断面三角形状となる第1部分と、第1部分の斜面からそれに直交する方向に突出した第2部分と、からなる。
挿入部46における真空容器58内には内部構造体65が収容されている。内部構造体65は、輻射シールドアセンブリ68、連結部材74、第1熱交換器80、スライダ76、支持部材(熱伝導部材)82、及び、コアモジュール54を含むものである。
固定部材66は、内部構造体65を真空容器58の上部に吊り下げ固定するための部材である。固定部材66はFRPなどの断熱性能が良好な部材(断熱部材)で構成されている。後に図6(拡大図)に示すように、固定部材66の上端部(外端部、固定端部)は外側水平方向に突出した鍔部を構成しており、固定部材66の下端部(内端部、保持端部)には内部構造体65が連結されている。上端部と下端部との間の中間部は上下方向に伸長した形態を有している。固定部材66は、室温状態にある筒体60から冷温状態にあるシールド本体70(後述)へ熱流入ができるだけ生じないように構成される。本実施形態では、固定部材66の全体が断熱性の高い材料で構成された上で、上端部と下端部との間に中間部を存在させることによって熱伝導距離が増大されている。中間部は、冷却に伴って上端部に対して下端部が水平方向内側へ変位した場合に、それに追従して変形する。固定部材66の上端部は、筒体60の上端部と上部隔壁64の下端部との間に挟み込まれている。本実施形態では、基本的に、内部構造体65の全荷重がそれを吊り下げている固定部材66にかかっており、つまり、真空容器58の筒体60がその全荷重を受けている。もっとも、内部構造体65の荷重の一部を他の位置において補助的に受けることは可能である。
輻射シールドアセンブリ68は、筒体60の内周面に沿ってそれに離間して設けられたシールド本体70と、シールド本体70の上側に設けられた上部シールド部材72と、により構成される。シールド本体70は円筒形状を有し、上部シールド部材72は、シールド本体70の上端に連結されており、それは上部隔壁64の内面形状に沿った形状を有する。輻射シールドアセンブリ68は、真空容器58から内側へ出る赤外線を反射して内部への赤外線の進入を阻止するものであり、アルミニウムなどで構成される。本実施形態において、シールド本体70は第1熱交換器80を中継的に支持しその荷重を受ける機能も担っている。シールド本体70と上部シールド部材72との連結箇所に固定部材66の下端部が連結してある。シールド本体70の内側であって中間高さに円板状の連結部材74が設けられている。それはシールド本体70に固定されており、また第1熱交換器80の下部から下方に延びるスライダ76を保持している。連結部材74は、FRPなどの断熱部材で構成される。
第1熱交換器80は、挿入部46の上部つまりコアモジュール54の近くに位置している。第1熱交換器80は、その内部に多数のフィンなどを有し、つまり広い熱交換表面積を有する構造を有する。第1熱交換器80は、往路冷媒配管88から注入される冷媒(液体ヘリウム等)によって冷却され、昇温した冷媒が復路冷媒配管90から排出される。第1熱交換器80の上部は斜面となっており、その斜面には支持部材82が斜面と並行に固定されている。支持部材82の伸長方向は、試料管56の回転中心軸と並行な方向である。支持部材82は熱伝導性の良好な材料(例えば銅)で構成されたブロック状の部材である。その上端にコアモジュール54が連結されている。コアモジュール54は、支持部材の伸長方向と直交する方向に伸長する部材である。プローブヘッド52の内部構造については後に図6を用いて説明する。
第1熱交換器80の下部には筒状のスライダ76が設けられ、そのスライダ76の下端部が下部筐体62に起立固定された筒状のスライドガイド78内に差し込まれ、それによって上下方向にスライド自在に保持されている。スライダ76とスライドガイド78との組合せにより、内部構造体65の水平方向の位置が定められ、内部構造体65の下部が振り子運動することはない。スライダ76及びスライドガイド78はFRPなどの断熱部材により構成される。
第1熱交換器80の側面にはステージが設けられ、そこには2つの可変コンデンサ等の電子部品が搭載され、それらが冷却されている。それらの電子部品は、送受信コイルと共に同調用及び整合用の電子回路を構成するものである。2つの可変コンデンサにはそれぞれ操作軸108,110の上端が取り付けられており、操作軸108,110の下端は下部筐体62を突き抜けており、それらの下端には操作用つまみ112,114が設けられている。可変コンデンサを自動調整するように構成してもよい。
