JP5942370B2 - 転写媒体の製造方法 - Google Patents

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本発明は、転写媒体の製造方法に関する。
従来、インクを基材上に付着させて形成した文字その他の画像のパターンを、被転写媒体に転写する転写媒体が知られている。この転写媒体において、例えば、特許文献1に記載されるように、パターン形状に合わせて、例えばスクリーン印刷版を用いて当該パターン上に接着液を塗布する技術が知られている。
特開平7−314879号公報
しかしながら、スクリーン印刷版の他、フレキソ、及びグラビア等の印刷版を用いて、画像パターンや接着液パターンを形成する場合、転写媒体の少量多品種生産において製造コストが増大してしまう。そこで、転写媒体の少量多品種生産において製造コストを安価に抑えるため、インクジェットヘッドからインク及び接着液を吐出して基材に付着させることにより、基材上にインクによる着色層及び接着液による接着層を順に形成して転写媒体を製造する方法が考えられる。
着色層を形成するためにインクジェットヘッドから吐出されるインク、及び、接着層を形成するためにインクジェットヘッドから吐出される接着液には、以下の特性が要求される。
第1に、インクジェットヘッドによる高周波数での駆動時に、インク及び接着液の吐出安定性に優れることが要求される。
第2に、着色層のパターン上に接着液を付着して接着層のパターンを形成する工程において、着色層パターンが流動したり崩れたりすることなく、高解像度の画像が得られることが要求される。
第3に、接着層を構成する熱可塑性樹脂が効率良く着色層パターン上に分布されるとともに、転写媒体として使用した場合に、細かな文字の転写不良や画像の転写ムラが発生せず、転写性に優れることが要求される。
第4に、転写後の、被転写媒体(ターゲット)又は着色層と接着層との接着性に優れることが要求される。
第5に、転写媒体のタックがなく耐ブロッキング性に優れ、倉庫での保管が容易になることが要求される。
そこで、本発明は、着色層形成用のインク及び接着層形成用の接着液をインクジェットヘッドから吐出する際の吐出安定性に優れ、着色層のパターンを高解像度で得ることができ、かつ、転写性、転写後の接着性、及び耐ブロッキング性に優れる転写媒体の製造方法、当該製造方法により得られる転写媒体、及び当該転写媒体の転写により得られる転写物を提供することを目的の一つとする。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した。その結果、インクを吐出して着色層を形成し、接着液を吐出して接着層を形成する転写媒体の製造方法において、インクを水性顔料インク、非水性顔料インク、又は紫外線硬化型の顔料インクとし、かつ、接着液を、ガラス転移温度が25℃以上90℃以下であるエマルション形態のポリウレタン樹脂を含む水性液体とする、より好ましくは25℃以上80℃以下であるエマルション形態のポリウレタン樹脂を含む水性液体とすることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1]
基材に向けて、インクジェットヘッドからインクを吐出して、前記基材上に着色層を形成する着色層形成工程と、前記着色層に向けて、インクジェットヘッドから接着液を吐出して、前記着色層上に接着層を形成する接着層形成工程と、を含み、前記インクは、水性顔料インク、非水性顔料インク、又は紫外線硬化型の顔料インクであり、かつ、前記接着液は、ガラス転移温度が25℃以上90℃以下であるエマルション形態のポリウレタン樹脂を含む水性液体である、より好ましくは25℃以上80℃以下であるエマルション形態のポリウレタン樹脂を含む水性液体である転写媒体の製造方法。
[2]
前記着色層形成工程が、下記の(1)、(2)、又は(3)を満たすように、前記基材に吐出されて付着した前記インクに含まれる液体成分を蒸発させることを含む、[1]に記載の転写媒体の製造方法。
(1)前記インクが水性顔料インクである場合は、前記インクに含まれる液体成分のうち65〜95質量%を蒸発させる
(2)前記インクが非水性顔料インクである場合は、前記インクに含まれる液体成分のうち50〜90質量%を蒸発させる
(3)前記インクが紫外線硬化型インクである場合は、前記インクに含まれる液体成分のうち40〜70質量%を蒸発させる
[3]
前記水性顔料インク又は前記非水性顔料インクは、1atmにおける沸点が70℃以上250℃以下である水溶性有機溶剤を含み、その水溶性有機溶剤が、ラクタム、カルボン酸エステル、アルキレングリコールエーテル、及びアルコールからなる群より選ばれる1種以上を含む水性液体である、[1]又は[2]に記載の転写媒体の製造方法。
[4]
前記接着液は、1atmにおける沸点が70℃以上250℃以下である水溶性有機溶剤を含み、その水溶性有機溶剤が、ラクタム、カルボン酸エステル、アルキレングリコールエーテル、及びアルコールからなる群より選ばれる1種以上を含む水性液体である、[1]〜[3]のいずれかに記載の転写媒体の製造方法。
[5]
前記基材が、金属、プラスチック、又は紙である、[1]〜[4]のいずれかに記載の転写媒体の製造方法。
[6]
[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法により得られる、転写媒体。
[7]
[6]に記載の転写媒体を被転写媒体に転写してなる、転写物。
本実施形態の第1態様に用いる転写媒体製造装置の全体の概略を示す側面図である。 本実施形態の第1態様に用いる転写媒体製造装置の画像形成部の概略を示す側面図である。 インクジェットヘッドのノズル形成面を示す模式図である。 転写媒体製造装置の制御構成のブロック図である。 転写媒体の平面模式図である。 (a)〜(d)は図5における6−6矢視断面であって、転写媒体の各製造過程の断面図である。 本実施形態の第2態様に用いる転写媒体製造装置の全体の概略を示す側面図である。 本実施形態の第2態様に用いる転写媒体製造装置の画像形成部の概略を示す側面図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本明細書において、「吐出安定性」とは、ノズルの目詰まりがなく常に安定したインク又は接着液の液滴をノズルから吐出させる性質をいう。「転写性」とは、転写媒体から被転写媒体(ターゲット)に着色層を転写する際に要するエネルギーが小さい性質をいう。前記エネルギーは、転写時の温度、圧力、及び時間のうち1種以上に依存し、低温度、低圧力、及び短時間のうち少なくともいずれかを達成するものであれば、転写性が良好であると言える。「接着性」とは、被転写媒体に転写された着色層の接着強度が優れる性質をいう。
本明細書において、「タックがない」(タックフリー)とは、綿棒で擦っても擦過痕がつかないことをいう。より詳細にいえば、転写媒体の面(接着層がある方の面)に指で触れてみて、その面の粘性(タック)により、その面が指に付着しなくなるまでの時間によって評価される性質をいう。「耐ブロッキング性」とは、巻き取り機を用いて転写媒体を紙管筒に巻き取る際、接着剤成分が接触面(転写媒体の裏面)に貼り付いてしまい、転写媒体を巻き出せなくなってしまうか、あるいは巻き出せても着色層又は接着層が転写媒体の裏面へ残ってしまうという現象が発生しない性質をいう。「耐ブロッキング性に優れる」とは、転写媒体の表面にベトツキがないため、巻き取り機を用いた転写媒体の巻き取りが問題なく行えることをいう。
本明細書において、「(メタ)アクリル」とは「アクリル」及びそれに対応する「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」を意味する。
本明細書において、「固形分」とは、1atm、25℃の条件下で固体の状態にある物質を意味する。
また、本明細書において、「中沸点」とは、1atmにおける沸点が70℃以上250℃以下であることを意味する。
また、本明細書において、「基材」とは、着色層及び接着層のパターンを転写するために用いられる支持体を意味する。「転写媒体」とは、基材、着色層、及び接着層を少なくとも含む媒体であって、被転写媒体に転写するための転写元の媒体を意味する。「被転写媒体」とは、転写媒体から少なくとも着色層及び接着層が転写される転写先の媒体、即ちターゲットを意味する。
また、本明細書において、「画像」とは文字を含む意味であり、「転写」とは貼合を含む意味である。
また、本明細書において、「熱伝導式」とは、物体の内部を通って高温部から低温部へ熱を伝える方式をいう。すなわち、高温の物体が基材と接触することにより、基材側へ熱を伝導する方式である。「対流式」とは、気体や液体などの流体によって熱を伝える方式をいう。
[転写媒体の製造方法]
本発明の一実施形態は、転写媒体の製造方法に係る。当該製造方法は、基材上にインクを吐出することにより得られる着色層(着色層形成工程)と、当該着色層上に接着液を吐出することにより得られる接着層(接着層形成工程)と、を作製することにより、被転写媒体に画像を転写するための転写媒体を製造するものである。
ここで、インクジェットヘッドから吐出されるインクおよび接着液が液滴毎に付着、堆積した状態も着色層および接着層を形成した状態と同義と言える。すなわち、インクジェットヘッドより吐出されるインクおよび接着液の付着タイミングが先か後かによって明確な層構造が確認できなくても、層を形成していると判断できる。
ここで、上記インクとしては、水性顔料インク、非水性顔料インク、又は紫外線硬化型の顔料インクを用いることができるが、転写媒体を製造する際に用いる転写媒体製造装置は、インク種により異なる。そのため、各インク種用の転写媒体製造装置を以下で説明する。
〔水性顔料インク又は非水性顔料インク用転写媒体製造装置〕
本実施形態における第1態様は、インクとして水性顔料インク又は非水性顔料インクを使用する場合に適した、転写媒体製造装置を用いた製造方法に関する。
(1.装置構成)
図1は、本実施形態の第1態様に用いる転写媒体製造装置1aの全体の概略を示す側面図である。また、図2は、転写媒体製造装置1aの画像形成部30の概略を示す側面図である。
図1に示すように、転写媒体製造装置1aは、基材Fの給送部10と、搬送部20と、画像形成部30と、乾燥装置90と、排出部70と、を備えている。このうち、乾燥装置90は、後述する第1乾燥工程を行う第1乾燥部40及び第2乾燥工程を行う第2乾燥部50を有する。
給送部10は、ロール状の基材Fを搬送部20へ給送することができるように設けられている。具体的にいえば、給送部10はロール媒体ホルダー11を有し、ロール媒体ホルダー11がロール状の基材Fを保持している。そして、ロール状の基材Fを回動させることにより、送り方向Y下流側の搬送部20へ基材Fを給送することができるように構成されている。
搬送部20は、給送部10から送られた基材Fを画像形成部30へ搬送することができるように設けられている。具体的にいえば、搬送部20は、第1送りローラー21を有し、送られた基材Fをさらに送り方向Y下流側の画像形成部30へ搬送することができるように構成されている。
画像形成部30は、搬送部20から送られた基材Fに対してインクL(図2参照)及び接着液を順に吐出して画像形成(着色層形成)及び接着層形成を順に実行することができるように設けられている。具体的にいえば、画像形成部30は、媒体支持部としてのプラテン34と、ノズル列33を備えたインクジェットヘッド32を収容するキャリッジ31と、を有している。このうち、プラテン34は、基材Fを裏面から支持することができるように設けられている。また、キャリッジ31は、プラテン34と対向し、第1ガイド軸(不図示)に案内されながら、キャリッジモーター(不図示)の動力によって、基材Fの送り方向Yに対する幅方向Xに移動することができるように設けられている。
インクジェットヘッド32は、キャリッジ31に設けられ、幅方向Xにおいてキャリッジ31と一体に移動することができるように設けられている。また、インクジェットヘッド32は、送り方向Yにおいて、キャリッジ31に対して相対的に移動することができるように構成されている。具体的にいえば、インクジェットヘッド32は、第2ガイド軸(不図示)に案内されながら、インクジェットヘッドモーター(不図示)の動力によって、送り方向Yに移動することができるように設けられている。すなわち、インクジェットヘッド32は、プラテン34と対向する範囲において、送り方向Y及び幅方向Xへ移動することができるように構成されている。そして、インクジェットヘッド32におけるプラテン34と対向する面に設けられたノズル列33からインクL及び接着液を順に吐出することにより、基材Fに対し画像形成及び接着層形成を実行することができる。
なお、インクジェットヘッド32のノズル列33については後で詳細に説明する。
プラテン34には、後述するように、基材Fに向けて吐出されたインクL及び接着液における液体成分を少なくとも一部蒸発させる第1乾燥部40が設けられている。
第1乾燥部40は、図2に示すように、プラテン34に設けられている。具体的には、第1乾燥部40は、熱伝導式加熱手段41の一例である第1ニクロム線42を有している。第1ニクロム線42は、プラテン34全領域の内部に、プラテン34の上面から一定の距離となるように配設されている。
また、プラテン34より送り方向Y下流側には、図1に示すように、第2送りローラー43が設けられている。第2送りローラー43は、画像形成された基材Fを送り方向Y下流側である第2乾燥部50へ送ることができるように構成されている。そして、基材Fが入口63から第2乾燥部50へと入るように構成されている。
第2乾燥部50は、基材Fに吐出されたインクL及び接着液における液体中の残存成分の少なくとも一部をさらに蒸発させることができるように構成されている。また、第2乾燥部50の出口64近傍には、第3送りローラー65が設けられている。第3送りローラー65は、基材Fの裏面と接触するように配設され、送り方向Y下流側である排出部70へ基材Fを送ることができるように構成されている。
排出部70は、第2乾燥部50から送られた基材Fをさらに送り方向Y下流側へ送ることができるように設けられている。具体的には、排出部70は、第4送りローラー71と、第5送りローラー72と、第6送りローラー73と、第7送りローラー74と、巻き取りローラー75と、を有している。このうち、第4送りローラー71及び第5送りローラー72は、基材Fの表面と接触するように配設されている。また、第6送りローラー73及び第7送りローラー74はローラー対を成すように配設されている。そして、第4送りローラー71、第5送りローラー72、第6送りローラー73、及び第7送りローラー74を順に経由して送られた基材Fは、巻き取りローラー75によって巻き取られるように設けられている。
なお、転写媒体製造装置1aの具体例として、特に限定されないが、例えば、PX−7550(インクジェットプリンター、セイコーエプソン社(Seiko Epson Corporation)製商品名)が挙げられる。
続いて、インクジェットヘッド32のノズル列33について詳細に説明する。図3は、インクジェットヘッド32のノズル形成面39を示す模式図であり、図4は、転写媒体製造装置1aの制御構成のブロック図である。
図3に示すように、キャリッジ31の下面側に支持された支持板28には複数個(本実施形態では6個)のインクジェットヘッド32が基材Fの送り方向Y(図3において白抜き矢印で示す方向)と直交する幅方向X(前後方向)に亘って千鳥状の配置態様となるように(送り方向Yに隣接しているインクジェットヘッド32の列が段違いになるように)支持されている。そして、各インクジェットヘッド32の下面となるノズル形成面39には、多数のノズル列33により前後方向に沿う複数列(本実施形態では8列)の第1〜第8ノズル列33a〜33hが左右方向に所定間隔をおいて規則的に形成されている。そして、このように構成された第1〜第8ノズル列33a〜33hには、各ノズル列に対応するカートリッジ(図示略)から複数種類の液体がそれぞれ供給されると共に、各ノズル列33に対応するように設けられた圧電素子56(図4参照)の振動に伴ってノズル列33ごとに吐出されるようになっている。
