JP2009226853A - 画像形成装置、及び画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】記録媒体上にインクを打滴しても、色材移動による画像乱れを防止することができる画像形成装置、及び画像形成方法を提供する。
【解決手段】 画像形成装置100は、記録媒体114を搬送する給紙部102と、記録媒体114上にワックスを塗布するワックス塗布部104と、処理液乾燥ユニット138を備えた記録媒体114に凝集処理剤を塗布する処理液付与部106と、SP値が30以下の水溶性高沸点有機溶媒を10wt%〜90wt%含有するインクを記録媒体114上に向けて打滴するインクヘッド140と、溶媒乾燥ユニット142a,142bと、加熱定着部160を備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】 画像形成装置100は、記録媒体114を搬送する給紙部102と、記録媒体114上にワックスを塗布するワックス塗布部104と、処理液乾燥ユニット138を備えた記録媒体114に凝集処理剤を塗布する処理液付与部106と、SP値が30以下の水溶性高沸点有機溶媒を10wt%〜90wt%含有するインクを記録媒体114上に向けて打滴するインクヘッド140と、溶媒乾燥ユニット142a,142bと、加熱定着部160を備えている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、画像形成装置、及び画像形成方法に係り、特に、凝集処理剤とインクとを用いて記録媒体上に画像を形成する画像形成装置、及び画像形成方法に関する。
インクジェット方式の画像形成装置は、多数のノズルが形成されたインクジェットヘッドの各ノズルからそれぞれインクを記録媒体上に吐出することにより、記録媒体上に画像を形成する画像形成装置である。インクジェット方式は、騒音性にすぐれ、ランニングコストが安く、多種多様な記録媒体に対して高品位な画像を記録できることなどから幅広く利用されている。
しかしながら、特にインク受容性を持たせている浸透性の記録媒体上にインクを打滴する際、連続してドットを隣接して重ねて打滴すると記録媒体上のインク液滴同士がその表面張力によって合一して所望のドットが形成できなくなるブリード(着弾干渉)の問題がある。同一色のドット同士の場合は、ドット形状が崩れてしまい、異なる色間のドット同士の場合は、さらに混色の問題も加えて発生する。
上記ブリードを抑えるためには、特許文献1では、凝集処理剤(液体組成物)とインクのうち、一方を酸性、他方をアルカリ性にし、紙面上における顔料凝集性を制御し、結果的に光学濃度・滲み・ブリード(時間滲み)・乾燥時間を改善する技術が開示されている。
また、特許文献2では、中間転写媒体上で、インクとの反応により、膨潤・増粘・剥離可能な粉末層(水溶性樹脂層)を付与することにより、にじみがなく、高速記録が可能である記録方法が開示されている。
特開2004−10633号公報
特開平11−188858号公報
しかしながら、特許文献1に記載されている方法では、プラスチックシートのような非浸透性媒体又はコート紙のような緩浸透性媒体に対して、凝集処理剤を付与した後にインクを打滴すると、着弾し、凝集した色材が所望の位置に留まらず、移動してしまう。結果として、出力画像が所望の画像と比べて大きく乱れてしまう、という新たな問題が発生した。
また、特許文献2の方法では、以下の課題があった。(1)インク中の色材を積極的に凝集させていないので、インク液滴を10kHz以上の高速に打滴すると、膨潤・増粘が間に合わず、前述の着弾干渉が発生する。(2)転写された画像形成層はインク溶媒を膨潤・吸収しているので画像部の厚さが厚くなる、いわゆる、パイルハイトの問題がある。画像厚みが厚くなると、印字部と非印字部の境界部の見え方が変わってしまう、という画質的な問題だけでなく、その部分を触った際に段差を感じてしまう、といった問題も発生する。(3)転写された画像形成層にはインク溶媒が吸収されているため、このインク溶媒が転写後紙面にしみ出し、紙の変形(いわゆるコックリング)が発生する。(4)中間転写体を用いるのでシステムが複雑となる。上記(2)、(3)はいずれもインク溶媒を含有したまま、最終記録媒体(紙)に画像を形成したために発生する問題である。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、記録媒体上にインクを打滴しても、色材移動による画像乱れを防止することができる画像形成装置、及び画像形成方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、支持体を搬送する手段と、前記支持体上にワックスを付与する手段と、前記ワックスが付与された前記支持体に凝集処理剤を付与する手段と、前記支持体上の前記凝集処理剤を乾燥する手段と、乾燥後の前記凝集処理剤に画像信号に応じて、SP値が30以下の水溶性高沸点有機溶媒を10wt%〜90wt%含有するインクを前記支持体上に向けて打滴する手段と、前記支持体上の溶媒の一部を除去し、水を付与量換算で4g/m2以下に除去する手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、ワックスを付与した支持体に高沸点溶媒を含む凝集処理剤を液状で付与して乾燥させて固体状にさせた後、SP値が30以下の水溶性高沸点有機溶媒を10wt%〜90wt%含むインクを打滴して凝集反応させることで、色材移動による画像乱れを防止することができる。
ここで、ワックスとは、室温でワックス状であり、35℃より高い温度で液体状になる物質を意味し、この要件を満たす限りすべ他の物質が含まれる。
ここで、乾燥とは、液体状の凝集処理剤を固体状または半固溶状の凝集処理剤とすることを意味し、凝集処理剤の含水率が0〜70%の範囲のものを言う。
ここで、SP値とは溶剤の溶解度パラメーター(Solubility Parameter)を意味する。本発明において、SP値30以下と表現し、下限値が規定されていない。一般に、SP値が小さくなると水溶性ではなくなる。本発明において、高沸点有機溶剤を水溶性と規定することで実質的にSP値の下限が規定されている。したがって、SP値30以下の水溶性高沸点有機溶剤と表現した。
本発明の画像形成装置は、前記発明において、さらに、前記インクを前記支持体に定着する手段を備えていることが好ましい。付与量換算で4g/m2以下となるよう水が除去されたインクを支持体に定着する手段を備えているので、さらに色材移動による画像乱れを防止することができる。
本発明の画像形成装置は、前記発明において、前記定着手段は熱圧による定着手段であることが好ましい。
本発明の画像形成装置は、前記発明において、前記ワックスがポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールエステル及びポリオキシアルキレンエーテル、及びそれらの混合物から選択するのが好ましい。これらの物質を本発明おけるワックスとして好適に使用することができる。
本発明の画像形成装置は、前記発明において、前記インクがSP値30以下の水溶性高沸点有機溶媒を10wt%〜30wt%の範囲で含有させることが好ましい。水溶性高沸点有機溶媒の含有量を10wt%〜30wt%とすることで、着弾干渉、画像変形、小ドットの白抜け再現性が特に良好なものとなる。
本発明の画像形成装置は、前記発明において、前記支持体がコート紙であることが好ましい。
前記目的を達成するために、本発明の画像形成方法は、支持体上にワックスを付与する工程と、前記ワックスが付与された前記支持体に凝集処理剤を付与する工程と、前記支持体上の前記凝集処理剤を乾燥する工程と、乾燥後の前記凝集処理剤に画像信号に応じて、SP値が30以下の水溶性高沸点有機溶媒を10wt%〜90wt%含有するインクを前記支持体上に向けて打滴する工程と、前記支持体上の溶媒の一部を除去し、水を付与量換算で4g/m2以下に除去する工程と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、記録媒体上に画像を形成する画像形成装置、及び画像形成方法において、記録媒体上にインクを打滴しても、色材移動による画像乱れを防止することができる画像形成装置、及び画像形成方法を提供することができる。
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について説明する。本発明は以下の好ましい実施の形態により説明されるが、本発明の範囲を逸脱すること無く、多くの手法により変更を行なうことができ、本実施の形態以外の他の実施の形態を利用することができる。従って、本発明の範囲内における全ての変更が特許請求の範囲に含まれる。
また、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を含む範囲を意味する。
以下、まず、本発明で用いられる凝集処理剤(以下、単に「処理液」ともいう)、インク、及びワックスについて説明し、次いで、本発明に係る画像形成方法及び画像形成装置について説明する。
〔処理液(凝集処理剤)の説明〕
本発明に係る処理液として、インクのpHを変化させることにより、インクに含有される顔料およびポリマー微粒子を凝集させ、凝集物を生じさせるような処理液が好ましい。
本発明に係る処理液として、インクのpHを変化させることにより、インクに含有される顔料およびポリマー微粒子を凝集させ、凝集物を生じさせるような処理液が好ましい。
処理液の成分として、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、スルホン酸、オルトリン酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ビリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩等の中から選ばれることが好ましい。
また、本発明に係る処理液の好ましい例として、多価金属塩あるいはポリアリルアミンを添加した処理液を挙げることができる。これらの化合物は、1種類で使用されてもよく、2種類以上併用されてもよい。
本発明に係る処理液はインクとのpH凝集性能の観点からpHは1〜6であることが好ましく、pHは2〜5であることがより好ましく、pHは3〜5であることが特に好ましい。
