JP6204806B2 - 粘着剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、粘着剤組成物及び該組成物からなる粘着剤に関する。
スチレン系ブロック共重合体を含む粘着剤組成物は、従来から、粘着テープ、粘接着テープ等の粘着性物品の形態などで種々の用途に供されるが、その被着体に対する粘着力、保持力、タック等を所望の範囲とし、取り扱い性も向上させるために、可塑剤、粘着付与樹脂等を配合して使用されることが通常である。この可塑剤は、主として粘着剤に柔軟性、加工性等を付与するために配合されるものであるが、スチレン系ブロック共重合体を含む粘着剤組成物に従来から一般的に配合されるプロセスオイル、流動パラフィン等の鉱物油を添加すると、柔軟性、加工性等を向上する上では優れるものの、粘着力が低下する場合があること、高温での保持力(耐熱性)が悪化すること、更にブリードアウトが起きてしまうことが問題であった。
これら問題を解消するために、可塑剤として液状ジエン系ゴムを配合した粘着剤の検討が進められている(例えば、特許文献1、特許文献2など参照)。この液状ジエン系ゴムを配合した粘着剤は、ブリードアウトの問題は少ない組成物とすることができるものの、粘着力、高温での保持力(耐熱性)についてはいまだ改善の余地があった。また、この液状ジエン系ゴムに含まれている成分に由来すると思われるが、透明性が必要とされる用途においては、濁り等の外観不良が発生する場合があった。
特開2002−069405号公報 特開2008−237711号公報
本発明は上記の実情に鑑みてなされたものであり、ブリードアウトが少なく、タック、高温での保持力及び粘着力が良好で、透明性の高い粘着剤組成物を提供する。
本発明者らが、鋭意検討を行った結果、特定の液状ジエン系ゴムを、ブロック共重合体と粘着付与樹脂を含む粘着剤組成物に特定の割合で含有させることにより、ブリードアウトが少ないだけでなく、タック、粘着力及び保持力が良好で、しかも透明性の高い粘着剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下〔1〕及び〔2〕に関する。
〔1〕芳香族ビニル化合物単位からなる重合体ブロックa1を少なくとも1個、及び共役ジエン単位からなる重合体ブロックa2を少なくとも1個含有する固形のブロック共重合体(A)100質量部に対して、液状ジエン系ゴム(B)5〜150質量部、及び粘着付与樹脂(C)10〜500質量部を含有する粘着剤組成物であり、
前記液状ジエン系ゴム(B)の38℃で測定した溶融粘度が0.1〜3,000Pa・sの範囲にあり、かつ該液状ジエン系ゴム(B)の製造に用いる重合触媒に由来する触媒残渣量が、金属換算で0〜200ppmの範囲である粘着剤組成物。
〔2〕上記〔1〕に記載の組成物を少なくとも一部に用いた粘着剤。
本発明によれば、ブリードアウトが少ないだけでなく、タック、粘着力及び保持力が良好で、しかも透明性の高い粘着剤組成物及び該組成物を少なくとも一部に含む粘着剤を得ることができる。
[ブロック共重合体(A)]
本発明の粘着剤組成物で用いるブロック共重合体(A)は、芳香族ビニル化合物単位からなる重合体ブロックa1と、共役ジエン単位からなる重合体ブロックa2とを、それぞれ少なくとも1個含有する固形のブロック共重合体である。本明細書において固形のブロック共重合体とは、38℃における溶融粘度が3,000Pa・sを超え、固形状で取り扱うことができるブロック共重合体をいう。
上記重合体ブロックa1において、芳香族ビニル化合物単位は芳香族ビニル化合物を重合することにより形成されるが、この芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、モノフルオロスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、ビニルナフタレン、及びビニルアントラセンなどが挙げられる。これら芳香族ビニル化合物の中でも、スチレンが好ましい。これら芳香族ビニル化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記重合体ブロックa1は、本発明の目的及び効果の妨げにならない限り、芳香族ビニル化合物単位以外の不飽和単量体単位が含まれていてもよい。不飽和単量体単位は不飽和単量体を重合することにより形成されるが、この不飽和単量体としては、例えば、1−ブテン、ペンテン、ヘキセン、ブタジエン、イソプレン、メチルビニルエーテル、メタクリル酸メチル、酢酸ビニルなどが挙げられる。これら不飽和単量体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合体ブロックa1中の芳香族ビニル化合物単位の含有量は、80質量%以上100質量%以下であることが好ましく、90質量%以上100質量%以下であることが好ましい。また、重合体ブロックa1が、芳香族ビニル化合物単位のみで構成されていることも好ましい態様の一つである。
また、重合体ブロックa1が芳香族ビニル化合物単位以外の不飽和単量体単位を含有する場合、その含有量は、0質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
