JP5088888B2 - インクジェット記録方法 - Google Patents

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本発明は、インクジェット記録方法に係り、特に記録媒体に処理液を付与し、その上にインクを付与して凝集させる二液混合方式のインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録装置は、記録媒体上にインクを連続して打滴することによって画像を形成する装置であり、装置構成が簡単で且つ良好な画質の画像記録が可能であることから、個人用途のホームプリンタをはじめ、業務用途のオフィスプリンタとしても広く使用されている。特に、業務用途のオフィスプリンタにおいては処理の高速化及び高画質化が一層要望されている。
このようなインクジェット記録装置においてインクのドットを隣接して重ねて打滴した際、記録媒体上のインク液滴同士がその表面張力によって合一し、所望のドットが形成できなくなるブリード(着弾干渉)の問題が発生する。ブリードは、ドットが同一色同士の場合はドット形状が崩れてしまい、ドットが異なる色間の場合は混色の問題も加えて発生する。
そこで、記録媒体にまず凝集成分含有の処理液を塗布し、その後にインクを打滴して凝集させる二液混合方法が提案されている。たとえば、特許文献1には、処理液とインクのうち、一方を酸性、他方をアルカリ性にし、紙面上における顔料凝集性を制御する方法が開示されている。この方法によれば、ドット同士の干渉が抑制され、濃度ムラのない鮮鋭な記録を行うことができる。また、インク中の色材の用紙内への浸透を抑えることができ、高い解像度を得ることができる。
このような技術は主として普通紙へのインクジェット記録を志向して開発されているが、近年では、より高画質な路線を志向して、いわゆる印刷用コート紙への記録が試みられている。しかし、印刷用コート紙は一般に疎水性で水系溶媒の浸透性が低いため、コート紙の表面のインクに多くの溶媒(水および高沸点有機溶剤)が残るので、インク像が脆く、定着時にローラオフセット(画像の定着ローラへの剥離)が生じやすいという問題がある。また、印刷用コート紙は種類によって紙地の光沢が異なるため、紙地部分と画像部分との光沢差が発生しやすいという問題がある。したがって、印刷用コート紙を用いる場合には、インクの定着性を確保するとともに、記録画像に適切な光沢を付与することが重要な課題となる。
インクの定着性と画像部の光沢性を調節するためには、記録媒体に付与したインクを乾燥させた後、定着ローラで加熱・加圧することが必要であり、様々な方法が提案されている。たとえば、特許文献2には、オフセット用紙上に印刷した画像を加圧・加熱する方法が記載されている。この方法によれば、オフセット用紙へのインクの定着性を付与することができるとともに、印刷画像の光沢性を回復させることができる。また、特許文献3には、複数種類の定着ローラを設けて選択できるようにしたインクジェット記録装置が記載されている。この装置によれば、記録媒体に応じて定着ローラを選択することによって、所望の光沢性を付与することができる。
特開2004−10633号公報 特開2005−271590号公報 特開2005−271590号公報
しかしながら、上述した二液混合方式で印刷用コート紙にインクジェット記録を行う場合は、引用文献2、3の方法を用いても十分に対応することができず、ローラオフセットが発生したり、光沢が不均一になったりするという問題があった。
本発明はこのような事情に鑑みて成されたもので、二液混合方式で印刷用コート紙にインクジェット記録を行う場合に、オフセットの防止と光沢の均一化を図ることのできるインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1は前記目的を達成するために、印刷用コート紙に凝集剤含有の処理液を付与する処理液付与工程と、前記処理液が付与された印刷用コート紙に、前記処理液によって凝集するインクを打滴するインク打滴工程と、前記印刷用コート紙に付与されたインクを乾燥させる乾燥工程と、前記インクを乾燥させた印刷用コート紙を定着ローラでニップして加圧することによって前記インクを定着させる定着工程と、を備え、前記定着工程は、前記印刷用コート紙の表面粗さRa値が0.35μm以下のコート紙についてはニップ圧力を0.05〜0.30MPaとし、Ra値が0.95μm以上のコート紙についてはニップ圧力を0〜0.05Mpaとするように前記定着ローラの加圧条件を変化させることを特徴とするインクジェット記録方法を提供する。
本発明の発明者は、二液混合方式で印刷用コート紙にインクジェット記録を行う際にオフセットや光沢の不均一が発生する原因として、印刷用コート紙の表面粗さに原因があるという知見を得た。すなわち、二液混合方式でインクジェット記録を行う場合には、インクが処理液によって凝集して粘度が増加するため、インクが平滑化しにくくなり、印刷用コート紙の表面粗さにならって凹凸が形成されやすくなる。したがって、印刷用コート紙がマットコート紙のように表面粗さが大きい場合には、定着工程で局所的に過剰なニップ圧がかかり、オフセットが生じやすくなる。また、二液混合方式でインクジェット記録を行う場合には、紙の表面で顔料粒子が凝集し、ドットが嵩高くなってしまうので、ドットが重ならない中間調領域では画像の凹凸が発生してしまい、光沢が低下する。このため、印刷用コート紙として光沢の高いグロスコート紙を用いると、画像の凹凸部と紙地部分との間に光沢差が発生してしまう。
さらに、本発明の発明者は、印刷用コート紙の表面粗さごとに、定着工程での適切なニップ圧が存在し、この適切なニップ圧に設定することによって、上述したオフセットを防止でき、且つ、光沢差を無くすことができるという知見を得た。
本発明はこのような知見に基づいて成されたもので、印刷用コート紙の表面粗さに応じて定着工程での加圧条件を変化させるので、オフセットを防止できるとともに、適切な光沢を得ることができる。
請求項2に記載の発明は請求項1の発明において、前記印刷用コート紙の中心線表面粗さが0.95μm以上の場合にニップ圧力を0.15MPa以下にすることを特徴とする。このように表面粗さが大きい場合にニップ圧を下げることによって、オフセットを防止でき、且つ、適切な光沢を得ることができる。
請求項3に記載の発明は請求項1または2の発明において、前記定着ローラは、表面が硬度50度以下、厚さ2mm以下のゴムで被覆されることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は請求項1〜3のいずれか1の発明において、前記印刷用コート紙がグロスコート紙であり、前記加圧条件のニップ圧を0.05〜0.30MPaとすることによって、紙地と描画部の60度光沢度の差が20以下となるように変化させることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は請求項1〜3のいずれか1の発明において、前記印刷用コート紙がマットコート紙であり、前記加圧条件ニップ圧を0〜0.05Mpaとすることによって、紙地と描画部の60度光沢度の差が8以下となるように変化させることを特徴とする。
本発明によれば、印刷用コート紙の表面粗さに応じて定着工程の加圧条件を変化させるので、オフセットを防止できるとともに、適切な光沢を得ることができる。
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。本発明では、以下に説明するインクジェット記録装置を用いて画像を形成することができる。
[インクジェット記録装置の全体構成]
まず、本発明が適用されるインクジェット記録装置の全体構成を説明する。
図1は、本実施の形態のインクジェット記録装置1を模式的に示す構成図である。同図に示すインクジェット記録装置1は記録媒体22の記録面に画像を形成する装置であり、主として給紙部10、処理液付与部12、描画部14、乾燥部16、定着部18及び排出部20で構成される。給紙部10には記録媒体22(枚葉紙)が積層されており、この記録媒体22が給紙部10から処理液付与部12に送られ、処理液付与部12で記録面に処理液が付与された後、描画部14で記録面に色インクが付与される。インクが付与された記録媒体22は、定着部18で画像が堅牢化された後、排出部20によって搬送される。
各部の間には中間搬送部24、26、28が設けられ、この中間搬送部24、26、28によって記録媒体22の受け渡しが行われる。すなわち、処理液付与部12と描画部14との間には、第1の中間搬送部24が設けられ、この第1の中間搬送部24によって処理液付与部12から描画部14への記録媒体22の受け渡しが行われる。同様に、描画部14と乾燥部16との間には、第2の中間搬送部26が設けられ、この第2の中間搬送部26によって描画部14から乾燥部16への記録媒体22の受け渡しが行われる。さらに、乾燥部16と定着部18との間には、第3の中間搬送部28が設けられ、この第3の中間搬送部28によって乾燥部16から定着部18への記録媒体22の受け渡しが行われる。
以下、インクジェット記録装置1の各部(給紙部10、処理液付与部12、描画部14、乾燥部16、定着部18、排出部20、第1〜第3の中間搬送部24、26、28)について説明する。
(給紙部)
給紙部10は、記録媒体22を描画部14に供給する機構である。給紙部10には、給紙トレイ50が設けられ、この給紙トレイ50から記録媒体22が一枚ずつ処理液付与部12に給紙される。
(処理液付与部)
処理液付与部12は、記録媒体22の記録面に処理液を付与する機構である。処理液は、描画部14で付与されるインク中の色材(顔料)を凝集または析出させる色材凝集剤を含んでおり、この処理液とインクとが接触することによって、インクは色材と溶媒との分離が促進される。なお、処理液のより詳細な説明については後述する。
図1に示すように、処理液付与部12は、渡し胴52、処理液ドラム54、処理液塗布装置56、温風吹出ノズル58及びIRヒータ60を備えている。渡し胴52は、給紙部10の給紙トレイ50と処理液ドラム54の間に配置され、回転駆動される。給紙部10から給紙された記録媒体22は、この渡し胴52によって受け取られ、処理液ドラム54に受け渡される。なお、渡し胴52の代わりに、後述の中間搬送部を設けてもよい。
