JPH06954A - インクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット記録方法

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JPH06954A
JPH06954A JP15814992A JP15814992A JPH06954A JP H06954 A JPH06954 A JP H06954A JP 15814992 A JP15814992 A JP 15814992A JP 15814992 A JP15814992 A JP 15814992A JP H06954 A JPH06954 A JP H06954A
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JP
Japan
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recording
dot
ink composition
ohp
aspect ratio
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Application number
JP15814992A
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English (en)
Inventor
Kenichi Kanbayashi
憲一 官林
Makoto Matsuzaki
真 松崎
Fumie Uehara
芙美江 上原
Ikuko Kawakami
いく子 川上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
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Publication date
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Publication of JPH06954A publication Critical patent/JPH06954A/ja
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 インクジェット記録において、オーバーヘッ
ドプロジェクター用樹脂フィルムシートへの印字物の投
射性および、更に紙等を含む記録媒体への印字物の耐擦
性を向上させる。 【構成】 記録媒体上に形成された記録ドットのアスペ
クト比(ドット高さ/ドット直径)が0.075以下で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インク滴を飛翔させ、
記録紙等の媒体上に文字や画像を形成するインクジェッ
ト記録方法に関する。さらに詳しくは、常温で固体のイ
ンクを高温下で液化させてインク滴として吐出、飛翔さ
せ、記録紙等の媒体上に記録ドットを形成して所望の文
字、画像等を記録する、いわゆるホットメルトインクを
用いたインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録は、記録時における
静粛性と高速印字性に優れている。また、直接記録のた
めプロセスが簡単である、カラー化が容易である等の優
れた特徴を有している。従来よりインクジェット記録用
のインク組成物としては、水等を基材としたインク組成
物が用いられてきた。しかし、水等を基材としたインク
組成物による記録は、それが紙等の記録媒体にしみこむ
ことによって行われることから、インクがしみこみ易い
紙上ではにじみを生じ、記録ドットの周辺が不鮮明とな
り、印字品質が低下するという問題点を有していた。
【0003】記録媒体に関係なく良好な印字品質を提供
するインク組成物として、常温で固体のワックス等を基
材としたホットメルトインク組成物が提案されている
(米国特許第4390369号公報、同第448494
8号公報、同第4659383号公報、特開昭58−1
08271号公報等)。これらのホットメルトインク組
成物は、常温で固体であり、記録は加熱溶融の後、イン
ク滴を飛翔させ、記録媒体上で冷却固化させて所望の文
字、画像等を形成する。高温の状態の下で溶融状態でイ
ンクジェット記録装置から吐出されるため、記録媒体に
到達直後、瞬時に冷却固化する。このため、水等を基材
とするインク組成物に較べ、乾燥速度が速い。また、被
記録部材にしみこまないため、にじみが無く、きれいな
