JP2010208298A - 画像形成方法および画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】コックリングの抑制が可能な画像形成方法および画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】水性インクを用いて記録媒体114上に画像を形成する描画工程と、記録媒体114上のインクを乾燥する乾燥工程と、前記記録媒体を排紙する排紙工程と、を有し、記録媒体114は、水分量1g/mに対する寸法変化が0.1%以下であり、排紙工程直前の記録媒体114の画像部と非画像部の水分量の差が、3.0g/m以下になるように乾燥を行うことを特徴とする画像形成方法および画像形成装置である。
【選択図】図1

Description

本発明は、画像形成方法および画像形成装置に係り、特に、コックリングの発生を抑制することができる画像形成方法および画像形成装置に関する。
インクジェット記録装置は、記録媒体上でインクを連続的に打滴することによって画像を形成する装置であり、装置構成が簡単でかつ良好な画質の画像記録が可能であることから、個人用途のホームプリンタをはじめ、業務用途のオフィスプリンタや印刷機器としても広く使用されている。特に、業務用途においては、処理の高速化および高画質化が一層要望されている。
水系インクを用いて紙媒体にインクジェット記録を行う場合、インク中の水と紙繊維の相互作用に起因する紙の変形(カール、コックリング)が問題となる。紙は、水が付与されると繊維が膨潤して伸び、乾燥すると繊維が収縮して縮む特性を持っている。記録媒体全面にある程度均一にインクが付与されている場合は、用紙表面の均一な伸び、あるいは縮みによってカールが発生しやすい。カールは、公知の用紙乾燥技術や、印刷後の矯正(記録媒体に逆テンションを付与、排紙後に上方から重量を付与)によってある程度の抑制が可能である。
コックリングは、より深刻な問題であり、記録媒体に画像部と非画像部が存在する場合、画像部はインク中の水の影響で大きく伸びるため、画像部と非画像部の間に歪が発生し、記録媒体に凸凹やシワが発生する問題があった。
このような問題を解決するため、例えば、下記の特許文献1から3では、インク付与後に記録媒体の強制乾燥を行い、水分を蒸発させることで、コックリングを抑制する技術が開示されている。また、特許文献4では、入力画像データを打滴インク量に濃度変換する際に、インク量が所定の値を超えないように濃度変換制御を行うことで、コックリングを抑制することが開示されている。特許文献5、6には、非画像部に水を主成分とする無色インクをインクジェットヘッドで付与することで、画像部と非画像部の伸縮性を低減し、コックリングを抑制する技術が開示されている。
特開2006−212787号公報 特開平11−198362号公報 特開2007−160839号公報 特開2002−67357号公報 特開2004−58308号公報 特開2005−212371号公報
しかしながら、特許文献1から3に記載されているような強制乾燥を行うことにより、画像部の伸びを抑えることはできるが、非画像部においては、記録媒体が当初保持していた水分が蒸発することによって縮みが発生するため、コックリングを充分に抑制することができていなかった。また、特許文献4では、打滴インク量の上限を設けているため、必然的に色再現域が狭くなり、高画質印刷を行う際の妨げとなっていた。特許文献5、6では、無色インクを打滴するヘッドが更に必要であり、装置コストの点で不利であった。また、打滴する水の総量が増加するため、乾燥工程の付加が上がり、消費電力が増加するなどコストの面で問題があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、乾燥状態、記録媒体の収縮率を調整することにより、コックリングを抑制することができる画像形成方法および画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明の請求項1は、前記目的を達成するために、水性インクを用いて記録媒体上に画像を形成する描画工程と、前記記録媒体上の水性インクを乾燥する乾燥工程と、前記記録媒体を排紙する排紙工程と、を有し、前記記録媒体は、水分量1g/mに対する寸法変化が0.1%以下であり、前記排紙工程直前の前記記録媒体の画像部と非画像部の水分量の差が、3.0g/m以下になるように乾燥を行うことを特徴とする画像形成方法を提供する。
請求項1によれば、記録媒体として、水分量1g/mに対する寸法変化が、0.1%以下である記録媒体を用いているため、画像部と非画像部で水分量に差が生じても寸法変化を抑えることができる。そして、排紙工程直前の画像部と非画像部との水分量の差を、3.0g/m以下と小さくすることにより、画像部と非画像部の伸縮量の差を小さくすることができ歪が低下するため、コックリングを抑えることができる。
このように、画像部と非画像部で、水分量の差を小さくし、かつ、水分により収縮量が小さい記録媒体を用いることにより、コックリングを効果的に抑制することができる。
請求項2は請求項1において、前記描画工程は、前記記録媒体幅のラインヘッドを用いたシングルパス方式のインクジェットによる打滴であることを特徴とする。
請求項2によれば、描画工程として、記録媒体幅のラインヘッドを用いたシングルパス方式のインクジェットによる打滴により画像を形成しているため、より効果的にコックリングを低減することができる。他の方法として、例えばシャトルスキャン方式では、一般的に描画時間が長くなり、記録媒体を乾燥させるまでの時間が長くなるので、その間にインク溶媒の浸透、および紙繊維の膨潤が進行するため、シングルパス方式と比較し、コックリングの程度を抑制するのが困難となる。しかしながら、シングルパス方式では、描画から乾燥までの時間を比較的短時間で完了させることができるので、記録媒体へのインク溶媒の浸透を抑えることができ、コックリングを低減することができる。
請求項3は請求項1または2において、前記水性インクの前記記録媒体への付与量は、該記録媒体の単位面積当たりの水分量が7.0g/m以上となるように付与することを特徴とする。
本発明においては、乾燥工程により、排紙工程直前の記録媒体の画像部と非画像部の水分量の差を、3.0g/m以下とすることができるので、インクの打滴による記録媒体への水分量が7.0g/m以上のコックリングが起きやすい条件においても、抑制することができ、特に効果的である。
請求項4は請求項1から3いずれか1項において、前記描画工程の前に、前記水性インク中の顔料および樹脂粒子と反応する成分を含有する処理液を前記記録媒体上に付与する処理液付与工程を有することを特徴とする。
請求項4によれば、記録媒体に処理液を付与しているため、水性インク中の顔料および樹脂粒子を凝集させてインク層に空隙構造を形成することができる。したがって、インク溶媒に毛細管力が働き、記録媒体への浸透を遅延させることができ、乾燥工程において、インク溶媒を乾燥させることができるので、コックリングを防止することができる。
請求項5は請求項1から4いずれか1項において、前記描画工程から前記排紙工程までの時間が10秒以内であることを特徴とする。
排紙工程後は、記録媒体がスタックされて乾燥が進まないため、スタックされた時点が実質的な乾燥時間終了である。描画工程から排紙工程までの時間が長いと、記録媒体にインク溶媒が浸透するため、コックリングが発生し易くなる。描画工程から排紙工程までの時間を10秒以内と短時間で乾燥工程までを終了することで、記録媒体と水との相互作用を最小限に抑えることができ、コックリングを良化することができる。
請求項6は請求項1から5いずれか1項において、前記乾燥工程は、前記記録媒体に乾燥風を供給することで行い、該乾燥風は、23℃における相対湿度が40%RH以上であることを特徴とする。
請求項6によれば、乾燥工程において、乾燥風を用いて乾燥を行い、この乾燥風を、温度が23℃における相対湿度を40%RH以上とすることで画像部と非画像部の残水量の差を3.0g/m以下に低減することができ、コックリングを良化することができる。乾燥風が、温度23℃における相対湿度が40%RH未満であると、非画像部の乾燥も進行してしまうため、画像部と非画像部の残水量の差を3.0g/m以下にすることが難しくなる。