すなわち、一例として、第1〜第5ノズル列33a〜33eには、基材Fの送り方向Yにおいて最も上流側(左側)に位置する第1ノズル列33aから順に、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、ホワイトの各色の着色剤を含むインクLが供給されるようになっている。さらに、左側から6番目に位置する第6ノズル列33fには、インクLとしてメタリックインクが供給されるようになっている。そして、第1〜第6ノズル列33a〜33fから吐出されたインクLが基材Fに付着することにより、パターンとしての着色層81(図6参照)が形成されるようになっている。なお、上記のメタリックインクとは、着色剤としての金属性顔料を液体中に分散させたインクであって、基材Fに付着させることにより金属の着色層81を形成可能なインクである。
また、左側から7番目に位置する第7ノズル列33gには、接着液が供給されるようになっている。そして、基材Fの送り方向Yにおいて最も下流側(右側)に位置する第8ノズル列33hには、透明な保護液が供給されるようになっている。
続いて、転写媒体製造装置1aの制御について説明する。
転写媒体製造装置1aには、該転写媒体製造装置1aの駆動を統括制御するマイクロコンピューター等からなる制御部53(図4参照)が設けられている。この制御部53は、ユーザーにより操作される操作部54からの入力に基づき、圧電素子56、搬送モーター55の駆動を制御する。
(2.製造方法)
続いて、上記転写媒体製造装置1aを用いて転写媒体88を製造する場合の製造方法について、図5及び図6に基づき説明する。図5は、転写媒体の平面模式図である。図6は、転写媒体の平面模式図である図5における6−6矢視断面であって、転写媒体の各製造過程の断面図である。
上記のような水性顔料インク又は非水性顔料インク用の転写媒体製造装置1aを用いた転写媒体の製造方法は、着色層形成工程と、接着層形成工程と、を少なくとも含む。
なお、図6(a)に示すように、本実施形態における基材F(図1の基材Fに相当)の画像が形成される側の面上には、離型層89が形成されている。そして、基材Fは、転写媒体88の製造開始時点において送り方向Yの下流側端が巻き取りローラー75の中心軸(巻き取り軸)に巻きつけられた状態で搬送経路にセットされているものとする。
図5及び図6(a)に示すように、着色層による画像パターンを形成する画像形成データとして、例えばアルファベットのRという画像形成データが入力されると、まず制御部53は、インクLを付着させる転写領域Aを設定する。なお、本実施形態において製造する転写媒体88は、該転写媒体88に形成された転写画像を被転写媒体(図示略)に左右反転して転写する。そのため、制御部53は、基材Fの画像が形成される側の面に対して、画像形成データに対応した画像を左右反転させた転写領域Aを設定する。
ユーザーによって操作部54が操作されて転写媒体88の製造が開始されると、制御部53は、圧電素子56を振動させて基材Fに対して保護液、インクL、及び接着液をそれぞれ付着させることとなる。以下、転写媒体の各製造工程を具体的に説明する。
≪前工程〔図6(b)〕≫
所望により、着色層形成の前工程として、制御部53が、キャリッジ31の移動に合わせて第8ノズル列33hに対応する圧電素子56を振動させ、少なくとも転写領域Aに保護液を付着させる。これにより、図6(b)に示すように、基材F上の離型層89の上面に保護層91が形成される。
その際、第1乾燥部40における熱伝導式加熱手段41の第1ニクロム線42が後述のように発熱しているため、離型層89に付着した保護液(保護層91)が基材Fと離型層89を介して加熱される。その結果、保護層91中の固形分を除いた成分、即ち液体成分がある程度蒸発して保護層91がある程度乾くものの、液体成分の一部は保護層91に残存する。
≪着色層形成工程〔図6(c)〕≫
本実施形態の製造方法において必須である着色層形成工程では、インクジェットヘッド32から基材Fに向けてインクLを吐出し、基材F上の所定の部分にインクLを付着させる。これにより、図6(c)に示すように、基材F上の保護層91の上面に着色層81のパターンが形成される。本工程におけるインク吐出時の液滴質量は、例えば5〜15ngの範囲で調整すればよい。
着色層形成工程において、制御部53(図4参照)は、キャリッジ31の移動に合わせて第1〜第6ノズル列33a〜33fに対応する圧電素子56を振動させる。そして、図6(c)に示すように、保護層91が形成された転写領域AにインクLを吐出して付着させ着色層81を形成する。例えば箔転写のための転写媒体88を製造する場合には、メタリックインクを用いて着色層81を形成する。具体的には、まずメタリックインクを転写領域Aに付着させ、その後ホワイトインクを転写領域Aに付着させることで、銀色の着色層81を形成する。
この着色層形成工程について、図2を参照しつつ、さらに具体的に説明する。まず、画像形成部30のプラテン34上に送られた基材Fは、一時停止する。そして、インクジェットヘッド32がプラテン34上の送り方向Y下流側と対向する位置に存在している状態で、キャリッジ31が幅方向Xへ移動し、インクLが吐出され画像形成が実行される。次に、インクジェットヘッド32がキャリッジ31に対して送り方向Yの上流側へノズル列33の長さ分移動する。そして、キャリッジ31が幅方向Xへ移動し、インクLが吐出され画像形成が実行される。さらに、インクジェットヘッド32が、キャリッジ31に対して、さらに送り方向Yの上流側へノズル列33の長さ分移動する。そして、キャリッジ31が幅方向Xへ移動し、インクLが吐出される。画像形成が完了していなければ、インクジェットヘッド32がプラテン34の送り方向Y上流側と対向する位置まで移動し、その状態でキャリッジ31が幅方向Xへ移動し、インクLが再び吐出され、上記の一連の動作が繰り返される。他方、画像形成が完了していれば上記の動作は終了する。本動作の終了により、着色層81(図6(c)参照)の形成が完了したことになる。
なお、本実施形態における着色層形成工程において、上記の態様は一例にすぎず、本実施形態を何ら限定されるものではない。変形態様としては、上記の態様において送り方向Yの上流側へインクジェットヘッド32を移動させる場合に、ノズル列33の長さよりも短い距離を移動させることが挙げられる。これにより画像解像度を高密度化することが可能となる。
≪第1乾燥工程≫
所望により、着色層81のインクLに含まれる液体成分の少なくとも一部を蒸発する第1乾燥工程をさらに実施する。インクLとして水性顔料インクを用いる場合、基材Fに吐出されて付着したインクL中の液体成分の蒸発量は、当該液体成分の総質量(100質量%)に対し、65〜95質量%が好ましく、70〜90質量%がより好ましい。他方、インクLとして非水性顔料インクを用いる場合、基材Fに吐出されて付着したインクL中の液体成分の蒸発量は、当該液体成分の総質量(100質量%)に対し、50〜90質量%が好ましく、55〜85質量%がより好ましい。このように、基材F上に吐出され付着したインクL中の液体成分を一定量蒸発させてから、次工程で接着液を付着させることにより、転写媒体における着色層81のパターンを高解像度で形成することができ、かつ、転写性に優れたものとすることができる。
第1乾燥工程は、上記のような、プラテン34に設けた熱伝導式加熱手段41(プラテンヒーター)のみならず、温風ヒーターや赤外線ヒーター等によっても実行可能である。プラテンヒーターを用いる場合の蒸発手段の例として、基材Fの裏面からプラテンヒーターにより加熱し、他方、基材Fに付着したインクLに温風を接触させることが挙げられる。このような蒸発手段をとることにより、基材F上のインクLに対してほぼ均等に熱が伝わるため、上記蒸発量が調整しやすくなるとともに、基材Fが紙などの場合にはカールを防止することができる。具体的にいえば、上記蒸発量は、プラテン34部の上記ヒーターによる加熱温度、加熱時間、温風温度、及び風量などを制御することによって調整可能である。上記ヒーターは、製造開始前に予め上記蒸発量を測定することによって、条件設定しておくことが好ましい。
また、上記蒸発量は、本工程と同じ条件で液体成分を蒸発させた前後でのインクの質量変化を測定することで導出することができる。したがって、予め液体成分が所望量蒸発する条件を求めた後、それと同じ条件により本工程の蒸発処理を行えばよい。
第1乾燥工程において、制御部53(図4参照)は、着色層81中の液体成分の少なくとも一部が蒸発して着色層81が所望の程度に乾燥するように予め設定された条件で、熱伝導式加熱手段41の第1ニクロム線42を発熱させる。これにより、基材Fに吐出されて付着したインクL(着色層81)が基材F及び領域によっては保護層91を介して加熱され、当該インクL中の液体成分が所定量蒸発し、着色層81が乾燥する。上記第1乾燥工程は、着色層形成工程と同時に行ってもよく、着色層形成工程後(好ましくは接着層形成工程前)に行ってもよい。
ここで、熱伝導式加熱手段41は、対流式ではなく、熱伝導式とすることが好ましい。熱伝導式を採用することにより、インクジェットヘッド32の第1〜第8ノズル列33a〜33hに温風が直に吹き付けられるおそれがないので、それらのノズル列33a〜33hの状態に影響を与えるおそれがない。具体的には、ノズル内のインクが乾燥することによって粘度が上昇し、吐出不良となるおそれがない。また、熱伝導式加熱手段41による加熱の程度を、後述の乾燥炉52における加熱の程度よりも低くすることもできる。その程度は、インクジェットヘッド32の第1〜第8ノズル列33a〜33hの状態に影響を与えるおそれがない程度であってもよい。
≪接着層形成工程〔図6(d)〕≫
本実施形態の製造方法において必須である接着層形成工程では、基材Fに付着したインクLのうち液体成分の少なくとも一部が蒸発した状態で、インクLが付着した面上の所定の部分に、インクジェットヘッド32から接着液を吐出し付着させる。これにより、図6(d)に示すように、着色層81(及び場合により基材Fの一部)の上に接着層94のパターンが形成される。本工程における接着液吐出時の液滴質量は、例えば5〜15ngの範囲で調整すればよい。
接着層形成工程において、制御部53(図4参照)は、キャリッジ31の移動に合わせて第7ノズル列33gに対応する圧電素子56を振動させ、図6(d)に示すように、転写領域Aに接着液を吐出して付着させ、着色層81よりも層厚の薄い接着層94を形成する。
この接着層形成工程について、図2を参照しつつ、さらに具体的に説明する。まず、画像形成された基材F、キャリッジ31、及びインクジェットヘッド32が、着色層形成工程と同様に動作することで、着色層81(図6(d)参照)に向けて、インクジェットヘッド32から接着液が吐出されて、当該着色層上に接着層94(図6(d)参照)が形成される。その後、基材Fは、送り方向Yに沿ったプラテン34の長さ分、即ち、上記複数回の走査によって画像形成された領域の送り方向Yに沿った長さ分だけ、送り方向Yの下流側へ送られ、再び一時停止する。そして、複数回の走査によってプラテン34上の基材Fに対して画像形成及び接着層形成が行われる。つまり、いわゆる間欠送りで画像形成及び接着層形成が行われる。
上記のような層形成時、即ち圧着前において、接着層94の厚さは着色層81の厚さよりも小さく形成してもよい。その理由は、転写性に優れるためである。他方、圧着時以降は、上記の関係がさらに顕著なものとなる。その理由は、着色層81は比較的硬いため圧着される程度がより小さくなる一方で、接着層94は比較的軟らかいため圧着される程度がより大きくなるからである。
着色層81及び接着層94の厚さについては、基材Fの単位面積に付着させるインクL及び接着液の質量によって調整可能である。したがって、製造開始前に予め着色層のみ又は接着層のみの厚さを測定することによって、条件設定しておくことが好ましい。
ここで、層の厚さは、ミクロトーム−透過型電子顕微鏡法と呼ばれる断面観察法によって1〜10万倍程度の拡大写真から算出することが可能である。透過型電子顕微鏡(TEM)とは、真空において電子銃から出た電子線を試料に照射し、その透過像を磁場レンズによって拡大することにより、物質の拡大像を得るものである。ミクロトームとは、電子線が透過しうる程度の厚さの切片を作製する試料作成法である。
ここで、図6(d)では、着色層81と接着層94とが層分離しているように示されている。しかし、実際上、着色層81と接着層94とが(明確に)層分離しているとは限らない。なぜなら、着色層81に含まれる液体成分が全て蒸発しない状態で接着液を吐出する場合があり、その場合は、着色層81に接着液が混入し得るからである。なお、着色層81が完全に乾いていない状態で接着層94を設けると、所謂アンカー効果によって定着強度が増大することが予想される。
着色層81と接着層94とが(明確に)層分離していない場合、上記の条件設定に基づく着色層81及び接着層94の厚さにより、各層の厚さを規定する。
≪第2乾燥工程≫
所望により、第2乾燥工程をさらに実施する。第2乾燥工程は、基材F上の着色層81及び接着層94に含まれる液体成分をいわば強制的に蒸発させるものである。
第2乾燥工程における蒸発の手段としては、第2乾燥部50における対流式加熱手段51の一例である乾燥炉52(図1参照)のような加熱の他、減圧、及び乾燥空気や温風を接触させることが挙げられる。インクLとして水性顔料インクを用いる場合、第2乾燥工程においては、基材Fに付着したインクL及び接着液に含まれる液体成分の95質量%を超えて蒸発させることが好ましい。他方、インクLとして非水性顔料インクを用いる場合、第2乾燥工程においては、基材Fに付着したインクL及び接着液に含まれる液体成分の90質量%を超えて蒸発させることが好ましい。
第2乾燥工程において、上述のようにして基材Fに対する画像形成(印刷)が終了すると、制御部53(図4参照)は搬送モーター55を駆動して基材Fを送り方向Yの下流側へ搬送し、第2乾燥部50における対流式加熱手段51の一例である乾燥炉52において蒸発・乾燥処理を施す。これにより、着色層81及び接着層94に含まれる液体成分が蒸発して、乾燥した保護層91、着色層81、及び接着層94が最終的に基材F上に定着する。その後、基材Fは、接着層94が基材Fの裏面に接触するように巻き取りローラー75の中心軸(巻き取り軸)に巻き取られるようになっている。
なお、上記第2乾燥工程は、接着層形成工程と同時に行ってもよく、接着層形成工程後に行ってもよい。また、乾燥炉52は、構造上特に制限されず、従来公知のものを使用することができる。
また、この第2乾燥工程を行わず、上記の接着層形成工程を経た後、自然乾燥により、着色層81及び接着層94に含まれる液体成分を蒸発させることも勿論可能である。
また、接着液94が後述のマイクロカプセル(ポリウレタン樹脂を含む接着剤成分を内包したもの)を液体中に分散させたものである場合、乾燥炉52の温度は、接着層94中のマイクロカプセルを破壊しない程度の温度に設定される。これにより、基材Fの裏面と接着層94との間の密着力を、保護層91と着色層81との間及び着色層81と接着層94との間の密着力よりも弱くすることができる。したがって、巻き取られた基材Fを解いた場合に、基材Fの裏面と接着層94とが剥離し、基材Fの表面に当該基材F側から順に離型層89、保護層91、着色層81、及び接着層94が積層状に形成された状態とすることができる。