本発明に係る処理液の中における、インクの顔料およびポリマー微粒子を凝集させる成分の添加量としては、液体の全重量に対し、0.01重量%以上20重量%以下であることが好ましい。0.01重量%以下の場合は処理液とインクが接触時に、濃度拡散が十分に進まずpH変化による凝集作用が十分に発生しないことがある。また20重量%以上であると、インクジェットヘッドからの吐出性が悪化することがある。
本発明に係る処理液は、SP値が30以下の水溶性高沸点有機溶媒を10%以上90%以下含有する。SP値が30以下の水溶性高沸点有機溶媒としては、
例えば、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル(22.4)
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(21.5)
トリエチレングリコールモノブチルエーテル(21.1)
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(21.3)
ジプロピレングリコール(27.2)
例えば、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル(22.4)
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(21.5)
トリエチレングリコールモノブチルエーテル(21.1)
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(21.3)
ジプロピレングリコール(27.2)
nC4H9O(AO)4−H (AO=EO or POで比率は1:1) (20.1)EO=エチレンオキシ
nC4H9O(AO)10−H (同上) (18.8)
HO(A‘O)40−H (A’O=EO or POで比率はEO:PO=1:3) (18.7)
HO(A‘O)55−H (A”O=EO or POで比率はEO:PO=5:6) (18.8)
HO(PO)3H (24.7)
HO(PO)7H (21.2)
1,2ヘキサンジオール (27.4)
なお、カッコ内の数値はSP値を示している。
また、SP値が低い溶剤のうち、下記の構造が含まれていることが好ましい。
nC4H9O(AO)10−H (同上) (18.8)
HO(A‘O)40−H (A’O=EO or POで比率はEO:PO=1:3) (18.7)
HO(A‘O)55−H (A”O=EO or POで比率はEO:PO=5:6) (18.8)
HO(PO)3H (24.7)
HO(PO)7H (21.2)
1,2ヘキサンジオール (27.4)
なお、カッコ内の数値はSP値を示している。
また、SP値が低い溶剤のうち、下記の構造が含まれていることが好ましい。
等が挙げられる。尚、本発明でいう水溶性高沸点有機溶媒のSP値(溶解度パラメーター)とは、分子凝集エネルギーの平方根で表される値で、R.F.Fedors,Polymer Engineering Science,14,p147(1974)に記載の方法で計算することができる。単位は(MPa)1/2であり、25℃における値を指す。
これらの水溶性高沸点有機溶媒は、水、その他有機溶媒と共に単独若しくは複数を混合して用いることができる。
処理液には、定着性および耐擦性を向上させるため、樹脂成分をさらに含有してもよい。樹脂成分は、処理液をインクジェット方式によって打滴する場合ヘッドからの吐出性を損なわないもの、保存安定性があるものであればよく、水溶性樹脂や樹脂エマルジョンなどを自由に用いることができる。
樹脂成分としては、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系、ビニル系、スチレン系等が考えられる。定着性向上といった機能を充分に発現させるには、比較的高分子のポリマーを高濃度1重量%〜20重量%に添加することが必要である。しかし、上記材料を液体に溶解させて添加しようとすると高粘度化し、吐出性が低下する。適切な材料を高濃度に添加し、かつ粘度上昇を抑えるには、ラテックスとして添加する手段が有効である。ラテックス材料としては、アクリル酸アルキル共重合体、カルボキシ変性SBR(スチレン−ブタジエンラテックス)、SIR(スチレン−イソプレン)ラテックス、MBR(メタクリル酸メチル−ブタジエンラテックス)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンラテックス)、等が考えられる。ラテックスのガラス転移点Tgはプロセス上、定着時に影響の強い値で、常温保存時の安定性と加熱後の転写性を両立するために、50℃以上120℃以下であることが好ましい。さらに最低造膜温度MFTはプロセス上、定着時に影響の強い値で、低温で充分な定着を得る為に100℃以下、さらに好ましくは50℃以下である。
インクと逆極性のポリマー微粒子を処理液に含ませ、インク中の顔料及びポリマー微粒子と凝集させることによってさらに凝集性を高めてもよい。
また、インクに含まれるポリマー微粒子成分に対応した硬化剤を処理液に含有し、二液が接触後、インク成分中の樹脂エマルジョンが凝集するとともに架橋又は重合するようにして、凝集性を高めてもよい。
本発明に用いられる処理液は、界面活性剤を含有することができる。
界面活性剤の例としては、炭化水素系では脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。
更に、特開昭59−157636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。また、特開2003−322926号、特開2004−325707号、特開2004−309806号の各公報に記載されているようなフッ素(フッ化アルキル系)系、シリコーン系の界面活性剤も用いることができる。これら表面張力調整剤は消泡剤としても使用することができ、フッ素系、シリコーン系化合物やEDTAに代表されるキレート剤等も使用することができる。
表面張力を下げて画像形成体(中間転写媒体)上でのぬれ性を高めるのに効果がある。また、インクを先立って打滴する場合においてもインク上でのぬれ性を高め、二液の接触面積の増加により効果的に凝集作用がすすむ。
本発明に係る処理液の表面張力は、10〜50mN/mであることが好ましく、また、中間転写媒体上でのぬれ性と液滴の微液滴化および吐出性の両立の観点から、15〜45mN/mであることが更に好ましい。
本発明に用いられる処理液の粘度は、1.0〜20.0cPであることが好ましい。
その他必要に応じ、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線、吸収剤、等も添加することができる。
〔インクの説明〕
本発明で用いられるインクは、溶媒不溶性材料として、色材(着色剤)である顔料やポリマー微粒子などを含有する水性顔料インクが用いられる。
本発明で用いられるインクは、溶媒不溶性材料として、色材(着色剤)である顔料やポリマー微粒子などを含有する水性顔料インクが用いられる。
溶媒不溶性材料の濃度は、吐出に適切な粘度20mPa・s以下を考慮して1wt%以上20wt%以下であることが好ましい。より好ましくは画像の光学濃度を得るために4wt%以上の顔料濃度である。
インクの表面張力は、吐出安定性を考慮して20mN/m以上40mN/mであることが好ましい。
インクに使用される色材は、顔料あるいは染料と顔料とを混合して用いることができる。処理液との接触時における凝集性の観点から、インク中で分散状態にある顔料の方がより効果的に凝集するため好ましい。顔料の中でも、分散剤により分散されている顔料、自己分散顔料、樹脂により顔料表面を被覆された顔料(マイクロカプセル顔料)、及び高分子グラフト顔料が特に好ましい。また、顔料凝集性の観点から、解離度の小さいカルボキシル基によって修飾されている形態がより好ましい。
マイクロカプセル顔料の樹脂は、限定されるものではないが、水に対して自己分散能又は溶解能を有し、かつアニオン性基(酸性)を有する高分子の化合物であるのが好ましい。この樹脂は、通常、数平均分子量が1,000〜100,000範囲程度のものが好ましく、3、000〜50、000範囲程度のものが特に好ましい。また、この樹脂は有機溶剤に溶解して溶液となるものが好ましい。樹脂の数平均分子量がこの範囲であることにより、顔料における被覆膜として、又はインク組成物における塗膜としての機能を十分に発揮することができる。
前記樹脂は、自己分散能あるいは溶解するものであっても、又はその機能が何らかの手段によって付加されたものであってもよい。例えば、有機アミンやアルカリ金属を用いて中和することにより、カルボキシル基、スルホン酸基、またはホスホン酸基等のアニオン性基を導入されてなる樹脂であってもよい。また、同種または異種の一又は二以上のアニオン性基が導入された樹脂であってもよい。本発明にあっては、塩基をもって中和されて、カルボキシル基が導入された樹脂が好ましくは用いられる。
本発明に用いる顔料としては、特に限定はされないが、具体例としては、オレンジまたはイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185等が挙げられる。 レッドまたはマゼンタ用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
グリーンまたはシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
また、ブラック用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。
本発明に係る着色インク液には、処理液と反応する成分として、着色剤を含まないポリマー微粒子を添加することが好ましい。ポリマー微粒子は、処理液との反応によりインクの増粘作用、凝集作用を強め、画像品位の向上させることができる。特に、アニオン性のポリマー微粒子をインクに含有せしめることにより、安全性の高いインクが得られる。
処理液と反応して、増粘・凝集作用を起こすポリマー微粒子をインクに用いることにより、画像の品位を高めることができると同時に、ポリマー微粒子の種類によっては、ポリマー微粒子が記録媒体で皮膜を形成し、画像の耐擦性、耐水性をも向上させる効果を有する。
