JP2023106053A - 4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物、並びに、これからなる成形体、シート、粘着剤および日用雑貨 - Google Patents

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Abstract

【課題】得られる成形体の透明性が優れる4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物を提供する。【解決手段】要件(d)及び(e)の少なくとも1つの要件を満たす4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)5~95質量部と、アクリル系共重合体(B)95~5質量部(4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)とアクリル系共重合体(B)との合計量を100質量部とする)と、を含み、要件(a)~(c)を満たす4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物(X)、並びに、これからなる成形体、シート、粘着剤および日用雑貨。要件(a)~(e)の詳細は明細書中に示す。【選択図】なし

Description

本発明は、4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物、並びに、これからなる成形体、シート、粘着剤および日用雑貨に関する。
従来、高分子材料の制振性の指標となる動的粘弾性測定の損失係数tanδが大きなピーク値をもつ材料が、振動性を有する高分子材料として使用されている。振動性を有する高分子材料の一例として、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)あるいは、その水素添加物等が挙げられる。
振動特性を有する高分子材料は、粘着剤用途や保護フィルム等に用いられている。例えば、偏光板、位相差板、導光板、反射板、プリズム板等のように、表面に凹凸を有する被着体の表面の保護に保護フィルムが使用される場合、被着体と粘着層との接触面積が小さくなるため、保護フィルムの粘着層には、このような表面に凹凸を有する被着体に対しても、適度な粘着力を有することが求められている。
さらに、保護フィルムは、用途によっては良好な外観、透明性および色調を有することが必要とされ、ゲル、フィッシュアイ等のフィルム欠陥がないことが要求される。さらに、表面保護フィルムは、大量に使用され、かつ廃棄されるものであるため、安価に製造できるものであることが要求される。
従来、上記のような粘着層としては、プロピレン系重合体からなる粘着層(例えば、特許文献1)、スチレン系重合体と粘着性付与樹脂とを含む粘着層(例えば、特許文献3および4)、ジエン系ブロック共重合体を含む粘着層(例えば、特許文献5)、スチレン系エラストマーとプロピレン系単独重合体とを含む粘着層(例えば、特許文献6)、重合体ブロックと脂肪酸アミド化合物とを含む粘着層(例えば、特許文献7)、4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体と熱可塑性樹脂とを含む粘着層(例えば、特許文献2および8)、アクリル系ブロック共重合体またはアクリル系ブロック共重合体を含む組成物を粘接着剤(例えば、特許文献9)が記載されている。
国際公開第2005/121192号パンフレット 国際公開第2011/055803号パンフレット 特開2007-126512号公報 特開2012-255071号公報 特開2008-274213号公報 特開2011-126169号公報 特開2013-121989号公報 国際公開第2015/012274号パンフレット 国際公開第2016/027767号パンフレット
SISは、室温付近に大きな正接損失tanδのピークを有するため、室温付近では制振性に優れるが、tanδピークがシャープであるためピーク温度付近以外では制振性に劣ることが知られている。
また、水素添加SISは、重合反応、および、水素添加の2段階からなるプロセスにより製造されるため生産コストが高く、工業的な応用範囲が限定される。ポリプロピレン、4-メチル-1-ペンテン単独重合体などのポリオレフィンは、室温付近にtanδピークを有するもののピーク値は小さく、ポリ塩化ビニル(PVC)系制振材は、焼却時に有毒ガスを発生するなど、環境に対して好ましくない影響を及ぼす可能性がある。
例えば、特許文献1および特許文献8に記載の粘着層には、低粘着昂進性の点でさらなる改良が求められる。特許文献3および4に記載の粘着層は、特に、表面に凹凸を有する被着体に対する粘着強度が不十分であり、また、べたつきやブロッキングが生じやすく、押出成形性が悪いために生産性に難があった。特許文献5および6に記載の粘着層は、特に、表面に凹凸を有する被着体に対する粘着強度が不十分であった。また、特許文献7に記載の粘着層は、該粘着層を被着体から剥離する際に、被着体への汚染性等が懸念され、剥離性の点で改良の余地があった。
上記のとおり、特許文献1~7に開示された従来ポリオレフィン材料に足りなかった印刷性や意匠性、粘着性させるため、透明性に優れたポリオレフィンとアクリル系共重合体との樹脂組成物および樹脂組成物から得られる成形体の開発が求められている。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、特定の4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)と特定のアクリル系共重合体(B)とを含む組成物から得られる成形体は、透明性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の一実施形態が解決しようとする課題は、得られる成形体の透明性が優れる4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物を提供することである。
また、本発明の一実施形態が解決しようとする他の課題は、透明性に優れる成形体、シート、粘着剤および日用雑貨を提供することである。
すなわち、上記課題を解決する手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 下記要件(d)および(e)の少なくとも1つの要件を満たす4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)5~95質量部と、
アクリル系共重合体(B)95~5質量部(前記4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)と前記アクリル系共重合体(B)との合計量を100質量部とする)と、を含み、
下記要件(a)~(c)を満たす4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物(X);
(a)-40~150℃の温度範囲で、周波数10rad/s(1.6Hz)による動的粘弾性測定で求められるtanδピーク温度が、0℃~60℃である;
(b)-40~150℃の温度範囲で、周波数10rad/s(1.6Hz)による動的粘弾性測定で求められるtanδピーク値が、0.3~5.0である;
(c)4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物(X)から得られる1mm厚プレスシートの内部ヘイズが0.01~70%である;
(d)4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位55~93モル%と、炭素原子数2~4のα-オレフィンから導かれる構成単位7~45モル%(4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位と炭素原子数2~4のα-オレフィンから導かれる構成単位の合計を100モル%とする)と、からなる;
(e)示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が200℃未満であるか、または融点が観測されない。
<2> 前記4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)が、下記要件(f)~(h)のいずれか1つ以上をさらに満たす<1>に記載の4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物(X);
(f)-40℃~150℃の温度範囲で、周波数10rad/s(1.6Hz)による動的粘弾性測定で求められるtanδピーク温度が、15℃~45℃である;
(g)-40℃~150℃の温度範囲で、周波数10rad/s(1.6Hz)による動的粘弾性測定で求められるtanδピーク値が、0.3~5.0である;
(h)波長589nmの光に対する屈折率が1.45~1.60である。
<3> 前記アクリル系共重合体(B)が、下記要件(i)および(j)を満たす<1>または<2>に記載の4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物(X);
(i)波長589nmの光に対する屈折率が1.45~1.60である;
(j)4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)の波長589nmの光に対する屈折率とアクリル系共重合体(B)の波長589nmの光に対する屈折率との差が、0.020以下である。
<4> <1>~<3>のいずれか1つに記載の4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物(X)からなる成形体。
<5> <1>~<3>のいずれか1つに記載の4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物(X)から形成されるシート。
<6> <1>~<3>のいずれか1つに記載の4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物(X)から形成される粘着剤。
<7> <1>~<3>のいずれか1つに記載の4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物(X)から形成される日用雑貨。
本発明の一実施形態によれば、得られる成形体の透明性が優れる4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物が提供される。
また、本発明の一実施形態によれば、透明性に優れる成形体、シート、粘着剤および日用雑貨を提供される。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、本明細書において、「重合体」および「(共)重合体」との語句は、特に断りのない限り、単独重合体および共重合体を包含する意味で用いられる。
本明細書において、数値範囲を示す「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、数値範囲を示す「~」とはその前後いずれか一方に記載される単位は、特に断りがない限り同じ単位を示すことを意味する。
本明細書において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
また、本明細書において、特に限定しない限りにおいて、組成物中の各成分、または、ポリマー中の各構成単位は1種単独で含まれていてもよいし、2種以上を併用してもよいものとする。
本明細書において、組成物中の各成分、または、ポリマー中の各構成単位の量は、組成物中に各成分、または、ポリマー中の各構成単位に該当する物質または構成単位が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する該当する物質またはポリマー中に存在する複数の各構成単位の合計量を意味する。
以下、本発明を詳細に説明する。
<4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物(X)>
