JP2010184376A - インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】画像形成後の白地部、ベタ部、中間調部における光沢の差により生じる質感の低下を抑制し、形成された画像の高画質と高級感のある質感の付与を両立することができるインクジェット記録装置および記録方法を提供することを目的とする。
【解決手段】インク中の成分を凝集または増粘させる機能を有する処理液を記録媒体上に付与する処理液付与手段と、処理液が付与された記録媒体上にインクを打滴し、画像を形成するインク吐出手段と、記録媒体上に付与されたインクを乾燥する乾燥手段と、を備え、インク吐出手段から記録媒体上に打滴されたインク液滴の、乾燥後のドットのドット高さ(H)/ドット径(D)が0.016以上0.033以下となるように画像を形成することを特徴とするインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法に係り、特に、画像全体に高い光沢感を付与することができるインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録装置は、記録媒体上でインクを連続的に打滴することによって画像を形成する装置であり、装置構成が簡単でかつ良好な画質の画像記録が可能であることから、個人用途のホームプリンタをはじめ、業務用途のオフィスプリンタとしても広く使用されている。特に、業務用途のオフィスプリンタにおいては、処理の高速化および高画質化が一層要望されている。
インクジェット記録装置においては、高品質な画像を得るために記録媒体としてコート紙を用い、高い光沢性を付与することがある。しかしながら、記録媒体にコート紙を用いると、インクの吸収が間に合わず、画像の滲み、画像の濃度の低下がみられた。
このような問題に対して、例えば、下記の特許文献1には、グロスコート紙のような高光沢で浸透しにくい記録媒体に対して、滲みや着弾干渉を抑止した高画質な画像を得るために、凝集反応を用いて画像を形成する方法が記載されている。
また、形成されるドットの形状に着目した文献として、下記の特許文献2には、記録ドットのアスペクト比(ドット高さ/ドット直径)が0.075以下とするインクジェット記録方法が記載されている。
特開2008−62503号公報 特開平6−954号公報
しかしながら、特許文献1に記載されている方法のように、凝集反応を用いて画像を形成すると、インクが付与されていない白地部は記録媒体に光が入れば反射し、逆にインクの付与量の多いベタ部においても、インクに光が入れば反射するため、高い光沢が得られた。しかしながら、インクの付与量の少ない中間調部においては、記録媒体に付与された各インクのドットが、つながらず孤立しているため、ドット形状の壁部の乱反射により、画像がザラついてみえるという問題があった。そのため、白地部、ベタ部と中間調部とで光沢に差が生じるため、画像全体に光沢感に違和感があり、質感を損ない、高級感のある印刷物が得られないという問題があった。
また、特許文献2に記載されている方法は、記録媒体上に形成された画像の耐擦性を向上させるために、ドットの形状を規定したものであり、画像の光沢性に関する検討はなされていない。さらに、コート紙に凝集画像を形成すると発生する中間調光沢劣化の課題に関しても検討がなされていなかった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、中間調部においても、光沢の劣化を抑制し、形成された画像の高画質と高級感のある質感の付与を両立することができるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
本発明の請求項1は、前記目的を達成するために、インク中の成分を凝集または増粘させる機能を有する処理液を記録媒体上に付与する処理液付与手段と、前記処理液が付与された記録媒体上に前記インクを打滴し、画像を形成するインク吐出手段と、前記記録媒体上に付与された前記インクを乾燥する乾燥手段と、を備え、前記インク吐出手段から前記記録媒体上に打滴されたインク液滴の、乾燥後のドットのドット高さ(H)/ドット径(D)が0.016以上0.033以下となるように画像を形成することを特徴とするインクジェット記録装置を提供する。
処理液を用いてインク中の成分を凝集または増粘させると、インクの着弾液の高さが高くなるため、乾燥後のドット高さも高くなる。その結果、ドット側壁部で光が乱反射しやすくなり、光沢が低下するため、画像の質感の低下がみられた。請求項1によれば、打滴されたインクの乾燥後のドット高さ(H)/ドット径(D)を上記範囲とすることにより、ドット高さを低くすることで、ドット側壁部での光の乱反射を防ぎ、中間調での光沢劣化を抑止することが可能である。しかしながら、ドット高さを低くしすぎる、すなわち、凝集性能が不足した状態になると、画像に滲みが生じるため、H/Dは0.016以上0.033以下になるように処理液およびインクの処方を行う。
なお、本発明においては、ドット高さ(H)/ドット径(D)で規定しているが、ドット高さのみで規定した場合、滴量が異なると、単位面積に占めるドットの個数・被覆面積が異なってくる。したがって、例えば、大滴打滴した場合、必要ドット数が少なくなること、低濃度部においてもドットが繋がり易くなること、液量が多いため、レベリングが進み易くなることなどから、ドット側壁部での光の乱反射の頻度が減るため、許容されるドットの高さが高くなる。このように、ドット高さで規定した場合、液量により所望のドット高さが異なってくる。本発明においては、ドット高さ(H)/ドット径(D)で規定しているため、ドットの被覆面積も考慮することができ、打滴されるインク滴量と形成されるドット高さを考慮することができる。
請求項2は請求項1において、少なくとも形成された画像の内、前記乾燥後のドットが孤立している中間調部において前記ドットのドット高さ(H)/ドット径(D)が0.016以上0.033以下を満たすことを特徴とする。
請求項2は、形成された画像の内、少なくとも乾燥後のドットが孤立している中間調部でH/Dが上記範囲を満たしていることを規定している。インクの付与されていない白地部は記録媒体に光が入れば反射し、逆にインクの付与量の多いベタ部においてもインクに光が入れば反射するため、高い光沢が得られる。インクの付与量の少ない中間調部において、H/Dを上記範囲を満たすように乾燥後のドットを形成することで、中間調部において、光沢の劣化を抑制することができるので、全体として光沢感のある画像を形成することができる。
請求項3は請求項1または2において、前記インクは、顔料、樹脂粒子および溶剤を含み、前記ドットは、前記顔料および前記樹脂粒子が凝集した凝集物であることを特徴とする。
請求項4は請求項3において、前記ドットは、前記処理液と前記インクが接触することにより凝集した凝集物から分離された溶媒を乾燥したあとの凝集物であることを特徴とする。
請求項3、4は形成されるドットの成分を規定したものであり、ドットはインク中の成分の凝集物であり、分離した溶媒を乾燥したあとの凝集物である。
請求項5は請求項1から4いずれかにおいて、前記乾燥後のドットの端部が前記記録媒体と接する点における接線と前記記録媒体との角度θが30°以下であることを特徴とする。
請求項5によれば、乾燥後のドットの端部が前記記録媒体と接する点における接線と前記記録媒体との角度θを30°以下とすることにより、さらに光沢劣化を抑制することができる。30°以下となるようにドットを形成することにより、記録媒体表面からの光の反射がドット側壁部にカットされる頻度を小さくすることができるためであると考えられる。
請求項6は請求項1から5いずれかにおいて、前記インク中の固形分量が6質量%以上12質量%以下であることを特徴とする。
2液凝集による記録方法では、非凝集系と比較し、ドット高さが相対的に高くなってしまうのは不可避である。しかしながら、凝集成分量(インク中の固形分量)が少なければ、凝集、乾燥後のドット体積を減らすことができる。さらに、凝集によりインクの溶媒成分をドット中に取り込んで、ドットが高くなることを防止することができる。
請求項6によれば、インク中の固形分量を上記範囲とすることにより、ドット高さを所望の高さに抑えることができる。また、固形分量が少なすぎてもインクの凝集力が不足し、好ましくないため、画像濃度確保のための必要顔料濃度および、分散剤、バインダーの必要量の観点も考慮に入れると、少なくとも総固形分量が6質量%以上とすることが好ましい。
請求項7は請求項1から6いずれかにおいて、乾燥後に前記画像を加熱・加圧する定着手段を備え、定着後の前記ドットのドット高さ(H)/ドット径(D)が0.016以上0.033以下であることを特徴とする。
請求項7によれば、インクの乾燥後、加熱・加圧する定着手段を備えることにより、乾燥後のドットを扁平化させることができる。したがって、ドット側壁部での乱反射を防止することができるので、光沢劣化を抑制することができる。
特に、インク総固形分量が多く、凝集時にドット内に溶媒を多く抱え込んだ状態のドットは軟らかく、押圧により扁平化の効果が大きくなるため、特に好適に行うことができる。さらには、インク中に樹脂成分をバインダー粒子あるいは高分子分散剤などの形態で、添加しておくことが望ましい。顔料に対して等倍以上含ませておくと加熱により樹脂が軟化するので、ドットが軟らかくなり、扁平化しやすくすることができる。
請求項8は請求項1から7いずれかにおいて、前記記録媒体は、60°光沢値が30以上であることを特徴とする。
本発明においては、処理液を用いた記録装置において、処理液およびインクの処方を調整することにより、光沢劣化を防止している。したがって、記録媒体自体に光沢性を有するもの、特に60°光沢値が30以上ある記録媒体に対して、特に効果を有する。
請求項9は請求項1から8いずれかにおいて、前記記録媒体への前記処理液中の凝集剤の付与量が、0.25g/m以上1.0g/m以下であることを特徴とする。
請求項9は、記録媒体への凝集剤の付与量を規定したものである。凝集剤の付与量が多いと、インク中の成分の凝集が進み、ドット高さが高くなるため、好ましくない。また、凝集剤の付与量が少ないと、インクが濡れ拡がりやすくなるため、滲みが発生する。凝集剤の付与量を上記範囲とすることにより、H/Dの値を所望の範囲内とすることができる。
請求項10は請求項1から9いずれかにおいて、前記凝集剤がマロン酸、シュウ酸、リン酸、コハク酸、クエン酸、フタル酸、リンゴ酸から選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする。
請求項10は、H/Dの範囲を所望の範囲とするための好ましい凝集剤の種類を規定したものであり、上記凝集剤を好適に用いることができる。
本発明の請求項11は、前記目的を達成するために、インク中の成分を凝集または増粘させる機能を有する処理液を記録媒体上に付与する処理液付与工程と、前記処理液が付与された記録媒体上に前記インクを打滴し、画像を形成するインク吐出工程と、前記記録媒体上に付与された前記インクを乾燥する乾燥工程と、を有し、前記打滴されたインク液滴の、乾燥後のドットのドット高さ(H)/ドット径(D)が0.016以上0.033以下となるように画像を形成することを特徴とするインクジェット記録方法を提供する。
請求項11は、請求項1に記載のインクジェット記録装置をインクジェット記録方法として展開したものであり、請求項11によれば、請求項1と同様の効果を得ることができる。
本発明のインクジェット記録装置によれば、処理液を用い乾燥後のドット高さが高くなりやすい記録装置においても、打滴されたインクの乾燥後ドットの形状をドット高さ(H)/ドット径(D)を0.016以上0.033以下としているため、ドット高さを抑えることができる。したがって、ドット側壁の乱反射を防止することができ、かつ、記録媒体からの光の反射をカットする頻度を小さくすることができるので、光沢の劣化、特に、中間調部での光沢劣化を防止することができ、高級感のある印刷物を得ることができる。
本発明に係るインクジェット記録装置の概略構成図である。 ヘッドの内部構造を示す要部平面透視図である。 ヘッドの他の構成例を示す平面図である。 図2中のX−X線に沿う断面図である。 ヘッドのノズル配置例を示す平面図である。 インクジェット記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図である。 本発明に係るインクジェット画像形成方法の一例を示した摸式図である。 図1と異なる構成のインクジェット記録装置を摸式的に示す全体構成図である。 試験例1の結果を示す表図である。 試験例2の結果を示す表図である。 試験例3の結果を示す表図である。 試験例4の結果を示す表図である。 試験例5の結果を示す表図である。
