JP6562603B2 - 変性ファルネセン重合体を含むゴム組成物及びタイヤ、並びに変性ファルネセン重合体の製造方法 - Google Patents

変性ファルネセン重合体を含むゴム組成物及びタイヤ、並びに変性ファルネセン重合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ファルネセン由来の単量体単位を含む変性ファルネセン重合体を含有するゴム組成物、及び前記ゴム組成物を用いたタイヤ、並びに変性ファルネセン重合体の製造方法に関する。
従来、天然ゴムやスチレンブタジエンゴム等のゴム成分に対してカーボンブラックやシリカ等の補強剤を配合することにより機械強度を向上させたゴム組成物が、耐摩耗性や機械強度を必要とするタイヤ用途に広く使用されている。
前記補強剤は、その粒子表面に前記ゴム成分を物理的又は化学的に吸着することでその補強効果を発現することが知られている。したがって、100〜200nm程度の平均粒子径を有する補強剤を使用した場合には、一般的にゴム成分との相互作用が十分に得られないため、ゴム組成物の機械強度を十分に向上させることができない場合があった。また、当該ゴム組成物をタイヤとして用いた場合、硬度が低下し、操縦安定性が不十分となる場合があった。
一方、5〜100nm程度の小さい平均粒子径を有し、比表面積が大きい補強剤を使用した場合、補強剤とゴム成分との相互作用が大きくなるためゴム組成物の機械強度及び耐摩耗性等の特性が向上する。また、当該ゴム組成物をタイヤとして用いた場合、硬度が高くなるため、操縦安定性が向上する。
しかしながら、この平均粒子径が小さい補強剤を使用した場合にあっては、カーボンブラックあるいはシリカ同士の高い凝集力により、ゴム組成物中の補強剤の分散性が低下することが知られている。この補強剤の分散性の低下は、混練工程の長時間化を招きゴム組成物の生産性に影響することがあった。また、分散性が低下するとゴム組成物が発熱しやすくなるため、転がり抵抗性能の悪化を招き、いわゆる低燃費タイヤの要求特性を満たすことができないことが多かった。
このように、タイヤ用ゴム組成物における機械強度及び硬度と、転がり抵抗性能とは二律背反の関係にあり、両者をバランスよく改良することは困難とされている。
前記特性をバランスよく改良するためのゴム組成物として、特許文献1にはイソプレン系ゴム及びスチレンブタジエンゴムを含有するゴム成分、カーボンブラック、軟化点が−20〜20℃の液状レジンを特定の比率で含有するタイヤ用ゴム組成物が記載されている。
また、特許文献2には、変性スチレン−ブタジエン共重合体及び変性共役ジエン系重合体を含有するジエン系ゴムを含有するゴム成分と、カーボンブラック等の充填剤とを所定の割合で配合したタイヤが記載されている。
なお、特許文献3,4には、β−ファルネセンの重合体が記載されているが、実用的な用途については十分に検討されていない。
特開2011−195804号公報 特開2010−209256号公報 国際公開第2010/027463号 国際公開第2010/027464号
特許文献1,2に記載のタイヤにおいても、機械強度、硬度、及び硬度に起因する操縦安定性と、転がり抵抗性能とを十分に高い水準で兼ね備えているとはいえず、更なる改善が望まれている。
本発明は、前記実情に鑑みてなされたものであり、ゴム組成物の一部に用いた際にカーボンブラックやシリカ等の充填剤の分散性を向上させることができる変性ファルネセン重合体を含有するゴム組成物であって、その架橋物が優れた硬度、機械強度、及び耐摩耗性を示すゴム組成物を提供する。
また、前記ゴム組成物を少なくとも一部に用い、高硬度に起因する優れた操縦安定性、及び優れた転がり抵抗性能を有するタイヤ、並びに前記変性ファルネセン重合体の製造方法を提供する。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、ファルネセン由来の単量体単位を含む変性ファルネセン重合体において、ゲル浸透クロマトグラフィーの分析により特定の特性を示す変性ファルネセン重合体をゴム組成物に用いると、当該ゴム組成物の架橋物が、硬度、機械強度、及び耐摩耗性について優れた性能を示すことを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は下記[1]〜[3]を要旨とする。
[1]合成ゴム及び天然ゴムから選ばれる1種以上のゴム成分(A)100質量部に対して、カーボンブラック及びシリカから選ばれる1種以上のフィラー(B)を20〜150質量部、及びファルネセン由来の単量体単位を含む変性ファルネセン重合体(C)を0.1〜30質量部含有するゴム組成物であり、前記変性ファルネセン重合体(C)が、下記条件(I)及び(II)を満たすゴム組成物。
条件(I):38℃における溶融粘度が0.1〜3,000Pa・sである変性ファルネセン重合体。
条件(II):ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)における最大ピーク分子量(Mt)が3,000〜550,000であり、GPCクロマトグラムの重合体由来の全面積を100%として、Mt×1.45以上の分子量を有する重合体の面積割合が0〜20%である変性ファルネセン重合体。
[2]前記[1]に記載のゴム組成物を少なくとも一部に用いたタイヤ。
[3]ファルネセン由来の単量体単位を含む重合体100質量部に対して、変性剤を0.1〜100質量部及び老化防止剤を0.01〜10質量部添加し、130℃〜200℃で反応させる、変性ファルネセン重合体の製造方法。
本発明によれば、ゴム組成物の一部に用いた際にカーボンブラックやシリカ等の充填剤の分散性を向上させることができる変性ファルネセン重合体を含有するゴム組成物であって、その架橋物が優れた硬度、機械強度、及び耐摩耗性を示すゴム組成物を提供することができる。
また、前記ゴム組成物を少なくとも一部に用い、高硬度に起因する優れた操縦安定性、及び優れた転がり抵抗性能を有するタイヤ、並びに前記変性ファルネセン重合体の製造方法を提供することができる。
本発明のゴム組成物は、合成ゴム及び天然ゴムから選ばれる1種以上からなるゴム成分(A)、フィラー(B)、及び変性ファルネセン重合体(C)を含有するゴム組成物である。本発明のゴム組成物によれば、変性ファルネセン重合体(C)を含有するため、ゴム組成物の架橋物が優れた硬度、機械強度、及び耐摩耗性を示す。更に該架橋物をタイヤ用途に用いた場合には、優れた転がり抵抗性能を示す。以下、各成分について詳細に説明する。
<ゴム成分(A)>
本発明のゴム組成物で用いるゴム成分(A)としては、スチレンブタジエンゴム(以下、「SBR」ともいう。)、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ブタジエンアクリロニトリル共重合体ゴム、クロロプレンゴム等の合成ゴム及び天然ゴムから選ばれる1種以上である。これらのゴムは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
〔合成ゴム〕
本発明においてゴム成分(A)として合成ゴムを用いる場合、SBR、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ブタジエンアクリロニトリル共重合体ゴム、クロロプレンゴム等が好ましく、中でも、SBR、イソプレンゴム、ブタジエンゴムがより好ましく、SBRが更に好ましい。
SBRとしては、タイヤ用途に用いられる一般的なものを使用できるが、具体的には、スチレン含量が0.1〜70質量%のものが好ましく、5〜50質量%のものがより好ましく、15〜35質量%のものが更に好ましい。また、ビニル含量が0.1〜60質量%のものが好ましく、0.1〜55質量%のものがより好ましい。
SBRの重量平均分子量(Mw)は、10万〜250万であることが好ましく、15万〜200万であることがより好ましく、20万〜150万であることが更に好ましい。前記範囲である場合、加工性と機械強度を両立することができる。
なお、本明細書におけるMwは、後述の実施例に記載の方法により測定した値である。
本発明において使用するSBRの示差熱分析法により求めたガラス転移温度(Tg)は、−95〜0℃が好ましく−95〜−5℃がより好ましい。Tgを前記範囲にすることによって、粘度が高くなるのを抑えることができ、取り扱いが容易になる。
本発明において用いることができるSBRは、スチレンとブタジエンとを共重合して得られる。SBRの製造方法について特に制限はなく、乳化重合法、溶液重合法、気相重合法、バルク重合法のいずれも用いることができ、特に乳化重合法、溶液重合法が好ましい。
(i)乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)
E−SBRは、通常の乳化重合法により製造でき、例えば、所定量のスチレン及びブタジエン単量体を乳化剤の存在下に乳化分散し、ラジカル重合開始剤により乳化重合する。
乳化剤としては、例えば、炭素数10以上の長鎖脂肪酸塩又はロジン酸塩が用いられる。具体例としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸のカリウム塩又はナトリウム塩が挙げられる。
分散媒としては通常、水が使用され、重合時の安定性が阻害されない範囲で、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒を含んでいてもよい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウム等の過硫酸塩、有機過酸化物、過酸化水素等が挙げられる。