印字品質が得られるといった長所を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、インク
ジェット記録により、カラーインクをオーバーヘッドプ
ロジェクション(以下OHPと称する)にてカラー表示
するには、今日に至るまで種々の課題があった。例え
ば、OHPに用いられる樹脂フィルムシート(以下OH
Pシートと称する)に印字する場合には、しみこむこと
ができないため、乾燥時間が長く、印字直後に手で触れ
ることで印字が汚れてしまったり、乾燥した後であって
も、水が付着することで印字ににじみが生じるといった
問題点である。これを解決するため、印字面に水溶性樹
脂等を塗布したOHPシートを用い、水性インクを前記
樹脂中に保持させ、乾燥性と耐水性を向上させるという
手段を採らなければならない。しかし、前述の水溶性樹
脂等を塗布したOHPシートに水等を基材としたインク
組成物を用いて印字しても、耐水性は完全に解決された
レベルではない。
【0005】また、ホットメルトインク組成物において
は、記録媒体上に印字した場合、前述したように高温の
状態の下で溶融状態でインクジェット記録装置から吐出
されるインク組成物は、記録媒体に到達直後、瞬時に冷
却固化し、記録媒体にしみこまずに、印字ドットが半球
に近い状態で固化する。
【0006】これにより、OHPシートにカラー印字を
行った場合には、以下の理由により、オーバーヘッドプ
ロジェクションシステムにおいて、そのOHPシートに
形成された画像を用いることができない。1つは、基材
であるワックス等に結晶性があり、光の透過率が低いた
め透明性が失われる。結晶性の低いいわゆる非結晶性の
材料を基材とした場合、光透過率は高くなるが、ホット
メルトインクジェット記録装置に使い得る、常温で固体
であり、60℃〜150℃の温度範囲内で吐出可能な低
粘度に溶融する材料は見あたらない。2つめは、前述し
たようにホットメルトインク組成物は、記録媒体上で半
球に近い状態で固化するため、凸レンズとしてはたら
き、OHPランプからの入射光は屈折散乱してしまい、
集光レンズに到達することができないのである。これに
より、投射画像はカラー画像を呈せず、明暗のみの画像
となってしまう。
【0007】ホットメルトインク組成物の前述した記録
媒体上で半球状に固化する性質は耐擦性においても大き
な課題を有している。半球状に固化しているため、印字
ドット高が高く、外部からの圧力や摩擦等によって印字
ドットが崩れ落ち、印字品質を悪くしてしまうのであ
る。インク組成物自体の強度を向上させれば、この課題
は解決する。しかし、通常、印字物に加わる外部からの
圧力や摩擦等は、記録ドットの様な微小レベルにおいて
は、単純な計算上1つの記録ドットに20〜2000kg
という大きな力が加わる。この大きな力に耐えられるだ
けの強度をもち、かつ、60℃〜150℃の温度範囲内
で吐出可能な低粘度に溶融する材料は見あたらない。
【0008】インクジェット記録において、水性イン
ク、ホットメルトインクそれぞれが以上のような課題を
有している。
【0009】そこで、本発明はこれらの課題を解決する
ものであり、その目的とするところは、ホットメルトイ
ンク組成物を用いるインクジェット記録方法において、
記録物の光透過性および耐擦性の向上にある。さらに詳
しくはOHPシートへの印字物のカラー画像投射性の向
上、およびOHPシート、紙等の各種記録媒体への印字
物の耐擦性の向上にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のインクジェット
記録方法は、常温で固体のインクを融点より高い温度に
おいて液化させて吐出させ、記録媒体上にドットを形成
して所望の文字、画像等を記録する記録方法において、
前記記録媒体上に形成された記録ドットのアスペクト比
(ドット高さ/ドット直径)が0.075以下であるこ
とを特徴とする。
【0011】
【実施例】次に実施例を参照にしつつ本発明を詳細に説
明する。
【0012】まず、OHPシートにおける光透過性につ
いて図面を参照にしつつ説明する。現在、一般的に用い
られているOHPは透過型と反射型の2種類があり、透
過型OHPは図1(a)に示すような光学系から成り立
っている。光源ランプ11から発生した光は反射鏡12
によりフレネルレンズ13に反射され、フレネルレンズ
13により屈折された光が集光レンズ14に集光され
て、反射鏡15により再び反射されプロジェクションレ
ンズ16を通してスクリーン(図示せず)に投影され
