JP5942222B2 - 光学部材用積層表面保護フィルム - Google Patents
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基材層および粘着層を含む積層表面保護フィルムであって、
前記基材層がビニル芳香族炭化水素70〜85質量%と共役ジエン15〜30質量%とからなるブロック共重合体(I)を含み、
該ブロック共重合体(I)における0.1mm以上0.5mm以下のフィッシュアイ個数が70個/1.2m2以下であり、
前記基材層のリタデーションが0.1nm〜50nmであり、
前記基材層の全光線透過率が90%以上であり、
前記基材層の内部ヘーズが3.0%以下であり、
積層表面保護フィルムにおける粘着層の剥離強度(JIS Z−0237(粘着テープ試験法)に準拠)が、0.03〜0.5N/25mmである光学部材用積層表面保護フィルム。
前記積層表面保護フィルムにおける基材層と粘着層との層比(基材層の厚さ/粘着層の厚さ)が50/50〜95/5である、[1]に記載の光学部材用積層表面保護フィルム。
前記ブロック共重合体(I)における0.1mm以上0.5mm以下のフィッシュアイ個数が50個/1.2m2以下である、[1]または[2]に記載の光学部材用積層表面保護フィルム。
前記基材層が、さらに下記成分(II)を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の光学部材用積層表面保護フィルム;
(II):(i)ビニル芳香族炭化水素重合体、(ii)ビニル芳香族炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸系誘導体とからなる共重合体、および(iii)ゴム変性スチレン系重合体からなる群より選ばれた少なくとも一種の重合体。
前記成分(II)における成分(ii)が、(メタ)アクリル酸エステル含有量が8質量%以上25質量%以下のビニル芳香族炭化水素−(メタ)アクリル酸エステル共重合体である、[4]に記載の光学部材用積層表面保護フィルム。
前記基材層における前記ブロック共重合体(I)と前記成分(II)との質量比(ブロック共重合体(I)/成分(II))が、10/90〜99.9/0.1である、[4]または[5]に記載の光学部材用積層表面保護フィルム。
前記粘着層がアクリル系粘着剤を含有する、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の光学部材用積層表面保護フィルム。
前記粘着層が導電性付与剤を含有する、[1]〜[7]のいずれかに記載の光学部材用積層表面保護フィルム。
前記基材層がインフレーション法により形成される、[1]〜[8]のいずれかに記載の光学部材用積層表面保護フィルム。
〈ブロック共重合体(I)〉
本実施の形態に用いる基材層は、ビニル芳香族炭化水素70〜85質量%と共役ジエン15〜30質量%とからなるブロック共重合体(I)を含む。ブロック共重合体(I)において、ビニル芳香族炭化水素の含有量は、72〜83質量%であることが好ましい。このようなブロック共重合体(I)を含ませることにより、透明で分子鎖の配向調整が不要な低複屈折(低リタデーション)の基材層を得ることができる。
[(A−B)k]m+1−X、[(A−B)k−A]m+1−X
[(B−A)k]m+1−X、[(B−A)k−B]m+1−X
上記各一般式において、セグメントAは「ビニル芳香族炭化水素単独重合体」および/または「ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなる共重合体」から構成されものであり、セグメントBは「共役ジエン単独重合体」および/または「ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなる共重合体」から構成されるものである。
本実施の形態に用いる基材層は、さらに下記成分(II)を含んでいてもよい。
(II):(i)ビニル芳香族炭化水素重合体、(ii)ビニル芳香族炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸系誘導体とからなる共重合体、および(iii)ゴム変性スチレン系重合体からなる群より選ばれた少なくとも一種の重合体。
本実施の形態に用いる前記成分(II)のうちの(i)ビニル芳香族炭化水素重合体(以後、成分(i)と記載する場合もある)は、ビニル芳香族炭化水素単独重合体、または、ビニル芳香族炭化水素と、該ビニル芳香族炭化水素と共重合可能なモノマーとの共重合体(但し、後述の成分(ii)を除く)である。ビニル芳香族系炭化水素とは主としてスチレン系の単量体のことをいい、具体的にはスチレン、α−アルキル置換スチレン、例えばα−メチルスチレン類、各アルキル置換スチレン類、各ハロゲン置換スチレン類等から選ばれたもので、目的により適当なものを少なくとも一種選べばよい。ビニル芳香族炭化水素と共重合可能なモノマーとしては、アクリロニトリル、無水マレイン酸等が挙げられる。