処理液ドラム54は、記録媒体22を保持して回転搬送させるドラムであり、回転駆動される。また、処理液ドラム54は、その外周面に爪形状の保持手段を備え、この保持手段によって記録媒体22の先端を保持できるようになっている。記録媒体22は、保持手段によって先端が保持された状態で、処理液ドラム54を回転させることによって回転搬送される。その際、記録媒体22の記録面が外側を向くようにして搬送される。なお、処理液ドラム54の外周面に吸引孔を設けるとともに、その吸引孔から吸引を行うようにしてもよい。これにより記録媒体22を処理液ドラム54の周面に密着保持することができる。
処理液ドラム54の外側には、その周面に対向して処理液塗布装置56、温風吹出ノズル58及びIRヒータ60が設けられる。処理液塗布装置56、温風吹出ノズル58及びIRヒータ60は、処理液ドラム54の回転方向(図1において反時計回り方向)に上流側から順に配設されており、記録媒体22は、まず処理液塗布装置56によって記録面に処理液が塗布される。
処理液塗布装置56の構成は特に限定するものではないが、たとえば、処理液が貯留された処理液容器と、この処理液容器の処理液に一部が浸漬されたアニックスローラと、アニックスローラに当接されて計量を行うスキージと、アニックスローラと処理液ドラム54上の記録媒体22に圧接されて計量後の処理液を記録媒体22に転移するゴムローラとで構成される。この処理液塗布装置56によれば、処理液をスキージで計量しながら記録媒体22に塗布することができる。処理液の膜厚は、描画部14のインクジェットヘッド72M,72C,72Y,72Kから打滴されるインクの液滴径より十分に小さいことが望ましい。例えば、インクの打滴量が2plのときには、液滴の平均直径は15.6μmである。このとき、処理液の膜厚が大きい場合には、インクドットが記録媒体22の表面に接触することなく、処理液内で浮遊する。そこで、インクの打滴量が2plのときに着弾ドット径を30μm以上得るためには、処理液の膜厚を3μm以下にすることが望ましい。
処理液塗布装置56で処理液が塗布された記録媒体22は、温風吹出ノズル58、IRヒータ60の位置に搬送される。温風吹出ノズル58は高温(たとえば70℃)の温風を一定の風量(たとえば9m3/分)で記録媒体22に向けて吹き付けるように構成され、IRヒータ60は高温(たとえば180℃)に制御される。この温風吹出ノズル58とIRヒータ60による加熱によって、処理液の溶媒中の水分が蒸発され、処理液の薄膜層が記録面に形成される。このように処理液を薄層化することによって、描画部14で打滴するインクのドットが記録媒体22の記録面と接触し、必要なドット径が得られるとともに、薄層化した処理液成分と反応して色材凝集が起こり、記録媒体22の記録面に固定する作用が得られやすい。なお、処理液ドラム54を所定の温度(たとえば50℃)に制御するようにしてもよい。
(描画部)
図1に示すように、描画部14は、描画ドラム70と、この描画ドラム70の外周面に対向する位置に近接配置されたインクヘッド72C,72M,72Y,72Kで構成される。インクヘッド72C,72M,72Y,72Kはそれぞれ、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、黒(K)の4色のインクに対応しており、描画ドラム70の回転方向に上流側から順に配置される。
描画ドラム70は、その外周面に記録媒体22を保持し、回転搬送させるドラムであり、回転駆動される。また、描画ドラム70は、その外周面に爪形状の保持手段(不図示)を備え、この保持手段によって記録媒体22の先端を保持できるようになっている。記録媒体22は、保持手段によって先端が保持された状態で、描画ドラム70を回転させることによって回転搬送される。その際、記録媒体22の記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面にインクヘッド72C,72M,72Y,72Kからインクが付与される。
インクヘッド72C,72M,72Y,72Kはそれぞれ、記録媒体22における画像形成領域の最大幅に対応する長さを有するフルライン型のインクジェット方式の記録ヘッド(インクジェットヘッド)であり、そのインク吐出面には、画像形成領域の全幅にわたってインク吐出用のノズルが複数配列されたノズル列が形成されている。各インクヘッド72C,72M,72Y,72Kは、記録媒体22の搬送方向(描画ドラム70の回転方向)と直交する方向に延在するように固定設置される。
各インクヘッド72C,72M,72Y,72Kには、対応する色インクのカセットが取り付けられる。各色インクは、少なくとも、顔料粒子(A)と、顔料を被覆する分散剤ポリマー(B)と、自己分散性ポリマー微粒子(C)とを含有している。
上記の如く構成された各インクの液滴が、各インクヘッド72C,72M,72Y,72Kから、描画ドラム70の外周面に保持された記録媒体22の記録面に向かって吐出される。これにより、処理液付与部12で予め記録面に付与された処理液にインクが接触し、インク中に分散する色材(顔料)が凝集され、色材凝集体が形成される。これにより、記録媒体22上での色材流れなどが防止され、記録媒体22の記録面に画像が形成される。その際、描画部14の描画ドラム70は、処理液付与部12の処理液ドラム54に対して構造上分離しているので、インクヘッド72C,72M,72Y,72Kに処理液が付着することがなく、インクの不吐出要因を低減することができる。
なお、インクと処理液の反応の一例として、処理液に酸を含有させPHダウンにより顔料分散を破壊し凝集するメカニズムを用い、色材滲み、各色インク間の混色、インク滴の着弾時の液合一による打滴干渉を回避することが考えられる。
また、各インクヘッド72C,72M,72Y,72Kの打滴タイミングは、描画ドラム70に配置された回転速度を検出するエンコーダに同期させる。これにより、高精度に着弾位置を決定することができる。また、予め描画ドラム70のフレなどによる速度変動を学習し、エンコーダ91で得られた打滴タイミングを補正して、描画ドラム70のフレ、回転軸の精度、描画ドラム70の外周面の速度に依存せずに打滴ムラを低減させることができる。
さらに、各インクヘッド72C,72M,72Y,72Kのノズル面の清掃、増粘インク排出などのメンテナンス動作は、ヘッドユニットを描画ドラム70から退避させて実施するとよい。
また、本例では、CMYKの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
(乾燥部)
乾燥部16は、色材凝集作用により分離された溶媒に含まれる水分を乾燥させる工程であり、乾燥ドラム76と、この乾燥ドラム76の外周面に対向する位置に配置された第1のIRヒータ78、温風噴出しノズル80、第2のIRヒータ82で構成される。第1のIRヒータ78は、温風噴出しノズル80に対して、乾燥ドラム76の回転方向(図1において反時計回り方向)の上流側に設けられ、第2のIRヒータ82は温風噴出しノズル80の下流側に設けられる。
乾燥ドラム76は、その外周面に記録媒体22を保持して回転搬送させるドラムであり、回転駆動される。また、乾燥ドラム76は、その外周面に爪形状の保持手段を備え、この保持手段によって記録媒体22の先端を保持できるようになっている。記録媒体22は、保持手段によって先端が保持された状態で、乾燥ドラム76を回転させることによって回転搬送される。その際、記録媒体22の記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面に対して第1のIRヒータ78、温風噴出しノズル80、第2のIRヒータ82による乾燥処理が行われる。
温風噴出しノズル80は、所定の温度(たとえば50℃〜70℃)に制御された温風を一定の風量(12m3/分)で記録媒体22に向けて吹き付けるように構成され、第1のIRヒータ78と第2のIRヒータ82はそれぞれ所定の温度(たとえば180℃)に制御される。これらの第1のIRヒータ78、温風噴出しノズル80、第2のIRヒータ82によって、乾燥ドラム76に保持された記録媒体22の記録面のインク溶媒に含まれる水分が蒸発され、乾燥処理が行われる。その際、乾燥部16の乾燥ドラム76は、描画部14の描画ドラム70に対して構造上分離しているので、インクヘッド72C,72M,72Y,72Kにおいて、熱乾燥によるヘッドメニスカス部の乾燥によるインクの不吐出を低減することができる。また、乾燥部16の温度設定に自由度があり、最適な乾燥温度を設定することができる。
乾燥工程での画像表面の到達温度をTd、インクの自己分散性ポリマー微粒子の軟化点をTpとした場合、Td<Tpの関係を満たすように温度制御することが好ましい。Td<Tpに制御することによって、ドット径の縮小を防止することができるとともに、画像褶曲(画像が褶曲状に湾曲した状態)が発生することを防止でき、画像褶曲に伴う画像密着性・耐擦性・画像光沢の低下を防止することができる。ここで、自己分散性ポリマー微粒子の軟化温度Tpは30℃以上70℃以下が好ましい。Tpが30℃未満になると乾燥不足によるオフセットが発生し、Tpが70℃超になると高速記録下において皮膜性が不足するためである。
なお、蒸発した水分は不図示の排出手段によりエアとともに機外に排出するとよい。また、回収されたエアを冷却器(ラジエータ)などで冷却して、液体として回収してもよい。
また、上記の乾燥ドラム76は、その外周面を所定の温度(たとえば60℃以下)に制御するとよい。
さらに、乾燥ドラム76は、その外周面に吸引孔を設けるとともに、吸引孔から吸引を行う吸引手段を接続してもよい。これにより記録媒体22を乾燥ドラム76の周面に密着保持することができる。
(定着部)
定着部18は、定着ドラム84、第1の定着ローラ86、第2の定着ローラ88及びインラインセンサ90で構成される。第1の定着ローラ86、第2の定着ローラ88及びインラインセンサ90は、定着ドラム84の周面に対向する位置に配置され、定着ドラム84の回転方向の上流側から順に配置される。
定着ドラム84は、その外周面に記録媒体22を保持して回転搬送させるドラムであり、回転駆動される。また、定着ドラム84は、その外周面に爪形状の保持手段を備え、この保持手段によって記録媒体22の先端を保持できるようになっている。記録媒体22は、保持手段によって先端が保持された状態で定着ドラム84を回転させることによって、回転搬送される。その際、記録媒体22の記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面に対して、第1の定着ローラ86及び第2の定着ローラ88による定着処理と、インラインセンサ90による検査が行われる。