る。OHPシート17はフレネルレンズ13上に配され
る。ここでは、説明の簡略化のため、光軸上にある記録
ドットについて説明を続ける。図2に記録ドットと集光
レンズとの光学的関係を示した図を示す。また、図3に
記録ドット部(図2の破線部)の拡大図を示す。ここで
は、反射鏡12からフレネルレンズ13に入射する光は
平行光であり、記録ドット21は球の一部であり、さら
に記録ドットを光が通過することによる光の伝達損失が
無いと仮定した。入射光は該半球状の記録ドット21を
通過する時に凸レンズのごとく屈折される。屈折する角
度は記録ドット21の周辺部にいくほど大きくなり、集
光レンズ14の張る角度22より大きくなると集光レン
ズ14に捕捉されなくなる(図2の着色部)。集光レン
ズの張る角度22をθ、記録ドット21への光の入射角
31をi、屈折角32をr、記録ドット21を構成する
インク組成物の屈折率をn、集光レンズ14のF値をF
とすると、それぞれは下記の数式1、2のような関係が
ある。
【0013】
【数1】
【0014】
【数2】
【0015】数式1より集光レンズの張る角度θは、F
値が小さいほど大きくなることがわかる。上記数式1、
2より、集光レンズ14に捕捉されるための、光の記録
ドット21への最大入射角imaxは下記の数式3により
表される。
【0016】
【数3】
【0017】そして、記録ドット21とOHPシート1
7面とのなす角度(接触角)33をψ、記録ドットの高
さをh、直径をdとすると下記数式4の関係があり、記
録ドット21を通過するすべての光のうち集光レンズ1
4に集光される光の量R(%)は下記数式5で表され
る。
【0018】
【数4】
【0019】
【数5】
【0020】数式3と数式5により、集光される光の量
R(%)は、インク組成物の屈折率n、集光レンズのF
値F、および記録ドットの高さhと直径d、すなわちア
スペクト比(h/d)により求められる。
【0021】表1に記録ドットの高さhと直径d、アス
ペクト比(h/d)と、集光レンズに集光される光の量
R(%)との関係を示す。(現在、一般的に用いられて
いるOHPの集光レンズのF値は8〜15である。イン
ク組成物の屈折率n、記録ドットの高さh、直径dが一
定の時、数式5よりF値が小さい方が集光される光の量
R(%)が大きく有利であるため、表1においてはF値
が8の時の値を示した。また、インク組成物の屈折率n
は、ワックスの平均的な値1.45、記録ドットの直径
dは、印字密度が300dpi(1インチあたりのドッ
ト数が300)と想定して120μとした。参考値とし
て印字密度が600dpiを想定した60μの時の値も
示した。)
【0022】
【表1】
【0023】次にイエロー、マゼンタ、シアンの3色の
カラーホットメルトインク組成物を表2の組成で既知の
方法により調製した。それぞれのホットメルトインク組
成物をOHPシートにワイヤーバーにより塗工し、4種
類のインク膜厚を有するカラーOHPシートを作成し
た。こうして得られたカラーOHPシートの光透過率を
測定した。測定機器はマクベス社製カラーアイ・エクセ
ルを用いた。また、前記カラーOHPシートを市販の透
過型OHPと反射型OHPの両方においてスクリーン上
に投射し、それぞれの色の投射性を目視により観察し
た。以上の光透過率(ピーク値)とOHP投射性の観察
結果を表2に併せて示す。
【0024】
【表2】
【0025】表2より、透過型OHPにおいては、光透
過率が約50%以上あれば各色の投射性が良好である。
反射型OHPは図1(b)に光学系を表した概略図を示
したが、近年、その携帯性により需要が高まっている。
図1(a)に示した透過型OHPと較べ、反射型OHP
は光源ランプ11が集光レンズ14に隣接している。光
源ランプ11から出た光は凹面鏡18により反射され、
集光レンズ14に集光されて反射鏡15により反射さ
れ、スクリーン(図示せず)上に投射される。OHPシ
ート17は凹面鏡18上に配される。このため、光源ラ
ンプ11から出た光は凹面鏡18に到達する前にOHP
シート17を通過し、その後、凹面鏡18で反射された
光は再びOHPシート17を通過し集光レンズ14に集
光される。つまり、光はOHPシート17を2度通過す
ることになる。そのため透過光の量は光透過率の自乗分
となる。表2より反射型OHPにおいては、約70%の
光透過率がないと各色の投射性が良好にはならない。
【0026】以上の表1、2の結果より、記録ドットを
半球状とした場合、透過型OHPに用いるときには、約
