JP5773120B2 - 転写媒体及びその製造方法、並びに転写物 - Google Patents
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Description
[1]
基材に向けて、インクジェットヘッドからインクを吐出して、前記基材上に着色層を形成する着色層形成工程と、前記着色層に向けて、インクジェットヘッドから接着液を吐出して、前記着色層上に接着層を形成する接着層形成工程と、を含み、前記インクは、水性顔料インク、非水性顔料インク、又は紫外線硬化型の顔料インクであり、前記接着液は、平均粒径が1μm未満であるエマルション形態の熱可塑性樹脂を含む水性液体であり、前記接着層の厚さが0.5〜5μmであり、前記着色層の厚さが1〜10μmであり、かつ、前記接着層の厚さが前記着色層の厚さより小さい、転写媒体の製造方法。
[2]
前記着色層形成工程が、下記の(1)、(2)、又は(3)((1)〜(3)のいずれか)を満たすように、前記基材に吐出されて付着した前記インクに含まれる液体成分を蒸発させることを含む、[1]に記載の転写媒体の製造方法。
(1)前記インクが前記水性顔料インクである場合は、前記インクに含まれる液体成分のうち65〜95質量%を蒸発させる
(2)前記インクが前記非水性顔料インクである場合は、前記インクに含まれる液体成分のうち50〜90質量%を蒸発させる
(3)前記インクが前記紫外線硬化型インクである場合は、前記インクに含まれる液体成分のうち40〜70質量%を蒸発させる
[3]
前記インクのうち水性顔料インク又は非水性顔料インクは、1atmにおける沸点が70℃以上250℃以下である水溶性有機溶剤を含み、前記水溶性有機溶剤が、ラクタム、カルボン酸エステル、アルキレングリコールエーテル、及びアルコールからなる群より選ばれる1種以上を含む水性液体である、[1]又は[2]に記載の転写媒体の製造方法。
[4]
前記接着液は、1atmにおける沸点が70℃以上250℃以下である水溶性有機溶剤を含み、前記水溶性有機溶剤が、ラクタム、カルボン酸エステル、アルキレングリコールエーテル、及びアルコールからなる群より選ばれる1種以上を含む水性液体である、[1]〜[3]のいずれかに記載の転写媒体の製造方法。
[5]
前記基材が、金属、プラスチック、又は紙である、[1]〜[4]のいずれかに記載の転写媒体の製造方法。
[6]
[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法により得られる、転写媒体。
[7]
[6]に記載の転写媒体から被転写媒体に転写されてなる、転写物。
また、本明細書において、「画像」とは文字を含む意味であり、「転写」とは貼合を含む意味である。
本発明の一実施形態は、転写媒体の製造方法に係る。当該製造方法は、基材上にインクを吐出すること(着色層形成工程)により得られる着色層と、当該着色層上に接着液を吐出すること(接着層形成工程)により得られる接着層と、を順次積層させることにより、被転写媒体に画像を転写するための転写媒体を製造するものである。
ここで、上記インクとしては、水性顔料インク、非水性顔料インク、又は紫外線硬化型の顔料インク(水性顔料インク、非水性顔料インク、及び紫外線硬化型の顔料インクのうちいずれか)を用いることが好ましいが、転写媒体を製造する際に用いる転写媒体製造装置は、インク種により異なる。そのため、各インク種用の転写媒体製造装置を以下で説明する。
本実施形態における第1態様は、インクとして水性顔料インク又は非水性顔料インクを使用する場合に適した、転写媒体製造装置を用いた製造方法に関する。
図1は、本実施形態の第1態様に用いる転写媒体製造装置1aの全体の概略を示す側面図である。また、図2は、転写媒体製造装置1aの画像形成部30の概略を示す側面図である。
なお、インクジェットヘッド32のノズル列33については後で詳細に説明する。
なお、転写媒体製造装置1aの具体例として、特に限定されないが、例えば、PX−7550(インクジェットプリンター、セイコーエプソン社(Seiko Epson Corporation)製商品名)が挙げられる。
転写媒体製造装置1aには、該転写媒体製造装置1aの駆動を統括制御するマイクロコンピューター等からなる制御部53(図4参照)が設けられている。この制御部53は、ユーザーにより操作される操作部54からの入力に基づき、圧電素子56、搬送モーター55の駆動を制御する。
続いて、上記転写媒体製造装置1aを用いて転写媒体88を製造する場合の製造方法について、図5及び図6に基づき説明する。図5は、転写媒体の平面模式図である。図6は、転写媒体の平面模式図である図5における6−6矢視断面であって、転写媒体の各製造過程の断面図である。
上記のような水性顔料インク又は非水性顔料インク用の転写媒体製造装置1aを用いた転写媒体の製造方法は、着色層形成工程と、接着層形成工程と、を少なくとも含む。
所望により、着色層形成の前工程として、制御部53が、キャリッジ31の移動に合わせて第8ノズル列33hに対応する圧電素子56を振動させ、少なくとも転写領域Aに保護液を付着させる。これにより、図6(b)に示すように、基材F上に保護層91が形成される。
その際、第1乾燥部40における熱伝導式加熱手段41の第1ニクロム線42が後述のように発熱しているため、基材Fに付着した保護液(保護層91)が基材Fを介して加熱される。その結果、保護層91中の固形分を除いた成分、即ち液体成分がある程度蒸発して保護層91がある程度乾くものの、液体成分の一部は保護層91に残存する。
本実施形態の製造方法において必須である着色層形成工程では、インクジェットヘッド32から基材Fに向けてインクLを吐出し、基材F上の所定の部分にインクLを付着させる。これにより、図6(c)に示すように、基材F上に着色層81のパターンが形成される。本工程におけるインク吐出時の液滴質量は、例えば5〜15ngの範囲で調整すればよい。