第1の定着ローラ86及び第2の定着ローラ88は、乾燥させたインクを加熱加圧することによってインク中の自己分散性ポリマー微粒子を溶着し、インクを被膜化させるためのローラ部材であり、記録媒体22を加圧・加熱するように構成される。具体的には、第1の定着ローラ86及び第2の定着ローラ88はそれぞれ、定着ドラム84に対して圧接するように配置されており、定着ドラム84との間でニップローラを構成するようになっている。これにより、記録媒体22は、第1の定着ローラ86と定着ドラム84との間、及び、第2の定着ローラ88と定着ドラム84との間に挟まれ、所定のニップ圧でニップされ、定着処理が行われる。
第1の定着ローラ86、第2の定着ローラ88はそれぞれ、ニップ圧を調節できるように構成されている。図2にニップ圧調節機構の一例を示す。なお、図2には、第2の定着ローラ88のニップ圧調節機構を示すが、第1の定着ローラ86のニップ圧調節機構も同様に構成される。
図2に示すように、第2の定着ローラ88はフレーム81に支持されており、このフレーム81は加圧バー83に支持される。加圧バー83は加圧カム85に当接しており、加圧カム85にはモータ87が接続される。このモータ87によって加圧カム85を回転駆動することによって加圧バー83の保持位置が制御され、ニップ圧が調節される。また、第2の定着ローラ88を定着ドラム84から離すことによって、ニップ圧を解除することもできる。
なお、第1の定着ローラ86、第2の定着ローラ88のニップ圧調節機構は、加圧バーに限定するものではなく、たとえば、定着ドラム84の径方向にロッドを伸縮するシリンダ(不図示)を用いてもよい。この場合にも、ニップ圧を調節することができるとともに、ニップ圧の解除を行うことができる。なお、ニップ圧は、0MPa〜2MPaの範囲で調節可能に構成することが好ましい。
また、第1の定着ローラ86、第2の定着ローラ88は、そのニップ圧が記録媒体22の表面粗さに応じて設定される。たとえば、表面粗さが0.28〜0.35のグロスコート紙の場合は、0.15〜0.30MPaのニップ圧に設定される。また、表面粗さが0.95〜1.29のマップコート紙の場合は、0〜0.05MPaのニップ圧に設定される。このニップ圧は、インク中ポリマー微粒子の軟化点や、記録用紙の表面粗さ、光沢度、紙厚に応じて設定値を変えるとよい。
なお、第1の定着ローラ86、第2の定着ローラ88と、定着ドラム84との一方の表面に弾性層を形成し、記録媒体22に対して均一なニップ幅を持つ構成とするとよい。たとえば、第1の定着ローラ86の表面と第2の定着ローラ88の表面を二層構成とし、さらに、表層側の第1層を離型性素材で構成し、第2層(内側の層)をゴム弾性体素材で構成することが好ましい。第1層を離型性素材とすることによって、ローラが汚れにくくなり、ローラのクリーニング負荷を低減させることができる。また、第2層は、ゴム硬度50度以下のゴム弾性体を用いることが好ましい。第2層を硬度50度以下のゴム弾性体とすることによって、記録媒体22をニップする時間を稼ぐことができ、高速記録での被膜化に有利になる。また、第2層を硬度50度以下とすることによって、記録媒体22に接触する際の低圧化が可能になり、ローラの寿命を向上させることができる。一方、第1の定着ローラ86及び第2の定着ローラ88のローラ表面硬度が70度以下であることが好ましい。ローラの表面硬度を低くすることによって、(一定時間における)画像凹凸に対する追従性が向上し、高速記録での被膜化に有利になる。
また、第1の定着ローラ86及び第2の定着ローラ88は、熱伝導性の良いアルミなどの金属パイプ内にハロゲンランプを組み込んだ加熱ローラによって構成され、所定の温度(たとえば60〜80℃)に制御される。その際の画像表面の到達温度をTfとした場合、インクの自己分散性ポリマー微粒子の軟化点Tpに対して、Tp<Tfの関係を満たすように設定することが好ましい。
なお、第1の定着ローラ86及び第2の定着ローラ88は、その温度を、インク中ポリマー微粒子の軟化点や、記録用紙の表面粗さ、光沢度、紙厚に応じて設定値を変えるとよい。
上記の如く構成された第1の定着ローラ86及び第2の定着ローラ88で記録媒体22を加圧、加熱することによって、インクに含まれるラテックスのTg温度(ガラス転移点温度)以上の熱エネルギーが付与され、ラテックス粒子が溶融される。これにより、記録媒体22の凹凸に押し込み定着が行なわれるとともに、画像表面の凹凸がレベリングされ、光沢性が得られる。
また、第1の定着ローラ86及び第2の定着ローラ88のニップ圧を、記録媒体22の表面粗さに応じて設定するようにしたので、定着性を向上させ、ローラオフセットが発生することを防止できるとともに、紙地部分と画像部分との光沢差を抑制することができる。
なお、上記の実施形態では、加熱と加圧の両方を行う例を示したが、一方のみを行うようにしてもよい。また、第1の定着ローラ86、第2の定着ローラ88は、画像層厚みやラテックス粒子のTg特性により、複数段設けた構成でもよい。さらに、定着ドラム84の表面を所定の温度(たとえば60℃)に制御するようにしてもよい。
一方、インラインセンサ90は、記録媒体22に定着された画像について、チェックパターンや水分量、表面温度、光沢度などを計測するための計測手段であり、CCDラインセンサなどが適用される。
上記の如く構成された定着部18によれば、乾燥部16で形成された薄層の画像層内のラテックス粒子が第1の定着ローラ86、第2の定着ローラ88によって加圧・加熱されて溶融されるので、記録媒体22に固定定着させることができる。また、定着部18によれば、定着ドラム84が他のドラムに対して構造上分離されているので、定着部18の温度設定を、描画部14や乾燥部16と分離して自由に設定することができる。
なお、上記の定着ドラム84は、その外周面に吸引孔を設けるとともに、吸引孔から吸引を行う吸引手段を接続してもよい。これにより記録媒体22を定着ドラム84の周面に密着保持することができる。
(排出部)
図1に示すように、定着部18に続いて排出部20が設けられている。排出部20は、排出トレイ92を備えており、この排出トレイ92と定着部18の定着ドラム84との間に、これらに対接するように渡し胴94、搬送ベルト96、張架ローラ98が設けられている。記録媒体22は、渡し胴94により搬送ベルト96に送られ、排出トレイ92に排出される。
(中間搬送部)
次に、第1の中間搬送部24の構造について説明する。なお、第2の中間搬送部26、第3の中間搬送部28は、第1の中間搬送部24と同様の構成であり、その説明を省略する。
第1の中間搬送部24は、中間搬送体30を有する。中間搬送体30は、前段のドラムから記録媒体22を受け取り、回転搬送させた後、後段のドラムに受け渡すためのドラムであり、回転自在に取り付けられている。また、中間搬送体30は、不図示のモータによって回転するようになっている。
中間搬送体30の外周面には、爪形状の保持手段が90°間隔で設けられている。保持手段は、円軌跡を描きながら回転するようになっており、この保持手段の動作によって記録媒体22の先端が保持される。したがって、保持手段で記録媒体22の先端を保持した状態で中間搬送体30を回転させることによって、記録媒体22を回転搬送させることができる。なお、中間搬送体30の表面に複数の送風口を設け、この送風口からエアを吹き出すことによって、記録媒体の記録面を非接触で搬送するとよい。
第1の中間搬送部24によって搬送された記録媒体22は、後段のドラム(すなわち、描画ドラム70)に受け渡される。その際、中間搬送部24の保持手段と描画部14の保持手段を同期させることによって、記録媒体22の受け渡しが行われる。受け渡された記録媒体22は、描画ドラム70によって保持されて回転搬送される。
(インクヘッドの構造)
次に、各インクヘッドの構造について説明する。色別のインクヘッド72C,72M,72Y,72Kの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号100によってインクヘッドを示すものとする。
図3(a)はインクヘッド100の構造例を示す平面透視図であり、図3(b)はその一部の拡大図である。記録媒体22上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、インクヘッド100におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のインクヘッド100は、図3(a)、(b) に示したように、インク吐出口であるノズル102と、各ノズル102に対応する圧力室104等からなる複数のインク室ユニット(記録素子単位としての液滴吐出素子)108を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(記録媒体22の搬送方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
記録媒体22の搬送方向(図3中矢印S)と略直交する方向(図3中矢印M)に記録媒体22の画像形成領域の全幅に対応する長さにわたり1列以上のノズル列を構成する形態は図示の例に限定されない。例えば、図3(a)の構成に代えて、図4に示すように、複数のノズル102が2次元に配列された短尺のヘッドモジュール100’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで長尺化することにより、全体として記録媒体22の画像形成領域の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。
各ノズル102に対応して設けられている圧力室104は、その平面形状が概略正方形となっており(図3(a)、(b) 参照)、対角線上の両隅部の一方にノズル102への流出口が設けられ、他方に供給インクの流入口(供給口)106が設けられている。なお、圧力室104の形状は、本例に限定されず、平面形状が四角形(菱形、長方形など)、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。
図5は、インクヘッド100における記録素子単位となる1チャンネル分の液滴吐出素子(1つのノズル102に対応したインク室ユニット)の立体的構成を示す断面図(図3(a)中のX−X線に沿う断面図)である。
図5に示したように、各圧力室104は供給口106を介して共通流路110と連通されている。共通流路110はインク供給源たるインクタンク(不図示)と連通しており、インクタンクから供給されるインクは共通流路110を介して各圧力室104に供給される。