請求項7は請求項6において、前記乾燥風は、23℃における相対湿度が90%RH以下であることを特徴とする。
請求項7によれば、乾燥風の23℃における相対湿度を90%RH以下としているため、画像部の乾燥を進ませることができるので、画像部と非画像部の残水量の差を3.0g/m以下に低減することができ、コックリングを良化することができる。乾燥風の23℃における相対湿度が90%RHを越えると、画像部の乾燥が進まないため、画像部と非画像部の残水量の差を3.0g/m以下にすることが難しくなる。
請求項8は請求項6または7において、前記乾燥風の温度が50℃以上であることを特徴とする。
請求項8によれば、乾燥風の温度を50℃以上とすることで、画像部の乾燥を進めることができるので、画像部と非画像部の残水量の差を3.0g/m以下に低減することができ、コックリングを良化することができる。
請求項9は請求項1から8いずれか1項において、前記水性インクは、SP値27.2以下の水溶性有機溶媒を含有することを特徴とする。
インクが記録媒体(紙繊維)に与えるダメージ(膨張、収縮)は、インク中の水が原因であるため、親水性の高い(SP値の高い)水溶性有機溶媒も記録媒体と相互作用を起こし、記録媒体にダメージを与える。請求項9によれば、インクに含まれる水溶性有機溶媒のSP値を低くすることにより、水溶性有機溶媒の親水性を低くし、記録媒体との相互作用を小さくすることで、ダメージを軽減し、コックリングを良化することができる。
本発明の請求項10は、前記目的を達成するために、水性インクを用いて記録媒体上に画像を形成する描画手段と、前記記録媒体上の水性インクを乾燥する乾燥手段と、前記記録媒体を排紙する排紙手段と、を備え、前記記録媒体は、水分量1g/mに対する寸法変化が0.1%以下であり、前記排紙手段の時の前記記録媒体の画像部と非画像部の水分量の差が、3.0g/m以下になるように乾燥手段を制御する制御手段を備えることを特徴とする画像形成装置を提供する。
請求項10は、請求項1に記載の画像形成方法を画像形成装置として展開したものであり、請求項10によれば、請求項1と同様の効果を得ることができる。
本発明の画像形成方法および画像形成装置によれば、乾燥により画像部と非画像部との水分量の差を少なくし、記録媒体として、水分量に対する寸法変化の小さい記録媒体を用いることにより、乾燥後の記録媒体のコックリングを抑制することができる。
本発明に係るインクジェット記録装置の概略構成図である。 ヘッドの構成例を示す平面断面図である。 インク室ユニットの立体的構成を示す断面図である。 図1に示すインクジェット記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図である。 記録媒体の伸縮率測定方法を説明する図である。 実施例の試験例1の結果を示す表図である。 実施例の試験例2の結果を示す表図である。 実施例の試験例3の結果を示す表図である。 実施例の試験例4の結果を示す表図である。 実施例の試験例5の結果を示す表図である。 実施例の試験例6の結果を示す表図である。 コックリングの評価方法を説明する図である。
以下、添付図面に従って、本発明の画像形成方法および画像形成装置の好ましい実施の形態について説明する。
[インクジェット記録装置の全体構成]
本発明の画像形成方法に用いることができる画像形成装置の好ましい実施の形態として、インクジェット記録装置について説明する。なお、本発明においてはインクジェット記録装置に限定されない。また、ドラム搬送方式に限定されず、ベルト搬送方式により画像を形成することも可能である。
インクジェット記録装置100は、枚葉の印刷用紙を用いて画像を記録するオンデマンド印刷機として構成されており、主として、記録媒体114を給紙する給紙部102と、記録媒体114に所定の処理液を付与する処理液付与部106と、記録媒体114に色インクを打滴する描画部108と、記録媒体114上に形成された画像を定着させる定着部110と、画像が形成された記録媒体114を搬送して排出する排紙部112とを備えて構成されている。図1においては、描画部108の各インクジェットヘッド140が描画手段、各インク乾燥ユニット142が乾燥手段、排紙部112が排紙手段に該当する。
<給紙部>
給紙部102には、給紙マガジン120が設けられており、この給紙マガジン120に枚葉紙の状態の記録媒体114が積層された状態で収容されている。給紙マガジン120には、フィーダボード122が接続されており、給紙マガジン120に収容された記録媒体114は、上から順に1枚ずつフィーダボード122に送り出される。フィーダボード122に送り出された記録媒体114は、渡し胴124aを介して処理液付与部106の圧胴126aに受け渡される。
<処理液付与部>
処理液付与部106には、圧胴126aの外周面に沿って、用紙予熱ユニット134と、処理液付与ユニット136と、処理液乾燥ユニット138とが順に配置されている。
圧胴126aは、ドラム状に形成されており、図示しないモータに駆動されて回転する。この圧胴126aの外周面には、図示しないグリッパ(図示せず)が備えられており、記録媒体114は、このグリッパによって先端を把持されながら搬送される。また、この圧胴126aの外周面には、多数の吸引口(図示せず)が形成されており、この吸引穴から内部に向けてエアが吸引されている。記録媒体114は、この吸引穴に吸着保持されながら搬送される。
用紙予熱ユニット134は、熱風送風機を含んで構成されており、圧胴126aの外周面に向けて所定温度に制御された熱風を吹き付ける。圧胴126aによって回転搬送される記録媒体114は、この用紙予熱ユニット134の下を通過する際、その表面に熱風が吹き付けられて、予備加熱される。
処理液付与ユニット136は、圧胴126aによって回転搬送される記録媒体114の表面(画像形成面)にインク中の色材を凝集させる機能を有する処理液を一定の厚さで付与する。この処理液付与ユニット136は、描画部108の各インクジェットヘッドと同じ構成のインクジェットヘッド(ラインヘッド)を含んで構成されており、このインクジェットヘッドから圧胴126aによって回転搬送される記録媒体114に向けて処理液を吐出して、記録媒体114の表面に一定の厚さで処理液を付与する。
なお、処理液の付与方式は、これに限定されず、たとえば、スプレー方式や塗布方式などで付与する構成とすることもできる。
処理液乾燥ユニット138は、熱風送風機を含んで構成されており、圧胴126aの外周面に向けて所定温度に制御された熱風を吹き付ける。圧胴126aによって回転搬送される記録媒体114は、この処理液乾燥ユニット138の下を通過する際、その表面に熱風が吹き付けられて、その表面に打滴された処理液が乾燥する。
以上のように構成された処理液付与部106によれば、給紙部102のフィーダボード122から渡し胴124aを介して圧胴126aに受け渡された記録媒体114は、その圧胴126aによって回転搬送されることにより、まず、用紙予熱ユニット134の下を通過する。そして、その通過時に用紙予熱ユニット134から熱風が吹き付けられて、予備加熱される。予備加熱された記録媒体114は、次に、処理液付与ユニット136の下を通過し、その通過時に処理液付与ユニット136から表面に処理液が一定の厚さで付与される。そして、処理液が付与された記録媒体114は、最後に処理液乾燥ユニット138を通過し、その通過時に処理液乾燥ユニット138から熱風が吹き付けられて、表面に付与された処理液が乾燥する。これにより、記録媒体114の表面に凝集処理剤層が形成される。
このように処理液を付与することにより、次の描画部で付与されるインク中の顔料および樹脂粒子を凝集させてインク層に空隙構造を形成することができる。そのため、インク溶媒に毛細管力が働き、記録媒体への浸透を遅延させることができ、コックリングを防止することができる。