本発明の4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物(X)は、要件(d)および(e)の少なくとも1つの要件を満たす4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)5~95質量部と、アクリル系共重合体(B)95~5質量部(前記4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)と前記アクリル系共重合体(B)との合計量を100質量部とする)と、を含み、要件(a)~(c)を満たす。
アクリル樹脂とポリオレフィンとを溶融混練、溶液分散等の方法で混合することは可能であるが、これらの樹脂の混合物より得られる成形体では十分な透明性が得られなかった。本発明者らが鋭意検討した結果、特定の4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)と特定のアクリル系共重合体(B)とを含むことにより、屈折率を適切に調整することができ得られる成形体は透明性に優れることを見出した。また、本発明の4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物(X)は、上記構成を有することで、柔軟性と室温付近(例えば、30℃)での高いtanδピーク値による応力緩和性にも優れる。
本発明の4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物(X)は、4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)と、アクリル系共重合体(B)とを含む。具体的には、4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)の含有量が5~95質量部であり、アクリル系共重合体(B)の含有量が95~5質量部である。但し、4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)と、アクリル系共重合体(B)との合計量を100質量部とする。
本発明の4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物(X)(以下、単に「樹脂組成物(X)」ともいう。)は、以下の要件(a)~(c)を満たす。
<<要件(a)>>
本発明の樹脂組成物(X)は、-40~150℃の温度範囲で、周波数10rad/s(1.6Hz)による動的粘弾性測定で求められるtanδピーク温度が、0℃~60℃以下である。上記tanδピーク温度とは、-40℃~150℃の温度範囲で、周波数10rad/s(1.6Hz)による動的粘弾性測定で求められる損失正接tanδの値が最大となる際の温度を意味する。
ここで、上記tanδピーク温度の下限値については、2℃以上であることが好ましく、4℃以上であることがより好ましい。また、上記tanδピーク温度の上限値については、55℃以下であることが好ましく、50℃以下であることがより好ましく、45℃以下であることが特に好ましい。tanδピーク温度を上記の温度範囲に調整することで、成形体は幅広い環境温度下に対応して、高い応力緩和性を発揮する。上記観点から、tanδピーク温度は、2℃~55℃であることが好ましく、4℃~50℃であることがより好ましく、4℃~45℃であることがさらに好ましい。
<<要件(b)>>
本発明の樹脂組成物(X)は、-40~150℃の温度範囲で、周波数10rad/s(1.6Hz)による動的粘弾性測定で求められるtanδピーク値が、0.3~5.0である。上記tanδピーク値とは、-40~150℃の温度範囲で、周波数10rad/s(1.6Hz)による動的粘弾性測定で求められる損失正接tanδの最大値を意味する。
tanδピーク値は、0.3~4.5であることが好ましく、0.6~4.0であることがより好ましく、0.8~3.5であることが特に好ましい。tanδピーク値を上記範囲に調整することで、得られる成形体は応力緩和性に優れ、弾性変形した後にゆっくり元の形状へ回復することができる。
損失正接tanδは、動的粘弾性で測定される貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G”)との比(G”/G’)で算出することができる。
本発明において、損失正接tanδは、-40℃~150℃の温度範囲で、周波数10rad/s(1.6Hz)による動的粘弾性測定で求められ、この温度範囲の中で当該損失正接tanδが最大値となる時の温度を前述のtanδピーク温度とし、その時の損失正接tanδの値をtanδピーク値とする。
前述のtanδピーク温度は、樹脂組成物(X)のガラス転移温度に起因すると考えられる。なお、動的粘弾性の測定方法の詳細については、後述の実施例に記載する内容のとおりである。
<<要件(c)>>
4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物(X)から得られる1mm厚プレスシートの内部ヘイズが0.01~70%であり、好ましくは0.1~60%、より好ましくは1~45%の範囲にある。
上記内部ヘイズの値は組成物(X)中の4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)およびアクリル系共重合体(B)の比率や種類により調整することが可能であり、内部ヘイズの値が上記範囲にある4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物(X)は、それぞれの成分が分散構造を取りながらも、透明性に優れる傾向にある。
<4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)>
本発明の樹脂組成物(X)に含まれる4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)は、下記要件(d)および(e)の少なくとも1つの要件を満たし、好ましくは、以下の要件(f)~(h)の1つ以上をさらに満たし、より好ましくは2つ以上をさらに満たし、さらに好ましくは3つ以上をさらに満たし、特に好ましくは全てをさらに満たす。すなわち、4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)は、要件(d)のみを満たしていてもよく、要件(e)のみを満たしていてもよく、あるいは、要件(d)および要件(e)の両方を満たしていてもよい。
4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)は、要件(d)および/または(e)に加えて、好ましくは要件(f)~要件(h)のいずれか1つ以上をさらに満たし、特に好ましくは要件(f)~要件(h)の全てをさらに満たす。
<<要件(d)>>
4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)は、4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位(以下、「構成単位(i)」と呼ばれる場合がある。)55~93モル%と、炭素原子数2~4のα-オレフィンから導かれる構成単位(以下「構成単位(ii)」と呼ばれる場合がある。)7~45モル%(構成単位(i)と構成単位(ii)の合計を100モル%とする)とからなることが好ましい。
<<要件(e)>>
4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)は、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が200℃未満であるか、または融点が観測されないことが好ましい。
<<要件(f)>>
4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)は、-40℃~150℃の温度範囲で、周波数10rad/s(1.6Hz)による動的粘弾性測定で求められるtanδピーク温度が、15℃~45℃であることが好ましい。
<<要件(g)>>
4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)は、-40~150℃の温度範囲で、周波数10rad/s(1.6Hz)による動的粘弾性測定で求められるtanδピーク値が、0.3以上5.0以下であることが好ましい。
<<要件(h)>>
4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)は、波長589nmの光に対する屈折率が1.45~1.60であることが好ましい。
上記要件(d)は、4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)が、4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位(i)と、炭素原子数2~4のα-オレフィンから導かれる構成単位(ii)とを特定の割合で有することを規定している。
本明細書において、α-オレフィンから導かれる構成単位とは、α-オレフィンに対応する構成単位、即ち、-CH2-CHR-(Rは水素原子、またはアルキル基)で表される構成単位を意味する。4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位(i)についても、同様に解釈でき、4-メチル-1-ペンテンに対応する構成単位(即ち、-CH2-CH(-CH2CH(CH32)-で表される構成単位)を意味する。
4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)について、4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量の下限値は、55モル%であり、65モル%であることが好ましく、68モル%であることがより好ましい。一方、4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量の上限値は、93モル%であり、86モル%であることが好ましく、84モル%であることがより好ましい。
4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)において、4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位(i)の含有量が上記下限値以上であると、動的粘弾性で測定されるtanδピーク温度が室温付近になるため、樹脂組成物(X)のtanδピーク温度も前述した範囲内に調整しやすい。一方、4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位(i)の含有量が上記上限値以下であると、室温での緩和性が上がり、樹脂組成物(X)より得られる成形体及び日用品を人の肌に貼り付けたり装着した時の締め付け力が低減してフィット感が向上する。
したがって上記観点から、4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)において、炭素原子数2~4のα-オレフィンから導かれる構成単位(ii)の含有量の上限値は45モル%であることが好ましく、40モル%であることがより好ましく、32モル%であることがさらに好ましい。
一方、炭素原子数2~4のα-オレフィンから導かれる構成単位(ii)の含有量の下限値は、7モル%であることが好ましく、15モル%であることがより好ましく、16モル%であることがさらに好ましい。
4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)を構成する各構成単位の含有量(モル%)の値は、13C-NMR(核磁気共鳴)により測定され求められる。なお、13C-NMRの測定方法の詳細については、後述の実施例に記載する内容のとおりである。
