JP6198574B2 - 粘着剤組成物 - Google Patents

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本発明は、粘着剤組成物及び該組成物からなる粘着剤に関する。
固形ゴム、液状ゴム、オイル等を含む粘着剤組成物は、被着体に対して優れた粘着性を有するため、従来から、種々の工業用途で、金属部材等の各種部材の粘着剤などとして用いられてきている(例えば、特許文献1〜4参照)。また、粘着剤組成物の金属などへの粘着性の改善を行う等するために、液状ゴムとして官能基で変性した変性液状ゴムを使用する方法が知られている(例えば、特許文献3、4参照)。このような粘着剤組成物では、粘着性だけでなく、塗工性にも優れることが望まれる。また、変性液状ゴムを含む粘着剤組成物を、金属材料の接着に使用するためには、より一層の耐金属腐食性が望まれる。また、用途によっては耐溶剤性が高いことも必要とされる。
特公昭63−043436号公報 特開昭59−006272号公報 特開平05−194922号公報 特開平10−151185号公報
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、塗工性に優れ、金属等への粘着性、及び耐金属腐食性に優れ、耐溶剤性にも優れる粘着剤組成物を提供する。
本発明者らが、鋭意検討を行った結果、特定の固形ゴム、特定の変性液状ジエン系ゴム、フィラー及びオイルを特定の配合割合で含む粘着剤組成物は、塗工性に優れ、しかもその粘着剤組成物は、金属等への粘着性、及び耐金属腐食性に優れ、耐溶剤性にも優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下〔1〕〜〔3〕に関する。
〔1〕天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム及びブチルゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種の固形ゴム(A)100質量部に対して、変性液状ジエン系ゴム(B)5〜250質量部、及び粘着付与樹脂(C)10〜500質量部を含有する粘着剤組成物であり、前記変性液状ジエン系ゴム(B)が、下記(I)〜(III)の要件を満たす粘着剤組成物。
(I)変性液状ジエン系ゴム(B)の38℃で測定した溶融粘度が0.1〜3000Pa・sの範囲にある。
(II)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した際、最大ピーク分子量(Mt)が3000〜120000の範囲であり、得られるGPCクロマトグラムの重合体由来の全面積を100%として、分子量がMt×1.45以上の領域にある重合体の割合が0〜20%である。
(III)変性液状ジエン系ゴム(B)が、変性化合物を液状ジエン系ゴム(B’)に付加して得られたものであり、変性化合物の付加反応率が40〜100mol%である。
〔2〕前記固形ゴム(A)及び変性液状ジエン系ゴム(B)の合計100質量部に対して、更に架橋剤(D)を0.001〜15質量部含有する〔1〕に記載の粘着剤組成物。
〔3〕〔1〕又は〔2〕に記載の粘着剤組成物を少なくとも一部に用いた粘着剤。
本発明によれば、塗工性に優れるだけでなく、金属等への粘着性及び耐金属腐食性に優れ、耐溶剤性に優れた粘着剤組成物が得られる。そのため、金属部材をはじめとする各種部材の接着などに好適に用いることができる。
[固形ゴム(A)]
本発明の粘着剤組成物で用いる固形ゴム(A)とは、20℃において固形状で取り扱うことができるゴムをいい、固形ゴム(A)の100℃におけるムーニー粘度 ML1+4は通常20〜200の範囲にある。上記固形ゴム(A)は、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム及びブチルゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
上記固形ゴム(A)の重量平均分子量(Mw)は、得られるゴム組成物の特性を十分に発揮させる観点から、80,000以上であることが好ましく、100,000〜3,000,000の範囲内であることがより好ましい。
なお、本明細書における重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
上記天然ゴムとしては、例えば、SMR、SIR、STR等のTSRやRSS等のタイヤ工業において一般的に用いられる天然ゴム、高純度天然ゴム、エポキシ化天然ゴム、水酸基化天然ゴム、水素添加天然ゴム、グラフト化天然ゴム等の改質天然ゴムが挙げられる。中でも、品質のばらつきが少ない点、及び入手容易性の点から、SMR20、STR20やRSS#3が好ましい。これら天然ゴムは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ポリイソプレンゴムとしては、例えば、四ハロゲン化チタン−トリアルキルアルミニウム系、ジエチルアルミニウムクロライド−コバルト系、トリアルキルアルミニウム−三弗化ホウ素−ニッケル系、ジエチルアルミニウムクロライド−ニッケル系等のチーグラー系触媒;トリエチルアルミニウム−有機酸ネオジム−ルイス酸系等のランタノイド系希土類金属触媒、又はS−SBRと同様に有機アルカリ金属化合物を用いて重合された、市販のポリイソプレンゴムを用いることができる。チーグラー系触媒により重合されたポリイソプレンゴムが、シス体含量が高く好ましい。また、ランタノイド系希土類金属触媒を用いて得られる超高シス体含量のポリイソプレンゴムを用いてもよい。
ポリイソプレンゴムのビニル含量は好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。ビニル含量が50質量%を超えると粘着剤組成物の保持力が低下する傾向にある。ビニル含量の下限は特に限定されない。またガラス転移温度はビニル含量によって変化するが、−20℃以下であることが好ましく、−30℃以下であることがより好ましい。
ポリイソプレンゴムの重量平均分子量(Mw)は90,000〜2,000,000であることが好ましく、150,000〜1,500,000であることがより好ましい。Mwが上記範囲にある場合、加工性と機械強度が良好となる。
上記ポリイソプレンゴムは、本発明の効果を損ねない範囲であれば、その一部が多官能型変性剤、例えば四塩化錫、四塩化珪素、エポキシ基を分子内に有するアルコキシシラン、又はアミノ基含有アルコキシシランのような変性剤を用いることにより分岐構造又は極性官能基を有していてもよい。
上記ポリブタジエンゴムとしては、例えば、四ハロゲン化チタン−トリアルキルアルミニウム系、ジエチルアルミニウムクロライド−コバルト系、トリアルキルアルミニウム−三弗化ホウ素−ニッケル系、ジエチルアルミニウムクロライド−ニッケル系等のチーグラー系触媒;トリエチルアルミニウム−有機酸ネオジム−ルイス酸系等のランタノイド系希土類金属触媒、又はS−SBRと同様に有機アルカリ金属化合物を用いて重合された、市販のポリブタジエンゴムを用いることができる。チーグラー系触媒により重合されたポリブタジエンゴムが、シス体含量が高く好ましい。また、ランタノイド系希土類金属触媒を用いて得られる超高シス体含量のポリブタジエンゴムを用いてもよい。
ポリブタジエンゴムのビニル含量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。ビニル含量が50質量%を超えると粘着剤組成物の保持力が低下する傾向にある。ビニル含量の下限は特に限定されない。またガラス転移温度はビニル含量によって変化するが、−40℃以下であることが好ましく、−50℃以下であることがより好ましい。