挿入部46と下部ユニット48とに跨って第2熱交換器が設けられている。その第2熱交換器は、復路冷媒配管90の途中に連結された金属板94と、フレキシブルな熱リンク96と、金属メッシュ98と、からなる。それらは銅等の熱伝導性の良好な部材により構成されている。金属板94と金属メッシュ98との間において熱リンク96が熱伝導作用を発揮する。熱リンク96はフレキシブルな材料で構成されているため、シールド本体70が上方へ収縮しても、熱リンク96が追従変形するだけである。熱リンク96の熱伝導作用は維持される。この第2熱交換器によりシールド本体70が冷却される。
下部ユニット48内には第3熱交換器92が設けられている。それはステージ100に固定されている。第3熱交換器92には復路冷媒配管90が連結されており、そこから冷媒を取り込んでいる。第3熱交換器92を単なる銅板又は銅ブロックで構成することも可能である。ステージ100には電子回路(デュプレクサ回路、プリアンプ等)102が搭載されており、電子回路102が効果的に冷却されている。符号106は電気信号接続用コネクタを示している。下部ユニット48内には同軸三重管構造をもったトランスファーチューブ84が引き込まれており、その中心配管が往路冷媒配管88に接続され、その外側配管104が第3熱交換器92の冷媒出口に接続されている。中心配管と外側配管の間には真空層を構成する環状の隙間が存在している。下部筐体62に設けられた吸引用パイプ及びそれに接続された真空ポンプは図示省略されている。
図6は、図5中の記号VIで示す部分の拡大図である。上記のように、真空容器58に対して内部構造体65が固定部材66を介して吊り下げ固定されている。固定部材66は、上端部66Aと、下端部66Bと、それらの間の中間部66Cと、で構成される。上端部66Aは鍔部を構成しており、それが筒体60と上部隔壁64との間に挟み込まれている。中間部66Cは、上端部66Aから折れ曲がって下方へ伸長した部分である。下端部66Bはシールド本体70に連結され、それを保持している。中間部66Cは真空容器88内の上下方向に伸びる隙間空間を使って配置され、それは上下方向に伸長している。中間部66Cが他の部材に接触しないように構成するのが望ましく、そのような構成によれば、そこでの断熱作用を高めることが可能である。仮に固定部材66として水平方向に広がった単純なリング状部材を利用したならば、外端部と内端部の距離がほとんど無くなり、高い断熱作用を期待できない。また、冷却に伴う収縮による変位を吸収することも困難となる。これに対して上記構成によれば、真空容器58内の有限なスペースを利用して、固定部材66を上下方向に伸長した形態とすることにより、断熱性能を引き上げることが可能である。冷却に伴い、内部構造体65(特にシールド本体70)が収縮してその直径が小さくなり、上端部66Aに対して下端部66Bが水平方向内側へ変位すると、中間部66Cが変形してその変位が吸収される。つまり、内部の温度変化があっても内部構造体65の保持作用を維持できる。
固定部材66が直接的に連結されているのはシールド本体70であり、第1熱交換器80ではない。固定部材66から第1熱交換器80の間には、アルミニウムで構成されたシールド本体70の他、断熱部材からなる連結部材74(図5)及び断熱部材からなるスライダ76(図5)が存在している。このように固定部材66から第1熱交換器80までの熱伝導経路が意図的に長くなっており、しかもその経路上には断熱部材が段階的に挿入されており、真空容器58からの熱ができる限り内部構造体(特にコアモジュール54)に伝わらないように構成されている。
第1熱交換器80の側面にはステージ112が設けられ、そのステージには可変コンデンサ114,116が搭載されている。可変コンデンサとして、例えば、Voltronics社の "cryogenic tunable trimmer" コンデンサ(NMCB10-5CKEなど)を用いることができる。ステージ112は銅などの熱伝導性の良好な部材で構成される。第1熱交換器80の上部には支持部材(熱伝導部材)82の下端部が連結されており、その上端部にはコアモジュール54が連結されている。支持部材82は上述したように試料回転軸に対して並行に伸長しており、支持部材82に対して直交するように、つまり、試料回転軸に直交するようにコアモジュール54が伸長している。