なお、本実施形態における着色層形成工程において、上記の態様は一例にすぎず、本実施形態を何ら限定されるものではない。変形態様としては、上記の態様において送り方向Yの上流側へインクジェットヘッド32を移動させる場合に、ノズル列33の長さよりも短い距離を移動させることが挙げられる。これにより画像解像度を高密度化することが可能となる。
所望により、着色層81のインクLに含まれる液体成分の少なくとも一部を蒸発する第1乾燥工程をさらに実施する。インクLとして水性顔料インクを用いる場合、基材Fに吐出されて付着したインクL中の液体成分の蒸発量は、当該液体成分の総質量(100質量%)に対し、65〜95質量%が好ましく、70〜90質量%がより好ましい。他方、インクLとして非水性顔料インクを用いる場合、基材Fに吐出されて付着したインクL中の液体成分の蒸発量は、当該液体成分の総質量(100質量%)に対し、50〜90質量%が好ましく、55〜85質量%がより好ましい。このように、基材F上に吐出され付着したインクL中の液体成分を一定量蒸発させてから、次工程で接着液を付着させることにより、転写媒体における着色層81のパターンを高解像度で形成することができ、かつ、転写性に優れたものとすることができる。
また、上記蒸発量は、本工程と同じ条件で液体成分を蒸発させた前後でのインクの質量変化を測定することで導出することができる。したがって、予め液体成分が所望量蒸発する条件を求めた後、それと同じ条件により本工程の蒸発処理を行えばよい。
本実施形態の製造方法において必須である接着層形成工程では、基材Fに付着したインクLのうち液体成分の少なくとも一部が蒸発した状態で、インクLが付着した面上の所定の部分に、インクジェットヘッド32から接着液を吐出し付着させる。これにより、図6(d)に示すように、着色層81(及び場合により基材Fの一部)の上に接着層94のパターンが形成される。本工程における接着液吐出時の液滴質量は、例えば5〜15ngの範囲で調整すればよい。
接着層形成工程において、制御部53(図4参照)は、キャリッジ31の移動に合わせて第7ノズル列33gに対応する圧電素子56を振動させ、図6(d)に示すように、転写領域Aに接着液を吐出して付着させ、着色層81よりも層厚の薄い接着層94を形成する。
上記のような層形成時、即ち圧着前において、接着層94の厚さは着色層81の厚さよりも小さく形成することが好ましい。その理由は、転写性に優れるためである。他方、圧着時以降は、上記の関係がさらに顕著なものとなる。その理由は、着色層81は比較的硬いため圧着される程度がより小さくなる一方で、接着層94は比較的軟らかいため圧着される程度がより大きくなるからである。
着色層81と接着層94とが(明確に)層分離していない場合、上記の条件設定に基づく着色層81及び接着層94の厚さにより、各層の厚さを規定する。
所望により、第2乾燥工程をさらに実施する。第2乾燥工程は、基材F上の着色層81及び接着層94に含まれる液体成分をいわば強制的に蒸発させるものである。
なお、上記第2乾燥工程は、接着層形成工程と同時に行ってもよく、接着層形成工程後に行ってもよい。また、乾燥炉52は、構造上特に制限されず、従来公知のものを使用することができる。
すなわち、インクLが基材Fに付着して液体成分の少なくとも一部(インクLが水性顔料インクである場合には好ましくは65〜95質量%、インクLが非水性顔料インクである場合には好ましくは50〜90質量%)が蒸発した状態において、着色層81上に接着液を付着させることにより、インクLが流動性をある程度失った状態で接着液を付着させることになる。そのため、着色層81によるパターンを崩すことなく接着液を付着でき、着色層のパターンを高解像度で得ることが可能となる。また、着色層81に液体成分が一部残存した状態で接着液が付着し得る。この場合、着色層81と接着層94との間の密着力は、保護層91と離型層89との間の密着力よりも強くなり、被転写媒体に対して良好な転写が可能な転写媒体88を製造することができる。さらに、保護層91に液体成分が一部残存した状態でインクLが付着し、かつ、着色層81に液体成分が一部残存した状態で接着液が付着し得る。この場合、保護層91と着色層81との間及び着色層81と接着層94との間の密着力は、保護層91と離型層89との間の密着力よりも強くなる。したがって、被転写媒体に対して保護層91をも良好に転写できる転写媒体88を製造することができる。
また、予め保護層91が形成されたフィルムを用いてもよい。さらに、インクジェットヘッド32に離型剤を吐出する機構をさらに備え、基材Fに対して離型剤を吐出して離型層89を形成してもよい。なお、この場合、転写領域Aに対して離型剤を吐出し、着色層81の形状に合わせて離型層89を形成してもよい。
本実施形態における第2態様は、インクLとして紫外線硬化型の顔料インクを使用する場合に適した、転写媒体製造装置を用いた製造方法に関する。なお、この第2態様は、上記第1態様の変形例ということができるため、以下では第1態様と異なる部分を中心に説明する。
また、本第2態様の変形例として、第1定着部に第1加熱手段及び紫外線照射手段を設けると共に、第2定着部に第2加熱手段を設けることが挙げられる。
以下では、製造装置以外の構成として、これまで説明してきた製造方法の実施に適する基材や各種インクの詳細について説明する。
上記の基材Fとしては、特に限定されるものではなく、金属、木材、プラスチック又は紙が挙げられる。中でも、基材Fを所望の形状に加工しやすいため、金属、プラスチック、又は紙が好ましく、コストの観点を加味するとプラスチックがより好ましい。