得られるE−SBRの分子量を調整するため、連鎖移動剤を使用することもできる。連鎖移動剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、チオグリコール酸、ジテルペン、ターピノーレン、γ−テルピネン、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
乳化重合の温度は、使用するラジカル重合開始剤の種類によって適宜選択できるが、通常、0〜100℃が好ましく、0〜80℃がより好ましい。重合様式は、連続重合、回分重合のいずれでもよい。重合反応は、重合停止剤の添加により停止できる。
重合停止剤としては、例えば、イソプロピルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミン等のアミン化合物;ヒドロキノンやベンゾキノン等のキノン系化合物、亜硝酸ナトリウム等が挙げられる。
重合反応停止後、必要に応じて老化防止剤を添加してもよい。重合反応停止後、得られたラテックスから必要に応じて未反応単量体を除去し、次いで、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム等の塩を凝固剤とし、必要に応じて硝酸、硫酸等の酸を添加して凝固系のpHを所定の値に調整しながら重合体を凝固させた後、分散溶媒を分離することによって重合体をクラムとして回収できる。クラムを水洗、次いで脱水後、バンドドライヤー等で乾燥することで、E−SBRが得られる。なお、凝固の際に、必要に応じて予めラテックスと乳化分散液にした伸展油とを混合し、油展ゴムとして回収してもよい。
E−SBRの市販品としては、JSR株式会社製、油展スチレンブタジエンゴム「JSR1723」等が挙げられる。
(ii)溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)
S−SBRは、通常の溶液重合法により製造でき、例えば、溶媒中でアニオン重合可能な活性金属を使用して、所望により極性化合物の存在下、スチレン及びブタジエンを重合する。
アニオン重合可能な活性金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属;ランタン、ネオジム等のランタノイド系希土類金属等が挙げられる。中でもアルカリ金属及びアルカリ土類金属が好ましく、アルカリ金属がより好ましい。更にアルカリ金属の中でも、有機アルカリ金属化合物がより好ましく用いられる。
溶媒としては、例えば、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。これらの溶媒は、単量体濃度が1〜50質量%となる範囲で用いることが好ましい。
有機アルカリ金属化合物としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム等の有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼン等の多官能性有機リチウム化合物;ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン等が挙げられる。中でも有機リチウム化合物が好ましく、有機モノリチウム化合物がより好ましい。有機アルカリ金属化合物の使用量は、要求されるS−SBRの分子量によって適宜決められる。
有機アルカリ金属化合物は、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジベンジルアミン等の第2級アミンと反応させて、有機アルカリ金属アミドとして使用することもできる。
極性化合物としては、アニオン重合において、反応を失活させず、ブタジエン部位のミクロ構造やスチレンの共重合体鎖中の分布を調整するために通常用いられるものであれば特に制限はなく、例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン等の3級アミン;アルカリ金属アルコキシド、ホスフィン化合物等が挙げられる。
重合反応の温度は、通常、−80〜150℃、好ましくは0〜100℃、更に好ましくは30〜90℃である。重合様式は、回分式あるいは連続式のいずれでもよい。また、スチレン及びブタジエンのランダム共重合性を向上させるため、重合系中のスチレン及びブタジエンの組成比が特定範囲になるように、反応液中にスチレン及びブタジエンを連続的あるいは断続的に供給することが好ましい。
重合反応は、重合停止剤としてメタノール、イソプロパノール等のアルコールを添加して、反応を停止できる。重合停止剤を添加する前に、重合活性末端と反応し得る四塩化錫、テトラクロロシラン、テトラメトキシシラン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、2,4−トリレンジイソシアネート等のカップリング剤や、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、N−ビニルピロリドン等の重合末端変性剤を添加してもよい。重合反応停止後の重合溶液は、直接乾燥やスチームストリッピング等により溶媒を分離して、目的のS−SBRを回収できる。なお、溶媒を除去する前に、予め重合溶液と伸展油とを混合し、油展ゴムとして回収してもよい。
(iii)変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR)
本発明においては、SBRに官能基が導入された変性SBRを用いてもよい。官能基としては、例えば、アミノ基、アルコキシシリル基、ヒドロキシ基、エポキシ基、カルボキシル基等が挙げられる。
変性SBRの製造方法としては、例えば、重合停止剤を添加する前に、重合活性末端と反応し得る四塩化錫、テトラクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、2,4−トリレンジイソシアネート等のカップリング剤や、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、N−ビニルピロリドン等の重合末端変性剤又は、特開2011−132298号公報に記載のその他の変性剤を添加する方法が挙げられる。
この変性SBRにおいて、官能基が導入される重合体の位置については重合末端であってもよく、ポリマー鎖の側鎖であってもよい。
イソプレンゴムとしては、例えば、四ハロゲン化チタン−トリアルキルアルミニウム系、ジエチルアルミニウムクロライド−コバルト系、トリアルキルアルミニウム−三弗化ホウ素−ニッケル系、ジエチルアルミニウムクロライド−ニッケル系等のチーグラー系触媒;トリエチルアルミニウム−有機酸ネオジウム−ルイス酸系等のランタノイド系希土類金属触媒、又はS−SBRと同様に有機アルカリ金属化合物を用いて重合された、市販のイソプレンゴムを用いることができる。チーグラー系触媒により重合されたイソプレンゴムが、シス体含量が高く好ましい。また、ランタノイド系希土類金属触媒を用いて得られる超高シス体含量のイソプレンゴムを用いてもよい。
イソプレンゴムのビニル含量は好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。ビニル含量が50質量%を超えると転がり抵抗性能が悪化する傾向にある。ビニル含量の下限は特に限定されない。またガラス転移温度はビニル含量によって変化するが、−20℃以下であることが好ましく、−30℃以下であることがより好ましい。
イソプレンゴムの重量平均分子量(Mw)は9万〜200万であることが好ましく、15万〜150万であることがより好ましい。Mwが前記範囲にある場合、加工性と機械強度が良好となる。
前記イソプレンゴムは、その一部が多官能型変性剤、例えば、四塩化錫、四塩化珪素、エポキシ基を分子内に有するアルコキシシラン、又はアミノ基含有アルコキシシランのような変性剤を用いることにより分岐構造又は極性官能基を有していてもよい。
ブタジエンゴムとしては、例えば、四ハロゲン化チタン−トリアルキルアルミニウム系、ジエチルアルミニウムクロライド−コバルト系、トリアルキルアルミニウム−三弗化ホウ素−ニッケル系、ジエチルアルミニウムクロライド−ニッケル系等のチーグラー系触媒;トリエチルアルミニウム−有機酸ネオジム−ルイス酸系等のランタノイド系希土類金属触媒、又はS−SBRと同様に有機アルカリ金属化合物を用いて重合された、市販のブタジエンゴムを用いることができる。チーグラー系触媒により重合されたブタジエンゴムが、シス体含量が高く好ましい。また、ランタノイド系希土類金属触媒を用いて得られる超高シス体含量のブタジエンゴムを用いてもよい。
ブタジエンゴムのビニル含量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。ビニル含量が50質量%を超えると転がり抵抗性能が悪化する傾向にある。ビニル含量の下限は特に限定されない。またガラス転移温度はビニル含量によって変化するが、−40℃以下であることが好ましく、−50℃以下であることがより好ましい。
ブタジエンゴムの重量平均分子量(Mw)は9万〜200万であることが好ましく、15万〜150万であることがより好ましい。Mwが前記範囲にある場合、加工性と機械強度が良好となる。
前記ブタジエンゴムは、その一部が多官能型変性剤、例えば、四塩化錫、四塩化珪素、エポキシ基を分子内に有するアルコキシシラン、又はアミノ基含有アルコキシシランのような変性剤を用いることにより分岐構造又は極性官能基を有していてもよい。
ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム(EPM、EPDM等)、ブタジエンアクリロニトリル共重合体ゴム、クロロプレンゴムとしては、市販品を特に制限なく使用することができる。これらは1種を単独で又は2種以上を使用することができる。