上記重合体ブロックa2において、共役ジエン単位は共役ジエンを重合することにより形成されるが、この共役ジエンとしては、例えばブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、及び1,3−ヘキサジエンなどが挙げられる。これら共役ジエンの中でも、ブタジエン及びイソプレンが好ましい。これら共役ジエンは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記重合体ブロックa2は、本発明の目的及び効果の妨げにならない限り、共役ジエン単位以外の不飽和単量体単位が含まれていてもよい。不飽和単量体単位は不飽和単量体を重合することにより形成されるが、この不飽和単量体としては、例えば、1−ブテン、ペンテン、ヘキセン等のアルケン、スチレン等の芳香族ビニル化合物、メチルビニルエーテル、酢酸ビニル等のビニル化合物、メタクリル酸メチルなどが挙げられる。これら不飽和単量体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合体ブロックa2中の共役ジエン単位の含有量は、80質量%以上100質量%以下であることが好ましく、90質量%以上100質量%以下であることが好ましい。また、重合体ブロックa2が、共役ジエン単位のみで構成されていることも好ましい態様の一つである。
また、重合体ブロックa2が共役ジエン単位以外の不飽和単量体単位を含有する場合、その含有量は、0質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
重合体ブロックa2における共役ジエン単位の結合形態は特に制限されず、例えば、ブタジエンの場合は、1,2−結合、1,4−結合のいずれであってもよく、イソプレンの場合は1,2−結合、3,4−結合、1,4−結合のいずれであってもよい。また、重合体ブロックa2が2種以上の共役ジエン(例えばブタジエンとイソプレン)から形成されている場合は、それらの結合形態は、完全交互、ランダム、テーパー、一部ブロック状、又はそれら2種以上の組み合わせであってもよい。
上記ブロック共重合体(A)は、少なくとも1つの重合体ブロックa1と少なくとも1つの重合体ブロックa2とを有していれば、これらを含む重合体ブロックの結合形式は限定されず、直鎖状、分岐状、放射状、又はそれらの2つ以上が組み合わさった結合形式のいずれであってもよい。これら結合形式の中でも、重合体ブロックa1と重合体ブロックa2の結合形式は直鎖状であることが好ましい。上記ブロック共重合体の結合形式としては、(重合体ブロックa1)−(重合体ブロックa2)のジブロック共重合体、(重合体ブロックa1)−(重合体ブロックa2)−(重合体ブロックa1)のトリブロック共重合体、(重合体ブロックa1)−(重合体ブロックa2)−(重合体ブロックa1)−(重合体ブロックa2)のテトラブロック共重合体、(重合体ブロックa1)−(重合体ブロックa2)−(重合体ブロックa1)−(重合体ブロックa2)−(重合体ブロックa1)のペンタブロック共重合体などが挙げられる。これら結合形式の中でも、得られる接着剤のタック及び被着体への濡れ性を良好とするなどの点からは、(重合体ブロックa1)−(重合体ブロックa2)のジブロック共重合体、(重合体ブロックa1)−(重合体ブロックa2)−(重合体ブロックa1)のトリブロック共重合体、及び該ジブロック共重合体とトリブロック共重合体の混合物が好ましい。
上記ブロック共重合体(A)における芳香族ビニル化合物単位の含有量は、ブロック共重合体(A)が固形である範囲であれば特に制限されるものではないが、得られる粘着剤の粘着力及び濡れ性などの点から、10〜70質量%の範囲にあることが好ましく、10〜50質量%の範囲内であることがより好ましく、10〜40質量%の範囲内であることがより更に好ましい。また、上記ブロック共重合体(A)における共役ジエン単位の含有量は、得られる粘着剤の粘着力及び濡れ性などの点から、30〜90質量%の範囲にあることが好ましく、50〜90質量%の範囲内であることがより好ましく、60〜90質量%の範囲内であることがより更に好ましい。なお、ブロック共重合体(A)における芳香族ビニル化合物単位及び共役ジエン単位の含有量は、1H−NMRスペクトルから求めることができる。
上記ブロック共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、ブロック共重合体(A)が固形である範囲であれば特に制限されるものではないが、得られる粘着剤の粘着力及び低移行性などの点からは、好ましくは50,000〜2,500,000であり、より好ましくは60,000〜1,000,000であり、より更に好ましくは70,000〜500,000である。なお、本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定から求めたポリスチレン換算の重量平均分子量である。
上記ブロック共重合体(A)は、本発明の主旨を損なわない限り、場合により、分子鎖中及び/又は分子末端に、カルボキシル基、水酸基、酸無水物基、アミノ基、エポキシ基などの官能基の1種又は2種以上を有していてもよい。
上記ブロック共重合体(A)の製造方法は特に制限されず、例えば、アルキルリチウム化合物を開始剤として、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の重合反応に不活性な有機溶媒中で、芳香族ビニル化合物、共役ジエンを逐次アニオン重合して、各重合体ブロックを形成し、更に必要に応じてカップリング反応等を行うことにより製造できる。