0.05以下のアスペクト比が必要であり、反射型OH
Pに用いるときには、約0.042以下のアスペクト比
が必要であることがわかる。以下に具体例をあげて記録
ドットのアスペクト比を小さくする方法を説明する。
図4にその方法の過程を示す。まず、インクジェットヘ
ッド41内に供給されたホットメルトインク組成物は、
吐出可能な粘度になるまで加熱される。その後、インク
ジェットヘッド41から吐出し、OHPシート17に印
字画像を得るのであるが、該OHPシート17はそれ以
前にプラテン42によってインク組成物の融点以下の温
度に保持されている。プラテン42内部には赤外線ラン
プあるいはセラミックヒーター等のヒーター43が設置
されている。
【0027】プラテン42が融点以下の温度に保持され
ていることにより、インクジェットヘッド41から吐出
されたインク組成物は、OHPシート17上に到達した
後、急激に固化することなく徐冷され、固化に至るまで
の時間が長くなる。この間にOHPシート17に付着し
たインク組成物はぬれ広がりアスペクト比が小さくな
る。本発明者らの実験によるとインク組成物の融点をm
(℃)、ヘッド温度をT(℃)とした場合、プラテンの温度
P(℃)を下記の数式6に示した温度以上になるようにす
ることで0.05以下のアスペクト比が得られることが
わかった。
【0028】
【数6】
【0029】上記方法により、表2に示したインク組成
物を用いてインクジェット記録を行った。インクジェッ
トヘッド41の駆動周波数は10kHz、印字密度は3
00dpiとした。
【0030】表3にヘッド温度、プラテン温度を種々変
化させた場合に得られた記録ドットのアスペクト比を示
す。
【0031】
【表3】
【0032】インク組成物は前記表2に示したものを用
いたが、融点は90℃であった。プラテンの温度を融点
以上にすると、固化に至るまでの時間が長くなりアスペ
クト比はより小さくなるのであるが、逆に記録ドットが
OHPシート上でながれドットが不鮮明になってしまう
上、高温にするほど消費電力増、危険性等のマイナス要
因が増大する。よって融点以下が好ましく、融点より1
0℃以上低いほうがより好ましい。
【0033】こうして得られた種々のアスペクト比をも
つ記録ドットを透過型OHPおよび反射型OHPにより
投影し、その投射性を下記の評価1の方法により観察評
価した。
【0034】(評価1)OHP投射性:印字済みのOH
Pシートを、透過型および反射型OHPにより投影し、
投射画像の観察をし、以下のように評価した。
【0035】 ・印字画像と色が鮮明に投影されている・・・・・・・
好適(◎) ・印字画像の色が黒ずんでいるが色の識別はできる・・
適(○) ・印字画像が暗く色が識別できない・・・・・・・・・
劣悪(×) この結果を表3に併せて示す。
【0036】この結果より、実際にはインク組成物自体
の光伝達損失があり、透過型OHPにおいては約0.0
45以下、反射型OHPにおいては約0.04以下のア
スペクト比が必要であることがわかる。
【0037】以上記録ドットの記録媒体上での形状が半
球状であると仮定した場合について述べてきた。次に図
7に示すような偏平な記録ドットについて説明する。こ
のような偏平な記録ドットは、圧力、または圧力と熱に
より定着した場合に得られる。前述したように、記録ド
ットに入射する光の50%以上が透過しないと透過型O
HPでの投射性が良くない。また、反射型OHPにおい
ては70%以上の透過率が無いと良好な投射性が得られ
ない。50%の透過率を得るためには、半球状の記録ド
ットを圧力あるいは圧力と熱により定着した場合、ドッ
ト半径の約70%を平坦化する必要がある。定着前の半
球状記録ドットのドット半径をa1、ドット高さをh1と
した場合、その体積V1は数式6で与えられる。
【0038】
【数7】
【0039】また、図7に示すような定着後の偏平な記
録ドットの体積V2は、その形状が球台と仮定すると数
式7で与えられる。ここでa2はドット底部半径、b2は
平坦化された部分71の半径、h2は高さである。
【0040】
【数8】
【0041】この数式7、8より、例えば、定着前の記
録ドットのドット半径a1を50μ、ドット高さh1を2
0μとすると、数式6よりその体積は約82729μ3
となる。この記録ドットを定着し、ドット半径の70%
を平坦化し、300dpi相当のドット半径60μ以上
を得るには、ドット高さは約9μ以下となる。これよ
り、アスペクト比は、9/120=0.075以下とな
る。同様に定着前のドット半径が50μ、ドット高さが
10μである記録ドットの場合、アスペクト比は、約