〔天然ゴム〕
ゴム成分(A)で用いる天然ゴムとしては、例えば、SMR、SIR、STR等のTSRや、RSS等のタイヤ工業において一般的に用いられる天然ゴム、高純度天然ゴム、エポキシ化天然ゴム、水酸基化天然ゴム、水素添加天然ゴム、グラフト化天然ゴム等の改質天然ゴムが挙げられる。中でも、品質のばらつきが少ない点、及び入手容易性の点から、SMR20、STR20やRSS#3が好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの天然ゴムの製造方法に特に制限はなく、市販のものを用いてもよい。
本発明においては、前記ゴム成分(A)の中でも、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、及びイソプレンゴムから選ばれる1種以上が好ましい。
本発明において、ゴム成分(A)に対し、後述するフィラー(B)及び変性ファルネセン重合体(C)を含有させることで、ゴム組成物の架橋物の機械強度、耐摩耗性が良好になり、また、該架橋物を用いたタイヤの転がり抵抗性能や操縦安定性を改良できる。
2種以上のゴム成分(A)を混合して用いる場合、その組み合わせは本発明の効果を損なわない範囲で任意に選択でき、またその組み合わせによって、転がり抵抗性能や耐摩耗性等の物性値を調整できる。
<フィラー(B)>
本発明のゴム組成物で用いるフィラー(B)は、カーボンブラック及びシリカから選ばれる1種以上のフィラーである。フィラー(B)を用いることにより、ゴム組成物の架橋物における機械強度等の物性が改善される。
カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、及びケッチェンブラック等のカーボンブラックを用いることができる。これらの中では、ゴム組成物の加硫速度やその加硫物の機械強度を向上させる観点から、ファーネスブラックが好ましい。これらカーボンブラックは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記カーボンブラックの平均粒子径としては、分散性、機械強度、及び硬度を向上させる観点から、5〜100nmが好ましく、5〜80nmがより好ましく、5〜70nmが更に好ましい。
平均粒子径が5〜100nmであるカーボンブラックとして、ファーネスブラックの市販品としては、例えば、三菱化学株式会社「ダイヤブラック」、東海カーボン株式会社製「シースト」等が挙げられる。アセチレンブラックの市販品としては、例えば、電気化学工業株式会社製「デンカブラック」が挙げられる。ケッチェンブラックの市販品としては、例えば、ライオン株式会社製「ECP600JD」が挙げられる。
前記カーボンブラックは、ゴム成分(A)及び変性ファルネセン重合体(C)への濡れ性や分散性を向上させる観点から、硝酸、硫酸、塩酸又はこれらの混合酸等による酸処理や、空気存在下での熱処理による表面酸化処理を行ってもよい。また、本発明のゴム組成物の機械強度向上の観点から、黒鉛化触媒の存在下に2,000〜3,000℃で熱処理を行ってもよい。なお、黒鉛化触媒としては、ホウ素、ホウ素酸化物(例えば、B22、B23、B43、B45等)、ホウ素オキソ酸(例えば、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸等)及びその塩、ホウ素炭化物(例えば、B4C、B6C等)、窒化ホウ素(BN)、その他のホウ素化合物が好適に用いられる。
カーボンブラックは、粉砕等により粒度を調整することができる。カーボンブラックの粉砕には、高速回転粉砕機(ハンマーミル、ピンミル、ケージミル)や各種ボールミル(転動ミル、振動ミル、遊星ミル)、撹拌ミル(ビーズミル、アトライター、流通管型ミル、アニュラーミル)等が使用できる。
なお、カーボンブラックの平均粒子径は、透過型電子顕微鏡により粒子の直径を測定してその平均値を算出することにより求めることができる。
シリカとしては、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等を挙げることができる。中でも、加工性、機械強度及び耐摩耗性を一層向上させる観点から、湿式シリカが好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカの平均粒子径は、得られるゴム組成物の加工性、その架橋物の機械強度及び耐摩耗性、架橋物を用いたタイヤ等の転がり抵抗性能を向上する観点から、0.5〜200nmが好ましく、5〜150nmがより好ましく、10〜100nmが更に好ましい。
なお、シリカの平均粒子径は、透過型電子顕微鏡により粒子の直径を測定して、その平均値を算出することにより求めることができる。
本発明のゴム組成物において、ゴム成分(A)100質量部に対するフィラー(B)の含有量は、20〜150質量部であり、25〜130質量部が好ましく、25〜110質量部がより好ましい。フィラー(B)の含有量が前記範囲内であると、ゴム組成物の加工性、その架橋物の機械強度及び耐摩耗性、架橋物を用いたタイヤ等の転がり抵抗性能が向上する。
これらフィラー(B)の中でも、架橋物を用いたタイヤ等の転がり抵抗性能を向上させる観点から、シリカがより好ましい。また、これらフィラー(B)は1種を単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
〔その他のフィラー〕
本発明のゴム組成物は、その架橋物の機械強度の向上、耐熱性や耐候性等の物性の改良、硬度調整、増量剤を配合することによる経済性の改善等を目的として、必要に応じてカーボンブラック及びシリカ以外のフィラーを更に含有していてもよい。
前記カーボンブラック及びシリカ以外のフィラーとしては、用途に応じて適宜選択されるが、例えば、有機充填剤や、クレー、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化チタン、ガラス繊維、繊維状フィラー、ガラスバルーン等の無機充填剤の1種又は2種以上を使用できる。
本発明のゴム組成物が前記カーボンブラック及びシリカ以外のフィラーを含有する場合、その含有量は、ゴム成分(A)100質量部に対して、0.1〜120質量部が好ましく、5〜90質量部がより好ましく、10〜80質量部が更に好ましい。前記フィラーの含有量が前記範囲内であると、その架橋物の機械強度がより一層向上する。
<変性ファルネセン重合体(C)>
本発明のゴム組成物に用いられる変性ファルネセン重合体(C)は、ファルネセン由来の単量体単位を含む重合体(以下、「未変性のファルネセン重合体」ともいう)に対して変性剤を反応させ、官能基を導入することにより変性した変性ファルネセン重合体であり、下記条件(I)及び(II)を満たすものである。
条件(I):38℃における溶融粘度が0.1〜3,000Pa・sである変性ファルネセン重合体。
条件(II):ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)における最大ピーク分子量(Mt)が3,000〜550,000であり、GPCクロマトグラムの重合体由来の全面積を100%として、Mt×1.45以上の分子量を有する重合体の面積割合が0〜20%である変性ファルネセン重合体。
本発明における変性ファルネセン重合体(C)を構成するファルネセンとしては、α−ファルネセン及び式(I)で示されるβ−ファルネセンから選ばれる1種以上を用いることができ、製造容易性の観点から、β−ファルネセンを用いることが好ましい。
Figure 0006562603
前記未変性のファルネセン重合体は、ファルネセンに由来する単量体単位のみで構成されてもよく、ファルネセンに由来する単量体単位とファルネセン以外の単量体に由来する単量体単位とで構成されてもよい。
未変性のファルネセン重合体が共重合体である場合、ファルネセン以外の単量体に由来する単量体単位としては、例えば、炭素数12以下の共役ジエン及び芳香族ビニル化合物を挙げることができる。
炭素数12以下の共役ジエンとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニルブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、2−メチル−1,3−オクタジエン、1,3,7−オクタトリエン、ミルセン、クロロプレン等が挙げられる。これらの中ではブタジエン、イソプレン、ミルセンがより好ましい。これらの共役ジエンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−t−ブチルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、N,N−ジエチル−4−アミノエチルスチレン、ビニルピリジン、4−メトキシスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物等が挙げられる。これらの中では、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレンが好ましい。
前記共重合体中におけるファルネセン以外の単量体に由来する単量体単位とファルネセン由来の単量体単位との合計に対する、ファルネセン以外の単量体単位の割合は、得られるゴム組成物の加工性、及びゴム組成物の架橋物を用いたタイヤ等の転がり抵抗性能を向上させる観点から、1〜99質量%が好ましく、10〜80質量%がより好ましく、15〜70質量%が更に好ましい。
(未変性のファルネセン重合体の製造方法)