ポリマーインクでの分散方法はエマルジョンに限定するものではなく、溶解していても、コロイダルディスパージョン状態で存在していてもよい。
ポリマー微粒子は、乳化剤を用いてポリマー微粒子を分散させたものであっても、また、乳化剤を用いないで分散させたものであってもよい。乳化剤としては、通常、低分子量の界面活性剤が用いられているが、高分子量の界面活性剤を乳化剤として用いることもできる。外殻がアクリル酸、メタクリル酸などにより構成されたカプセル型のポリマー微粒子(粒子の中心部と外縁部で組成を異にしたコア・シェルタイプのポリマー微粒子)を用いることも好ましい。
分散手法として、低分子量の界面活性剤を用いていないポリマー微粒子は、高分子量の界面活性剤を用いたポリマー微粒子、乳化剤を使用しないポリマー微粒子を含めてソープフリーラテックスと呼ばれている。例えば上記に記述した、スルホン酸基、カルボン酸基等の水に可溶な基を有するポリマー(可溶化基がグラフト結合しているポリマー、可溶化基を持つ単量体と不溶性の部分を持つ単量体とから得られるブロックポリマー)を乳化剤として用いたポリマー微粒子もこれに含まれる。
本発明では、特にこのソープフリーラテックスを用いることが好ましく、ソープフリーラテックスは従来の乳化剤を用いて重合したポリマー微粒子にくらべ、乳化剤がポリマー微粒子の反応凝集や造膜を阻害したり、遊離した乳化剤がポリマー微粒子の造膜後に表面に移動し、顔料とポリマー微粒子の混合した凝集体と記録媒体との接着性を低下させる懸念がない。
インクにポリマー微粒子として添加する樹脂成分としては、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂などが挙げられる。
ポリマー微粒子への高速凝集性付与の観点から、解離度の小さいカルボン酸基を有するものがより好ましい。カルボン酸基はpH変化によって影響を受けやすいので、分散状態が変化しやすく、凝集性が高い。
ポリマー微粒子のpH変化に対する分散状態の変化は、アクリル酸エステルなどのカルボン酸基を有する、ポリマー微粒子中の構成成分の含有割合によって調整することができ、分散剤として用いるアニオン性の界面活性剤によっても調整可能である。
ポリマー微粒子の樹脂成分は、親水性部分と疎水性部分とを併せ持つ重合体であるのが好ましい。疎水性部分を有することで、ポリマー微粒子の内側に疎水部分が配向し、外側に親水部分が効率よく外側に配向され、液体のpH変化に対する分散状態の変化がより大きくなる効果があり、凝集がより効率よく行われる。
本発明に用いられる酸ポリマーはカルボン酸系の酸ポリマーが好ましく用いられる。
カルボン酸のpKaは概ね3〜4であるため、pH5であれば酸ポリマーはほとんど解離した状態であるので、電化反発により、分散安定性を有し、凝集を起こさない。これ以下であると、非解離状態となり、電化反発が失われ、凝集を起こす。
市販のポリマー微粒子の例としては、ジョンクリル537、7640(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、ジョンソンポリマー株式会社製)、マイクロジェルE−1002、E−5002(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001(アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、ボンコート5454(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、SAE−1014(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ゼオン株式会社製)、ジュリマーET−410、FC−30(アクリル系樹脂エマルジョン、日本純薬株式会社製)、アロンHD−5、A−104(アクリル系樹脂エマルジョン、東亞合成株式会社製)、サイビノールSK−200(アクリル系樹脂エマルジョン、サイデン化学株式会社製)、ザイクセンL(アクリル系樹脂エマルジョン、住友精化株式会社製)などが挙げられるが、これに限定するものではない。
顔料に対するポリマー微粒子添加量の重量比率は2:1から1:10が好ましい、より好ましくは1:1から1:3である。顔料に対するポリマー微粒子添加量の重量比率は2:1より少ないと、樹脂の融着による凝集体の凝集力が効果的に向上しない。また、添加量が1:10より多くてもインクの粘度が高くなりすぎ、吐出性などが悪化する。
インクに添加するポリマー微粒子の分子量は融着したときの付着力を鑑みて、5,000以上が好ましい。5,000未満だと、凝集したときのインク凝集体の内部凝集力向上や記録媒体に画像の定着性に効果が不足し、また画質改善効果が不足する。
ポリマー微粒子の体積平均粒子径は、10nm〜1μmの範囲が好ましく、10〜500nmの範囲がより好ましく、20〜200nmの範囲が更に好ましく、50〜200nmの範囲が特に好ましい。10nm以下では、凝集しても画質の改善効果、転写性の向上に効果があまり期待できない。1μm以上では、インクのヘッドからの吐出性や保存安定性が悪化するおそれがある。また、ポリマー粒子の体積平均粒子径分布に関しては、特に制限は無く、広い体積平均粒子径分布を持つもの、又は単分散の体積平均粒子径分布を持つもの、いずれでもよい。
また、ポリマー微粒子を、インク内に2種以上混合して含有させて使用してもよい。
本発明に用いられるインクに添加するpH調整剤としては中和剤として、有機塩基、無機アルカリ塩基を用いることができる。pH調整剤はインクジェット用インクの保存安定性を向上させる目的で、該インクジェット用インクがpH6〜10となるように添加するのが好ましい。
本発明に用いられるインクは、乾燥によってインクジェットヘッドのノズルが詰まるのを防止する目的から、SP値が30以下の水溶性高沸点有機溶媒を10wt%〜90wt%含有する。さらに、上述の水溶性高沸点有機溶媒を10%〜30%の範囲で含有させることで、着弾干渉、画像変形、小ドットの白抜け再現性が特に好ましく、更には形成した画像の光堅牢性も良好となる。
このような水溶性高沸点有機溶媒には、湿潤剤及び浸透剤が含まれる。SP値が30以下の水溶性高沸点有機溶媒としては、処理液の場合と同様に、
例えば、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル(22.4)
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(21.5)
トリエチレングリコールモノブチルエーテル(21.1)
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(21.3)
ジプロピレングリコール(27.2)
このような水溶性高沸点有機溶媒には、湿潤剤及び浸透剤が含まれる。SP値が30以下の水溶性高沸点有機溶媒としては、処理液の場合と同様に、
例えば、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル(22.4)
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(21.5)
トリエチレングリコールモノブチルエーテル(21.1)
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(21.3)
ジプロピレングリコール(27.2)
nC4H9O(AO)4−H (AO=EO or POで比率は1:1) (20.1)EO=エチレンオキシ
nC4H9O(AO)10−H (同上) (18.8)
HO(A‘O)40−H (A’O=EO or POで比率はEO:PO=1:3) (18.7)
HO(A‘O)55−H (A”O=EO or POで比率はEO:PO=5:6) (18.8)
HO(PO)3H (24.7)
HO(PO)7H (21.2)
1,2ヘキサンジオール (27.4)
なお、カッコ内の数値はSP値を示している。
また、SP値が低い溶剤のうち、下記の構造が含まれていることが好ましい。
nC4H9O(AO)10−H (同上) (18.8)
HO(A‘O)40−H (A’O=EO or POで比率はEO:PO=1:3) (18.7)
HO(A‘O)55−H (A”O=EO or POで比率はEO:PO=5:6) (18.8)
HO(PO)3H (24.7)
HO(PO)7H (21.2)
1,2ヘキサンジオール (27.4)
なお、カッコ内の数値はSP値を示している。
また、SP値が低い溶剤のうち、下記の構造が含まれていることが好ましい。
等が挙げられる。
本発明に用いられるインクには、界面活性剤を含有することができる。界面活性剤の例としては、炭化水素系では脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。
更に、特開昭59−157636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。また、特開2003−322926号、特開2004−325707号、特開2004−309806号の各公報に記載されているようなフッ素(フッ化アルキル系)系、シリコーン系の界面活性剤も用いることができる。これら表面張力調整剤は消泡剤としても使用することができ、フッ素系、シリコーン系化合物やEDTAに代表されるキレート剤等も使用することができる。
表面張力を下げて固体状又は半固溶状の凝集処理層上でのぬれ性を高め、拡がり率を増加させることができる。
本発明に用いられるインクの表面張力は、中間転写方式によって記録を行う際の中間転写媒体上でのぬれ性と液滴の微液滴化および吐出性の両立の観点からは、15〜45mN/mであることが更に好ましい。
本発明に用いられるインクの粘度は、1.0〜20.0cPであることが好ましい。
その他必要に応じ、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、等も添加することができる。
〔ワックスの説明〕