4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)が上記要件(d)を満たす場合、4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)は、α-オレフィンとして炭素原子数2~4のα-オレフィンを含んでいる。本発明の樹脂組成物(X)が上記要件(d)を満たす4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)を含むと、4-メチル-1-ペンテンと炭素原子数のより大きいα-オレフィンとからなる4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体を含む樹脂組成物と比べて柔軟性に優れ、またtanδピーク値が高く設計することができる。
炭素原子数2~4のα-オレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、1-ブテンなどが挙げられ、この中でも特にプロピレンが好ましい。構成単位(ii)は、これらのうち1つの化合物から導かれる構成単位を含んでいてもよいし、これら2以上の化合物から導かれる構成単位を含んでいてもよい。
炭素原子数2~4のα-オレフィンとして、プロピレンを選択することにより、アクリル系共重合体(B)との均一で良好な混練性が得られ、その樹脂組成物からなる成形体は、柔軟性を有する成形体が得られやすい。なお、アクリル系共重合体(B)についての詳細な説明は、後記「アクリル系共重合体(B)」の項で後述する。
4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)が上記要件(d)を満たす場合、4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)は、上記構成単位(i)と上記構成単位(ii)とからなる。すなわち、この態様において、4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)は、4-メチル-1-ペンテンと炭素原子数2~4のα-オレフィンとの共重合体である。
上記要件(e)において、4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)は、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が200℃未満であるか、または融点が観測されない。4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)は、好ましくは融点が160℃以下であるか、または融点が観測されず、さらに好ましくは融点が観測されない。
要件(e)を満たすことにより本発明の樹脂組成物(X)において、後述するアクリル系共重合体(B)との良好な混練性が得られ、応力緩和性を向上させることができる。
上記要件(f)において、4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)は、-40~150℃の温度範囲で、周波数10rad/s(1.6Hz)による動的粘弾性測定で求められるtanδピーク温度が15℃~45℃であり、20℃~45℃であることが好ましく、25℃~45℃であることがより好ましい。
tanδピーク温度を上記の範囲内にすることで、室温付近での応力緩和性がより発揮することができる。
上記要件(g)において、4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)は、-40℃~150℃の温度範囲で、周波数10rad/s(1.6Hz)による動的粘弾性測定で求められるtanδピーク値が、0.3~5.0であり、0.8~5.0であることが好ましく、1.5~5.0であることがより好ましく、2.0~4.0であることがさらに好ましい。
tanδピーク値を上記の範囲内にすることで、引張応力や変形する速度に応じて、元の形状に緩やかに戻ろうとする復元性に優れる。
上記要件(h)において、4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)は、波長589nmの光に対する屈折率が1.45~1.60であり、1.455~1.50であることが好ましく、1.46~1.47であることが特に好ましい。
屈折率が上記範囲内にある4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)を用いると、4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)とアクリル系共重合体(B)との屈折率の差を上記範囲とすることが容易となり、全光線透過率が高く、内部ヘイズの小さい成形体を容易に形成することができる。
4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)は、デカリン中135℃で測定した極限粘度[η]が、0.1~5.0dl/gの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.5~4.0dl/g、さらに好ましくは1.0~3.5dl/gである。後述するように、重合中に水素を併用すると分子量を制御でき、低分子量体から高分子量体まで自在に得ることができ、上記範囲の極限粘度[η]に調整することができる。極限粘度[η]の測定方法の詳細については、後述の実施例に記載する内容のとおりである。
4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)が、ポリスチレン換算で1,000~1,000,000以下であることが好ましく、5,000~800,000以下であることがより好ましく、10,000~500,000以下であることがさらに好ましい。なお、重量平均分子量(Mw)の測定方法の詳細については、後述の実施例に記載する内容のとおりである。
4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が、1.0~3.5の範囲にあることが好ましく、より好ましくは1.2~3.0、さらに好ましくは1.5~2.8以下である。分子量分布(Mw/Mn)が3.5以下であると、組成分布に由来する低分子量、低立体規則性ポリマーの影響が少なく、得られる成形体の機械強度が低下しにくいため好ましい。
4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)のメルトマスフローレイト(MFR;ASTM D1238準拠、温度230℃ 、荷重2.16kg)は、0.1~100g/10分であることが好ましく、0.5~50g/10分であることがより好ましく、1.0~30g/10分の範囲内にあることがさらに好ましい。
4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)のメルトマスフローレイト(MFR)が上記の範囲で下限値以上である場合には、無機充填材(B)と、熱可塑性エラストマー(C)との良好な分散性が得られる。
前述の範囲の上限値以下である場合は、樹脂の分子量が低すぎず、成形体として十分な機械強度が得られるため好ましい。
4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)の密度は、好ましくは830~870kg/m3、より好ましくは830~860kg/m3、さらに好ましくは830~850kg/m3である。なお、密度の測定方法の詳細は、後述する実施例に記載する内容のとおりである。
4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)の密度は、4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体のコモノマー組成比によって、適宜変えることができる。密度が上記の範囲内にある上記4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)は、アクリル系共重合体(B)との良好な混練性が得られるため有利である。
本発明の4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物(X)における4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)の含有量は、4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)とアクリル系共重合体(B)との合計量を100質量部に対して5~95質量部である。上記含有量は、4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物(X)からなる成形体が高い透明性と、tanδピーク値を発現できる点から好ましく、より好ましくは4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)とアクリル系共重合体(B)との合計量を100質量部に対して10質量部~80質量部である。
<4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)の製造方法>
4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、4-メチル-1-ペンテンと前述の炭素原子数2~4のα-オレフィンとをマグネシウム担持型チタン触媒、または、メタロセン触媒などの適切な重合触媒存在下で重合することにより製造できる。
ここで、使用することができる重合触媒としては、従来公知の触媒、例えば、マグネシウム担持型チタン触媒、国際公開第2001/53369号、国際公開第2001/27124号、特開平3-193796号公報、あるいは特開平2-41303号公報、国際公開第2011/055803号、国際公開第2014/050817号等に記載のメタロセン触媒などが好適に用いられる。重合は、溶解重合および懸濁重合などを含む液相重合法、ならびに気相重合法などから適宜選択して行うことができる。
液相重合法では、液相を構成する溶媒として不活性炭化水素溶媒を用いることができる。上記不活性炭化水素の例には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、および灯油などを含む脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、およびメチルシクロヘキサンなどを含む脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、およびキシレンなどを含む芳香族炭化水素、ならびにエチレンクロリド、クロロベンゼン、ジクロロメタン、トリクロロメタン、およびテトラクロロメタンなどを含むハロゲン化炭化水素、ならびにこれらの混合物などが含まれる。
また、液相重合法では、前述の4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位(i)に対応するモノマー(すなわち、4-メチル-1-ペンテン)、前述の炭素原子数2~4のα-オレフィンから導かれる構成単位(ii)に対応するモノマー(すなわち、前述の炭素原子数2~4のα-オレフィン)自体を溶媒とした塊状重合とすることもできる。
なお、上記の4-メチル-1-ペンテンと上記の炭素原子数2~4のα-オレフィンとの共重合を段階的に行うことにより、上記4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(A)を構成する4-メチル-1-ペンテンの構成単位(i)、および、炭素原子数2~4のα-オレフィンの構成単位(ii)の組成分布を適度に制御することもできる。
重合温度は、-50℃~200℃が好ましく、0℃~100℃がより好ましく、20℃~100℃がさらに好ましい。重合圧力は、常圧~10MPaゲージ圧であることが好ましく、常圧~5MPaゲージ圧であることがより好ましい。
重合の時に、生成するポリマーの分子量や重合活性を制御する目的として、水素を添加してもよい。添加する水素の量は、前述の4-メチル-1-ペンテンの量と前述の炭素原子数2~4のα-オレフィンの量との合計1kgに対して、0.001~100NL程度が適切である。