以下、添付図面に従って、本発明に係るインクジェット記録装置の好ましい実施の形態について説明する。
[インクジェット記録装置の全体構成]
まず、本発明が適用されるインクジェット記録装置の全体構成を説明する。
図1は、本実施の形態のインクジェット記録装置1を模式的に示す構成図である。同図に示すインクジェット記録装置1は記録媒体22の記録面に画像を形成する装置であり、主として給紙部10、処理液付与部12、描画部14、乾燥部16、定着部18及び排出部20で構成される。給紙部10には記録媒体22(枚葉紙)が積層されており、この記録媒体22が給紙部10から処理液付与部12に送られ、処理液付与部12で記録面に処理液が付与された後、描画部14で記録面にインクが付与される。インクが付与された記録媒体22は、定着部18で画像が堅牢化された後、排出部20によって搬送される。図1においては、処理液付与部12が処理液付与手段、描画部14がインク吐出手段、乾燥部16が乾燥手段、定着部18が定着手段に該当する。
各部の間には中間搬送部24、26、28が設けられ、この中間搬送部24、26、28によって記録媒体22の受け渡しが行われる。すなわち、処理液付与部12と描画部14との間には、第1の中間搬送部24が設けられ、この第1の中間搬送部24によって処理液付与部12から描画部14への記録媒体22の受け渡しが行われる。同様に、描画部14と乾燥部16との間には、第2の中間搬送部26が設けられ、この第2の中間搬送部26によって描画部14から乾燥部16への記録媒体22の受け渡しが行われる。さらに、乾燥部16と定着部18との間には、第3の中間搬送部28が設けられ、この第3の中間搬送部28によって乾燥部16から定着部18への記録媒体22の受け渡しが行われる。
以下、インクジェット記録装置1の各部(給紙部10、処理液付与部12、描画部14、乾燥部16、定着部18、排出部20、第1〜第3の中間搬送部24、26、28)について説明する。
(給紙部)
給紙部10は、記録媒体22を描画部14に供給する機構である。給紙部10には、給紙トレイ50が設けられ、この給紙トレイ50から記録媒体22が一枚ずつ処理液付与部12に給紙される。
(処理液付与部)
処理液付与部12は、記録媒体22の記録面に処理液を付与する機構であり、処理液は、後述のインク中の色材を凝集または増粘させる成分を含有している。色材を凝集若しくは増粘させる方法としては具体的に、インクと反応してインク中の色材を析出あるいは不溶化させる処理液、インク中の色材を含む半固体状の物質(ゲル)を生成する処理液等が挙げられる。そして、インクと処理液との反応を引き起こす手段は、インク中のアニオン性の色材と処理液中のカチオン性の化合物を反応させる方法、互いにpHの異なるインクと処理液を混合させることでインクのpHを変化させてインク中の顔料の分散破壊を起こし顔料を凝集させる方法、処理液中の多価金属塩との反応によりインク中の顔料の分散破壊を起こし顔料を凝集させる方法、などがある。なお、処理液のより詳細な説明については後述する。
処理液の付与方法としては、インクジェットヘッドによる打滴、ローラによる塗布、スプレーによる一様付与、等がある。たとえば図1に示す処理液付与部12は、渡し胴52、処理液ドラム54、処理液塗布装置56、温風吹出ノズル58及びIRヒータ60を備えている。渡し胴52は、給紙部10の給紙トレイ50と処理液ドラム54の間に配置され、回転駆動される。給紙部10から給紙された記録媒体22は、この渡し胴52によって受け取られ、処理液ドラム54に受け渡される。なお、渡し胴52の代わりに、後述の中間搬送部を設けてもよい。
処理液ドラム54は、記録媒体22を保持して回転搬送させるドラムであり、回転駆動される。また、処理液ドラム54は、その外周面に爪形状の保持手段を備え、この保持手段によって記録媒体22の先端を保持できるようになっている。記録媒体22は、保持手段によって先端が保持された状態で、処理液ドラム54を回転させることによって回転搬送される。その際、記録媒体22の記録面が外側を向くようにして搬送される。なお、処理液ドラム54の外周面に吸引孔を設けるとともに、その吸引孔から吸引を行うようにしてもよい。これにより記録媒体22を処理液ドラム54の周面に密着保持することができる。
処理液塗布装置56の構成は特に限定するものではないが、たとえば、処理液が貯留された処理液容器と、この処理液容器の処理液に一部が浸漬されたアニックスローラと、アニックスローラに当接されて計量を行うスキージと、アニックスローラと処理液ドラム54上の記録媒体22に圧接されて計量後の処理液を記録媒体22に転移するゴムローラとで構成される。この処理液塗布装置56によれば、処理液をスキージで計量しながら記録媒体22に塗布することができる。処理液の膜厚は、描画部14のインクジェットヘッド72M,72C,72Y,72Kから打滴されるインクの液滴径より十分に小さいことが望ましい。例えば、インクの打滴量が2plのときには、液滴の平均直径は15.6μmである。このとき、処理液の膜厚が大きい場合には、インクドットが記録媒体22の表面に接触することなく、処理液内で浮遊する。そこで、インクの打滴量が2plのときに着弾ドット径を30μm以上得るためには、処理液の膜厚を3μm以下にすることが望ましい。
処理液塗布装置56で処理液が塗布された記録媒体22は、温風吹出ノズル58、IRヒータ60の位置に搬送される。温風吹出ノズル58は高温(たとえば70℃)の温風を一定の風量(たとえば9m/分)で記録媒体22に向けて吹き付けるように構成され、IRヒータ60は高温(たとえば180℃)に制御される。この温風吹出ノズル58とIRヒータ60による加熱によって、処理液の溶媒成分の乾燥が行われる。このように、記録媒体22に付与した処理液をインクの打滴前に乾燥させることによって、インクの色材が処理液に浮遊することを防止することができる。なお、処理液の乾燥は必ずしも処理液の溶媒を完全に蒸発させる必要はなく、乾燥後の総膜厚(処理液中の非乾燥成分[凝集剤など]と乾燥残液の総和)が約1.0g/m以下の厚みになるように乾燥すればよい。
なお、本発明において、乾燥後のドットのH/Dの範囲は、インクの固形分量、処理液の量、処理液の種類などを調整することにより、ドットの形状を制御することができる。したがって、どのような処理液をどの程度付与するかが重要となってくる。
(描画部)
描画部14は、インクジェット方式でインクを打滴することによって入力画像に対応した画像を描画する機構であり、描画ドラム70と、この描画ドラム70の外周面に対向する位置に近接配置されたインクジェットヘッド72M,72C,72Y,72Kで構成される。インクジェットヘッド72M,72C,72Y,72Kはそれぞれ、マゼンダ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、黒(K)の4色のインクに対応しており、描画ドラム70の回転方向に上流側から順に配置される。
描画ドラム70は、その外周面に記録媒体22を保持し、回転搬送させるドラムであり、回転駆動される。また、描画ドラム70は、その外周面に爪形状の保持手段(不図示)を備え、この保持手段によって記録媒体22の先端を保持できるようになっている。記録媒体22は、保持手段によって先端が保持された状態で、描画ドラム70を回転させることによって回転搬送される。その際、記録媒体22の記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面にインクジェットヘッド72M,72C,72Y,72Kからインクが付与される。
インクジェットヘッド72M,72C,72Y,72Kはそれぞれ、記録媒体22における画像形成領域の最大幅に対応する長さを有するフルライン型のインクジェット方式の記録ヘッド(インクジェットヘッド)であり、そのインク吐出面には、画像形成領域の全幅にわたってインク吐出用のノズルが複数配列されたノズル列が形成されている。各インクジェットヘッド72M,72C,72Y,72Kは、記録媒体22の搬送方向(描画ドラム70の回転方向)と直交する方向に延在するように固定設置される。各インクジェットヘッド72M,72C,72Y,72Kには、対応する色インクのカセットが取り付けられる。
上記の如く構成された各インクジェットヘッド72M,72C,72Y,72Kから、各インクの液滴が描画ドラム70の外周面に保持された記録媒体22の記録面に向かって吐出される。これにより、処理液付与部12上の処理液にインクが接触し、インク中に分散する色材(顔料)が凝集され、色材凝集体が形成される。これにより、記録媒体22上での色材流れなどが防止され、記録媒体22の記録面に画像が形成される。その際、描画部14の描画ドラム70は、処理液付与部12の処理液ドラム54に対して構造上分離しているので、インクジェットヘッド72M,72C,72Y,72Kに処理液が付着することがなく、インクの不吐出要因を低減することができる。
なお、各インクジェットヘッド72M,72C,72Y,72Kの打滴タイミングは、描画ドラム70に配置された回転速度を検出するエンコーダに同期させる。これにより、高精度に着弾位置を決定することができる。また、予め描画ドラム70のフレなどによる速度変動を学習し、エンコーダ91で得られた打滴タイミングを補正して、描画ドラム70のフレ、回転軸の精度、描画ドラム70の外周面の速度に依存せずに打滴ムラを低減させることができる。
また、各インクジェットヘッド72M,72C,72Y,72Kのノズル面の清掃、増粘インク排出などのメンテナンス動作は、ヘッドユニットを描画ドラム70から退避させて実施するとよい。
さらに、本例では、CMYKの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
(乾燥部)
乾燥部16は、色材凝集作用により分離された溶媒を乾燥させる工程であり、乾燥ドラム76と、この乾燥ドラム76の外周面に対向する位置に配置された第1のIRヒータ78、温風噴出しノズル80、第2のIRヒータ82で構成される。第1のIRヒータ78は、温風噴出しノズル80に対して、乾燥ドラム76の回転方向(図1において反時計回り方向)の上流側に設けられ、第2のIRヒータ82は温風噴出しノズル80の下流側に設けられる。
乾燥ドラム76は、その外周面に記録媒体22を保持して回転搬送させるドラムであり、回転駆動される。また、乾燥ドラム76は、その外周面に爪形状の保持手段を備え、この保持手段によって記録媒体22の先端を保持できるようになっている。記録媒体22は、保持手段によって先端が保持された状態で、乾燥ドラム76を回転させることによって回転搬送される。その際、記録媒体22の記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面に対して第1のIRヒータ78、温風噴出しノズル80、第2のIRヒータ82による乾燥処理が行われる。
温風噴出しノズル80は、所定の温度(たとえば50℃〜70℃)に制御された温風を一定の風量(12m/分)で記録媒体22に向けて吹き付けるように構成され、第1のIRヒータ78と第2のIRヒータ82はそれぞれ所定の温度(たとえば180℃)に制御される。
これらの第1のIRヒータ78、温風噴出しノズル80、第2のIRヒータ82によって、乾燥ドラム76に保持された記録媒体22の記録面のインク溶媒に含まれる水分が蒸発され、乾燥処理が行われる。乾燥処理後のインク由来水の残水量は1g/m以上4g/m以下が好ましい。
乾燥処理の際、乾燥部16の乾燥ドラム76は、描画部14の描画ドラム70に対して構造上分離しているので、インクジェットヘッド72M,72C,72Y,72Kにおいて、熱乾燥によるヘッドメニスカス部の乾燥によるインクの不吐出を低減することができる。また、乾燥部16の温度設定に自由度があり、最適な乾燥温度を設定することができる。
乾燥工程での画像表面の到達温度をTd、インクの自己分散性ポリマー微粒子の軟化点をTpとした場合、Td<Tpの関係を満たすように温度制御することが好ましい。Td<Tpに制御することによって、ドット径の縮小を防止することができるとともに、画像褶曲(画像が褶曲状に湾曲した状態)が発生することを防止でき、画像褶曲に伴う画像密着性・耐擦性・画像光沢の低下を防止することができる。ここで、自己分散性ポリマー微粒子の軟化温度Tpは30℃以上70℃以下が好ましい。Tpが30℃未満になると乾燥不足によるオフセットが発生し、Tpが70℃超になると高速記録下において皮膜性が不足するためである。