圧力室104の一部の面(図5において天面)を構成している加圧板(共通電極と兼用される振動板)112には個別電極114を備えたアクチュエータ116が接合されている。個別電極114と共通電極間に駆動電圧を印加することによってアクチュエータ116が変形して圧力室104の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル102からインクが吐出される。なお、アクチュエータ116には、チタン酸ジルコン酸鉛やチタン酸バリウムなどの圧電体を用いた圧電素子が好適に用いられる。インク吐出後、アクチュエータ116の変位が元に戻る際に、共通流路110から供給口106を通って新しいインクが圧力室104に再充填される。
入力画像からデジタルハーフトーニング処理によって生成されるドットデータに応じて各ノズル102に対応したアクチュエータ116の駆動を制御することにより、ノズル102からインク滴を吐出させることができる。記録媒体22を一定の速度で副走査方向に搬送しながら、その搬送速度に合わせて各ノズル102のインク吐出タイミングを制御することによって、記録媒体22上に所望の画像を記録することができる。
上述した構造を有するインク室ユニット108を図6に示す如く主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向に沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
即ち、主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット108を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影(正射影)されたノズルのピッチPはd×cosθとなり、主走査方向については、各ノズル102が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影される実質的なノズル列の高密度化を実現することが可能になる。
なお、印字可能幅の全幅に対応した長さのノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時には、(1)全ノズルを同時に駆動する、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動する、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動する等が行われ、記録媒体22の搬送方向と直交する方向に1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)を印字するようなノズルの駆動を主走査と定義する。
特に、図6に示すようなマトリクス状に配置されたノズル102を駆動する場合は、上記(3)のような主走査が好ましい。即ち、ノズル102-11 、102-12 、102-13 、102-14 、102-15 、102-16 を1つのブロックとし(他にはノズル102-21 、…、102-26 を1つのブロック、ノズル102-31 、…、102-36 を1つのブロック、…として)、記録媒体22の搬送速度に応じてノズル102-11 、102-12 、…、102-16 を順次駆動することで記録媒体22の搬送方向と直交する方向に1ラインを印字する。
一方、上述したフルラインヘッドと記録媒体22とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。
そして、上述の主走査によって記録される1ライン(或いは帯状領域の長手方向)の示す方向を主走査方向といい、上述の副走査を行う方向を副走査方向という。即ち、本実施形態では、記録媒体22の搬送方向が副走査方向であり、それに直交する方向が主走査方向ということになる。本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されない。
また、本実施形態では、ピエゾ素子(圧電素子)に代表されるアクチュエータ116の変形によってインク滴を飛ばす方式が採用されているが、本発明の実施に際して、インクを吐出させる方式は特に限定されず、ピエゾジェット方式に代えて、ヒータなどの発熱体によってインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばすサーマルジェット方式など、各種方式を適用できる。
(制御系の説明)
図7は、インクジェット記録装置1のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置1は、通信インターフェース120、システムコントローラ122、プリント制御部124、処理液付与制御部126、第1中間搬送制御部128、ヘッドドライバ130、第2中間搬送制御部132、乾燥制御部134、第3中間搬送制御部136、定着制御部138、インラインセンサ90、エンコーダ91、モータドライバ142、メモリ144、ヒータドライバ146、画像バッファメモリ148、吸引制御部149等を備えている。
通信インターフェース120は、ホストコンピュータ150から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース120にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。ホストコンピュータ150から送出された画像データは通信インターフェース120を介してインクジェット記録装置1に取り込まれ、一旦メモリ144に記憶される。
システムコントローラ122は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置1の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。即ち、システムコントローラ122は、通信インターフェース120、処理液付与制御部126、第1中間搬送制御部128、ヘッドドライバ130、第2中間搬送制御部132、乾燥制御部134、第3中間搬送制御部136、定着制御部138、メモリ144、モータドライバ142、ヒータドライバ146、吸引制御部149等の各部を制御し、ホストコンピュータ150との間の通信制御、メモリ144の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ152やヒータ154を制御する制御信号を生成する。
メモリ144は、通信インターフェース120を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ122を通じてデータの読み書きが行われる。メモリ144は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
ROM145には、システムコントローラ122のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されている。なお、ROM145は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。メモリ144は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
モータドライバ142は、システムコントローラ122からの指示にしたがってモータ152を駆動するドライバである。図7には、装置内の各部に配置されるモータを代表して符号152で図示されている。例えば、図7に示すモータ152には、図1の渡し胴52、処理液ドラム54、描画ドラム70、乾燥ドラム76、定着ドラム84、渡し胴94などの回転を駆動するモータ、描画ドラム70の吸引孔から負圧吸引するためのポンプ75の駆動モータ、インクヘッド72C,72M,72Y,72Kのヘッドユニットの退避機構のモータ、などが含まれている。
ヒータドライバ146は、システムコントローラ122からの指示にしたがって、ヒータ154を駆動するドライバである。図7には、インクジェット記録装置1に備えられる複数のヒータを代表して符号154で図示されている。例えば、図7に示すヒータ154には、給紙部10において記録媒体22を予め適温に加熱しておくための不図示のプレヒータ、などが含まれている。
プリント制御部124は、システムコントローラ122の制御にしたがい、メモリ144内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字データ(ドットデータ)をヘッドドライバ130に供給する制御部である。プリント制御部124において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいて、ヘッドドライバ130を介してインクヘッド100のインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
プリント制御部124には画像バッファメモリ148が備えられており、プリント制御部124における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ148に一時的に格納される。なお、図7において画像バッファメモリ148はプリント制御部124に付随する態様で示されているが、メモリ144と兼用することも可能である。また、プリント制御部124とシステムコントローラ122とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
画像入力から印字出力までの処理の流れを概説すると、印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース120を介して外部から入力され、メモリ144に蓄えられる。この段階では、例えば、RGBの画像データがメモリ144に記憶される。
インクジェット記録装置1では、インク(色材) による微細なドットの打滴密度やドットサイズを変えることによって、人の目に疑似的な連続階調の画像を形成するため、入力されたデジタル画像の階調(画像の濃淡)をできるだけ忠実に再現するようなドットパターンに変換する必要がある。そのため、メモリ144に蓄えられた元画像(RGB)のデータは、システムコントローラ122を介してプリント制御部124に送られ、該プリント制御部124において閾値マトリクスや誤差拡散法などを用いたハーフトーニング処理によってインク色ごとのドットデータに変換される。
即ち、プリント制御部124は、入力されたRGB画像データをK,C,M,Yの4色のドットデータに変換する処理を行う。こうして、プリント制御部124で生成されたドットデータは、画像バッファメモリ148に蓄えられる。