本発明に用いられる室温でワックス状であり、30℃以上で液体状になる物質はこの要件を満たせば如何なる物質であっても、本発明においてワックスと称する。具体的にはポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールエステル、ポリオキシアルキレンエーテル等が挙げられる。本発明の要件を満たすポリアルキレングリコールの具体例としては、ポリエチレングリコール1000、ポリエチレングリコール1540、ポリエチレングリコール2000などが挙げられ、本発明の要件を満たすポリアルキレングリコールエステルの具体例はポリエチレングリコールモノステアレート(4E.O.)、ポリエチレングリコールモノステアレート(10E.O.)、ポリエチレングリコールモノステアレート(25E.O.)などが挙げられ、本発明の要件を満たすポリオキシアルキレンエーテルの具体例としてはポリオキシエチレン(20)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(5)ドコシエルエーテル、ポリオキシエチレン(10)ドコシエルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ドコシエルエーテル、ポリオキシエチレン(30)ドコシエルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(4)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル。
本発明に用いられる室温でワックス状であり、30℃以上で液体状になる物質はこの要件を満たせば如何なる物質であっても、本発明においてワックスと称する。具体的にはポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールエステル、ポリオキシアルキレンエーテル等が挙げられる。本発明の要件を満たすポリアルキレングリコールの具体例としては、ポリエチレングリコール1000、ポリエチレングリコール1540、ポリエチレングリコール2000などが挙げられ、本発明の要件を満たすポリアルキレングリコールエステルの具体例はポリエチレングリコールモノステアレート(4E.O.)、ポリエチレングリコールモノステアレート(10E.O.)、ポリエチレングリコールモノステアレート(25E.O.)などが挙げられ、本発明の要件を満たすポリオキシアルキレンエーテルの具体例としてはポリオキシエチレン(20)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(5)ドコシエルエーテル、ポリオキシエチレン(10)ドコシエルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ドコシエルエーテル、ポリオキシエチレン(30)ドコシエルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(4)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル。
本発明に用いられるワックスの基材に対する付与量は0.001g/m2〜10g/m2が好ましく、0.01g/m2〜5g/m2以下が更に好ましく、0.1g/m2〜1g/m2が更に好ましい。この範囲以下であるとインク中、もしくは処理液中の水分の浸透を遮蔽する効果が十分でなくなり、また、この範囲以上であると液化させても、高沸点溶媒を浸透させることができなくなる。
本発明に用いられる室温でワックス状であり、30℃以上で液体状になる物質はワックス状態のまま基材に塗設されることが好ましい。塗設方法としては如何なる塗設方法を用いることができる。具体的にはローラーコートなどの方法によることが好ましい。
〔画像形成方法及び装置〕
次に、本発明に係る画像形成装置及び方法について説明する。
次に、本発明に係る画像形成装置及び方法について説明する。
図1は、本発明に係るインクジェット用インクセットが適用された画像形成装置の一例を示した概略構成図である。
図1に示す画像形成装置100は、記録媒体114の片面のみに印刷可能な片面機である。この画像形成装置100は、記録媒体114を供給する給紙部102と、記録媒体114に対してワックスの塗設を行うワックス塗設部104と、記録媒体114に処理液を付与する処理液付与部106と、記録媒体114に色インクを付与して画像形成を行う印字部(画像形成部)108と、記録媒体114に形成された画像を記録媒体114に定着させる加熱定着部160と、画像が形成された記録媒体114を搬送して排出する排紙部112とから主に構成される。
給紙部102には、記録媒体114、例えばユーライト(マットコート紙)を積載する給紙台120が設けられている。給紙台120の前方(図1において左側)にはフィーダボード122が接続されており、給紙台120に積載された記録媒体114は1番上から順に1枚ずつフィーダボード122に送り出される。フィーダボード122に送り出された記録媒体114は、渡し胴124aを介して、ワックス塗設部104の圧胴126aの表面(周面)に給紙される。
ワックス塗設部104には、圧胴126aの回転方向(図1において反時計回り方向)に関して上流側から順に、圧胴126aの表面に対向する位置に、用紙予熱ユニット128、ワックス塗布ヘッド130、及びワックス乾燥ユニット132がそれぞれ設けられている。
用紙予熱ユニット128及びワックス乾燥ユニット132には、それぞれ所定の範囲で温度制御可能なヒータが設けられる。圧胴126aに保持された記録媒体114が、用紙予熱ユニット128やワックス乾燥ユニット132に対向する位置を通過する際、これらユニットのヒータによって加熱される。
ワックス塗布ヘッド130は、圧胴126aに保持される記録媒体114に対してワックスを打滴するものであり、後述する印字部108の各インクヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bと同一構成が適用される。この場合、ワックスは一旦溶融され、ワックス塗布ヘッド130へ供給される。これにより、ワックス塗布ヘッド130によるワックスの記録媒体114への塗設が可能となる。ワックスは例えば、0.5μmの厚みで付与される。
本例では、記録媒体114の表面に対してワックス塗布を行う手段として、インクジェットヘッドを適用したが、ワックス塗布を行う手段については特に本例に限定されるものではない。例えば、スプレー方式、ロールコータ等の塗布方式などの各種方式を適用することも可能である。本発明に用いられるワックスは、ワックス状態のまま記録媒体に塗設されることが好ましい。塗設方法としては如何なる塗設方法を用いることができるが具体的にはローラーコータなどの方法によることが好ましい。本例で、ワックスとして上述の物質を好適に使用することができる。
ワックス塗設部104に続いて処理液付与部106が設けられている。ワックス塗設部104の圧胴126aと処理液付与部106の圧胴126bとの間には、これらに対接するようにして渡し胴124bが設けられている。これにより、ワックス塗設部104の圧胴126aに保持された記録媒体114は、ワックスの塗設が行われた後に、渡し胴124bを介して処理液付与部106の圧胴126bに受け渡される。
処理液付与部106には、圧胴126bの回転方向(図1において反時計回り方向)に関して上流側から順に、圧胴126bの表面に対向する位置に、用紙予熱ユニット134、処理液ヘッド136、及び処理液乾燥ユニット138がそれぞれ設けられている。
処理液付与部106の各部(用紙予熱ユニット134、処理液ヘッド136、及び処理液乾燥ユニット138)については、上述したワックス塗設部104の用紙予熱ユニット128、ワックス塗布ヘッド130、及びワックス乾燥ユニット132とそれぞれ同様の構成が適用される。
ワックスが塗設された記録媒体114は、処理液付与部106に搬送される。処理液ヘッド136により、直径540mmのドラム上に巻きつけられた記録媒体に対して凝集処理剤が、全面に、例えば、5μmの厚みで供給される。凝集処理剤を画像と同様にインクジェットヘッドを用いて塗設すると言う態様もある。この場合は乾燥時間の短縮や加熱エネルギーの削減が可能となる。
また、凝集処理剤をインクジェットヘッドではなく、ローラどの塗設装置によって塗設する態様もある。インクジェットヘッドを用いた場合よりも薄層で塗設することができ、この場合も乾燥時間の短縮や加熱エネルギーの削減が可能となる。
本例で用いられる処理液は、後段の印字部108に配置される各インクヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bから記録媒体114に向かって吐出されるインクに含有される色材を凝集させる作用を有する酸性液である。
処理液乾燥ユニット138のヒータの加熱温度は、圧胴126bの回転方向上流側に配置される処理液ヘッド136の吐出動作によって記録媒体114の表面に付与された処理液を乾燥させて、記録媒体114上に固体状又は半固溶状の凝集処理剤層(処理液が乾燥した薄膜層)が形成されるような温度に設定される。
例えば、処理液ヘッド136を通過した記録媒体114はその下流側で、処理液乾燥ユニット138で70℃の熱風にて1秒乾燥され、次いで60℃の渡し同124cで乾燥される。それにより記録媒体114には固体状または半固溶状の凝集処理剤層が形成される。
「固体状または半固溶状の凝集処理剤層」とは、含水率が0〜70%の範囲のものを言う。本明細書において、「固体状又は半固溶状の凝集処理剤(凝集処理層)」とは、凝集処理剤(凝集処理層)の含水率が0〜70%の範囲であるものを指す。なお、「含水率」は、凝集処理剤の単位面積あたりの重量X1[g/m2]に対する凝集処理剤中に含まれる水の単位面積あたりの重量X2[g/m2]の比(即ち、X2/X1)と定義する。
「固体状または半固溶状の凝集処理剤層」とは、含水率が0〜70%の範囲のものを言う。本明細書において、「固体状又は半固溶状の凝集処理剤(凝集処理層)」とは、凝集処理剤(凝集処理層)の含水率が0〜70%の範囲であるものを指す。なお、「含水率」は、凝集処理剤の単位面積あたりの重量X1[g/m2]に対する凝集処理剤中に含まれる水の単位面積あたりの重量X2[g/m2]の比(即ち、X2/X1)と定義する。