コアモジュール54は、冷媒ブロック(冷却ブロック)118及び送受信コイル120からなるものである。冷媒ブロック118は、送受信コイル120の基体であると同時に送受信コイル120の冷却部材である。冷媒ブロック118は望ましくは角柱状の形態を有し、その基端側が支持部材82に連結され、その先端部には貫通孔としての検出孔が形成されている。検出孔の内面には送受信コイル120が形成されており、それはパターン化された導体膜として構成されている。検出孔の中心軸と試料回転中心軸は一致している。上部隔壁64は、断面三角形状の下部64Aと、それが有する斜面板から垂直に起立形成された突出部64Bと、を有し、更に、試料回転中心軸の周りに配置されたスリーブ(筒状隔壁)122を有する。スリーブ122は、断熱性の高い材料で構成され、例えばセラミックとFRPの複合部材により構成される。スリーブ122を取り囲むように送受信コイル120及び冷媒ブロック118が設けられている。真空容器の一部であるスリーブ122は、送受信コイル120又は検出孔の内面に接触しておらず、両者間には真空断熱層が確実に存在する。スリーブ122の中には試料管56が非接触で挿通している。試料管56の両端には試料回転機構126が設けられている。試料回転機構126は突出部64Bに固定されており、それには試料管を出し入れするための通路(図示せず)が設けられている。上部シールド部材72は、コアモジュール54の下端部まで覆った部分72Aと、支持部材82の上側に回り込んだ部分72Bと、からなるものである。
本実施形態の構成では、常温大気圧下におかれた固体試料が高速で回転され、一方、検出系については真空中において低温状態とされ、その検出系によって固体試料のNMR信号が検出される。検出系における中核又は要部が上記のコアモジュール54であり、その内の送受信コイル120が上記構成によって非常に良好な冷却状態とされる。コアモジュール54それ自体が真空容器58から完全に離れており、上記したボビン(外巻き用芯体)のようなものは用いられていない。
(2)コアモジュールの説明
図7には、コアモジュール54の斜視図が示されている。冷媒ブロック118は、それ全体として角柱状の形態を有し、その先端部118aには貫通孔としての検出孔130が形成されている。その内面にはソレノイド形の送受信コイルが設けられている。図7においては、真空隔壁を構成するスリーブ112及び試料管56が表されている。それらは同心円状に検出孔130内に配置されるものである。冷媒ブロック118の基端部には突出部132が設けられており、その突出部132のコンタクト面が支持部材82のコンタクト面と接合した状態で両部材が複数のボルト等によって締結されている。冷媒ブロック118は、低誘電率・低誘電損失の絶縁体であって、低温下(20K以下)での熱伝導率が高い物質で構成されるのが望ましく、典型的には、高純度(99.9%以上)α-アルミナ結晶(サファイヤ)により構成される。低温状態と常温状態との間での温度変化(10K〜300K)に際して、送受信コイルと冷媒ブロック118の一体的関係は維持される。つまり、そのような温度変化に対して送受信コイルの剥離や破断が生じないように構成される。
図8の(A)はコアモジュールの正面図である。同図の(B)はコアモジュールの縦断面図である。(A)において、試料管の内径がφ1、試料管の外径がφ2、スリーブの内径がφ3、スリーブの外径がφ4、検出孔130の内径がφ7で示されている。本実施形態では、ボビンは使用されておらず、送受信コイルの内径を従来よりも小さくして、送受信コイルを試料に近付けることが可能である。試料管の外径φ2は数mm程度であり、例えば2.5mm又は3.2mmである。検出孔130の内径φ7は例えば8.1mmである。試料管の外径φ2に対して、検出孔130の内径φ7が所定の範囲内に収まるように構成するのが望ましい。検出孔130つまり送受信コイルは完全に冷媒ブロック118によって取り囲まれており、送受信コイルは事実上、冷媒ブロック118内に埋め込まれている。検出孔130の周囲の肉厚d1,d2,d3は例えば5mm以上であり、望ましくは1cm以上である。本明細書上であげる各数値はいずれも例示に過ぎないものである。