なお、蒸発した水分は不図示の排出手段によりエアとともに機外に排出するとよい。また、回収されたエアを冷却器(ラジエータ)などで冷却して、液体として回収してもよい。
また、上記の乾燥ドラム76は、その外周面を所定の温度(たとえば60℃以下)に制御するとよい。
さらに、乾燥ドラム76は、その外周面に吸引孔を設けるとともに、吸引孔から吸引を行う吸引手段を接続してもよい。これにより記録媒体22を乾燥ドラム76の周面に密着保持することができる。
なお、乾燥手段として、図1においては、IRヒータ、温風噴出しノズルを有する乾燥手段について説明したが本発明においては、このような乾燥手段に限定されず、乾燥部16を有さず、排出トレイ92で自然乾燥される場合も、乾燥手段に含まれる。
(定着部)
必要に応じて、乾燥部により乾燥した後、定着部で定着ローラを用いて熱圧接触させることにより、インクに含まれる樹脂を溶融させ、画像の定着性を得るとともに、ドットを扁平化させることができる。
定着部18は、定着ドラム84、第1の定着ローラ86、第2の定着ローラ88及びインラインセンサ90で構成される。第1の定着ローラ86、第2の定着ローラ88及びインラインセンサ90は、定着ドラム84の周面に対向する位置に配置され、定着ドラム84の回転方向の上流側から順に配置される。
定着ドラム84は、その外周面に記録媒体22を保持して回転搬送させるドラムであり、回転駆動される。また、定着ドラム84は、その外周面に爪形状の保持手段を備え、この保持手段によって記録媒体22の先端を保持できるようになっている。記録媒体22は、保持手段によって先端が保持された状態で定着ドラム84を回転させることによって、回転搬送される。その際、記録媒体22の記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面に対して、第1の定着ローラ86及び第2の定着ローラ88による定着処理と、インラインセンサ90による検査が行われる。
第1の定着ローラ86及び第2の定着ローラ88は、乾燥させたインクを加熱加圧することによってインク中の自己分散性ポリマー微粒子を溶着し、インクを被膜化させるためのローラ部材であり、記録媒体22を加圧・加熱するように構成される。具体的には、第1の定着ローラ86及び第2の定着ローラ88はそれぞれ、定着ドラム84に対して所定の圧力(たとえば0.3MPa)で圧接するように配置されており、定着ドラム84との間でニップローラを構成するようになっている。これにより、記録媒体22は、第1の定着ローラ86と定着ドラム84との間、及び、第2の定着ローラ88と定着ドラム84との間に挟まれ、所定のニップ圧(たとえば0.3MPa)でニップされ、定着処理が行われる。
なお、第1の定着ローラ86、第2の定着ローラ88と、定着ドラム84との一方の表面に弾性層を形成し、記録媒体22に対して均一なニップ幅を持つ構成とするとよい。たとえば、第1の定着ローラ86の表面と第2の定着ローラ88の表面を二層構成とし、さらに、表層側の第1層を離型性素材で構成し、第2層(内側の層)をゴム弾性体素材で構成することが好ましい。第1層を離型性素材とすることによって、ローラが汚れにくくなり、ローラのクリーニング負荷を低減させることができる。また、第2層は、ゴム硬度50°以下のゴム弾性体を用いることが好ましい。第2層を硬度50°以下のゴム弾性体とすることによって、記録媒体22をニップする時間を稼ぐことができ、高速記録での被膜化に有利になる。また、第2層を硬度50°以下とすることによって、記録媒体22に接触する際の低圧化が可能になり、ローラの寿命を向上させることができる。一方、第1の定着ローラ86及び第2の定着ローラ88のローラ表面硬度が70°以下であることが好ましい。ローラの表面硬度を低くすることによって、(一定時間における)画像凹凸に対する追従性が向上し、高速記録での被膜化に有利になる。
また、第1の定着ローラ86及び第2の定着ローラ88は、熱伝導性の良いアルミなどの金属パイプ内にハロゲンランプを組み込んだ加熱ローラによって構成され、所定の温度(たとえば60〜80℃)に制御される。その際の画像表面の到達温度をTfとした場合、インクの自己分散性ポリマー微粒子の軟化点Tpに対して、Tp<Tfの関係を満たすように設定することが好ましい。
上記の如く構成された第1の定着ローラ86及び第2の定着ローラ88で記録媒体22を加圧、加熱することによって、インクに含まれるラテックスのTg温度(ガラス転移点温度)以上の熱エネルギーが付与され、ラテックス粒子が溶融される。これにより、記録媒体22の凹凸に押し込み定着が行なわれるとともに、画像表面の凹凸がレベリングされ、光沢性が得られる。
なお、上記の実施形態では、加熱と加圧の両方を行う例を示したが、一方のみを行うようにしてもよい。また、第1の定着ローラ86、第2の定着ローラ88は、画像層厚みやラテックス粒子のTg特性により、複数段設けた構成でもよい。さらに、定着ドラム84の表面を所定の温度(たとえば60℃)に制御するようにしてもよい。
一方、インラインセンサ90は、記録媒体22に定着された画像について、チェックパターンや水分量、表面温度、光沢度などを計測するための計測手段であり、CCDラインセンサなどが適用される。
上記の如く構成された定着部18によれば、乾燥部16で形成された薄層の画像層内のラテックス粒子が第1の定着ローラ86、第2の定着ローラ88によって加圧・加熱されて溶融されるので、記録媒体22に固定定着させることができる。また、定着部18によれば、定着ドラム84が他のドラムに対して構造上分離されているので、定着部18の温度設定を、描画部14や乾燥部16と分離して自由に設定することができる。
なお、上記の定着ドラム84は、その外周面に吸引孔を設けるとともに、吸引孔から吸引を行う吸引手段を接続してもよい。これにより記録媒体22を定着ドラム84の周面に密着保持することができる。
(排出部)
図1に示すように、定着部18に続いて排出部20が設けられている。排出部20は、排出トレイ92を備えており、この排出トレイ92と定着部18の定着ドラム84との間に、これらに対接するように渡し胴94、搬送ベルト96、張架ローラ98が設けられている。記録媒体22は、渡し胴94により搬送ベルト96に送られ、排出トレイ92に排出される。
(中間搬送部)
次に、第1の中間搬送部24の構造について説明する。なお、第2の中間搬送部26、第3の中間搬送部28は、第1の中間搬送部24と同様の構成であり、その説明を省略する。
第1の中間搬送部24は、中間搬送体30を有する。中間搬送体30は、前段のドラムから記録媒体22を受け取り、回転搬送させた後、後段のドラムに受け渡すためのドラムであり、回転自在に取り付けられている。また、中間搬送体30は、不図示のモータによって回転するようになっている。
中間搬送体30の外周面には、爪形状の保持手段が90°間隔で設けられている。保持手段は、円軌跡を描きながら回転するようになっており、この保持手段の動作によって記録媒体22の先端が保持される。したがって、保持手段で記録媒体22の先端を保持した状態で中間搬送体30を回転させることによって、記録媒体22を回転搬送させることができる。なお、中間搬送体30の表面に複数の送風口を設け、この送風口からエアを吹き出すことによって、記録媒体の記録面を非接触で搬送するとよい。
第1の中間搬送部24によって搬送された記録媒体22は、後段のドラム(すなわち、描画ドラム70)に受け渡される。その際、中間搬送部24の保持手段と描画部14の保持手段を同期させることによって、記録媒体22の受け渡しが行われる。受け渡された記録媒体22は、描画ドラム70によって保持されて回転搬送される。
(インクジェットヘッドの構造)
次に、各インクジェットヘッドの構造について説明する。色別のインクジェットヘッド72M,72C,72Y,72Kの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号100によってインクジェットヘッドを示すものとする。
図2(a)はインクジェットヘッド100の構造例を示す平面透視図であり、図2(b) はその一部の拡大図である。記録媒体22上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、インクジェットヘッド100におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のインクジェットヘッド100は、図2(a)、(b) に示したように、インク吐出口であるノズル102と、各ノズル102に対応する圧力室104等からなる複数のインク室ユニット(記録素子単位としての液滴吐出素子)108を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(記録媒体22の搬送方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
記録媒体22の搬送方向(図2中矢印S)と略直交する方向(図2中矢印M)に記録媒体22の画像形成領域の全幅に対応する長さにわたり1列以上のノズル列を構成する形態は図示の例に限定されない。例えば、図2(a) の構成に代えて、図3に示すように、複数のノズル102が2次元に配列された短尺のヘッドモジュール100’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで長尺化することにより、全体として記録媒体22の画像形成領域の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。
各ノズル102に対応して設けられている圧力室104は、その平面形状が概略正方形となっており(図2(a)、(b) 参照)、対角線上の両隅部の一方にノズル102への流出口が設けられ、他方に供給インクの流入口(供給口)106が設けられている。なお、圧力室104の形状は、本例に限定されず、平面形状が四角形(菱形、長方形など)、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。
図4は、インクジェットヘッド100における記録素子単位となる1チャンネル分の液滴吐出素子(1つのノズル102に対応したインク室ユニット)の立体的構成を示す断面図(図2(a)中のX−X線に沿う断面図)である。
図4に示したように、各圧力室104は供給口106を介して共通流路110と連通されている。共通流路110はインク供給源たるインクタンク(不図示)と連通しており、インクタンクから供給されるインクは共通流路110を介して各圧力室104に供給される。
圧力室104の一部の面(図4において天面)を構成している加圧板(共通電極と兼用される振動板)112には個別電極114を備えたアクチュエータ116が接合されている。個別電極114と共通電極間に駆動電圧を印加することによってアクチュエータ116が変形して圧力室104の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル102からインクが吐出される。なお、アクチュエータ116には、チタン酸ジルコン酸鉛やチタン酸バリウムなどの圧電体を用いた圧電素子が好適に用いられる。インク吐出後、アクチュエータ116の変位が元に戻る際に、共通流路110から供給口106を通って新しいインクが圧力室104に再充填される。
入力画像からデジタルハーフトーニング処理によって生成されるドットデータに応じて各ノズル102に対応したアクチュエータ116の駆動を制御することにより、ノズル102からインク滴を吐出させることができる。記録媒体22を一定の速度で副走査方向に搬送しながら、その搬送速度に合わせて各ノズル102のインク吐出タイミングを制御することによって、記録媒体22上に所望の画像を記録することができる。
上述した構造を有するインク室ユニット108を図5に示す如く主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向に沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
即ち、主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット108を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影(正射影)されたノズルのピッチPはd×cosθとなり、主走査方向については、各ノズル102が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影される実質的なノズル列の高密度化を実現することが可能になる。