未変性のファルネセン重合体は、乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法、溶液重合法又は国際公開第2010/027463号、国際公開第2010/027464号に記載の方法等により製造することができる。その中でも、乳化重合法又は溶液重合法が好ましく、溶液重合法が更に好ましい。
未変性のファルネセン重合体を得るための乳化重合法としては公知の方法を適用できる。例えば、所定量のファルネセン単量体を乳化剤の存在下に乳化分散し、ラジカル重合開始剤により乳化重合する。
乳化剤としては、例えば、炭素数10以上の長鎖脂肪酸塩又はロジン酸塩が用いられる。具体例としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸のカリウム塩又はナトリウム塩が挙げられる。
分散媒としては通常、水が使用され、重合時の安定性が阻害されない範囲で、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒を含んでいてもよい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウムのような過硫酸塩、有機過酸化物、過酸化水素等が挙げられる。
得られる未変性のファルネセン重合体の分子量を調整するため、連鎖移動剤を使用することもできる。連鎖移動剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、チオグリコール酸、ジテルペン、ターピノーレン、γ−テルピネン、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
乳化重合温度は、使用するラジカル重合開始剤の種類によって適宜選択できるが、通常、0〜100℃が好ましく、0〜80℃がより好ましい。重合様式は、連続重合、回分重合のいずれでもよい。重合反応は、重合停止剤の添加により停止できる。
重合停止剤としては、例えば、イソプロピルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミン等のアミン化合物、ヒドロキノンやベンゾキノン等のキノン系化合物、亜硝酸ナトリウム等が挙げられる。
重合反応停止後、必要に応じて老化防止剤を添加してもよい。重合反応停止後、得られたラテックスから必要に応じて未反応単量体を除去し、次いで、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム等の塩を凝固剤とし、必要に応じて硝酸、硫酸等の酸を添加して凝固系のpHを所定の値に調整しながら、未変性のファルネセン重合体を凝固させた後、分散溶媒を分離することによって未変性のファルネセン重合体を回収する。次いで水洗、及び脱水後、乾燥することで、未変性のファルネセン重合体が得られる。なお、凝固の際に、必要に応じて予めラテックスと乳化分散液にした伸展油とを混合し、油展の未変性のファルネセン重合体として回収してもよい。
未変性のファルネセン重合体を得るための溶液重合法としては、公知の方法を適用できる。例えば、溶媒中で、チーグラー系触媒、メタロセン系触媒、アニオン重合可能な活性金属等の重合触媒を使用して、所望により極性化合物の存在下、ファルネセン単量体を重合する。
アニオン重合可能な活性金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属;ランタン、ネオジム等のランタノイド系希土類金属等が挙げられる。中でもアルカリ金属及びアルカリ土類金属が好ましく、アルカリ金属がより好ましい。更にアルカリ金属の中でも、有機アルカリ金属化合物がより好ましく用いられる。
溶媒としては、例えば、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。
有機アルカリ金属化合物としては、例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム等の有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、ジリチオナフタレン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼン等の多官能性有機リチウム化合物;ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン等が挙げられる。中でも有機リチウム化合物が好ましく、有機モノリチウム化合物がより好ましい。有機アルカリ金属化合物の使用量は要求されるファルネセン重合体の分子量によって適宜決められるが、ファルネセン100質量部に対して0.01〜3質量部が好ましい。
有機アルカリ金属化合物はまた、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジベンジルアミン等の第2級アミンと反応させて、有機アルカリ金属アミドとして使用することもできる。
極性化合物は、アニオン重合において、反応を失活させず、ファルネセン部位のミクロ構造を調整するため用いられ、例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン等の3級アミン;アルカリ金属アルコキシド、ホスフィン化合物等が挙げられる。極性化合物は、有機アルカリ金属化合物に対して好ましくは0.01〜1000モル当量使用される。
重合反応の温度は、通常、−80〜150℃、好ましくは0〜100℃、更に好ましくは10〜90℃である。重合様式は回分式あるいは連続式のいずれでもよい。
重合反応は、重合停止剤の添加により停止できる。重合停止剤としては、例えば、メタノール、イソプロパノール等のアルコールが挙げられる。得られた重合反応液をメタノール等の貧溶媒に注いで、未変性のファルネセン重合体を析出させるか、重合反応液を水で洗浄し、分離後、乾燥することによりファルネセン重合体を単離できる。
〔未変性のファルネセン重合体の変性方法〕
変性ファルネセン重合体(C)は、前記未変性のファルネセン重合体に対して変性剤を反応させ、官能基を導入して得ることができる。例えば、重合停止剤を添加する前に重合活性末端と反応し得るテトラエトキシシラン、二酸化炭素、酸化エチレン等の変性剤を添加する方法(I)、又は重合停止剤を添加した後、未変性のファルネセン重合体に無水マレイン酸等の変性剤をグラフト化する方法(II)等の変性方法により得ることができる。
前記未変性のファルネセン重合体に導入される官能基としては、例えば、カルボキシ基、スルホニル基、アルコキシシリル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基、アミノ基、アンモニウム基、アミド基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、シラノール基、ヒドロキシ基、エーテル基、カルボニル基、カルボン酸エステル基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、メルカプト基、イソシアネート基、ニトリル基、ハロゲン化珪素基、ハロゲン化錫基、無水カルボン酸由来の官能基等が挙げられる。これらの中でも、無水カルボン酸由来の官能基及びアルコキシシリル基から選ばれる1種以上の官能基を有するものが好ましい。
前記無水カルボン酸由来の官能基としては、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸及び無水コハク酸から選ばれる1種以上に由来する官能基が好ましく、無水マレイン酸に由来する官能基がより好ましい。
なお、変性ファルネセン重合体(C)において官能基が導入される重合体の位置については、重合末端であってもよく、ポリマー鎖の側鎖であってもよい。また前記官能基は1種を単独で含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。したがって、変性ファルネセン重合体(C)は、変性剤1種により変性されたものであってもよく、2種以上の変性剤で変性されたものでもよい。
前記方法(I)において用いることができる前記変性剤としては、例えば、四塩化錫、ジブチル錫クロリド、ジメチルジエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、2,4−トリレンジイソシアネート、二酸化炭素、酸化エチレン、無水コハク酸、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、N−ビニルピロリドン、N−メチルピロリドン、4−ジメチルアミノベンジリデンアニリン、ジメチルイミダゾリジノン等の変性剤、エポキシド、オキセタン等の環状エーテル、ピロリジン等の環状アミン、エチレンスルフィド等の環状スルフィド等の変性剤、及び特開2011−132298号公報に記載のその他の変性剤が挙げられる。
前記方法(I)における変性剤の使用量は、特に限定されるものではないが、前記未変性のファルネセン重合体の製造に用いられる重合触媒に対して、好ましくは0.01〜100モル当量であり、反応温度は通常−80〜150℃、好ましくは0〜100℃、更に好ましくは10〜90℃である。
また、重合停止剤を添加する前に変性剤を添加することにより、未変性のファルネセン重合体に官能基を導入した後、更に前記官能基と反応し得る変性剤を添加して別の官能基を重合体中に導入してもよい。