図8の(B)において、検出孔130の内面上には送受信コイル120が導体膜のパターンとして形成されている。送受信コイル120は、静磁場に対するマジック角の方向を中心軸とする円筒形を有し、被測定試料中の被測定核種のLarmor周波数(数〜数百MHz)を搬送周波数とした高周波電力を送信し、それにより誘起された被測定試料中の被測定核種のNMR信号を検出するための素子である。送受信コイル120は、径方向に若干の厚みをもったリボン状(平角線状)あるいは帯状の形態を有する。その膜厚は、例えば10μm以上数100μm以下であり、望ましくは50μm以上200μm以下に設定される。送受信コイル120の材料としては、常温下および低温下において高い電気伝導度(低い高周波抵抗)を有する導体が用いられる。典型的には高純度の無酸素銅が利用される。送受信コイル120の長さが冷媒ブロック118の厚みDに相当している。冷媒ブロック118の伸長方向(Y方向)において断面積は一定であり、つまり奥行きの幅Dと縦横の幅がそれぞれ一定に維持されている。送受信コイル120はソレノイド形を有している。それ以外のタイプの送受信コイル(例えばサドル型ヘルムホルツコイル)を利用してもよい。送受信コイルのターン数は、例えば3〜5であり、望ましくは4である。
コイル製作過程では、まず検出孔の内面全体に対してめっき処理が施され、そこに導体皮膜が形成される。その後、導体皮膜に対してパターニングを施した上で、エッチング処理を施すことにより、送受信コイル120が完成する。その場合、以下に説明する引出電極パターンも一緒に製作することが可能である。このような手法を利用して様々なコイルを容易に製作することが可能である。
図9には、一対の引出電極層が形成されたコアモジュールが示されている。冷媒ブロック118の前面118Aには第1引出電極134の一部134Aが形成されており、冷媒ブロック118の右側面118Bには第1引出電極134の残りの部分134Bが形成されている。第1引出電極134は導体膜として構成され、それは送受信コイル120の一方端に接続されている。検出孔130の第1開口縁に対しては面取り加工が施されており、送受信コイル120と第1引出電極134との間が確実に接続されている。同様に、媒ブロック118の背面118Cには第2引出電極136の一部136Aが形成されており、冷媒ブロック118の左側面118Dには第2引出電極136の残りの部分136Bが形成されている。第2引出電極136は上記第1引出電極134と同様に導体膜として構成され、それは送受信コイル120の他方端に接続されている。検出孔130の第2開口縁に対しても面取り加工が施されており、送受信コイル120と第2引出電極136との間が確実に接続されている。冷媒ブロック118における他のエッジに対して面取り加工が施されてもよい。上記構成によれば、送受信コイルに対する結線に当たって、空いている面スペースを使って確実に信号線の接続を行える。
図10にはコアモジュールの第2例が示されている。この例では、円柱状の冷媒ブロック138が利用されており、その先端部に検出孔140が形成されている。図11にはコアモジュールの第3例が示されている。この例では、角柱状の冷媒ブロック142において検出孔144の内面をその中心軸方向に引き伸ばすために前面及び背面にそれぞれリング状の張出部146が突出形成されている。図12にはコアモジュールの第4例が示されている。この例では、大径をもった円盤状の冷媒ブロック150の中央部(事実上の先端部)に検出孔152が形成され、冷媒ブロック150の外縁部(事実上の基端部)に連結用突出部154が設けられている。このように、冷媒ブロックの形態として各種のものを採用することが可能である。その場合、送受信コイルを十分に冷却できるように、体積比熱容量を大きくすることが望ましく、また熱伝導にあたって熱断面積を大きくとれるように構成するのが望ましい。
(3)保持構造の説明
図13には、図5に示したNMRプローブが模式的に示されている。真空容器58内には内部構造体65が設けられている。具体的には内部構造体65は、吊り下げ用の固定部材66によって真空容器58に対して固定される。内部構造体65は、上述したように、輻射シールドアセンブリ68、連結部材74、第1熱交換器80、支持部材82、コアモジュール54等を含む。第1熱交換器80の下部に筒状のスライダ76が設けられ、その下端部が筒状のスライドガイド78内にスライド自在に挿入されている。これによって、内部構造体の下部における水平方向の位置決めがなされる。輻射シールドアセンブリ68は、シールド本体70と上部シールド部材72とからなる。h5は基準レベルを示しており、h6は検出中心があるレベルを示している。