また、保護層91と着色層81との間及び着色層81と接着層94との間の密着力は、保護層91と離型層89との間の密着力よりも強い。そのため、被転写媒体に着色層81を転写する場合には、まず接着層94に付加処理を施してマイクロカプセルを破壊する。そして、接着性が発現した接着層94を被転写媒体に接着させて基材Fを剥離することにより、離型層89と保護層91とが剥離され、着色層81はその表面が保護層91に保護された状態で被転写媒体に転写される。
上記転写媒体製造装置1aを用いた場合、以下のような効果を得ることができる。
すなわち、インクLが基材Fに付着して液体成分の少なくとも一部(インクLが水性顔料インクである場合には好ましくは65〜95質量%、インクLが非水性顔料インクである場合には好ましくは50〜90質量%)が蒸発した状態において、着色層81上に接着液を付着させることにより、インクLが流動性をある程度失った状態で接着液を付着させることになる。そのため、着色層81によるパターンを崩すことなく接着液を付着でき、着色層のパターンを高解像度で得ることが可能となる。また、着色層81に液体成分が一部残存した状態で接着液が付着し得る。この場合、着色層81と接着層94との間の密着力は、保護層91と離型層89との間の密着力よりも強くなり、被転写媒体に対して良好な転写が可能な転写媒体88を製造することができる。さらに、保護層91に液体成分が一部残存した状態でインクLが付着し、かつ、着色層81に液体成分が一部残存した状態で接着液が付着し得る。この場合、保護層91と着色層81との間及び着色層81と接着層94との間の密着力は、保護層91と離型層89との間の密着力よりも強くなる。したがって、被転写媒体に対して保護層91をも良好に転写できる転写媒体88を製造することができる。
また、保護液が付着した転写領域AにインクLを付着させることにより、着色層81の表面を保護層91により保護し、被転写媒体に転写された着色層81の耐久性を向上させることができる。さらに、保護層91に液体成分が一部残存した状態において、インクLを付着させることにより、例えば、保護層91に液体成分が実質的に残存しない場合の着色層81と保護層91との間に比べて密着力を強くすることができる。
さらに、基材Fと着色層81との間に保護層91を形成することにより、基材FとインクLの相性に関わらず着色層81を形成することができる。すなわち、例えば、撥水性を有する樹脂製の基材F上に顔料によって着色された液体(インク)で画像形成(印刷)を行う場合でも、シリカなどの無機粒子や膨潤性樹脂を含む透明なコート剤を用いて保護層91を形成することにより、インクLの基材Fへの定着性を良好なものとすることができる。
また、接着液が後述のマイクロカプセルを液体中に分散させたものである場合、圧電素子56を振動させて接着液を吐出することにより、マイクロカプセルが破壊されずに維持された状態で接着液を基材Fに付着させることができる。すなわち、接着液の接着力を低く維持した状態で接着液を吐出することができるため、インクジェットノズルの目詰まりを抑制することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。まず、プラテン34に埋設された熱伝導式加熱手段41に代えて又はこれに加えて、プラテン34上に電磁波を放射して加熱する放射式のヒーター、あるいは、風(温風)を吹き付ける送風装置などの蒸発・乾燥装置を設けてもよい。また、インクL、保護液、及び接着液を吐出するヘッドを個別に備えてもよい。さらに、保護液を付着させず、保護層91を形成しなくてもよい。このとき、離型層89が保護層としての機能を兼ね備えてもよい。
また、予め保護層91が形成されたフィルムを用いてもよい。さらに、インクジェットヘッド32に離型剤を吐出する機構をさらに備え、基材Fに対して離型剤を吐出して離型層89を形成してもよい。なお、この場合、転写領域Aに対して離型剤を吐出し、着色層81の形状に合わせて離型層89を形成してもよい。
また、本実施形態の製造方法は、上記着色層形成工程よりも前に、基材Fの着色層81が形成されるべき側の基材F面上(基材Fが離型層89を備える場合には離型層89上)に保護層91を形成する工程を有してもよい。保護層91の形成は、例えば、上記基材F面(離型層89)に保護液を付着させ、必要に応じて乾燥させることにより行われる。保護層91を形成することにより、転写後の着色層81の表面を保護層91により保護し、被転写媒体に転写された着色層81の耐久性を良好なものとすることができる。保護液としては、例えば、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体樹脂、アクリル酸エステル−スチレン共重合体樹脂、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル−スチレン共重合体樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等を含む液体が挙げられる。保護層91の厚さは、10nmを下回ると着色層81を十分に保護できなくなる。一方、30nmを超えると保護層91の製造コストの観点から好ましくなく、あるいは、ロール状の基材Fとした場合に嵩張ってしまう。そのため、10〜30nmであると好ましい。
〔紫外線硬化型の顔料インク用転写媒体製造装置〕
本実施形態における第2態様は、インクLとして紫外線硬化型の顔料インクを使用する場合に適した、転写媒体製造装置を用いた製造方法に関する。なお、この第2態様は、上記第1態様の変形例ということができるため、以下では第1態様と異なる部分を中心に説明する。
図7は、本実施形態の第2態様に用いる転写媒体製造装置1bの全体の概略を示す側面図である。また、図8は、転写媒体製造装置1bの画像形成部130の概略を示す側面図である。
図7に示すように、転写媒体製造装置1bは、基材の給送部10と、搬送部20と、画像形成部130と、定着部190と、排出部70とを備えている。
このうち、本第2態様では、主に画像形成部130及び定着部190の構成が上記第1態様と異なる。定着部190は、第1定着部140及び第2定着部150を有する。
第1定着部140は、上記第1態様における第1乾燥部40と同様の機能を奏するため、ここでの説明は省略する。また、熱伝導式加熱手段141及び第1ニクロム線142も、それぞれ熱伝導式加熱手段41及び第1ニクロム線42と同様の機能を奏する。図8に示す画像形成部130は、第1態様における画像形成部と同様の構成を有するため、ここでの説明は省略する。
第2定着部150は、基材Fに付着したインクL中の残存成分を重合硬化させるため、紫外線又は電子線を照射可能なように構成されている。
第2定着部150は、紫外線照射手段151の一例である紫外線照射装置152を有する。紫外線照射装置152の内部には、第1紫外線ランプ、第2紫外線ランプ、及び第3紫外線ランプ(いずれも不図示)が設けられている。紫外線照射装置152が紫外線照射源として発光ダイオード(LED)を使用する場合、発光ピーク波長395nmのLEDを第1紫外線ランプとし、発光ピーク波長380nmのLEDを第2紫外線ランプとし、かつ、発光ピーク波長365nmのLEDを第3紫外線ランプとすることが好適である。なお、紫外線照射装置152は、構造上特に制限されず、従来公知のものを使用することができる。
第1定着部140に対流式加熱手段として温風ファン35を装備するようにしてもよい。プラテン34上で基材F面上に温風を当てることによって、基材Fに付着したインクLにおける液体成分を効率良く蒸発させることができる。温風ファン35は必要に応じて、赤外線ランプに置き換えること、又はそれら両方を装備することもできる。
本第2態様では、第1定着部140での乾燥及び第2定着部150での硬化により、着色層81を形成する。その後、基材Fを第1定着部140に搬送し、上記第1態様と同様に接着液を着色層81上に付着させる。さらに、プラテン34及び温風ファン35によって接着液に含まれる液体成分を乾燥させることによって、接着層94を形成する。
また、本第2態様の変形例として、第1定着部に第1加熱手段及び紫外線照射手段を設けると共に、第2定着部に第2加熱手段を設けることが挙げられる。
転写媒体製造装置1bに用いられるインクジェット記録装置の具体例として、特に限定されないが、PX−5600(インクジェットプリンター、セイコーエプソン社(Seiko Epson Corporation)製商品名)が挙げられる。
また、上記転写媒体製造装置1bを用いて転写媒体88を製造する場合の製造方法について補足する。当該製造方法における上記第1乾燥工程ではインクLとして紫外線硬化型顔料インクを用いるが、その際、基材Fに吐出されて付着したインクL中の液体成分の蒸発量は、当該液体成分の総質量(100質量%)に対し、40〜70質量%が好ましく、35〜65質量%がより好ましい。この場合、上述したとおり、転写媒体における着色層81のパターンを高解像度で形成することができ、かつ、転写性に優れたものとすることができる。
以下では、製造装置以外の構成として、これまで説明してきた製造方法の実施に適する基材や各種インクの詳細について説明する。
[基材]
上記の基材Fとしては、特に限定されるものではなく、金属、木材、プラスチック又は紙が挙げられる。中でも、基材Fを所望の形状に加工しやすいため、金属、プラスチック、又は紙が好ましく、コストの観点を加味するとプラスチックがより好ましい。
上記の金属としては、コストの観点からアルミニウムが好ましく挙げられる。上記のプラスチックとしては、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂等が好ましく挙げられる。上記の紙としては、普通紙、上質紙、塗工紙等が好ましく挙げられる。
さらに、基材Fとして、インク非吸収性又は低吸収性の基材も好適に用いることができる。このようなインク非吸収性の基材Fとしては、例えば、インクジェット印刷用に表面処理していない(すなわち、インク吸収層を形成していない)プラスチックフィルム、紙等の基材F上にプラスチックがコーティングされているものやプラスチックフィルムが接着されているもの等が挙げられる。ここでいうプラスチックとしては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。インク低吸収性の基材Fの例としては、アート紙、コート紙、マット紙等の印刷本紙などが挙げられる。
なお、上記のインク非吸収性及び低吸収性の基材とは、印刷面が、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msecまでの水吸収量が10mL/m2以下である基材を示す。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙−液体吸収性試験方法−ブリストー法」に述べられている。
基材Fは、転写媒体の使用を容易にするため、好ましくはシート状又はフィルム状である。基材Fの厚さは10〜50μmであると好ましい。
基材Fは、着色層81が形成されるべき側及びその反対側の少なくとも一方に離型剤でコーティングされ、それらのコーティング層により形成される離型層89を備えていてもよい。基材Fが、着色層81が形成されるべき側に離型層89を備えることにより、転写媒体から被転写媒体への転写がより容易になる。かかる観点から離型層89は、基材Fの着色層81が形成されるべき側に少なくとも備えられると好ましい。また、基材Fが、着色層81が形成されるべき側の反対側に離型層89を備えることにより、転写媒体を重ねた際に、転写媒体同士が密着して互いに離れにくくなることを抑制することができる。上記離型剤としては、例えば、ポリエチレンワックス系離型剤、シリコーン系離型剤、及びフッ素系離型剤が挙げられる。また、離型層89の厚さは、10nmを下回ると十分な転写性が得られなくなる。一方、30nmを超えると離型層89の製造コストの観点から好ましくなく、又はロール状の基材Fとした場合にかさばってしまう。そのため、10〜30nmであると好ましい。
[インク]
上記のインクLは、着色層81を形成するために用いられる。インクLは着色剤を含み、この着色剤は、インクの耐光性を良好にすることができるため顔料である。また、インクLは、水性顔料インク、非水性顔料インク、又は紫外線硬化型の顔料インクである。
〔水性顔料インク〕
インクLとして水性顔料インクを用いると、特にインクの吐出安定性に優れる。水性顔料インクは、少なくとも以下の成分を含むことが好ましい。
(1)顔料、
(2)顔料分散剤、エマルション形態の熱可塑性樹脂(以下、「樹脂エマルション」ともいう。)、及び水溶性の熱可塑性樹脂(以下、「水溶性樹脂」ともいう。)のうち少なくともいずれか、
(3)1atmにおける沸点が250℃以下(より好ましくは70℃以上250℃以下)である中沸点の水溶性有機溶剤、
(4)界面活性剤、
(5)水。
インクの総質量(100質量%)に対する、上記(1)〜(5)の各成分の含有量について述べる。上記(1)の成分は、0.2〜10質量%が好ましい。上記(2)の成分は、1.5〜15質量%が好ましい。上記(3)の成分は、5〜40質量%が好ましい。上記(4)の成分は、0.5〜2質量%が好ましい。上記(5)の成分は、50〜92質量%が好ましい。各成分の含有量が上記範囲内である場合、吐出安定性に極めて優れる。
上記各成分についての詳細は後述するが、上記各成分は、それぞれ1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
〔非水性顔料インク〕
非水性顔料インクは、吐出安定性を良好なものとするため、少なくとも以下の成分を含むことが好ましい。
(6)顔料、
(7)1atmにおける沸点が250℃以下(より好ましくは70℃以上250℃以下)である中沸点の水溶性有機溶剤。
ここで、本発明の非水性顔料インクは、実質的に水を含まないことが好ましい。ここで、「実質的に水を含まない」とは、水をまったく含んでいない場合のほか、顔料の分散を阻害しない範囲内において、水分が含まれている場合も含むものとする。本実施形態における非水性顔料インクに含まれる水の含有量は、例えば0.5質量%以下であることが好ましい。
インクの総質量(100質量%)に対する、上記(6)及び(7)の各成分の含有量について述べる。上記(6)の成分は、0.2〜10質量%が好ましい。上記(7)の成分は、70〜99.8質量%が好ましい。各成分の含有量が上記範囲内である場合、吐出安定性に優れる。
また、非水性顔料インクは、下記(8)の成分をさらに含むことによって、密着性に優れる。
(8)熱可塑性樹脂。
上記各成分についての詳細は後述するが、上記各成分は、それぞれ1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
〔紫外線硬化型の顔料インク〕
紫外線硬化型の顔料インクは、吐出安定性を良好なものとするため、少なくとも以下の成分を含むことが好ましい。
(9)顔料、
(10)沸点100℃以上250℃以下のモノマー、
(11)重合性のオリゴマー及びポリマーのうち少なくともいずれか、
(12)光重合開始剤。
インクの総質量(100質量%)に対する、上記(9)〜(12)の各成分の含有量について述べる。上記(9)の成分は、0.2〜10質量%が好ましい。上記(10)の成分は、30〜70質量%が好ましい。上記(11)の成分は、10〜50質量%が好ましい。上記(12)の成分は、3〜10質量%が好ましい。各成分の含有量が上記範囲内である場合、吐出安定性に優れる。
また、紫外線硬化型の顔料インクは、下記(13)の成分をさらに含むことがより好ましい。
(13)1atmにおける沸点が250℃以下(より好ましくは70℃以上250℃以下)である中沸点の水溶性有機溶剤、及び水のうち少なくともいずれか。
上記各成分についての詳細は後述するが、上記各成分は、それぞれ1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[接着液]