[液状ジエン系ゴム(B)]
本発明の粘着剤組成物で用いる液状ジエン系ゴム(B)とは、液状のジエン系重合体をいい、38℃で測定したその溶融粘度が0.1〜3,000Pa・sの範囲にある物をいう。
上記液状ジエン系ゴム(B)としては、共役ジエン(b1)を後述の方法で重合して得られる重合体が好ましい。本発明の粘着剤組成物に液状ジエン系ゴム(B)を含ませることにより、粘着力及びピール強度が向上する傾向にあり、また通常の可塑剤と比較して外部への移行性(ブリードアウト)が低く、優れた低移行性能を示す粘着剤を得ることができる。
共役ジエン(b1)としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−ブタジエン、2−フェニル−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、2−メチル−1,3−オクタジエン、1,3,7−オクタトリエン、ミルセン及びクロロプレンなどが挙げられる。これら共役ジエンの中でも、ブタジエン及びイソプレンが好ましい。これら共役ジエンは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
液状ジエン系ゴム(B)は、上記共役ジエン(b1)に加え、芳香族ビニル化合物(b2)を共重合したものであってもよい。芳香族ビニル化合物(b2)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−t−ブチルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、N,N−ジエチル−4−アミノエチルスチレン、ビニルピリジン、4−メトキシスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、及びジビニルベンゼンなどが挙げられる。これら芳香族ビニル化合物の中では、スチレン、α−メチルスチレン及び4−メチルスチレンが好ましい。
液状ジエン系ゴム(B)における、共役ジエン(b1)単位及び芳香族ビニル化合物(b2)単位の合計に対する芳香族ビニル化合物(b2)単位の割合は、粘着剤組成物の加工性、及び低移行性能を向上させる観点から、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。
液状ジエン系ゴム(B)は、例えば、溶液重合法等により製造できる。
上記溶液重合法としては、公知又は公知に準ずる方法を適用できる。例えば、溶媒中で、チーグラー系触媒、メタロセン系触媒、アニオン重合可能な活性金属又は活性金属化合物などの重合触媒を使用して、必要に応じて極性化合物の存在下で、共役ジエン(b1)を含む単量体を重合する。これらの中でも、重合触媒としては、アニオン重合可能な活性金属又は活性金属化合物が好ましく用いられる。
アニオン重合可能な活性金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属;ランタン、ネオジム等のランタノイド系希土類金属等が挙げられる。
アニオン重合可能な活性金属の中でもアルカリ金属及びアルカリ土類金属が好ましく、アルカリ金属がより好ましい。
アニオン重合可能な活性金属化合物としては、有機アルカリ金属化合物が好ましい。
有機アルカリ金属化合物としては、例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム等の有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、ジリチオナフタレン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼン等の多官能性有機リチウム化合物;ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン等が挙げられる。これら有機アルカリ金属化合物の中でも有機リチウム化合物が好ましい。
上記有機アルカリ金属化合物は、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、及びジベンジルアミンなどの第2級アミンと反応させて、有機アルカリ金属アミドとして使用することもできる。
上記重合触媒の使用量は、液状ジエン系ゴム(B)の溶融粘度、分子量などに応じて適宜設定できるが、共役ジエン(b1)を含む全単量体100質量部に対して、通常0.01〜3質量部の量で使用される。
上記溶媒としては、例えば、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などを使用することができる。
上記極性化合物は、アニオン重合において、通常、反応を失活させず、共役ジエン単位の結合形態を調整するために用いられる。極性化合物としては、例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン等の3級アミン;アルカリ金属アルコキシド、ホスフィン化合物などが挙げられる。極性化合物は、重合触媒に対して、通常0.01〜1000モルの量で使用される。