<アクリル系共重合体(B)>
本発明の樹脂組成物に含まれるアクリル系共重合体(B)は、限定されるものではないが、好ましくは以下の要件(i)および(j)を満たす。
<<要件(i)>>
波長589nmの光に対する屈折率が1.45~1.60である。
<<要件(j)>>
上記4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)の波長589nmの光に対する屈折率とアクリル系共重合体(B)の波長589nmの光に対する屈折率との差が、0.020以下である。
上記要件(i)において、アクリル系共重合体(B)は、波長589nmの光に対する屈折率が1.45~1.60であり、1.46~1.50であることが好ましく、1.465~1.48であることがより好ましく、1.470~1.475であることがさらに好ましい。
屈折率が上記範囲内にあるアクリル系共重合体(B)を用いると、4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)とアクリル系共重合体(B)との屈折率の差を上記範囲とすることが容易となり、全光線透過率が高く、内部ヘイズの小さい成形体を容易に形成することができる。
上記要件(j)において、アクリル系共重合体(B)は、上記4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)の波長589nmの光に対する屈折率とアクリル系共重合体(B)の波長589nmの光に対する屈折率との差が、0.020以下であり、好ましくは0.015以下、より好ましくは0.007以下である。屈折率の差の下限値は、小さければ小さい方がよいため特に制限されないが0であることが好ましい。屈折率の差が上記範囲にあると、樹脂組成物(X)から形成された成形体に入射した光の乱反射を抑制することができ、全光線透過率が高い成形体を容易に形成することができる。
なお、本明細書における屈折率は、波長589nmの光に対する屈折率のことをいい、具体的には、下記実施例に記載の屈折率の測定方法で測定し求められる。
本発明の4-メチルー1-ペンテン系共重合体組成物(X)に含まれるアクリル系共重合体(B)は、好ましくはアクリル系ブロック共重合体(B-1)およびアクリル樹脂(B-2)からなり、より好ましくはアクリル系ブロック共重合体(B-1)からなる。
〔アクリル系ブロック共重合体(B-1)〕
アクリル系ブロック共重合体(B-1)は、アクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロック(a1)の両末端にそれぞれメタクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロック(a2)が結合した構造、すなわち、(a2)-(a1)-(a2)の構造(構造中「-」は、化学結合を示す)を、分子中に少なくとも1つ有するアクリル系ブロック共重合体であることが好ましい。
アクリル系ブロック共重合体(B-1)における、アクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロック(a1)は、主としてアクリル酸エステル単位、典型的には反応性基を有さないアクリル酸エステル単位から構成される重合体ブロックであることが好ましい。かかるアクリル酸エステル単位を形成させるためのアクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec-ブチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n-ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ペンタデシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-メトキシエチルなどの反応性基を有さないアクリル酸エステルが挙げられる。
これらの中でも、柔軟性を向上させる観点から、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸2-メトキシエチルなどのアクリル酸アルキルエステルが好ましく、アクリル酸n-ブチル、および、アクリル酸2-エチルヘキシルがより好ましい。
重合体ブロック(a1)は、これらのアクリル酸エステルの1種から構成されていても、2種以上から構成されていてもよい。アクリル酸エステル単位の含有量は、重合体ブロック(a1)中、通常60質量%以上であり、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、重合体ブロック(a1)中100質量%であってもよい。
また、本発明の目的および効果の妨げにならない限りにおいて、重合体ブロック(a1)は、反応性基を有するアクリル酸エステル単位またはアクリル酸エステル単位以外の他の単量体単位を含んでいてもよい。
反応性基を有するアクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸グリシジル、アクリル酸アリルなどが挙げられる。アクリル酸エステル以外の他の単量体としては、例えば、後述する重合体ブロック(a2)の構成単位となるメタクリル酸エステル、メタクリル酸、アクリル酸、芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、オレフィンなどが挙げられる。
これら反応性基を有するアクリル酸エステル単位および他の重合性単量体単位の含有量は、重合体ブロック(a1)中、本発明の効果を発現させる観点から40質量%以下であることが好ましく、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
上記アクリル系ブロック共重合体(B-1)における、メタクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロック(a2)は、主としてメタクリル酸エステル単位、典型的には反応性基を有さないメタクリル酸エステル単位から構成される重合体ブロックである。
かかるメタクリル酸エステル単位を形成させるためのメタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec-ブチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ペンタデシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-メトキシエチルなどの反応性基を有さないメタクリル酸エステルが挙げられる。
これらの中でも、透明性、耐熱性を向上させる観点から、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニルなどのメタクリル酸アルキルエステルが好ましく、メタクリル酸メチルがより好ましい。
重合体ブロック(a2)は、これらのメタクリル酸エステルの1種から構成されていても、2種以上から構成されていてもよい。
反応性基を有さないメタクリル酸エステル単位の含有量は、重合体ブロック(a2)中、通常60質量%以上であり、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、重合体ブロック(a2)中100質量%であってもよい。
また、本発明の目的および効果の妨げにならない限りにおいて、重合体ブロック(a2)は、反応性基を有するメタクリル酸エステル単位またはメタクリル酸エステル単位以外の他の単量体単位を含んでいてもよい。
反応性基を有するメタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸アリルなどが挙げられる。メタクリル酸エステル以外の他の単量体としては、例えば、前述した重合体ブロック(a1)の構成単位となるアクリル酸エステル、メタクリル酸、アクリル酸、芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、オレフィンなどが挙げられる。
これら反応性基を有するメタクリル酸エステル単位および他の重合性単量体単位の含有量は、重合体ブロック(a2)中、本発明の効果を発現させる観点から40質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
アクリル系ブロック共重合体(B-1)は、アクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロック(a1)の両末端にそれぞれメタクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロック(a2)が結合した構造を少なくとも1つ有する。
アクリル系ブロック共重合体(A)の分子鎖形態は、特に限定されることなく、例えば、線状、分枝状、放射状などのいずれでもよい。
その中でもアクリル系ブロック共重合体(A)としては、(a2)-(a1)-(a2)で表されるトリブロック体を用いることが好ましい。ここで、(a1)の両端の(a2)の分子量、組成などは同じであってもよいし、相互に異なっていてもよい。
本発明の目的および効果の妨げにならない限りにおいて、アクリル系ブロック共重合体(B-1)は、これらの重合体ブロック(a1)および(a2)とは別の重合体ブロックとして、アクリル酸エステルモノマーおよびメタクリル酸エステルモノマー以外のモノマーから誘導される重合体ブロック(d)を有してもよい。
重合体ブロック(d)と上記アクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロック(a1)、メタクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロック(a2)との結合の形態は特には限定されないが、例えば、(a2)-((a1)-(a2))n-(d)や、(d)-(a2)-((a1)-(a2))n-(d)などの構造(nは1~20の整数である)が挙げられる。
上記重合体ブロック(d)を構成するモノマーとしては、例えばエチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブチレン、1-オクテンなどのオレフィン;1,3-ブタジエン、イソプレン、ミルセンなどの共役ジエン化合物;スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、m-メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物;酢酸ビニル、ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニルケトン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミド、ε-カプロラクトン、バレロラクトンなどを挙げられる。
アクリル系ブロック共重合体(B-1)は、必要に応じて、分子鎖中または分子鎖末端に水酸基、カルボキシル基、酸無水物、アミノ基などの官能基を有していてもよい。
アクリル系ブロック共重合体(B-1)の重量平均分子量(Mw)は、50,000~100,000であることが好ましい。アクリル系ブロック共重合体(B-1)の重量平均分子量が上記範囲にあることにより、本発明の成形体の表面平滑性が良好で、曲げ白化しない溶融押出成形体を得ることができる。なお、本発明における重量平均分子量等の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めた標準ポリスチレン換算の分子量である。
また、アクリル系ブロック共重合体(B-1)の数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)は、1.01以上1.50未満の範囲内にあるのがよく、1.01~1.35の範囲内にあるのがより好ましい。このような範囲を取ることにより、得られる成形体におけるブツの発生原因となる未溶融物の含有量を極めて少量とすることができる。