冷却に伴い、内部構造体65を構成する各部品は、それが有する固有の線膨張係数に従って収縮する。その場合、内部構造体65が固定部材66によって保持されているので、基準レベルh5に向かって各部材が変位運動を行う。具体的に検討すると、シールド本体70の内で固定部材66から連結部材74までの部分が符号156で示すように上方へ収縮し、一方、連結部材74から第1熱交換器80の上部付近までの部分が符号158で示すように下方へ収縮する。このように2つの部分が逆方向に収縮運動するため、両者の変位は基本的に相殺される。各部材を構成している材料は異なるので厳密に相殺されることはないとしても、収縮に伴って生じる変位の打ち消し合い効果を十分に得られる。第1熱交換器80の上部から検出コアモジュールにおける送受信コイルまでの部分も収縮することが想定されるが、その部分は比較的短いので、そこでの変位は許容範囲内に収めることが可能である。つまり、検出中心レベルh6に対して送受信コイルの中心を実質的に定位させることが可能であり、コアモジュール54の接触等の問題を効果的に回避できる。クリアランスは例えば0.4〜0.5mmである。もちろん、条件次第でクリアランスの大きさが変動し得る。なお、上記であげた以外の部分も収縮するが、それは大きな問題とはならないものである。上記の収縮によりスライダ76が上方に変位したとしてもその動きはスライドガイド78により許容される。
本実施形態の真空容器58は、単なる容器としての機能のみならず外骨格としての機能をも有するものである。すなわち、真空容器58によって内部構造体65が吊り下げ保持されている。コアモジュール54それ自身が直接的に真空容器58に固定されることはないので(つまりコアモジュール54と真空容器58との間に真空断熱層があるので)、コアモジュール54の冷却状態は良好に維持される。固定部材66から第1熱交換器80ひいてはコアモジュール54までの経路が非常に長くなっているので、真空容器58からの熱伝導は非常に小さくなる。しかも、固定部材66が狭い隙間を旨く利用して上下方向に伸長しており、そこでの熱伝導も効果的に抑制されている。この結果、コアモジュール54その他を効果的に冷却してその状態を維持できるから、コアモジュール54それ自体の性能向上と相俟って、感度を飛躍的に高めることが可能である。実験によれば、従来例との比較で感度を3〜4倍程度向上できることが確認されている。
図14には上記固定部材の第1実施例が示されている。固定部材300は、水平方向に広がったリング状の上端部302と、内部構造体(図示せず)を保持する円筒状の下端部304と、それらの間に設けられた中間部306と、からなる。中間部306は、真空容器の中心軸周りの円周方向に等間隔で並んだ複数のリンク(細片)306a−306dで構成されている。各リンク306a−306dは、上下方向に伸長した板状の部材である。中間部306を円筒形状の部材として構成することも可能であるが、熱伝導断面積を小さくして熱流入をできるだけ抑えるには、中間部306として、円周方向に離間して分散配置された幅の狭い複数のリンク306a−306dを用いるのが望ましい。各リンク306a−306dの上端が上記の上端部302に連結されており、各リンク306a−306dの下端が上記の下端部304に連結されている。内部構造体が収縮してそれに伴い下端部304の直径が小さくなった場合、各リンク306a−306dの下端が内側に引き寄せられるように各リンク312a−312dが変形する。これにより内部構造体の確実な保持が維持される。なお、第1実施例では、4つのリンク312a−312dが設けられていたが、その個数は任意に定めうる。このことは以下の第2実施例においても同様である。
図15には上記固定部材の第2実施例が示されている。固定部材308は、水平方向に広がったリング状の上端部302と、複数のリンク(細片)312a−312dと、からなる。第2実施例において、複数のリンク312a−312dは、中間部と下端部の両方の機能を発揮するものである。すなわち、各リンク312a−312dにおいて、上端313が上記の上端部310に固定されており、下端314がシールド本体70を保持している。上端313と下端314の間の部分316が冗長部あるいは変形部としての中間部を構成している。このような構成でも第1実施例と同様の作用効果を得られる。