なお、印字可能幅の全幅に対応した長さのノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時には、(1)全ノズルを同時に駆動する、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動する、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動する等が行われ、記録媒体22の搬送方向と直交する方向に1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)を印字するようなノズルの駆動を主走査と定義する。
特に、図5に示すようなマトリクス状に配置されたノズル102を駆動する場合は、上記(3)のような主走査が好ましい。即ち、ノズル102-11 、102-12 、102-13 、102-14 、102-15 、102-16 を1つのブロックとし(他にはノズル102-21 、…、102-26 を1つのブロック、ノズル102-31 、…、102-36 を1つのブロック、…として)、記録媒体22の搬送速度に応じてノズル102-11 、102-12 、…、102-16 を順次駆動することで記録媒体22の搬送方向と直交する方向に1ラインを印字する。
一方、上述したフルラインヘッドと記録媒体22とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。
そして、上述の主走査によって記録される1ライン(或いは帯状領域の長手方向)の示す方向を主走査方向といい、上述の副走査を行う方向を副走査方向という。即ち、本実施形態では、記録媒体22の搬送方向が副走査方向であり、それに直交する方向が主走査方向ということになる。本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されない。
また、本実施形態では、ピエゾ素子(圧電素子)に代表されるアクチュエータ116の変形によってインク滴を飛ばす方式が採用されているが、インクを吐出させる方式は特に限定されず、ピエゾジェット方式に代えて、ヒータなどの発熱体によってインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばすサーマルジェット方式など、各種方式を適用できる。
(制御系の説明)
図6は、インクジェット記録装置1のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置1は、通信インターフェース120、システムコントローラ122、プリント制御部124、処理液付与制御部126、第1中間搬送制御部128、ヘッドドライバ130、第2中間搬送制御部132、乾燥制御部134、第3中間搬送制御部136、定着制御部138、インラインセンサ90、エンコーダ91、モータドライバ142、メモリ144、ヒータドライバ146、画像バッファメモリ148、吸引制御部149等を備えている。
通信インターフェース120は、ホストコンピュータ150から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース120にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。ホストコンピュータ150から送出された画像データは通信インターフェース120を介してインクジェット記録装置1に取り込まれ、一旦メモリ144に記憶される。
システムコントローラ122は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置1の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。即ち、システムコントローラ122は、通信インターフェース120、処理液付与制御部126、第1中間搬送制御部128、ヘッドドライバ130、第2中間搬送制御部132、乾燥制御部134、第3中間搬送制御部136、定着制御部138、メモリ144、モータドライバ142、ヒータドライバ146、吸引制御部149等の各部を制御し、ホストコンピュータ150との間の通信制御、メモリ144の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ152やヒータ154を制御する制御信号を生成する。
メモリ144は、通信インターフェース120を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ122を通じてデータの読み書きが行われる。メモリ144は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
ROM145には、システムコントローラ122のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されている。なお、ROM145は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。メモリ144は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
モータドライバ142は、システムコントローラ122からの指示にしたがってモータ152を駆動するドライバである。図6には、装置内の各部に配置されるモータを代表して符号152で図示されている。例えば、図6に示すモータ152には、図1の渡し胴52、処理液ドラム54、描画ドラム70、乾燥ドラム76、定着ドラム84、渡し胴94などの回転を駆動するモータ、描画ドラム70の吸引孔から負圧吸引するためのポンプ75の駆動モータ、インクジェットヘッド72M,72C,72Y,72Kのヘッドユニットの退避機構のモータ、などが含まれている。
ヒータドライバ146は、システムコントローラ122からの指示にしたがって、ヒータ154を駆動するドライバである。図6には、インクジェット記録装置1に備えられる複数のヒータを代表して符号154で図示されている。例えば、図6に示すヒータ154には、給紙部10において記録媒体22を予め適温に加熱しておくための不図示のプレヒータ、などが含まれている。
プリント制御部124は、システムコントローラ122の制御にしたがい、メモリ144内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字データ(ドットデータ)をヘッドドライバ130に供給する制御部である。プリント制御部124において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいて、ヘッドドライバ130を介してインクジェットヘッド100のインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
プリント制御部124には画像バッファメモリ148が備えられており、プリント制御部124における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ148に一時的に格納される。なお、図6において画像バッファメモリ148はプリント制御部124に付随する態様で示されているが、メモリ144と兼用することも可能である。また、プリント制御部124とシステムコントローラ122とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
画像入力から印字出力までの処理の流れを概説すると、印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース120を介して外部から入力され、メモリ144に蓄えられる。この段階では、例えば、RGBの画像データがメモリ144に記憶される。
インクジェット記録装置1では、インク(色材)による微細なドットの打滴密度やドットサイズを変えることによって、人の目に疑似的な連続階調の画像を形成するため、入力されたデジタル画像の階調(画像の濃淡)をできるだけ忠実に再現するようなドットパターンに変換する必要がある。そのため、メモリ144に蓄えられた元画像(RGB)のデータは、システムコントローラ122を介してプリント制御部124に送られ、該プリント制御部124において閾値マトリクスや誤差拡散法などを用いたハーフトーニング処理によってインク色ごとのドットデータに変換される。
即ち、プリント制御部124は、入力されたRGB画像データをK,C,M,Yの4色のドットデータに変換する処理を行う。こうして、プリント制御部124で生成されたドットデータは、画像バッファメモリ148に蓄えられる。
ヘッドドライバ130は、プリント制御部124から与えられる印字データ(即ち、画像バッファメモリ148に記憶されたドットデータ)に基づき、インクジェットヘッド100の各ノズル102に対応するアクチュエータ116を駆動するための駆動信号を出力する。ヘッドドライバ130にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
ヘッドドライバ130から出力された駆動信号がインクジェットヘッド100に加えられることによって、該当するノズル102からインクが吐出される。記録媒体22を所定の速度で搬送しながらインクジェットヘッド100からのインク吐出を制御することにより、記録媒体22上に画像が形成される。
また、システムコントローラ122は、処理液付与制御部126、第1中間搬送制御部128、第2中間搬送制御部132、乾燥制御部134、第3中間搬送制御部136、定着制御部138、吸引制御部149を制御する。
処理液付与制御部126は、システムコントローラ122からの指示にしたがい、処理液付与部12の処理液塗布装置56の動作を制御する。具体的には、処理液塗布装置56において、ゴムローラの回転を駆動するゴムローラ回転駆動部156、アニロックスローラの回転を駆動するアニロックスローラ回転駆動部158、処理液容器に処理液を供給する送液ポンプ160等が処理液付与制御部126により制御される。
第1中間搬送制御部128は、システムコントローラ122からの指示にしたがい、第1の中間搬送部24の中間搬送体30の動作を制御する。具体的には、中間搬送体30において、中間搬送体30自体の回転駆動、中間搬送体30に備わる保持手段などを制御する。第2中間搬送制御部132、第3中間搬送制御部136も第1中間搬送制御部128と同様の制御を行う。
(インクジェット記録方法)
上記の如く構成されたインクジェット記録装置1を用いたインクジェット記録方法を図7を用いて説明する。図7(a)に示すように、記録媒体22上に処理液302を付与する。次に処理液302が付与された記録媒体22上に顔料306、樹脂粒子308などを含むインク304を付与する(図7(b))。インク304が記録媒体22上に付与された直後は、顔料306、樹脂粒子308はインク中に分散しているが(図7(c))、処理液302がインク中の成分である顔料306と樹脂粒子308と反応し、凝集させて凝集物310として記録媒体22上に固定化する(図7(d))。その後、乾燥工程を経て、インク中の溶媒を除去することにより、ドット312を形成することができる(図7(e))。
(ドットの形状)
上記の方法で形成された画像において、乾燥後のインクのドット312の形状が、H/Dが0.016以上0.033以下の範囲を満たしている。H/Dを0.033以下とすることにより、ドット側壁での光の乱反射を防止することができ、中間調部での光沢劣化を抑制することができる。したがって、画像全体として、光沢の劣化がなく、滲みを抑制した、光沢性の良好な画像を形成することができる。逆にドット高さを低くしすぎる、すなわち、凝集性能が不足した状態になると、画像に滲みが生じるため、H/Dを0.016以上とする。好ましくは0.016以上0.030以下であり、より好ましくは0.016以上0.024以下である。なお、本発明において、H/Dの形状を規定するドットは、一つの液滴から形成されたドットの形状のことをいい、複数のドットが合一して形成されたドットについても、各液滴から形成されたドットについて判断を行う。
H/Dが0.16以上0.33以下の範囲を満たすドットを形成するためには、インクの固形分量、凝集剤の量、凝集剤の種類などを調整することにより、制御することができる。ドット形状は、主に凝集性能によって変わるので、上記範囲となるように、処理液およびインクを処方することが好ましい。なお、「中間調部」とは、インクの付与量が少なく、各インクのドットがほぼつながらず孤立している部分のことをいう。