基材Fは、着色層81が形成されるべき側及びその反対側の少なくとも一方に離型剤でコーティングされ、それらのコーティング層により形成される離型層89を備えていてもよい。基材Fが、着色層81が形成されるべき側に離型層89を備えることにより、転写媒体から被転写媒体への転写がより容易になる。かかる観点から離型層89は、基材Fの着色層81が形成されるべき側に少なくとも備えられると好ましい。また、基材Fが、着色層81が形成されるべき側の反対側に離型層89を備えることにより、転写媒体を重ねた際に、転写媒体同士が密着して互いに離れにくくなることを抑制することができる。上記離型剤としては、例えば、ポリエチレンワックス系離型剤、シリコーン系離型剤、及びフッ素系離型剤が挙げられる。また、離型層89の厚さは、10nmを下回ると十分な転写性が得られなくなる。一方、30nmを超えると離型層89の製造コストの観点から好ましくなく、又はロール状の基材Fとした場合にかさばってしまう。そのため、10〜30nmであると好ましい。
上記のインクLは、着色層81を形成するために用いられる。インクLは着色剤を含み、この着色剤は、インクの耐光性を良好にすることができるため顔料である。また、インクLは、水性顔料インク、非水性顔料インク、又は紫外線硬化型の顔料インク(水性顔料インク、非水性顔料インク、及び紫外線硬化型の顔料インクのうちいずれか)であることが好ましい。
インクLとして水性顔料インクを用いると、特にインクの吐出安定性に優れる。水性顔料インクは、少なくとも以下の成分を含むことが好ましい。
(1)顔料、
(2)顔料分散剤、エマルション形態の熱可塑性樹脂(以下、「樹脂エマルション」ともいう。)、及び水溶性の熱可塑性樹脂(以下、「水溶性樹脂」ともいう。)のうち少なくともいずれか、
(3)1atmにおける沸点が250℃以下(より好ましくは70℃以上250℃以下)である中沸点の水溶性有機溶剤、
(4)界面活性剤、
(5)水。
インクLのうち非水性顔料インクは、吐出安定性を良好なものとするため、少なくとも以下の成分を含むことが好ましい。
(6)顔料、
(7)1atmにおける沸点が250℃以下(より好ましくは70℃以上250℃以下)である中沸点の水溶性有機溶剤。
ここで、本発明の非水性顔料インクは、実質的に水を含まないことが好ましい。ここで、「実質的に水を含まない」とは、水をまったく含んでいない場合のほか、顔料の分散を阻害しない範囲内において、水分が含まれている場合も含むものとする。本実施形態における非水性顔料インクに含まれる水の含有量は、例えば0.5質量%以下であることが好ましい。
(8)熱可塑性樹脂。
上記各成分についての詳細は後述するが、上記各成分は、それぞれ1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
紫外線硬化型の顔料インクは、吐出安定性を良好なものとするため、少なくとも以下の成分を含むことが好ましい。
(9)顔料、
(10)沸点100℃以上250℃以下のモノマー、
(11)重合性のオリゴマー及びポリマーのうち少なくともいずれか、
(12)光重合開始剤。
(13)1atmにおける沸点が250℃以下(より好ましくは70℃以上250℃以下)である中沸点の水溶性有機溶剤、及び水のうち少なくともいずれか。
上記各成分についての詳細は後述するが、上記各成分は、それぞれ1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記の接着液は、接着層94を形成するために用いられ、転写の容易性、及び、転写時に被転写媒体又は着色層との接着性を良好にするため、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。この接着液としては、エマルション形態の熱可塑性樹脂を含む水性液体(水を主成分とする液体)が挙げられ、接着剤として機能する熱可塑性樹脂を表層に効率よく分布させることができるため、エマルション形態の熱可塑性樹脂を含む水性液体が好ましい。
このエマルション形態の熱可塑性樹脂(樹脂エマルション)を含む水性液体は、その優れた吐出安定性に起因して、転写媒体における着色層81及び接着層94のパターンを高解像度で形成し、かつ、転写性に優れたものとするため、構成成分として下記成分(14)〜(16)を少なくとも含むことが好ましい。
(14)樹脂エマルション(好ましくは平均粒径1μm未満)、
(15)1atmにおける沸点が250℃以下(より好ましくは70℃以上250℃以下)である中沸点の水溶性有機溶剤、
(16)水。
以下では、上記のインクL及び接着液の構成成分について、詳細に説明する。
インクに含まれる顔料としては、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。
インクには、顔料分散性を高める観点から、分散剤を含有させることが好ましい。分散剤として、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。その具体例として、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマー及びコポリマー、アクリル系ポリマー及びコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、及びエポキシ樹脂等の一種以上を主成分とするものが挙げられる。高分子分散剤の市販品として、大日精化工業社(Dainichiseika Color & Chemicals Mfg.Co.,Ltd.)製のディスコールシリーズ(N−509等)、味の素ファインテクノ社(Ajinomoto Fine-Techno Co.,Inc)製のアジスパーシリーズ、アビシア(Avecia)社製のソルスパーズシリーズ、BYKChemie社製のディスパービックシリーズ、楠本化成社製のディスパロンシリーズ等が挙げられる。また、インクの種類(水性顔料インク、非水性顔料インク)に応じて、分散剤の親水性をコントロールすることが好ましく、親水性のコントロールは親水性基(例えば、水酸基、カルボキシル基、及びスルホ基)によって行うことが好ましい。