本実施の形態に用いる前記成分(II)のうちの(ii)ビニル芳香族炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸系誘導体とからなる共重合体(以後、成分(ii)と記載する場合もある)において、ビニル芳香族系炭化水素とは成分(i)の項で前記したスチレン系の単量体のことをいう。
炭素数C1〜C12好ましくはC2〜C12、より好ましくはC3〜C12のアルコールとメタクリル酸とのエステル誘導体;または
α、β不飽和ジカルボン酸、例えばフマル酸、イタコン酸、マレイン酸等、もしくはこれらジカルボン酸とC2〜C12のアルコールとのモノもしくはジエステル誘導体等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施の形態に用いる前記成分(II)のうちの(iii)ゴム変性スチレン系重合体(以後、成分(iii)と記載する場合もある)としては、例えば、ビニル芳香族炭化水素と、ビニル芳香族炭化水素と共重合可能なモノマーと、エラストマーとの混合物を重合することによって得られるもの等が挙げられる。当該重合方法としては、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、塊状−懸濁重合等が挙げられる。ビニル芳香族系炭化水素とは成分(i)の項で前記したスチレン系の単量体のことをいう。ビニル芳香族炭化水素と共重合可能なモノマーとしては、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、無水マレイン酸等が挙げられる。また、共重合可能なエラストマーとしては天然ゴム、合成イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ハイスチレンゴム等が使用される。
本実施の形態に用いる基材層のリタデーションは、0.1nm〜50nmであり、好ましくは0.1nm〜40nmであり、更に好ましくは0.1nm〜30nmである。
(|Δn|:複屈折の絶対値、Re:リタデーション、d:サンプルの厚み(nm))
また、複屈折の絶対値(|Δn|)は以下に示す値である。
(nx:延伸方向の屈折率、ny:面内で延伸方向と垂直な屈折率)
リタデーションは基材層を構成するブロック共重合体のビニル芳香族炭化水素含有量を本実施の形態に規定する範囲内に調整するか、或は基材層の延伸倍率とリタデーションとの関係を測定して調整することが可能である。延伸倍率とリタデーションとの関係については、延伸倍率を小さくすることでリタデーションを小さくすることができる。
本実施の形態に用いる基材層の成形方法は、押出法、インフレーション法、溶液のキャスト法などが挙げられる。光学的な異方性を生じさせないためには溶液のキャスト法が一般的であるが、本実施の形態に用いる基材層は、上記ブロック共重合体(I)を含み、分子鎖の配向調整が不要な低複屈折(低リタデーション)という特性を有するため、安価なインフレーション法により形成されることが好ましい。
本実施の形態に係る光学部材用積層表面保護フィルムは粘着層を含む。本実施の形態に係る光学部材用積層表面保護フィルムにおいて、粘着層は、上述した基材層上に積層されるが、粘着層と基材層との間に他の層を含んでいてもよい。このような他の層としては、例えば、帯電防止剤を含む層等が挙げられる。
本実施の形態に係る光学部材用積層表面保護フィルムは、剥離フィルムを含んでいてもよい。本実施の形態に係る光学部材用積層表面保護フィルムにおいて、剥離フィルムは、上述した粘着層上に積層されることが好ましい。粘着層と剥離フィルムとの間に他の層を含んでいてもよい。このような他の層としては、例えば、シリコーン系に代表される剥離層等が挙げられる。
本実施の形態に係る光学部材用積層表面保護フィルムは、通常用いられている粘着剤付きフィルムの製造方法を使用して製造することができる。例えば、上記基材層または上記剥離フィルム上に、溶媒で希釈した上記粘着剤を塗布し、乾燥して溶媒を除去することにより粘着層を形成し、次いで、当該粘着層上に、公知の方法、例えばロ−ル貼合装置を用いて、剥離フィルムまたは基材層を積層する方法が挙げられる。ここで、溶媒としては、トルエンおよびメチルエチルケトンの混合溶媒が挙げられる。
(ブロック共重合体A−1)
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン23質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.087質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.1倍モル添加し、70℃で30分間連続供給して重合を行った。