処理液付与部106で表面に凝集処理剤層が形成された記録媒体114は、渡し胴124bを介して描画部108の圧胴126bに受け渡される。
なお、図1においては、処理液付与部106を備える構成で説明したが、処理液付与部を備えない構成とすることも可能である。
<描画部>
描画部108には、圧胴126bが備えられており、その圧胴126bの外周面に沿って、シアン色(C)のインク滴を吐出するインクジェットヘッド140Cと、マゼンタ色(M)のインク滴を吐出するインクジェットヘッド140Mと、イエロ色(Y)のインク滴を吐出するインクジェットヘッド140Yと、黒色(K)のインク滴を吐出するインクジェットヘッド140Kと、レッド色(R)のインク滴を吐出するインクジェットヘッド140Rと、グリーン色(G)のインク滴を吐出するインクジェットヘッド140Gと、ブルー色(B)のインク滴を吐出するインクジェットヘッド140Bと、インク乾燥ユニット142a、142bとが順に配置されている。
本発明において、インクジェットヘッドの構成は特に限定されるものではないが、記録媒体幅のラインヘッドを用いたシングルパス方式において、特に好ましい効果を得ることができる。インターリーブ記録を行うシャトルスキャン方式の場合、一般的に描画時間が長くなり、記録媒体を乾燥させるまでに長時間を要する。したがって、その間にインク溶媒の浸透および紙繊維の膨潤が進行してしまい、コックリングの程度が悪くなってしまう。シングルパス方式においては、描画から乾燥までをシャトルスキャン方式より比較的短くすることができるので、紙繊維へのインク溶媒への浸透を抑制することができ、コックリングの抑制をより効果的に行うことができる。
圧胴126bは、処理液付与部106の圧胴126aと同様にドラム状に形成されており、図示しないモータに駆動されて回転する。この圧胴126bの外周面には、図示しないグリッパ(図示せず)が備えられており、記録媒体114は、このグリッパによって先端を把持されながら搬送される。また、この圧胴126bの外周面には、多数の吸引口(図示せず)が形成されており、この吸引穴から内部に向けてエアが吸引されている。記録媒体114は、この吸引穴に吸着保持されながら搬送される。
各インクジェットヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bは、用紙幅(本例では菊半サイズ)に相当するラインヘッドで構成されており、そのインク吐出面が、圧胴126bの外周面に対向して配置されている。そして、そのインク吐出面に形成されたノズル列が、圧胴126bの回転方向(=記録媒体114の搬送方向)と直交する方向に配置されている。
圧胴126bによって回転搬送される記録媒体114は、各インクジェットヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bの下を通過する際、幅方向(搬送方向と直交する方向)の全域にわたってインクが打滴され、これにより、一度の搬送(副走査)でその画像形成領域の全域に画像が形成される。
記録媒体に付与された水性インクの水分量は、7.0g/m以上であることが好ましい。水分量を上記範囲以上としたような、画像部と非画像部との水分量の差が大きくなり、コックリングが起きやすい条件においても抑制することができるので、特に効果的である。
なお、このインクジェットヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bの構成、及び、そのインク供給機構の構成については、後に詳述する。
インク乾燥ユニット142a、142bは、それぞれ熱風送風機を含んで構成されており、圧胴126bの外周面に向けて所定温度に制御された熱風を吹き付ける。圧胴126bによって回転搬送される記録媒体114は、このインク乾燥ユニット142a、142bの下を通過する際、その表面に熱風が吹き付けられて、その表面に打滴されたインクが乾燥する。
以上のように構成された描画部108によれば、処理液付与部106の圧胴126aから渡し胴124bを介して圧胴126bに受け渡された記録媒体114は、その圧胴126bに回転搬送されることにより、各インクジェットヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bの下を通過する。そして、その通過時に各インクジェットヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bから各色のインクが打滴されて、表面に画像が形成される。画像が形成された記録媒体114は、インク乾燥ユニット142a、142bの下を通過し、その通過時にインク乾燥ユニット142a、142bから表面に熱風が吹き付けられて、表面に打滴されたインクが乾燥する。
乾燥は、排紙工程直前の記録媒体114の画像部と非画像部の残水量の差が、3.0g/m以下となるように乾燥を行うことが好ましい。残水量の差を3.0g/m以下とすることにより、記録媒体114の画像部と非画像部の伸縮量の差を低減することができるので、歪が低下し、記録媒体114のコックリングを良化させることができる。残水量の差は、2.2g/m以下とすることが好ましい。
画像部と非画像部の残水量の差を上記範囲とするために、乾燥ユニット142a、142bから吹き付ける乾燥風の23℃における相対湿度を40%RH以上とすることが好ましく、50%RHとすることがより好ましい。画像部には大量の水を含んでいるため、記録媒体114表面近傍の相対湿度は実質的に100%となる。しかし、非画像部は水分を含んでいないため、表面の相対湿度は低くなる。したがって、乾燥風の相対湿度が低いと、画像部を乾燥させるのには有利であるが、非画像部の乾燥も進んでしまうため、残水量の差を小さくすることができない。乾燥風の相対湿度を上げることで、非画像部の乾燥を遅らせることができるので、画像部と非画像部の差を小さくすることができる。
乾燥風は、乾燥機において加熱して記録媒体114に送風されるため、加熱により、乾燥風の相対湿度が低下する。23℃における相対湿度を90%RHまで上げても、画像部の乾燥性能を確保することができるが、95%RH以上になると、画像部の乾燥量が低下し、画像部の残水量が増え、非画像部との差が大きくなり、コックリングが発生するため、好ましくない。
なお、本例では、CMYKRGBの7色のインクを使用して画像を形成する構成としているが、使用するインク色や色数の組み合わせについては、これに限定されるものではない。必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。たとえば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するヘッドを追加する構成も可能である。また、CMYKの4色のみで構成するようにしてもよい。
描画部108で表面に画像が形成された記録媒体114は、渡し胴124cを介して定着部110の圧胴126cに受け渡される。
<定着部>
定着部110には、圧胴126cが備えられており、その圧胴126cの外周面に沿って、回転方向の上流側から順に画像読取ユニット144、加熱ローラ148a、148bが設けられている。
圧胴126cは、処理液付与部106の圧胴126cと同様にドラム状に形成されており、図示しないモータに駆動されて回転する。この圧胴126cの外周面には、図示しないグリッパ(図示せず)が備えられており、記録媒体114は、このグリッパによって先端を把持されながら搬送される。
画像読取ユニット144は、圧胴126cによって回転搬送される記録媒体114の表面を撮像するイメージセンサ(ラインセンサ等)を含んで構成される。この画像読取ユニット144で読み取られた画像は、描画部108における各インクジェットヘッドのノズルの目詰まり、その他の吐出不良の検出などに利用される。
加熱ローラ148a、148bは、所定温度に制御されており、圧胴126cの外周面に押圧当接されている。圧胴126cによって回転搬送される記録媒体114は、この加熱ローラ148a、148bを通過する際、圧胴126cとの間で加熱加圧され、これにより、記録媒体114の表面に形成された画像が定着される。