溶液重合の温度は、通常−80〜150℃の範囲、好ましくは0〜100℃の範囲、より好ましくは10〜90℃の範囲である。重合様式は回分式あるいは連続式のいずれでもよい。
重合反応は、重合停止剤の添加により停止できる。重合停止剤としては、例えば、メタノール、イソプロパノール等のアルコールが挙げられる。得られた重合反応液をメタノール等の貧溶媒に注いで、液状ジエン系ゴム(B)を析出させるか、重合反応液を水で洗浄し、分離後、乾燥することにより液状ジエン系ゴム(B)を単離できる。
液状ジエン系ゴム(B)は種々の官能基により変性された変性液状ジエン系ゴムとして用いてもよい。官能基としては、例えばアミノ基、アミド基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、アルコキシシリル基、水酸基、エポキシ基、エーテル基、カルボキシル基、カルボニル基、メルカプト基、イソシアネート基、ニトリル基、及び酸無水物基等が挙げられる。
変性液状ジエン系ゴムの製造方法としては、例えば、重合停止剤を添加する前に、重合活性末端と反応し得る四塩化錫、ジブチル錫クロリド、テトラクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、2,4−トリレンジイソシアネート等のカップリング剤や、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、N−ビニルピロリドン、N−メチルピロリドン、4−ジメチルアミノベンジリデンアニリン、ジメチルイミダゾリジノン等の重合末端変性化合物、又は特開2011−132298号公報に記載のその他の変性化合物を添加し、未変性の液状ジエン系ゴムに付加する方法が挙げられる。
また、単離後の未変性の液状ジエン系ゴム(B)に無水マレイン酸等をグラフト反応させることにより、変性液状ジエン系ゴムを製造することができる。
この変性ジエン系重合体において、官能基が導入される位置については重合体末端であってもよく、重合体鎖の側鎖であってもよい。また上記官能基は1種又は2種以上で組み合わせて用いることもできる。上記変性化合物は、重合触媒に対して好ましくは0.01〜100モル等量の範囲で使用される。
上記液状ジエン系ゴム(B)は、その製造に用いる重合触媒に由来する触媒残渣量が金属換算で0〜200ppmの範囲にあることに特徴がある。例えば、液状ジエン系ゴム(B)を製造するための重合触媒として有機リチウム化合物等の有機アルカリ金属化合物を用いた場合には、触媒残渣量の基準となる金属は、リチウム等のアルカリ金属になる。触媒残渣量が上記範囲にあることにより、本発明の粘着剤組成物の透明性に優れ、接着力及びピール強度を向上することができる。液状ジエン系ゴム(B)の製造に用いる重合触媒に由来する触媒残渣量としては、金属換算で、好ましくは0〜150ppm、より好ましくは0〜120ppmである。なお、触媒残渣量は、例えば偏光ゼーマン原子吸光分光光度計を用いることにより測定できる。
液状ジエン系ゴムの触媒残渣量をこのような特定の範囲とする方法としては、重合後の液状ジエン系ゴム(B)を精製し、触媒残渣を十分に除去する方法などが挙げられる。液状ジエン系ゴム(B)を精製する方法としては、水若しくは温水、又はメタノール、アセトンなどに代表される有機溶媒、若しくは超臨界流体二酸化炭素による洗浄が好ましい。洗浄回数としては、経済的な観点から1〜20回が好ましく、1〜10回がより好ましい。また、洗浄温度としては、20〜100℃が好ましく、40〜90℃がより好ましい。また、重合反応前に、重合の阻害を行うような不純物を蒸留や吸着剤により除去し、単量体の純度を高めた後に重合を行うことによっても、必要な重合触媒量が少なくてすむため、触媒残渣量を低減することができる。
上記液状ジエン系ゴム(B)の38℃で測定した溶融粘度は0.1〜3,000Pa・sの範囲にあることに特徴がある。上記溶融粘度は、好ましくは0.5〜2,500Pa・sの範囲、より好ましくは0.5〜2,000Pa・sの範囲である。液状ジエン系ゴム(B)の溶融粘度が前記範囲内であると、得られる粘着剤組成物のブリードアウトが低下する傾向にある。なお、本発明において液状ジエン系ゴム(B)の溶融粘度は、後述する実施例に記載した方法で求めた値である。
液状ジエン系ゴム(B)の重量平均分子量(Mw)は1,000〜100,000が好ましく、2,000〜90,000がより好ましく、3,000〜80,000が更に好ましく、3,000〜70,000がより更に好ましい。上記液状ジエン系ゴム(B)のMwが前記範囲内であると、本発明の粘着剤組成物のブリードアウトが低下する傾向にある。
本発明においては、Mwが異なる2種以上の液状ジエン系ゴム(B)を組み合わせて用いてもよい。
液状ジエン系ゴム(B)の分子量分布(Mw/Mn)は、1.0〜8.0が好ましく、1.0〜5.0がより好ましく、1.0〜3.0が更に好ましい。Mw/Mnが前記範囲内であると、得られる重合体(B)の粘度のばらつきが小さく、より好ましい。
液状ジエン系ゴム(B)のガラス転移温度(Tg)は、共役ジエン(b1)に由来する単位のビニル含量、共役ジエン(b1)の種類、共役ジエン以外の単量体に由来する単位の含量などによって変化し得るが、−100〜10℃が好ましく、−100〜0℃がより好ましく、−100〜−5℃が更に好ましい。Tgが上記範囲であると、例えば、粘着剤組成物の粘着力及びピール強度が良好となる。液状ジエン系ゴム(B)のビニル含量は99質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。