0.043以下となる。また、定着前のドット半径が3
0μ、ドット高さが10μである記録ドットの場合、ア
スペクト比は約0.016以下となる。反射型OHPを
用いる場合は、ドット半径の約84%を平坦化する必要
があり、前述の透過型OHPを用いる場合より小さいア
スペクト比が要求される。
【0042】上記のような記録ドットは以下の方法によ
り得られる。
【0043】図5にシリアルインクジェットプリンタに
おける定着方法の過程を示す。インクジェットヘッド4
1内で加熱溶融されたインク組成物は、融点以下の温度
に保持されたプラテン42上のOHPシート17に吐出
され印字画像を得る。その後、固化するまでの間にイン
クジェットヘッド41に併設された加圧ローラ51によ
り加圧され偏平化し固化する。プラテン42の保持温度
は前述の数式6により得られる。プラテン42内部に
は、赤外線ランプやセラミックヒータ等のヒータ43が
設置されている。加圧ローラ51に加える圧力は、固化
したインク記録ドットを加圧対象としたものではなく、
固化する前の変形容易なインク記録ドットを対象とする
ものであるから、2kg/cm程度の大きさで良い。加
圧力を大小に変化させることによりアスペクト比を制御
できる。加圧力一定であっても、プラテン42保持温度
を上下することや、吐出温度を上下すること、また、吐
出されてから加圧するまでの時間を変化させることによ
ってもアスペクト比を制御できる。加圧ローラ51の材
質は熱伝導率の高いものが好ましく金属製のものが選ば
れる。そして、定着時に加圧ローラ51にインクが付着
するオフセットを防ぐために、表面にテフロン(登録商
標)やシリコン等の離形性の良好な樹脂層を設けること
が好ましい。本実験においては、アルミニウム製のロー
ラにテフロン(登録商標)を1mm厚で被覆した、長さ
2.5cm、直径1cmの加圧ローラ□を用い、加圧力
は2kg/cmとした。インクジェットヘッド41の駆
動周波数は10kHz、印字密度は300dpiとし
た。アスペクト比制御はインク吐出温度、プラテン保持
温度によって行い、定着前の記録ドットが定着すること
によりドット直径が120μなるように吐出量も制御し
た。表4にヘッド温度、プラテン温度と、各条件におい
て得られたアスペクト比を示す。尚、インク組成物は表
2に示した組成からなるものを用いた。
【0044】
【表4】
【0045】こうして得られた種々のアスペクト比をも
つ記録ドットを透過型OHPおよび反射型OHPにより
投影し、その投射性を前述の評価1の方法により観察評
価した。その結果を表4に併せて示す。
【0046】この結果より、良好なOHP投射性を得る
には、インク組成物自体の光伝達損失があるため、約
0.07以下のアスペクト比が必要であることがわか
る。インク組成物自体の光伝達損失が更に小さい場合に
は、アスペクト比が0.075まで良好なOHP投射性
が得られる。
【0047】他に、図6に示すようにインクジェットヘ
ッド41から吐出されたインク組成物61が常温のプラ
テン42上のOHPシート17に吐出され固化したイン
ク滴を加熱プレート62上で融点以上に加熱溶融した
後、再固化するまでの間に加圧ローラ51により加圧す
る方法によっても得ることができる。この方法による
と、OHPシート17上に吐出されて固化した記録ドッ
ト21に対して、これを加熱再溶融するまでの時間的な
制約はなく、再溶融させた記録ドット21が再固化する
までの間にこれを加圧処理するだけに過ぎないから、加
熱プレート62と加圧ローラ51はインクジェットヘッ
ド41の下手側であるならばOHPシート17等の記録
媒体搬送経路のいずれの位置に配設することが可能であ
り装置のレイアウトを極めて有利にする。
【0048】次に耐擦性について説明する。耐擦性とは
ホットメルトインクジェット記録を行って得られた印字
物の印字品質評価の1つである。ホットメルトインクは
記録媒体上に半球状に固化しているため、印字ドット高
が高く、外部からの圧力や摩擦等によって印字ドットが
崩れ落ち、印字品質を悪くしてしまうのである。実際の
状況としては、例えば、爪等で印字物を擦った場合等に
この耐擦性の良悪が現れる。耐擦性のメカニズムを図8
に示すように、円柱状の物体81が記録ドット21表面
上を荷重WをかけつつA方向に移動するとモデル化す
る。記録ドット21に横方向(水平成分)に加わる力F
は、記録ドット21に加えられる荷重(垂直方向)を
W、摩擦係数をμ、接触点を含む平面が水平面となす角
度をaとすると、下記数式9で与えられる。