含水率の測定方法としては、100mm×100mmの大きさの用紙を切り出し、処理液付与後の総重量(用紙+乾燥前処理液)と乾燥後の総重量(用紙+乾燥後の処理液)を測定し、重量の減少分を測定することで、残水分量を計算した。また、乾燥前の水分量は処理液の調整処方からの計算値を用いた。
インク打滴に先立って凝集処理剤を付与する場合、インクが凝集処理剤の液体層に着弾するとインク凝集時にインク(色材)が処理液中に浮遊(移動)してしまい、高画質化を追求する場合、画質が悪化することが判明した。凝集処理剤に対するインクの色材浮遊(移動)を防止するためには、処理液を付与後のインク打滴前に、処理液を乾燥蒸発させて処理液を固体状または半固溶状にすることが有効であることが判った。これを処理液中の含水率で評価した結果、下記の表のように処理液の含水率を70%以下まで固体または半固溶状に蒸発乾燥させるとインクの色材浮遊によるドット移動が目立たなくなり、さらには50%以下になると目視によるドット移動の確認が出来ない良好なレベルとなり、画像劣化の防止が可能である実験結果が得られた。
本例の如く、記録媒体114上に処理液が付与される前に、用紙予熱ユニット134のヒータによって記録媒体114を予備加熱する態様が好ましい。この場合、処理液の乾燥に要する加熱エネルギーを低く抑えることが可能となり、省エネルギー化を図ることができる。
処理液付与部106に続いて印字部108が設けられている。処理液付与部106の圧胴126bと印字部108の圧胴126cとの間には、これらに対接するようにして渡し胴124cが設けられている。これにより、処理液付与部106の圧胴126bに保持された記録媒体114は、処理液が付与されて固体状又は半固溶状の凝集処理剤層が形成された後に、渡し胴124cを介して印字部108の圧胴126cに受け渡される。
印字部108には、圧胴126cの回転方向(図1において反時計回り方向)に関して上流側から順に、圧胴126cの表面に対向する位置に、CMYKRGBの7色のインクにそれぞれ対応したインクヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bと、溶媒乾燥ユニット142a、142bがそれぞれ設けられている。
各インクヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bは、上述したワックス塗布ヘッド130や処理液ヘッド136と同様に、インクジェット方式の記録ヘッド(インクジェットヘッド)が適用される。即ち、各インクヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bは、画像信号に応じて、それぞれ対応する色インクの液滴を圧胴126cに保持された記録媒体114に向かって吐出する。最大菊半サイズの記録用紙までの印字が可能であり、記録用紙幅720mmに対応した直径810mmのドラムを有する。インク打滴時のドラム回転周速度は530mm/secである。インク吐出体積は2plで、記録密度は主走査・副走査方向共に1200dpiで記録される。
各インクヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bは、それぞれ圧胴126cに保持される記録媒体114における画像形成領域の最大幅に対応する長さを有し、そのインク吐出面には画像形成領域の全幅にわたってインク吐出用のノズル(不図示)が複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている。各インクヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bが圧胴126cの回転方向(記録媒体114の搬送方向)と直交する方向に延在するように固定設置される。
記録媒体114の画像形成領域の全幅をカバーするノズル列を有するフルラインヘッドがインク色毎に設けられる構成によれば、記録媒体114の搬送方向(副走査方向)について、記録媒体114と各インクヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bを相対的に移動させる動作を1回行うだけで(即ち1回の副走査で)、記録媒体114の画像形成領域に1次画像を記録することができる。これにより、記録媒体114の搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に往復動作するシリアル(シャトル)型ヘッドが適用される場合に比べて高速印字が可能であり、プリント生産性を向上させることができる。
また、本例では、CMYKRGBの7色の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
溶媒乾燥ユニット142a、142bは、上述した用紙予熱ユニット128、134やワックス乾燥ユニット132、処理液乾燥ユニット138と同様に、所定の範囲で温度制御可能なヒータを含んで構成される。後述するように、記録媒体114上に形成された固体状又は半固溶状の凝集処理剤層上にインク液滴が打滴されると、記録媒体114上にはインク凝集体(色材凝集体)が形成されるとともに、色材と分離されたインク溶媒が広がり、凝集処理剤が溶解した液体層が形成される。このようにして記録媒体114上に残った溶媒成分(液体成分)は、記録媒体114のカールだけでなく、画像劣化を招く要因となる。そこで、本例では、各インクヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bからそれぞれ対応する色インクが記録媒体114上に打滴された後、溶媒乾燥ユニット142a、142bのヒータによって加熱を行い、溶媒成分を蒸発させ、乾燥を行っている。
ここで、本発明では、インクの溶媒に含まれる水を、付与量換算で4g/m2以下となるよう除去する。尚、溶媒除去の方法として、記録媒体114上から溶媒を減ずる方法であれば如何なる方法であっても良いが、本例の乾燥や溶媒吸収部材を用いる方法が好ましい。乾燥には熱を使用する方法、風を使用する方法、又はそれらを併用する方法が好ましく用いられる。熱の付与の方法は、搬送部材を過熱し、裏面から過熱する方法、又はIRヒータなど放射熱を用いて非接触加熱する方法等があり、それらを併用するのも好ましい態様である。溶媒吸収部材を使用する方法としては多孔質体を用いる方法が好ましく用いられる。多孔質体の孔径としては1μmから100μmの孔径が好ましく、5μmから80μmのものが更に好ましく用いられる。多孔質体の材質としては、高分子多孔質体、セラミック多孔質体、金属多孔質体などが挙げられ、高分子多孔質体はソフトなものを選定することができ、基材面との密着を挙げられる点で好ましい。形状としては連続で処理するという観点からローラ状のものが好ましい。
印字部108に続いて加熱定着部160が設けられている。印字部108の圧胴126cと続いて加熱定着部160の圧胴126dとの間には、これらに対接するように渡し胴124dが設けられている。これにより、印字部108の圧胴126cに保持された記録媒体114は、各色インクが付与された後に、渡し胴124dを介して加熱定着部160の圧胴126dに受け渡される。
加熱定着部160には、圧胴126dの回転方向(図1において反時計回り方向)に関して上流側から順に、圧胴126dの表面に対向する位置に、印字部108による印字結果を読み取る印字検出部144、ヒータを内蔵した加熱ローラ162が設けられている。加熱ローラ162は記録媒体114に形成された画像に直接接触するよう配置されている。
加熱定着部160において、ヒータ(不図示)を内蔵した加熱ローラ162と圧胴126dとにより定着機構が構成されている。圧胴はヒータ(不図示)を内蔵しており、加熱ロールと加圧ロールとして機能する。
例えば、画像が形成された記録媒体114を60℃の圧胴126dと110℃の加熱ローラ162で1Mpaのニップ圧で挟み込むことで、画像が記録媒体114に加熱定着される。下塗り液またはインク中にポリマー樹脂(微粒子)を含有させた場合、加熱温度はそのポリマー樹脂の溶解温度に応じて設定されることが好ましい。加熱ローラ162は、複数設けても良い。
加熱定着部160に続いて排紙部112が設けられている。排紙部112には、加熱定着された記録媒体114を受ける排紙胴150と、該記録媒体114を積載する排紙台152と、排紙胴150に設けられたスプロケットと排紙台152の上方に設けられたスプロケットとの間に掛け渡され、複数の排紙用グリッパを備えた排紙用チェーン154とが設けられている。
尚、本例ではユーライト(マットコート紙)の例で説明したが、それ以外の各種媒体への適用が可能である、
図1において、ワックス塗設部104では、ワックス塗布ヘッド130によりワックスを記録媒体114に塗設する例を説明した。ワックス塗布ヘッド130に換えて、図2に示すようなロールコータ172を使用することができる。図2中、図1と共通又は類似する部材には同一の番号を付して説明を省略する場合がある。
図1において、ワックス塗設部104では、ワックス塗布ヘッド130によりワックスを記録媒体114に塗設する例を説明した。ワックス塗布ヘッド130に換えて、図2に示すようなロールコータ172を使用することができる。図2中、図1と共通又は類似する部材には同一の番号を付して説明を省略する場合がある。
図2に示す画像形成装置は、記録媒体114の片面のみに印刷可能な片面機である。この画像形成装置100は、記録媒体114を供給する給紙部102と、記録媒体114に対して浸透抑制処理を行うワックス塗設部104と、記録媒体114に処理液を付与する処理液付与部106と、記録媒体114に色インクを付与して画像形成を行う印字部(画像形成部)108と、記録媒体114に形成された画像を記録媒体114に定着させる加熱定着部160と、画像が形成された記録媒体114を搬送して排出する排紙部112とから主に構成される。
フィーダボード122に送り出された記録媒体114は、渡し胴124aを介して、ワックス塗設部104の圧胴126aの表面(周面)に給紙される。
ワックス塗設部104には、圧胴126aの回転方向(図1において反時計回り方向)に関して上流側から順に、圧胴126aの表面に対向する位置に、用紙予熱ユニット128、ロールコータ172、及びワックス乾燥ユニット132がそれぞれ設けられている。ロールコータ172の上方には、ワックスを入れておくためのワックス溜め170が配置されている。ワックス溜め170は、ワックスを溶融するための、図示しない加熱装置を備えている。