上記の接着液は、接着層94を形成するために用いられ、転写の容易性、及び、転写時に被転写媒体又は着色層との接着性を良好にするため、ポリウレタン樹脂を含むことが好ましい。この接着液としては、エマルション形態のポリウレタン樹脂を含む水性液体(水を主成分とする液体)が挙げられ、接着剤として機能するポリウレタン樹脂を表層に効率よく分布させることができるため、エマルション形態のポリウレタン樹脂を含む水性液体が好ましい。
このエマルション形態のポリウレタン樹脂(ポリウレタン樹脂エマルション)を含む水性液体は、その優れた吐出安定性に起因して、転写媒体における着色層81及び接着層94のパターンを高解像度で形成し、かつ、転写性に優れたものとするため、構成成分として下記成分(14)〜(16)を少なくとも含むことが好ましい。
(14)ポリウレタン樹脂エマルション、
(15)1atmにおける沸点が250℃以下(より好ましくは70℃以上250℃以下)である中沸点の水溶性有機溶剤、
(16)水。
上記各成分についての詳細は後述するが、上記各成分は、それぞれ1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
接着液の総質量(100質量%)に対する、上記各成分の含有量について述べる。上記(14)の成分は、2.5〜25質量%が好ましい。上記(15)の成分は、10〜40質量%が好ましい。上記(16)の成分は、45〜87.5質量%が好ましい。各成分の含有量が上記範囲内である場合、接着液の吐出安定性に優れる。
ここで、本実施形態における接着液は、ポリウレタン樹脂を含む接着剤成分を内包したマイクロカプセルを液体中に分散させたものであってもよい。このような接着液を用いると、加熱処理や加圧処理などの付加処理を施してマイクロカプセルを破壊することにより、接着性を良好なものとすることができる。
〔インク及び接着液の構成成分〕
以下では、上記のインクL及び接着液の構成成分について、詳細に説明する。
(顔料)
インクに含まれる顔料としては、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。
無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
上記のカーボンブラックの具体例として、特に限定されないが、No.2300、900、MCF88、No.20B、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No2200B等(以上全て商品名、三菱化学社(Mitsubishi Chemical Corporation)製)、カラーブラックFW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170、プリテックス35、U、V、140U、スペシャルブラック6、5、4A、4、250等(以上全て商品名、デグサ社(Degussa AG)製)、コンダクテックスSC、ラーベン1255、5750、5250、5000、3500、1255、700等(以上全て商品名、コロンビアカーボン社(Columbian Carbon Co.,Ltd.)製)、リガール400R、330R、660R、モグルL、モナーク700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、エルフテックス12等(以上全て商品名、キャボット社(Cabot Corporation)製)が挙げられる。
これらのカーボンブラックは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、無彩色白インク(ホワイトインク)に含まれる顔料としては、塩素法酸化チタン(ルチル型)CR−50(石原産業社(ISHIHARA SANGYO KAISHA, LTD.)製商品名)等の酸化チタン、硫酸バリウム、及び中空白色樹脂エマルションからなる群より選択される一種以上が好ましい。
また、有機顔料のうち有彩色インク用の有機顔料としては、特に限定されないが、例えば、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、イソインドリノン系顔料、アゾメチン系顔料、及びアゾ系顔料が挙げられる。
シアンインクに用いられるシアン顔料の具体例としては、特に限定されないが、C.I.ピグメントブルー 1、2、3、15:3、15:4、15:34、16、22、60等、C.I.バットブルー 4、60等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはC.I.ピグメントブルー 15:3、15:4、及び60からなる群から選択される一種以上である。
マゼンタインクに用いられるマゼンタ顔料の具体例としては、特に限定されないが、C.I.ピグメントレッド 5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、112、122、123、168、184、202、C.I.ピグメントバイオレット 19が挙げられる。これらの中でも、好ましくはC.I.ピグメントレッド 122、202、209、及びC.I.ピグメントバイオレット 19からなる群から選択される一種以上である。
イエローインクに用いられるイエロー顔料の具体例としては、特に限定されないが、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、12、13、14C、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、119、110、114、128、129、138、150、151、154、155、180、185が挙げられる。これらの中でも、好ましくはC.I.ピグメントイエロー 74、109、110、128、及び138からなる群から選択される一種以上である。
オレンジインクに用いられるオレンジ顔料分散液に使用される顔料の具体例としては、特に限定されないが、C.I.ピグメントオレンジ36もしくは43、又はこれらの混合物である。
グリーンインクに用いられるグリーン顔料分散液に使用される顔料の具体例としては、特に限定されないが、C.I.ピグメントグリーン7もしくは36、又はこれらの混合物である。
メタリックインクに用いられる金属性顔料は、金属光沢等の機能を有するものであれば特に限定されないが、アルミニウム又はアルミニウム合金、あるいは、銀又は銀合金であることが好ましい。これらの中でも、コストを低下させ、且つ金属光沢を良好にするため、アルミニウム又はアルミニウム合金であることが好ましい。アルミニウム合金を用いる場合、アルミニウムに添加されうる別の金属元素又は非金属元素としては、金属光沢を有する等の機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、銅を挙げることができる。そして、これらの単体又はこれらの合金及びこれらの混合物の少なくとも1種が好適に用いられる。
これらの顔料は、従来公知の分散樹脂を用いて樹脂分散して用いてもよく、あるいはオゾン、次亜塩素酸、又は発煙硫酸などにより、顔料表面を酸化又はスルホン化して自己分散顔料として用いてもよい。
(分散剤)
インクには、顔料分散性を高める観点から、分散剤を含有させることが好ましい。分散剤として、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。その具体例として、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマー及びコポリマー、アクリル系ポリマー及びコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、及びエポキシ樹脂等の一種以上を主成分とするものが挙げられる。高分子分散剤の市販品として、大日精化工業社(Dainichiseika Color & Chemicals Mfg.Co.,Ltd.)製のディスコールシリーズ(N−509等)、味の素ファインテクノ社(Ajinomoto Fine-Techno Co.,Inc)製のアジスパーシリーズ、アビシア(Avecia)社製のソルスパーズシリーズ、BYKChemie社製のディスパービックシリーズ、楠本化成社製のディスパロンシリーズ等が挙げられる。また、インクの種類(水性顔料インク、非水性顔料インク)に応じて、分散剤の親水性をコントロールすることが好ましく、親水性のコントロールは親水性基(例えば、水酸基、カルボキシル基、及びスルホ基)によって行うことが好ましい。
(熱可塑性樹脂)
転写の容易性、及び、転写時に被転写媒体又は接着層との接着性を高める観点から、インクは熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
この熱可塑性樹脂のうち水性顔料インクに用いるものとしては、上述のとおり、樹脂エマルション及び水溶性樹脂が挙げられる。
本発明に係る接着液は、上記の熱可塑性樹脂のうち、ポリウレタン樹脂を含む。
本実施形態において、水性顔料インク及び接着液に含まれ得る樹脂エマルション及び水溶性樹脂としては、以下に列記するものが好ましい。樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの樹脂は、水不溶性の場合であっても、上述のとおり水分散性は必要であるため、親水性部分と疎水性部分とを併せ持つ重合体、即ち樹脂エマルションであることが好ましい。熱可塑性樹脂として樹脂エマルションを使用する場合、その平均粒径はエマルションを形成する限り特に限定されないが、好ましくは1μm未満、より好ましくは150nm以下、さらに好ましくは5nm〜100nmである。
なお、本明細書において、平均粒径は、特に言及のない限り、動的光散乱法を用いた粒度分析計により測定される。エマルションに純水を加えて100倍に希釈し、ナノトラックUPA−EX150(日機装社(Nikkiso Co., Ltd.)製)を用いて測定される50質量%数平均粒子径で表すものとする。
熱可塑性樹脂としては、インクジェット用インクや接着液において従来用いられているものを使用することができる。
水性顔料インクに用いられる熱可塑性樹脂の具体例として、特に限定されないが、ポリ(メタ)アクリル酸エステル又はその共重合体、ポリアクリロニトリル又はその共重合体、ポリシアノアクリレート、ポリアクリルアミド、及びポリ(メタ)アクリル酸などの(メタ)アクリル系重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブチレン、及びポリスチレン、並びにそれらの共重合体、並びに石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、及びテルペン樹脂などのポリオレフィン系重合体、ポリ酢酸ビニル又はその共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、及びポリビニルエーテルなどの酢酸ビニル系又はビニルアルコール系重合体、ポリ塩化ビニル又はその共重合体、ポリ塩化ビニリデン、フッ素樹脂、及びフッ素ゴムなどの含ハロゲン系重合体、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピロリドン又はその共重合体、ポリビニルピリジン、及びポリビニルイミダゾールなどの含窒素ビニル系重合体、ポリブタジエン又はその共重合体、ポリクロロプレン、及びポリイソプレン(ブチルゴム)などのジエン系重合体、並びにその他の開環重合型樹脂、縮合重合型樹脂、及び天然高分子樹脂が挙げられる。
水性顔料インクに用いられる熱可塑性樹脂の市販品として、例えば、ハイテックE−7025P、ハイテックE−2213、ハイテックE−9460、ハイテックE−9015、ハイテックE−4A、ハイテックE−5403P、ハイテックE−8237(以上すべて商品名、東邦化学社(TOHO Chemical Industry Co.,Ltd.)製)、AQUACER 507、AQUACER 515、AQUACER 840(以上すべて商品名、ビックケミー・ジャパン社(BYK Japan KK)製)、JONCRYL 67、611、678、680、及び690(以上すべて商品名、BASF社製)が挙げられる。
水性顔料インクに用いられる熱可塑性樹脂をエマルションの状態で得る場合には、所望により界面活性剤とともに、樹脂粒子を水と混合することによって調製することができる。例えば、(メタ)アクリル系樹脂又はスチレン−(メタ)アクリル系樹脂のエマルションは、(メタ)アクリル酸エステルの樹脂又はスチレン−(メタ)アクリル酸エステルの樹脂と、所望により(メタ)アクリル酸樹脂と、界面活性剤と、を水に混合することにより得られる。樹脂エマルション及び水溶性樹脂の少なくともいずれかと界面活性剤との混合割合は、質量比で通常50:1〜5:1程度とするのが好ましい。界面活性剤の使用量が、上記範囲に満たない場合にはエマルションが形成されにくく、一方、前記範囲を超える場合にはインクや接着液の耐水性が低下したり、密着性が悪化したりする傾向にある。
上記の界面活性剤は特に限定されないが、好ましい例として、ドデシルベンザンスルホン酸ナトリウム、ラウルリル酸ナトリウム、及びポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩などのアニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、及びポリオキシエチレンアルキルアミド等のノニオン系界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、水性顔料インクに用いられる熱可塑性樹脂のエマルションは、重合触媒及び乳化剤を存在させた水中で、上記した樹脂エマルション及び水溶性樹脂の少なくともいずれかの単量体を乳化重合させることによっても得ることができる。乳化重合の際に使用される重合開始剤、乳化剤、及び分子量調整剤は従来公知の方法に準じて使用できる。
重合開始剤としては、通常のラジカル重合に用いられるものと同様のものが用いられ、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、過酸化ジブチル、過酢酸、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロキシパーオキシド、及びパラメンタンヒドロキシパーオキシドが挙げられる。重合反応を水中で行う場合には、水溶性の重合開始剤が好ましい。乳化剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムの他、一般にアニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、又は両性界面活性剤として用いられているもの、及びこれらの混合物が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
樹脂エマルション及び水溶性樹脂の少なくともいずれかと水との割合についていえば、これらの樹脂100質量部に対して、好ましくは60質量部〜400質量部の範囲、より好ましくは100質量部〜200質量部の範囲の水が適当である。