本発明の粘着剤組成物において、ブロック共重合体(A)100質量部に対する液状ジエン系ゴム(B)の含有量は5〜150質量部であり、5〜140質量部が好ましく、5〜130質量部がより好ましく、5〜120質量部が更に好ましい。液状ジエン系ゴム(B)の含有量が上記範囲内であると、粘着剤組成物の低移行性能、接着力、保持力及びピール強度が良好となる。
[粘着付与樹脂(C)]
本発明の粘着剤組成物で用いる粘着付与樹脂(C)は、従来から粘接着剤用に用いられている粘着付与樹脂を特に限定なく用いることができる。粘着付与樹脂(C)としては、例えば、クマロン・インデン樹脂等のクマロン樹脂;p−t−ブチルフェノール・アセチレン樹脂、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、テルペン・フェノール樹脂、ポリテルペン樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂等のフェノール系樹脂及びテルペン系樹脂;合成ポリテルペン樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、脂肪族系炭化水素樹脂、脂肪族系炭化水素樹脂、脂肪族・脂環族系石油樹脂、脂肪族・芳香族系炭化水素樹脂、水添変性脂環族系炭化水素樹脂、水添脂環族系炭化水素樹脂、炭化水素系粘着化樹脂、低分子量ポリブテン、低分子量アタクチックポリプロピレン等の石油系炭化水素樹脂;ロジンのペンタエルスリトールエステル及びロジンのグリセロールエステルなどに代表されるロジンエステル、水素添加ロジン、水素添加ロジンのメチルエステル、重合ロジンのペンタエリスリトールエステル、水素添加ロジンエステル、高融点エステル系樹脂、重合ロジン、硬化ロジン、特殊ロジンエステル等のロジン系樹脂などが挙げられる。これら粘着付与樹脂(C)の中でも、テルペン系樹脂、水添脂環族系炭化水素樹脂、及びロジン系樹脂が好ましい。これら粘着付与樹脂(C)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の粘着剤組成物において、ブロック共重合体(A)100質量部に対する粘着付与樹脂(C)の含有量は10〜500質量部であり、20〜400質量部が好ましく、30〜300質量部がより好ましく、40〜200質量部が更に好ましい。粘着付与樹脂(C)の含有量が上記範囲内であると、粘着剤組成物の低移行性能、粘着力及びピール強度が良好となる。
[その他の成分]
本発明の粘着剤組成物は、上記(A)〜(C)のほか、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、難燃剤、充填剤、顔料、着色剤、滑剤、軟化剤、可塑剤、帯電防止剤、撥水剤、防水剤、親水性付与剤、導電性付与剤、熱伝導性付与剤、電磁波シールド性付与剤、透光性調整剤、蛍光剤、摺動性付与剤、透明性付与剤、アンチブロッキング剤、金属不活性化剤、防菌剤、架橋剤などの添加剤を含有していてもよい。
上記酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジt−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート、トリエチレングリコール−ビス−〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕等のフェノール系酸化防止剤;ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)などのイオウ系酸化防止剤;オクチル化ジフェニルアミンなどのアミン系酸化防止剤;トリス(2,4−ジt−ブチルフェニル)ホスファイトなどのホスファイト系酸化防止剤;などが挙げられる。これら酸化防止剤の中でもフェノール系酸化防止剤が好ましい。上記酸化防止剤は、ブロック共重合体(A)100質量部に対して、好ましくは0.5〜5質量部、より好ましくは1〜3質量部の量で添加される。
上記熱安定剤としては、例えばリン系熱安定剤、ラクトン系熱安定剤、ヒドロキシル系熱安定剤等などが挙げられる。粘着剤組成物に熱安定剤を添加する場合には、粘着剤組成物からのブリードを抑制する観点から、粘着剤組成物100質量部に対して、好ましくは3質量部以下の量、より好ましくは2質量部以下の量で添加される。
上記充填剤としては、例えば、タルク、クレー、マイカ、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウムなどが挙げられる。粘着剤組成物に充填剤を添加する場合には、粘着剤組成物100質量部に対して、好ましくは20質量部以下の量、より好ましくは10質量部以下の量で添加される。
[粘着剤組成物及び粘着剤の製造方法]
本発明の粘着剤組成物は、粘着剤組成物の全成分を有機溶媒等に添加して混合し、これから溶媒等を除去することにより作製することができる。また、粘着剤組成物の全成分を混合機等を用いて混合した後、溶融混練することにより作製することができる。このようにして得られた粘着剤組成物は、基材等に塗布して粘着剤として用いることができる。