ヘッドドライバ130は、プリント制御部124から与えられる印字データ(即ち、画像バッファメモリ148に記憶されたドットデータ)に基づき、インクヘッド100の各ノズル102に対応するアクチュエータ116を駆動するための駆動信号を出力する。ヘッドドライバ130にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
ヘッドドライバ130から出力された駆動信号がインクヘッド100に加えられることによって、該当するノズル102からインクが吐出される。記録媒体22を所定の速度で搬送しながらインクヘッド100からのインク吐出を制御することにより、記録媒体22上に画像が形成される。
また、システムコントローラ122は、処理液付与制御部126、第1中間搬送制御部128、第2中間搬送制御部132、乾燥制御部134、第3中間搬送制御部136、定着制御部138、吸引制御部149を制御する。
処理液付与制御部126は、システムコントローラ122からの指示にしたがい、処理液付与部12の処理液塗布装置56の動作を制御する。
第1中間搬送制御部128は、システムコントローラ122からの指示にしたがい、第1の中間搬送部24の中間搬送体30の動作を制御する。具体的には、中間搬送体30において、中間搬送体30自体の回転駆動、中間搬送体30に備わる保持手段の回動などを制御する。第2中間搬送制御部132、第3中間搬送制御部136も第1中間搬送制御部128と同様の制御を行う。
(インクジェット記録装置の特有の効果)
本実施の形態のインクジェット記録装置1によれば、記録媒体22の表面粗さに応じてニップ圧を調節するので、オフセットの防止と、適切な光沢の両方を得ることができる。以下にそのメカニズムについて説明する。
二液混合方式で印刷用コート紙にインクジェット記録を行った場合、ローラオフセットが発生しやすく、光沢も不均一になりやすいという問題がある。これは、二液混合方式の場合、インクが処理液によって凝集して粘度が増加するため、インクが平滑化しにくくなり、コート紙の表面粗さにならって凹凸が形成されやすくなるためである。その結果、マットコート紙のように表面粗さが大きい場合には、定着部で局所的に過剰なニップ圧がかかり、オフセットが生じやすくなる。さらに、二液混合方式の場合は、紙の表面で顔料粒子が凝集し、ドットが嵩高くなってしまうので、ドットが重ならない中間調領域では画像の凹凸が発生してしまい、光沢が低下する。その結果、光沢の高いグロスコート紙を用いると、画像の凹凸部と紙地部分との間に光沢差が発生する。
このように二液混合方式で且つ記録媒体22がコート紙の場合は、記録媒体22の表面粗さの影響を受けやすくなり、オフセットや光沢差が発生する。このオフセットや光沢差は、記録媒体22の表面粗さに応じて定着部でのニップ圧を調節することによって防止できる。すなわち、記録媒体22の表面粗ごとに適切なニップ圧が存在し、この適切なニップ圧に設定することによって、上述したオフセットを防止でき、且つ、光沢差を無くすことができる。
本実施の形態では、記録媒体22の表面粗さに応じてニップ圧を調節するようにしたので、二液混合方式でコート紙にインクジェット記録を行う場合であっても、ローラオフセットを防止でき、且つ、適切な光沢度を得ることができる。
(インクジェット記録装置の他の形態)
上述したインクジェット記録装置1は、記録媒体22をドラムによって搬送する例であるが、ベルトによって搬送するようにしてもよい。図8は、ベルト搬送式のインクジェット記録装置2の構成を模式的に示している。なお、図1に示したインクジェット記録装置1と略同じ構成・作用の部材については同じ符号を付してその説明を省略する。
図8に示すインクジェット記録装置2は主として、処理液付与部12、描画部14、乾燥部16、定着部18で構成され、記録媒体22は、吸着ベルト搬送装置200によって搬送される。
吸着ベルト搬送装置200は、一対のローラ202と、このローラ202間に巻き掛けられた無端状のベルト204から成り、一対のローラ202の少なくとも一方が不図示のモータ等で回転駆動される。これにより、ベルト204が一対のローラ202間を周回走行される。
ベルト204は、記録媒体22の幅よりも広い幅を有しており、ベルト204の上面には多数の吸引口(不図示)が形成される。ベルト204の内側には不図示の吸着チャンバが設けられる。吸着チャンバは、処理液付与部12、描画部14に対向する位置に設けられており、この吸着チャンバを不図示のポンプ等で吸引して負圧にすることによって、ベルト204上の記録媒体22を吸着保持することができる。
なお、吸着ベルト搬送装置200に代えて、ローラでニップ搬送する機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面をローラが接触するので画像が染み易いという問題がある。したがって、本例のように、印字領域では画像面を接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
上記の吸着ベルト搬送装置200によって、記録媒体22は、給紙部(不図示)から処理液付与部12に搬送される。処理液付与部12は、ノズル状の記録ヘッド206を備え、この記録ヘッド206から記録媒体22に向けて処理液を吐出するように構成される。これにより、記録媒体22には処理液が付与されて、処理液層が形成される。なお、処理液付与部12は、ノズル状の記録ヘッド206から吐出する方式に限定するものではなく、塗布ローラを用いた塗布方式を採用することもできる。
処理液が付与された記録媒体22は、記録媒体22の上面に熱風を供給する熱風供給装置208と、記録媒体22の下方に配置された加熱パネル210によって加熱される。その際の加熱温度は、固体粒子の軟化点温度以上の温度または溶融点温度以上の温度が好ましい。
乾燥処理が行われた記録媒体22は描画部14に送られ、各インクジェットヘッド72M,72C,72Y,72Kからインクが打滴される。
描画部14の後段には、乾燥部16が設けられる。乾燥部16は、各色インクが打滴された記録媒体22上に残留する溶媒成分を除去する装置であり、記録媒体22の上面に熱風を供給する熱風供給装置212と、記録媒体22の下方に配置された加熱パネル214を備える。この乾燥部16によって、記録媒体22上の溶媒が除去される。
乾燥部16の後段には定着部18が設けられる。定着部18は、記録媒体22を挟んで配置された定着ローラ216、218を備えており、この定着ローラ216、218で加圧、加熱を行うことによって、記録媒体22上の画像が記録媒体22に定着される。
定着ローラ216、218の少なくとも一方は、もう一方の定着ローラ216、218に対して進退自在に支持される。これにより定着ローラ216、218によるニップ圧を調節することができ、さらにニップ圧を解除することもできる。定着ローラ216、218によるニップ圧は、記録媒体22の表面粗さに応じて調節される。
上記の如く構成されたインクジェット記録装置2の場合も、記録媒体22の表面粗さに応じて定着部18でのニップ圧を調節するので、ローラオフセットを防止できるとともに、画像の凹凸部と紙地部分との間の光沢差を無くすことができる。
以上は、本発明のインクジェット記録装置、インクジェット記録方法について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
[記録媒体]
本発明で用いられる記録媒体は特に限定されるものではないが、インク溶媒の浸透が遅い印刷用コート紙に対して特に好ましい結果を得る事ができる。
コート紙に好適に使用可能な支持体としては、例えば、LBKP、NBKP等の化学パルプ;GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ;DIP等の古紙パルプなどの木材パルプと、顔料とを主成分とし、バインダー、さらにサイズ剤、定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤等の各種添加剤を1種以上混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種装置を使用して製造される原紙、さらに澱粉、ポリビニルアルコール等を用いてなるサイズプレスやアンカーコート層を設けた原紙、あるいはこれらのサイズプレスやアンカーコート層の上にコート層を設けてなるアート紙、コート紙、キャストコート紙等の塗工紙などが挙げられる。
支持体の坪量は、通常、40〜300g/m 程度であるが、特に制限されるものではない。本発明で用いられるコート紙は、上記のような支持体上に、コート層を塗設する。コート層は顔料およびバインダーを主成分とする塗被組成物から構成されるものであり、支持体上に少なくとも1層塗設される。
前記顔料としては、白色顔料を好適に使用することができる。このような白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、水酸化マグネシウム等の無機顔料;スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料が挙げられる。
前記バインダーとしては、例えば、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉等の澱粉誘導体;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、ポリビニルアルコールまたはその誘導体;各種鹸化度のポリビニルアルコール又はそのシラノール変性物、カルボキシル化物、カチオン化物等の各種誘導体;ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス;アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス;エチレン酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス;或はこれら各種重合体のカルボキシ基等の官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス;メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化性合成樹脂等の水性接着剤;ポリメチルメタクリレート等のアクリル;酸エステル;メタクリル酸エステルの重合体又は共重合体樹脂;ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等の合成樹脂系接着剤等を挙げることができる。コート層の顔料とバインダーとの配合割合は、顔料100重量部に対し、バインダーが3〜70重量部、好ましくは5〜50重量部である。顔料100重量部に対するバインダーの配合割合が3重量部未満であると、そのような塗被組成物からなるインク受理層の塗膜強度が不足することがある。一方、この配合割合が70重量部を超えると、高沸点溶媒の吸収が極端に遅くなる。