なお、加熱ローラ148a、148bの加熱温度は、処理液又はインクに含有される樹脂粒子のガラス転移点温度などに応じて設定することが好ましい。
以上のように構成された定着部110によれば、描画部108の圧胴126bから渡し胴124cを介して圧胴126cに受け渡された記録媒体114は、圧胴126cによって回転搬送されることにより、画像読取ユニット144の下を通過し、その通過時に必要に応じて表面に形成された画像が読み取られる。その後、記録媒体114は、加熱ローラ148a、148bによって加熱加圧され、これにより、表面に形成された画像が定着される。
定着部110で画像が定着された記録媒体114は、排紙部112のコンベア154に受け渡される。
なお、図1においては定着部110を備える構成で説明したが、定着部110を備えず、描画部108で乾燥を行った後、排紙部112に受け渡すことも可能である。
<排紙部>
排紙部112には、記録媒体114を搬送するコンベア154と、そのコンベア154によって搬送された記録媒体114を回収する排紙マガジン152とが備えられている。
定着部110で画像が定着された記録媒体114は、定着部110の圧胴126dからコンベア154に受け渡され、そのコンベア154によって排紙マガジン152に搬送される。
排紙マガジン152は、コンベア154によって搬送された記録媒体114を受け取り、その内部に積層させた状態で回収する。
なお、描画部で画像を形成し、排紙部で排紙マガジン152に記録媒体114を積層させるまでの時間は、10秒以内とすることが好ましく、7秒以内とすることがより好ましい。描画部から排紙部までの時間を10秒以内とすることにより、コックリングを抑制することができる。排紙マガジン152に記録媒体114が積層されると、その後は乾燥が進まないため、排紙マガジン152に記録媒体114がスタックされた時点が乾燥時間の終了時間となる。インク溶媒の記録媒体への浸透時間は、数秒程度であるため、上記範囲内で乾燥を終了させることで、水と記録媒体の相互作用を小さくすることができるので、コックリングを良化させることができる。
(インクジェットヘッドの構造)
次に、各インクジェットヘッドの構造について説明する。なお、各色に対応するインクジェットヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号200によってインクジェットヘッド(以下、単に「ヘッド」ともいう。)を示すものとする。
図2(a)はヘッド200の構造例を示す平面透視図であり、図2(b)はその一部の拡大図であり、図2(c)はヘッド200の他の構造例を示す平面透視図である。また、図3はインク室ユニットの立体的構成を示す断面図(図2(a)、(b)中のX−X線に沿う断面図)である。
記録媒体114上に形成されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド200におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッド200は、図2(a)、(b)に示すように、インク吐出口であるノズル202と、各ノズル202に対応する圧力室204等からなる複数のインク室ユニット(記録素子単位としての液滴吐出素子)208を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(記録媒体114の搬送方向と直交する方向;主走査方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
記録媒体114の搬送方向(副走査方向)と略直交する方向(主走査方向)に記録媒体114の全幅に対応する長さにわたり1列以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図2(a)の構成に代えて、図2(c)に示すように、複数のノズル202が2次元に配列された短尺のヘッドブロック200’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで長尺化することにより、全体として記録媒体114の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。また、図示は省略するが、短尺のヘッドを一列に並べてラインヘッドを構成してもよい。
各ノズル202に対応して設けられている圧力室204は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部の一方にノズル202が設けられ、他方に供給口206が設けられている。なお、圧力室204の形状は、本例に限定されず、平面形状が四角形(菱形、長方形など)、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。
各圧力室204は供給口206を介して共通流路210と連通されている。共通流路210はインク供給源たるインクタンク(不図示)と連通しており、インクタンクから供給されるインクは共通流路210を介して各圧力室204に供給される。
圧力室204の一部の面(図3において天面)を構成し、且つ、共通電極と兼用される振動板212には、個別電極214を備えた圧電素子216が接合されている。個別電極214に駆動電圧を印加することによって圧電素子216が変形して圧力室204の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル202からインクが吐出される。インク吐出後、圧電素子216が元の状態に戻る際、共通流路210から供給口206を通って新しいインクが圧力室204に再充填される。
本例では、ヘッド200に設けられたノズル202から吐出させるインクの吐出力発生手段として圧電素子216を適用したが、圧力室204内にヒータを備え、ヒータの加熱による膜沸騰の圧力を利用してインクを吐出させるサーマル方式を適用することも可能である。
かかる構造を有するインク室ユニット208を図2(b)に示す如く、主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向に沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
即ち、主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット208を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd×cosθとなり、主走査方向については、各ノズル202が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。
なお、本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されず、副走査方向に1列のノズル列を有する配置構造など、様々なノズル配置構造を適用できる。
また、本発明の適用範囲はライン型ヘッドによる印字方式に限定されず、記録媒体114の幅方向(主走査方向)の長さに満たない短尺のヘッドを記録媒体114の幅方向に走査させて当該幅方向の印字を行い、1回の幅方向の印字が終わると記録媒体114の幅方向と直交する方向(副走査方向)に所定量だけ移動させて、次の印字領域の記録媒体114の幅方向の印字を行い、この動作を繰り返して記録媒体114の印字領域の全面にわたって印字を行うシリアル方式を適用してもよい。
(制御系の説明)
図4は、インクジェット記録装置100の制御系の概略構成を示すブロック図である。
同図に示すように、インクジェット記録装置100は、システムコントローラ300、通信部302、画像メモリ304、給紙制御部306、処理液付与制御部308、インク打滴制御部310、定着制御部312、排紙制御部314、操作部316、表示部318等を備えている。