本発明の粘着剤組成物から、粘着剤層を有する物品(例えば、テープ又は粘着シート)は、例えば、以下のようにして作製できる。すなわち、上記粘着剤組成物の全成分をトルエン、n−ヘキサン、酢酸エチル等の溶媒中に溶解して粘着剤組成物を含む均一状態の液を作成し、これをリバースコータ−、バーコータ−等のコーターなどを用いて、例えば剥離紙上に塗布した後に、加熱等により溶媒を除去し、剥離紙上の粘着剤層の表面に基材等を貼り合せながら巻き取ることにより、粘着剤層を有する物品(例えば粘着テープ又は粘着シート)を作製できる。
また、上記粘着剤組成物の全成分を、ヘンシェルミキサー、Vブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー、コニカルブレンダー等の混合機を用いて混合することにより、又はその混合後、一軸又は二軸押出機、ニーダー等により溶融混練することにより、まず粘着剤組成物を作製した後、この粘着剤組成物を溶融状態にして、基材等に直接塗工することにより、粘着剤層を有する物品(例えば粘着テープ又は粘着シート)を作製できる。
例えば、粘着テープ又は粘着シートを作製する場合には、基材上への粘着剤組成物の塗布量は、例えば50〜120g/m2の量にすることができる。
上記粘着テープ又は粘着シートとなる基材の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体等のポリオレフィン、エチレン/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、アクリル系重合体、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミドなどが挙げられる。基材はこれら材料1種から形成されていてもよく、2種以上から形成されていてもよい。
また、基材は、一層で形成されていてもよく、二層以上の複層で形成されていてもよい。二層以上からなる場合、異なる2種類以上の材料から形成されていてもよい。また、必要に応じて、基材は種々の処理、例えば穿孔処理が施されていてもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本実施例及び比較例において使用した各成分は以下のとおりである。
<ブロック共重合体(A)>
D−1119(クレイトンポリマー社製:ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン トリブロック共重合体/ポリスチレン−ポリイソプレン共重合体の混合物,ジブロック共重合体含有量 66%,ポリスチレン含有量 22%,メルトインデックス(200℃,5kg) 25g/10分)
<液状ジエン系ゴム(B)>
後述の製造例1〜9の液状ポリイソプレン
<粘着付与樹脂(C)>
エスコレッツ(ESCOREZ)1310(エクソンモービル化学社製:脂肪族系炭化水素樹脂[C5系石油樹脂],軟化点 93℃)
<任意成分>
Irganox 1010(BASF社製:フェノール系酸化防止剤)
SUNTHENE 250J(日本サン石油社製:ナフテン系プロセスオイル)
製造例1:液状ポリイソプレン(B−1)の製造
十分に乾燥した耐圧容器を窒素置換し、この耐圧容器に、ヘキサン600g、及びn−ブチルリチウム(17質量%ヘキサン溶液)44.9gを仕込み、70℃に昇温した後、撹拌条件下、重合温度を70℃となるように制御しながら、イソプレン2050gを加えて1時間重合した(重合工程)。その後、メタノールを添加して重合反応を停止させ、重合溶液2695gを得た。耐圧容器中のこの重合溶液に、60℃の温水を、重合溶液/温水 体積比=2/1となるように添加し、30分撹拌した後30分静置し、重合溶液相と水相とが分離していることを確認した後、水相を除去した(以下、この操作を洗浄操作(1)という。)。この洗浄操作(1)を更に繰り返し、全体で洗浄操作(1)を4回行った。洗浄操作を経た重合液を、70℃で12時間真空乾燥することにより、液状ポリイソプレン(B−1)を得た。得られた液状ポリイソプレン(B−1)の物性を表1に示す。
製造例2:液状ポリイソプレン(B−2)の製造
上記洗浄操作(1)を3回とする以外は製造例1と同様の重合、洗浄操作、乾燥を行い、液状ポリイソプレン(B−2)を得た。得られた液状ポリイソプレン(B−2)の物性を表1に示す。
製造例3:液状ポリイソプレン(B−3)の製造
十分に乾燥した耐圧容器を窒素置換し、この耐圧容器に、ヘキサン600g、及びn−ブチルリチウム(17質量%ヘキサン溶液)13.9gを仕込み、70℃に昇温した後、撹拌条件下、重合温度を70℃となるように制御しながら、イソプレン1370gを加えて1時間重合した(重合工程)。その後、メタノールを添加して重合反応を停止させ、重合溶液1980gを得た。その後製造例1に記載の洗浄操作(1)を3回行った。洗浄操作を経た重合液を、70℃で12時間真空乾燥することにより、液状ポリイソプレン(B−3)を得た。得られた液状ポリイソプレン(B−3)の物性を表1に示す。
製造例4:液状ポリイソプレン(B−4)の製造
上記洗浄操作(1)を2回とする以外は製造例3と同様の重合、洗浄操作、乾燥を行い、液状ポリイソプレン(B−4)を得た。得られた液状ポリイソプレン(B−4)の物性を表1に示す。
製造例5:液状イソプレン−スチレンブロック共重合体(B−5)の製造