更に、コート層には、例えば、染料定着剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、螢光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤などの各種添加剤を適宜配合することができる。
インク受理層の塗工量は、要求される光沢、インク吸収性、支持体の種類等により異なるので一概には言えないが、通常は1g/m 以上である。また、インク受理層はある一定の塗工量を2度に分けて塗設してもよい。このように2度に分けて塗設すると、同塗工量を1度に塗設する場合に比較して光沢が向上する。
コート層の塗設は、例えば、各種ブレードコータ、ロールコータ、エアーナイフコータ、バーコータ、ロッドブレードコータ、カーテンコータ、ショートドウェルコータ、サイズプレス等の各種装置をオンマシン或いはオフマシンで使用して行なうことができる。また、コート層の塗設後に、たとえばマシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置を使用してインク受理層の平坦化仕上げを行なってもよい。尚、コート層の層数は、必要に応じて適宜に決定することができる。
コート紙としてはアート紙、上質コート紙、中質コート紙、上質軽量コート紙、中質軽量コート紙、微塗工印刷用紙があり、コート層の塗設量はアート紙で両面40g/m前後、上質コート紙、中質コート紙で両面20g/m前後、上質軽量コート紙、中質軽量コート紙では両面15g/m前後であり、微塗工印刷用紙は両面12g/m以下である。アート紙の例としては特菱アートなどが挙げられ、上質コート紙としてはユーライト、アート紙としては特菱アート(三菱製紙社製)、サテン金藤(王子製紙社製)、等が挙げられ、コート紙としてはOKトップコート(王子製紙社性)、オーロラコート(日本製紙社製)、リサイクルコートT−6(日本製紙社製)が挙げられ、軽量コートとしてはユーライト(日本製紙社製)、ニューVマット(三菱製紙社製)、ニューエイジ(王子製紙社製)、リサイクルマットT−6(日本製紙社製)、ピズム(日本製紙社製)が挙げられる。微塗工印刷用紙としてはオーロラL(日本製紙社製)、キンマリHi−L(北越製紙社製)などが挙げられる。更に、キャストコート紙としてはSA金藤プラス(王子製紙社製)、ハイマッキンレーアート(五條製紙社製)等が挙げられる。
[水性インク]
以下、本発明で使用する水性インクについて詳細に説明する。水性インクは、樹脂分散剤(A)と、前記樹脂分散剤(A)によって分散された顔料(B)と、自己分散性ポリマー微粒子(C)と、水性液媒体(D)とを少なくとも含んでいる。
<樹脂分散剤(A)>
前記樹脂分散剤(A)は、水性液媒体(D)中での顔料(B)の分散剤として用いるものであり、顔料Bを分散しうる樹脂であれば如何なる樹脂でもかまわないが、樹脂分散剤(A)の構造は、疎水性構造単位(a)と、親水性構造単位(b)とを有することが好ましい。必要に応じて、樹脂分散剤(A)は、前記疎水性構造単位(a)及び前記親水性構造単位(b)とは異なる構造単位(c)を含むことができる。
前記親水性構造単位(b)及び疎水性構造単位(a)の組成としては、それぞれの親水性、疎水性の程度にもよるが、疎水性構造単位(a)が樹脂分散剤(A)全体の質量に対して80質量%を超えて含有されることが好ましく、85質量%以上がより好ましい。即ち、親水性構造単位(b)は15質量%以下にする必要があり、親水性構造単位(b)が15質量%よりも多い場合には、顔料の分散に寄与せず単独で水性液媒体(D)中に溶解する成分が増加し、顔料(B)の分散性等の諸性能を悪化させ、インクジェット記録用インクの吐出性を悪化させる原因となる。
本発明における樹脂分散剤(A)として好ましい具体例を以下に示すが、本発明は以下に限定されるものではない。
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〈顔料(B)と樹脂分散剤(A)の比率〉
顔料(B)と樹脂分散剤(A)の比率は、重量比で100:25〜100:140が好ましく、さらに好ましくは100:25〜100:50である。樹脂分散剤が100:25以上の場合は分散安定性と耐擦性が良化する傾向となる。樹脂分散剤が100:140以下の場合も、分散安定性が良化する傾向となる。
<顔料(B)>
本発明において、顔料(B)とは化学大辞典第3版1994年4月1日発行(編集 大木道則他)の518頁に記載のように、水、有機溶剤にほとんど不溶の有色物質(無機顔料では白色も含む)の総称であり、本発明では有機顔料と無機顔料とを用いることができる。
また、本発明において、「樹脂分散剤(A)によって分散された顔料(B)」とは、樹脂分散剤(A)によって分散保持されている顔料をいい、水性液媒体(D)に樹脂分散剤(A)を用いて分散保持されている顔料として用いることが好ましい。水性液媒体(D)中には更に分散剤を含んでいても、含んでいなくともよい。
本発明において、樹脂分散剤(A)によって分散された顔料(B)としては、樹脂分散剤(A)によって分散保持されている顔料であれば、特に限定されないが、中でも、顔料分散の安定性、吐出安定性の観点から、転相法により作製されたマイクロカプセル化顔料であることが一層好ましい。
本発明に含有される顔料(B)として、マイクロカプセル化顔料を好ましい例として挙げることができる。マイクロカプセル化顔料とは、顔料が樹脂分散剤(A)で被覆された顔料である。
マイクロカプセル化顔料の樹脂は、前記樹脂分散剤(A)を用いる必要があるが、更に、水に対して自己分散能又は溶解能を有し、かつアニオン性基(酸性)を有する高分子の化合物を樹脂分散剤(A)以外の樹脂に用いることが好ましい。
本発明において使用可能な顔料としては、イエローインクの顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、14C、16、17、24、34、35、37、42、53、55、65、73、74、75、81、83、93、95、97、98、100、101、104、108、109、110、114、117、120、128、129、138、150、151、153、154、155、180等が挙げられる。
また、マゼンタインクの顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、48(Ca)、48(Mn)、48:2、48:3、48:4、49、49:1、50、51、52、52:2、53:1、53、55、57(Ca)、57:1、60、60:1、63:1、63:2、64、64:1、81、83、87、88、89、90、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、163、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、209、219等が挙げられ、特に、C.I.ピグメントレッド122が好ましい。
また、シアンインクの顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17:1、22、25、56、60、C.I.バットブルー4、60、63等が挙げられ、特に、C.I.ピグメントブルー15:3が好ましい。
その他のカラーインクの顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19(キナクリドンレッド)、23、38等も挙げられる。その他顔料表面を樹脂等で処理したグラフトカーボン等の加工顔料等も使用できる。
黒色系のものとしては、例えばカーボンブラックが挙げられる。かかるカーボンブラックの具体例としては、三菱化学製のNo.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No2200B 等が、コロンビア社製のRaven5750、Raven5250、Raven5000、Raven3500、Raven1255、Raven700等が、キャボット社製のRegal 400R、Regal330R、Regal660R、Mogul L、Monarch700、Monarch800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400等が、デグッサ社製のColor Black
FW1、ColorBlack FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、ColorBlack S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U 、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black4A、Special Black4等が挙げられる。
上記の顔料は、単独種で使用してもよく、また上記した各群内もしくは各群間より複数種選択してこれらを組み合わせて使用してもよい。
本発明における水性インク中の顔料(B)の含有量としては、水性インクの分散安定性、濃度の観点から、1〜10質量%が好ましく、2〜8質量%がより好ましく、2〜6質量%が特に好ましい。
<自己分散性ポリマー微粒子(C)>
本発明に用いられる水性インクは、自己分散性ポリマー微粒子の少なくとも1種を含有する。本発明における自己分散性ポリマー微粒子とは、他の界面活性剤の不存在下に、pr樹脂自身が有する官能基(特に、酸性基またはその塩)によって、水性媒体中で分散状態となりうる水不溶性ポリマーであって、遊離の乳化剤を含有しない水不溶性ポリマーの微粒子を意味する。
ここで分散状態とは、水性媒体中に水不溶性ポリマーが液体状態で分散された乳化状態(エマルジョン)、及び、水性媒体中に水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態(サスペンジョン)の両方の状態を含むものである。