また、市販の樹脂エマルションを利用することも可能であり、例えばマイクロジェル E−1002、E−5002(以上、日本ペイント社(Nippon Paint Co., Ltd.)製商品名、スチレン−アクリル系樹脂エマルション)、ボンコート4001(DIC社製商品名、アクリル系樹脂エマルション)、ボンコート5454(DIC社製商品名、スチレン−アクリル系樹脂エマルション)、JONCRYL 67(Tg 73℃)、611(Tg 50℃)、680(Tg 67℃)、690(Tg 102℃)(以上、BASF社製商品名)、ポリゾール AM−710(Tg 56℃)、AM−920(Tg −20℃)、AM−2300(Tg 67℃)、AP−4735(Tg 21℃)、AT−860(Tg 60℃)(以上、アクリル系樹脂エマルション)、ポリゾール AP−7020(Tg 85℃)(スチレン・アクリル樹脂エマルション)、ポリゾール SH−502(酢酸ビニル樹脂エマルション、Tg 30℃)(以上、昭和電工社(SHOWA DENKO K.K)製商品名)、SAE1014(商品名、スチレン−アクリル系樹脂エマルション、日本ゼオン社(Zeon Corporation)製)、サイビノールSK−200(商品名、アクリル系樹脂エマルション、サイデン化学社(SAIDEN CHEMICAL INDUSTRY CO.,LTD.)製)、AE−120A(JSR社製商品名、アクリル樹脂エマルション、Tg −10℃)、AE373D(イーテック社(Emulsion Technology Co., Ltd.)製商品名、カルボキシ変性スチレン・アクリル樹脂エマルション)、セイカダイン1900W(大日精化工業社製商品名、エチレン・酢酸ビニル樹脂エマルション)、ビニフラン 2622(アクリル樹脂エマルション、Tg −26℃)、2886(酢酸ビニル・アクリル樹脂エマルジョン、Tg 0℃)、5202(酢酸アクリル樹脂エマルジョン、Tg 30℃)(以上、日信化学工業社(Nissin Chemical Industry CO.,Ltd.)製商品名)、エリーテル KA−5071S(Tg 67℃)、KT−8803(Tg 61℃)、KT−9204(Tg 19℃)、KT―8701(Tg 13℃)、KT−8904(Tg 10℃)、KT−0507(Tg ―27℃)(以上、ユニチカ社製商品名、ポリエステル樹脂エマルション)、ハイテック SN−2002(東邦化学社製商品名、ポリエステル樹脂エマルション、Tg 76℃)、タケラックW−6020(Tg 90℃)、W−635(Tg 70℃)、W−6061(Tg 25℃)(以上、三井化学ポリウレタン社製商品名、ポリウレタン樹脂エマルション)、スーパーフレックス870(Tg 78℃)、800(Tg 46℃)、150(Tg 40℃)、460(Tg −21℃)(以上、第一工業製薬社製商品名、ポリウレタン樹脂エマルション)が挙げられる。
これらの中でも、接着液に含有させるポリウレタン樹脂としては、ガラス転移温度(Tg)が25℃以上90℃以下であるポリウレタン樹脂が好ましい。Tgが90℃以下のポリウレタン樹脂であると、転写性及び接着性に優れる。他方、Tgが25℃以上のポリウレタン樹脂であると、耐ブロッキング性に優れる。
なお、本明細書におけるTgは、加熱により樹脂エマルションから液体成分を除去して樹脂成分を取り出し、その樹脂成分を示差熱熱重量同時測定装置(TG/DTA)により測定して得られる値である。
熱可塑性樹脂は、粒子粉末としてインクや接着液中の他の構成成分と混合されてもよいが、樹脂粒子を水媒体に分散させて、樹脂エマルションの形態とした後、インクや接着液の他の構成成分と混合することが好ましい。インクや接着液の長期保存安定性及び吐出安定性を良好なものとするため、本実施形態における樹脂粒子の粒径は、好ましくは5〜400nmの範囲であり、より好ましくは50〜200nmの範囲である。
また、水溶性樹脂としては、スルホン酸基、カルボン酸基、アミノ基などのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、無機酸塩、有機酸塩などのイオン性の親水基を有する合成高分子を用いることができる。より詳細には、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、及びポリビニルアセタール、並びにスチレン−(メタ)アクリル酸共重合物及び(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合物等のアクリル系樹脂などの合成高分子が挙げられる。
また、市販の水溶性樹脂を利用することも可能であり、例えば、JONCRYL 678、680(以上BASF社製商品名、アクリル系樹脂)、デンカポバール H−12(電気化学工業社(Denki Kagaku Kogyo K.K.)製商品名、ポリビニルアルコール)が挙げられる。
樹脂エマルション及び水溶性樹脂の少なくともいずれかは、インク又は接着液の総質量(100質量%)に対して、固形分換算で0.5〜10.0質量%の範囲で含まれることが好ましい。これらの樹脂が少なすぎると、基材の表面に形成されるインクや接着液の被膜が薄くなり、基材の表面との密着性が不十分になる場合がある。これらの樹脂が多すぎると、インクや接着液の吐出安定性に劣ったり、インクや接着液の保存中に樹脂の分散が不安定になったり、わずかな水分の蒸発により樹脂が凝集・固化して均一な被膜が形成できなくなる場合がある。
他方、非水性顔料インクに用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、繊維素系樹脂(例えば、セルロースアセテートブチレート、ヒドロキシプロピルセルロース)、ポリビニルブチラール、ポリアクリルポリオール、ポリビニルアルコール、及びポリウレタンが挙げられる。
また、非水系のエマルジョン型ポリマー粒子も熱可塑性樹脂として用いることができる。これはポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、及びアクリルポリオール樹脂などの粒子が有機溶剤中に安定に分散している分散液のことである。ポリウレタン樹脂として、例えば、三洋化成工業社製のサンプレンIB−501及びサンプレンIB−F370が挙げられる。アクリルポリオール樹脂として、例えば、ハリマ化成社製のN−2043−60MEXが挙げられる。
樹脂エマルジョンは、密着性を良好なものとするため、非水性顔料インクの総質量(100質量%)に対し、0.1〜10質量%含まれることが好ましい。含有量が0.1質量%以上であると、吐出安定性が良好なものとなる。含有量が10質量%以下であると、密着性が良好なものとなる。
非水性顔料インク中の熱可塑性樹脂は、ポリビニルブチラール、セルロースアセテートブチレート、及びポリアクリルポリオールからなる群より選択される少なくとも1種以上であることが好ましく、セルロースアセテートブチレートであることがより好ましい。このような好適な構成とすることにより、定着性に優れる。
(1atmにおける沸点が250℃以下である水溶性有機溶剤)
1atmにおける沸点が250℃以下(より好ましくは70℃以上250℃以下)である水溶性有機溶剤をインク(水性顔料インク又は非水性顔料インク)や接着液に含有させることにより、インクや接着液中で樹脂を安定化させることができ、インクや接着液の吐出安定性及び揮発性に優れ、かつ、画像の転写ムラを効果的に防止することができる。
上記の水溶性有機溶剤は、吐出安定性に優れるため、ラクタム、カルボン酸エステル、アルキレングリコールエーテル、及びアルコールから選ばれる1種以上を含む水性液体であることが好ましい。これらの中でも、2−ピロリドン(γ−ブチロラクタム)、乳酸エステル、アルキレングリコールエーテル、アルコールを含む水性液体であることがより好ましい。
上記の水溶性有機溶剤として、特に限定されないが、例えば、エタノール(沸点78℃)、N−メチル−2−ピロリドン(沸点204℃)、N−エチル−2−ピロリドン(沸点212℃)、2−ピロリドン(沸点245℃)、ジメチルスルホキシド(沸点189℃)、乳酸メチル(沸点145℃)、乳酸エチル(沸点155℃)、乳酸イソプロピル(沸点168℃)、乳酸ブチル(沸点188℃)、エチレングリコールモノメチルエーテル(沸点124℃)、エチレングリコールジメチルエーテル(沸点85℃)、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点145℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点194℃)、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル(沸点212℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点230℃)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点162℃)、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(沸点176℃)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(沸点189℃)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点249℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点120℃)、プロピレングリコールジメチルエーテル(沸点97℃)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点188℃)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(沸点171℃)、1,4−ジオキサン(沸点101℃)、エチレングリコール(沸点197℃)、ジエチレングリコール(沸点244℃)、プロピレングリコール(沸点188℃)、ジプロピレングリコール(沸点232℃)、1,3−プロパンジオール(沸点212℃)、1,4−ブタンジオール(沸点230℃)、ヘキシレングリコール(沸点198℃)、2,3−ブタンジオール(沸点77℃)、n−ブタノール(沸点118℃)、1,2−ヘキサンジオール(沸点224℃)、及び1,2−ペンタンジオール(沸点206℃)が挙げられる。
1atmにおける沸点が250℃以下である水溶性有機溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
(界面活性剤)
本実施形態において、インクに用いられる界面活性剤としては、アセチレングリコール系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤からなる群から選択される一種以上の界面活性剤が挙げられる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オール、2,4−ジメチル−5−ヘキシン−3−オールが挙げられる。アセチレングリコール系界面活性剤の市販品として、例えば、オルフィンE1010、STG、Y、サーフィノール104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420、465、485、TG、SE、SE−F、61、82、DF−110D(以上全て商品名、日信化学工業社(Nissin Chemical Industry CO.,Ltd.)製)、アセチレノールE00、E00P(以上全て商品名、川研ファインケミカル社(Kawaken Fine Chemicals Co., Ltd.)製)が使用可能である。
シリコーン系界面活性剤としては、ポリシロキサン系化合物が好ましく用いられ、ポリシロキサン系化合物の具体例として、ポリエーテル変性オルガノシロキサンが挙げられる。シリコーン系界面活性剤の市販品として、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−347、BYK−348、BYK−UV3500、3510、3530、3570(以上全て商品名、ビックケミー・ジャパン社製)が使用可能である。
特に好ましい界面活性剤は、シリコーン系界面活性剤と、HLB値が17以下のアセチレングリコール系界面活性剤と、を共に含む組み合わせである。
また、上述の水溶性有機溶剤と界面活性剤とを組み合わせて、上記インクの表面張力を23.0mN/m〜40.0mN/mの範囲とすることが好ましく、より好ましくは25.0mN/m〜35.0mN/mの範囲である。インクの表面張力が上記範囲内であると、吐出安定性に優れる。
(重合性化合物)
紫外線硬化型の顔料インクに含まれ得る重合性化合物であるモノマー及びオリゴマーは、後述する光重合開始剤の作用により紫外線などの光の照射時に重合し、固化する化合物であれば、特に制限はないが、単官能基、2官能基、及び3官能基以上の多官能基を有する種々のモノマー及びオリゴマーが使用可能である。
ここで、本明細書における「モノマー」とは、数平均分子量が100〜3,000の分子を意味する。本明細書における「オリゴマー」とは、数平均分子量が500〜20,000の分子を意味する。なお、本明細書において、数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法に従って測定される。
モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、及びマレイン酸等の不飽和カルボン酸並びにそれらの塩又はエステル、ウレタン、アミド及びその無水物、アクリロニトリル、スチレン、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、並びに不飽和ウレタンが挙げられる。
オリゴマーとしては、例えば、直鎖アクリルオリゴマー等の上記のモノマーから形成されるオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、及びポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、上記のモノマー及びオリゴマーは、アリル化合物であってもよい。アリル化合物とは、2−プロペニル(−CH2CH=CH2)構造を有する化合物である。2−プロペニル基はアリル基とも称され、IUPAC命名法では慣用名とされている。アリル化合物はラジカル重合性を有する。アリル化合物の具体例として、エチレングリコールモノアリルエーテル、アリルグリコール(例えば、日本乳化剤社(NIPPON NYUKAZAI CO.,LTD.)から入手可能)、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、グリセリンモノアリルエーテル(以上、例えば、ダイソー(DAISO)社から入手可能)や、ユニオックス、ユニループ、ポリセリン、ユニセーフの商品名であるアリル基を有するポリオキシアルキレン化合物(日油社(NOF CORPORATION)から入手可能)等が挙げられる。
これらの中でも、アリルグリコールを用いることが好ましい。重合性化合物としてアリルグリコールを用いることにより、紫外線硬化型インクを低粘度化することができ、本実施形態の製造方法に用いるインクとして最適な粘度(25℃において10mPa・s以下)に調整することが可能となる。
また、上記のモノマー及びオリゴマーは、N−ビニル化合物であってもよい。N−ビニル化合物としては、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリン、及びそれらの誘導体等が挙げられる。
(光重合開始剤)
紫外線硬化型の顔料インクに含まれ得る光重合開始剤は、紫外線などの光のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、上記重合性化合物の重合を開始させるものであれば、制限はないが、ラジカル系光重合開始剤やカチオン系光重合開始剤を使用することができ、中でもラジカル系光重合開始剤を使用することが好ましい。
上記のラジカル系光重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルホスフィン化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物が挙げられる。