転写の容易性、及び、転写時に被転写媒体又は接着層との接着性を高める観点から、インクは熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
この熱可塑性樹脂のうち水性顔料インクに用いるものとしては、上述のとおり、樹脂エマルション及び水溶性樹脂が挙げられる。
これらの樹脂は、水不溶性の場合であっても、上述のとおり水分散性は必要であるため、親水性部分と疎水性部分とを併せ持つ重合体、即ち樹脂エマルションであることが好ましい。熱可塑性樹脂として樹脂エマルションを使用する場合、その平均粒径はエマルションを形成する限り特に限定されないが、好ましくは1μm未満、より好ましくは150nm以下、さらに好ましくは5nm〜100nmである。
特に、接着液は、平均粒径が1μm未満である樹脂エマルションを含む水性液体であることが好ましい。
1atmにおける沸点が250℃以下(より好ましくは70℃以上250℃以下)である水溶性有機溶剤をインク(水性顔料インク又は非水性顔料インク)や接着液に含有させることにより、インクや接着液中で樹脂を安定化させることができ、インクや接着液の吐出安定性及び揮発性に優れ、かつ、画像の転写ムラを効果的に防止することができる。
上記の水溶性有機溶剤は、吐出安定性に優れるため、ラクタム、カルボン酸エステル、アルキレングリコールエーテル、及びアルコールから選ばれる1種以上を含む水性液体であることが好ましい。これらの中でも、2−ピロリドン(γ−ブチロラクタム)、乳酸エステル、アルキレングリコールエーテル、アルコールを含む水性液体であることがより好ましい。
本実施形態において、インクに用いられる界面活性剤としては、アセチレングリコール系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤からなる群から選択される一種以上の界面活性剤が挙げられる。
紫外線硬化型の顔料インクに含まれ得る重合性化合物であるモノマー及びオリゴマーは、後述する光重合開始剤の作用により紫外線などの光の照射時に重合し、固化する化合物であれば、特に制限はないが、単官能基、2官能基、及び3官能基以上の多官能基を有する種々のモノマー及びオリゴマーが使用可能である。
これらの中でも、アリルグリコールを用いることが好ましい。重合性化合物としてアリルグリコールを用いることにより、紫外線硬化型インクを低粘度化することができ、本実施形態の製造方法に用いるインクとして最適な粘度(25℃において10mPa・s以下)に調整することが可能となる。
紫外線硬化型の顔料インクに含まれ得る光重合開始剤は、紫外線などの光のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、上記重合性化合物の重合を開始させるものであれば、制限はないが、ラジカル系光重合開始剤やカチオン系光重合開始剤を使用することができ、中でもラジカル系光重合開始剤を使用することが好ましい。
なお、前述の重合性化合物として光重合性の化合物を用いることで、光重合開始剤の添加を省略することも可能であるが、光重合開始剤を用いた方が、重合の開始を容易に調整することができ、好適である。
紫外線硬化型の顔料インクに含まれ得る重合禁止剤としては、特に限定されないが、例えば、IRGASTAB UV10及びUV22(BASF社製)などを用いることができる。重合禁止剤を添加することにより、インク組成物の保存安定性が良好なものとなる。
水は、本実施形態で用いるインクが水性インクである場合の主溶媒であり、また、接着液にも含まれる。水としては、イオン性の不純物を極力低減するため、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、もしくは蒸留水等の純水、又は超純水を用いることが好ましい。また、紫外線照射や過酸化水素の添加などによって滅菌した水を用いると、顔料分散液及びこれを用いたインクを長期保存する場合に、カビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
なお、上記の主溶媒とは、インク中のあらゆる溶媒のうち最も含有量の多いものをいう。
本実施形態におけるインクや接着液は、さらに必要に応じて、防腐剤・防かび剤、pH調整剤、酸化防止剤、上述以外の有機溶剤、及び金属トラップ剤などを含有してもよい。
金属トラップ剤として、例えば、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムが挙げられる。
本発明の一実施形態は、転写媒体に係る。当該転写媒体は、上記実施形態の製造方法を実施することにより得ることができる。転写媒体は、基材上に、着色層及び接着層をこの順に積層して備えるものであり、必要に応じて、基材と着色層との間に保護層又は離型層を備え、あるいは基材と着色層との間に基材側から離型層及び保護層をこの順に積層して備える。
さらに、転写媒体が保護層91を備える場合、保護層91の厚さは、10〜30nmであると好ましい。保護層91の厚さが上記範囲内にあることにより、ロール状の基材を用いた場合にかさばらないこと又は着色層81の保護若しくは保護層91の製造コストの観点から優れる。
本発明の一実施形態は、転写物に係り、上記実施形態の転写媒体から被転写媒体に転写することにより得られる。転写物として、例えば、自動車の内装、ノートパソコンの外装、携帯電話の外装、化粧品容器、文房具等に用いるプラスチック、及び金属が挙げられる。被転写媒体(材質)として、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、及びABS樹脂等のプラスチック、並びにニッケル、鉄、SUS、及びチタン等の金属が挙げられる。
着色層形成用の水性顔料インクA(以下、単に「インクA」ともいう。)を調製した。