十分に乾燥した耐圧容器を窒素置換し、この耐圧容器に、ヘキサン600g、及びn−ブチルリチウム(17質量%ヘキサン溶液)17.1gを仕込み、70℃に昇温した後、撹拌条件下、重合温度を70℃となるように制御しながら、イソプレン783gを加えて1時間重合した後、続けてスチレン117gを加えて更に1時間重合した(重合工程)。その後、メタノールを添加して重合反応を停止させ、重合溶液1500gを得た。その後製造例1に記載の洗浄操作(1)を3回行った。洗浄操作を経た重合液を、70℃で12時間真空乾燥することにより、液状イソプレン−スチレンブロック共重合体(B−5)を得た。得られた液状イソプレン−スチレンブロック共重合体(B−5)の物性を表1に示す。
製造例6:液状イソプレン−スチレンブロック共重合体(B−6)の製造
上記洗浄操作(1)を2回とする以外は製造例5と同様の重合、洗浄操作、乾燥を行い、液状イソプレン−スチレンブロック共重合体(B−6)を得た。得られた液状イソプレン−スチレンブロック共重合体(B−6)の物性を表1に示す。
製造例7:液状ポリイソプレン(B−7)の製造
製造例1と同様の重合工程にて重合を実施し、重合反応液にメタノールを添加して重合反応を停止させた。次いで、重合溶液を耐圧容器から抜き取った後、該耐圧容器を洗浄せずに連続使用し、イソプレンを1190g用いた以外は製造例1と同様の重合工程にて2回目の重合を実施した。2回目の重合で得られた重合溶液を洗浄することなく、70℃で12時間真空乾燥し、液状ポリイソプレン(B−7)を得た。得られた液状ポリイソプレン(B−7)の物性を表1に示す。
製造例8:液状ポリイソプレン(B−8)の製造
製造例3と同様の重合工程にて重合を実施し、重合反応液にメタノールを添加して重合反応を停止させた。次いで、重合溶液を耐圧容応器から抜き取った後、該耐圧容器を洗浄せずに連続使用し、イソプレンを359g用いた以外は製造例3と同様の重合工程にて2回目の重合を再度実施した。2回目の重合で得られた重合溶液を洗浄することなく、70℃で12時間真空乾燥し、液状ポリイソプレン(B−8)を得た。得られた液状ポリイソプレン(B−8)の物性を表1に示す。
製造例9:液状イソプレン−スチレンブロック共重合体(B−9)の製造
製造例5と同様の重合工程にて重合を実施し、重合反応液にメタノールを添加して重合反応を停止させた。次いで、重合溶液を耐圧容器から抜き取った後、該耐圧容器を洗浄せずに連続使用し、イソプレン378gとスチレン56gを用いた以外は製造例5と同様の重合工程にて2回目の重合を実施した。2回目の重合で得られた重合溶液を洗浄することなく、70℃で12時間真空乾燥し、液状ポリイソプレン(B−9)を得た。得られた液状ポリイソプレン(B−9)の物性を表1に示す。
なお、液状ジエン系ゴム(B)の重量平均分子量(Mw)、溶融粘度、ポリスチレン/ポリイソプレンの質量比、及び触媒残渣量の測定方法は以下のとおりである。
(重量平均分子量及び分子量分布の測定方法)
液状ジエン系ゴム(B)のMwはGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により標準ポリスチレン換算分子量で求めた。測定装置及び条件は、以下の通りである。
・装置 :東ソー株式会社製GPC装置「GPC8020」
・分離カラム :東ソー株式会社製「TSKgelG4000HXL」
・検出器 :東ソー株式会社製「RI−8020」
・溶離液 :テトラヒドロフラン
・溶離液流量 :1.0ml/分
・サンプル濃度:5mg/10ml
・カラム温度 :40℃
(溶融粘度の測定方法)
液状ジエン系ゴム(B)の38℃における溶融粘度はブルックフィールド型粘度計(BROOKFIELD ENGINEERING LABS. INC.製)により測定した。
(ガラス転移温度の測定方法)
液状ジエン系ゴム(B)10mgをアルミパンに採取し、示差走査熱量測定(DSC)により10℃/分の昇温速度条件においてサーモグラムを測定し、DDSCのピークトップの値をガラス転移温度とした。
(触媒残渣量)
1)試料溶液等の調製
試料溶液:製造例1〜9で得られた液状ジエン系ゴム(B)0.5〜5.0gを精密に量り取り、少量の濃硫酸で前処理した後、白金皿に入れ、電気コンロで徐々に加熱して灰化した。冷却後、20%(v/v)塩酸5mLを加え、さらに超純水を加え50mLとし、これを試料溶液とした。
標準溶液(a)(ブランク):20%(v/v)塩酸5mLに超純水を加え50mLとした。
標準溶液(b)(Li:0.1ppm(w/v)):20%(v/v)塩酸5mL及びリチウム標準液(1000ppm(w/v))0.005mLを正確にとり、超純水を加え50mLとした。
標準溶液(c)(Li:2.0ppm(w/v)):20%(v/v)塩酸5mL及びリチウム標準液(1000ppm(w/v))0.10mLを正確にとり、超純水を加え50mLとした。
標準溶液(d)(Li:5.0ppm(w/v)):20%(v/v)塩酸5mL及びリチウム標準液(1000ppm(w/v))0.25mLを正確にとり、超純水を加え50mLとした。
2)測定方法