ポリブタジエンゴムの重量平均分子量(Mw)は90,000〜2000,000であることが好ましく、150,000〜1,500,000であることがより好ましい。Mwが上記範囲にある場合、加工性と機械強度が良好となる。
上記ポリブタジエンゴムは、本発明の効果を損ねない範囲であれば、その一部が多官能型変性剤、例えば四塩化錫、四塩化珪素、エポキシ基を分子内に有するアルコキシシラン、又はアミノ基含有アルコキシシランのような変性剤を用いることにより分岐構造又は極性官能基を有していてもよい。
スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(以下、SBRともいう。)としては、用途等に応じて適切なものを使用できるが、具体的には、スチレン含量が0.1〜70質量%のものが好ましく、5〜50質量%のものがより好ましく、15〜35質量%のものが更に好ましい。また、ビニル含量が0.1〜60質量%のものが好ましく、0.1〜55質量%のものがより好ましい。
SBRの重量平均分子量(Mw)は100,000〜2,500,000であることが好ましく、150,000〜2,000,000であることがより好ましく、200,000〜1,500,000であることが更に好ましい。上記の範囲である場合、加工性と機械強度を両立することができる。
本発明において使用するSBRの示差熱分析法により求めたガラス転移温度は、−95〜0℃であることが好ましく−95〜−5℃であることがより好ましい。ガラス転移温度を上記範囲にすることによって、粘度が高くなるのを抑えることができ取り扱いが容易になる。
本発明において用いることができるSBRは、スチレンとブタジエンとを共重合して得られる。SBRの製造方法について特に制限はなく、乳化重合法、溶液重合法、気相重合法、バルク重合法のいずれも用いることができるが、これら製造方法の中でも、乳化重合法、溶液重合法が好ましい。
乳化重合スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(以下、E−SBRともいう。)は、公知又は公知に準ずる通常の乳化重合法により製造できる。例えば、所定量のスチレン及びブタジエン単量体を乳化剤の存在下に乳化分散し、ラジカル重合開始剤により乳化重合することにより得られる。
溶液重合スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(以下、S−SBRともいう。)は、通常の溶液重合法により製造でき、例えば、溶媒中でアニオン重合可能な活性金属を使用して、所望により極性化合物の存在下、スチレン及びブタジエンを重合する。
溶媒としては、例えば、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。これらの溶媒は通常、単量体濃度が1〜50質量%となる範囲で用いることが好ましい。
アニオン重合可能な活性金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属;ランタン、ネオジム等のランタノイド系希土類金属等が挙げられる。これら活性金属の中でもアルカリ金属及びアルカリ土類金属が好ましく、アルカリ金属がより好ましい。更にアルカリ金属の中でも、有機アルカリ金属化合物がより好ましく用いられる。
有機アルカリ金属化合物としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム等の有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼン等の多官能性有機リチウム化合物;ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン等が挙げられる。中でも有機リチウム化合物が好ましく、有機モノリチウム化合物がより好ましい。有機アルカリ金属化合物の使用量は、要求されるS−SBRの分子量によって適宜決められる。
有機アルカリ金属化合物は、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジベンジルアミン等の第2級アミンと反応させて、有機アルカリ金属アミドとして使用することもできる。
極性化合物としては、アニオン重合において、反応を失活させず、ブタジエン部位のミクロ構造やスチレンの共重合体鎖中の分布を調整するために通常用いられるものであれば特に制限はなく、例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン等の3級アミン;アルカリ金属アルコキシド、ホスフィン化合物等が挙げられる。
重合反応の温度は、通常−80〜150℃、好ましくは0〜100℃、更に好ましくは30〜90℃の範囲である。重合様式は、回分式あるいは連続式のいずれでもよい。また、スチレン及びブタジエンのランダム共重合性を向上させるため、重合系中のスチレン及びブタジエンの組成比が特定範囲になるように、反応液中にスチレン及びブタジエンを連続的あるいは断続的に供給することが好ましい。
重合反応は、重合停止剤としてメタノール、イソプロパノール等のアルコールを添加して停止できる。重合反応停止後の重合溶液は、直接乾燥やスチームストリッピング等により溶媒を分離して、目的のS−SBRを回収できる。なお、溶媒を除去する前に、予め重合溶液と伸展油とを混合し、油展ゴムとして回収してもよい。
上記SBRとしては、本発明の効果を損ねない範囲であれば、SBRに官能基が導入された変性SBRを用いてもよい。官能基としては、例えばアミノ基、アルコキシシリル基、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基等が挙げられる。
変性SBRの製造方法としては、例えば、重合停止剤を添加する前に、重合活性末端と反応し得る四塩化錫、テトラクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、2,4−トリレンジイソシアネート等のカップリング剤や、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、N−ビニルピロリドン等の重合末端変性剤又は、特開2011−132298号公報に記載のその他の変性剤を添加する方法が挙げられる。
この変性SBRにおいて、官能基が導入される重合体の位置については重合末端であってもよく、重合体鎖の側鎖であってもよい。
上記スチレン−イソプレン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPM、EPDM等)及びブチルゴムとしては、市販品を特に制限なく使用することができる。
[変性液状ジエン系ゴム(B)]
本発明の粘着剤組成物で用いる変性液状ジエン系ゴム(B)とは、液状の重合体であり、38℃で測定したその溶融粘度が0.1〜3,000Pa・sの範囲にあり、未変性の液状ジエン系ゴム(B’)に変性化合物を付加することにより得られる物をいう。本発明の粘着剤組成物において変性液状ジエン系ゴム(B)を含ませることにより、金属などへの良好な粘着性を示す。