本発明における水不溶性ポリマーにおいては、水溶性インクに含有されたときのインク凝集速度とインク定着性の観点から、水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態となりうる水不溶性ポリマーであることが好ましい。
本発明における自己分散性ポリマー微粒子は、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を含み、その含有量が10質量%〜95質量%であることが好ましい。芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーの含有量が10質量%〜95質量%であることで、自己乳化又は分散状態の安定性が向上し、更にインク粘度の上昇を抑制することができる。
本発明においては、自己分散状態の安定性、芳香環同士の疎水性相互作用による水性媒体中での粒子形状の安定化、粒子の適度な疎水化による水溶性成分量の低下の観点から、15質量%〜90質量%であることがより好ましく、15質量%〜80質量%であることがより好ましく、25質量%〜70質量%であることが特に好ましい。
本発明における自己分散性ポリマー微粒子は、例えば、芳香族基含有モノマーからなる構成単位と、解離性基含有モノマーからなる構成単位とから構成することができるが、必要に応じて、その他の構成単位を更に含んで構成することができる。
本発明における自己分散性ポリマー微粒子を構成する水不溶性ポリマーの分子量範囲は、重量平均分子量で、3000〜20万であることが好ましく、5000〜15万であることがより好ましく、10000〜10万であることが更に好ましい。重量平均分子量を3000以上とすることで水溶性成分量を効果的に抑制することができる。また、重量平均分子量を20万以下とすることで、自己分散安定性を高めることができる。尚、重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)によって測定することできる。
本発明における自己分散性ポリマー微粒子を構成する水不溶性ポリマーは、ポリマーの親疎水性制御の観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーを共重合比率として15〜90質量%とカルボキシル基含有モノマーとアルキル基含有モノマーとを含み、酸価が25〜100であって、重量平均分子量が3000〜20万であることが好ましく、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーを共重合比率として15〜80質量%とカルボキシル基含有モノマーとアルキル基含有モノマーとを含み、酸価が25〜95であって、重量平均分子量が5000〜15万であることがより好ましい。
本発明における自己分散性ポリマー微粒子の平均粒径は、10〜400nmの範囲であることが好ましく、10〜200nmがより好ましく、10〜100nmがさらに好ましい。10nm以上の平均粒径であることで製造適性が向上する。また、400nm以下の平均粒径とすることで保存安定性が向上する。
また、自己分散性ポリマー微粒子の粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布を持つもの、又は単分散の粒径分布を持つもの、いずれでもよい。また、水不溶性粒子を、2種以上混合して使用してもよい。
尚、自己分散性ポリマー微粒子の平均粒径及び粒径分布は、例えば、光散乱法を用いて測定することができる。
本発明の自己分散性ポリマー微粒子は、例えば、水性インク組成物に好適に含有させることができ、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<水性液媒体(D)>
インクジェット記録方式の水性インクにおいて、水性液媒体(D)とは、水及び水溶性有機溶媒の混合物を表す。水溶性有機溶媒(以下、「水溶性有機溶剤」ともいう。)は乾燥防止剤、湿潤剤あるいは浸透促進剤の目的で使用される。
インク組成物は、乾燥防止剤、湿潤剤あるいは浸透促進剤の目的のために、水溶性溶剤を用いる。特に、インクジェット記録方式の水系インク組成物として用いる場合は、乾燥防止剤、湿潤剤あるいは浸透促進剤の目的で、水溶性有機溶剤が好ましく使用される。
ノズルのインク噴射口において該インクジェット用インクが乾燥することによる目詰まりを防止する目的で乾燥防止剤や湿潤剤が用いられ、乾燥防止剤や湿潤剤としては、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。
また、インク組成物(特に、インクジェット用インク組成物)を紙により良く浸透させる目的で、浸透促進剤として水溶性有機溶剤が好適に使用される。
本発明においては、カールを抑制する目的のため、(a)水溶性溶剤は、SP値27.5以下の水溶性溶剤を90質量%以上含有し、かつ、下記構造式(1)で表される化合物を含有する。ここで、「SP値27.5以下の水溶性溶剤」と「構造式(1)で表される化合物」とが同一であっても、異なるものであってもよい。
本発明でいう水溶性溶剤の溶解度パラメーター(SP値)とは、分子凝集エネルギーの平方根で表される値で、R.F.Fedors,Polymer Engineering Science,14,p147(1967)に記載の方法で計算することができ、本発明においてはこの数値を採用する。
本発明に使用される(a)水溶性溶剤は、単独で使用しても、2種類以上混合して使用しても構わない。
(a)水溶性溶剤の含有量としては、全インク組成物中、安定性および吐出信頼性確保の点から、1質量%以上60質量%以下が好ましく、5質量%以上40質量%以下がより好ましく、10質量%以上30質量%以下が特に好ましく使用される。
本発明に使用される(c)水の添加量は特に制限は無いが、全インク組成物中、安定性および吐出信頼性確保の点から、好ましくは10質量%以上99質量%以下であり、より好ましくは30質量%以上80質量%以下であり、更に好ましくは、50質量%以上70質量%以下である。
<界面活性剤>
本発明における水性インクには、界面活性剤(以下、表面張力調整剤ともいう。)を添加することが好ましい。界面活性剤としてはノニオン、カチオン、アニオン、ベタイン界面活性剤が挙げられる。表面張力の調整剤の添加量は、インクジェットで良好に打滴するために、本発明における水性インクの表面張力を20〜60mN/mに調整する量が好ましく、より好ましくは20〜45mN/m、更に好ましくは25〜40mN/mに調整できる量である。
界面活性剤としては、分子内に親水部と疎水部を合わせ持つ構造を有する化合物等が有効に使用することができ、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤のいずれも使用することができる。更には、上記高分子物質(高分子分散剤)を界面活性剤としても使用することもできる。
<その他成分>
本発明に使用される水性インクはその他の添加剤を含有してもよい。その他の添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、褪色防止剤、防黴剤、pH調整剤、防錆剤、酸化防止剤、乳化安定剤、防腐剤、消泡剤、粘度調整剤、分散安定剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。
[処理液]
本発明における水性処理液は、水性インク中の成分を固定化させる固定化剤の少なくとも1種を含有する。本発明における固定化剤は、紙上において水性インクと接触することにより、水性インクを固定化(凝集)可能なものである。例えば、水性処理液を付与することにより紙上に固定化剤が存在している状態で水性インクが着滴して接触することにより、水性インク中の成分を凝集させて紙上に固定化することができる。
水性インクを固定化(凝集)可能なことが望ましいことから、水性インクと接触した際に水性インク中に溶解しやすい素材であることが好ましく、この点で水溶性の高い多価金属塩はより好ましく、更には水溶性の高い酸性物質が好ましい。また、水性インクと反応してインク全体を固定化させる観点から、2価以上の酸性物質が特に好ましい。また、固定化剤として、カチオン性化合物も使用することができる。
ここで、水性インクの凝集反応は、水性インク中に分散した粒子(着色剤(例えば、顔料)、樹脂粒子等)の分散安定性を減じ、インク全体の粘度を上昇させることで達成することができる。例えば、カルボキシル基等の弱酸性の官能基で分散安定化しているインク中の顔料、樹脂粒子などの粒子の表面電荷を、よりpKaの低い酸性物質と反応させることにより減じ、分散安定性を低下することができる。したがって、水性処理液に含まれる固定化剤としての酸性物質は、pKaが低く、溶解度が高く、価数が2価以上であることが好ましく、インク中の粒子を分散安定化させている官能基(例えば、カルボキシル基)のpKaよりも低いpH領域に高い緩衝能を有する2価又は3価の酸性物質であることがより好ましい。
具体的には、リン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、クエン酸、フタル酸などが挙げられる。また、これらとpKa、溶解度が類似した他の酸性物質も使用可能である。
これらの酸性物質の中でも、クエン酸は、保水力が高く、凝集したインクの物理強度が高くなる傾向にあり、機械特性がより要求される系で好ましく用いられる。一方、マロン酸は、逆に保水力が低く、処理液の乾燥を早めたい場合に好ましく用いられる。
このように、固定化剤は、水性インクの固定化能とは別の副次的因子により、適宜選択して使用することも可能である。
前記多価金属塩としては、周期表の第2属のアルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウム)、周期表の第3属の遷移金属(例えば、ランタン)、周期表の第13属からのカチオン(例えば、アルミニウム)、ランタニド類(例えば、ネオジム)、の塩を挙げることができる。
前記カチオン性化合物としては、カチオン性界面活性剤が好適に挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、例えば、1級、2級、又は3級アミン塩型の化合物が好ましい。さらに、所望のpH領域でカチオン性を示す両性界面活性剤も使用可能である。
前記固定化剤は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
水性インクを固定化させる固定化剤の水性処理液中における含有量としては、1〜40質量%が好ましく、より好ましくは5〜30質量%であり、更に好ましくは10〜25質量%の範囲である。