4質量部のジエチレングリコールモノブチルエーテル(以下、「DEGBE」ともいう。)、1質量部のBYK−348(シリコーン系界面活性剤、ビックケミー社製商品名)、及び30質量部のイオン交換水を混合し、常温で20分間攪拌して予備混合液を得た。次に、水溶性樹脂として5質量部のJONCRYL678(アクリル系の水溶性樹脂、BASF社製商品名、分子量8,500、酸化215)、及びpH調整剤として0.1質量部の水酸化カリウム(KOH)をこの予備混合液に添加し、40℃で1時間攪拌した。
この攪拌後の液に、カーボンブラックMA100(三菱化学社製商品名)を10質量部添加して混合液を得、卓上サンドミル(林商店(Hayashi Shoten)社製)中で、この混合液の1.5倍質量のジルコニアガラスビーズ(直径1.5mm)とともに、2,160rpmで2時間攪拌し分散した。分散後、0.1mm径のSUSメッシュフィルターにて濾過し、分散液を調製した。
分散液に、2−ピロリドン(以下、「2−Py」ともいう。)、プロピレングリコール(以下、「PG」ともいう。)、樹脂エマルションとしてポリゾールAM−710(アクリル樹脂エマルション、昭和電工社製商品名、平均粒径150nm、有効成分50.5%)、Proxel−XL2(防腐剤、Arch Chemicals社製商品名)、及びイオン交換水を、表1に示す分量(質量部)で添加し、40℃で20分間攪拌した。攪拌後、5μm径のメンブランフィルターにて濾過し、表1に組成を示すブラック色のインクA−1を調製した。
3質量部のDEGBE、0.5質量部のBYK−348、及び30質量部のイオン交換水を混合し、常温で20分間攪拌して予備混合液を得た。次に、水溶性樹脂として2質量部のJONCRYL680(アクリル系の水溶性樹脂、BASF社製商品名、分子量4,900、酸化215)、及び0.1質量%のKOHをこの予備混合液に添加し、40℃で1時間攪拌した。
この攪拌後の液に、シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3、DIC社製)を5質量部添加して混合液を得、その後、インクA−1の場合と同様の条件で分散、濾過して、分散液を調製した。
分散液に、1,2−ヘキサンジオール(以下、「1,2−HD」ともいう。)、2−Py、PG、樹脂エマルションとしてポリゾールAM−2300(スチレン・アクリル樹脂エマルション、昭和電工社製商品名、最低造膜温度(MFT)70℃、平均粒径90nm、有効成分40%)、Proxel−XL2、及びイオン交換水を、表1に示す分量(質量部)で添加し、その後、インクA−1の場合と同様の条件で攪拌、濾過して、表1に組成を示すシアン色のインクA−2を調製した。
3質量部のDEGBE、0.8質量部のBYK−348、30質量部のイオン交換水を混合し、常温で20分間攪拌して予備混合液を得た。次に、1質量部のJONCRYL680、及び0.1質量%のKOHをこの予備混合液に添加し、40℃で1時間攪拌した。
この攪拌後の液に、マゼンタ顔料(C.I.ピグメントレッド122、BASF社製)を4質量部添加して混合液を得、その後、インクA−1の場合と同様の条件で分散、濾過して、分散液を調製した。
分散液に、1,2−HD、2−Py、PG、AE373D(スチレン・アクリル樹脂エマルション、JSR社製商品名、平均粒径150nm、有効成分50%)、Proxel−XL2、及びイオン交換水を、表1に示す分量(質量部)で添加し、その後、インクA−1の場合と同様の条件で攪拌、濾過して、表1に組成を示すマゼンタ色のインクA−3を調製した。
3質量部のDEGBE、0.8質量部のBYK−348、30質量部のイオン交換水を混合し、常温で20分間攪拌して予備混合液を得た。次に、2質量部のJONCRYL680、及び0.1質量%のKOHをこの予備混合液に添加し、40℃で1時間攪拌した。
この攪拌後の液に、イエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー180、大日精化工業社製)を4質量部添加して混合液を得、その後、インクA−1の場合と同様の条件で分散、濾過して、分散液を調製した。
分散液に、1,2−HD、2−Py、PG、樹脂エマルションとしてポリゾールAT860(アクリル樹脂エマルション、昭和電工社製商品名、平均粒径120nm、Tg60℃、有効成分50%)、サーフィノール465(アセチレングリコール系界面活性剤、Air Products and Chemicals Inc.製商品名)、Proxel−XL2、及びイオン交換水を、表1に示す分量(質量部)で添加し、その後、インクA−1の場合と同様の条件で攪拌、濾過して、表1に組成を示すイエロー色のインクA−4を調製した。
1質量部のBYK−348、水溶性樹脂として4.7質量部のデンカポバールH−12(ポリビニルアルコール、電気化学工業社製商品名、純分94%)、及び30質量部のイオン交換水を混合し、40℃で1時間攪拌した。
この攪拌後の液に、顔料としてCR−50(ルチル型酸化チタン、石原産業社製商品名、TiO2有効成分95%、平均粒径0.25μm)を9.5質量部添加して混合液を得、その後、インクA−1の場合と同様の条件で分散、濾過して、分散液を調製した。
分散液に、タケラックW−6061(ポリウレタン樹脂エマルション、三井化学社(Mitsui Chemicals, Inc.)製商品名、固形分30%)、1,2−HD、2−Py、PG、Proxel−XL2、及びイオン交換水を、表1に示す分量(質量部)で添加し、40℃で20分間攪拌した。攪拌後、10μm径のSUSメッシュフィルターにて濾過し、表1に組成を示すホワイト色のインクA−5を調製した。
上記のインクA−1からインクA−5までの組成を表1に纏める。なお、表1中、「樹脂EM」は樹脂エマルションを意味し、空欄部は無添加を意味する。また、イオン交換水の分量は、得られたインクに含まれるイオン交換水の分量である。
着色層形成用の紫外線硬化型の顔料インクB(以下、単に「インクB」ともいう。)を調製した。