前記方法(II)において用いることができる前記変性剤としては、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水2,3−ジメチルマレイン酸、無水イタコン酸等の無水不飽和カルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸;マレイン酸エステル、フマル酸エステル、シトラコン酸エステル、イタコン酸エステル、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸エステル;マレイン酸アミド、フマル酸アミド、シトラコン酸アミド、イタコン酸アミド等の不飽和カルボン酸アミド;マレイン酸イミド、フマル酸イミド、シトラコン酸イミド、イタコン酸イミド等の不飽和カルボン酸イミド;マレイミド、ビニルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチルジメトキシシラン等が挙げられる。
前記方法(II)において、変性剤を未変性のファルネセン重合体にグラフト化する方法は特に限定されず、例えば、未変性のファルネセン重合体と、不飽和カルボン酸等の変性剤と、必要に応じてラジカル触媒を加えて、有機溶媒の存在下又は非存在下で加熱する方法を採用することができる。反応温度は通常0〜200℃であり、50〜200℃がより好ましく、130〜200℃が更に好ましく、140〜180℃がより更に好ましい。
前記方法で使用される有機溶媒としては、一般的には炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒が挙げられる。これら有機溶媒の中でも、n−ブタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒が好ましい。
前記方法で使用されるラジカル触媒としては、ジ−s−ブチルペルオキシジカーボネート、t−アミルペルオキシピバレート、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。これらラジカル触媒の中でも、アゾイソブチロニトリルが好ましい。
前記方法(II)により得られた不飽和カルボン酸変性ファルネセン重合体に対して、更にアルコール等の水酸基含有化合物、アンモニア、アミン等のアミノ基含有化合物等を反応させてもよい。不飽和カルボン酸変性ファルネセン重合体に対して、水酸基含有化合物、又はアミノ基含有化合物を反応させることにより、不飽和カルボン酸エステル変性ファルネセン重合体、不飽和カルボン酸アミド変性ファルネセン重合体、又は不飽和カルボン酸イミド変性ファルネセン重合体を得ることができる。
不飽和カルボン酸変性ファルネセン重合体と反応させる水酸基含有化合物としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール等のアルコール以外に、水酸基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。水酸基含有(メタ)アクリレートを用いることにより、(メタ)アクリロイル基変性ファルネセン重合体が得られる。
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが挙げられるが、これらの中でも2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
本発明においては、前述の方法により製造することができる変性ファルネセン重合体の中でも、下記条件(I)及び(II)を満たしている変性ファルネセン重合体を用いる。
条件(I):38℃における溶融粘度が0.1〜3,000Pa・sである変性ファルネセン重合体。
変性ファルネセン重合体の溶融粘度が前記範囲内であると、得られるゴム組成物の混練が容易になると共に加工性が向上する。また、架橋物の硬度が高くなるため、架橋物を用いたタイヤ等の操縦安定性や転がり抵抗性能が向上する。
本発明の変性ファルネセン重合体(C)の38℃における溶融粘度は、このような観点から、1.0〜2,000Pa・sがより好ましく、2.5〜1,500Pa・sが更に好ましく、4.0〜1,000Pa・sがより更に好ましい。なお、本明細書において変性ファルネセン重合体の溶融粘度は、後述する実施例に記載した方法で求めた値である。
条件(II):ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)における最大ピーク分子量(Mt)が3,000〜550,000であり、GPCクロマトグラムの重合体由来の全面積を100%として、Mt×1.45以上の分子量を有する重合体の面積割合が0〜20%である変性ファルネセン重合体。
変性ファルネセン重合体(C)の最大ピーク分子量(Mt)は3,000〜550,000である。変性ファルネセン重合体(C)のMtが前記範囲内であると、本発明のゴム組成物の加工性が良好となる。また得られるゴム組成物中のフィラーの分散性が向上するため、例えば、その架橋物からなるタイヤの転がり抵抗性能が良好となる。更に、ゴム組成物から得られる架橋物では低移行性能が向上する。
このような観点から、変性ファルネセン重合体(C)の最大ピーク分子量(Mt)は、9,000〜550,000が好ましく、15,000〜450,000がより好ましく、30,000〜300,000が更に好ましい。なお、本発明において変性ファルネセン重合体(C)のMtは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定から求めたポリスチレン換算の最大ピーク分子量である。
本発明における変性ファルネセン重合体(C)は、そのGPC測定により得られるGPCクロマトグラムの重合体由来の全面積を100%として、Mt×1.45以上の分子量を有する重合体の面積割合が0〜20%である。
前記未変性のファルネセン重合体に対して官能基を導入することにより変性を行う場合、変性剤の作用によって、又ファルネセンの二重結合の作用によって、重合体同士が結合する多量化が生じ多量化体が生成する場合がある。しかし、ゴム組成物中に多量化体の量が多いとフィラーの分散性が低下する等の悪影響が生じる。
したがって本発明においては、多量化体の含有量が少ない変性ファルネセン重合体を使用することによりフィラーの分散性を向上させることができるため、その架橋物の機械強度、耐摩耗性等が向上し、更にその架橋物を用いたタイヤ等の転がり抵抗性能が向上する。更に、その架橋体を高硬度にすることも可能となる。
前記効果が得られる理由の詳細は明らかではないが、未変性のファルネセン重合体を変性する際に、Mt×1.45以上の分子量を有する重合体、典型的にはカップリング体等の副生成物に由来する多量化体が前記割合を超えて存在すると、変性ファルネセン重合体中に導入された官能基の効果が小さくなるためであると推測される。
ゴム組成物の架橋物の機械強度、硬度、及び架橋物を用いたタイヤ等の転がり抵抗性能を向上させる観点から、Mt×1.45以上の分子量を有する重合体の面積割合は、0〜15%が好ましく、0〜10%がより好ましい。なお、本発明において、Mt×1.45以上の領域にある重合体の面積割合は、後述する実施例に記載した条件にてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により得られるGPCクロマトグラムの重合体由来の全面積(GPCクロマトグラムとベースラインで囲まれる面積)を100%として、当該領域にある重合体の面積比から求めた値である。
前記条件(I)及び(II)を満たす変性ファルネセン重合体(C)は、前述の変性ファルネセン重合体の製造方法により製造することができるが、より効率的に製造する方法として、変性剤を導入する反応において老化防止剤を添加する方法や、反応中の温度を調整する方法が挙げられる。中でも、より効率的に製造する観点から、ファルネセン由来の単量体単位を含む重合体100質量部に対して、変性剤を0.1〜100質量部及び老化防止剤を0.01〜10質量部添加し、130℃〜200℃で反応させる方法により製造することが好ましい。
変性剤としては、前記方法(II)において用いることができる変性剤として例示したものが好ましい。中でも経済性等の観点から、無水不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸エステルから選ばれる1種以上の変性剤が好ましく、無水不飽和カルボン酸が更に好ましい。無水不飽和カルボン酸としては無水マレイン酸が、ゴム組成物及び該ゴム組成物からなる架橋物の特性を十分に発揮させる観点から好ましい。
前記変性剤の添加量は、ファルネセン由来の単量体単位を含む重合体100質量部に対して、0.1〜40質量部が好ましく、0.1〜30質量部がより好ましく、0.1〜20質量部が更に好ましい。
また、前記老化防止剤の添加量は、ファルネセン由来の単量体単位を含む重合体100質量部に対して、0.01〜8質量部が好ましく、0.1〜3質量部がより好ましい。
反応温度としては、140〜180℃がより更に好ましい。