【0049】
【数9】
【0050】つまり、記録ドット21に加わる横方向の
力Fは、加えられる荷重Wに比例する。摩擦係数μが増
加するほど大きくなる。水平面となす角度aが大きくな
るほど(ドット高さが高くなるほど)増大し、ある角度
になると無限大(破壊されるまで力が加わり続ける)に
なる。ことがわかる。例えば、記録ドット21の直径が
120μでドット高さを変化させた場合、荷重Wを20
0g、摩擦係数を0.4とすると、横方向に加わる力F
は、ドット高さが5μの時120g、10μの時170
g、20μの時330g、30μの時740gとなる。
【0051】上述した各種定着方法により、OHPシー
ト17の代わりに紙を用いて記録ドットを定着した。そ
して、得られた印字物に対して以下の耐擦性評価を行っ
た。 (評価2)耐擦性:印字済みのOHPシートの印字面
を、クリップで擦り、印字汚れの発生の有無を擦る回数
によって以下のように評価した。クリップにかける荷重
は200kg/mm2とした。
【0052】 ・40往復以上摩擦後発生無し・・・好適(◎) ・30〜40往復摩擦後発生あり・・適(○) ・30往復以下摩擦後発生あり・・・劣悪(×) この結果を定着により得られた記録ドットのアスペクト
比と共に表5に示す。
【0053】
【表5】
【0054】表5より明らかなように、0.075以下
のアスペクト比をもつ記録ドットにより得られた印字物
は、耐擦性が良好である。
【0055】
【発明の効果】以上述べたように、本発明のインクジェ
ット記録方法を用いることにより、従来のインクジェッ
ト記録において、問題となっていたOHP投射性、耐擦
性が解決される。さらに詳しくはOHP樹脂フィルムシ
ートへの印字物のカラー画像投影性、およびOHP樹脂
フィルムシート、紙等の各種記録媒体への印字物の耐擦
性が向上するという効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】透過型および反射型OHPの光学系を示した概
略図である。
【図2】OHPにおける記録ドットと集光レンズとの光
学的関係を示した図である。
【図3】OHPにおける記録ドットと集光レンズとの光
学的関係図の記録ドット部を拡大した図である。
【図4】本発明における記録ドットのアスペクト比を小
さくする方法に用いられるインクジェット記録装置の一
例を示した斜視図である。
【図5】本発明における記録ドットのアスペクト比を小
さくする方法に用いられるインクジェット記録装置の一
例を示した斜視図である。
【図6】本発明における記録ドットのアスペクト比を小
さくする方法に用いられるインクジェット記録装置の一
例を示した構成図である。
【図7】本発明において圧力、または圧力と熱による定
着によって得られる記録ドットを示した斜視図である。
【図8】耐擦性のメカニズムを示した図である。
【符号の説明】
14 集光レンズ 17 OHPシート 21 記録ドット 22 集光レンズの張る角度 41 インクジェットヘッド 42 プラテン 43 ヒータ 51 加圧ローラ 62 加熱プレート
フロントページの続き (72)発明者 川上 いく子 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコ ーエプソン株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 常温で固体のインクを融点より高い温度
    において液化させて吐出させ、記録媒体上にドットを形
    成して所望の文字、画像等を記録する記録方法におい
    て、前記記録媒体上に形成された記録ドットのアスペク
    ト比(ドット高さ/ドット直径)が0.075以下であ
    ることを特徴とするインクジェット記録方法。
JP15814992A 1992-06-17 1992-06-17 インクジェット記録方法 Pending JPH06954A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15814992A JPH06954A (ja) 1992-06-17 1992-06-17 インクジェット記録方法

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JP15814992A JPH06954A (ja) 1992-06-17 1992-06-17 インクジェット記録方法

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