アクリル系ブロック共重合体(B-1)の製造方法としては、特に限定されず、公知の手法に準じた方法を採用することができる。例えば、アクリル系ブロック共重合体(B-1)を得る方法としては、各ブロックを構成するモノマーをリビング重合する方法が一般に使用される。
このようなリビング重合の手法としては、例えば、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩などの鉱酸塩の存在下でアニオン重合する方法、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤とし有機アルミニウム化合物の存在下でアニオン重合する方法、有機希土類金属錯体を重合開始剤として重合する方法、α-ハロゲン化エステル化合物を開始剤として銅化合物の存在下ラジカル重合する方法などが挙げられる。
また、多価ラジカル重合開始剤や多価ラジカル連鎖移動剤を用いて、各ブロックを構成するモノマーを重合させ、アクリル系ブロック共重合体(B-1)を含有する混合物として製造する方法なども挙げられる。これらの方法中、特に、アクリル系ブロック共重合体が高純度で得られ、また分子量や組成比の制御が容易であり、かつ経済的であることから、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤とし有機アルミニウム化合物の存在下でアニオン重合する方法が推奨される。
アクリル系ブロック共重合体(B-1)として市販品を用いてもよい。かかる市販されているアクリル系ブロック共重合体としては株式会社クラレの「クラリティ」(登録商標)が挙げられる。
〔アクリル樹脂(B-2)〕
上記アクリル樹脂(B-2)は、主としてメタクリル酸エステル単位、典型的には反応性基を有さないメタクリル酸エステル単位から構成されるアクリル樹脂である。得られる成形体の透明性、成形加工性等を向上させる観点から、メタクリル酸エステル(典型的には反応性基を有さないメタクリル酸エステル)の単独重合体またはメタクリル酸エステル(典型的には反応性基を有さないメタクリル酸エステル)単位を主体とする共重合体であることが好ましい。
アクリル樹脂(B-2)を構成する主要成分であるメタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec-ブチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ペンタデシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-メトキシエチルなどの反応性基を有さないメタクリル酸エステルが挙げられる。これらのメタクリル酸エステルの1種または2種以上を用いることができる。
本発明の目的および効果を妨げない限りにおいて、上記アクリル樹脂(B-2)を構成するメタクリル酸エステル単位として反応性基を有するメタクリル酸エステル単位を含んでいてもよい。反応性基を有するメタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸アリルなどが挙げられる。
アクリル樹脂(B-2)に含まれるメタクリル酸エステル単位中の、反応性基を有するメタクリル酸エステル単位の含有量は少量であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
アクリル樹脂(B-2)中に含まれるメタクリル酸エステル単位の含有量は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%であってもよい。
アクリル樹脂(B-2)がメタクリル酸エステル単位を主体とする共重合体である場合、該共重合体を構成する上記メタクリル酸エステルと共重合しうる他のモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec-ブチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n-ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ペンタデシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-メトキシエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸アリルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸;エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブチレン、1-オクテンなどのオレフィン;1,3-ブタジエン、イソプレン、ミルセンなどの共役ジエン化合物;スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、m-メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物;酢酸ビニル、ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニルケトン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミドなどが挙げられる。
これらのモノマーの1種または2種以上を用いることができる。
上記アクリル樹脂(B-2)としては、メタクリル酸メチル単位とアクリル酸エステル単位とからなる樹脂およびメタクリル酸メチル単位のみからなる樹脂が好ましい一態様である。かかる樹脂としては、得られる成形体の厚みむらがより小さく、耐曲げ白化性により優れる成形体が得られ、また、成形体を製造などする際に高速で成形(例えば溶融押出成形)しても、表面平滑性により優れることから、メタクリル酸メチルより導かれる構成単位が80質量%~100質量%、アクリル酸エステルより導かれる構成単位が20質量%~0質量%の樹脂が好ましく、メタクリル酸メチルより導かれる構成単位が90質量%~100質量%、アクリル酸エステルより導かれる構成単位が10質量%~0質量%の樹脂がより好ましく、メタクリル酸メチルより導かれる構成単位が95質量%~100質量%、アクリル酸エステルより導かれる構成単位が5質量%~0質量%の樹脂がさらに好ましい。
アクリル系共重合体(B)の形態には特に制限はなく、ランダム共重合、ブロック共重合、交互共重合などが一般的に用いられる。
アクリル系共重合体(B)の立体規則性については特に制限はなく、イソタクチック、ヘテロタクチックあるいはシンジオタクチックであるものを用いることができる。
アクリル系共重合体(B)として市販品を用いてもよい。かかる市販されているアクリル樹脂としては、例えば株式会社クラレ「パラペット」(登録商標)、三菱ケミカル株式会社「アクリライト」「デュラビオ」などが挙げられる。
<その他の成分>
本発明の4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物(X)は、必要に応じて本発明の特性を損なわない範囲で、上記4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)および上記アクリル系共重合体(B)以外のその他の成分(以下、「その他の成分」)をさらに含んでいてもよい。このような「その他の成分」としては、公知の添加剤が挙げられる。
添加剤としては、例えば、軟化剤、離型付与剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、帯電防止剤、顔料、染料、スリップ剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、赤外線吸収剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、結晶核剤、防黴剤、抗菌剤、および有機充填剤などが挙げられるが、これらは限定されるものではない。
これらの添加剤は1種単独で使用してもよく、あるいは2種以上を併用してもよい。
軟化剤としては、例えば、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、石油アスファルトおよびワセリンなどを含む石油系物質、コールタールおよびコールタールピッチなどを含むコールタール類、ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油および椰子油などを含む脂肪油、トール油、蜜ロウ、カルナウバロウおよびラノリンなどを含むロウ類、リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12-水酸化ステアリン酸、モンタン酸、オレイン酸およびエルカ酸などを含む脂肪酸またはその金属塩、石油樹脂、クマロンインデン樹脂およびアタクチックポリプロピレンなどを含む合成高分子、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペートおよびジオクチルセバケートなどを含むエステル系可塑剤、マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエンまたはその変性物もしくは水添物、ならびに液状チオコールなどを含む公知の軟化剤が挙げられる。
軟化剤としては、例えば、芳香族カルボン酸エステル(フタル酸ジブチル等)、脂肪族カルボン酸エステル(メチルアセチルリシノレート等)、脂肪族ジアルボン酸エステル(アジピン酸-プロピレングリコール系ポリエステル等)、脂肪族トリカルボン酸エステル(クエン酸トリエチル等)、リン酸トリエステル(リン酸トリフェニル等)、エポキシ脂肪酸エステル(ステアリン酸エポキシブチル等)、石油樹脂等が挙げられる。
離型付与剤としては、例えば、高級脂肪酸の低級(炭素原子数1~4)アルコールエステル(ステアリン酸ブチル等)、脂肪酸(炭素原子数4~30)の多価アルコールエステル(硬化ヒマシ油等)、脂肪酸のグリコールエステル、流動パラフィンなどが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール等)、多環フェノール系(2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)その他のメチレン架橋化多環フェノール等)、リン系(テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4-ビフェニレンジホスフォネート等)、アミン系(N,N-ジイソプロピル-p-フェニレンジアミン等)などが挙げられる。
難燃剤としては、例えば、ポリリン酸アンモニウム、エチレンビストリス(2-シアノエチル)ホスフォニウムクロリド、トリス(トリブロモフェニル)ホスフェート、トリス(トリブロモフェニル)ホスフェート、トリス(3-ヒドロキシプロピル)ホスフィンオキシド等のリン酸エステル及びその他のリン化合物、塩素化パラフィン、塩素化ポリオレフィン、パークロロシクロペンタデカン等の塩素系難燃剤、ヘキサブロモベンゼン、エチレンビスジブロモノルボルナンジカルボキシイミド、エチレンビステトラブロモフタルイミド、テトラブロモビスフェノールA誘導体、テトラブロモビスフェノールS、およびテトラブロモジペンタエリスリトール等の臭素系難燃剤、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸系、アクリレート系等が挙げられる。