14質量部のアリルグリコール(モノマー、日本乳化剤社製、以下「AG」ともいう。)、及び1.2質量部のディスコールN−509(分散剤、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、大日精化工業社製商品名)を混合し、40℃で20分間攪拌した。
この攪拌後の液に、カーボンブラックMA7(三菱化学社製商品名)を6質量部添加して混合液を得、卓上サンドミル(林商店社製)中で、この混合液の1.5倍質量のジルコニアガラスビーズ(直径1.5mm)とともに、2,160rpmで2時間攪拌し分散した。分散後、0.1mm径のSUSメッシュフィルターにて濾過し、分散液を調製した。
分散液に、N−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」ともいう。)、U−15HA(ウレタンアクリレートオリゴマー、新中村化学工業社製商品名、重量平均分子量2,300)、Irgacure 127及び819(光重合開始剤、以上BASF社製商品名)、Irgastab UV−10(重合禁止剤、BASF社製商品名)、BYK−UV3500(界面活性剤、ビックケミー社製商品名)、及びAG(残分)を、表2に示す分量(質量部)で添加し、常温で1時間攪拌した。攪拌後、5μm径のメンブランフィルターにて濾過し、表2に組成を示すブラック色のインクB−1を調製した。なお、表2における光重合開始剤10質量部のうち、Irgacure127が7質量部であり、Irgacure819が3質量部である。
着色剤であるカーボンブラックをシアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:4、DIC社製)とし、組成を表2に記載のようにした点以外は、インクB−1調製時と同様にして分散液を作製した。なお、この分散液の作製時に、AGを14質量部添加した。
分散液に、モノマーとしてN−ビニルホルムアミド(以下、「NVF」ともいう。)、U−15HA、Irgacure 127及び819、Irgastab UV−10、BYK−UV3500、及びAG(残分)を、表2に示す分量(質量部)で添加し、常温で1時間攪拌した。攪拌後、5μm径のメンブランフィルターにて濾過し、表2に組成を示すシアン色のインクB−2を調製した。なお、表2におけるモノマー69.8質量部のうち、AGが59.8質量部であり、NVFが10質量部である。また、光重合開始剤5質量部のうち、Irgacure127が3質量部であり、Irgacure819が2質量部である。
着色剤であるカーボンブラックをマゼンタ顔料(C.I.ピグメントバイオレット19、BASF社製)とし、組成を表2に記載のようにした点以外は、インクB−1調製時と同様にして分散液を作製した。なお、この分散液の作製時に、AGを14質量部添加した。
分散液に、2−Py、U−15HA、Irgacure 127及び819、Irgastab UV−10、BYK−UV3500、AG(残分)、及びイオン交換水を、表2に示す分量(質量部)で添加し、常温で1時間攪拌した。攪拌後、5μm径のメンブランフィルターにて濾過し、表2に組成を示すマゼンタ色のインクB−3を調製した。なお、表2における光重合開始剤3質量部のうち、Irgacure127が2質量部であり、Irgacure819が1質量部である。
着色剤であるカーボンブラックをイエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー150、ウィンケミカル社製)とし、組成を表2に記載のようにした点以外は、インクB−1調製時と同様にして分散液を作製した。なお、この分散液の作製時に、AGを14質量部添加した。
分散液に、2−Py、U−15HA、Irgacure 127及び819、Irgastab UV−10、BYK−UV3500、及びAG(残分)を、表2に示す分量(質量部)で添加し、常温で1時間攪拌した。攪拌後、5μm径のメンブランフィルターにて濾過し、表2に組成を示すイエロー色のインクB−4を調製した。なお、表2における光重合開始剤5質量部のうち、Irgacure127が3質量部であり、Irgacure819が2質量部である。
着色剤であるカーボンブラックをシアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:4、DIC社製)とし、組成を表2に記載のようにした点以外は、インクB−1調製時と同様にして分散液を作製した。なお、この分散液の作製時に、AGを14質量部添加した。
分散液に、NVF、U−15HA、Irgacure 127及び819、Irgastab UV−10、BYK−UV3500、及びAG(残分)を、表2に示す分量(質量部)で添加し、常温で1時間攪拌した。攪拌後、5μm径のメンブランフィルターにて濾過し、表2に組成を示すライトシアン色のインクB−5を調製した。なお、表2におけるモノマー44.4質量部のうち、AGが34.4質量部であり、NVFが10質量部である。また、表2における光重合開始剤5質量部のうち、Irgacure127が3質量部であり、Irgacure819が2質量部である。
着色剤であるカーボンブラックをマゼンタ顔料(C.I.ピグメントバイオレット19、BASF社製)とし、組成を表2に記載のようにした点以外は、インクB−1調製時と同様にして分散液を作製した。なお、この分散液の作製時に、AGを14質量部添加した。
分散液に、2−Py、U−15HA、Irgacure 127及び819、Irgastab UV−10、BYK−UV3500、AG(残分)、及びイオン交換水を、表2に示す分量(質量部)で添加し、常温で1時間攪拌した。攪拌後、5μm径のメンブランフィルターにて濾過し、表2に組成を示すライトマゼンタ色のインクB−6を調製した。なお、表2における光重合開始剤3質量部のうち、Irgacure127が2質量部であり、Irgacure819が1質量部である。