変性液状ジエン系ゴムの原料となる上記未変性の液状ジエン系ゴム(B’)としては、共役ジエン(b1)を含む単量体を後述の方法で重合して得られる重合体、及び該重合体に含まれる不飽和結合の少なくとも一部を水素添加した重合体が好ましい。共役ジエン(b1)としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニルブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、2−メチル−1,3−オクタジエン、1,3,7−オクタトリエン、ミルセン、及びクロロプレンなどが挙げられる。これら共役ジエンの中でも、ブタジエン、及びイソプレンが好ましい。これら共役ジエンは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
未変性の液状ジエン系ゴム(B’)は、上記共役ジエン(b1)に加え、芳香族ビニル化合物(b2)を共重合したものであってもよい。芳香族ビニル化合物(b2)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−t−ブチルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、N,N−ジエチル−4−アミノエチルスチレン、ビニルピリジン、4−メトキシスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、及びジビニルベンゼンなどが挙げられる。これら芳香族ビニル化合物の中では、スチレン、α−メチルスチレン、及び4−メチルスチレンが好ましい。
上記未変性の液状ジエン系ゴム(B’)における、共役ジエン(b1)及び芳香族ビニル化合物(b2)に由来する単位の合計に対する芳香族ビニル化合物(b2)単位の割合は、粘着剤組成物の加工性、保持力などの観点から、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。
上記未変性の液状ジエン系ゴム(B’)は、例えば、乳化重合法、又は溶液重合法等により製造できる。
上記乳化重合法としては、公知又は公知に準ずる方法を適用できる。例えば、所定量の共役ジエンを含む単量体を乳化剤の存在下に乳化分散し、ラジカル重合開始剤により乳化重合する。
乳化剤としては、例えば炭素数10以上の長鎖脂肪酸塩及びロジン酸塩などが挙げられる。長鎖脂肪酸塩としては、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸のカリウム塩又はナトリウム塩などが挙げられる。
分散剤としては通常、水が使用され、重合時の安定性が阻害されない範囲で、メタノール、エタノールなどの水溶性有機溶媒を含んでいてもよい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウムのような過硫酸塩、有機過酸化物、過酸化水素等が挙げられる。
得られる未変性の液状ジエン系ゴム(B’)の分子量を調整するため、連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、チオグリコール酸、ジテルペン、ターピノーレン、γ−テルピネン、α−メチルスチレンダイマーなどが挙げられる。
乳化重合の温度は、使用するラジカル重合開始剤の種類などにより適宜設定できるが、通常0〜100℃の範囲、好ましくは0〜60℃の範囲である。重合様式は、連続重合、回分重合のいずれでもよい。
重合反応は、重合停止剤の添加により停止できる。重合停止剤としては、例えば、イソプロピルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミン等のアミン化合物、ヒドロキノンやベンゾキノン等のキノン系化合物、亜硝酸ナトリウム等が挙げられる。
重合反応停止後、必要に応じて老化防止剤を添加してもよい。重合反応停止後、得られたラテックスから必要に応じて未反応単量体を除去し、次いで、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム等の塩を凝固剤とし、必要に応じて硝酸、硫酸等の酸を添加して凝固系のpHを所定の値に調整しながら、上記液状ジエン系ゴム(B’)を凝固させた後、分散溶媒を分離することによって重合体(B)を回収する。次いで水洗、及び脱水後、乾燥することで、上記液状ジエン系ゴム(B’)が得られる。なお、凝固の際に、必要に応じて予めラテックスと乳化分散液にした伸展油とを混合し、油展した未変性の液状ジエン系ゴム(B’)として回収してもよい。
上記溶液重合法としては、公知又は公知に準ずる方法を適用できる。例えば、溶媒中で、チーグラー系触媒、メタロセン系触媒、アニオン重合可能な活性金属又は活性金属化合物を使用して、必要に応じて極性化合物の存在下で、共役ジエンを含む単量体を重合する。
溶媒としては、例えば、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などが挙げられる。
アニオン重合可能な活性金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属;ランタン、ネオジム等のランタノイド系希土類金属等が挙げられる。
アニオン重合可能な活性金属の中でもアルカリ金属及びアルカリ土類金属が好ましく、アルカリ金属がより好ましい。
アニオン重合可能な活性金属化合物としては、有機アルカリ金属化合物が好ましい。有機アルカリ金属化合物としては、例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム等の有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、ジリチオナフタレン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼン等の多官能性有機リチウム化合物;ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン等が挙げられる。これら有機アルカリ金属化合物の中でも有機リチウム化合物が好ましく、有機モノリチウム化合物がより好ましい。
有機アルカリ金属化合物の使用量は、未変性の液状ジエン系ゴム(B’)及び変性液状ジエン系ゴム(B)の溶融粘度、分子量などに応じて適宜設定できるが、共役ジエンを含む全単量体 100質量部に対して、通常0.01〜3質量部の量で使用される。
上記有機アルカリ金属化合物は、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジベンジルアミンなどの第2級アミンと反応させて、有機アルカリ金属アミドとして使用することもできる。
極性化合物は、アニオン重合において、通常、反応を失活させず、共役ジエン部位のミクロ構造を調整するため用いられる。極性化合物としては、例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン等の3級アミン;アルカリ金属アルコキシド、ホスフィン化合物などが挙げられる。極性化合物は、有機アルカリ金属化合物に対して、通常0.01〜1000モルの量で使用される。
溶液重合の温度は、通常−80〜150℃の範囲、好ましくは0〜100℃の範囲、より好ましくは10〜90℃の範囲である。重合様式は回分式あるいは連続式のいずれでもよい。
重合反応は、重合停止剤の添加により停止できる。重合停止剤としては、例えば、メタノール、イソプロパノール等のアルコールが挙げられる。得られた重合反応液をメタノール等の貧溶媒に注いで、未変性の液状ジエン系ゴム(B’)を析出させるか、重合反応液を水で洗浄し、分離後、乾燥することにより上記未変性の液状ジエン系ゴム(B’)を単離できる。