抗菌剤としては、例えば、4級アンモニウム塩、ピリジン系化合物、有機酸、有機酸エステル、ハロゲン化フェノール、有機ヨウ素などが挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、非イオン性、アニオン性、カチオン性または両性の界面活性剤を挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、高級アルコールエチレンオキシド付加物、脂肪酸エチレンオキシド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキシド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキシド付加物等のポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤、ポリエチレンオキシド、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビットもしくはソルビタンの脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミンの脂肪族アミド等の多価アルコール型非イオン性界面活性剤などが挙げられ、アニオン性界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸のアルカリ金属塩等の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩、高級アルコールリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩などが挙げられ、カチオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩などが挙げられる。両性界面活性剤としては、高級アルキルアミノプロピオン酸塩等のアミノ酸型両面界面活性剤、高級アルキルジメチルベタイン、高級アルキルジヒドロキシエチルベタイン等のベタイン型両性界面活性剤などが挙げられる。
帯電防止剤としては、例えば、前述の界面活性剤、脂肪酸エステル、高分子型帯電防止剤が挙げられる。脂肪酸エステルとしてはステアリン酸やオレイン酸のエステルなどが挙げられ、高分子型帯電防止剤としてはポリエーテルエステルアミドなどが挙げられる。
顔料としては、例えば、無機含量(酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、硫化カドミウム等)、有機顔料(アゾレーキ系、チオインジゴ系、フタロシアニン系、アントラキノン系)が挙げられる。染料としては、例えば、アゾ系、アントラキノン系、トリフェニルメタン系などが挙げられる。
これら顔料および染料の添加量は、特に限定されないが、樹脂組成物(X)100質量部に対して、通常5質量部以下、好ましくは0.1~3質量部である。
スリップ剤としては、例えば、ワックス(カルナバロウワックス等)、高級脂肪酸(ステアリン酸等)、高級脂肪酸塩(ステアリン酸カルシウム等)、高級アルコール(ステアリルアルコール等)、高級脂肪酸アミド(ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド等)などが挙げられる。
上記の各種添加剤の添加量は、本発明の目的を損なわない範囲内で用途に応じて、特に限定されないが、樹脂組成物(X)100質量部に対して、それぞれ合計で、0.01~30質量部であることが好ましい。
<4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物(X)の製造方法>
本発明の4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物(X)の製造方法には特に限定されることはなく、例えば、従来公知の製造方法が使用できる。本発明の4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物(X)に含まれる上記4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)と、上記アクリル系共重合体(B)と、上記「その他の成分」とを公知の混合機を用いて、ドライブレンドする方法、溶媒に溶解させて溶液混合する方法が挙げられる。混合機としては、例えば、ヘンシェルミキサー、タンブラーブレンダー、V-ブレンダー等が挙げられる。
上記の混合機でドライブレンドした後、例えば、180℃~250℃の温度設定下で、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールミル等により溶融混練後、造粒あるいは粉砕する方法を採用することができる。それらの中でも、各成分の混合性や生産性の観点から、二軸押出機やバンバリーミキサーによる溶融混練が好ましい。それらの方法によって、各成分が均一に混合分散された高品質なペレットを得ることができる。
なお、上記アクリル系共重合体(B)は、上記4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)等の樹脂成分との混合物、例えば、上記アクリル系共重合体(B)と上記4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)等の樹脂成分とを予め混合してなるマスターバッチの形態で用いてもよい。
<成形体>
本発明の成形体は、上述した本発明の4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物(X)からなる。本発明の成形体として、例えば、粘着剤、粘着フィルム、日用雑貨の他に、シート、フィルム状の成形体が挙げられる。
本発明のシート、粘着剤および日用雑貨は、上述した本発明の4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物(X)から形成される。
<成形体の製造方法>
本発明の成形体の製造方法には特に限定されることはなく、例えば、従来公知の製造方法が使用でき、押出成形、圧縮成形、射出成形、3D造形、マイクロ波加熱成形などが挙げられる。そのような成形方法の中でも押出成形によって、好適に成形体を製造することができる。
また、シート状の成形体を得たいという場合には、一般的なTダイを装着した押出シート成形が好ましい。Tダイを装着した単軸押出機あるいは二軸押出機にて、シリンダー温度180℃~250℃、キャスティングロール温度20℃~80℃で製膜し、シートを製造することができる。
シートの厚みは、その用途にもよるが、通常10~1000μm、好ましくは20~500μmであると、シート成形時にピンホールが生じず、十分な機械強度が得られ、シートの量産性にも有利である。
また、シートの表面にはエンボス加工を施してもよく、シート成形時またはシート成形後に延伸してもよい。さらに、シートの残留応力を取り除く目的で、樹脂の融点未満の温度でアニーリング処理を行ってもよい。
本発明の樹脂組成物(X)を加熱溶融して用いる場合、例えば、ホットメルト塗工法、Tダイ法、インフレーション法、カレンダー成形法、ラミネーション法等を用いてシート状やフィルム状等の形状に形成できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート等の耐熱材料のフィルムまたはシート上に、加熱溶融した樹脂組成物(X)をホットメルトコーターを用いて溶融塗工する方法を用いて粘着層を形成させて、粘着剤とすることができる。
また、本発明の4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物(X)を溶媒に溶解して用いる場合、例えば、支持体としてポリエチレンテレフタレート等の耐熱材料やスチールベルト等の平板またはロールを用い、これらの上に、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、コンマコーター等を用いて4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物(X)を溶媒に溶解させた溶液を塗工し、乾燥により溶媒を除去する方法(溶液キャスト法)を用いて粘着層を形成することができる。
乾燥により溶媒を除去する方法は、特に制限されず、従来公知の方法を用いることができるが、複数の段階に分けて乾燥を行うことが好ましい。複数の段階に分けて乾燥を行う場合には、1段階目の乾燥は、溶媒の急激な揮発による発泡を抑制するために、比較的低い温度で行い、2段階目以降の乾燥は、十分に溶媒を除去するために、高温で乾燥を行う方法がより好ましい。
上記支持体としては紙、セロハン、プラスチック材料、布、木材、および金属等の種々の基材を用いることができる。透明な材料からなる基材層であると、透明性や耐候性に優れることから、透明な積層体が得られるため好適である。透明な材料からなる基材層としては、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、シクロオレフィン系樹脂、スチレン-メタクリル酸メチル共重合体、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンまたはポリプロピレン等の重合体と種々の単量体との共重合体、これら重合体の2種以上の混合物、およびガラス等からなる基材層が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
<用途>
本発明の4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物(X)および当該樹脂組成物(X)からなる成形体の用途は特に限定されないが、例えば、自動車分野、電気・電子分野、土木・建築分野、バイオマス・エネルギー関連分野、光学分野、食品分野、医療分野などの多岐の用途で利用することができる。特に、粘着剤、粘着フィルムや日用雑貨、およびシートに留まらず、従来公知である自動車用資材、衣類用資材、衛生用資材、建築用資材、スポーツ用資材、生活用資材、レジャー用資材、産業用資材、電子材料用資材などに有用である。
粘着剤は、単体で粘着シートとして使用できるし、粘着剤層を含む積層体も種々の用途に適用できる。例えば、表面保護等の保護用、マスキング用、結束用、包装用、事務用、ラベル用、装飾・表示用、接合用、ダイシングテープ用、シーリング用、防食・防水用、医療・衛生用、ガラス飛散防止用、電気絶縁用、電子機器保持固定用、半導体製造用、光学表示フィルム用、粘着型光学フィルム用、電磁波シールド用、または電気・電子部品の封止材用の粘着剤、粘着テープ、フィルムまたはシート等が挙げられる。以下、具体例を挙げる。
表面保護用の粘着剤、粘着テープまたはフィルム等は、金属、プラスチック、ゴム、木材等種々の材料に使用でき、具体的には塗料面、金属の塑性加工や深絞り加工時、自動車部材、光学部材の表面保護のために使用できる。
自動車部材としては、塗装外板、ホイール、ミラー、ウィンドウ、ライト、ライトカバー等が挙げられる。
光学部材としては、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ等の各種画像表示装置;偏光フィルム、偏光板、位相差板、導光板、拡散板、DVD等の光ディスク構成フィルム;電子・光学用途向け精密ファインコート面板等が挙げられる。
マスキング用の粘着剤、テープやフィルム等の用途としては、プリント基板やフレキシブルプリント基板の製造時のマスキング;電子機器でのメッキやハンダ処理時のマスキング;自動車等車両の製造、車両・建築物の塗装、捺染、土木工事見切り時のマスキング等が挙げられる。
結束用途としては、ワイヤーハーネス、電線、ケーブル、ファイバー、パイプ、コイル、巻線、鋼材、ダクト、ポリ袋、食品、野菜、花卉等が挙げられる。
包装用途としては、重量物梱包、輸出梱包、段ボール箱の封緘、缶シール等が挙げられる。
事務用途としては、事務汎用、封緘、書籍の補修、製図、メモ用等が挙げられる。
ラベル用途としては、価格、商品表示、荷札、POP、ステッカー、ストライプ、ネームプレート、装飾、広告用等が挙げられる。
上記ラベルとしては、紙、加工紙(アルミ蒸着加工、アルミラミネート加工、ニス加工、樹脂加工等を施された紙)、合成紙等の紙類;セロハン、プラスチック材料、布、木材および金属製のフィルム等を基材とするラベルが挙げられる。
基材の具体例としては、例えば、上質紙、アート紙、キャスト紙、サーマル紙、ホイル紙;ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、OPPフィルム、ポリ乳酸フィルム、合成紙、合成紙サーマル、オーバーラミフィルム等が挙げられる。中でも、本発明の樹脂組成物(X)は、透明性・耐候性に優れる点で、透明な材料からなる基材を用いたラベルに好適に用いることができる。また、本発明の樹脂組成物(X)は、経時的な変色が少ないため、サーマル紙や合成紙サーマルを基材とするサーマルラベルに好適に用いることができる。