前記老化防止剤としては、例えば4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)(AO−40)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(AO−80)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(LA−77Y)(以上、ADEKA製)、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−6−メチルフェノール(Irganox 1520L)、2,4−ビス[(ドデシルチオ)メチル]−6−メチルフェノール(Irganox 1726)、ビス(4−t−オクチルフェニル)アミン(Irganox 5057)、亜りん酸トリス(2,4−ジt−ブチルフェニル)(Irgafos 168)、N,N−ジオクタデシルヒドロキシルアミン(Irgastab FS 042)(以上、いずれもBASF製)、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジt−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジt−ペンチルフェニルアクリレート(Sumilizer GS)、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(Sumilizer GM)、6−t−ブチル−4−[3−(2,4,8,10−テトラt−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イルオキシ)プロピル]−2−メチルフェノール(Sumilizer GP)(以上いずれも住友化学株式会社製)、p−メトキシフェノール、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン(ノクラック6C)(大内新興化学製)、2,6−ジt−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ジオクタデシル3,3’−ジチオビスプロピオネート、ヒドロキノン等が挙げられる。また、前記老化防止剤は1種又は2種以上を併用してもよい。
その他の製造方法としては、未変性のファルネセン重合体の製造後、十分に精製を行い、変性剤を導入する反応を阻害する成分を十分に除去した後、未変性のファルネセン重合体と変性剤とを反応させる方法が挙げられる。未変性のファルネセン重合体の精製方法としては、水若しくは温水、又は、メタノール、アセトン等の有機溶媒若しくは超臨界流体二酸化炭素による洗浄が好ましい。
未変性のファルネセン重合体に対して変性剤を導入する変性反応により得られた本発明の変性ファルネセン重合体(C)は、変性反応において用いた変性剤の量に対する重合体中に導入された変性剤の量の割合として計算できる変性剤反応率が40〜100%であることが好ましい。変性剤反応率が前記範囲内になるように反応を行うこと、すなわち、得られた変性ファルネセン重合体中に残存する変性剤及びそれに由来する低分子化合物の量が少なくなるように変性剤の量を調節して反応を行うことにより、変性剤及びそれに由来する低分子化合物に起因する悪影響、例えば無水マレイン酸等の酸性成分に由来する金型汚染等の悪影響をより抑制することができる。
変性剤反応率は、60〜100%であることがより好ましく、70〜100%であることが更に好ましく、80〜100%であることがより更に好ましい。
変性剤反応率は、例えば、無水不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸エステルから選ばれる1種以上を変性剤として用いた場合、得られた変性ファルネセン重合体について未精製のまま測定した酸価と、精製後の変性ファルネセン重合体について測定した酸価とから計算により算出することができる。
前記変性剤反応率を満たすように変性ファルネセン重合体(C)を製造する方法としては、変性剤を導入する反応を適切な反応温度において、充分な反応時間で行う方法を挙げることができる。例えば、未変性のファルネセン重合体に無水マレイン酸を付加させる反応の温度は、100〜200℃が好ましく、130〜200℃がより好ましく、140〜180℃が更に好ましい。また反応時間は3〜200時間が好ましく、4〜100時間がより好ましく、5〜50時間が更に好ましい。
また、変性ファルネセン重合体(C)中に導入された変性剤の量は、特に制限はないが、得られるゴム組成物及び架橋物における特性を十分に発揮させる観点から、未変性のファルネセン重合体100質量部に対して、0.05〜40質量部が好ましく、0.1〜30質量部がより好ましく、0.1〜20質量部が更に好ましい。
導入された変性剤量が40質量部より多い場合には得られる架橋物の伸び、引張り強度が低下する傾向があり、0.05質量部より低い場合には得られる架橋物の耐摩耗性、転がり抵抗性能、硬度が低下する傾向がある。
なお、変性ファルネセン重合体(C)中に導入された変性剤量は、変性剤の変性剤反応率を基に算出することもできるし、赤外分光法、核磁気共鳴分光法等の各種分析機器を用いて求めることもできる。
変性ファルネセン重合体(C)の重量平均分子量(Mw)は2,000〜50万が好ましく、8,000〜50万がより好ましく、1万5千〜45万が更に好ましく、3万〜30万がより更に好ましい。変性ファルネセン重合体(C)のMwが前記範囲内であると、本発明のゴム組成物の加工性が良好となり、また得られるゴム組成物中のフィラーの分散性が向上するため、その架橋物を用いたタイヤ等の転がり抵抗性能が良好となる。
なお、本明細書において変性ファルネセン重合体(C)のMw及びMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定から求めたポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量である。本発明においては、Mwが異なる2種類の変性ファルネセン重合体を併用してもよい。
変性ファルネセン重合体(C)の分子量分布(Mw/Mn)は、1.0〜8.0が好ましく、1.0〜5.0がより好ましく、1.0〜3.0がより更に好ましい。Mw/Mnが前記範囲内であると、得られる変性ファルネセン重合体の粘度のばらつきが小さく、より好ましい。
変性ファルネセン重合体(C)のガラス転移温度は、−90〜10℃が好ましく、−90〜0℃がより好ましく、−90〜−5℃が更に好ましい。ガラス転移温度が前記範囲であると、転がり抵抗性能が良好となる。また、粘度が高くなるのを抑えることができ取り扱いが容易になる。また変性ファルネセン重合体のビニル含量は99質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。
本発明のゴム組成物において、ゴム成分(A)100質量部に対する変性ファルネセン重合体(C)の含有量は、0.1〜30質量部であり、0.5〜30質量部が好ましく、1〜30質量部がより好ましく、2〜12質量部が更に好ましい。変性ファルネセン重合体(C)の含有量は前記範囲内であると、ゴム組成物の架橋物の機械強度及び耐摩耗性、該架橋物からなるタイヤ等の転がり抵抗性能が向上する。
なお、本発明のゴム組成物に用いる変性ファルネセン重合体(C)は、単量体単位や分子量及び官能基の種類がそれぞれ異なる2種類以上の変性ファルネセン重合体(C)を含有していてもよい。
<シランカップリング剤>
本発明のゴム組成物においてフィラー(B)としてシリカを用いる場合、シランカップリング剤を含有することが好ましい。シランカップリング剤としては、スルフィド系化合物、メルカプト系化合物、ビニル系化合物、アミノ系化合物、グリシドキシ系化合物、ニトロ系化合物、クロロ系化合物等が挙げられる。
スルフィド系化合物としては、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリメトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド等が挙げられる。
メルカプト系化合物としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
ビニル系化合物としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
アミノ系化合物としては、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
グリシドキシ系化合物としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
ニトロ系化合物としては、例えば、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
クロロ系化合物としては、例えば、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
これらのシランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、補強効果が大きい観点から、スルフィド系化合物及びメルカプト系化合物等の硫黄を含有するシランカップリング剤が好ましく、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランがより好ましい。
前記シランカップリング剤を含有する場合、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜20質量部がより好ましく、1〜15質量部が更に好ましい。シランカップリング剤の含有量が前記範囲内であると、分散性、補強性、耐摩耗性が向上する。
<その他の成分>
本発明のゴム組成物は、発明の効果を阻害しない範囲で、加工性、流動性等の改良を目的とし、必要に応じてシリコンオイル、アロマオイル、TDAE(Treated Distilled Aromatic Extracts)、MES(Mild Extracted Solvates)、RAE(Residual Aromatic Extracts)、パラフィンオイル、ナフテンオイル等のプロセスオイル;脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、C9系樹脂、ロジン系樹脂、クマロン・インデン系樹脂、フェノール系樹脂等の樹脂成分;低分子量ポリブタジエン、低分子量ポリイソプレン、低分子量スチレンブタジエン共重合体、低分子量スチレンイソプレン共重合体等の液状重合体;未変性のファルネセン重合体等を含有していてもよい。なお、前記共重合体はブロック又はランダム等のいずれの重合形態であってもよい。液状重合体の重量平均分子量(Mw)は500〜10万であることが加工性の観点から好ましい。本発明のゴム組成物が前記プロセスオイル、樹脂成分、液状重合体又は未変性のファルネセン重合体を含有する場合、その含有量は、ゴム成分(A)100質量部に対して50質量部より少ないことが好ましい。