ラジカル系光重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2,4−ジエチルチオキサントン、及びビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシドが挙げられる。
ラジカル系光重合開始剤の市販品としては、例えば、IRGACURE 651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)、IRGACURE 184(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)、DAROCUR 1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)、IRGACURE 2959(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)、IRGACURE 127(2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン})、IRGACURE 907(2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン)、IRGACURE 369(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)、IRGACURE 379(2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン)、DAROCUR TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド)、IRGACURE 819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド)、IRGACURE 784(ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム)、IRGACURE OXE 01(1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)])、IRGACURE OXE 02(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム))、IRGACURE 754(オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物)(以上、チバ・ジャパン社(Ciba Japan K.K.)製)、DETX−S(2,4−ジエチルチオキサントン)(日本化薬社(Nippon Kayaku Co., Ltd.)製)、Lucirin TPO、LR8893、LR8970(以上、BASF社製)、及びユベクリルP36(UCB社製)などが挙げられる。
上記光重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、前述の重合性化合物として光重合性の化合物を用いることで、光重合開始剤の添加を省略することも可能であるが、光重合開始剤を用いた方が、重合の開始を容易に調整することができ、好適である。
(重合禁止剤)
紫外線硬化型の顔料インクに含まれ得る重合禁止剤としては、特に限定されないが、例えば、IRGASTAB UV10及びUV22(BASF社製)などを用いることができる。重合禁止剤を添加することにより、インク組成物の保存安定性が良好なものとなる。
(水)
水は、本実施形態で用いるインクが水性インクである場合の主溶媒であり、また、接着液にも含まれる。水としては、イオン性の不純物を極力低減するため、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、もしくは蒸留水等の純水、又は超純水を用いることが好ましい。また、紫外線照射や過酸化水素の添加などによって滅菌した水を用いると、顔料分散液及びこれを用いたインクを長期保存する場合に、カビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
なお、上記の主溶媒とは、インク中のあらゆる溶媒のうち最も含有量の多いものをいう。
(その他の添加剤)
本実施形態におけるインクや接着液は、さらに必要に応じて、防腐剤・防かび剤、pH調整剤、酸化防止剤、上述以外の有機溶剤、及び金属トラップ剤などを含有してもよい。
防腐剤・防かび剤として、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン(Arch Chemicals社製のProxel−CRL、Proxel−BDN、Proxel−GXL、Proxel−XL2、Proxel−TN)が挙げられる。
pH調整剤として、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、モルホリン、リン酸二水素カリウム、及びリン酸水素二ナトリウムが挙げられる。
金属トラップ剤として、例えば、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムが挙げられる。
このように、本実施形態によれば、着色層形成用のインク及び接着層形成用の接着液をインクジェットヘッドから吐出する際の吐出安定性に優れ、着色層のパターンを高解像度で得ることができ、転写性に優れ、かつ、転写後の接着性に優れた転写媒体の製造方法を提供することができる。
[転写媒体]
本発明の一実施形態は、転写媒体に係る。当該転写媒体は、上記実施形態の製造方法を実施することにより得ることができる。転写媒体は、基材上に、着色層及び接着層をこの順に積層して備えるものであり、必要に応じて、基材と着色層との間に保護層又は離型層を備え、あるいは基材と着色層との間に基材側から離型層及び保護層をこの順に積層して備える。
転写媒体において、着色層の厚さは、1〜10μmであると好ましく、2〜5μmであるとより好ましい。着色層の厚さが上記範囲内にあることにより、発色性に優れる。また、接着層の厚さは、0.5〜5μmであると好ましく、1〜3.5μmであるとより好ましい。接着層の厚さがかかる数値範囲内にあることにより、接着性に優れる。
さらに、転写媒体が保護層91を備える場合、保護層91の厚さは、10〜30nmであると好ましい。保護層91の厚さが上記範囲内にあることにより、ロール状の基材を用いた場合にかさばらないこと又は着色層81の保護若しくは保護層91の製造コストの観点から優れる。
[転写物]
本発明の一実施形態は、転写物に係り、上記実施形態の転写媒体から被転写媒体に転写することにより得られる。転写物として、例えば、自動車の内装、ノートパソコンの外装、携帯電話の外装、化粧品容器、文房具等に用いるプラスチック、及び金属が挙げられる。被転写媒体(材質)として、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、及びABS樹脂等のプラスチック、並びにニッケル、鉄、SUS、及びチタン等の金属が挙げられる。
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
[水性顔料インクAの調製]
着色層形成用の水性顔料インクA(以下、単に「インクA」ともいう。)を調製した。
〔インクA−1〕
4質量部のジエチレングリコールモノブチルエーテル(以下、「DEGmBE」ともいう。)、1質量部のBYK−348(シリコーン系界面活性剤、ビックケミー社製商品名)、及び30質量部のイオン交換水を混合し、常温で20分間攪拌して予備混合液を得た。次に、水溶性樹脂として5質量部のJONCRYL678(アクリル系の水溶性樹脂、BASF社製商品名、分子量8,500、酸化215)、及びpH調整剤として0.1質量部の水酸化カリウム(KOH)をこの予備混合液に添加し、40℃で1時間攪拌した。
この攪拌後の液に、カーボンブラックMA100(三菱化学社製商品名)を10質量部添加して混合液を得、卓上サンドミル(林商店(Hayashi Shoten)社製)中で、この混合液の1.5倍質量のジルコニアガラスビーズ(直径1.5mm)とともに、2,160rpmで2時間攪拌し分散した。分散後、0.1mm径のSUSメッシュフィルターにて濾過し、分散液を調製した。
分散液に、2−ピロリドン(以下、「2−Py」ともいう。)、プロピレングリコール(以下、「PG」ともいう。)、樹脂エマルションとしてポリゾールAM−710(アクリル樹脂エマルション、昭和電工社製商品名、平均粒径150nm、有効成分50.5質量%)、Proxel−XL2(防腐剤、Arch Chemicals社製商品名)、及びイオン交換水を、表1に示す分量(質量部)で添加し、40℃で20分間攪拌した。攪拌後、5μm径のメンブランフィルターにて濾過し、表1に組成を示すブラック色のインクA−1を調製した。
〔インクA−2〕
3質量部のDEGmBE、0.5質量部のBYK−348、及び30質量部のイオン交換水を混合し、常温で20分間攪拌して予備混合液を得た。次に、水溶性樹脂として2質量部のJONCRYL680(アクリル系の水溶性樹脂、BASF社製商品名、分子量4,900、酸化215)、及び0.1質量%のKOHをこの予備混合液に添加し、40℃で1時間攪拌した。
この攪拌後の液に、シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3、DIC社製)を5質量部添加して混合液を得、その後、インクA−1の場合と同様の条件で分散、濾過して、分散液を調製した。
分散液に、1,2−ヘキサンジオール(以下、「1,2−HD」ともいう。)、2−Py、PG、樹脂エマルションとしてポリゾールAM−2300(スチレン・アクリル樹脂エマルション、昭和電工社製商品名、最低造膜温度(MFT)70℃、平均粒径90nm、有効成分40質量%)、Proxel−XL2、及びイオン交換水を、表1に示す分量(質量部)で添加し、その後、インクA−1の場合と同様の条件で攪拌、濾過して、表1に組成を示すシアン色のインクA−2を調製した。
〔インクA−3〕
3質量部のDEGmBE、0.8質量部のBYK−348、30質量部のイオン交換水を混合し、常温で20分間攪拌して予備混合液を得た。次に、1質量部のJONCRYL680、及び0.1質量%のKOHをこの予備混合液に添加し、40℃で1時間攪拌した。
この攪拌後の液に、マゼンタ顔料(C.I.ピグメントレッド122、BASF社製)を4質量部添加して混合液を得、その後、インクA−1の場合と同様の条件で分散、濾過して、分散液を調製した。
分散液に、1,2−HD、2−Py、PG、AE373D(カルボキシ変性スチレン・アクリル樹脂エマルション、イーテック社製商品名、平均粒径150nm、有効成分50質量%)、Proxel−XL2、及びイオン交換水を、表1に示す分量(質量部)で添加し、その後、インクA−1の場合と同様の条件で攪拌、濾過して、表1に組成を示すマゼンタ色のインクA−3を調製した。
〔インクA−4〕
3質量部のDEGmBE、0.8質量部のBYK−348、30質量部のイオン交換水を混合し、常温で20分間攪拌して予備混合液を得た。次に、2質量部のJONCRYL680、及び0.1質量%のKOHをこの予備混合液に添加し、40℃で1時間攪拌した。
この攪拌後の液に、イエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー180、大日精化工業社製)を4質量部添加して混合液を得、その後、インクA−1の場合と同様の条件で分散、濾過して、分散液を調製した。
分散液に、1,2−HD、2−Py、PG、樹脂エマルションとしてポリゾールAT860(アクリル樹脂エマルション、昭和電工社製商品名、平均粒径120nm、Tg60℃、有効成分50質量%)、サーフィノール465(アセチレングリコール系界面活性剤、Air Products and Chemicals Inc.製商品名)、Proxel−XL2、及びイオン交換水を、表1に示す分量(質量部)で添加し、その後、インクA−1の場合と同様の条件で攪拌、濾過して、表1に組成を示すイエロー色のインクA−4を調製した。
〔インクA−5〕
1質量部のBYK−348、水溶性樹脂として4.7質量部のデンカポバールH−12(ポリビニルアルコール、電気化学工業社製商品名、純分94質量%)、及び30質量部のイオン交換水を混合し、40℃で1時間攪拌した。
この攪拌後の液に、顔料としてCR−50(ルチル型酸化チタン、石原産業社製商品名、TiO2有効成分95質量%、平均粒径0.25μm)を9.5質量部添加して混合液を得、その後、インクA−1の場合と同様の条件で分散、濾過して、分散液を調製した。
分散液に、タケラックW−6061(ポリウレタン樹脂エマルション、三井化学社(Mitsui Chemicals, Inc.)製商品名、固形分30質量%)、1,2−HD、2−Py、PG、Proxel−XL2、及びイオン交換水を、表1に示す分量(質量部)で添加し、40℃で20分間攪拌した。攪拌後、10μm径のSUSメッシュフィルターにて濾過し、表1に組成を示すホワイト色のインクA−5を調製した。
上記のインクA−1からインクA−5までの組成を表1に纏める。なお、表1中、「樹脂EM」は樹脂エマルションを意味し、数値は樹脂成分の換算量(質量部)を表している。空欄部は無添加を意味する。また、イオン交換水の分量は、得られたインクに含まれるイオン交換水の分量である。
Figure 0005942370
[紫外線硬化型の顔料インクBの調製]
着色層形成用の紫外線硬化型の顔料インクB(以下、単に「インクB」ともいう。)を調製した。
〔インクB−1〕
14質量部のアリルグリコール(モノマー、日本乳化剤社製、以下「AG」ともいう。)、及び1.2質量部のディスコールN−509(分散剤、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、大日精化工業社製商品名)を混合し、40℃で20分間攪拌した。
この攪拌後の液に、カーボンブラックMA7(三菱化学社製商品名)を6質量部添加して混合液を得、卓上サンドミル(林商店社製)中で、この混合液の1.5倍質量のジルコニアガラスビーズ(直径1.5mm)とともに、2,160rpmで2時間攪拌し分散した。分散後、0.1mm径のSUSメッシュフィルターにて濾過し、分散液を調製した。
分散液に、N−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」ともいう。)、U−15HA(ウレタンアクリレートオリゴマー、新中村化学工業社製商品名、重量平均分子量2,300)、Irgacure 127及び819(光重合開始剤、以上BASF社製商品名)、Irgastab UV−10(重合禁止剤、BASF社製商品名)、BYK−UV3500(界面活性剤、ビックケミー社製商品名)、及びAG(残分)を、表2に示す分量(質量部)で添加し、常温で1時間攪拌した。攪拌後、5μm径のメンブランフィルターにて濾過し、表2に組成を示すブラック色のインクB−1を調製した。なお、表2における光重合開始剤10質量部のうち、Irgacure127が7質量部であり、Irgacure819が3質量部である。
〔インクB−2〕
着色剤であるカーボンブラックをシアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:4、DIC社製)とし、組成を表2に記載のようにした点以外は、インクB−1調製時と同様にして分散液を作製した。なお、この分散液の作製時に、AGを14質量部添加した。