システムコントローラ300は、インクジェット記録装置100の各部を制御する制御手段として機能するとともに、各種の演算処理を行う演算手段として機能する。このシステムコントローラ300は、CPU、ROM、RAM等を備えて構成されており、所定の制御プログラムに従って動作する。ROMには、このシステムコントローラ300が実行する制御プログラムや制御に必要な各種データが格納されている。
通信部302は、所要の通信インターフェースを備え、その通信インターフェースと接続されたホストコンピュータ320との間でデータの送受信を行う。
画像メモリ304は、画像データを含む各種データの一時記憶手段として機能し、システムコントローラ300を通じてデータの読み書きが行われる。通信部302を介してホストコンピュータ320から取り込まれた画像データは、この画像メモリ304に格納される。
給紙制御部306は、システムコントローラ300からの指令に応じて給紙部102を構成する各部の駆動を制御する。
処理液付与制御部308は、システムコントローラ300からの指令に応じて処理液付与部106を構成する各部の駆動を制御する。
インク打滴制御部310は、システムコントローラ300からの指示に従って描画部108を構成する各部の駆動を制御する。
定着制御部312は、システムコントローラ300からの指示に従って定着部110を構成する各部の駆動を制御する。
排紙制御部314は、システムコントローラ300からの指示に従って排紙部112を構成する各部の駆動を制御する。
操作部316は、所要の操作手段(たとえば、操作ボタンやキーボード、タッチパネル等)を備え、その操作手段から入力された操作情報をシステムコントローラ300に出力する。システムコントローラ300は、この操作部316から入力された操作情報に応じて各種処理を実行する。
表示部318は、所要の表示装置(たとえば、LCDパネル等)を備え、システムコントローラ300からの指示に従って所要の情報を表示装置に表示させる。
上記のように、記録媒体114に記録する画像データは、ホストコンピュータ320から通信部302を介してインクジェット記録装置100に取り込まれ、画像メモリ304に格納される。システムコントローラ300は、この画像メモリ304に格納された画像データに所要の信号処理を施してドットデータを生成し、生成したドットデータに従って描画部108の各インクヘッドの駆動を制御することにより、その画像データが表す画像を記録媒体114に記録する。
ドットデータは、一般に画像データに対して色変換処理、ハーフトーン処理を行って生成される。色変換処理は、RGBなどで表現された画像データ(たとえば、RGB8ビットの画像データ)をインクジェット記録装置100で使用するインクの各色の色データ(本例では、KCMYRGBの色データ)に変換する処理である。ハーフトーン処理は、色変換処理により生成された各色の色データに対して誤差拡散等の処理で各色のドットデータ(本例では、KCMYRGBのドットデータ)に変換する処理である。
システムコントローラ300は、画像データに対して色変換処理、ハーフトーン処理を行ってCMYKRGBの各色のドットデータを生成する。そして、生成した各色のドットデータに従って、対応するインクヘッドの駆動を制御することにより、画像データが表す画像を記録媒体114に記録する。
[記録媒体]
本発明に用いられる記録媒体は、水分量1g/mあたりの寸法変化(伸縮特性)が0.10%以下の範囲を満たすものであれば特に限定されるものではないが、印刷用コート紙に対して、特に好ましい結果を得る事ができる。記録媒体の寸法変化は0.08%以下であることが好ましい。印刷用コート紙は、インク溶媒の浸透が遅いため、排紙工程でスタックされるまでに、記録媒体へのインク溶媒の浸透を抑えながら乾燥を行うことができるので、画像部と非画像部とで生じる水分量の差によるコックリングを抑制することができる。用紙伸縮率が0.10%を越えると、画像部と非画像部の水分量の差が3.0g/m以下であっても、画像部と非画像部の伸縮量の差を低減することができないので、コックリングが悪化してしまう。
コート紙に好適に使用可能な支持体としては、例えば、LBKP、NBKP等の化学パルプ;GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ;DIP等の古紙パルプなどの木材パルプと、顔料とを主成分とし、バインダー、さらにサイズ剤、定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤等の各種添加剤を1種以上混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種装置を使用して製造される原紙、さらに澱粉、ポリビニルアルコール等を用いてなるサイズプレスやアンカーコート層を設けた原紙、あるいはこれらのサイズプレスやアンカーコート層の上にコート層を設けてなるアート紙、コート紙、キャストコート紙等の塗工紙などが挙げられる。
支持体の坪量は、通常、40〜300g/m程度であるが、特に制限されるものではない。本発明で用いられるコート紙は、上記のような支持体上に、コート層を塗設する。コート層は顔料およびバインダーを主成分とする塗被組成物から構成されるものであり、支持体上に少なくとも1層塗設される。
前記顔料としては、白色顔料を好適に使用することができる。このような白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、水酸化マグネシウム等の無機顔料;スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料が挙げられる。
前記バインダーとしては、例えば、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉等の澱粉誘導体;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、ポリビニルアルコールまたはその誘導体;各種鹸化度のポリビニルアルコール又はそのシラノール変性物、カルボキシル化物、カチオン化物等の各種誘導体;ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス;アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス;エチレン酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス;或はこれら各種重合体のカルボキシ基等の官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス;メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化性合成樹脂等の水性接着剤;ポリメチルメタクリレート等のアクリル;酸エステル;メタクリル酸エステルの重合体又は共重合体樹脂;ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等の合成樹脂系接着剤等を挙げることができる。
コート層の顔料とバインダーとの配合割合は、顔料100重量部に対し、バインダーが3〜70重量部、好ましくは5〜50重量部である。顔料100重量部に対するバインダーの配合割合が3重量部未満であると、そのような塗被組成物からなるインク受理層の塗膜強度が不足することがある。一方、この配合割合が70重量部を超えると、高沸点溶媒の吸収が極端に遅くなる。
更に、コート層には、例えば、染料定着剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、螢光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤などの各種添加剤を適宜配合することができる。
インク受理層の塗工量は、要求される光沢、インク吸収性、支持体の種類等により異なるので一概には言えないが、通常は1g/m以上である。また、インク受理層はある一定の塗工量を2度に分けて塗設してもよい。このように2度に分けて塗設すると、同塗工量を1度に塗設する場合に比較して光沢が向上する。