図16には保持構造の変形例が示されている。図13に示した構成と同様の構成には同一符号を付しその説明を省略する。図16において、輻射シールド164は下部筐体62に固定設置されている。第1熱交換器80の側面には鍔部163が設けられ、その鍔部163と真空容器58との間に固定部材160が設けられている。固定部材160は、例えば、第1熱交換器80の周囲における所定の範囲にわたって設けられている。例えば、固定部材160を、第1熱交換器80の一方側に設けられた第1部分と、第1熱交換器80の他方側に設けられた第2部分と、で構成するようにしてもよい。固定部材160は、FRPなどの断熱材料で構成され、固定部材160の外端部(固定端部)は、真空容器58の上部64における斜面板64Bの下面及び筒状板64Aの内面に連結されている。固定部材160の内端部(保持端部)は上記の鍔部163を支持している。外端部と内端部の間の中間部は上下方向に往復伸長した折り返し形態を有し、熱伝導距離が増大されている。またそのような折り返し形態は収縮に伴う変位を吸収する作用も発揮する。なお、固定部材160に対して輻射シールド164は接触しておらず、輻射シールド164において必要な箇所に固定部材160を挿通させる開口が形成されている。第1熱交換器80に対しては支持部材82を介してコアモジュールが接続されている。図16に示す構成では、スライダ及びスライドガイドは設けられておらず、固定部材160だけによって吊り下げ対象が支持されている。この図16に示す構成では、保持対象となる内部構造体65Aは、第1熱交換器80、支持部材82及びコアモジュール54により構成される。
このような構成においては、h8で示す高さが基準レベルとなり、冷却時において、第1熱交換器80における各部分は基準レベルh8に向かって収縮する。第1熱交換器80の下部において上方への変位が生じても、それがコアモジュール54へ及ぶことはない。基準レベルh8以上の部分において収縮が生じると、送受信コイルの位置に影響が及ぶ可能性があるが、その部分は非常に短いので、それによって収縮が生じたとしても、その変位をクリアランス内に収めることが可能である。輻射シールド164が収縮すると、その上部において大きな下方への変位が生じることになるが、輻射シールド164の上部におけるクリアランスを十分に確保しておけば、その収縮は問題とならない。この構成では、吊り下げ対象から輻射シールドが除外されているので、吊り下げ対象の重量を軽減できるという利点が得られる。但し、固定部材160を媒体として、常温体である真空容器58から冷温体である第1熱交換器80へ直接的な熱伝導が生じるため、その熱伝導量をできるだけ小さくするために、固定部材160において外端部から内端部までの距離を長くするための1又は複数の折り返しを設けるのが望ましい。その場合、真空容器58内の隙間は上下方向に広がっているので、その隙間形状に合わせて上下方向に引き伸ばされるように折り返し形態を定めるのが望ましい。折り返し部分においては対面関係に立つ2つの伸長部分が互いに接触しないように構成するのが望ましい。
(4)NMR分光計システム及び冷却システムの説明
図17にはNMR分光計システムの構成例が示されている。信号発生器166において、発振器168で生成された高周波信号が位相制御器170及び振幅制御器172に順次入力され、これにより高周波信号の位相と振幅が制御される。そのような処理後の高周波信号が電力増幅器174に送られる。電力増幅器174では高周波信号の電力がNMR信号を励起するために必要な電力にまで増幅される。増幅後の高周波信号がNMRプローブ176に送られる。NMRプローブ176内において、高周波信号がデュプレクサ(送受信信号切換器)178を介してコアモジュール180における送受信コイルに供給される。これにより、送受信コイルにおいて生成された変動磁場が被測定試料に与えられる。一定の送信期間後の受信期間において、被測定試料から出る微小なNMR信号が送受信コイルによって検知される。これによる受信信号(NMR信号)は、デュプレクサ178を介して前置増幅器188に送られ、その受信信号が増幅される。受信器190においては、受信信号に対して検波処理あるいは周波数変換処理を行って、それをオーディオ周波数帯域の受信信号に変換する。その際に振幅の調整等を行う。変換後の受信信号がA/D変換器192においてデジタル信号に変換され、デジタル信号としての受信信号が制御コンピュータ194に送られる。