分散液に、モノマーとしてN−ビニルホルムアミド(以下、「NVF」ともいう。)、U−15HA、Irgacure 127及び819、Irgastab UV−10、BYK−UV3500、及びAG(残分)を、表2に示す分量(質量部)で添加し、常温で1時間攪拌した。攪拌後、5μm径のメンブランフィルターにて濾過し、表2に組成を示すシアン色のインクB−1を調製した。なお、表2におけるモノマー69.8質量部のうち、AGが59.8質量部であり、NVFが10質量部である。また、光重合開始剤5質量部のうち、Irgacure127が3質量部であり、Irgacure819が2質量部である。
〔インクB−3〕
着色剤であるカーボンブラックをマゼンタ顔料(C.I.ピグメントバイオレット19、BASF社製)とし、組成を表2に記載のようにした点以外は、インクB−1調製時と同様にして分散液を作製した。なお、この分散液の作製時に、AGを14質量部添加した。
分散液に、2−Py、U−15HA、Irgacure 127及び819、Irgastab UV−10、BYK−UV3500、AG(残分)、及びイオン交換水を、表2に示す分量(質量部)で添加し、常温で1時間攪拌した。攪拌後、5μm径のメンブランフィルターにて濾過し、表2に組成を示すマゼンタ色のインクB−3を調製した。なお、表2における光重合開始剤3質量部のうち、Irgacure127が2質量部であり、Irgacure819が1質量部である。
〔インクB−4〕
着色剤であるカーボンブラックをイエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー150、ウィンケミカル社製)とし、組成を表2に記載のようにした点以外は、インクB−1調製時と同様にして分散液を作製した。なお、この分散液の作製時に、AGを14質量部添加した。
分散液に、2−Py、U−15HA、Irgacure 127及び819、Irgastab UV−10、BYK−UV3500、及びAG(残分)を、表2に示す分量(質量部)で添加し、常温で1時間攪拌した。攪拌後、5μm径のメンブランフィルターにて濾過し、表2に組成を示すイエロー色のインクB−4を調製した。なお、表2における光重合開始剤5質量部のうち、Irgacure127が3質量部であり、Irgacure819が2質量部である。
〔インクB−5〕
着色剤であるカーボンブラックをシアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:4、DIC社製)とし、組成を表2に記載のようにした点以外は、インクB−1調製時と同様にして分散液を作製した。なお、この分散液の作製時に、AGを14質量部添加した。
分散液に、NVF、U−15HA、Irgacure 127及び819、Irgastab UV−10、BYK−UV3500、及びAG(残分)を、表2に示す分量(質量部)で添加し、常温で1時間攪拌した。攪拌後、5μm径のメンブランフィルターにて濾過し、表2に組成を示すライトシアン色のインクB−5を調製した。なお、表2におけるモノマー44.4質量部のうち、AGが34.4質量部であり、NVFが10質量部である。また、表2における光重合開始剤5質量部のうち、Irgacure127が3質量部であり、Irgacure819が2質量部である。
〔インクB−6〕
着色剤であるカーボンブラックをマゼンタ顔料(C.I.ピグメントバイオレット19、BASF社製)とし、組成を表2に記載のようにした点以外は、インクB−1調製時と同様にして分散液を作製した。なお、この分散液の作製時に、AGを14質量部添加した。
分散液に、2−Py、U−15HA、Irgacure 127及び819、Irgastab UV−10、BYK−UV3500、AG(残分)、及びイオン交換水を、表2に示す分量(質量部)で添加し、常温で1時間攪拌した。攪拌後、5μm径のメンブランフィルターにて濾過し、表2に組成を示すライトマゼンタ色のインクB−6を調製した。なお、表2における光重合開始剤3質量部のうち、Irgacure127が2質量部であり、Irgacure819が1質量部である。
上記のインクB−1からインクB−6までの組成を表2に纏める。なお、表2中、モノマーの分量は、得られたインクに含まれるモノマーの分量である。空欄部は無添加を意味する。
Figure 0005942370
[非水性顔料インクCの調製]
着色層形成用の非水性顔料インクC(以下、単に「インクC」ともいう。)を調製した。
〔インクC−1〕
膜厚100μmのPETフィルム上に、セルロースアセテートブチレート(ブチル化率35〜39質量%、関東化学社(KANTO CHEMICAL CO., INC)製)5.0質量%及びジエチレングリコールジエチルエーテル(日本乳化剤社製)95.0質量%からなる樹脂層塗工液を、スピンコート法により塗布し、乾燥することで、PETフィルム上に10μmの厚さを有する樹脂層を形成した。なお、上記スピンコート法の条件は、500rpmで10秒間の回転を行った後、2,000rpmで30秒間の回転を行った。また、上記乾燥の条件は、100℃で30分間とした。得られた樹脂層の厚さは10μmであった。
次に、真空蒸着装置(真空デバイス社(VACUUM DEVICE INC.)製VE−1010型真空蒸着装置)を用いて、上記の樹脂層上に平均膜厚20nmのアルミニウム蒸着層を形成し、積層体を得た。
次に、上記の積層体を、ジエチレングリコールジエチルエーテル中、VS−150超音波分散機(アズワン社(AS ONE Corporation)製)を用いて剥離・微細化・分散処理を同時に行い、超音波分散処理時間(積算値)が12時間であるアルミニウム顔料分散液を作製した。
得られたアルミニウム顔料分散液を、開き目5μmのSUSメッシュフィルターにてろ過処理を行い、粗大粒子を除去した。次いで、ろ液を丸底フラスコに入れ、ロータリーエバポレーターを用いてジエチレングリコールジエチルエーテルを留去した。これにより、アルミニウム顔料分散液を濃縮し、その後、そのメタリック顔料分散液の濃度調整を行い、顔料濃度が5質量%であるアルミニウム顔料分散液を得た。
粒子径・粒度分布測定装置(シスメックス社製FPIA−3000S)を用いて、前記アルミニウム顔料集団の全面積100質量%とした累積曲線から得られる、円相当径の累積50質量%平均粒子径R50を算出したところ、1.0μmであった。
ここで、「円相当径」は、アルミニウム顔料の平板状粒子の略平坦な面(X−Y平面)の投影面積と等しい面積を持つ円の直径を意味する。上記「略平坦な面」とは、当該平板状粒子の投影面積が最大となる面を意味する。上記アルミニウム顔料は蒸着膜を破砕して作製されたものであるため、略平坦な面(X−Y平面)及び略均一な厚み(本実施例では20nm)を有することから、上記R50の測定を行った。
上記のアルミニウム顔料分散液を用いて、表3に示す組成にてインクC−1を調製した。表3中、「CAB」はセルロースアセテートブチレートを表し、「γ−BL」はγ−ブチロラクトンを表し、「DEGdEE」はジエチレングリコールジエチルエーテルを表す。なお、表3の単位は質量%である。
Figure 0005942370
[接着液の調製]
接着層形成用の接着液を調製した。
〔接着液C−1〕
1,2−HD、2−Py、PG、ポリウレタン樹脂エマルションとしてスーパーフレックス870(Tg 78℃)、BYK−348、及びイオン交換水を混合し、40℃で20分間攪拌後、5μm径のメンブランフィルターにて濾過し、表4に組成を示す接着液C−1を調製した。
〔接着液C−2〕
1,2−HD、PG、ポリウレタン樹脂エマルションとしてスーパーフレックス800(Tg 46℃)、BYK−348、及びイオン交換水を混合し、40℃で20分間攪拌後、5μm径のメンブランフィルターにて濾過し、表4に組成を示す接着液C−2を調製した。
〔接着液C−3〕
ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−HD、2−Py、PG、ポリウレタン樹脂エマルションとしてスーパーフレックス150(Tg 40℃)、BYK−348、サーフィノール465、及びイオン交換水を混合し、40℃で20分間攪拌後、5μm径のメンブランフィルターにて濾過し、表4に組成を示す接着液C−3を調製した。
〔接着液C−4〕
1,2−HD、2−Py、PG、ポリウレタン樹脂エマルションとしてタケラックW−6061(Tg 25℃)、BYK−348、及びイオン交換水を混合し、40℃で20分間攪拌後、5μm径のメンブランフィルターにて濾過し、表4に組成を示す接着液C−4を調製した。
〔接着液C−5〕
1,2−HD、2−Py、PG、ポリウレタン樹脂エマルションとしてタケラックW−6020(Tg 90℃)、BYK−348、及びイオン交換水を混合し、40℃で20分間攪拌後、5μm径のメンブランフィルターにて濾過し、表4に組成を示す接着液C−5を調製した。
〔接着液C−6〕
1,2−HD、2−Py、PG、ポリウレタン樹脂エマルションとしてスーパーフレックス460(Tg ―21℃)、BYK−348、及びイオン交換水を混合し、40℃で20分間攪拌後、5μm径のメンブランフィルターにて濾過し、表4に組成を示す接着液C−6を調製した。
上記の接着液C−1から接着液C−6までの組成を表4に纏める。なお、表4中、「樹脂EM」は樹脂エマルションを意味し、数値は樹脂成分の換算量(質量部)を表している。空欄部は無添加を意味する。
Figure 0005942370
[インクジェットヘッド吐出準備]
上記の各インク及び各接着液を用いたインクジェットヘッドによる吐出実験は、PX−G5300(インクジェットプリンター、セイコーエプソン社(Seiko Epson Corporation)製)を用いて行ったが、本実験は本発明を限定するものではない。
各色インクのインクカートリッジにインクを入れ、グロスオプティマイザーのインクカートリッジに接着液を入れて準備し、各々プリンターに装着してインクジェットヘッドへの充填動作を行った。その後、インクジェットヘッドから吐出することを確認して印刷準備を行った。
〔吐出安定性の評価〕
インクジェットヘッドによるインク及び接着液の吐出安定性を評価した。温度25℃及び相対湿度40質量%RHの環境下において、インク及び接着液のインクジェットヘッドからの吐出を連続して行った。吐出条件は、応答周波数25kHz、解像度5,760dpi×1,440dpi、インク滴重量2ng、100質量%dutyとし、いわゆるベタ印刷を行った。ここで、「duty」とは、下式で算出される値である。
duty(質量%)=実印刷ドット数/(縦解像度×横解像度)×100
(式中、「実印刷ドット数」は単位面積当たりの実印刷ドット数であり、「縦解像度」及び「横解像度」はそれぞれ単位面積当たりの解像度である。)
評価基準は下記のとおりである。
A:ドット抜け又は飛行曲がりが15分経過しても発生しなかったか、あるいは、15分以内に発生したがクリーニング動作で回復した。
C:ドット抜け又は飛行曲がりが15分以内に発生し、クリーニング動作を行っても回復しなかった。
評価結果は、全てのインク(A−1〜A−5、B−1〜B−6、C−1)及び全ての接着液(C−1〜C−6)において「A」であった。したがって、調製したインク及び接着液は、いずれも吐出安定性に優れることを確認した。
[転写媒体のベース基材の作製]
〔転写媒体のベース基材Iの作製〕
ロール状の幅600mm、厚さ12μmの二軸延伸PETフィルム上に低密度重合型ポリエチレンであるワックス(商品名:ハイワックス110P、三井化学社製)を20nm厚に塗布して離型層とした。さらに、メラミン樹脂(商品名:アミラック1000、関西ペイント社製)から作製した熱硬化性のメラミン樹脂層を10nm厚に塗布後130℃で5分加熱硬化させて保護層とし、ロール状の転写媒体のベース基材Iを作製した。
〔転写媒体のベース基材IIの作製〕
ロール状の幅600mm、厚さ16μmの二軸延伸PETフィルム上にシリコーンオイルを含んだアクリル系樹脂(不揮発分45質量%、商品名:ACRYDIC A−166、DIC社製)を50nm厚に塗布し、150℃で10分間加熱乾燥させて離型層及び保護層とし、ロール状の転写媒体のベース基材IIを作製した。
〔貼合媒体のベース基材IIIの作製〕
ロール状の幅600mm、厚さ38μmの二軸延伸PETフィルム上にエアープラズマAPW−602(コロナ処理機、春日電機社製商品名)を用いて10mmの距離で3秒間放電処理を行い、フィルム表面の改質を行い、転写媒体のベース基材IIIを作製した。
[転写媒体の作製]
〔転写媒体I−1の作製〕
ロール状の転写媒体のベース基材Iを図1に示す転写媒体製造装置(ただし、図2に示すようにして温風ファン35を設け、かつ第2乾燥部50を備えていないもの。)に装着した。そして、印刷用のソフトウェアプログラムを用いて、ヘッドのピエゾ素子駆動電圧波形を変化させることにより、液滴重量を2〜10ngの範囲で適宜調整しつつ、5,760dpi×1,440dpiの解像度に設定した。
まず、着色層を形成した。第1乾燥部であるプラテン34のヒーターによってベース基材Iの裏面から50℃で加熱し、さらにベース基材Iの表面に40℃の温風を通風しつつ、転写媒体製造装置のヘッドからインクを吐出し付着させると共に、インクに含まれる液体成分のうち65質量%を蒸発させる条件で乾燥させた。こうして、ベース基材Iの表面に着色層を形成した。このようにして、転写媒体のベース基材I上に画像パターンを形成した。
上記の着色層で構成される画像パターンにおいて、ホワイト色のインクA−5は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー色のインクA−1,2,3,4の各々によって形成された画像の表面を覆うように付着させた。
次に、接着層を形成した。ヘッドから接着液C−1を吐出し着色層上に付着させた。その際、接着液C−1は、インク付着部上に2,880dpi×1,440dpiの解像度にて2ngの吐出量で付着させた。その後、第2乾燥部50へ送り、そこでベース基材Iの表面に80℃の温風を通風しつつ、インク及び接着液C−1の蒸発・乾燥を促進することで接着層を形成し、転写媒体I−1を作製した。なお、得られた転写媒体I−1について、ベース基材Iの質量とインク及び接着液C−1の付着量とから、インク及び接着液C−1に含まれる液体成分の蒸発量を測定したところ97質量%であった。
〔転写媒体I−2の作製〕
接着液C−1の代わりに接着液C−2を用い、さらにインクに含まれる液体成分のうち95質量%を蒸発させる条件で乾燥した点以外は、転写媒体I−1の作製の場合と同様にして転写媒体I−2を作製した。
〔転写媒体I−3の作製〕
接着液C−1の代わりに接着液C−3を用い、さらにインクに含まれる液体成分のうち80質量%を蒸発させる条件で乾燥した点以外は、転写媒体I−1の作製の場合と同様にして転写媒体I−3を作製した。
〔転写媒体I−4の作製〕
接着液C−1の代わりに接着液C−4を用い、さらにインクに含まれる液体成分のうち80質量%を蒸発させる条件で乾燥した点以外は、転写媒体I−1の作製の場合と同様にして転写媒体I−4を作製した。
〔転写媒体I−5の作製〕
接着液C−1の代わりに接着液C−5を用い、さらにインクに含まれる液体成分のうち80質量%を蒸発させる条件で乾燥した点以外は、転写媒体I−1の作製の場合と同様にして転写媒体I−5を作製した。
〔転写媒体I−6の作製〕
接着液C−1の代わりに接着液C−6を用い、さらにインクに含まれる液体成分のうち80質量%を蒸発させる条件で乾燥した点以外は、転写媒体I−1の作製の場合と同様にして転写媒体I−6を作製した。
〔転写媒体I−7の作製〕
インクに含まれる液体成分のうち97質量%以上を蒸発させる条件で乾燥させた以外は、転写媒体I−2の作製の場合と同様にして転写媒体I−7を作製した。
〔転写媒体II−1の作製〕
ロール状の転写媒体のベース基材IIを図7に示す転写媒体製造装置に装着した。そして、印刷用のソフトウェアプログラムを用いて、ヘッドのピエゾ素子駆動電圧波形を変化させることにより、液滴質量を2〜10ngの範囲で適宜調整しつつ、5,760dpi×1,440dpiの解像度に設定した。