上記未変性の液状ジエン系ゴム(B’)の製造方法としては、上記方法の中でも、溶液重合法が好ましい。
このようにして得られた未変性の液状ジエン系ゴム(B’)は、そのまま後述する官能基による変性が行われてもよいが、その液状ジエン系ゴム中に含まれる不飽和結合の少なくとも一部を水素添加した後に変性が行われてもよい。
上記未変性の液状ジエン系ゴム(B’)は種々の官能基により変性され、変性液状ジエン系ゴム(B)として用いられる。官能基としては、例えばアミノ基、アミド基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、アルコキシシリル基、水酸基、エポキシ基、エーテル基、カルボキシル基、カルボニル基、メルカプト基、イソシアネート基、ニトリル基、及び酸無水物基等が挙げられる。
変性液状ジエン系ゴム(B)の製造方法としては、例えば、重合停止剤を添加する前に、重合活性末端と反応し得る四塩化錫、ジブチル錫クロリド、テトラクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、2,4−トリレンジイソシアネート等のカップリング剤である変性化合物や、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、N−ビニルピロリドン、N−メチルピロリドン、4−ジメチルアミノベンジリデンアニリン、ジメチルイミダゾリジノン等の重合末端変性化合物、又は特開2011−132298号公報に記載のその他の変性化合物を添加し、未変性の液状ジエン系ゴム(B’)に付加する方法が挙げられる。
また、経済性等の観点から、単離後の未変性の液状ジエン系ゴム(B’)に不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸誘導体を変性化合物として付加するグラフト反応により製造された変性液状ジエン系ゴム(B)は、本発明では好ましく用いられる。
上記不飽和カルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸が挙げられる。
また、上記不飽和カルボン酸誘導体としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和カルボン酸無水物、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、イタコン酸エステル、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル、マレイン酸アミド、フマル酸アミド、イタコン酸アミドなどの不飽和カルボン酸アミド、マレイン酸イミド、イタコン酸イミドなどの不飽和カルボン酸イミドなどが挙げられる。
これらの中でも、経済性、並びに本発明のゴム組成物及び架橋物としての特性を十分に発揮させる観点から、無水マレイン酸を変性化合物として、未変性の液状ジエン系ゴム(B’)に付加した無水マレイン酸変性液状ジエン系ゴムが好ましく、無水マレイン酸変性液状ポリブタジエン及び無水マレイン酸変性液状ポリイソプレンがより好ましく、無水マレイン酸変性液状ポリイソプレンが更に好ましい。
変性化合物を、未変性の液状ジエン系ゴム(B’)に付加させる方法は特に限定されず、例えば、液状ジエン系ゴム中に不飽和カルボン酸又はその誘導体、更に必要に応じてラジカル触媒を加えて、有機溶媒の存在下又は非存在下に、加熱する方法を採用することができる。
上記方法で使用される有機溶媒としては、一般的には炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒が挙げられる。これら有機溶媒の中でも、n−ブタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒が好ましい。
また、上記方法で使用されるラジカル触媒としては、ジ−s−ブチルペルオキシジカーボネート、t−アミルペルオキシピバレート、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられる。これらラジカル触媒の中でも、アゾイソブチロニトリルが好ましい。
また、上記のように、無水不飽和カルボン酸を未変性の液状ジエン系ゴム(B’)に付加して無水不飽和カルボン酸変性液状ジエン系ゴムを得た後に、更にその無水不飽和カルボン酸変性液状ジエン系ゴムと、アルコール、アンモニア、あるいはアミンなどを反応させて、不飽和カルボン酸エステル変性液状ジエン系ゴム、不飽和カルボン酸アミド変性液状ジエン系ゴム、あるいは不飽和カルボン酸イミド変性液状ジエン系ゴムを製造して、これを変性液状ジエン系ゴム(B)として用いてもよい。
変性液状ジエン系ゴム(B)の変性化合物の付加反応率は40〜100mol%であり、60〜100mol%であることが好ましく、80〜100mol%であることがより好ましく、90〜100mol%であることが更に好ましい。付加反応率が上記範囲にあると、得られる変性液状ジエン系ゴム(B)に、変性化合物又は変性化合物に由来する低分子化合物が残存することが少なくなるため、これら化合物に由来する悪影響、例えば無水マレイン酸などの酸性成分に由来すると思われる金属腐食などの悪影響をより抑制することができる。変性化合物の付加反応率は、例えば、不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸誘導体を変性化合物として用いた場合、変性反応後の試料において洗浄前後の酸価を比較すること等により、未反応の変性化合物の量を算出し、求めることができる。
特定の付加反応率にある変性液状ジエン系ゴム(B)を製造する手法としては、変性化合物を付加する反応を適切な反応温度において、充分な反応時間で反応させることが有効である。例えば、未変性の液状ジエン系ゴム(B')に無水マレイン酸を付加させる反応における温度は120℃〜180℃が好ましい。また反応時間は3〜200時間が好ましく、4〜100時間がより好ましく、5〜50時間が更に好ましい。
変性液状ジエン系ゴム(B)中に付加された変性化合物量に、厳密な意味での制限はないが、得られる粘着剤組成物の特性を十分に発揮させる観点から、未変性重合体100質量部に対して0.05〜40質量部の範囲が好ましく、0.1〜30質量部の範囲がより好ましく、0.1〜20質量部の範囲が更に好ましい。付加された変性化合物量が40質量部より多い場合には得られる粘着剤組成物の柔軟性、粘着性が低下する傾向があり、0.05質量部より低い場合には得られる粘着剤組成物の粘着性が低下する傾向がある。
なお、変性液状ジエン系ゴム(B)中に付加された変性化合物量は、変性化合物の付加反応率を基に算出することもできるし、赤外分光法、核磁気共鳴分光法等の各種分析機器を用いて求めることもできる。
この変性液状ジエン系ゴム(B)において、官能基が導入される位置については重合末端であってもよく、重合体鎖の側鎖であってもよい。また上記官能基は1種単独で含まれていてもよく2種以上含まれていてもよい。したがって、変性液状ジエン系ゴム(B)は、変性化合物1種により変性されたものであってもよく、また2種以上の変性化合物で変性されていてもよい。
上記変性液状ジエン系ゴム(B)の38℃で測定した溶融粘度は、0.1〜3,000Pa・sの範囲にあるが、好ましくは0.8〜2,000Pa・sの範囲、より好ましくは10〜1,000Pa・sの範囲にある。変性液状ジエン系ゴム(B)の溶融粘度が前記範囲内であると、得られる粘着剤組成物の作製が容易になり作業性が向上すると共に塗工性が向上する。なお、本発明において液状ジエン系ゴム(B)の溶融粘度は、後述する実施例に記載した方法で求めた値である。