接着層形成用の接着液を調製した。
1,2−HD、PG、ポリゾールAT860、BYK−348、及びイオン交換水を混合し、40℃で20分間攪拌後、5μm径のメンブランフィルターにて濾過し、表3に組成を示す接着液1を調製した。
1,2−HD、2−Py、PG、樹脂エマルションとしてAE−120A(アクリル樹脂エマルション、JSR社製商品名、平均粒径55nm、有効成分36.5%)、BYK−348、及びイオン交換水を混合し、40℃で20分間攪拌後、5μm径のメンブランフィルターにて濾過し、表3に組成を示す接着液2を調製した。
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(以下、「DEGmBE」ともいう。)、1,2−HD、2−Py、PG、樹脂エマルションとしてポリゾールSH−502(酢酸ビニル樹脂エマルション、昭和電工社製商品名、平均粒径950nm、Tg30℃、有効成分50.3%)、BYK−348、サーフィノール465、及びイオン交換水を混合し、40℃で20分間攪拌後、5μm径のメンブランフィルターにて濾過し、表3に組成を示す接着液3を調製した。
1,2−HD、2−Py、PG、樹脂エマルションとしてセイカダイン1900W(エチレン・酢酸ビニル樹脂エマルション、大日精化工業社製商品名、平均粒径1.1μm、有効成分50%)、BYK−348、及びイオン交換水を混合し、40℃で20分間攪拌後、5μm径のメンブランフィルターにて濾過し、表3に組成を示す接着液4を調製した。
上記の各インク及び各接着液を用いたインクジェットヘッドによる吐出実験は、PX−G5300(インクジェットプリンター、セイコーエプソン社(Seiko Epson Corporation)製)を用いて行ったが、本実験は本発明を限定するものではない。
各色インクのインクカートリッジにインクを入れ、グロスオプティマイザーのインクカートリッジに接着液を入れて準備し、各々プリンターに装着してインクジェットヘッドへの充填動作を行った。その後、インクジェットヘッドから吐出することを確認して印刷準備を行った。
インクジェットヘッドによるインク及び接着液の吐出安定性を評価した。温度25℃及び相対湿度40%RHの環境下において、インク及び接着液のインクジェットヘッドからの吐出を連続して行った。吐出条件は、応答周波数25kHz、解像度5,760dpi×1,440dpi、インク滴重量2ng、100%dutyとし、いわゆるベタ印刷を行った。ここで、「duty」とは、下式で算出される値である。
duty(%)=実印刷ドット数/(縦解像度×横解像度)×100
(式中、「実印刷ドット数」は単位面積当たりの実印刷ドット数であり、「縦解像度」及び「横解像度」はそれぞれ単位面積当たりの解像度である。)
評価基準は下記のとおりである。
A:ドット抜け又は飛行曲がりが15分経過しても発生しなかったか、あるいは、15分以内に発生したがクリーニング動作で回復した。
C:ドット抜け又は飛行曲がりが15分以内に発生し、クリーニング動作を行っても回復しなかった。
〔転写媒体のベース基材Iの作製〕
ロール状の幅600mm、厚さ12μmの二軸延伸PETフィルム上に低密度重合型ポリエチレンであるワックス(商品名:ハイワックス110P、三井化学社製)を20nm厚に塗布して離型層とした。さらに、メラミン樹脂(商品名:アミラック1000、関西ペイント社製)から作製した熱硬化性のメラミン樹脂層を10nm厚に塗布後130℃で5分加熱硬化させて保護層とし、ロール状の転写媒体のベース基材Iを作製した。
ロール状の幅600mm、厚さ16μmの二軸延伸PETフィルム上にシリコーンオイルを含んだアクリル系樹脂(不揮発分45質量%、商品名:ACRYDIC A−166、DIC社製)を50nm厚に塗布し、150℃で10分間加熱乾燥させて離型層及び保護層とし、ロール状の転写媒体のベース基材IIを作製した。
ロール状の幅600mm、厚さ38μmの二軸延伸PETフィルム上にエアープラズマAPW−602(コロナ処理機、春日電機社製商品名)を用いて10mmの距離で3秒間放電処理を行い、フィルム表面の改質を行い、転写媒体のベース基材IIIを作製した。
〔転写媒体I−1の作製〕
ロール状の転写媒体のベース基材Iを図1に示す転写媒体製造装置(ただし、図2に示すようにして温風ファン35を設け、かつ第2乾燥部50を備えていないもの。)に装着した。そして、印刷用のソフトウェアプログラムを用いて、ヘッドのピエゾ素子駆動電圧波形を変化させることにより、液滴重量を2〜10ngの範囲で適宜調整しつつ、5,760dpi×1,440dpiの解像度に設定した。
接着液1の代わりに接着液2を用い、かつ、接着液の付着量を接着層の厚さが0.5〜1μmとなるように調整し、さらにインクに含まれる液体成分のうち95%を蒸発させる条件で乾燥した点以外は、転写媒体I−1の作製の場合と同様にして転写媒体I−2を作製した。
接着液1の代わりに接着液3を用い、かつ、接着液の付着量を接着層の厚さが1〜1.5μmとなるように調整し、さらにインクに含まれる液体成分のうち80%を蒸発させる条件で乾燥した点以外は、転写媒体I−1の作製の場合と同様にして転写媒体I−3を作製した。
接着液の付着量を接着層の厚さが5〜6μmとなるように調整し、さらにインクに含まれる液体成分のうち80%を蒸発させる条件で乾燥した点以外は、転写媒体I−1の作製の場合と同様にして転写媒体I−4を作製した。
接着液1の代わりに接着液4を用い、さらにインクに含まれる液体成分のうち80%を蒸発させる条件で乾燥した点以外は、転写媒体I−1の作製の場合と同様にして転写媒体I−5を作製した。
ロール状の転写媒体のベース基材IIを図7に示す転写媒体製造装置に装着した。そして、印刷用のソフトウェアプログラムを用いて、ヘッドのピエゾ素子駆動電圧波形を変化させることにより、液滴重量を2〜10ngの範囲で適宜調整しつつ、5,760dpi×1,440dpiの解像度に設定した。