上記ラベルの被着体としては、プラスチックボトル、発泡プラスチック製ケース等のプラスチック製品;ダンボール箱等の紙製・ダンボール製品;ガラス瓶等のガラス製品;金属製品;セラミックス等その他の無機材料製品等が挙げられる。
装飾・表示用途としては、危険表示シール、ラインテープ、配線マーキング、蓄光テープ、反射シート等が挙げられる。
粘着型光学フィルム用途としては、例えば偏光フィルム、偏光板、位相差フィルム、視野角拡大フィルム、輝度向上フィルム、反射防止フィルム、アンチグレアフィルム、カラーフィルター、導光板、拡散フィルム、プリズムシート、電磁波シールドフィルム、近赤外線吸収フィルム、機能性複合光学フィルム、ITO貼合用フィルム、耐衝撃性付与フィルム、輝度向上フィルム、視認性向上フィルム等の片面若しくは両面の少なくとも一部または全部に粘着層を形成した光学フィルム等が挙げられる。かかる粘着型光学フィルムは、上記光学フィルムの表面保護のために用いられる保護フィルムに本発明の樹脂組成物(X)からなる粘着層を形成させたフィルムを含む。粘着型光学フィルムは、液晶表示装置、PDP、有機EL表示装置、電子ペーパー、ゲーム機、モバイル端末等の各種画像表示装置に好適に用いられる。
電気絶縁用途としては、コイルの保護被覆または絶縁、モータ・トランス等の層間絶縁等が挙げられる。
電子機器保持固定用途としては、キャリアテープ、パッケージング、ブラウン管の固定、スプライシング、リブ補強等が挙げられる。
半導体製造用としては、シリコーンウエハーの保護用等が挙げられる。
接合用途としては、各種接着分野、自動車、電車、電気機器、印刷版固定、建築、銘板固定、一般家庭用、粗面、凹凸面、曲面への接着用等が挙げられる。
シーリング用途としては、断熱、防振、防水、防湿、防音または防塵用のシーリング等が挙げられる。
防食・防水用途としては、ガス、水道管の防食、大口径管の防食、土木建築物の防食等が挙げられる。
医療・衛生用途としては、鎮痛消炎剤(プラスター、パップ)、虚血性心疾患治療剤、女性ホルモン補充剤、気管支拡張剤、癌性疼痛緩和剤、禁煙補助剤、感冒用貼付剤、鎮痒パッチ、角質軟化剤等の経皮吸収薬用途;救急絆創膏(殺菌剤入り)、サージカルドレッシング・サージカルテープ、絆創膏、止血絆、ヒト排泄物処理装着具用テープ(人工肛門固定テープ)、縫合用テープ、抗菌テープ、固定テーピング、自着性包帯、口腔粘膜貼付テープ、スポーツ用テープ、脱毛用テープ等種々のテープ用途;フェイスパック、目元潤いシート、角質剥離パック等の美容用途;冷却シート、温熱カイロ、防塵、防水、害虫捕獲用等が挙げられる。
電子・電気部品の封止材用途としては、液晶モニター、太陽電池等が挙げられる。
日用雑貨としては、例えば、衣類、カーテン、シーツ、合板、合繊板、絨毯、玄関マット、シート、バケツ、ホース、容器、眼鏡、鞄、ケース、ゴーグル、スキー板、ラケット、テント、自転車、楽器などの生活・スポーツ用品等が挙げられる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例および比較例における樹脂の物性測定方法、使用樹脂、試験片の作製方法および評価方法は次のとおりである。
[樹脂の物性測定方法]
<構成単位の含有率>
ポリマー中の4-メチル-1-ペンテン、およびα-オレフィン含量の定量化は、以下の装置および条件により13C-NMRで測定した結果を基にした。ただし、本測定結果のα-オレフィン含量には、4-メチル-1-ペンテンの含量は含まれない。
日本電子(株)製ECP500型核磁気共鳴装置を用いて、オルトジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン(80/20容量%)混合溶媒、試料濃度55mg/0.6mL、測定温度120℃、観測核は13C(125MHz)、シーケンスはシングルパルスプロトンデカップリング、パルス幅は4.7μ秒(45°パルス)、繰り返し時間は5.5秒、積算回数は1万回以上、27.50ppmをケミカルシフトの基準値として測定した。得られた13C-NMRスペクトルにより、4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン(A)の組成を定量化した。
<極限粘度[η]>
極限粘度[η]は、ウベローデ粘度計を用いて、デカリン中135℃で測定した値である。下記で合成された共重合体の重合パウダーおよびペレット、または、樹脂塊を約20mg採取し、これらをデカリン15mLに溶解して、得られるデカリン溶液につき、135℃に加熱したオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリンを5mL追加して希釈後、同じように比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)をゼロに外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度[η]として算出した(下式参照)。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
<重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、および、分子量分布(Mw/Mn値)>
分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
具体的には、液体クロマトグラフとしてWaters社製ALC/GPC150-Cplus型(示差屈折計検出器一体型)を用い、分離カラムとして東ソー(株)製GMH6-HTを2本、およびGMH6-HTLを2本直列接続して用い、移動相媒体としてo-ジクロロベンゼン、酸化防止剤として0.025質量%のジブチルヒドロキシトルエン(武田薬品工業(株)製)を用い、移動相媒体を1.0mL/分で移動させ、試料濃度は15mg/10mLとし、試料注入量は500μLとし、検出器は示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンとしては、重量平均分子量(Mw)が1,000以上、4,000,000以下において、東ソー(株)製の標準ポリスチレンを用いた。
得られたクロマトグラムを、公知の方法によって、標準ポリスチレンサンプルを用いて検量線を作成して解析することで、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn値)を算出した。1サンプル当たりの測定時間は60分であった。
<メルトマスフローレイト(MFR)>
下記で合成された共重合体(A-1)~(A-3)並びにアクリル系共重合体(B-1)および(B-2)のMFRは、ASTM D1238に準拠して、温度230℃、荷重2.16kgで測定した。共重合体(A-4)のMFRは、ASTM D1238に準拠して、温度260℃、荷重5.0kgで測定した。
<融点>
JIS K7121:2012に準拠し、セイコーインスツル(株)示差走査熱量計DSC220Cを用い、昇温速度10℃/分で測定される融解ピーク頂点の最も高い温度を融点とした。
<密度>
JIS K7112:1999に準拠して、密度勾配管を用いて測定した。
[物性測定方法]
<各種測定用シートの作製方法>
200℃~260℃に設定した神藤金属工業社製油圧式熱プレス機(NS-50)を用い、ゲージ圧10MPaで下記で合成された共重合体または実施例および比較例で調製したペレットを用いてシート成形した。1~3mm厚のシート状の成形体(スペーサー形状;240×240×2mm厚の板に200×200×1~2mm)の場合、余熱を5~7分程度行い、ゲージ圧10MPaで1~2分間加圧した後、20℃に設定した別の神藤金属工業社製油圧式熱プレス機を用い、ゲージ圧10MPaで圧縮し、5分程度冷却して測定用試料を作成した。熱板として5mm厚の真鍮板を用いた。上記方法により作製した測定用試料を用いて各種物性評価試料に供した。
<動的粘弾性>
前述の方法で得られた厚み2.0mmの成形体から、長さ35mm×幅10mmの寸法に打ち抜き加工した試験片を作製し、レオメーター(アントンパール社製MCR301)を使用して、トーションモード、周波数10rad/s(1.6Hz)、歪設定0.1%、昇温速度2℃/分の条件で、-40~150℃の温度分散におけるtanδピーク温度およびtanδピーク値を観測した。
<屈折率>
前述の方法で得られた厚み3.0mmの成形体を用い、JIS K7142:2014に準拠してアッベ屈折率計DR-M2型を用い、23℃でナトリウムD線(波長589.3nm)を用いて測定した。
<機械物性>
成形体の引張強度および引張弾性率は、JIS K7113の2号試験片1/2を用いて引張試験により測定した。引張試験は、(株)インテスコ製5本掛け引張試験機 2005X-5を用い、23℃において、試験速30mm/分で行った。
<内部ヘイズ(%)>
内部ヘイズは、上記の方法で得られた1mm厚プレスシートを試験片として用いて、ベンジルアルコール中で日本電色工業(株)製のデジタル濁度計(NDH-20D)にて測定した。
<全光線透過率>
2mm厚のプレスシートを使用して、JIS K 7361-1:1997に準拠して、(株)村上色彩技術研究所製のヘイズ・透過率計 HM-150(D65光源)を用い、全透過光量を測定し、下記式にて全光線透過率を求めた。
全光線透過率(%)=100×(全透過光量)/(入射光量)
[合成方法]
[4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)]
<4-メチル-1-ペンテン共重合体(A-1)の合成>
充分に窒素置換した容量1.5Lの撹拌翼付SUS製オートクレーブに、23℃でn-ヘキサン300mL(乾燥窒素雰囲気下、活性アルミナ上で乾燥したもの)、4-メチル-1-ペンテン450mLを装入した。このオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)の1.0mmol/mLトルエン溶液を0.75mL装入して撹拌した。
次に、オートクレーブを内温60℃まで加熱し、全圧(ゲージ圧)が0.40MPaとなるようにプロピレンで加圧した。
続いて、予め調製しておいたアルミニウム換算で1mmolのメチルアルミノキサン、および0.01mmolのジフェニルメチレン(1-エチル-3-t-ブチル-シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチル-フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを含むトルエン溶液0.34mLをオートクレーブに窒素で圧入し、重合反応を開始した。
重合反応中は、オートクレーブの内温が60℃になるように温度を調整した。重合開始から60分後、オートクレーブにメタノール5mLを窒素で圧入し、重合反応を停止させた後、オートクレーブ内を大気圧まで脱圧した。脱圧後、反応溶液にアセトンを添加しながら撹拌した。
得られた溶媒を含むパウダー状の共重合体を100℃、減圧下で12時間乾燥した。生成物である4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(A-1)の重量は36.9gで、共重合体中の4-メチル-1-ペンテン含有量は72.5mol%、プロピレン含有量は27.5mol%であった。DSC測定を行ったところ、融点は観測されなかった。各物性の測定結果を表1に示す。
<4-メチル-1-ペンテン共重合体(A-2)の合成>
充分窒素置換した容量1.5リットルの撹拌翼付SUS製オートクレーブに、23℃でノルマルヘキサン300mL(乾燥窒素雰囲気、活性アルミナ上で乾燥したもの)、4-メチル-1-ペンテンを450mL装入した。このオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)の1.0mmol/mLトルエン溶液を0.75mL装入し撹拌機を回した。