コート層の塗設は、例えば、各種ブレードコータ、ロールコータ、エアーナイフコータ、バーコータ、ロッドブレードコータ、カーテンコータ、ショートドウェルコータ、サイズプレス等の各種装置をオンマシン或いはオフマシンで使用して行なうことができる。また、コート層の塗設後に、たとえばマシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置を使用してインク受理層の平坦化仕上げを行なってもよい。
尚、コート層の層数は、必要に応じて適宜に決定することができる。また、コート紙はコート層塗設量に応じてアート紙、上質コート紙、中質コート紙、上質軽量コート紙、中質軽量コート紙、微塗工印刷用紙と分類され、コート層の塗設量はアート紙で両面40g/m前後、上質コート紙、中質コート紙で両面20g/m前後、上質軽量コート紙、中質軽量コート紙では両面15g/m前後であり、微塗工印刷用紙は両面12g/m以下である。また、それぞれの分類で紙地光沢に応じてグロス紙、マット紙がある。グロス系アート紙としては特菱アート(三菱製紙社製)等、マット系アート紙としては(王子製紙社製)等、が上げられる。またグロス系上質コート紙としてはOKトップコート(王子製紙社製)、オーロラコート(日本製紙社製)、リサイクルコートT−6(日本製紙社製)が挙げられ、マット系上質コートとしてはユーライト(日本製紙社製)、ニューVマット(三菱製紙社製)、リサイクルマットT−6(日本製紙社製)等が挙げられる。微塗工印刷用紙としてはオーロラL(日本製紙社製)、キンマリHi−L(北越製紙社製)などが挙げられる。
[水性インク]
以下、本発明で使用することができる水性インクについて詳細に説明する。水性インクは、樹脂分散剤(A)と、前記樹脂分散剤(A)によって分散された顔料(B)と、自己分散性ポリマー微粒子(C)と、水性液媒体(D)とを少なくとも含んでいる。
<樹脂分散剤(A)>
前記樹脂分散剤(A)は、水性液媒体(D)中での顔料(B)の分散剤として用いるものであり、顔料(B)を分散しうる樹脂であれば如何なる樹脂でもかまわないが、樹脂分散剤(A)の構造は、疎水性構造単位(a)と、親水性構造単位(b)とを有することが好ましい。必要に応じて、樹脂分散剤(A)は、前記疎水性構造単位(a)及び前記親水性構造単位(b)とは異なる構造単位(c)を含むことができる。
前記親水性構造単位(b)及び疎水性構造単位(a)の組成としては、それぞれの親水性、疎水性の程度にもよるが、疎水性構造単位(a)が樹脂分散剤(A)全体の質量に対して80質量%を超えて含有されることが好ましく、85質量%以上がより好ましい。即ち、親水性構造単位(b)は15質量%以下にする必要があり、親水性構造単位(b)が15質量%よりも多い場合には、顔料の分散に寄与せず単独で水性液媒体(D)中に溶解する成分が増加し、顔料(B)の分散性等の諸性能を悪化させ、インクジェット記録用インクの吐出性を悪化させる原因となる。
<顔料(B)>
顔料(B)とは化学大辞典第3版1994年4月1日発行(編集 大木道則他)の518頁に記載のように、水、有機溶剤にほとんど不溶の有色物質(無機顔料では白色も含む)の総称であり、本発明では有機顔料と無機顔料とを用いることができる。
また、本発明において、「樹脂分散剤(A)によって分散された顔料(B)」とは、樹脂分散剤(A)によって分散保持されている顔料をいい、水性液媒体(D)に樹脂分散剤(A)を用いて分散保持されている顔料として用いることが好ましい。水性液媒体(D)中には更に分散剤を含んでいても、含んでいなくともよい。
本発明において、樹脂分散剤(A)によって分散された顔料(B)としては、樹脂分散剤(A)によって分散保持されている顔料であれば、特に限定されないが、中でも、顔料分散の安定性、吐出安定性の観点から、転相法により作製されたマイクロカプセル化顔料であることが一層好ましい。
本発明に含有される顔料(B)として、マイクロカプセル化顔料を好ましい例として挙げることができる。マイクロカプセル化顔料とは、顔料が樹脂分散剤(A)で被覆された顔料である。
マイクロカプセル化顔料の樹脂は、前記樹脂分散剤(A)を用いる必要があるが、更に、水に対して自己分散能又は溶解能を有し、かつアニオン性基(酸性)を有する高分子の化合物を樹脂分散剤(A)以外の樹脂に用いることが好ましい。
上顔料は、単独種で使用してもよく、また、複数種選択してこれらを組み合わせて使用してもよい。
本発明における水性インク中の顔料(B)の含有量としては、水性インクの分散安定性、濃度の観点から、1〜10質量%が好ましく、2〜8質量%がより好ましく、2〜6質量%が特に好ましい。
<顔料(B)と樹脂分散剤(A)の比率>
顔料(B)と樹脂分散剤(A)の比率は、重量比で100:25〜100:140が好ましく、さらに好ましくは100:25〜100:50である。樹脂分散剤が100:25以上の場合は分散安定性と耐擦性が良化する傾向となる。樹脂分散剤が100:140以下の場合も、分散安定性が良化する傾向となる。
<自己分散性ポリマー微粒子[樹脂粒子](C)>
水性インクは、自己分散性ポリマー微粒子の少なくとも1種を含有する。本発明における自己分散性ポリマー微粒子とは、他の界面活性剤の不存在下に、pr樹脂自身が有する官能基(特に、酸性基またはその塩)によって、水性媒体中で分散状態となりうる水不溶性ポリマーであって、遊離の乳化剤を含有しない水不溶性ポリマーの微粒子を意味する。
ここで分散状態とは、水性媒体中に水不溶性ポリマーが液体状態で分散された乳化状態(エマルジョン)、及び、水性媒体中に水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態(サスペンジョン)の両方の状態を含むものである。
本発明の自己分散性ポリマー微粒子は、例えば、水性インク組成物に好適に含有させることができ、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<水性液媒体(D)>
インクジェット記録方式の水性インクにおいて、水性液媒体(D)とは、水及び水溶性有機溶媒の混合物を表す。水溶性有機溶媒(以下、「水溶性有機溶剤」ともいう。)は乾燥防止剤、湿潤剤あるいは浸透促進剤の目的で使用される。
インク中には、乾燥防止剤、湿潤剤あるいは浸透促進剤の目的のために、水溶性溶剤を用いる。特に、インクジェット記録方式の水系インク組成物として用いる場合は、乾燥防止剤、湿潤剤あるいは浸透促進剤の目的で、水溶性有機溶媒が好ましく使用される。
ノズルのインク噴射口において該インクジェット用インクが乾燥することによる目詰まりを防止する目的で乾燥防止剤や湿潤剤が用いられ、乾燥防止剤や湿潤剤としては、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶媒が好ましい。
本発明においては、インク中の溶媒が紙繊維に与えるダメージを軽減させるため、SP値の低い水溶性有機溶媒を用いることが好ましく、SP値が27.2以下の水溶性有機溶媒を用いることが好ましく、より好ましくは、20.5以下の水溶性有機溶媒を用いることがより好ましい。SP値の低い有機溶媒を用いることで、記録媒体への浸透を抑制し、膨潤、収縮などのダメージを軽減することができ、コックリングを良化することができる。
また、水性液媒体(D)中には、下記構造式(1)で表される化合物を含有することが好ましい。ここで、「水溶性有機溶剤」と「構造式(1)で表される化合物」とが同一であっても、異なるものであってもよい。
Figure 2010208298
本発明でいう水溶性溶剤の溶解度パラメーター(SP値)とは、分子凝集エネルギーの平方根で表される値で、R.F.Fedors,Polymer Engineering Science,14,p147(1967)に記載の方法で計算することができ、本発明においてはこの数値を採用する。
構造式(1)中、l、m、及びnは、それぞれ独立に、1以上の整数で、かつ、l+m+n=3〜15を表す。上記の中でも、l+m+nが3〜12が好ましく、3〜10がより好ましい。上記構造式(1)中、AOは、エチレンオキシ及び/又はプロピレンオキシを表すが、中でも、プロピレンオキシ基が好ましい。前記(AO)、(AO)、及び(AO)の各AOはそれぞれ同一でも異なってもよい。