従来においても、処理液を用いた記録方法は用いられており、記録媒体22にインクを打滴する際、記録媒体22上には、乾燥によって略固体状になった処理液の薄膜が形成されており、また、十分な量の凝集剤(処理液)が存在する。したがって、濡れ拡がり速度が遅く、且つ、その濡れ拡がりの初期段階で凝集するので、滲みを防止することができる。
しかしながら、凝集反応では、ドット高さが高くなるため、処理液中の成分(凝集剤)の濃度を調整することにより、ドット高さを低くする必要がある。処理液中の凝集剤の濃度は、凝集剤の種類にもよるが、15質量%以上30質量%以下が好ましく、より好ましくは、17.5質量%以上27.5質量%以下であり、さらに好ましくは、20質量%以上25質量%以下である。
また、インク固形分に対する、好ましい凝集剤の濃度は、用いる凝集剤の種類、インク中の顔料の種類、樹脂粒子の種類にもよるが、例えばインクの固形分が10質量%の場合、インクの固形分濃度に対して、1.5〜3倍とすることが好ましい。なお、用いるインクの固形分が10質量%より少ない場合は、凝集力が不足する傾向があるため、濃度を多くすることが必要になる。逆に10質量%より多い場合は、凝集力が強化されるので、必要濃度を少なくできる。
また、図7(e)に示すように、形成されたドット312は、形成された画像の滲みが防止されており、かつ、ドットの端部が前記記録媒体と接する点における接線と前記記録媒体との角度θ(以下、「ドットエッジ部の角度」ともいう)が30°以下であることが好ましく、より好ましくは、25°以下であり、さらに好ましくは20°以下である。接触角を上記範囲とすることにより、記録媒体表面からの光の反射が、ドット側壁部でカットされる頻度を小さくすることができるので、光沢の劣化を抑制することができる。
H/D、角度θを上記範囲とすることにより、光沢の劣化が抑制され、かつ、滲みが防止された画像を形成することができる。なお、光沢の劣化は中間調部において顕著に見られるが、本発明のインクジェット記録装置によれば、全てにおいてこのような形状のドットを形成することができる。しかしながら、インクの打滴が多いベタ部においては、インクの液滴同士がつながり、高い光沢が得られるため、ベタ部において、このような形状のドットが形成されても特に問題はない。
次に、このような形状のドットを形成するための好ましい態様について説明する。
上述したように、凝集系においては、非凝集系と比較し、ドット高さが相対的に高くなってしまう。そこで、凝集成分量(インクの総固形分量を)少なくすることにより、凝集後のドットの体積を減らすことができる。さらに、凝集によりインクの溶媒成分をドット中に取り込んで、ドットが高くなることを防止することができる。
紙種によっては、凝集反応を阻害する成分(炭酸カルシウムなど)をコート層に含んだり、浸透が速く凝集剤が紙中に浸透してしまい、凝集性が不足する紙種もある。このように、処理液およびインクの凝集性を所望のドット高さになるように処方することが難しい場合は、インクの総固形分量を12質量%以下に処方することで、上記のような紙種に対しても凝集性を保ったまま、ドット高さを所望の値に抑えることができる。
また、総固形分量が少なすぎてもインクの凝集力が不足するため好ましくない。画像濃度を確保するための必要顔料濃度および、分散剤、バインダーの必要量の観点も考慮すると、少なくとも総固形分量が6質量%以上とすることが好ましい。
また、上記の方法でも、ドットの形状は所望の範囲とすることができない場合は、加熱・加圧することによって、ドットの高さをおさえ、扁平化させることができる。特に、インク総固形分量が多く、そのため、凝集時にドット内に溶媒を多く抱え込んだ状態のドットは軟らかいので、押圧での扁平化の効果を大きくし、H/Dを所望の範囲とすることができる。
(インクジェット記録装置の他の形態)
上述したインクジェット記録装置1は、記録媒体22をドラムによって搬送する例であるが、ベルトによって搬送するようにしてもよい。図8は、ベルト搬送式のインクジェット記録装置2の構成を模式的に示している。なお、図1に示したインクジェット記録装置1と略同じ構成・作用の部材については同じ符号を付してその説明を省略する。
図8に示すインクジェット記録装置2は主として、処理液付与部12、描画部14、乾燥部16、定着部18で構成され、記録媒体22は、吸着ベルト搬送装置200によって搬送される。
吸着ベルト搬送装置200は、一対のローラ202と、このローラ202間に巻き掛けられた無端状のベルト204から成り、一対のローラ202の少なくとも一方が不図示のモータ等で回転駆動される。これにより、ベルト204が一対のローラ202間を周回走行される。
ベルト204は、記録媒体22の幅よりも広い幅を有しており、ベルト204の上面には多数の吸引口(不図示)が形成される。ベルト204の内側には不図示の吸着チャンバが設けられる。吸着チャンバは、処理液付与部12、描画部14に対向する位置に設けられており、この吸着チャンバを不図示のポンプ等で吸引して負圧にすることによって、ベルト204上の記録媒体22を吸着保持することができる。
なお、吸着ベルト搬送装置200に代えて、ローラでニップ搬送する機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面をローラが接触するので画像が染み易いという問題がある。したがって、本例のように、印字領域では画像面を接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
上記の吸着ベルト搬送装置200によって、記録媒体22は、給紙部(不図示)から処理液付与部12に搬送される。処理液付与部12は、ノズル状の記録ヘッド206を備え、この記録ヘッド206から記録媒体22に向けて処理液を吐出するように構成される。これにより、記録媒体22には処理液が付与されて、処理液層が形成される。なお、処理液付与部12は、ノズル状の記録ヘッド206から吐出する方式に限定するものではなく、塗布ローラを用いた塗布方式を採用することもできる。
処理液が付与された記録媒体22は、記録媒体22の上面に熱風を供給する熱風供給装置208と、記録媒体22の下方に配置された加熱パネル210によって加熱される。その際の加熱温度は、固体粒子の軟化点温度以上の温度または溶融点温度以上の温度が好ましい。
乾燥処理が行われた記録媒体22は描画部14に送られ、各インクジェットヘッド72M,72C,72Y,72Kからインクが打滴される。インクジェットヘッド72M,72C,72Y,72Kは、上述した図1のインクジェット記録装置1の場合と同様の装置を用いることができる。
描画部14の後段には、乾燥部16が設けられる。乾燥部16は、各色インクが打滴された記録媒体22上に残留する溶媒成分を除去する装置であり、記録媒体22の上面に熱風を供給する熱風供給装置212と、記録媒体22の下方に配置された加熱パネル214を備える。この乾燥部16によって、記録媒体22上の溶媒が除去される。
乾燥部16の後段には定着部18が設けられる。定着部18は、記録媒体22を挟んで配置された定着ローラ216、218を備えており、この定着ローラ216、218で加圧、加熱を行うことによって、記録媒体22上の画像が記録媒体22に定着される。
上記の如く構成されたインクジェット記録装置2の場合も、表面張力の小さい順にインクを打滴するので、二次色ドット径の拡大を防止することができる。
以上、本発明のインクジェット記録装置、インクジェット記録方法について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
[記録媒体]
記録媒体は特に限定されるものではないが、インク溶媒の浸透が遅い印刷用コート紙に対して特に、効果的に用いることができる。印刷用コート紙においては、インクが打滴されない白地部とインクが打滴されるベタ部において、光沢に差が出るため、本発明においては、特に印刷用コート紙を用いて画像を形成することにより、本発明の効果を得ることができる。なお、記録媒体の適用範囲は、非浸透性を有する媒体に限定されず、普通紙を用いることも可能であるし、普通紙よりも浸透速度が遅い低浸透性を有する媒体を適用することもできる。以下に、本発明で用いることができる記録媒体を例示するが、なかでも、コート層を有し、60°光沢値が30以上である記録媒体が好ましい。
コート紙に好適に使用可能な支持体としては、例えば、LBKP、NBKP等の化学パルプ;GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ;DIP等の古紙パルプなどの木材パルプと、顔料とを主成分とし、バインダー、さらにサイズ剤、定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤等の各種添加剤を1種以上混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種装置を使用して製造される原紙、さらに澱粉、ポリビニルアルコール等を用いてなるサイズプレスやアンカーコート層を設けた原紙、あるいはこれらのサイズプレスやアンカーコート層の上にコート層を設けてなるアート紙、コート紙、キャストコート紙等の塗工紙などが挙げられる。
これらの原紙あるいは塗工紙をそのまま使用してもよいし、例えばマシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等の装置を使用してカレンダー処理を行ない、平坦化をコントロールした状態で使用してもよい。
支持体の坪量は、通常、40〜300g/m2程度であるが、特に制限されるものではない。本発明で用いられるコート紙は、上記のような支持体上に、コート層を塗設する。コート層は顔料およびバインダーを主成分とする塗被組成物から構成されるものであり、支持体上に少なくとも1層塗設される。
前記顔料としては、白色顔料を好適に使用することができる。このような白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、水酸化マグネシウム等の無機顔料;スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料が挙げられる。
前記バインダーとしては、例えば、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉等の澱粉誘導体;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、ポリビニルアルコールまたはその誘導体;各種鹸化度のポリビニルアルコール又はそのシラノール変性物、カルボキシル化物、カチオン化物等の各種誘導体;ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス;アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス;エチレン酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス;或はこれら各種重合体のカルボキシ基等の官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス;メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化性合成樹脂等の水性接着剤;ポリメチルメタクリレート等のアクリル;酸エステル;メタクリル酸エステルの重合体又は共重合体樹脂;ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等の合成樹脂系接着剤等を挙げることができる。コート層の顔料とバインダーとの配合割合は、顔料100重量部に対し、バインダーが3〜70重量部、好ましくは5〜50重量部である。顔料100重量部に対するバインダーの配合割合が3重量部未満であると、そのような塗被組成物からなるインク受理層の塗膜強度が不足することがある。一方、この配合割合が70重量部を超えると、高沸点溶媒の吸収が極端に遅くなる。
更に、コート層には、例えば、染料定着剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、螢光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤などの各種添加剤を適宜配合することができる。
インク受理層の塗工量は、要求される光沢、インク吸収性、支持体の種類等により異なるので一概には言えないが、通常は1g/m2 以上である。また、インク受理層はある一定の塗工量を2度に分けて塗設してもよい。このように2度に分けて塗設すると、同塗工量を1度に塗設する場合に比較して光沢が向上する。