原子吸光光度法フレーム方式(フレーム:空気―アセチレン(波長:670.8nm))の検量線法により求めた。前記の標準溶液(a)、(b)、(c)及び(d)の順に吸光度を測定し、検量線を作成する。次に、試料溶液の吸光度を測定し、液状ジエン系ゴム(B)1g当たりのリチウム触媒残渣量を下記式により計算した。吸光度の測定には、偏光ゼーマン原子吸光分光光度計(型式「Z−5010」、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いた。原子吸光用リチウム標準液としては、和光純薬工業(株)製の製品を使用した。
触媒残渣量(リチウム:ppm(w/v))=(C/試料採取量(g))×50
(但し、C=測定液中のリチウム濃度(ppm(w/v)))
Figure 0006204806
(実施例1〜6及び比較例1〜3)
ブロック共重合体(A−1)、液状ジエン系ゴム(B−1)〜(B−9)、粘着付与樹脂(C)及び酸化防止剤(Irganox 1010)を、表2に示す割合で、固形分濃度が55%となるようにトルエン中に溶解して本発明の粘着剤組成物溶液を作製した。この粘着剤溶液を支持フィルムであるポリエステルフィルム(100μm厚)に乾燥後の厚みが50μmとなるように塗布、乾燥して粘着シートを作製した。得られた粘着シートのプローブタック、ピール強度、ブリードアウト、外観、及び保持力を後述する方法により評価した。結果を表2に示す。
(比較例4)
液状ジエン系ゴム(B−1)の代わりにプロセスオイル(SUNTHENE 250J)を、表2に示す割合で用いたこと以外は実施例1と同様の手順で操作を行い、粘着剤組成物溶液及び粘着シートを作製した。得られた粘着シートのプローブタック、ピール強度、ブリードアウト、外観、及び保持力を後述する方法により評価した。結果を表2に示す。
なお、各評価の測定方法は以下のとおりである。
(1)プローブタック
各実施例及び比較例で作製した粘着シートの支持フィルム側を、ポリプロピレン粘着テープ(日東電工社製、ダンプロンテープNo.375)で裏打し、23±2℃、相対湿度65±15%の環境下で、プローブタックテスター(理学工業社製)を用いて、圧着加重100g、接触時間1秒、剥離速度10mm/秒の条件で、直径5mmのステンレス製プローブを粘着剤層面から引き剥がす際の応力を測定し、この値をプローブタックとした。
(2)ピール強度
各実施例及び比較例で作製した粘着シートを、25mm幅で100mm長さの短冊状に裁断し、23±2℃、相対湿度65±15%の環境下で、ガラス表面に2kgのローラを用いて、約50mm/秒の速度で1往復させて圧着し、30分間放置したのち、剥離角度180度、剥離速度300mm/分で粘着シートを引き剥がした。このときにかかる剥離応力をピール強度とした。
(3)ブリードアウト
各実施例及び比較例で作製した粘着シートを、25mm幅で100mm長さの短冊状に裁断し、23±2℃、相対湿度65±15%の環境下で、上質紙(コクヨ製KB用紙)に2kgのローラを用いて、約50mm/秒の速度で1往復させて圧着し、30分間放置したのち、23±2℃、相対湿度65±15%の環境下で一週間静置し、粘着剤から成分が上質紙に移行するか目視で観察を行った。
A:ブリードアウトなし
B:僅かにブリードアウトあり
C:明らかなブリードアウトあり
(4)外観
各実施例及び比較例で作製した粘着剤組成物溶液の外観を、目視により評価した。
A:濁りなし
B:僅かに濁りあり
C:明らかな濁りあり
(5)保持力
各実施例及び比較例で作製した粘着シートを、25mm幅で100mm長さの短冊状に裁断した。次に、23±2℃、相対湿度65±15%の環境下で、ステンレス板に25×25mmの接着面積になるよう2kgのローラを用い、約50mm/秒の速度で1往復させて圧着し、30分間放置した。更に、1kgの重りでせん断荷重を加え、80℃の恒温槽内で剥がれるまでの時間を測定した。値が大きいものほど保持力に優れる。
Figure 0006204806
実施例1〜6と比較例1〜3との結果を比較することにより、同様の分子量と組成を有する液状ジエン系ゴム(B)を用いた場合、触媒残渣量のより少ないものを配合することで、プローブタック、接着力及び保持力が改善し、更に透明性の良好な粘着剤が得られることが示された。また、比較例4から分かるように、液状ジエンゴム(B)の代わりにプロセスオイルを配合した粘着剤はブリードアウトが生じやすく、長期信頼性に劣る。また、80℃での保持力が低く、耐熱性に劣る。
本発明で得られる粘着剤組成物は、ブリードアウトが少なく、プローブタック及びピール強度などで評価される粘着力に優れ、高温での保持力(耐熱性)にも優れ、透明性も高い。したがって本発明の粘着剤組成物から作製される粘着剤は粘着テープ、粘着シート等の粘着性物品などの種々の用途に好適に用いることができる。

Claims (2)

  1. 芳香族ビニル化合物単位からなる重合体ブロックa1を少なくとも1個、及び共役ジエン単位からなる重合体ブロックa2を少なくとも1個含有する固形のブロック共重合体(A)100質量部に対して、液状ジエン系ゴム(B)5〜150質量部、及び粘着付与樹脂(C)10〜500質量部を含有する粘着剤組成物であり、
    前記液状ジエン系ゴム(B)の38℃で測定した溶融粘度が0.1〜3,000Pa・sの範囲にあり、かつ該液状ジエン系ゴム(B)の製造に用いる重合触媒に由来する触媒残渣量が、金属換算で0〜200ppmの範囲である粘着剤組成物。
  2. 請求項1に記載の組成物を少なくとも一部に用いた粘着剤。
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