本発明における水性処理液は、前記固定化剤に加えて、一般には水溶性有機溶剤を含むことができ、更に前記水性インクと同様に、その他の各種添加剤を用いて構成することができる。
水溶性有機溶剤としては前記水性インクと同様に、カールを抑制する目的のため、SP値27.5以下の水溶性溶剤を添加することが好ましい。
なお、上記の有機溶媒は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。また、これらの有機溶剤は、処理液中に、1〜50質量%含有されることが好ましい。
固定化剤の付与量としては、水性インクを安定化させるに足る量であれば特に制限はなく、0.25g/m以上であることが好ましく、水性インクを凝集により固定化しやすい点で、0.30g/m以上2.0g/m未満であることがより好ましく、0.40g/m以上1.0g/m未満であることが更に好ましい。
水性処理液の表面張力(25℃)は、20mN/m以上60mN/m以下であることが好ましい。より好ましくは、25mN以上50mN/m以下であり、更に好ましくは、25mN/m以上45mN/m以下である。
表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP-Z(協和界面科学株式会社製)を用い、水性インクを25℃の条件下で測定されるも
のである。
また、水性処理液の25℃での粘度は、0.5〜3.5ml/mの範囲で塗布を安定に行なう観点から、1.2mPa・s以上15.0mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは2mPa・s以上12mPa・s以下であり、更に好ましくは2mPa・s以上8mPa・s以下である。特に、水性処理液を紙上に塗布する場合は、粘度(25℃)は2〜8mPa・sが好ましく、2〜6mPa・sがより好ましい。
粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用い、水性処理液を25℃の条件下で測定されるものである。
下記の如く処理液とインクを調製し、下記の試験条件でインクジェット記録を行った。得られた画像の光沢度や、定着部でのローラオフセットの有無について調べた。
[処理液]
マロン酸 10質量部
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 20質量部
界面活性剤1 1質量部
イオン交換水 残部
界面活性剤1
[インク組成]
顔料1 4質量部
分散剤ポリマー1 2質量部
樹脂エマルジョン 8質量部
グリセリン 15質量部
界面活性剤2 1質量部
イオン交換水 残部
顔料1:チバ・スペシャリティーケミカルズ社のCromophtal Jet Magenta DMQ(PR−122)
分散剤ポリマー1:メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸メチル/メタクリル酸 60/30/10 (質量比)
樹脂エマルジョン:メタクリル酸メチル/アクリル酸フェノキシエチル/アクリル酸 66/29/5 (質量比) ガラス転移点温度=65℃
界面活性剤2:オルフィンE1010(日信化学工業製)
[試験条件]
通紙速度:500mm/s
処理液付与:インクジェットヘッドにて2.5g/mの付与量で画像様に付与
処理液乾燥:40℃の裏面ヒータおよび70℃の温風で1秒間乾燥
インク打滴:吐出体積2pLにて、網点率15%/30%/40%/60%/80%/100%の画像を打滴
インク乾燥:圧胴温度60℃にて用紙裏面加熱 および 70℃の熱風にて1秒乾燥
インク定着:
ヒートローラ(直径40mmの中空アルミローラに所定のゴム硬度および肉厚のシリコンコやムで被覆したもの)
ローラ温度 70℃
ローラニップ圧力 0.0MPa/0.10MPa/0.15MPa/0.30MPa/0.60MPa/1.0MPa
ニップ部通過時間 20ms
圧胴温度 60℃
[品質評価方法]
<60度光沢度の測定>
上述の印刷条件でプリントサンプルを作成し、紙地および各網点率の画像部に対して、光沢度計(堀場製作所製IG−320)により60度光沢度を測定した。
<中心線平均表面粗さRaの測定>
コート紙表面の中心線平均表面粗さRaの測定には、日本真空技術株式会社製触針式表面形状測定装置Dektak3030を用いて、測定長5mm、カットオフ値0.8mmの条件で行った。Raの定義はJIS表面粗さ(B0601)に従った。中心線平均粗さ(Ra)とは、粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さLの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦倍率をY軸、粗さ曲線をY=f(X)で表したとき、下式によって求められる値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。
<耐ローラオフセット性評価方法>
上述の印刷条件でプリントサンプルを作成し、定着後のプリントサンプルを目視観察し、以下の判定を行なった。
○:画像の破壊が視認されず、用紙への色材再転写も発生しない。
△:ローラに色材が付着して用紙へ僅かに再転写するが、肉眼では視認されないレベルである。
×:画像の破壊が視認される、もしくは、用紙への色材再転写が視認される。
<画像光沢感評価方法>
印刷サンプルの面内には一般に、画像部(インク打滴部)と非画像部(インク非打滴部)が存在し、画像部も画像濃度に応じてインクの網点率が異なる。インク打滴量によって光沢感に差があると、同一印刷物中の光沢度に不均一が生じるため、心理的に違和感を生じる仕上がりとなる。社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)刊行のプリンタ用標準テストパターン(JEITA IT-3011)におけるJ8(ピクトリアル画像)およびJ6(文字画像)を上述の印刷条件でそれぞれ出力して目視観察を行い、印刷物の光沢感に関して以下の評価を行なった。
○:画像濃度によらずプリント面内で光沢感が均一であり、違和感を感じない。
△:画像濃度に依存してプリント面内で光沢感に差があり若干違和感を感じるが、許容される程度である。
×:画像濃度に依存してプリント面内で光沢感に大きく差があり、違和感を感じる。
[結果]
結果を図9に示す。また、図9の表に基づいて、コート紙ごとの画像面積率と光沢度の関係を図10に示す。
これらの結果から分かるように、コート紙の種類ごとに(すなわち表面粗さごとに)、適切な光沢度特性が得られるニップ圧が異なっている。たとえば、グロスコート紙A、Bでは、0.15〜1.0MPaのときに、紙地部分と画像部分の光沢度差が小さくなっている。同様に、マップコート紙A、Bでは、0〜0.05MPaのときに、紙地部分と画像部分の光沢度差が小さくなっている。
また、コート紙の種類ごとに、ローラオフセットを防止できるニップ圧も異なっている。たとえば、グロスコート紙A、Bでは、0〜0.30MPaのときに、ローラオフセットを防止できる。また、マップコート紙A、Bでは、0〜0.05MPaのときに、ローラオフセットを防止できる。
以上のことからグロスコート紙A、Bはニップ圧が0.15〜0.30MPa、マップコート紙A、Bはニップ圧が0〜0.05MPaが適していることが分かる。
本実施形態のインクジェット記録装置を模式的に示す全体構成図 定着ローラの構造を示す模式図 ヘッドの内部構造を示す要部平面透視図 ヘッドの他の構成例を示す平面図 図2中のX−X線に沿う断面図 ヘッドのノズル配置例を示す平面図 インクジェット記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図 図1と異なる構成のインクジェット記録装置を模式的に示す全体構成図 実施例の結果を示す表図 コート紙ごとの画像面積率と光沢度の関係を示す図
符号の説明
1…インクジェット記録装置、10…給紙部、12…処理液付与部、14…描画部、16…乾燥部、18…定着部、20…排出部、22…記録媒体、54…処理液ドラム、56…処理液塗布装置、61…処理液容器、62…計量ローラ、63…ベルト、64〜66…ローラ、67…ドクターブレード、68…ドクターブレード、69…ローラ、70…描画ドラム、71…ローラ、72C,72M,72Y,72K…インクヘッド、76…乾燥ドラム、84…定着ドラム、86…第1の定着ローラ、88…第2の定着ローラ

Claims (5)

  1. 印刷用コート紙に凝集剤含有の処理液を付与する処理液付与工程と、
    前記処理液が付与された印刷用コート紙に、前記処理液によって凝集するインクを打滴するインク打滴工程と、
    前記印刷用コート紙に付与されたインクを乾燥させる乾燥工程と、
    前記インクを乾燥させた印刷用コート紙を定着ローラでニップして加圧することによって前記インクを定着させる定着工程と、を備え、
    前記定着工程は、前記印刷用コート紙の表面粗さRa値が0.35μm以下のコート紙についてはニップ圧力を0.05〜0.30MPaとし、Ra値が0.95μm以上のコート紙についてはニップ圧力を0〜0.05Mpaとするように前記定着ローラの加圧条件を変化させることを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記印刷用コート紙の中心線表面粗さが0.95μm以上の場合にニップ圧力を0.15MPa以下にすることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記定着ローラは、表面が硬度50度以下、厚さ2mm以下のゴムで被覆されることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記印刷用コート紙がグロスコート紙であり、前記加圧条件のニップ圧を0.05〜0.30MPaとすることによって、紙地と描画部の60度光沢度の差が20以下となるように変化させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記印刷用コート紙がマットコート紙であり、前記加圧条件ニップ圧を0〜0.05Mpaとすることによって、紙地と描画部の60度光沢度の差が8以下となるように変化させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載のインクジェット記録方法。
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