コート層の塗設は、例えば、各種ブレードコータ、ロールコータ、エアーナイフコータ、バーコータ、ロッドブレードコータ、カーテンコータ、ショートドウェルコータ、サイズプレス等の各種装置をオンマシン或いはオフマシンで使用して行なうことができる。また、コート層の塗設後に、たとえばマシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置を使用してインク受理層の平坦化仕上げを行なってもよい。尚、コート層の層数は、必要に応じて適宜に決定することができる。
コート紙としてはアート紙、上質コート紙、中質コート紙、上質軽量コート紙、中質軽量コート紙、微塗工印刷用紙があり、コート層の塗設量はアート紙で両面40g/m前後、上質コート紙、中質コート紙で両面20g/m前後、上質軽量コート紙、中質軽量コート紙では両面15g/m前後であり、微塗工印刷用紙は両面12g/m以下である。アート紙の例としては特菱アートなどが挙げられ、上質コート紙としてはユーライト、アート紙としては特菱アート(三菱製紙社製)、サテン金藤(王子製紙社製)、等が挙げられ、コート紙としてはOKトップコート(王子製紙社性)、オーロラコート(日本製紙社製)、リサイクルコートT−6(日本製紙社製)が挙げられ、軽量コートとしてはユーライト(日本製紙社製)、ニューVマット(三菱製紙社製)、ニューエイジ(王子製紙社製)、リサイクルマットT−6(日本製紙社製)、ピズム(日本製紙社製)が挙げられる。微塗工印刷用紙としてはオーロラL(日本製紙社製)、キンマリHi−L(北越製紙社製)などが挙げられる。更に、キャストコート紙としてはSA金藤プラス(王子製紙社製)、ハイマッキンレーアート(五條製紙社製)等が挙げられる。
なお、記録媒体は、コート紙に限定されるものではなく、以下にあげる記録媒体を使用することもできる。すなわち、市販の板紙、キャストコート紙、アート紙、上質紙、コピー用紙、再生紙、合成紙、中質紙、感圧紙、エンボス紙、等のグロスあるいはマット紙が好適に使用され、インクジェット専用紙も使用できる。また樹脂フィルムや金属蒸着フォルム等も使用可能である。記録媒体の例としては、OKエルカード+(王子製紙社製)、SA金藤+(王子製紙社製)、サテン金藤N(王子製紙社製)、OKトップコート+(王子製紙社製)、ニューエイジ(王子製紙社製)、特菱アート両面N(三菱製紙社製)、特菱アート片面N(三菱製紙社製)、ニューVマット(三菱製紙社製)、オーロラコート(日本製紙社製)、オーロラL(日本製紙社製)、ユーライト(日本製紙社製)、リサイクルコートT-6(日本製紙社製)、リサイクルマットT-6(日本製紙社製)、アイベストW(日本板紙社製)、インバーコートM(SPAN CORPORATION社製)、ハイマッキンレーアート(五條製紙社製)、キンマリHi-L(北越製紙社製)、Signature True(Newpage corporation社製)、Sterling Ultra(Newpage corporation社製)、Anthem(Newpage corporation社製)、Hanno Art Silk(Sappi社製)、Hanno Art gross(Sappi社製)、Consort Royal Semimatt(Scheufelen社製)、Consort Royal Gross(Scheufelen社製)、Zanders Ikono Silk(m-real社製)、Zanders Ikono Gross(m-real社製)、の坪量60〜350g/mのものが好適に使用される。
[インク]
以下、本発明で使用することができるインクとして、水性インクについて詳細に説明するが本発明は水性インクに限定されず他のインクを用いることができる。水性インクは、樹脂分散剤(A)と、前記樹脂分散剤(A)によって分散された顔料(B)と、自己分散性ポリマー微粒子(C)と、水性液媒体(D)とを少なくとも含んでいる。
<樹脂分散剤(A)>
前記樹脂分散剤(A)は、水性液媒体(D)中での顔料(B)の分散剤として用いるものであり、顔料Bを分散しうる樹脂であれば如何なる樹脂でもかまわないが、樹脂分散剤(A)の構造は、疎水性構造単位(a)と、親水性構造単位(b)とを有することが好ましい。必要に応じて、樹脂分散剤(A)は、前記疎水性構造単位(a)及び前記親水性構造単位(b)とは異なる構造単位(c)を含むことができる。
前記親水性構造単位(b)及び疎水性構造単位(a)の組成としては、それぞれの親水性、疎水性の程度にもよるが、疎水性構造単位(a)が樹脂分散剤(A)全体の質量に対して80質量%を超えて含有されることが好ましく、85質量%以上がより好ましい。即ち、親水性構造単位(b)は15質量%以下にする必要があり、親水性構造単位(b)が15質量%よりも多い場合には、顔料の分散に寄与せず単独で水性液媒体(D)中に溶解する成分が増加し、顔料(B)の分散性等の諸性能を悪化させ、インクジェット記録用インクの吐出性を悪化させる原因となる。
樹脂分散剤(A)として好ましい具体例を以下に示すが、以下に限定されるものではない。
Figure 2010184376
Figure 2010184376
Figure 2010184376
Figure 2010184376
Figure 2010184376
〈顔料(B)と樹脂分散剤(A)の比率〉
顔料(B)と樹脂分散剤(A)の比率は、重量比で100:25〜100:140が好ましく、さらに好ましくは100:25〜100:50である。樹脂分散剤が100:25以上の場合は分散安定性と耐擦性が良化する傾向となる。樹脂分散剤が100:140以下の場合も、分散安定性が良化する傾向となる。
<顔料(B)>
顔料(B)とは化学大辞典第3版1994年4月1日発行(編集 大木道則他)の518頁に記載のように、水、有機溶剤にほとんど不溶の有色物質(無機顔料では白色も含む)の総称であり、有機顔料と無機顔料とを用いることができる。
また、「樹脂分散剤(A)によって分散された顔料(B)」とは、樹脂分散剤(A)によって分散保持されている顔料をいい、水性液媒体(D)に樹脂分散剤(A)を用いて分散保持されている顔料として用いることが好ましい。水性液媒体(D)中には更に分散剤を含んでいても、含んでいなくともよい。
樹脂分散剤(A)によって分散された顔料(B)としては、樹脂分散剤(A)によって分散保持されている顔料であれば、特に限定されないが、中でも、顔料分散の安定性、吐出安定性の観点から、転相法により作製されたマイクロカプセル化顔料であることが一層好ましい。
顔料(B)として、マイクロカプセル化顔料を好ましい例として挙げることができる。マイクロカプセル化顔料とは、顔料が樹脂分散剤(A)で被覆された顔料である。
マイクロカプセル化顔料の樹脂は、前記樹脂分散剤(A)を用いる必要があるが、更に、水に対して自己分散能又は溶解能を有し、かつアニオン性基(酸性)を有する高分子の化合物を樹脂分散剤(A)以外の樹脂に用いることが好ましい。
使用可能な顔料としては、イエローインクの顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、14C、16、17、24、34、35、37、42、53、55、65、73、74、75、81、83、93、95、97、98、100、101、104、108、109、110、114、117、120、128、129、138、150、151、153、154、155、180等が挙げられる。
また、マゼンタインクの顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、48(Ca)、48(Mn)、48:2、48:3、48:4、49、49:1、50、51、52、52:2、53:1、53、55、57(Ca)、57:1、60、60:1、63:1、63:2、64、64:1、81、83、87、88、89、90、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、163、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、209、219等が挙げられ、特に、C.I.ピグメントレッド122が好ましい。
また、シアンインクの顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17:1、22、25、56、60、C.I.バットブルー4、60、63等が挙げられ、特に、C.I.ピグメントブルー15:3が好ましい。
その他のカラーインクの顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19(キナクリドンレッド)、23、38等も挙げられる。その他顔料表面を樹脂等で処理したグラフトカーボン等の加工顔料等も使用できる。
黒色系のものとしては、例えばカーボンブラックが挙げられる。かかるカーボンブラックの具体例としては、三菱化学製のNo.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No2200B 等が、コロンビア社製のRaven5750、Raven5250、Raven5000、Raven3500、Raven1255、Raven700等が、キャボット社製のRegal 400R、Regal330R、Regal660R、Mogul L、Monarch700、Monarch800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400等が、デグッサ社製のColor Black FW1、ColorBlack FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、ColorBlack S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U 、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black4A、Special Black4等が挙げられる。
上記の顔料は、単独種で使用してもよく、また上記した各群内もしくは各群間より複数種選択してこれらを組み合わせて使用してもよい。
<自己分散性ポリマー微粒子(C)>
水性インクは、自己分散性ポリマー微粒子の少なくとも1種を含有する。自己分散性ポリマー微粒子とは、他の界面活性剤の不存在下に、pr樹脂自身が有する官能基(特に、酸性基またはその塩)によって、水性媒体中で分散状態となりうる水不溶性ポリマーであって、遊離の乳化剤を含有しない水不溶性ポリマーの微粒子を意味する。
ここで分散状態とは、水性媒体中に水不溶性ポリマーが液体状態で分散された乳化状態(エマルジョン)、及び、水性媒体中に水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態(サスペンジョン)の両方の状態を含むものである。
水不溶性ポリマーにおいては、水性インクに含有されたときのインク凝集速度とインク定着性の観点から、水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態となりうる水不溶性ポリマーであることが好ましい。
自己分散性ポリマー微粒子は、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を含み、その含有量が10質量%〜95質量%であることが好ましい。芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーの含有量が10質量%〜95質量%であることで、自己乳化又は分散状態の安定性が向上し、更にインク粘度の上昇を抑制することができる。
自己分散状態の安定性、芳香環同士の疎水性相互作用による水性媒体中での粒子形状の安定化、粒子の適度な疎水化による水溶性成分量の低下の観点から、15質量%〜90質量%であることがより好ましく、15質量%〜80質量%であることがより好ましく、25質量%〜70質量%であることが特に好ましい。
自己分散性ポリマー微粒子は、例えば、芳香族基含有モノマーからなる構成単位と、解離性基含有モノマーからなる構成単位とから構成することができるが、必要に応じて、その他の構成単位を更に含んで構成することができる。
自己分散性ポリマー微粒子を構成する水不溶性ポリマーの分子量範囲は、重量平均分子量で、3000〜20万であることが好ましく、5000〜15万であることがより好ましく、10000〜10万であることが更に好ましい。重量平均分子量を3000以上とすることで水溶性成分量を効果的に抑制することができる。また、重量平均分子量を20万以下とすることで、自己分散安定性を高めることができる。尚、重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)によって測定することできる。