変性液状ジエン系ゴム(B)の最大ピーク分子量(Mt)は3,000〜120,000であり、4,000〜110,000が好ましく、5,000〜100,000がより好ましく、6,000〜90,000が更に好ましく、7000〜70000がより更に好ましい。上記液状ジエン系ゴム(B)のMtが前記範囲内であると、低粘度となり粘着剤組成物の作製が容易になり作業性が向上すると共に塗工性が向上し、更に粘着力と保持力が良好になる。なお、本発明において液状ジエン系ゴム(C)のMtは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定から求めたポリスチレン換算の最大ピーク分子量である。
上記変性液状ジエン系ゴム(B)では、そのGPC測定により得られるGPCクロマトグラムの重合体由来の全面積を100%として、分子量がMt×1.45以上の領域にある重合体の割合が0〜20%の範囲にあることに特徴がある。このような変性液状ジエン系ゴム(B)を粘着剤組成物に配合することにより、その組成物を使用する際の塗工性に優れるだけでなく、粘着性及び耐金属腐食性に優れた粘着剤を作製できる。その理由の詳細は明らかではないが、未変性の液状ジエン系ゴム(B’)を変性する際に生じる、上記分子量がMt×1.45以上の領域にある重合体、典型的にはカップリング体などの副生成物に由来する高分子量体の含有量が上記の範囲であると、塗工性等の作業性に優れた粘着剤組成物を作製でき、また、効率的に液状ジエン系ゴムの変性反応が行われることにより、液状ジエン系ゴムの変性には用いられなかった変性化合物に由来する物質の残存量が少ないため、金属腐食や粘着性低下等の悪影響が抑制されるためではないかと推定される。
塗工性、保持力及び粘着性の観点からは、分子量がMt×1.45以上の領域にある重合体の割合は、0〜15%の範囲であることが好ましく、0〜10%の範囲であることがより好ましい。なお、本発明において、分子量がMt×1.45以上の領域にある重合体の割合は、後述する実施例に記載した条件にてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定した際に得られるGPCクロマトグラムの重合体由来の全面積(GPCクロマトグラムとベースラインで囲まれる面積)を100%とした際の、当該領域にある重合体の面積比から求めた値である。
このような特定の分子量分布にある変性液状ジエン系ゴムを製造する手法としては、未変性の液状ジエン系ゴム(B’)を精製し、変性化合物を付加する反応を阻害する成分を十分に除去することが挙げられる。精製する方法としては、水若しくは温水、又は、メタノール、アセトンなどに代表される有機溶媒若しくは超臨界流体二酸化炭素による洗浄が好ましい。
また、特定の分子量分布にある変性液状ジエン系ゴム(B)を合成する手法としては、変性化合物を付加する反応時における老化防止剤の添加も有効である。この時に用いる好ましい老化防止剤としては、2,6−ジt−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(AO−80)、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−6−メチルフェノール(Irganox 1520L)、2,4−ビス[(ドデシルチオ)メチル]−6−メチルフェノール(Irganox 1726)、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジt−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジt−ペンチルフェニルアクリレート(Sumilizer GS)、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(Sumilizer GM)、6−t−ブチル−4−[3−(2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イルオキシ)プロピル]−2−メチルフェノール(Sumilizer GP)、亜りん酸トリス(2,4−ジt−ブチルフェニル)(Irgafos 168)、ジオクタデシル3,3'−ジチオビスプロピオネート、ヒドロキノン、p−メトキシフェノール、N−フェニル−N'−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン(ノクラック6C)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(LA−77Y)、N,N−ジオクタデシルヒドロキシルアミン(Irgastab FS 042)、ビス(4−t−オクチルフェニル)アミン(Irganox 5057)等が挙げられる。また、上記老化防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
老化防止剤の添加量は、未変性の液状ジエン系ゴム(B’)又は変性液状ジエン系ゴム(B)100質量部に対して0.01〜10質量部が好ましく、0.1〜3質量部がより好ましい。
更に、特定の分子量分布にある変性液状ジエン系ゴム(B)を合成する手法としては、変性化合物を付加する反応中の適切な温度管理も有効である。例えば、未変性液状ジエンゴム(B')に無水マレイン酸を付加させる反応における温度は120℃〜180℃が好ましい。
これらの特定の分子量分布にある変性液状ジエン系ゴム(B)を製造する手法は、2つ以上を組み合わせて行ってもよく、3つとも行ってもよい。
変性液状ジエン系ゴム(B)の重量平均分子量(Mw)は3,000〜500,000が好ましく、4,000〜400,000がより好ましく、5,000〜300,000が更に好ましく、7,000〜300,000がより更に好ましい。上記変性液状ジエン系ゴム(B)のMwが前記範囲内であると、本発明の粘着剤組成物の塗工性が良好となり、また保持力や粘着力が良好となる。本発明においては、Mwが異なる2種以上の変性液状ジエン系ゴム(B)を組み合わせて用いてもよい。
変性液状ジエン系ゴム(B)の分子量分布(Mw/Mn)は、1.0〜8.0が好ましく、1.0〜5.0がより好ましく、1.0〜3.0が更に好ましい。Mw/Mnが前記範囲内であると、得られる重合体(B)の粘度のばらつきが小さく、より好ましい。
変性液状ジエン系ゴム(B)のガラス転移温度(Tg)は、共役ジエン(b1)に由来する単位のビニル含量、共役ジエン(b1)の種類、共役ジエン以外の単量体に由来する単位の含量などによって変化し得るが、−100〜10℃が好ましく、−100〜0℃がより好ましく、−100〜−5℃が更に好ましい。Tgが上記範囲であると、例えば、低温における粘着性が良好な粘着剤組成物が得られる。また粘度が高くなるのを抑えることができ取り扱いが容易になる。変性液状ジエン系ゴム(B)のビニル含量は99質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。上記変性液状ジエン系ゴム(B)は1種単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の粘着剤組成物において、固形ゴム(A)100質量部に対する変性液状ジエン系ゴム(B)の含有量は、5〜250質量部であり、5〜225質量部が好ましく、5〜200質量部がより好ましく、5〜180質量部が更に好ましい。変性液状ジエン系ゴム(B)の含有量が上記範囲内であると、粘着剤組成物の粘着性、特に金属に対する粘着性が良好となる。