以下に、化合物の例について、SP値(カッコ内)と供に示す。
ジエチレングリコールモノエチルエーテル(22.4)
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(21.5)
トリエチレングリコールモノブチルエーテル(21.1)
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(21.3)
ジプロピレングリコール(27.2)
Figure 2010208298
・nCO(AO)−H (AO=EO又はPOで、比率はEO:PO=1:1) (20.1)
・nCO(AO)10−H (AO=EO又はPOで、比率はEO:PO=1:1) (18.8)
・HO(A’O)40−H (A’O=EO又はPOで、比率はEO:PO=1:3) (18.7)
・HO(A’’O)55−H (A’’O=EO又はPOで、比率はEO:PO=5:6) (18.8)
・HO(PO)−H (24.7)
・HO(PO)−H (21.2)
・1,2−ヘキサンジオール (27.4)
本発明において、EO、POはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基を表す。
上記構造式(1)の化合物の水性液媒体中に占める割合(含有量)は、10%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、更に50%以上が好ましい。その値が高くとも問題は生じるものではない。
本発明に使用される水溶性有機溶媒は、単独で使用しても、2種類以上混合して使用しても構わない。
水溶性有機溶媒の含有量としては、全インク組成物中、安定性および吐出信頼性確保の点から、1質量%以上60質量%以下が好ましく、5質量%以上40質量%以下がより好ましく、10質量%以上30質量%以下が特に好ましく使用される。
本発明に使用される水の添加量は、特に制限は無いが、全インク組成物中、安定性および吐出信頼性確保の点から、好ましくは10質量%以上99質量%以下であり、より好ましくは30質量%以上80質量%以下であり、更に好ましくは、50質量%以上70質量%以下である。
<界面活性剤>
水性インクには、界面活性剤を添加することが好ましい。界面活性剤としては、分子内に親水部と疎水部を合わせ持つ構造を有する化合物等が有効に使用することができ、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤のいずれも使用することができる。更には、上記高分子物質(高分子分散剤)を界面活性剤としても使用することもできる。
<その他の成分>
本発明に使用される水性インクはその他の添加剤を含有してもよい。その他の添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、褪色防止剤、防黴剤、pH調整剤、防錆剤、酸化防止剤、乳化安定剤、防腐剤、消泡剤、粘度調整剤、分散安定剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。
[処理液]
水性処理液は、水性インク中の成分を固定化させる固定化剤の少なくとも1種を含有する。固定化剤は、紙上においてインクと接触することにより、インクを固定化(凝集)可能なものである。例えば、処理液を付与することにより紙上に固定化剤が存在している状態でインクが着滴して接触することにより、インク中の成分を凝集させて紙上に固定化することができる。
固定化剤は、水性インクを固定化(凝集)可能なことが望ましいことから、水性インクと接触した際に水性インク中に溶解しやすい素材であることが好ましく、この点で水溶性の高い多価金属塩はより好ましく、更には水溶性の高い酸性物質が好ましい。また、水性インクと反応してインク全体を固定化させる観点から、2価以上の酸性物質が特に好ましい。また、カチオン性化合物も使用することができる。
ここで、水性インクの凝集反応は、水性インク中に分散した粒子(着色剤(例えば、顔料)、樹脂粒子等)の分散安定性を減じ、インク全体の粘度を上昇させることで達成することができる。例えば、カルボキシル基等の弱酸性の官能基で分散安定化しているインク中の顔料、樹脂粒子などの粒子の表面電荷を、よりpKaの低い酸性物質と反応させることにより減じ、分散安定性を低下することができる。したがって、処理液に含まれる固定化剤としての酸性物質は、pKaが低く、溶解度が高く、価数が2価以上であることが好ましく、インク中の粒子を分散安定化させている官能基(例えば、カルボキシル基)のpKaよりも低いpH領域に高い緩衝能を有する2価又は3価の酸性物質であることがより好ましい。
水性インクを固定化させる固定化剤の水性処理液中における含有量としては、1〜40質量%が好ましく、より好ましくは5〜30質量%であり、更に好ましくは10〜25質量%の範囲である。
本発明における水性処理液は、前記固定化剤に加えて、一般には水溶性有機溶剤を含むことができ、更に前記水性インクと同様に、その他の各種添加剤を用いて構成することができる。有機溶媒は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。また、有機溶剤は、処理液中に、1〜50質量%含有されることが好ましい。
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<処理液の調整>
下記組成となるように各成分を混合し、処理液を調整した。
・マロン酸 :10質量%
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル :20質量%
・オルフィンE1010(日信化学工業製) : 1質量%
・イオン交換水 : 残部
<インクの調整>
下記組成となるように各成分を混合し、インクを調整した。
・顔料1 : 4質量%
・分散剤ポリマー1 : 2質量%
・樹脂エマルジョン : 8質量%
・水溶性有機溶媒 :15質量%
・オルフィンE1010(日信化学工業製) : 1質量%
・イオン交換水 : 残部
なお上記成分は以下の通りである。
顔料1:チバ・スペシャリティーケミカルズ社のCromophtal Jet Magenta DMQ(PR−122)
分散剤ポリマー1:メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸メチル/メタクリル酸=60/30/10 (質量比)
樹脂エマルジョン:メタクリル酸メチル/アクリル酸フェノキシエチル/アクリル酸=66/29/5 (質量比) ガラス転移点温度=65℃
また、水溶性有機溶媒は、下記表に示すSP値の異なる溶媒を用い、それぞれをインクNo.:インク1〜7として用いた。
Figure 2010208298
<記録媒体>
記録媒体は、下記表2に示す。
Figure 2010208298
(用紙伸縮率測定方法)
上記表2中に示す各用紙の伸縮率は下記の方法により測定した。
1.用紙を15m×4cmのサイズに裁断する。裁断は紙目(紙繊維の向き)が短手方向に沿うように行なう(紙が伸縮しやすい方向が長手方向となるようにする)。
2.図5に示すように、用紙の両端の位置に、伸縮長測定マーカーとして、油性マジックで直径2mm程度の黒円を記入する。
3.温度23℃湿度50%の環境で1日間調湿する。
4.測長顕微鏡システムを用いてマーカー2点間の距離を測定する(測定値をX1とする)。用紙は透明なガラス板(用紙サイズより大きいもの)2枚で挟んで測長顕微鏡のステージに乗せる。測長顕微鏡システムとしては、撮像および画像認識系とXYステージ系を備えたNEXIV VMR(株式会社ニコン製)等を用いる。
5.用紙搬送ステージとインクジェットヘッドを用いて、用紙全面に純水を1g/mの塗布量にて塗布する。ここで、純水塗布には、塗布ローラ等を用いてもよい。
6.純水塗布後、直ちに用紙を2枚のガラス板で挟んで保持する。(水分の蒸発を防止するため)