接着液1の代わりに接着液2を用い、かつ、接着液の付着量を接着層の厚さが0.5〜1μmとなるように調整し、さらにインクに含まれる液体成分のうち70%を蒸発させる条件で乾燥した点以外は、転写媒体II−1の作製の場合と同様にして転写媒体II−2を作製した。
接着液1の代わりに接着液3を用い、かつ、接着液の付着量を接着層の厚さが1〜1.5μmとなるように調整し、さらにインクに含まれる液体成分のうち55%を蒸発させる条件で乾燥した点以外は、転写媒体II−1の作製の場合と同様にして転写媒体II−3を作製した。
接着液の付着量を接着層の厚さが6〜7μmとなるように調整し、さらにインクに含まれる液体成分のうち55%を蒸発させる条件で乾燥した点以外は、転写媒体II−1の作製の場合と同様にして転写媒体II−4を作製した。
接着液1の代わりに接着液4を用い、さらにインクに含まれる液体成分のうち55%を蒸発させる条件で乾燥した点以外は、転写媒体II−1の作製の場合と同様にして転写媒体II−5を作製した。
ロール状の転写媒体のベース基材IIIを図7に示す転写媒体製造装置に装着した。そして、印刷用のソフトウェアプログラムを用いて、ヘッドのピエゾ素子駆動電圧波形を変化させることにより、液滴質量を2〜10ngの範囲で適宜調整しつつ、5,760dpi×1,440dpiの解像度に設定した。
〔印刷の解像度評価〕
印刷の解像度を評価した。評価基準は下記のとおりである。評価結果を下記の表4〜表6に示す。
A:5ポイントの画像(文字;MS明朝、全角ひらがな)も明瞭に判読可能であった。
C:5ポイントの画像(文字;MS明朝、全角ひらがな)が判読不能であった。
100mm幅にスリット加工した転写媒体を、ホットスタンピングマシン R415F−TP(尼崎機械工業社(AMAGASAKI MACHINERY Co., Ltd)製商品名、ロールオンタイプ)の所定位置に装着し、熱圧着ローラー温度を150℃、圧力を30kg/cm2、速度を20cm/秒として、被転写媒体であるアクリル樹脂板に転写した。
評価基準は下記のとおりである。評価結果を下記の表4〜表6に示す。
AA:4ポイントの画像(文字;MS明朝、全角ひらがな)を完全に転写することができた。
A:4ポイントの画像(文字;MS明朝、全角ひらがな)の転写は不完全であったが、6ポイントの画像(文字;MS明朝、全角ひらがな)を完全に転写することができた。
C:6ポイントの画像(文字;MS明朝、全角ひらがな)の転写が不完全であった。
上記の転写性評価において転写されたアクリル樹脂板上の着色層に対し、JIS D0202−1988に準拠して、碁盤目テープ剥離試験を行った。セロハンテープ(登録商標)(CT24〔商品名〕、ニチバン社(Nichiban Co., Ltd.)製)を、上記の着色層上に指の腹で押し付けて密着させた後、このセロハンテープを剥がした。100マスのうち、着色層が剥離しなかったマス目の数で表すことにより判定した。つまり、着色層が全く剥離しなかった場合を「100/100」とし、着色層が完全に剥離した場合を「0/100」とした。評価基準は下記のとおりである。評価結果を下記の表4〜表6に示す。
A:30/100未満であった。
C:30/100以上であった。
Claims (7)
- 基材に向けて、インクジェットヘッドからインクを吐出して、前記基材上に着色層を形成する着色層形成工程と、
前記着色層に向けて、インクジェットヘッドから接着液を吐出して、前記着色層上に接着層を形成する接着層形成工程と、
を含み、
前記インクは、水性顔料インク、非水性顔料インク、又は紫外線硬化型の顔料インクであり、
前記接着液は、平均粒径が1μm未満であるエマルション形態の熱可塑性樹脂を含む水性液体であり、前記接着層の厚さが0.5〜5μmであり、前記着色層の厚さが1〜10μmであり、かつ、
前記接着層の厚さが前記着色層の厚さより小さい、転写媒体の製造方法。 - 前記着色層形成工程が、下記の(1)、(2)、又は(3)を満たすように、前記基材に吐出されて付着した前記インクに含まれる液体成分を蒸発させることを含む、請求項1に記載の転写媒体の製造方法。
(1)前記インクが前記水性顔料インクである場合は、前記インクに含まれる液体成分のうち65〜95質量%を蒸発させる
(2)前記インクが前記非水性顔料インクである場合は、前記インクに含まれる液体成分のうち50〜90質量%を蒸発させる
(3)前記インクが前記紫外線硬化型インクである場合は、前記インクに含まれる液体成分のうち40〜70質量%を蒸発させる - 前記インクのうち水性顔料インク又は非水性顔料インクは、1atmにおける沸点が70℃以上250℃以下である水溶性有機溶剤を含み、
前記水溶性有機溶剤が、ラクタム、カルボン酸エステル、アルキレングリコールエーテル、及びアルコールからなる群より選ばれる1種以上を含む水性液体である、請求項1又は2に記載の転写媒体の製造方法。 - 前記接着液は、1atmにおける沸点が70℃以上250℃以下である水溶性有機溶剤を含み、
前記水溶性有機溶剤が、ラクタム、カルボン酸エステル、アルキレングリコールエーテル、及びアルコールからなる群より選ばれる1種以上を含む水性液体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の転写媒体の製造方法。 - 前記基材が、金属、プラスチック、又は紙である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の転写媒体の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法により得られる、転写媒体。
- 請求項6に記載の転写媒体から被転写媒体に転写されてなる、転写物。
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