[粘着付与樹脂(C)]
本発明の粘着剤組成物で用いる粘着付与樹脂(C)は、従来から粘接着剤用に用いられている粘着付与樹脂を特に限定なく用いることができる。粘着付与樹脂(C)としては、例えば、クマロン・インデン樹脂等のクマロン樹脂;p−t−ブチルフェノール・アセチレン樹脂、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、テルペン・フェノール樹脂、ポリテルペン樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂等のフェノール系樹脂及びテルペン系樹脂;合成ポリテルペン樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、脂肪族系炭化水素樹脂、脂肪族系炭化水素樹脂、脂肪族・脂環族系石油樹脂、脂肪族・芳香族系炭化水素樹脂、水添変性脂環族系炭化水素樹脂、水添脂環族系炭化水素樹脂、炭化水素系粘着化樹脂、低分子量ポリブテン、低分子量アタクチックポリプロピレン等の石油系炭化水素樹脂;ロジンのペンタエルスリトールエステル及びロジンのグリセロールエステルなどに代表されるロジンエステル、水素添加ロジン、水素添加ロジンのメチルエステル、重合ロジンのペンタエリスリトールエステル、水素添加ロジンエステル、高融点エステル系樹脂、重合ロジン、特殊ロジンエステル等のロジン系樹脂などが挙げられる。これら粘着付与樹脂(C)の中でも、テルペン系樹脂、水添脂環族系炭化水素樹脂、ロジン系樹脂が好ましい。これら粘着付与樹脂(C)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の粘着剤組成物において、固形ゴム(A)100質量部に対する粘着付与樹脂(C)の含有量は10〜500質量部であり、20〜400質量部が好ましく、30〜300質量部がより好ましく、40〜200質量部が更に好ましい。粘着付与樹脂(C)の含有量が上記範囲内であると、粘着剤組成物の低移行性能、粘着力が良好となる。
[その他の成分]
本発明の粘着剤組成物は、上記(A)〜(C)の成分を含有するが、更に架橋剤(D)を含有していてもよい。粘着剤組成物に、架橋剤を含有させることにより、例えば、耐溶剤性が向上する。
上記架橋剤(D)としては、例えば、ZnO、CaO、PbO、Zn(OH)2、Ca(OH)2、Zn(OOCH32、Mg(OOCH32、CH3COONa、カルシウム硬化ロジン(例えば、ライムレジンNo.1:荒川化学工業株式会社製)、亜鉛硬化ロジン(例えば、ジンクレジンNo.3:荒川化学工業株式会社製)、有機チタネート(例えば、テトライソプロピルチタネート(TPT)、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン、チタンボンド T−50<(チタニウム−i−プロポキシオクチレングリコレートのイソプロパノール溶液>:日本曹達株式会社製など)等の金属化合物;トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、ポリエチレンイミン(分子量:約250〜1,800、例えば、エポミンSPシリーズ:株式会社 日本触媒製)、ポリアミド樹脂(分子量:約500〜1,000)等のアミノ化合物;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂;トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、カルボジイミド変性MDI、ブロックイソシアネート等のイソシアネート化合物などが挙げられる。これら架橋剤(D)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記架橋剤(D)は、固形ゴム(A)及び変性液状ジエン系ゴム(B)の合計100質量部に対して、通常0.001〜15質量部、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.01〜8質量部の量で添加される。
なお、上記架橋剤(D)として、エポキシ樹脂、イソシアネート化合物等を用いる場合には、これら架橋剤(D)に加えて架橋促進剤を用いてもよい。
架橋剤(D)としてエポキシ樹脂を用いる場合には、上記架橋促進剤としては、例えば、トリスジメチルアミノメチルフェニルなどが挙げられる。上記架橋剤(D)としてイソシアネート化合物を用いる場合には、上記架橋促進剤としては、ジブチル錫ラウレートなどが挙げられる。上記架橋促進剤は、固形ゴム(A)及び変性ジエン系ゴム(B)の合計100質量部に対して、通常0.001〜10質量部、好ましくは0.01〜7.5質量部、より好ましくは0.01〜5質量部の量で添加される。
本発明の粘着剤組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、難燃剤、充填剤、顔料、着色剤、滑剤、軟化剤、可塑剤、帯電防止剤、撥水剤、防水剤、親水性付与剤、導電性付与剤、熱伝導性付与剤、電磁波シールド性付与剤、透光性調整剤、蛍光剤、摺動性付与剤、透明性付与剤、アンチブロッキング剤、金属不活性化剤、防菌剤などの添加剤をさらに含有していてもよい。
上記酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート、トリエチレングリコール−ビス−〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕等のフェノール系酸化防止剤;ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)などのイオウ系酸化防止剤;オクチル化ジフェニルアミンなどのアミン系酸化防止剤;トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどのホスファイト系酸化防止剤;などが挙げられる。これら酸化防止剤の中でも、フェノール系酸化防止剤が好ましい。上記酸化防止剤は、固形ゴム(A)及び変性ジエン系ゴム(B)の合計100質量部に対して、通常0.5〜5質量部、好ましくは1〜3質量部の量で添加される。
上記熱安定剤としては、例えばリン系熱安定剤、ラクトン系熱安定剤、ヒドロキシル系熱安定剤等などが挙げられる。粘着剤組成物に熱安定剤を添加する場合には、粘着剤組成物からのブリードを抑制する観点から、粘着剤組成物100質量部あたり、好ましくは3質量部以下の量、より好ましくは2質量部以下の量で添加される。
上記充填剤としては、例えば、タルク、クレー、マイカ、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウムなどが挙げられる。粘着剤組成物に充填剤を添加する場合には、粘着剤組成物100質量部あたり、好ましくは20質量部以下の量、より好ましくは10質量部以下の量で添加される。
本発明の粘着剤組成物は、例えば粘着剤組成物の全成分を有機溶媒等に溶解し、これから溶媒等を除去することにより、好適に製造することができる。また、粘着剤組成物の全成分を混合機等を用いて混合した後、溶融混練することによっても製造できる。このようにして得られた粘着剤組成物は、基材等に塗布して粘着剤として用いることができる。