自己分散性ポリマー微粒子を構成する水不溶性ポリマーは、ポリマーの親疎水性制御の観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーを共重合比率として15〜90質量%とカルボキシル基含有モノマーとアルキル基含有モノマーとを含み、酸価が25〜100であって、重量平均分子量が3000〜20万であることが好ましく、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーを共重合比率として15〜80質量%とカルボキシル基含有モノマーとアルキル基含有モノマーとを含み、酸価が25〜95であって、重量平均分子量が5000〜15万であることがより好ましい。
自己分散性ポリマー微粒子の平均粒径は、10〜400nmの範囲であることが好ましく、10〜200nmがより好ましく、10〜100nmがさらに好ましい。10nm以上の平均粒径であることで製造適性が向上する。また、400nm以下の平均粒径とすることで保存安定性が向上する。
また、自己分散性ポリマー微粒子の粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布を持つもの、又は単分散の粒径分布を持つもの、いずれでもよい。また、水不溶性粒子を、2種以上混合して使用してもよい。
尚、自己分散性ポリマー微粒子の平均粒径及び粒径分布は、例えば、光散乱法を用いて測定することができる。
自己分散性ポリマー微粒子は、例えば、水性インク組成物に好適に含有させることができ、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<水性液媒体(D)>
インクジェット記録方式の水性インクにおいて、水性液媒体(D)とは、水及び水溶性有機溶媒の混合物を表す。水溶性有機溶媒(以下、「水溶性有機溶剤」ともいう。)は乾燥防止剤、湿潤剤あるいは浸透促進剤の目的で使用される。
インク組成物は、乾燥防止剤、湿潤剤あるいは浸透促進剤の目的のために、水溶性溶剤を用いる。特に、インクジェット記録方式の水系インク組成物として用いる場合は、乾燥防止剤、湿潤剤あるいは浸透促進剤の目的で、水溶性有機溶剤が好ましく使用される。
ノズルのインク噴射口において該インクジェット用インクが乾燥することによる目詰まりを防止する目的で乾燥防止剤や湿潤剤が用いられ、乾燥防止剤や湿潤剤としては、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。
また、インク組成物(特に、インクジェット用インク組成物)を紙により良く浸透させる目的で、浸透促進剤として水溶性有機溶剤が好適に使用される。
カールを抑制する目的のため、(a)水溶性溶剤は、SP値27.5以下の水溶性溶剤を90質量%以上含有し、かつ、下記構造式(1)で表される化合物を含有する。ここで、「SP値27.5以下の水溶性溶剤」と「構造式(1)で表される化合物」とが同一であっても、異なるものであってもよい。
Figure 2010184376
水溶性溶剤の溶解度パラメーター(SP値)とは、分子凝集エネルギーの平方根で表される値で、R.F.Fedors,Polymer Engineering Science,14,p147(1967)に記載の方法で計算することができ、この数値を採用する。
構造式(1)中、l、m、及びnは、それぞれ独立に、1以上の整数で、かつ、l+m+n=3〜15を表す。
l+m+nが3未満だとカール抑制力が小さく、また15を超えると吐出性が悪化する。
上記の中でも、l+m+nが3〜12が好ましく、3〜10がより好ましい。
上記構造式(1)中、AOは、エチレンオキシ及び/又はプロピレンオキシを表すが、中でも、プロピレンオキシ基が好ましい。
前記(AO)、(AO)、及び(AO)の各AOはそれぞれ同一でも異なってもよい。
以下に、SP値が27.5以下に該当する水溶性溶剤及び上記構造式(1)で表される化合物の例について、SP値(カッコ内)と共に示す。但し、これに限定されるものではない。
ジエチレングリコールモノエチルエーテル(22.4)
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(21.5)
トリエチレングリコールモノブチルエーテル(21.1)
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(21.3)
ジプロピレングリコール(27.2)
Figure 2010184376
・nCO(AO)−H (AO=EO又はPOで、比率はEO:PO=1:1) (20.1)
・nCO(AO)10−H (AO=EO又はPOで、比率はEO:PO=1:1) (18.8)
・HO(A’O)40−H (A’O=EO又はPOで、比率はEO:PO=1:3) (18.7)
・HO(A’’O)55−H (A’’O=EO又はPOで、比率はEO:PO=5:6) (18.8)
・HO(PO)−H (24.7)
・HO(PO)−H (21.2)
・1,2−ヘキサンジオール (27.4)
EO、POはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基を表す。
上記構造式(1)の化合物の(a)水溶性溶剤中に占める割合(含有量)は、10%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、更に50%以上が好ましい。その値が高くとも問題は生じるものではない。
上記範囲とすることにより、インクの安定性や吐出性を悪化させずにカールを抑制することができ好ましい。
(a)水溶性溶剤は、単独で使用しても、2種類以上混合して使用しても構わない。
(a)水溶性溶剤の含有量としては、全インク組成物中、安定性および吐出信頼性確保の点から、1質量%以上60質量%以下が好ましく、5質量%以上40質量%以下がより好ましく、10質量%以上30質量%以下が特に好ましく使用される。
(c)水の添加量は特に制限は無いが、全インク組成物中、安定性および吐出信頼性確保の点から、好ましくは10質量%以上99質量%以下であり、より好ましくは30質量%以上80質量%以下であり、更に好ましくは、50質量%以上70質量%以下である。
<界面活性剤>
水性インクには、界面活性剤(以下、表面張力調整剤ともいう。)を添加することが好ましい。界面活性剤としてはノニオン、カチオン、アニオン、ベタイン界面活性剤が挙げられる。表面張力の調整剤の添加量は、インクジェットで良好に打滴するために、水性インクの表面張力を20〜60mN/mに調整する量が好ましく、より好ましくは20〜45mN/m、更に好ましくは25〜40mN/mに調整できる量である。
界面活性剤としては、分子内に親水部と疎水部を合わせ持つ構造を有する化合物等が有効に使用することができ、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤のいずれも使用することができる。更には、上記高分子物質(高分子分散剤)を界面活性剤としても使用することもできる。
<その他の成分>
水性インクはその他の添加剤を含有してもよい。その他の添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、褪色防止剤、防黴剤、pH調整剤、防錆剤、酸化防止剤、乳化安定剤、防腐剤、消泡剤、粘度調整剤、分散安定剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。
[処理液]
処理液は、水性インク中の成分を固定化させる凝集剤の少なくとも1種を含有する。凝集剤は、紙上において水性インクと接触することにより、水性インクを固定化(凝集)可能なものである。例えば、処理液を付与することにより紙上に凝集剤が存在している状態で水性インクが着滴して接触することにより、水性インク中の成分を凝集させて紙上に固定化することができる。
水性インクを固定化(凝集)可能なことが望ましいことから、水性インクと接触した際に水性インク中に溶解しやすい素材であることが好ましく、この点で水溶性の高い多価金属塩はより好ましく、更には水溶性の高い酸性物質が好ましい。また、水性インクと反応してインク全体を固定化させる観点から、2価以上の酸性物質が特に好ましい。また、凝集剤として、カチオン性化合物も使用することができる。
ここで、水性インクの凝集反応は、水性インク中に分散した粒子(着色剤(例えば、顔料)、樹脂粒子等)の分散安定性を減じ、インク全体の粘度を上昇させることで達成することができる。例えば、カルボキシル基等の弱酸性の官能基で分散安定化しているインク中の顔料、樹脂粒子などの粒子の表面電荷を、よりpKaの低い酸性物質と反応させることにより減じ、分散安定性を低下することができる。したがって、処理液に含まれる凝集剤としての酸性物質は、pKaが低く、溶解度が高く、価数が2価以上であることが好ましく、インク中の粒子を分散安定化させている官能基(例えば、カルボキシル基)のpKaよりも低いpH領域に高い緩衝能を有する2価又は3価の酸性物質であることがより好ましい。
具体的には、リン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、クエン酸、フタル酸などが挙げられる。また、これらとpKa、溶解度が類似した他の酸性物質も使用可能である。
これらの酸性物質の中でも、クエン酸は、保水力が高く、凝集したインクの物理強度が高くなる傾向にあり、機械特性がより要求される系で好ましく用いられる。一方、マロン酸は、逆に保水力が低く、処理液の乾燥を早めたい場合に好ましく用いられる。
このように、凝集剤は、水性インクの固定化能とは別の副次的因子により、適宜選択して使用することも可能である。
前記多価金属塩としては、周期表の第2属のアルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウム)、周期表の第3属の遷移金属(例えば、ランタン)、周期表の第13属からのカチオン(例えば、アルミニウム)、ランタニド類(例えば、ネオジム)、の塩を挙げることができる。
前記カチオン性化合物としては、カチオン性界面活性剤が好適に挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、例えば、1級、2級、又は3級アミン塩型の化合物が好ましい。さらに、所望のpH領域でカチオン性を示す両性界面活性剤も使用可能である。
前記凝集剤は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
処理液は、前記凝集剤に加えて、一般には水溶性有機溶剤を含むことができ、更に前記水性インクと同様に、その他の各種添加剤を用いて構成することができる。
水溶性有機溶剤としては前記水性インクと同様に、カールを抑制する目的のため、SP値27.5以下の水溶性溶剤を添加することが好ましい。
なお、上記の有機溶媒は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。また、これらの有機溶剤は、処理液中に、1〜50質量%含有されることが好ましい。
凝集剤の付与量としては、水性インクを安定化させるに足る量であれば特に制限はなく、0.25g/m以上であることが好ましく、水性インクを凝集により固定化しやすい点で、0.30g/m以上1.0g/m未満であることがより好ましく、0.40g/m以上1.0g/m未満であることが更に好ましい。
処理液の表面張力(25℃)は、20mN/m以上60mN/m以下であることが好ましい。より好ましくは、25mN以上50mN/m以下であり、更に好ましくは、25mN/m以上45mN/m以下である。
表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP-Z(協和界面科学株式会社製)を用い、水性インクを25℃の条件下で測定されるものである。
また、処理液の25℃での粘度は、0.5〜3.5ml/mの範囲で塗布を安定に行なう観点から、1.2mPa・s以上15.0mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは2mPa・s以上12mPa・s以下であり、更に好ましくは2mPa・s以上8mPa・s以下である。特に、処理液を紙上に塗布する場合は、粘度(25℃)は2〜8mPa・sが好ましく、2〜6mPa・sがより好ましい。
粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用い、処理液を25℃の条件下で測定されるものである。