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン25質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.087質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.1倍モル添加し、70℃で30分間連続供給して重合を行った。
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン31質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.082質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.1倍モル添加し、70℃で40分間連続供給して重合を行った。
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン31質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.076質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、70℃で40分間連続供給して重合を行った。
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン26質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.052質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、70℃で35分間連続供給して重合を行った。
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン20質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.090質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.1倍モル添加し、70℃で25分間連続供給して重合を行った。
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン36質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.054質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、70℃で45分間連続供給して重合を行った。
ペレット化する際に100メッシュサイズ(目開き寸法:149μm)のフィルターを使用する以外はブロック共重合体A−2と同様な方法でブロック共重合体A−8を得た。
(重合体B−1)
成分(II)における成分(ii)として、アクリル酸n-ブチル単位の含有量が21質量%のスチレン−アクリル酸n-ブチル共重合体を用いた。
成分(II)における成分(ii)として、アクリル酸n-ブチル単位の含有量が12質量%のスチレン−アクリル酸n-ブチル共重合体を用いた。
成分(II)における成分(i)としてゼネラルパーパスポリスチレン(GPPS)(PSジャパン株式会社製、PSJポリスチレン685)を用いた。
成分(II)における成分(iii)として耐衝撃性ゴム変性スチレン系重合体(HIPS)(PSジャパン株式会社製、PSJポリスチレン475D)を用いた。
(重合体B−5)
成分(II)における成分(ii)として、アクリル酸n-ブチル単位の含有量が5質量%のスチレン−アクリル酸n-ブチル共重合体を用いた。
成分(II)における成分(ii)として、アクリル酸n-ブチル単位の含有量が30質量%のスチレン−アクリル酸n-ブチル共重合体を用いた。
紫外線分光光度計(日立UV200)を用いて、262nmの吸収強度より算出した。
ブロック共重合体を、20mmシート押出機を用いて厚さ100μmのシートに成形し、当該シート面積1.2m2中の0.1mm以上0.5mm以下のフィッシュアイ個数をCCDカメラにより測定した。
表3および表4に示したとおり各成分を配合し、インフレーション法で製膜した厚み100μmの基材層のフィルムについて、王子計測機器(株)社製KOBRA−WRを用いて、平行ニコル回転法により入射角0度、波長587nmでリタデーションの値を測定した。
表3および表4に示したとおり各成分を配合し、インフレーション法で製膜した厚み100μmの基材層のフィルムに流動パラフィンを塗布したものを試験片とした。該試験片の全光線透過率およびヘーズを、ASTM D1003に準拠して測定した。
実施例および比較例で得られた光学部材用積層表面保護フィルムにおける粘着層の剥離強度は、JIS Z−0237(粘着テープ試験法)に定められた測定方法で得られた、ステンレス製被着板に対する剥離抵抗値とした。