本発明の粘着剤組成物から、粘着剤層を有する物品(例えば、テープ又は粘着シート)は、例えば、以下のようにして作製できる。すなわち、上記粘着剤組成物の全成分をトルエン、n−ヘキサン、酢酸エチル等の溶剤中に溶解して粘着剤組成物を含む均一状態の液を作成し、これをリバースコータ−、バーコータ−等のコーターなどを用いて、例えば剥離紙上に塗布した後に、加熱等により溶媒を除去し、剥離紙上の粘着剤層の表面に基材等を貼り合せながら巻き取ることにより、粘着剤層を有する物品(例えば粘着テープ又は粘着シート)を作製できる。
[粘着剤組成物及び粘着剤の製造方法]
また、上記粘着剤組成物の全成分を、ヘンシェルミキサー、Vブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー、コニカルブレンダー等の混合機を用いて混合することにより、又はその混合後、一軸又は二軸押出機、ニーダー等により溶融混練することにより、まず粘着剤組成物を作製した後、この粘着剤組成物を溶融状態にして、基材等に直接塗工することにより、粘着剤層を有する物品(例えば粘着テープ又は粘着シート)を作製できる。
例えば、粘着テープ又は粘着シートを作製する場合には、基材上への粘着剤組成物の塗布量は、例えば50〜120g/m2の量にすることができる。
上記粘着テープ又は粘着シートとなる基材の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体等のポリオレフィン、エチレン/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、アクリル系重合体、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミドなどが挙げられる。基材はこれら材料1種から形成されていてもよく、2種以上から形成されていてもよい。
また、基材は、一層で形成されていてもよく、二層以上の複層で形成されていてもよい。二層以上からなる場合、異なる2種類以上の材料から形成されていてもよい。また、必要に応じて、基材は種々の処理、例えば穿孔処理が施されていてもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本実施例及び比較例において使用した各成分は以下のとおりである。
<固形ゴム(A)>
天然ゴム(NR) RSS#1
<変性液状ジエン系ゴム(B)>
後述の製造例1〜5で得られた変性液状ポリイソプレン
<粘着付与樹脂(C)>
テルペン系樹脂 YSレジンPX1000(ヤスハラケミカル株式会社製)
<架橋剤(D)>
金属化合物 ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン チゾルAA−105(デュポン株式会社製)
<任意成分>
ノクラックNS−6(大内新興化学工業株式会社製)
製造例1:変性液状ポリイソプレン(B−1)の製造
十分に乾燥した耐圧容器を窒素置換し、この耐圧容器に、ヘキサン600g、及びn−ブチルリチウム(17質量%ヘキサン溶液)44.9gを仕込み、70℃に昇温した後、撹拌条件下、重合温度を70℃となるように制御しながら、イソプレン2050gを加えて1時間重合した。その後、メタノールを添加して重合反応を停止させ、重合溶液(2695g)を得た。得られた重合反応液に水を添加して撹拌し、水で重合反応液を洗浄した。撹拌を終了し、重合溶液相と水相とが分離していることを確認した後、水を分離した。洗浄終了後の重合反応液を70℃で12時間乾燥することにより、未変性液状ポリイソプレン(B’−1)を得た。
続いて、窒素置換を行った容量1リットルのオートクレーブ中に、得られた未変性液状ポリイソプレン(B’−1)300gを仕込み、無水マレイン酸4.5gと2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)3.0gを添加し、160℃で20時間反応させて、無水マレイン酸変性液状ポリイソプレン(B−1)を得た。
なお、変性化合物の付加反応率は99mol%、変性液状ポリイソプレン(B−1)中に付加された変性化合物量は未変性液状ポリイソプレン(B’−1)100質量部に対し1.5質量部であった。得られた変性液状ポリイソプレン(B−1)の物性を表1に示す。
製造例2:変性液状ポリイソプレン(B−2)の製造
窒素置換を行った容量1リットルのオートクレーブ中に、製造例1と同様の手順で得られた未変性液状ポリイソプレン(B’−1)300gを仕込み、無水マレイン酸4.5gとBHT1.0gを添加し、160℃で20時間反応させて、無水マレイン酸変性液状ポリイソプレン(B−2)を得た。
なお、変性化合物の付加反応率は99mol%、変性液状ポリイソプレン(B−2)中に付加された変性化合物量は未変性液状ポリイソプレン(B’−1)100質量部に対し1.5質量部であった。得られた変性液状ポリイソプレン(B−2)の物性を表1に示す。
製造例3:変性液状ポリイソプレン(B−3)の製造
窒素置換を行った容量1リットルのオートクレーブ中に、製造例1と同様の手順で得られた未変性液状ポリイソプレン(B’−1)300gを仕込み、無水マレイン酸4.5gを添加し、160℃で20時間反応させて、無水マレイン酸変性液状ポリイソプレン(B−3)を得た。
なお、変性化合物の付加反応率は99mol%、変性液状ポリイソプレン(B−3)中に付加された変性化合物量は未変性液状ポリイソプレン(B’−1)100質量部に対し1.5質量部であった。得られた変性液状ポリイソプレン(B−3)の物性を表1に示す。
製造例4:変性液状ポリイソプレン(B−4)の製造
窒素置換を行った容量1リットルのオートクレーブ中に、製造例1と同様の手順で得られた未変性液状ポリイソプレン(B’−1)300gを仕込み、無水マレイン酸4.5gとBHT1.0gを添加し、160℃で150分間反応させて、無水マレイン酸変性液状ポリイソプレン(B−4)を得た。
なお、変性化合物の付加反応率は35mol%、変性液状ポリイソプレン(B−4)中に付加された変性化合物量は未変性液状ポリイソプレン(B’−1)100質量部に対し0.53質量部であった。得られた変性液状ポリイソプレン(B−4)の物性を表1に示す。
製造例5:変性液状ポリイソプレン(B−5)の製造
窒素置換を行った容量1リットルのオートクレーブ中に、製造例1と同様の手順で得られた未変性液状ポリイソプレン(B’−1)300gを仕込み、無水マレイン酸4.5gとBHT1.0gを添加し、160℃で30分間反応させて、無水マレイン酸変性液状ポリイソプレン(B−5)を得た。
なお、変性化合物の付加反応率は10mol%、変性液状ポリイソプレン(B−5)中に付加された変性化合物量は未変性液状ポリイソプレン(B’−1)100質量部に対し0.15質量部であった。得られた変性液状ポリイソプレン(B−5)の物性を表1に示す。
なお、変性液状ジエン系ゴム(B)の各物性の測定方法及び算出方法は以下の通りである。
(重量平均分子量、最大ピーク分子量及び分子量分布の測定方法)
変性液状ジエン系ゴム(B)のMw、Mt及びMw/MnはGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により標準ポリスチレン換算分子量で求めた。測定装置及び条件は、以下の通りである。
・装置 :東ソー株式会社製GPC装置「GPC8020」
・分離カラム :東ソー株式会社製「TSKgelG4000HXL」
・検出器 :東ソー株式会社製「RI−8020」
・溶離液 :テトラヒドロフラン
・溶離液流量 :1.0ml/分
・サンプル濃度:5mg/10ml
・カラム温度 :40℃
なお、分子量がMt×1.45以上の領域にある重合体の割合は、上記条件によるGPC測定で得られたGPCクロマトグラムから、Mt×1.45以上の領域にある重合体の面積を求めて、重合体由来の全面積(GPCクロマトグラムとベースラインで囲まれる面積)を100%とした際の面積比として求めた。