まず、着色層を形成した。第1定着部140であるプラテン34のヒーター(熱伝導式加熱手段141)によってベース基材IIの裏面から50℃で加熱し、さらにベース基材IIの表面に40℃の温風を通風しつつ、転写媒体製造装置のヘッドからインクを吐出し、ベース基材IIの表面に付着させた。それとともに、そこに含まれる固形分を除いた液体成分のうち40質量%を蒸発させる条件で乾燥させた。その後、第2定着部150へ送り、そこで紫外線を照射することにより、ベース基材IIに付着したインクを硬化させて、ベース基材IIの表面に着色層を形成した。また、前記紫外線照射は、第1〜3紫外線ランプとしてFusion System社製Dランプを用いて、照射強度を100mW/cm2として、10秒間の照射を行った。
このようにして、転写媒体のベース基材II上に画像パターンを形成した。
次に、接着層を形成した。まず、第2定着部150から第1定着部140へとベース基材IIを戻し、ヘッドから接着液C−1を吐出し付着させた。その際、接着液C−1は、インク付着部上に2,880dpi×1,440dpiの解像度にて2ngの吐出量で付着させた。その後、プラテン34で静止させるとともに、温風ファン35によって、80℃の温風をベース基材上IIに通風し、接着液C−1の蒸発・乾燥を促進することで接着層を形成し、転写媒体II−1を作製した。
〔転写媒体II−2の作製〕
接着液C−1の代わりに接着液C−2を用い、さらにインクに含まれる液体成分のうち70質量%を蒸発させる条件で乾燥した点以外は、転写媒体II−1の作製の場合と同様にして転写媒体II−2を作製した。
〔転写媒体II−3の作製〕
接着液C−1の代わりに接着液C−3を用い、さらにインクに含まれる液体成分のうち55質量%を蒸発させる条件で乾燥した点以外は、転写媒体II−1の作製の場合と同様にして転写媒体II−3を作製した。
〔転写媒体II−4の作製〕
接着液C−1の代わりに接着液C−4を用い、さらにインクに含まれる液体成分のうち55質量%を蒸発させる条件で乾燥した点以外は、転写媒体II−1の作製の場合と同様にして転写媒体II−4を作製した。
〔転写媒体II−5の作製〕
接着液C−1の代わりに接着液C−5を用い、さらにインクに含まれる液体成分のうち55質量%を蒸発させる条件で乾燥した点以外は、転写媒体II−1の作製の場合と同様にして転写媒体II−5を作製した。
〔転写媒体II−6の作製〕
接着液C−1の代わりに接着液C−6を用い、さらにインクに含まれる液体成分のうち55質量%を蒸発させる条件で乾燥した点以外は、転写媒体II−1の作製の場合と同様にして転写媒体II−6を作製した。
〔転写媒体II−7の作製〕
インクに含まれる液体成分のうち80質量%以上を蒸発させる条件で乾燥させた以外は、転写媒体II−2の作製の場合と同様にして転写媒体II−7を作製した。
〔転写媒体III−1の作製〕
転写媒体として、上記転写媒体ベース基材Iを用いた。
ロール状の転写媒体のベース基材Iを図1に示す転写媒体製造装置(ただし、図2に示すようにして温風ファン35を設け、かつ第2乾燥部50を備えていないもの。)に装着した。そして、印刷用のソフトウェアプログラムを用いて、ヘッドのピエゾ素子駆動電圧波形を変化させることにより、液滴重量を2〜10ngの範囲で適宜調整しつつ、5,760dpi×1,440dpiの解像度に設定した。
まず、着色層を形成した。第1乾燥部であるプラテン34のヒーターによってベース基材Iの裏面から70℃で加熱し、さらにベース基材Iの表面に80℃の温風を通風しつつ、転写媒体製造装置のヘッドからインクを吐出し付着させると共に、インクC−1に含まれる液体成分のうち50質量%を蒸発させる条件で乾燥させた。こうして、ベース基材Iの表面に着色層を形成した。このようにして、転写媒体のベース基材I上に画像パターンを形成した。
次に、接着層を形成した。ヘッドから接着液C−1を吐出し着色層上に付着させた。その際、接着液C−1は、インク付着部上に2,880dpi×1,440dpiの解像度にて2ngの吐出量で付着させた。その後、プラテン34で静止させて第2乾燥部50へ送り、そこでベース基材Iの表面に80℃の温風を通風しつつ、インク及び接着液C−1の蒸発・乾燥を促進することで接着層を形成し、転写媒体III−1を作製した。なお、得られた転写媒体III−1について、ベース基材Iの質量とインク及び接着液C−1の付着量とから、インク及び接着液C−1に含まれる液体成分の蒸発量を測定したところ92質量%であった。
〔転写媒体III−2の作製〕
接着液C−1の代わりに接着液C−2を用い、さらにインクに含まれる液体成分のうち90質量%を蒸発させる条件で乾燥した点以外は、転写媒体I−1の作製の場合と同様にして転写媒体III−2を作製した。
〔転写媒体III−3の作製〕
接着液C−1の代わりに接着液C−3を用い、さらにインクに含まれる液体成分のうち70質量%を蒸発させる条件で乾燥した点以外は、転写媒体I−1の作製の場合と同様にして転写媒体III−3を作製した。
〔転写媒体III−4の作製〕
接着液C−1の代わりに接着液C−4を用い、さらにインクに含まれる液体成分のうち70質量%を蒸発させる条件で乾燥した点以外は、転写媒体I−1の作製の場合と同様にして転写媒体III−4を作製した。
〔転写媒体III−5の作製〕
接着液C−1の代わりに接着液C−5を用い、さらにインクに含まれる液体成分のうち70質量%を蒸発させる条件で乾燥した点以外は、転写媒体I−1の作製の場合と同様にして転写媒体III−5を作製した。
〔転写媒体III−6の作製〕
接着液C−1の代わりに接着液C−6を用い、さらにインクに含まれる液体成分のうち70質量%を蒸発させる条件で乾燥した点以外は、転写媒体I−1の作製の場合と同様にして転写媒体III−6を作製した。
〔転写媒体III−7の作製〕
インクに含まれる液体成分のうち95質量%以上を蒸発させる条件で乾燥させた以外は、転写媒体III−2の作製の場合と同様にして転写媒体III−8を作製した。
〔貼合媒体IV−1の作製〕
ロール状の貼合媒体のベース基材IIIを図7に示す転写媒体製造装置に装着した。そして、印刷用のソフトウェアプログラムを用いて、ヘッドのピエゾ素子駆動電圧波形を変化させることにより、液滴質量を2〜10ngの範囲で適宜調整しつつ、5,760dpi×1,440dpiの解像度に設定した。
まず、着色層を形成した。第1定着部140であるプラテン34のヒーター(熱伝導式加熱手段141)によってベース基材IIIの裏面から50℃で加熱し、さらにベース基材IIIの表面に40℃の温風を通風しつつ、転写媒体製造装置のヘッドからインクを吐出し、ベース基材IIIの表面に付着させた。それとともに、そこに含まれる固形分を除いた液体成分のうち55質量%を蒸発させる条件で乾燥させた。その後、第2定着部150へ送り、そこで紫外線を照射することにより、ベース基材IIIに付着したインクを硬化させて、ベース基材IIIの表面に着色層を形成した。また、前記紫外線照射は、第1〜3紫外線ランプとしてFusion System社製Dランプを用いて、照射強度を100mW/cm2として、10秒間の照射を行った。
このようにして、貼合媒体のベース基材III上に画像パターンを形成した。
次に、接着層を形成した。まず、第2定着部150から第1定着部140へとベース基材IIIを戻し、ヘッドから接着液C−3を吐出し付着させた。その際、接着液C−3は、インク付着部上に2,880dpi×1,440dpiの解像度にて2ngの吐出量で付着させた。その後、プラテン34で静止させるとともに、温風ファン35によって、80℃の温風をベース基材上IIIに通風し、接着液C−3の蒸発・乾燥を促進することで接着層を形成し、貼合媒体IV−1を作製した。
[評価項目]
〔印刷の解像度評価〕
印刷の解像度を評価した。評価基準は下記のとおりである。評価結果を下記の表5〜表8に示す。
A:5ポイントの画像(文字;MS明朝、全角ひらがな)も明瞭に判読可能であった。
C:5ポイントの画像(文字;MS明朝、全角ひらがな)が判読不能であった。
〔転写性評価1〕
100mm幅にスリット加工した転写媒体を、ホットスタンピングマシン R415F−TP(尼崎機械工業社(AMAGASAKI MACHINERY Co., Ltd)製商品名、ロールオンタイプ)の所定位置に装着し、熱圧着ローラー温度を150℃、圧力を30kg/cm2、速度を20cm/秒として、被転写媒体であるアクリル樹脂板に転写した。
評価基準は下記のとおりである。評価結果を下記の表5〜表8に示す。
AA:4ポイントの画像(文字;MS明朝、全角ひらがな)を完全に転写することができた。
A:4ポイントの画像(文字;MS明朝、全角ひらがな)の転写は不完全であったが、6ポイントの画像(文字;MS明朝、全角ひらがな)を完全に転写することができた。
C:6ポイントの画像(文字;MS明朝、全角ひらがな)の転写が不完全であった。
〔転写性評価2〕
100mm幅にスリット加工した転写媒体を、ホットスタンピングマシン R415F−TP(尼崎機械工業社(AMAGASAKI MACHINERY Co., Ltd)製商品名、ロールオンタイプ)の所定位置に装着し、熱圧着ローラー温度を180℃、圧力を30kg/cm2、速度を20cm/秒として、被転写媒体であるABS樹脂板に転写した。
評価基準は下記のとおりである。評価結果を下記の表5〜表8に示す。
AA:4ポイントの画像(文字;MS明朝、全角ひらがな)を完全に転写することができた。
A:4ポイントの画像(文字;MS明朝、全角ひらがな)の転写は不完全であったが、5ポイントの画像文字;MS明朝、全角ひらがな)を完全に転写することができた。
B:5ポイントの画像(文字;MS明朝、全角ひらがな)の転写は不完全であったが、6ポイントの画像(文字;MS明朝、全角ひらがな)を完全に転写することができた。
C:6ポイントの画像(文字;MS明朝、全角ひらがな)の転写は不完全であったが、8ポイントの画像(文字;MS明朝、全角ひらがな)を完全に転写することができた。
F:8ポイントの画像(文字;MS明朝、全角ひらがな)の転写は不完全であった。
〔接着性評価〕
上記の転写性評価1において転写されたアクリル樹脂板上の着色層に対し、JIS D0202−1988に準拠して、碁盤目テープ剥離試験を行った。セロハンテープ(登録商標)(CT24〔商品名〕、ニチバン社(Nichiban Co., Ltd.)製)を、上記の着色層上に指の腹で押し付けて密着させた後、このセロハンテープを剥がした。100マスのうち、着色層が剥離したマス目の数で表すことにより判定した。つまり、着色層が全く剥離しなかった場合を「0/100」とし、着色層が完全に剥離した場合を「100/100」とした。評価基準は下記のとおりである。評価結果を下記の表5〜表8に示す。
A:30/100未満であった。
C:30/100以上であった。
〔耐ブロッキング性評価〕
20mの長さに着色層及び接着層を形成した各転写媒体(I、II)を、巻き取り機によってφ3インチの紙管筒に巻き取った。次に、巻き取り後の各転写媒体を40℃で1週間放置して、各転写媒体の巻き出し性能を評価した。
評価は、ポリウレタン樹脂などの接着剤成分が接触面(PET裏面)に貼り付いてしまい、転写媒体を巻き出せなくなってしまうか、あるいは巻き出せても着色層又は接着層がPET裏面へ残ってしまう現象(ブロッキング)が発生したか否かにより行った。評価基準は下記のとおりである。評価結果を下記の表5〜表8に示す。
A:発生しなかった。
C:発生した。
Figure 0005942370
Figure 0005942370
Figure 0005942370
Figure 0005942370
なお、No.IV−1の転写性の評価結果がない理由は、転写フィルムと異なり基材が転写物に残る貼合フィルムとして使ったためである。
表5〜表7の結果より、接着液を、ガラス転移温度が25℃以上90℃以下であるエマルション形態のポリウレタン樹脂を含む水性液体とする、より好ましくは25℃以上80℃以下であるエマルション形態のポリウレタン樹脂を含む水性液体とすることで、着色層形成用のインク及び接着層形成用の接着液をインクジェットヘッドから吐出する際の吐出安定性に優れ、着色層のパターンを高解像度で得ることができ、かつ、転写媒体の転写性、転写後の接着性、及び耐ブロッキング性に優れることが分かった。
1a,1b…転写媒体製造装置、10…給送部、11…ロール媒体ホルダー、20…搬送部、21…第1送りローラー、28…支持板、30…画像形成部、31…キャリッジ、32…インクジェットヘッド、33…ノズル列、33a…第1ノズル列、33b…第2ノズル列、33c…第3ノズル列、33d…第4ノズル列、33e…第5ノズル列、33f…第6ノズル列、33g…第7ノズル列、33h…第8ノズル列、34…プラテン、35…温風ファン、39…ノズル形成面、40…第1乾燥部、41…熱伝導式加熱手段、42…第1ニクロム線、43…第2送りローラー、50…第2乾燥部、51…対流式加熱手段、52…乾燥炉、53…制御部、54…操作部、55…搬送モーター、56…圧電素子、63…入り口、64…出口、65…第3送りローラー、70…排出部、71…第4送りローラー、72…第5送りローラー、73…第6送りローラー、74…第7送りローラー、75…巻き取りローラー、81…着色層、88…転写媒体、89…離型層、90…乾燥装置、91…保護層、94…接着層、130…画像形成部、140…第1定着部、150…第2定着部、151…紫外線照射手段、152…紫外線照射装置、190…定着部、A…転写領域、F…基材、L…インク、X…幅方向、Y…送り方向。

Claims (4)

  1. 基材に向けて、インクジェットヘッドからインクを吐出して、前記基材上に着色層を形成する着色層形成工程と、
    前記着色層に向けて、インクジェットヘッドから接着液を吐出して、前記着色層上に接着層を形成する接着層形成工程と、
    を含み、かつ、
    前記インクは、水性顔料インク、非水性顔料インク、又は紫外線硬化型の顔料インクであり、
    前記接着液は、ガラス転移温度が25℃以上90℃以下であるエマルション形態のポリウレタン樹脂を含む水性液体であり、
    前記着色層形成工程が、下記の(1)、(2)、又は(3)を満たすように、前記基材に吐出されて付着した前記インクに含まれる液体成分を蒸発させることを含む、転写媒体の製造方法。
    (1)前記インクが水性顔料インクである場合は、前記インクに含まれる液体成分のうち65〜95質量%を蒸発させる。
    (2)前記インクが非水性顔料インクである場合は、前記インクに含まれる液体成分のうち50〜90質量%を蒸発させる。
    (3)前記インクが紫外線硬化型インクである場合は、前記インクに含まれる液体成分のうち40〜70質量%を蒸発させる。
  2. 前記水性顔料インク又は前記非水性顔料インクは、1atmにおける沸点が70℃以上250℃以下である水溶性有機溶剤を含み、
    その水溶性有機溶剤が、ラクタム、カルボン酸エステル、アルキレングリコールエーテル、及びアルコールからなる群より選ばれる1種以上を含む水性液体である、請求項1に記載の転写媒体の製造方法。
  3. 前記接着液は、1atmにおける沸点が70℃以上250℃以下である水溶性有機溶剤を含み、
    その水溶性有機溶剤が、ラクタム、カルボン酸エステル、アルキレングリコールエーテル、及びアルコールからなる群より選ばれる1種以上を含む水性液体である、請求項1又は2に記載の転写媒体の製造方法。
  4. 前記基材が、金属、プラスチック、又は紙である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の転写媒体の製造方法。
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