7.ガラス板に挟まれた用紙を測長顕微鏡のステージに乗せ、マーカー間の距離を測定する(測定値をX2とする)。
8.用紙伸縮率を(X2−X1)/X1にて算出する。
<画像形成方法>
図1に示すインクジェット記録装置を用いて、画像の形成を行った。装置の条件は下記に示す通りである。
・通紙速度:500mm/s
・処理液付与:塗布ローラにて1.5g/mの付与量で画像面に一様に付与
・処理液乾燥:40℃の裏面ヒータおよび70℃の温風で1秒間乾燥
・インク打滴:解像度1200dpi、吐出体積4.5pLにて所定の画像を描画
・インク乾燥:表3に示す所定の圧胴温度にて記録媒体の裏面加熱、および、所定温度の温風を吹き付け、圧胴126c上にてインクの乾燥を行う
・インク定着:ローラ温度;70℃、ローラニップ圧力;0.30MPa、ニップ部通過時間;20msでヒートローラ(直径40mmの中空アルミローラに所定のゴム硬度および肉厚のシリコンゴムで被覆したもの)により定着を行う
Figure 2010208298
<評価>
コックリングの評価は下記の方法により行った。
A3サイズの用紙を用い、所定印刷条件にて所定画像パターンの連続100枚の印刷を実施した。印刷された100枚のサンプルを、積まれた状態のまま23℃、湿度50%の環境にて1日間放置した。1日放置した後、100枚の束から1枚のサンプルを抜き取り、23℃、湿度50%の環境にて平面テーブル上に1日間放置した。図12に示す用紙浮きプロファイル測定位置を、測定精度0.01mmを満たす変位測定器を用いて測定した。本実施例では3次元測定機QUICK VISION HYBRID TYPE1(株式会社ミツトヨ製)を用いた。なお、用紙端部の浮きを除外する為、測定ステージ上で用紙4辺の端から5mmを、ガラス板により押さえて測定を行った。測定された用紙浮きプロファイルに対して傾き補正を行い、傾き補正後の用紙浮きプロファイルの高低差を、以下の基準で評価を行った。
◎・・・0.10mm以下
○・・・0.20mm以下
△・・・0.30mm以下
×・・・0.30mm以上
なお、印刷用紙が含む水分量は、用紙の測定部分を3cm×3cmサイズで打ち抜き、微量水分測定系CA−200(株式会社三菱化学アナリテック製)を用いて測定した。測定された水分量[g]を打ち抜き面積で除算し、単位面積当り水分量[g/m]を算出した。また、残水量は、インクを打滴、乾燥後に残る水分量のうち、印刷前に用紙が保持する水分量を差し引いた値とした。用紙が保持する水分量は、未使用の用紙を用いて別途測定した。
<結果>
残水量(試験例1)、記録媒体(試験例2)、処理液の有無(試験例3)、描画から排紙までの時間(試験例4)、乾燥風の相対湿度(試験例5)、水溶性有機溶媒のSP値(試験例6)のそれぞれについて変更し、コックリングの評価を行った。結果を図6〜11に示す。
残水量を変更した試験例1については、画像部と非画像部の残水量の差が、3.0g/m以下とすることにより、記録媒体のコックリングを抑制した画像を形成することができた。また、残水量の差が小さくなるにつれ、コックリングを抑制することができた。逆に、残水量の差が、3.0g/mを越える比較例1、2においては抑制できていなかった。
記録媒体を変更した試験例2においては、1g/mの水を付与したときの伸縮率が0.10%の以下の記録媒体を用いた実施例1、6〜10は、コックリングを抑制することができたが、0.10%を越える記録媒体を用いた比較例3〜6は、抑制できていなかった。
処理液を付与した試験例3についても、付与しなかった場合の試験例1と同様に、残水量が3.0g/m以下である実施例11〜15ではコックリングを抑制することができ、3.0g/mを越える比較例7、8では、抑制できていなかった。
描画工程から排紙工程までの時間を変更した試験例4については、時間が短い方が、インク中の溶媒が記録媒体に浸透する前に、乾燥を行うことができるので、コックリングを抑制することができる傾向にあった。なお、試験例4においては、乾燥工程後の残水量差が等しくなるように、圧胴の温度を変更することで調整を行った。
乾燥風の相対湿度を変更した試験例5においては、乾燥風の23℃における相対湿度が低い比較例9、10は、画像部の乾燥と同時に、非画像部の乾燥も進んでしまうため、残水量の差を低減させることができず、3.0g/mを越えてしまった。逆に、相対湿度が95%RHと高い比較例11においては、画像部の乾燥が進まないため、残水量の差を低減させることができず、残水量が3.0g/mを越え、コックリングが発生していた。
水溶性有機溶媒のSP値を変更した試験例6においては、いずれの水溶性有機溶媒を用いた実施例11、27〜32についてコックリングを抑制することができたが、SP値の低い溶媒を用いることにより、よりコックリングの抑制をすることができた。
100…インクジェット記録装置、102…給紙部、106…処理液付与部、108…描画部、110…定着部、112…排紙部、114…記録媒体、124a〜124c…渡し胴、126a〜126c…圧胴、134…用紙予熱ユニット、136…処理液ヘッド、138…処理液乾燥ユニット、140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140B…インクヘッド、142a、142b…溶媒乾燥ユニット、144…画像読取ユニット、148a、148b…加熱ローラ、150…排紙胴、152…排紙マガジン、154…コンベア

Claims (10)

  1. 水性インクを用いて記録媒体上に画像を形成する描画工程と、
    前記記録媒体上の水性インクを乾燥する乾燥工程と、
    前記記録媒体を排紙する排紙工程と、を有し、
    前記記録媒体は、水分量1g/mに対する寸法変化が0.1%以下であり、
    前記排紙工程直前の前記記録媒体の画像部と非画像部の水分量の差が、3.0g/m以下になるように乾燥を行うことを特徴とする画像形成方法。
  2. 前記描画工程は、前記記録媒体幅のラインヘッドを用いたシングルパス方式のインクジェットによる打滴であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記水性インクの前記記録媒体への付与量は、該記録媒体の単位面積当たりの水分量が7.0g/m以上となるように付与することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成方法。
  4. 前記描画工程の前に、前記水性インク中の顔料および樹脂粒子と反応する成分を含有する処理液を前記記録媒体上に付与する処理液付与工程を有することを特徴とする請求項1から3いずれか1項に記載の画像形成方法。
  5. 前記描画工程から前記排紙工程までの時間が10秒以内であることを特徴とする請求項1から4いずれかに記載の画像形成方法。
  6. 前記乾燥工程は、前記記録媒体に乾燥風を供給することで行い、該乾燥風は、23℃における相対湿度が40%RH以上であることを特徴とする請求項1から5いずれか1項に記載の画像形成方法。
  7. 前記乾燥風は、23℃における相対湿度が90%RH未満であることを特徴とする請求項6に記載の画像形成方法。
  8. 前記乾燥風の温度が50℃以上であることを特徴とする請求項6または7に記載の画像形成方法。
  9. 前記水性インクは、SP値27.2以下の水溶性有機溶媒を含有することを特徴とする請求項1から8いずれか1項に記載の画像形成方法。
  10. 水性インクを用いて記録媒体上に画像を形成する描画手段と、
    前記記録媒体上の水性インクを乾燥する乾燥手段と、
    前記記録媒体を排紙する排紙手段と、を備え、
    前記記録媒体は、水分量1g/mに対する寸法変化が0.1%以下であり、
    前記排紙手段の時の前記記録媒体の画像部と非画像部の水分量の差が、3.0g/m以下になるよう乾燥手段を制御する制御手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
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