(溶融粘度の測定方法)
変性液状ジエン系ゴム(B)の38℃における溶融粘度をブルックフィールド型粘度計(BROOKFIELD ENGINEERING LABS. INC.製)により測定した。
(ガラス転移温度の測定方法)
変性液状ジエン系ゴム(B)10mgをアルミパンに採取し、示差走査熱量測定(DSC)により10℃/分の昇温速度条件においてサーモグラムを測定し、DSCのピークトップの値をガラス転移温度とした。
(付加反応率)
変性反応後の試料3gにトルエン180mL、エタノール20mLを加え溶解した後、0.1N水酸化カリウムのエタノール溶液で中和滴定し酸価を求めた。
酸価(mgKOH/g)=(A−B)×F×5.611/S
A:中和に要した0.1N水酸化カリウムのエタノール溶液滴下量(mL)
B:試料を含まないブランクでの0.1N水酸化カリウムのエタノール溶液滴下量(mL)
F:0.1N水酸化カリウムのエタノール溶液の力価
S:秤量した試料の質量(g)
また、変性反応後の試料をメタノールで4回洗浄(試料1gに対して5mL)して未反応の無水マレイン酸を除去した後、試料を80℃で12時間、減圧乾燥し、上記と同様の方法にて酸価を求めた。下記式に基づき変性化合物の付加反応率を算出した。
〔変性化合物の付加反応率〕=〔洗浄後の酸価〕/〔洗浄前の酸価〕×100
(付加された変性化合物量)
上記で求めた付加反応率から、下記式に従い、未変性の液状ジエン系ゴムに対して付加された官能基の量を算出した。
〔未変性の液状ジエン系ゴム(B’)100質量部に対し付加された変性化合物量〕=〔添加した無水マレイン酸の質量(g)〕×〔変性化合物の付加反応率(mol%)〕/〔未変性の液状ジエン系ゴム(B’)の質量(g)〕
Figure 0006198574
(実施例1〜2及び比較例1〜3)
固形ゴム(A)、変性液状ポリイソプレン(B−1)〜(B−5)、粘着付与樹脂(C)、架橋剤(D)及び老化防止剤を、表2に示す割合で固形分濃度が55%となるようにトルエン中に溶解して粘着剤組成物溶液を作製した。次いで、この粘着剤溶液をポリエステルフィルム(100μm厚)に乾燥後の厚みが50μmとなるように塗布、乾燥して、本発明の粘着剤組成物を用いた粘着シートを作製した。
得られた粘着剤組成物及び粘着シートについて、下記の方法により各評価を行った。結果を表2に示す。
(1)塗工性
各実施例及び比較例にて粘着シートを作成する際に、粘着剤組成物の溶液をポリエステルフィルムに塗布する工程の作業性を評価した。
○:容易に塗工可能。
×:粘度が高く、塗工時にムラやダマを生じる。
(2)粘着力
各実施例及び比較例にて作製した粘着シートを、幅25mm×長さ100mmの短冊状に裁断し、23±2℃、相対湿度65±15%の環境下で、ステンレス(SUS:BA304)板に2kgのローラを用いて、約50mm/秒の速度で1往復させて圧着し、30分間放置したのち、剥離角度180度、剥離速度300mm/分で粘着シートを引き剥がし、粘着力を測定した。なお、各実施例及び比較例の数値は、実施例1にて作成した粘着シートの測定値を100とした際の相対値である。数値が大きいほど、粘着力が良好である。
(3)金属腐食性
各実施例及び比較例にて作製した粘着シート約1.0gと、研磨した銀板(銀純度>99.95%、サイズ1mm×10mm×10mm)とを用意した。これらを直接接触しないように容積50mLのスクリュー管に入れ、密閉して85℃で1週間保持した。試験後の銀板を未使用(試験前)の銀板と比較して、腐食発生(金属光沢の消失、着色等の外観変化により判断した。)の有無を目視で確認することにより金属腐食性を評価した。
○:腐食が認められない
×:腐食が認められる
(4)耐溶剤性
各実施例及び比較例にて作製した粘着シートを、トルエン中に2時間浸漬し、浸漬後の状態を観察した。
○:変化なし。
×:粘着層が変形又は溶出。
(5)保持力
各実施例及び比較例にて作製した粘着シートを、幅25mm×長さ100mmの短冊状に裁断した。次に、23±2℃、相対湿度65±15%の環境下で、ステンレス(SUS:BA304)板に25×25mmの接着面積になるよう2kgのローラを用い、約50mm/秒の速度で1往復させて圧着し、30分間放置した。更に、1kgの重りでせん断荷重を加え、80℃の恒温槽内で剥がれるまでの時間を測定し、保持力の指標とした。なお、各実施例及び比較例の数値は、実施例1にて作製した粘着シートの測定値を100とした際の相対値である。数値が大きいほど保持力に優れる。
Figure 0006198574
実施例1又は2と比較例1とを比較すると、分子量がMt×1.45以上の領域にある重合体の割合が本発明の範囲内である変性液状イソプレンゴムを用いた粘着剤組成物からなる粘着テープは、分子量がMt×1.45以上の領域にある重合体の割合が本発明の範囲外である変性液状イソプレンゴム(B−3)を用いた粘着剤組成物からなる粘着テープよりも粘度が低く塗工性に優れ、保持力が高いことが分かる。
また、実施例1又は2と比較例2又は3とを比較すると、変性化合物の付加反応率の低い変性液状イソプレンゴムを用いた場合、金属腐食を起こしやすくなり、更に耐溶剤性、粘着力及び保持力に悪影響を及ぼすことが分かる。
本発明で得られる粘着剤組成物は、塗工性に優れるだけでなく、金属等への粘着性及び耐金属腐食性に優れ、耐溶剤性にも優れるため、金属部材をはじめとする各種部材の接着などに好適に用いることができ、自動車などの種々の産業用製品、日用品などに有用である。

Claims (4)

  1. 天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム及びブチルゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種の固形ゴム(A)100質量部に対して、変性液状ジエン系ゴム(B)5〜250質量部、及び粘着付与樹脂(C)10〜500質量部を含有する粘着剤組成物であり、前記変性液状ジエン系ゴム(B)が、下記(I)〜(III)の要件を満たす粘着剤組成物。
    (I)変性液状ジエン系ゴム(B)の38℃で測定した溶融粘度が0.1〜3000Pa・sの範囲にある。
    (II)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した際、最大ピーク分子量(Mt)が3000〜120000の範囲であり、得られるGPCクロマトグラムの重合体由来の全面積を100%として、分子量がMt×1.45以上の領域にある重合体の割合が0〜20%である。
    (III)変性液状ジエン系ゴム(B)が、変性化合物を液状ジエン系ゴム(B’)に付加して得られたものであり、変性化合物の付加反応率が40〜100mol%である。
  2. 前記固形ゴム(A)及び変性液状ジエン系ゴム(B)の合計100質量部に対して、更に架橋剤(D)を0.001〜15質量部含有する請求項1に記載の粘着剤組成物。
  3. 変性液状ジエン系ゴム(B)の分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜8.0である、請求項1又は2に記載の粘着剤組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着剤組成物を少なくとも一部に用いた粘着剤。
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