用紙予熱ユニット128及びワックス乾燥ユニット132には、それぞれ所定の範囲で温度制御可能なヒータが設けられる。圧胴126aに保持された記録媒体114が、用紙予熱ユニット128やワックス乾燥ユニット132に対向する位置を通過する際、これらユニットのヒータによって加熱される。
ワックス溜め170に充填されたワックスが、不図示の加熱装置により、ワックス溜め170内で溶融状態となる。ワックス溜め170よりロールコータ172の周面にワックスが供給される。このときロールコータ172は、ワックスの溶融温度以下に設定されている。それにより、ロールコータ172の周面のワックスは冷却され高粘度化(ワックス状)となる。その状態で、ロールコータ172を回転させることで、ワックスが記録媒体114に塗設される。ワックスは例えば、0.5μmの厚みで付与される。さらに、ロールコータ172の下流側にブレード等を設けることができる。ブレード等により記録媒体114に塗設されたワックスを掻き取ることで、一定厚さのワックス塗設が可能となる。
図3は、本例の画像形成装置100により画像が形成される様子を示した模式図である。以下、図2、及び図3を参照しながら、本発明の原理について説明する。
記録媒体114がワックス塗設部104に搬送される。ワックス塗設部104では、ワックス溜め170のワックスがロールコータ172により記録媒体114上に塗設され、厚さ0.5μmのワックス層200が形成される。このとき、ワックス溜め170内のワックスは加熱されて溶融状態(液体状態)となっている。溶融状態の温調手段を兼ねるロールコータ172によって冷却されて高粘度状態(ワックス状態)で記録媒体114上に塗設される(図3(a))。
次に、処理液付与部106で、記録媒体114上に形成されたワックス層200の表面に均一な膜厚(例えば5μm)で凝集処理剤が塗布される。続いて、処理液乾燥ユニット138によって凝集処理液の乾燥が行われる。ワックス層200上に固体状又は半固溶状の凝集処理剤層202が形成される(図3(b))。
次に、印字部108において、固体状または半固溶状の凝集処理剤層202が形成された記録媒体114にインク液滴204が打滴される(図3(c))。
インク液滴204の打滴が行われる前にワックス層200上に固体状または半固溶状の凝集処理剤層202を形成しておくことにより、凝集処理剤層202上にインク液滴204が着弾すると瞬時に凝集反応が開始され、ワックス層200上で所定の大きさに広がったインク凝集体(色材凝集体)206からなるドットが形成される(図3(d))。
次に、溶媒乾燥ユニット142によって、記録媒体114上の液体溶媒(インク及び凝集処理液の溶媒成分)が乾燥され、画像が形成される。このとき、大部分の水が蒸発し、液体溶媒の残水量が4g/m2以下となる(図3(e))。
最後に、乾燥工程経て、記録媒体114は加熱定着部160に搬送される。記録媒体114上の画像が、加熱ローラ162で1Mpaのニップ圧で挟み込まれ、記録媒体114に加熱定着される(図3f)。
このとき、ワックス層200や残存するインク中の水溶性高沸点有機溶媒が記録媒体114中に浸透する。SP値30以下の水溶性高沸点有機溶媒を使用しているので、記録媒体114が大きくカールするのを防止することができる。
〔印刷基材の説明〕
コート紙に好適に使用可能な印刷基材としては、例えば、LBKP、NBKP等の化学パルプ;GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ;DIP等の古紙パルプなどの木材パルプと、顔料とを主成分とし、バインダー、さらにサイズ剤、定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤等の各種添加剤を1種以上混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種装置を使用して製造される原紙、さらに澱粉、ポリビニルアルコール等を用いてなるサイズプレスやアンカーコート層を設けた原紙、あるいはこれらのサイズプレスやアンカーコート層の上にコート層を設けてなるアート紙、コート紙、キャストコート紙等の塗工紙などが挙げられる。
コート紙に好適に使用可能な印刷基材としては、例えば、LBKP、NBKP等の化学パルプ;GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ;DIP等の古紙パルプなどの木材パルプと、顔料とを主成分とし、バインダー、さらにサイズ剤、定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤等の各種添加剤を1種以上混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種装置を使用して製造される原紙、さらに澱粉、ポリビニルアルコール等を用いてなるサイズプレスやアンカーコート層を設けた原紙、あるいはこれらのサイズプレスやアンカーコート層の上にコート層を設けてなるアート紙、コート紙、キャストコート紙等の塗工紙などが挙げられる。
本発明の方法においては、これらの原紙あるいは塗工紙をそのまま使用してもよいし、例えばマシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等の装置を使用してカレンダー処理を行ない、平坦化をコントロールした状態で使用してもよい。
支持体の坪量は、通常、40〜300g/m 2 程度であるが、特に制限されるものではない。本発明で用いられるコート紙は、上記のような支持体上に、コート層を塗設する。コート層は顔料およびバインダーを主成分とする塗被組成物から構成されるものであり、支持体上に少なくとも1層塗設される。
前記顔料としては、白色顔料を好適に使用することができる。このような白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、水酸化マグネシウム等の無機顔料;スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料が挙げられる。
前記バインダーとしては、例えば、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉等の澱粉誘導体;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、ポリビニルアルコールまたはその誘導体;各種鹸化度のポリビニルアルコール又はそのシラノール変性物、カルボキシル化物、カチオン化物等の各種誘導体;ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス;アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス;エチレン酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス;或はこれら各種重合体のカルボキシ基等の官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス;メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化性合成樹脂等の水性接着剤;ポリメチルメタクリレート等のアクリル;酸エステル;メタクリル酸エステルの重合体又は共重合体樹脂;ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等の合成樹脂系接着剤等を挙げることができる。
コート層の顔料とバインダーとの配合割合は、顔料100重量部に対し、バインダーが3〜70重量部、好ましくは5〜50重量部である。顔料100重量部に対するバインダーの配合割合が3重量部未満であると、そのような塗被組成物からなるインク受理層の塗膜強度が不足することがある。一方、この配合割合が70重量部を超えると、高沸点溶媒のきゅうしゅうが極端に遅くなる。
更に、コート層には、例えば、染料定着剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、螢光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤などの各種添加剤を適宜配合することができる。
インク受理層の塗工量は、要求される光沢、インク吸収性、支持体の種類等により異なるので一概には言えないが、通常は1g/m 2 以上である。また、インク受理層はある一定の塗工量を2度に分けて塗設してもよい。このように2度に分けて塗設すると、同塗工量を1度に塗設する場合に比較して光沢が向上する。
コート層の塗設は、例えば、各種ブレードコータ、ロールコータ、エアーナイフコータ、バーコータ、ロッドブレードコータ、カーテンコータ、ショートドウェルコータ、サイズプレス等の各種装置をオンマシン或いはオフマシンで使用して行なうことができる。また、コート層の塗設後に、たとえばマシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置を使用してインク受理層の平坦化仕上げを行なってもよい。
尚、コート層の層数は、必要に応じて適宜に決定することができる。コート紙としてはアート紙、上質コート紙、中質コート紙、上質軽量コート紙、中質軽量コート紙、微塗工印刷用紙があり、コート層の塗設量はアート紙で両面40g/m2前後、上質コート紙、中質コート紙で両面20g/m2前後、上質軽量コート紙、中質軽量コート紙では両面15g/m2前後であり、微塗工印刷用紙は両面12g/m2以下である。アート紙の例としては特菱アートなどが挙げられ、上質コート紙としてはユーライト、アート紙としては特菱アート(三菱製紙社製)、サテン金藤(王子製紙社製)、等が挙げられ、コート紙としてはOKトップコート(王子製紙社性)、オーロラコート(日本製紙社製)、リサイクルコートT−6(日本製紙社製)が挙げられ、軽量コートとしてはユーライト(日本製紙社製)、ニューVマット(三菱製紙社製)、ニューエイジ(王子製紙社製)、リサイクルマットT−6(日本製紙社製)、ピズム(日本製紙社製)が挙げられる。微塗工印刷用紙としてはオーロラL(日本製紙社製)、キンマリHi−L(北越製紙社製)などが挙げられる。更に、キャストコート紙としてはSA金藤プラス(王子製紙社製)、ハイマッキンレーアート(五條製紙社製)等が挙げられる。