実施例および比較例で得られた光学部材用積層表面保護フィルムから剥離フィルムを剥がし、該表面保護フィルム(粘着層側)を二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(面積は0.1m2)に貼付した。1週間後に表面保護フィルムを剥がした際の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面状態を目視観察した。下記基準により打痕性を評価した。
○: 打痕数が2個以内であった。
×: 打痕数が2個を超えた。
基材層としては、表3に示したとおり各成分を配合し、インフレーション製膜(40mm押出機、ダイ径200mm、ダイ温度200℃、ブロー比1.5)して得られた厚さ30μmのフィルムを用いた。
粘着剤溶液を、上記シリコーン処理された面の剥離フィルムに固形分濃度1g/m2の量で塗工した以外は実施例1と同様の方法で光学部材用積層表面保護フィルムを得た。当該光学部材用積層表面保護フィルムの基材層と粘着層との層比(基材層の厚さ/粘着層の厚さ)は97/3であった。また、当該光学部材用積層表面保護フィルムにおける基材層と粘着層との合計の厚みは、31μmであった。
〔実施例6〜10および比較例8〜14〕
基材層としては、表4に示したとおり各成分を配合し、インフレーション製膜(40mm押出機、ダイ径200mm、ダイ温度200℃、ブロー比1.5、フィルターAとして10μmサイズ(目開き寸法)の焼結フィルター又はフィルターBとして100メッシュサイズ(目開き寸法:149μm)のフィルターを使用)して得られた厚さ30μmのフィルムを用いた。
粘着剤溶液を、上記シリコーン処理された面の剥離フィルムに固形分濃度1g/m2の量で塗工した以外は実施例1と同様の方法で光学部材用積層表面保護フィルムを得た。当該光学部材用積層表面保護フィルムの基材層と粘着層との層比(基材層の厚さ/粘着層の厚さ)は97/3であった。また、当該光学部材用積層表面保護フィルムにおける基材層と粘着層との合計の厚みは、32μmであった。
Claims (9)
- 基材層および粘着層を含む積層表面保護フィルムであって、
前記基材層がビニル芳香族炭化水素70〜85質量%と共役ジエン15〜30質量%とからなるブロック共重合体(I)を含み、
該ブロック共重合体(I)における0.1mm以上0.5mm以下のフィッシュアイ個数が70個/1.2m2以下であり、
前記基材層のリタデーションが0.1nm〜50nmであり、
前記基材層の全光線透過率が90%以上であり、
前記基材層の内部ヘーズが3.0%以下であり、
前記基材層の厚みが5〜100μmであり、
積層表面保護フィルムにおける粘着層の剥離強度(JIS Z−0237(粘着テープ試験法)に準拠)が、0.03〜0.5N/25mmである光学部材用積層表面保護フィルム。 - 前記積層表面保護フィルムにおける基材層と粘着層との層比(基材層の厚さ/粘着層の厚さ)が50/50〜95/5である、請求項1に記載の光学部材用積層表面保護フィルム。
- 前記ブロック共重合体(I)における0.1mm以上0.5mm以下のフィッシュアイ個数が50個/1.2m2以下である、請求項1または2に記載の光学部材用積層表面保護フィルム。
- 前記基材層が、さらに下記成分(II)を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学部材用積層表面保護フィルム;
(II):(i)ビニル芳香族炭化水素重合体、(ii)ビニル芳香族炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸系誘導体とからなる共重合体、および(iii)ゴム変性スチレン系重合体からなる群より選ばれた少なくとも一種の重合体。 - 前記成分(II)における成分(ii)が、(メタ)アクリル酸エステル含有量が8質量%以上25質量%以下のビニル芳香族炭化水素−(メタ)アクリル酸エステル共重合体である、請求項4に記載の光学部材用積層表面保護フィルム。
- 前記基材層における前記ブロック共重合体(I)と前記成分(II)との質量比(ブロック共重合体(I)/成分(II))が、10/90〜99.9/0.1である、請求項4または5に記載の光学部材用積層表面保護フィルム。
- 前記粘着層がアクリル系粘着剤を含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学部材用積層表面保護フィルム。
- 前記粘着層が導電性付与剤を含有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学部材用積層表面保護フィルム。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の光学部材用積層表面保護フィルムの製造方法であって、前記基材層がインフレーション法により形成される光学部材用積層表面保護フィルムの製造方法。
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