本発明のゴム組成物は、発明の効果を阻害しない範囲で、耐候性、耐熱性、耐酸化性等の向上を目的として、必要に応じて老化防止剤、酸化防止剤、ワックス、滑剤、光安定剤、スコーチ防止剤、加工助剤、顔料や色素等の着色剤、難燃剤、帯電防止剤、艶消し剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、発泡剤、抗菌剤、防カビ剤、香料等の添加剤を1種又は2種以上含有していてもよい。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、リン系化合物、ラクトン系化合物、ヒドロキシル系化合物等が挙げられる。
老化防止剤としては、例えば、アミン−ケトン系化合物、イミダゾール系化合物、アミン系化合物、フェノール系化合物、硫黄系化合物及びリン系化合物等が挙げられる。
本発明のゴム組成物の製造方法は特に限定されず、前記各成分を均一に混合すればよい。均一に混合する方法としては、例えば、ニーダールーダー、ブラベンダー、バンバリーミキサー、インターナルミキサー等の接線式、若しくは噛合式の密閉式混練機、単軸押出機、二軸押出機、ミキシングロール、ローラー等が挙げられ、通常70〜270℃の温度範囲で行うことができる。
[本発明のゴム組成物からなる架橋物]
本発明のゴム組成物は、架橋剤を添加して架橋して用いることもできる。架橋剤としては、例えば、硫黄、硫黄化合物、酸素、有機過酸化物、フェノール樹脂及びアミノ樹脂、キノン及びキノンジオキシム誘導体、ハロゲン化合物、アルデヒド化合物、アルコール化合物、エポキシ化合物、金属ハロゲン化物及び有機金属ハロゲン化物、シラン化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。架橋剤の含有量は、ゴム成分(A)100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましく、0.8〜5質量部が更に好ましい。
上記の架橋剤の中でも、硫黄及び硫黄化合物を用いると、本発明のゴム組成物を加硫させ、加硫ゴムとして利用することもできる。加硫の条件、方法に特に制限はないが、加硫金型を用いて加硫温度120〜200℃及び加硫圧力0.5〜2.0MPaの加圧加熱条件で行うことが好ましい。
本発明のゴム組成物は、加硫促進剤を含有してもよい。加硫促進剤としては、例えば、グアニジン系化合物、スルフェンアミド系化合物、チアゾール系化合物、チウラム系化合物、チオウレア系化合物、ジチオカルバミン酸系化合物、アルデヒド−アミン系化合物又はアルデヒド−アンモニア系化合物、イミダゾリン系化合物、キサンテート系化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記加硫促進剤を含有する場合、その含有量は、ゴム成分(A)100質量部に対して、0.1〜15質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。
本発明のゴム組成物は、更に加硫助剤を含有してもよい。加硫助剤としては、例えば、ステアリン酸等の脂肪酸、亜鉛華等の金属酸化物、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記加硫助剤を含有する場合、その含有量は、ゴム成分(A)100質量部に対して、0.1〜15質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。
[タイヤ]
本発明のタイヤは、本発明のゴム組成物を少なくとも一部に用いる。そのため、機械強度が良好であり、また優れた転がり抵抗性能を備える。なお、本発明のタイヤには、本発明のゴム組成物を架橋した架橋物を用いてもよい。本発明のゴム組成物あるいは本発明のゴム組成物からなる架橋物を用いたタイヤは、長期間使用した場合でも前記機械強度等の特性を維持することができる。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本実施例及び比較例において使用した各成分は以下のとおりである。
<ゴム成分(A)>
・油展スチレンブタジエンゴム:JSR1723(JSR株式会社製)(A−1)
(ゴム成分:100質量部、オイル成分:37.5質量部)
・スチレンブタジエンゴム :JSR1500(JSR株式会社製)(A−2)
<フィラー(B)>
・シリカ:ULTRASIL7000GR(エボニック デグサ ジャパン製)(B−1)(湿式シリカ:平均粒子径14nm)
<変性ファルネセン重合体>
下記製造例1〜3にしたがって製造した変性ポリファルネセン(C−1)、(C−2)及び(X−1)
<任意成分>
・硫黄(微粉硫黄200メッシュ、鶴見化学工業株式会社製)
・加硫促進剤
加硫促進剤(1):ノクセラーCZ−G (大内新興化学工業株式会社製)
加硫促進剤(2):ノクセラーD (大内新興化学工業株式会社製)
加硫促進剤(3):ノクセラーTBT−N(大内新興化学工業株式会社製)
・加硫助剤
ステアリン酸 :ルナックS−20(花王株式会社製)
亜鉛華 :酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製)
・TDAE :VivaTec500(H&R社製)
・シランカップリング剤:Si−75(エボニック デグサ ジャパン製)
・ノクラック6C(大内新興化学工業株式会社製)
・ワックス :サンタイトS(精工化学株式会社製)
製造例1:変性ポリファルネセン(C−1)の製造
十分に乾燥した耐圧容器を窒素置換し、この耐圧容器にヘキサン1200g、及びn−ブチルリチウム(17質量%ヘキサン溶液)5.0gを仕込み、50℃に昇温した後、撹拌条件下、重合温度が50℃となるように制御しながら、β−ファルネセン1182gを加えて1時間重合した。その後、メタノールを添加して重合反応を停止させ、重合溶液(2388g)を得た。得られた重合反応液に水を添加して撹拌し、水で重合反応液を洗浄した。撹拌を終了し、重合溶液相と水相とが分離していることを確認した後、水を分離した。洗浄終了後の重合反応液を70℃で12時間乾燥することにより、未変性ポリファルネセン(C’−1)を得た。
続いて、窒素置換を行った容量1リットルのオートクレーブ中に、得られた未変性ポリファルネセン(C’−1)300gを仕込み、無水マレイン酸4.5gと2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)3.0gとを添加し、160℃で20時間反応させて、無水マレイン酸変性ポリファルネセン(C−1)を得た。
なお、変性剤反応率は88%、変性ポリファルネセン(C−1)中に導入された変性剤量は未変性ポリファルネセン(C’−1)100質量部に対し1.3質量部であった。得られた変性ポリファルネセン(C−1)の物性を表1に示す。
製造例2:変性ポリファルネセン(C−2)の製造
窒素置換を行った容量1リットルのオートクレーブ中に、製造例1と同様の手順で得られた未変性ポリファルネセン(C’−1)300gを仕込み、無水マレイン酸4.5gとBHT1.0gを添加し、160℃で20時間反応させて、無水マレイン酸変性ポリファルネセン(C−2)を得た。
なお、変性剤反応率は88%、変性ポリファルネセン(C−2)中に導入された変性剤量は未変性ポリファルネセン(C’−1)100質量部に対し1.3質量部であった。得られた変性ポリファルネセン(C−2)の物性を表1に示す。
製造例3:変性ポリファルネセン(X−1)の製造
窒素置換を行った容量1リットルのオートクレーブ中に、製造例1と同様の手順で得られた未変性ポリファルネセン(C’−1)300gを仕込み、無水マレイン酸4.5gを添加し、160℃で20時間反応させて、無水マレイン酸変性ポリファルネセン(X−1)を得た。
なお、変性剤反応率は88%、変性ポリファルネセン(X−1)中に導入された変性剤量は未変性ポリファルネセン(C’−1)100質量部に対し1.3質量部であった。得られた変性ポリファルネセン(X−1)の物性を表1に示す。
なお、変性ファルネセン重合体の各物性の測定方法及び算出方法は以下のとおりである。
(重量平均分子量、最大ピーク分子量及び分子量分布の測定方法)
変性ファルネセン重合体のMw、Mt及びMw/MnはGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により標準ポリスチレン換算分子量で求めた。測定装置及び条件は、以下のとおりである。
・装置 :東ソー株式会社製GPC装置「GPC8020」
・分離カラム :東ソー株式会社製「TSKgelG4000HXL」
・検出器 :東ソー株式会社製「RI−8020」
・溶離液 :テトラヒドロフラン
・溶離液流量 :1.0ml/分
・サンプル濃度:5mg/10ml
・カラム温度 :40℃
なお、Mt×1.45以上の分子量を有する重合体の割合は、前記条件によるGPC測定で得られたGPCクロマトグラムから、Mt×1.45以上の分子量を有する重合体の面積を求めて、重合体由来の全面積(GPCクロマトグラムとベースラインで囲まれる面積)を100%とした際の面積比として求めた。
(溶融粘度の測定方法)
変性ファルネセン重合体の38℃における溶融粘度をブルックフィールド型粘度計(BROOKFIELD ENGINEERING LABS. INC.製)により測定した。
(ガラス転移温度の測定方法)