以上説明したように、本発明によれば、ワックスを付与した支持体に高沸点溶媒を含む凝集処理剤を液状で付与して乾燥させて固体状にさせた後、SP値が30以下の水溶性高沸点有機溶媒を10wt%〜90wt%含むインクを打滴して凝集反応させることで、色材移動による画像乱れを防止することができる。
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)システムの全体構成と各処理工程
図1に示した画像形成装置で、記録媒体にワックスを塗設し、処理液を付与し、乾燥し、インクを打滴し、溶媒を除去することによって本画像を形成した。
図1に示した画像形成装置で、記録媒体にワックスを塗設し、処理液を付与し、乾燥し、インクを打滴し、溶媒を除去することによって本画像を形成した。
装置に挿入された基材は処理液ヘッドにより凝集処理剤が全面に5μmの厚みで供給される。凝集処理剤を画像様に塗設すると言う態様もある。この場合は乾燥時間の短縮や加熱エネルギーの削減が可能となる。
また、凝集処理剤をインクジェットヘッドではなく、ローラなどの塗設装置によって塗設する態様もある。インクジェットヘッドを用いた場合よりも薄層で塗設することができ、この場合も乾燥時間の短縮や加熱エネルギーの削減が可能となる。
凝集処理剤塗布部を通過した基材はその下流側で、加熱部(60℃の渡し胴、70℃の熱風にて1秒乾燥)で乾燥させて、基材上には固体状または半固溶状の凝集処理剤層が形成される。 次に、画像信号に応じてCMYインクがヘッドから吐出して打滴される。インク吐出体積は2plで、記録密度は主走査・副走査方向共に1200dpiで記録される。次に加熱部(25℃の渡し胴、70℃の熱風にて2秒乾燥、次に50℃の圧胴、70℃の熱風にて1秒乾燥、次に60℃の圧胴、70℃の熱風にて2秒乾燥)で乾燥させる。
次に、画像形成された基材を圧胴60℃、ローラ110℃の温度で1Mpaのニップ圧で加熱定着する。下塗り液またはインク中にポリマー樹脂(微粒子)を含有させておいて、加熱温度は、そのポリマー樹脂の溶解温度に応じて設定することが好ましい。
尚、本実施例ではユーライト(マットコート紙)の例で説明したが、それ以外の各種媒体への適用が可能である。
<着弾干渉等 評価実験>
図1に示した画像形成装置を用いて、表2にシステム条件で画像形成を行い、その評価を行なった。システム条件Aは、本発明の必須要件であるワックス塗設、処理液塗設、処理液乾燥の全てを備えている。システム条件Bは、ワックス塗設、処理液塗設を行なっているが、処理液乾燥を行っていない。システム条件Cは、ワックス塗設のみ行い、処理液塗設及び処理液乾燥を行っていない。システム条件Dは、処理液塗設及び処理液乾燥を行い、ワックス塗設を行っていない。システム条件Eは、処理液塗設及び処理液乾燥を行い、ワックス塗設を行っていない。システム条件Eは、処理液塗設及び処理液乾燥を行い、ワックス塗設を行っていない。
図1に示した画像形成装置を用いて、表2にシステム条件で画像形成を行い、その評価を行なった。システム条件Aは、本発明の必須要件であるワックス塗設、処理液塗設、処理液乾燥の全てを備えている。システム条件Bは、ワックス塗設、処理液塗設を行なっているが、処理液乾燥を行っていない。システム条件Cは、ワックス塗設のみ行い、処理液塗設及び処理液乾燥を行っていない。システム条件Dは、処理液塗設及び処理液乾燥を行い、ワックス塗設を行っていない。システム条件Eは、処理液塗設及び処理液乾燥を行い、ワックス塗設を行っていない。システム条件Eは、処理液塗設及び処理液乾燥を行い、ワックス塗設を行っていない。
≪凝集処理剤の調整≫
以下の組成で材料を混合し、調整を行った。
・クエン酸(和光純薬製) :16.7%
・ジエチレングリコールモノメチルエーテル(和光純薬製) :20.0%
・Zonyl FSN−100(デュポン社製) : 1.0%
・イオン交換水 :62.3%
上記反応液の物性値を測定したところ、粘度4.9mPa・s、表面張力24.3mN/m、pH1.5であった。
以下の組成で材料を混合し、調整を行った。
・クエン酸(和光純薬製) :16.7%
・ジエチレングリコールモノメチルエーテル(和光純薬製) :20.0%
・Zonyl FSN−100(デュポン社製) : 1.0%
・イオン交換水 :62.3%
上記反応液の物性値を測定したところ、粘度4.9mPa・s、表面張力24.3mN/m、pH1.5であった。
≪インクの調整≫
(ポリマー分散剤P−1の調製)
攪拌機、冷却管を備えた1000mlの三口フラスコにメチルエチルケトン88gを加え窒素雰囲気下で72℃に加熱し、ここにメチルエチルケトン50gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.85g、ベンジルメタクリレート60g、メタクリル酸10g、メチルメタクリレート30gを溶解した溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応した後メチルエチルケトン2gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.42gを溶解した溶液を加え、78℃に昇温し4時間加熱した。得られた反応溶液は大過剰量のヘキサンに2回再沈殿し、析出した樹脂を乾燥してポリマー分散剤P−1を96g得た。得られた樹脂の組成は1H−NMRで確認し、GPCより求めた重量平均分子量(Mw)は44600であった。さらに、JIS規格(JISK0070:1992)記載の方法により、このポリマーの酸価を求めたところ、65.2mgKOH/gであった。
(ポリマー分散剤P−1の調製)
攪拌機、冷却管を備えた1000mlの三口フラスコにメチルエチルケトン88gを加え窒素雰囲気下で72℃に加熱し、ここにメチルエチルケトン50gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.85g、ベンジルメタクリレート60g、メタクリル酸10g、メチルメタクリレート30gを溶解した溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応した後メチルエチルケトン2gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.42gを溶解した溶液を加え、78℃に昇温し4時間加熱した。得られた反応溶液は大過剰量のヘキサンに2回再沈殿し、析出した樹脂を乾燥してポリマー分散剤P−1を96g得た。得られた樹脂の組成は1H−NMRで確認し、GPCより求めた重量平均分子量(Mw)は44600であった。さらに、JIS規格(JISK0070:1992)記載の方法により、このポリマーの酸価を求めたところ、65.2mgKOH/gであった。
(シアン分散液の調製)
ピグメントブルー15:3(大日精化株式会社製 フタロシアニンブル−A220)を10部と、上記で得られたポリマー分散剤P−1を5部と、メチルエチルケトンを42部と、1mol/L NaOH水溶液を 5.5部と、イオン交換水87.2部とを混合し、ビーズミルで0.1mmΦジルコニアビーズを使い、2〜6時間分散した。 得られた分散物を減圧下55℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、顔料濃度が10.2質量%のシアン分散液を得た。 上記のようにして、色材としてのシアン分散液を調液した。上記で得られた色材(シアン分散液)を用いて、下記インク組成となるように各成分を混合して、インク1(インクジェット記録液)を作製した。
ピグメントブルー15:3(大日精化株式会社製 フタロシアニンブル−A220)を10部と、上記で得られたポリマー分散剤P−1を5部と、メチルエチルケトンを42部と、1mol/L NaOH水溶液を 5.5部と、イオン交換水87.2部とを混合し、ビーズミルで0.1mmΦジルコニアビーズを使い、2〜6時間分散した。 得られた分散物を減圧下55℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、顔料濃度が10.2質量%のシアン分散液を得た。 上記のようにして、色材としてのシアン分散液を調液した。上記で得られた色材(シアン分散液)を用いて、下記インク組成となるように各成分を混合して、インク1(インクジェット記録液)を作製した。
(インクの組成)
シアン顔料(ピグメントブルー15:3) : 4%
ポリマー分散剤(上記、P−1) : 2%
グリセリン :15%
オルフィンE1010(日信化学製、界面活性剤) : 1%
イオン交換水 :78%
シアン顔料(ピグメントブルー15:3) : 4%
ポリマー分散剤(上記、P−1) : 2%
グリセリン :15%
オルフィンE1010(日信化学製、界面活性剤) : 1%
イオン交換水 :78%
注)GP−250(トリオキシプロピレングリセリルエーテル、サンニックスGP250、三洋化成工業(株)製))
W−1:ポリエチレングリコールモノステアレート(10E.O.)
尚、表中の評価は以下の基準により評価を行った。
[着弾干渉]
○・・・ラインを描いた場合ラインの太さばらつき5μm以下
△・・・ラインを描いた場合ラインの太さばらつき5μm以上10μm以下
×・・・ラインを描いた場合ラインの太さばらつき10μm以上
[色材浮遊]
○・・・色材浮遊無
△・・・ドットが独立する
×・・・独立したドットが着弾位置から移動する
[画像縮み]
○・・・画像縮み 1%以下
△・・・画像縮み 5%以下
×・・・画像縮み 5%以上
[dot白抜け再現性]
○・・・1dotの白抜けを再現できる
△・・・2dot×2dotの白抜けを再現できるが1dotの白抜けを再現できない
×・・・2dot×2dotの白抜けを再現できない
[カール]
印画率250%で印画したサンプルを長辺が弧を描くように5×50mmに裁断し、
下記のようにしてサンプルの曲率Cを測定した。下記評価基準に従ってカール性を評価した。
W−1:ポリエチレングリコールモノステアレート(10E.O.)