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(試験例1)
記録媒体として、三菱製紙製の特菱アート紙(坪量104g/m)、60°光沢値:45)を用いた。
<樹脂分散液P−1の合成>
下記スキームにしたがって、樹脂分散剤(A)の1態様である樹脂分散剤P−1(化8)を合成した。
Figure 2010184376
攪拌機、冷却管を備えた1000mlの三口フラスコに、メチルエチルケトン88gを加え窒素雰囲気下で72℃に加熱し、ここにメチルエチルケトン50gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.85g、ベンジルメタクリレート60g、メタクリル酸10g、メチルメタクリレート30gを溶解した溶液を3時間かけて滴下した。そして、滴下終了後、さらに1時間反応した後、メチルエチルケトン2gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.42gを溶解した溶液を加え、78℃に昇温し4時間加熱した。得られた反応溶液は大過剰量のヘキサンに2回再沈殿し、析出した樹脂を乾燥して樹脂分散剤P−1を96g得た。
得られた樹脂分散剤P−1の組成は、H−NMRで確認し、GPCより求めた重量平均分子量(Mw)は44600であった。さらに、JIS規格(JISK0070:1992)記載の方法により、このポリマーの酸価を求めたところ、65.2mgKOH/gであった。
<自己分散性ポリマー微粒子B−01の合成>
下記スキームにしたがって、自己分散性ポリマー微粒子(C)の1態様である自己分散性ポリマー微粒子B−01を合成した。
即ち、攪拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた2リットルの三口フラスコで形成された反応容器に、メチルエチルケトン360.0gを仕込んで、75℃まで昇温した。
次に、反応容器内の温度を75℃に保ちながら、フェノキシエチルアクリレート180.0g、メチルメタクリレート162.0g、アクリル酸18.0g、メチルエチルケトン72g、及び「V−601」(和光純薬(株)製)1.44gからなる混合溶液を、2時間で滴下が完了するように等速で滴下した。
滴下完了後、「V−601」0.72g、メチルエチルケトン36.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌後、さらに「V−601」0.72g、イソプロパノール36.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌した後、85℃に昇温して、さらに2時間攪拌を続けた。
得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は64000であり、酸価は38.9(mgKOH/g)であった。重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で算出した。使用カラムはTSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ200(東ソー社製)を用いた。
次に、共重合体の重合溶液668.3gを秤量し、イソプロパノール388.3g、1mol/L NaOH水溶液145.7mlを加え、反応容器内温度を80℃に昇温した。次に蒸留水720.1gを20ml/minの速度で滴下し、水分散化せしめた。その後、大気圧下にて反応容器内温度80℃で2時間、85℃で2時間、90℃で2時間保った後、反応容器内を減圧にし、イソプロパノール、メチルエチルケトン、蒸留水を合計で913.7g留去した。これにより、固形分濃度28.0%の自己分散性ポリマー微粒子(B−01)の水分散物(エマルジョン)を得た。
下記に自己分散性ポリマー微粒子B−01の化学構造式を示す。各構成単位の数字は質量比を表す。
Figure 2010184376
<顔料粒子の分散物の作成>
ピグメントブルー15:3(大日精化株式会社製 フタロシアニンブル−A220)10質量部と、樹脂分散剤(P−1)5質量部と、メチルエチルケトン42質量部と、1規定NaOH水溶液5.8質量部と、イオン交換水86.9質量部を混合し、ビーズミルで0.1mmΦジルコニアビーズを使い、2〜6時間分散した。
得られた分散物を減圧下55℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、顔料濃度が10.2質量%のシアン顔料含有樹脂粒子の分散物を得た。
<インクの組成>
上記の樹脂分散剤P−1、自己分散性ポリマー微粒子B−01、シアン顔料含有樹脂粒子の分散物を用い、以下の組成で作成した。なお、試験例において、凝集剤濃度、インクの総固形分量を調整する際は、顔料粒子、マロン酸、イオン交換水の濃度を変更することにより、調整を行った。
・顔料粒子(分散樹脂含む) 3.5質量%
・熱可塑性樹脂(自己分散性ポリマー微粒子B−01) 8.5質量%
・トリオキシプロピレングリセリルエーテル
(サンニックスGP250(三洋化成工業(株)製)) 8.0質量%
・トリプロピレンモノメチルエーテル(日信化学工業(株)製) 8.0質量%
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製) 1.0質量%
・イオン交換水 残部
<処理液の組成>
・マロン酸(和光純薬製) 25.0質量%
・トリオキシプロピレングリセリルエーテル
(サンニックスGP250(三洋化成工業(株)製)) 10.0質量%
・Zonyl FSN−100(デュポン社製) 0.002質量%
・イオン交換水 残部
<評価方法>
印刷物の光沢感・滲みを下記の基準で官能評価を行った。
印刷画像は、濃度パッチ・人物像を含むテストカラーチャート画像を用いた。印刷物の光沢感・滲み度合いは人物像を主に目視観察して、官能評価を実施した。
(光沢感)
◎:全く違和感なし
○:ほとんど違和感なし
△:違和感を感じる部分がある
×:違和感がひどく、問題外
(滲み)
◎:全く滲みなし
○:ほとんど滲みなし
△:一部分滲んでおり、許容範囲外
×:全体的に滲んでおり、問題外
なお、ドット径D、ドット高さH、ドットエッジ部の角度θは、カラーチャート画像の濃度パッチの中間調部(網点40%部)のドットを、レーザ顕微鏡観察やSEMで断面プロファイルを取得することで測定を行った。
(試験例1)
上記インク処理液、図1に示すインクジェット記録装置を用いて、解像度1200×1200dpi、滴量2.4plで打滴し、評価画像を描画した。ドット形状は処理液中の濃度を図9に示す濃度に変更することで調整を行った。図9中の凝集剤の濃度は、[×1]が処理液中の凝集剤濃度が25質量%添加した量を基準として、試験を行った。結果を図9に示す。
図9に示すように、H/Dの範囲が0.033以上である実験No.1〜3においては、光沢感が不良であった。また、H/Dの範囲が0.016以下である実験No.6、7では、滲みの評価が不良であった。試験例1においては、凝集剤の濃度により、H/Dの調節を行っているが、凝集剤濃度の低い実験No.6、7においては、ドット径が大きくなっており、凝集の効果が不十分であることが確認できる。
(試験例2)
試験例1の滴量を2.4plから滴量6plに変更して試験を行った。結果を図10に示す。
図10に示すように、インク滴量を6plに変更した場合でも、H/Dの値を0.016以上0.033以下の範囲とすることにより、光沢性が良好で、滲みが抑制された画像を形成することができた。
(試験例3)
試験例1の実験No.4からインク固形分量を変更した処方のインクを用いて打滴を行った。結果を図11に示す。
図11に示すように、インクの総固形分量が6質量%以上12質量%以下の範囲とすることにより、H/Dの範囲を0.016以上0.033以下の範囲とすることができ、良好な画像を得ることができた。
(試験例4)
試験例3の実験No.15a、16aに対して、インク乾燥後に加熱・加圧定着を行った。結果を図12に示す。図12に示すように、乾燥後に加熱・加圧定着を行うことにより、ドット高さを低くすることができるので、H/Dの値を下げることができ、印刷物の光沢感が良好な画像を形成することができる。
(試験例5)
試験例1の実験No.4からインクの表面張力および凝集剤濃度を調整し、H/Dが同じになるように、調整しドットエッジ部の角度を変更させた。結果を図13に示す。
図13に示すように、実験No.4、21〜24については、H/Dが0.016以上0.033以下の範囲であり、光沢性、滲みとも良好な結果が得られた。特にドットエッジ部の角度が30°以下である実験No.21、22において、良好な結果が得られた。
1…インクジェット記録装置、10…給紙部、12…処理液付与部、14…描画部、16…乾燥部、18…定着部、20…排出部、22…記録媒体、24…第1の中間搬送部、26…第2の中間搬送部、28…第3の中間搬送部、30…中間搬送体、70…描画ドラム、72M,72C,72Y,72K…インクジェットヘッド、76…乾燥ドラム、84…定着ドラム、86…第1の定着ローラ、88…第2の定着ローラ

Claims (11)

  1. インク中の成分を凝集または増粘させる機能を有する処理液を記録媒体上に付与する処理液付与手段と、
    前記処理液が付与された記録媒体上に前記インクを打滴し、画像を形成するインク吐出手段と、
    前記記録媒体上に付与された前記インクを乾燥する乾燥手段と、を備え、
    前記インク吐出手段から前記記録媒体上に打滴されたインク液滴の、乾燥後のドットのドット高さ(H)/ドット径(D)が0.016以上0.033以下となるように画像を形成することを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 少なくとも形成された画像の内、前記乾燥後のドットが孤立している中間調部において前記ドットのドット高さ(H)/ドット径(D)が0.016以上0.033以下を満たすことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記インクは、顔料、樹脂粒子および溶剤を含み、
    前記ドットは、前記顔料および前記樹脂粒子が凝集した凝集物であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記ドットは、前記処理液と前記インクが接触することにより凝集した凝集物から分離された溶媒を乾燥したあとの凝集物であることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記乾燥後のドットの端部が前記記録媒体と接する点における接線と前記記録媒体との角度θが30°以下であることを特徴とする請求項1から4いずれかに記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記インク中の固形分量が6質量%以上12質量%以下であることを特徴とする請求項1から5いずれかに記載のインクジェット記録装置。
  7. 乾燥後に前記画像を加熱・加圧する定着手段を備え、定着後の前記ドットのドット高さ(H)/ドット径(D)が0.016以上0.033以下であることを特徴とする請求項1から6いずれかに記載のインクジェット記録装置。
  8. 前記記録媒体は、60°光沢値が30以上であることを特徴とする請求項1から7いずれかに記載のインクジェット記録装置。
  9. 前記記録媒体への前記処理液中の凝集剤の付与量が、0.25g/m以上1.0g/m以下であることを特徴とする請求項1から8いずれかに記載のインクジェット記録装置。
  10. 前記凝集剤がマロン酸、シュウ酸、リン酸、コハク酸、クエン酸、フタル酸、リンゴ酸から選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1から9いずれかに記載のインクジェット記録装置。
  11. インク中の成分を凝集または増粘させる機能を有する処理液を記録媒体上に付与する処理液付与工程と、
    前記処理液が付与された記録媒体上に前記インクを打滴し、画像を形成するインク吐出工程と、
    前記記録媒体上に付与された前記インクを乾燥する乾燥工程と、を有し、
    前記打滴されたインク液滴の、乾燥後のドットのドット高さ(H)/ドット径(D)が0.016以上0.033以下となるように画像を形成することを特徴とするインクジェット記録方法。
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