変性ファルネセン重合体10mgをアルミパンに採取し、示差走査熱量測定(DSC)により10℃/分の昇温速度条件においてサーモグラムを測定し、DDSCのピークトップの値をガラス転移温度とした。
(変性剤反応率)
・未精製の変性ファルネセン重合体の酸価(洗浄前の酸価)
変性反応後の試料3gにトルエン180mL、エタノール20mLを加え溶解した後、0.1N水酸化カリウムのエタノール溶液で中和滴定し酸価を求めた。なお、中和滴定にはフェノールフタレインを指示薬として用いた。
酸価(mgKOH/g)=(A−B)×F×5.611/S
A:中和に要した0.1N水酸化カリウムのエタノール溶液滴下量(mL)
B:試料を含まないブランクでの0.1N水酸化カリウムのエタノール溶液滴下量(mL)
F:0.1N水酸化カリウムのエタノール溶液の力価
S:秤量した試料の質量(g)
・精製後の変性ファルネセン重合体の酸価(洗浄後の酸価)
また、変性反応後の試料をメタノールで4回洗浄(試料1gに対して5mL)して未反応の無水マレイン酸を除去した後、試料を80℃で12時間、減圧乾燥し、前記と同様の方法にて酸価を求めた。下記式に基づき変性剤反応率を算出した。
〔変性剤反応率〕=〔洗浄後の酸価〕/〔洗浄前の酸価〕×100
(未変性のファルネセン重合体に導入された変性剤量)
前記で求めた変性剤反応率から、下記式に従い、未反応の変性ファルネセン重合体に対して導入された官能基の量を算出した。
〔未変性のファルネセン重合体100質量部に対し導入された変性剤に由来する官能基の量〕=〔添加した変性剤の質量(g)〕×〔変性剤反応率(%)〕/〔未変性のファルネセン重合体の質量(g)〕
Figure 0006562603
実施例1〜2及び比較例1〜2
表2に記載した配合割合(質量部)にしたがって、ゴム成分(A)、フィラー(B)、変性ファルネセン重合体(C)又は(X)、TDAE、シランカップリング剤、加硫助剤、ワックス及び老化防止剤を、それぞれ密閉式バンバリーミキサーに投入して開始温度75℃、樹脂温度が160℃となるように6分間混練した後、ミキサー外に取り出して室温まで冷却した。次いで、この混合物をミキシングロールに入れ、硫黄及び加硫促進剤を加えて60℃で6分間混練することでゴム組成物を得た。
また、得られたゴム組成物をプレス成形(160℃、35〜40分)して架橋物(加硫ゴム)のシート(厚み2mm)を作製し、下記の方法に基づき、硬度、引張破断強度、耐摩耗性、及び転がり抵抗性能を評価した。結果を表2に示す。
なお、各評価の測定方法は以下のとおりである。
(1)硬度
実施例及び比較例で作製した架橋物のシートを用いて、JIS K6253に準拠して、タイプA硬度計により硬度を測定し、柔軟性の指標とした。各実施例及び比較例の数値は、比較例2の値を100とした際の相対値である。なお、数値が大きいほど、当該組成物をタイヤに用いた際のタイヤの変形が小さく、操縦安定性が向上する。
(2)引張破断強度
実施例及び比較例で作製した架橋物のシートからJIS3に準じてダンベル状試験片を打ち抜き、インストロン社製引張試験機を用いて、JIS K 6251に準じて引張破断強度を測定した。各実施例及び比較例の数値は、比較例2の値を100とした際の相対値である。なお、数値が大きいほど、機械強度が良好である。
(3)耐摩耗性
JIS K 6264に準拠して、10N荷重下、摩耗距離40mでのDIN摩耗量を測定した。表2における各実施例及び比較例の数値は、DIN摩耗量の逆数において比較例2の値を100とした際の相対値である。なお、数値が大きいほど摩耗量が少なく耐摩耗性が良好である。
(4)転がり抵抗性能
実施例及び比較例で作製した架橋物のシートから縦40mm×横7mmの試験片を切り出し、GABO社製動的粘弾性測定装置を用いて、測定温度60℃、周波数10Hz、静的歪み10%、動的歪み2%の条件でtanδを測定し、転がり抵抗の指標とした。各実施例及び比較例の数値は、比較例2の値を100とした際の相対値である。なお、数値が小さいほどゴム組成物の転がり抵抗性能が良好である。
Figure 0006562603
表2より、本発明の構成要件を満たす実施例1及び2のゴム組成物は、変性ファルネセン重合体(C)を含有しない比較例2のゴム組成物に比べ、高硬度で、機械強度、耐摩耗性、及び転がり抵抗性能のいずれにも優れる架橋物が得られることが分かる。また、本発明の構成要件を満たす実施例1及び2のゴム組成物は、分子量がMt×1.45以上の重合体の割合が高すぎる変性ファルネセン重合体(X−1)を用いた比較例1に比べ、高硬度で、機械強度、耐摩耗性、及び転がり抵抗性能に優れた架橋物が得られることが分かる。
実施例3〜4及び比較例3〜4
表3に記載した配合割合(質量部)にしたがって各成分を用いた以外は実施例1と同様にしてゴム組成物を得た。
また、得られたゴム組成物をプレス成形(145℃、25〜30分)して架橋物(加硫ゴム)のシート(厚み2mm)を作製し、前述の方法に基づき、硬度及び転がり抵抗性能を評価した。結果を表3に示す。なお、硬度についての各実施例及び比較例の数値は、比較例4の値を100とした際の相対値である。また、転がり抵抗性能についての各実施例及び比較例の数値は、比較例4の値を100とした際の相対値である。
Figure 0006562603
表3より、本発明の構成要件を満たす実施例3及び4のゴム組成物は、分子量がMt×1.45以上である重合体の割合が高すぎる変性ファルネセン重合体(X−1)を用いた比較例3に比べ、高硬度で、転がり抵抗性能に優れた架橋物が得られることが分かる。また、変性ファルネセン重合体(C)の配合量を変化させてもこれらの効果を奏するゴム組成物及び架橋物が得られることが分かる。
本発明のゴム組成物は架橋剤を加える等して架橋性のゴム組成物とした場合、機械強度、耐摩耗性等に優れ、高硬度の架橋物を与えることから、タイヤ用途、工業用ベルト、工業用ゴムホース等の工業用部材用途等に好適に用いることができる。特に、タイヤ用途等に架橋物を用いた場合には、転がり抵抗性能が向上するため有用である。

Claims (13)

  1. 合成ゴム及び天然ゴムから選ばれる1種以上のゴム成分(A)100質量部に対して、カーボンブラック及びシリカから選ばれる1種以上のフィラー(B)を20〜150質量部、及びファルネセン由来の単量体単位を含む変性ファルネセン重合体(C)を0.1〜30質量部含有するゴム組成物であり、前記変性ファルネセン重合体(C)が、下記条件(I)及び(II)を満たし、且つ
    前記変性ファルネセン重合体(C)中に導入された変性剤の量が、未変性のファルネセン重合体100質量部に対して1.3〜40質量部であり、
    更に前記変性ファルネセン重合体(C)が老化防止剤に由来の成分を含む、ゴム組成物。
    条件(I):38℃における溶融粘度が0.1〜3,000Pa・sである変性ファルネセン重合体。
    条件(II):ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)における最大ピーク分子量(Mt)が3,000〜550,000であり、GPCクロマトグラムの重合体由来の全面積を100%として、Mt×1.45以上の分子量を有する重合体の面積割合が0〜20%である変性ファルネセン重合体。
  2. 前記変性ファルネセン重合体(C)が、無水カルボン酸由来の官能基及びアルコキシシリル基から選ばれる1種以上の官能基を有する、請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記無水カルボン酸由来の官能基が無水マレイン酸由来の官能基である、請求項2に記載のゴム組成物。
  4. 前記変性ファルネセン重合体(C)の重量平均分子量(Mw)が2,000〜50万である、請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物。
  5. 前記変性ファルネセン重合体(C)が、未変性のファルネセン重合体に対して変性剤を導入する変性反応により得られたものであり、該変性反応において用いた変性剤の量に対する重合体中に導入された変性剤の量の割合として計算できる変性剤反応率が40〜100%である、請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物。
  6. 前記カーボンブラックの平均粒子径が5〜100nmであり、前記シリカの平均粒子径が0.5〜200nmである、請求項1〜5のいずれかに記載のゴム組成物。
  7. 前記シリカ100質量部に対してシランカップリング剤を0.1〜30質量部含有する、請求項1〜6のいずれかに記載のゴム組成物。
  8. 前記ゴム成分が、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム及びイソプレンゴムから選ばれる1種以上である、請求項1〜7のいずれかに記載のゴム組成物。
  9. 前記スチレンブタジエンゴムの重量平均分子量が10万〜250万である、請求項8に記載のゴム組成物。
  10. 前記スチレンブタジエンゴムのスチレン含量が0.1〜70質量%である、請求項8又は9に記載のゴム組成物。
  11. 前記ブタジエンゴム又はイソプレンゴムの重量平均分子量が9万〜200万である、請求項8〜10のいずれかに記載のゴム組成物。
  12. 前記ブタジエンゴム又はイソプレンゴムのビニル含量が50質量%以下である、請求項8〜11のいずれかに記載のゴム組成物。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載のゴム組成物を少なくとも一部に用いたタイヤ。
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