尚、表中の評価は以下の基準により評価を行った。
[着弾干渉]
○・・・ラインを描いた場合ラインの太さばらつき5μm以下
△・・・ラインを描いた場合ラインの太さばらつき5μm以上10μm以下
×・・・ラインを描いた場合ラインの太さばらつき10μm以上
[色材浮遊]
○・・・色材浮遊無
△・・・ドットが独立する
×・・・独立したドットが着弾位置から移動する
[画像縮み]
○・・・画像縮み 1%以下
△・・・画像縮み 5%以下
×・・・画像縮み 5%以上
[dot白抜け再現性]
○・・・1dotの白抜けを再現できる
△・・・2dot×2dotの白抜けを再現できるが1dotの白抜けを再現できない
×・・・2dot×2dotの白抜けを再現できない
[カール]
印画率250%で印画したサンプルを長辺が弧を描くように5×50mmに裁断し、
下記のようにしてサンプルの曲率Cを測定した。下記評価基準に従ってカール性を評価した。
[曲率の測定方法]
インクジェット記録液を塗布したサンプル曲率Cを、25℃、相対湿度50%の環境下で測定した。尚、カール値Cは、カールを半径Rの円の弧とみなして下記式1のように表わされる。
インクジェット記録液を塗布したサンプル曲率Cを、25℃、相対湿度50%の環境下で測定した。尚、カール値Cは、カールを半径Rの円の弧とみなして下記式1のように表わされる。
C=1/R(m) (式1)
[評価基準]
○・・・塗布して1日後のサンプルの曲率Cが20を超えなかった。
△・・・塗布して7日後のサンプルの曲率Cが20を超えなかった。
×・・・塗布して7日後のサンプルの曲率Cが20を超えていた。
[評価基準]
○・・・塗布して1日後のサンプルの曲率Cが20を超えなかった。
△・・・塗布して7日後のサンプルの曲率Cが20を超えなかった。
×・・・塗布して7日後のサンプルの曲率Cが20を超えていた。
表3に示した結果から分かるように、システム条件Aにおいて、SP値が30以下の水溶性高沸点有機溶媒を含有するインクを用いた水準7のみ、全ての評価で○以上の良好な結果が得られた。
<乾燥条件依存性 評価実験>
システム条件Aにおいて、乾燥時の温度、搬送速度を変え、溶媒乾燥後の水分残量が以下となるように調製した。水分残量は、乾燥すぐの重さを測定することによって調べた。以下に条件の一覧表(表4)を示す。
システム条件Aにおいて、乾燥時の温度、搬送速度を変え、溶媒乾燥後の水分残量が以下となるように調製した。水分残量は、乾燥すぐの重さを測定することによって調べた。以下に条件の一覧表(表4)を示す。
このシステム条件A,G,HとIにおいて、ワックス塗設とインク塗設を行い、画像を形成した。表5は実験の結果をまとめたものである。
表5から明らかなように、水準1,8と10では、残水量の範囲を2g/m2〜4g/m2の範囲とすることで、全ての項目で○以上の良好な結果が得られた。一方で、残水量が5g/m2だと画像縮み、及びカールの項目で×であった。理由は、画像縮みに関しては液体量が多い中で色材及びラテックスを凝集させた場合、凝集する色材及びラテックスが凝集する過程で基材と密着が弱く、等方的に収縮していくために画像縮みが発生すると考えられる。これに対して残水量が少ない場合には凝集していく過程で基材と強く密着できるために、基材面に対して水平方向には収縮せず、高さ方向のみに異方的に収縮していくと考えられる、また、カールに関しては残水量が多ければ、原紙に到達する水も多くなり、水により原紙のカールがもたらされるためカールが大きくなると考えられる。
次に、条件Aにおいて、インク打滴後の溶媒の除去として乾燥を使用せずに溶媒吸収ローラを使用する態様も検討した。その結果を以下の表6及び7に示す。
表7から明らかなように、水準11において、全ての項目で○以上の良好な結果が得られた。これは、溶媒除去の方法に関係なく、残水量が2g/m2〜4g/m2の範囲を満たす限り、全ての項目で良好な結果を得られることを意味する。
<水溶性高沸点有機溶媒の比較 評価実験>
インクの水溶性高沸点有機溶媒(HBS)を以下のA〜Gに示す水溶性高沸点有機溶媒に変更し、実験を行った。
A:ジエチレングリコール(30.62)
B:1,2ヘキサンジオール(27.4)
C:ジプロピレングリコール(27.2)
D:トリプロピレングリコール(24.7)
E:ジエチレングリコールモノエチルエーテル(22.4)
F:トリエチレングリコールモノブチルエーテル(21.1)
G:nC4H9O(AO)10H (AO=EO or POで比率は1:1)(18.8)
GP−250:トリオキシプロピレングリセリルエーテル(26.4)
表8は条件及び結果を以下に示す。
インクの水溶性高沸点有機溶媒(HBS)を以下のA〜Gに示す水溶性高沸点有機溶媒に変更し、実験を行った。
A:ジエチレングリコール(30.62)
B:1,2ヘキサンジオール(27.4)
C:ジプロピレングリコール(27.2)
D:トリプロピレングリコール(24.7)
E:ジエチレングリコールモノエチルエーテル(22.4)
F:トリエチレングリコールモノブチルエーテル(21.1)
G:nC4H9O(AO)10H (AO=EO or POで比率は1:1)(18.8)
GP−250:トリオキシプロピレングリセリルエーテル(26.4)
表8は条件及び結果を以下に示す。
表8から明らかなように、インク中のHBSのSP値を30以下とした、水準14〜20において、全ての項目で○以上の良好な結果が得られた。一方で、水準12,13は、HBSのSP値が30を超えていた。そのため、打滴直後のHBSの基材面での残量が多くなり、画像縮み、Dot白抜け再現性、カールの項目で×の評価であった。
<高沸点溶媒の添加量の比較 評価実験>
インク系の顔料濃度を1%とし、水溶性高沸点有機溶媒の添加量を5wt%〜95wt%の範囲で変化させた。表9は、その評価実験を表にまとめたものである。
インク系の顔料濃度を1%とし、水溶性高沸点有機溶媒の添加量を5wt%〜95wt%の範囲で変化させた。表9は、その評価実験を表にまとめたものである。
表9から明らかなように、インク中のHBSの含有量を10wt%〜90wt%とした水準22〜27では、全ての項目で○又は△以上の評価であった。特に、10wt%〜30wt%の範囲では、全ての項目で○以上の評価であった。
<ワックスの比較 評価実験>
システム条件Aにおいて、インクの水溶性高沸点有機溶媒(HBS)を以下のA〜Gに示す水溶性高沸点有機溶媒に変更し、実験を行った。
システム条件Aにおいて、インクの水溶性高沸点有機溶媒(HBS)を以下のA〜Gに示す水溶性高沸点有機溶媒に変更し、実験を行った。
W−2:ポリエチレングリコールモノステアレート(25E.O.)
W−3:ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル
W−4:ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル
W−5:ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル
W−6:ポリオキシエチレン(30)ドコシエルエーテル
W−7:ポリエチレングリコール1000
W−8:ポリエチレングリコール2000
本発明におけるワックスの定義、−室温でワックス状であり、35℃より高い温度で液体状になる物質− を満たすW−2〜W−8を使用した、水準30〜36は全ての項目で○以上の評価であった。
W−3:ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル
W−4:ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル
W−5:ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル
W−6:ポリオキシエチレン(30)ドコシエルエーテル
W−7:ポリエチレングリコール1000
W−8:ポリエチレングリコール2000
本発明におけるワックスの定義、−室温でワックス状であり、35℃より高い温度で液体状になる物質− を満たすW−2〜W−8を使用した、水準30〜36は全ての項目で○以上の評価であった。
以上説明したように、本発明によれば、ワックスを付与した支持体に高沸点溶媒を含む凝集処理剤を液状で付与して乾燥させて固体状にさせた後、SP値が30以下の水溶性高沸点有機溶媒を10wt%〜90wt%含むインクを打滴して凝集反応させることで、色材移動による画像乱れを防止することができる。
本発明は上記実施例に限定されるもではなく、上記の説明に基づいて多くの変形例が可能となる。
100…画像形成装置、102…給紙部、104…ワックス塗設部、106…処理液付与部、108…印字部、112…排紙部、114…記録媒体、122…フィーダボード、124a〜124d…渡し胴、126a〜126d…圧胴、128…用紙予熱ユニット、130…ワックス塗布ヘッド、132…ワックス乾燥ユニット、134…用紙予熱ユニット、136…処理液ヘッド、138…処理液乾燥ユニット、140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140B…インクヘッド、142a、142b…溶媒乾燥ユニット、144…印字検出部、150…排紙胴、152…排紙台、154…排紙用チェーン、160…加熱定着部、162…加熱ローラ、170…ワックス溜め、172…ロールコータ、200…ワックス層、202…凝集処理剤層、204…インク液滴、206…インク凝集体
Claims (7)
- 支持体を搬送する手段と、
前記支持体上にワックスを付与する手段と、
前記ワックスが付与された前記支持体に凝集処理剤を付与する手段と、
前記支持体上の前記凝集処理剤を乾燥する手段と、
乾燥後の前記凝集処理剤に画像信号に応じて、SP値が30以下の水溶性高沸点有機溶媒を10wt%〜90wt%含有するインクを前記支持体上に向けて打滴する手段と、
前記支持体上の溶媒の一部を除去し、水を付与量換算で4g/m2以下に除去する手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。 - 前記インクを前記支持体に定着する手段を、さらに備えている請求項1記載の画像形成装置。
- 前記定着手段が熱圧による定着手段である請求項2記載の画像形成装置。
- 前記ワックスが、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールエステル及びポリオキシアルキレンエーテル、及びそれらの混合物から選択されたものである請求項1〜3の何れか1に記載の画像形成装置。
- 前記インクがSP値30以下の水溶性高沸点有機溶媒を10wt%〜30wt%の範囲で含有する請求項1〜4の何れか1に記載の画像形成装置。
- 前記支持体がコート紙である請求項1〜5の何れか1に記載の画像形成装置。
- 支持体上にワックスを付与する工程と、
前記ワックスが付与された前記支持体に凝集処理剤を付与する工程と、前記支持体上の前記凝集処理剤を乾燥する工程と、
乾燥後の前記凝集処理剤に画像信号に応じて、SP値が30以下の水溶性高沸点有機溶媒を10wt%〜90wt%含有するインクを前記支持体上に向けて打滴する工程と、
前記支持体上の溶媒の一部を除去し、水を付与量換算で4g/m2以下に除去する工程と、を含むことを特徴とする画像形成方法。
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