制御コンピュータ194は、位相制御器170及びび振幅制御器172を制御する機能、時間軸上のNMR信号を周波数軸のスペクトラム信号に変換する処理(FFT処理)を行う機能、変換後のスペクトル信号の位相を自動的に補正する機能等を備える。所定の処理が施されたスペクトラム信号に基づき表示器の画面上にスペクトルが表示される。NMRプローブ内には、試料回転機構182が設けられ、その動作は試料回転制御器196によって制御される。その試料回転制御器196の動作は制御コンピュータ194によって制御される。また、NMRプローブ176内には各種の熱交換器184が設けられ、内部の検出系、特にコアモジュール180が効果的に冷却される。熱交換器184には冷却システム186からの冷媒が送り込まれている。図17においては電子回路チューニングのために反射波を検出する方向性結合器(ディレクショナルカプラー)については図示省略されている。それは望ましくはNMRプローブ176内に設けられる。冷却システム186としては、運転中に冷媒が循環再利用される閉サイクル冷却システムと、運転中に冷媒が循環再利用されず外部に放出される開サイクル冷却システムと、を利用することが可能である。以下参考までにそれらについて説明する。
図18に示す閉サイクル冷却システムにおいて、NMRプローブ200は真空容器202を有し、その内部にはコアモジュール204、熱交換器206及び輻射シールド208が設けられる。熱交換器206に対しては往路冷媒配管210及び復路冷媒配管212が取り付けられている。それらは双方向トランスファーチューブ214を介してコールドベンチ(熱交換器)216に接続されており、そこには冷凍機218が設けられている。冷凍機218にはコンプレッサが接続されている。符号222は圧縮ヘリウムガスの循環を表している。コールドベンチ216から排出された冷媒はバッファータンク224を経て送気ポンプ226に送られ、そこを経由して再びコールドベンチ216に戻されている。図19に示す開サイクル冷却システムにおいて、NMRプローブ200は上記同様の構成を有する。冷媒タンク230から出た冷媒が単一ポートトランスファーチューブ228を介して熱交換器206へ送られている。熱交換器206から出た冷媒が送気ポンプ232を介して排気ガスとして外部に放出される。
(5)実施形態による効果
上記実施形態では、冷媒ブロックの検出孔の内面上に送受信コイルを形成するようにしたので、次のような利点を得られる。送受信コイルの形状とは基本的に無関係に冷媒ブロックの形状を定めることが可能である。これにより、冷媒ブロックを大きな冷媒体として構成することが可能であるので、そこでの体積比熱容量を増大して、送受信コイルの冷却効率を改善できるという利点を得られる。温度ムラも解消することも可能である。また、送受信コイルが帯状導体層として構成されているので、送受信コイルと冷媒ブロックとの接触面積を増大できるから、送受信コイルの冷却を効果的に行えるという利点を得られる。特に、送受信コイルで生じた熱を効果的に拡散、吸収することが可能であるから、長時間にわたってパルス照射を行う場合においてコイル温度を安定的に維持でき、あるいは、照射パルス電圧の上限を引き上げることが可能となる。また、冷媒ブロックの形態として軸太形態且つ直線伸長形態を採用できるから、熱伝導流量を容易に増大できるという利点を得られる。更に、コアモジュールをその設置場所において治具で固定する必要がないので、コアモジュールへの治具を介した熱流入という問題も回避できる。
上記実施形態では、送受信コイルと試料との間にボビンが介在しないので、送受信コイルと試料との間の距離を小さくして、送受信コイルのフィリングファクタを改善できる。また、上記実施形態では、送受信コイルの内側にコイル形成用基体は存在しておらず送受信コイルの内側面の電気的性能を向上させてコイルのQ値を改善することが可能である。すなわち、送受信コイルの内側面を基本的に露出面とすることができるので(それに保護層等を形成することは可能である)、最も重要な部分を電気的に良好な状態に維持することができ、送受信コイルの特性を改善できるという利点を得られる。