次に、オートクレーブを内温60℃まで加熱し、全圧が0.19MPa(ゲージ圧)となるようにプロピレンで加圧した。続いて、予め調製しておいた、メチルアルミノキサンをAl換算で1mmolとジフェニルメチレン(1-エチル-3-t-ブチル-シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチル-フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを0.01mmolとを含むトルエン溶液0.34mLを窒素でオートクレーブに圧入し、重合を開始した。重合反応中、オートクレーブ内温が60℃になるように温度調整した。重合開始60分後、オートクレーブにメタノール5mLを窒素で圧入し重合を停止し、オートクレーブを大気圧まで脱圧した。反応溶液にアセトンを撹拌しながら注いだ。
得られた溶媒を含むパウダー状のポリマーを100℃、減圧下で12時間乾燥した。得られた4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(A-2)は44.0gで、共重合体(A-2)中の4-メチル-1-ペンテン含有量は84.1mol%、プロピレン含有量は15.9mol%であった。ポリマーの融点(Tm)は132℃であり、極限粘度[η]は1.5dl/gであった。各種物性について測定した結果を表1に示す。
<4-メチル-1-ペンテン共重合体(A-3)の合成>
充分窒素置換した容量1.5リットルの撹拌翼付SUS製オートクレーブに、23℃で4-メチル-1-ペンテンを750mL装入した。このオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)の1.0mmol/mLトルエン溶液を0.75mL装入し撹拌を開始した。
次に、オートクレーブを内温60℃まで加熱し、全圧が0.17MPa(ゲージ圧)となるようにプロピレンで加圧した。続いて、予め調製しておいた、メチルアルミノキサンをAl換算で1mmol、ジフェニルメチレン(1-エチル-3-t-ブチル-シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチル-フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを0.005mmolを含むトルエン溶液0.34mLを窒素でオートクレーブに圧入し、重合を開始した。重合反応中、オートクレーブ内温が60℃になるように温度調整した。重合開始60分後、オートクレーブにメタノール5mLを窒素で圧入し重合を停止し、オートクレーブを大気圧まで脱圧した。反応溶液にアセトンを撹拌しながら注いだ。
得られた溶媒を含むパウダー状の重合体を130℃、減圧下で12時間乾燥した。得られた4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(A-3)の重量は35.2gで、共重合体(A-3)中の4-メチル-1-ペンテン含有量は、93.0mol%、プロピレン含有量は、7.0mol%であった。重合体のTmは180℃であり、極限粘度[η]は1.7dl/g、密度は832kg/m3であった。
<4-メチル-1-ペンテン共重合体(A-4)の合成>
国際公開2006/054613号パンフレットの比較例7や比較例9の方法に準じ、4-メチル1-ペンテン、1-デセン、水素の割合を変更することによって、表1に示す物性を有する4-メチル-1-ペンテン共重合体(A-4)を得た。各種物性について測定した結果を表1に示す。
Figure 2023106053000001
表1中、「4MP1構成単位の含有量」とは、4-メチル1-ペンテンより導かれる構成単位の含有量を意味し、「α-オレフィン構成単位の含有量」とは、α-オレフィンの種類の欄に記載されたα-オレフィンより導かれる構成単位の含有量を意味している。
[アクリル系共重合体(B)]
アクリル系共重合体(B)は下記のものを使用した。
(B-1):(株)クラレ クラリティLA2330 (密度:1.08kg/m3、MFR(230℃、荷重2.16kg):42g/10分、屈折率:1.472)
(B-2):(株)クラレ クラリティLA4285 (密度:1.11kg/m3、MFR(230℃、荷重2.16kg):31g/10分、屈折率:1.480)
[その他の樹脂(C)]
その他の樹脂(C)は下記のものを使用した。
(C-1):旭化成(株) タフテックH1221(密度:0.89kg/m3、MFR(230℃、荷重2.16kg):4.5g/10分、屈折率:1.560)
〔実施例1〕
4-メチル-1-ペンテン共重合体(A-1)40質量部と、アクリル系共重合体(B-1)60質量部とを含む材料構成において、組成物100質量部に対してチバ・ジャパン(株)社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤Irganox1010を1000ppm、リン系加工熱安定剤Irgafos168を1000ppm配合した。その後、(株)東洋精機製ラボプラストミル(2軸バッチ式溶融混練装置)を用い、設定温度200℃で、樹脂仕込み量40g(装置バッチ容積=60cm3)、50rpm、5分間溶融混練後、取り出し20℃設定の冷却プレスでシートとし、これを適当な大きさに切断して測定用試料とした。次いで、そのペレットを用いて、前述の方法とおりに成形体および各種試験片を作製して、前述で記載した物性評価を行った。その結果を表2に示す。
〔実施例2〕
4-メチル-1-ペンテン共重合体(A-1)60質量部と、アクリル系共重合体(B-1)40質量部とした以外は、実施例1と同様にして、成形体および各種試験片を作製して、物性評価を行った。その結果を表2に示す。
〔実施例3〕
4-メチル-1-ペンテン共重合体(A-2)40質量部と、アクリル系共重合体(B-1)60質量部とした以外は、実施例1と同様にして、成形体および各種試験片を作製して、物性評価を行った。その結果を表2に示す。
〔実施例4〕
4-メチル-1-ペンテン共重合体(A-2)80質量部と、アクリル系共重合体(B-1)20質量部とした以外は、実施例1と同様にして、成形体および各種試験片を作製して、物性評価を行った。その結果を表2に示す。
〔実施例5〕
4-メチル-1-ペンテン共重合体(A-3)80質量部と、アクリル系共重合体(B-1)20質量部とした以外は、実施例1と同様にして、成形体および各種試験片を作製して、物性評価を行った。その結果を表2に示す。
〔比較例1〕
4-メチル-1-ペンテン共重合体(A-1)40質量部と、アクリル系共重合体(B-2)60質量部とした以外は、実施例1と同様にして、成形体および各種試験片を作製して、物性評価を行った。その結果を表2に示す。
〔比較例2〕
4-メチル-1-ペンテン共重合体(A-1)80質量部と、アクリル系共重合体(B-2)20質量部とした以外は、実施例1と同様にして、成形体および各種試験片を作製して、物性評価を行った。その結果を表2に示す。
〔比較例3〕
4-メチル-1-ペンテン共重合体(A-4)80質量部と、アクリル系共重合体(B-1)20質量部とした以外は、実施例1と同様にして、成形体および各種試験片を作製して、物性評価を行った。その結果を表2に示す。
〔比較例4〕
4-メチル-1-ペンテン共重合体(A-1)40質量部と、アクリル系共重合体(B-2)50質量部と、その他の樹脂(C-1)10質量部とした以外は、実施例1と同様にして、成形体および各種試験片を作製して、物性評価を行った。その結果を表2に示す。
Figure 2023106053000002
表1に示されるとおり、本発明に係る実施例1~5の成形体は、比較例1~4の成形体に比べて透明性に優れることがわかる。
本発明の4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物(X)および樹脂組成物(X)からなる成形体は、高い透明性と応力緩和性、柔軟性を有しており、粘着剤、粘着フィルム、日用雑貨として好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. 下記要件(d)および(e)の少なくとも1つの要件を満たす4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)5~95質量部と、
    アクリル系共重合体(B)95~5質量部(前記4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)と前記アクリル系共重合体(B)との合計量を100質量部とする)と、を含み、
    下記要件(a)~(c)を満たす4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物(X);
    (a)-40~150℃の温度範囲で、周波数10rad/s(1.6Hz)による動的粘弾性測定で求められるtanδピーク温度が、0℃~60℃である;
    (b)-40~150℃の温度範囲で、周波数10rad/s(1.6Hz)による動的粘弾性測定で求められるtanδピーク値が、0.3~5.0である;
    (c)4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物(X)から得られる1mm厚プレスシートの内部ヘイズが0.01~70%である;
    (d)4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位55~93モル%と、炭素原子数2~4のα-オレフィンから導かれる構成単位7~45モル%(4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位と炭素原子数2~4のα-オレフィンから導かれる構成単位の合計を100モル%とする)と、からなる;
    (e)示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が200℃未満であるか、または融点が観測されない。
  2. 前記4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)が、下記要件(f)~(h)のいずれか1つ以上をさらに満たす請求項1に記載の4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物(X);
    (f)-40℃~150℃の温度範囲で、周波数10rad/s(1.6Hz)による動的粘弾性測定で求められるtanδピーク温度が、15℃~45℃である;
    (g)-40℃~150℃の温度範囲で、周波数10rad/s(1.6Hz)による動的粘弾性測定で求められるtanδピーク値が、0.3~5.0である;
    (h)波長589nmの光に対する屈折率が1.45~1.60である。
  3. 前記アクリル系共重合体(B)が、下記要件(i)および(j)を満たす請求項1または請求項2に記載の4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物(X);
    (i)波長589nmの光に対する屈折率が1.45~1.60である;
    (j)4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)の波長589nmの光に対する屈折率とアクリル系共重合体(B)の波長589nmの光に対する屈折率との差が、0.020以下である。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物(X)からなる成形体。
  5. 請求項1~3のいずれか1項に記載の4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物(X)から形成されるシート。
  6. 請求項1~3のいずれか1項に記載の4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物(X)から形成される粘着剤。
  7. 請求項1~3のいずれか1項に記載の4-メチル-1-ペンテン共重合体樹脂組成物(X)から形成される日用雑貨。
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