上記実施形態においては、送受信コイルが単体で存在せず、冷媒ブロックの検出孔内面上に形成されているので、送受信コイルの形状を安定的に維持できるという利点を得られる。例えば、巻き線のような空芯コイルの場合、冷却時に線収縮によって形状が変化し易く、つまり特性が変化してしまうことが危惧されるが、上記実施形態においては、冷媒ブロック上に送受信コイルが形成されているので、送受信コイルの形状を安定的に維持することが可能である。
以上のように、本実施形態によれば、NMR測定に当たって、従来よりも感度(S/N)を3〜4倍も向上させることが可能である。その結果、測定時間を短縮でき、また測定結果の信頼性を高められる。測定感度が高められた結果、従来においては実用的見地から対象物とするのは困難であった多くの核種を新たに測定対象とすることが可能である。
40 静磁場発生装置、44 NMRプローブ、46 挿入部、48 下部ユニット、52 プローブヘッド、54 コアモジュール(検出モジュール)、56 試料管、58 真空容器、66 固定部材、68 輻射シールドアセンブリ、80 第1熱交換器、82 支持部材、118 冷媒ブロック(冷却ブロック)、120 送受信コイル、122 スリーブ(筒状隔壁)。

Claims (7)

  1. 静磁場発生装置内に挿入され、中心軸方向に伸長した真空容器と、
    前記真空容器内に設けられ、試料からの磁気共鳴信号を検出するための検出用コイル及びそれを冷却するための冷却源を有する内部構造体と、
    前記真空容器の根元レベルよりも前記中心軸方向の上方において前記真空容器に対して前記内部構造体を吊り下げて固定する部材であって、前記真空容器と前記内部構造体との間において前記中心軸方向に伸長した伸長部分を有する固定部材と、
    を含み、
    前記伸長部分は中心軸周りの円周方向に互いに離間した複数のリンク片からなる、
    ことを特徴とする磁気共鳴信号検出用プローブ。
  2. 請求項1記載の磁気共鳴信号検出プローブにおいて、
    前記固定部材は、
    前記真空容器に固定される外端部と、
    前記内部構造体を支持する内端部と、
    前記外端部と前記内端部との間の部分であって、前記伸長部分を備えた中間部と、
    を含むことを特徴とする磁気共鳴信号検出用プローブ。
  3. 請求項記載の磁気共鳴信号検出プローブにおいて、
    前記真空容器は前記固定部材を介して前記内部構造体の全荷重を受ける、
    ことを特徴とする磁気共鳴信号検出用プローブ。
  4. 請求項2又は3記載の磁気共鳴信号検出プローブにおいて、
    前記内部構造体は、前記真空容器の内面に沿って上下方向に伸長し赤外線を遮蔽する輻射シールドを有し、
    前記内端部が前記輻射シールドを保持し、前記輻射シールドによって前記冷却源が支持される、
    ことを特徴とする磁気共鳴信号検出用プローブ。
  5. 請求項4記載の磁気共鳴信号検出プローブにおいて、
    前記輻射シールドにおける前記内端部の保持位置よりも下がった中間位置に断熱材料で構成された連結部材が設けられ、
    前記冷却源が前記連結部材を介して前記輻射シールドによって支持される、
    ことを特徴とする磁気共鳴信号検出用プローブ。
  6. 静磁場発生装置内に挿入され、中心軸方向に伸長した真空容器と、
    前記真空容器内に設けられ、試料からの磁気共鳴信号を検出するための検出用コイル及びそれを冷却するための冷却源を有する内部構造体と、
    前記真空容器の根元レベルよりも前記中心軸方向の上方において前記真空容器に対して前記内部構造体を吊り下げて固定する部材であって、前記真空容器と前記内部構造体との間において前記中心軸方向に伸長した伸長部分を有する固定部材と、
    を含み、
    前記内部構造体の下部における水平運動を規制する規制手段が設けられ、
    前記規制手段は、
    前記冷却源から下方へ伸長する第1部材と、
    前記第1部材に対して係合する部材であって、前記第1部材の中心軸方向のスライド運動を許容しつつ前記第1部材の水平運動を制限する第2部材と、
    を含む、ことを特徴とする磁気共鳴信号検出用プローブ。
  7. 請求項1記載の磁気共鳴信号検出プローブにおいて、
    前記検出用コイルを備えた検出モジュールが硬質の熱伝導体を介して前記冷却源に固定され、
    前記検出モジュールは前記真空容器から真空断熱層を介して隔てられた、
    ことを特徴とする磁気共鳴信号検出用プローブ。
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