JP2018131499A - 重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた転がり抵抗性能を示すと共に、強度及び耐摩耗性も良好な重荷重タイヤを製造することができる重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物、これを一部に用いたタイヤトレッド、及び重荷重タイヤを提供する。【解決手段】合成ゴム及び天然ゴムから選ばれる少なくとも1種のゴム成分(A)100質量部に対し、重量平均分子量が10,000〜500,000であるファルネセン重合体(B)を0.1〜50質量部、フィラー(C)を20〜150質量部含有し、加硫後のtanδピーク温度が−40℃未満である重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物、これを少なくとも一部に用いたタイヤトレッド、及び重荷重タイヤに関する。
従来、天然ゴムやスチレンブタジエンゴム等のゴム成分に対してカーボンブラックやシリカ等のフィラーを配合することにより機械強度を向上させたゴム組成物が、耐摩耗性や機械強度を必要とするタイヤ用途に広く使用されている。
前記フィラーは、その粒子表面に前記ゴム成分を物理的又は化学的に吸着することでその補強効果を発現することが知られている。したがって、100〜200nm程度の粒子径が大きいフィラーを使用した場合には、一般的にゴム成分との相互作用が十分に得られないため、ゴム組成物の機械強度を十分に向上させることができない場合があった。また、当該ゴム組成物をタイヤとして用いた場合、硬度が低下し、操縦安定性が不十分となる場合があった。
前記フィラーは、その粒子表面に前記ゴム成分を物理的又は化学的に吸着することでその補強効果を発現することが知られている。したがって、100〜200nm程度の粒子径が大きいフィラーを使用した場合には、一般的にゴム成分との相互作用が十分に得られないため、ゴム組成物の機械強度を十分に向上させることができない場合があった。また、当該ゴム組成物をタイヤとして用いた場合、硬度が低下し、操縦安定性が不十分となる場合があった。
一方、5〜100nm程度の小さい平均粒子径を有し、比表面積が大きいフィラーを使用した場合、フィラーとゴム成分との相互作用が大きくなるためゴム組成物の機械強度及び耐摩耗性等の特性が向上する。また、当該ゴム組成物をタイヤとして用いた場合、硬度が高くなるため、操縦安定性が向上する。
しかしながら、平均粒径が小さいフィラーを使用した場合は、カーボンブラックあるいはシリカ同士の高い凝集力により、ゴム組成物中のフィラーの分散性が低下することが知られている。このフィラーの分散性の低下は、混練工程の長時間化を招きゴム組成物の生産性に影響することがあった。また、分散性が低下するとゴム組成物が発熱しやすくなるため、転がり抵抗性能の悪化を招き、いわゆる低燃費タイヤの要求特性を満たすことができないことが多かった。
このように、タイヤ用ゴム組成物における機械強度及び硬度の向上と、転がり抵抗性能の向上とは二律背反の関係にあり、両者をバランスよく改良することは困難とされている。
しかしながら、平均粒径が小さいフィラーを使用した場合は、カーボンブラックあるいはシリカ同士の高い凝集力により、ゴム組成物中のフィラーの分散性が低下することが知られている。このフィラーの分散性の低下は、混練工程の長時間化を招きゴム組成物の生産性に影響することがあった。また、分散性が低下するとゴム組成物が発熱しやすくなるため、転がり抵抗性能の悪化を招き、いわゆる低燃費タイヤの要求特性を満たすことができないことが多かった。
このように、タイヤ用ゴム組成物における機械強度及び硬度の向上と、転がり抵抗性能の向上とは二律背反の関係にあり、両者をバランスよく改良することは困難とされている。
前記特性をバランスよく改良するためのゴム組成物として、特許文献1には、天然ゴム及び/又はポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、及びポリブタジエンゴムからなる原料ゴムに対し、特定の2種のカーボンブラックを配合してなる重荷重タイヤが記載されている。
また、特許文献2には、天然ゴムを5質量%以上含むゴム成分100質量部に対して、シリカを5〜200質量部、環化ゴムを0.1〜40質量部含むタイヤ用ゴム組成物が記載されている。
また、特許文献2には、天然ゴムを5質量%以上含むゴム成分100質量部に対して、シリカを5〜200質量部、環化ゴムを0.1〜40質量部含むタイヤ用ゴム組成物が記載されている。
特許文献1及び2に記載のゴム組成物を用いて製造したタイヤは、転がり抵抗性能、強度、及び耐摩耗性等について改善がみられるものの、更なる改良が望まれている。
本発明は、前記の従来の問題を鑑みてなされたものであり、優れた転がり抵抗性能を示すと共に、強度及び耐摩耗性も良好な重荷重タイヤを製造することができる重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物、これを一部に用いたタイヤトレッド、及び重荷重タイヤを提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討を行った結果、特定のファルネセン重合体を含む重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物が、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下[1]〜[3]に関する。
[1]合成ゴム及び天然ゴムから選ばれる少なくとも1種のゴム成分(A)100質量部に対し、重量平均分子量が10,000〜500,000であるファルネセン重合体(B)を0.1〜50質量部、フィラー(C)を20〜150質量部含有し、加硫後のtanδピーク温度が−40℃未満である、重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物。
[2]前記[1]に記載の重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物を少なくとも一部に用いたタイヤトレッド。
[3]前記[1]に記載の重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物を少なくとも一部に用いた重荷重タイヤ。
[1]合成ゴム及び天然ゴムから選ばれる少なくとも1種のゴム成分(A)100質量部に対し、重量平均分子量が10,000〜500,000であるファルネセン重合体(B)を0.1〜50質量部、フィラー(C)を20〜150質量部含有し、加硫後のtanδピーク温度が−40℃未満である、重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物。
[2]前記[1]に記載の重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物を少なくとも一部に用いたタイヤトレッド。
[3]前記[1]に記載の重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物を少なくとも一部に用いた重荷重タイヤ。
本発明によれば、優れた転がり抵抗性能を示すと共に、強度及び耐摩耗性も良好な重荷重タイヤを製造することができる重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物、これを一部に用いたタイヤトレッド、及び重荷重タイヤを提供することができる。
[重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物]
本発明の重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物は、合成ゴム及び天然ゴムから選ばれる少なくとも1種のゴム成分(A)100質量部に対し、重量平均分子量が10,000〜500,000であるファルネセン重合体(B)を0.1〜50質量部、フィラー(C)を20〜150質量部含有し、加硫後のtanδピーク温度が−40℃未満である、重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物である。本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物を用いることにより優れた転がり抵抗性能を示すと共に、強度及び耐摩耗性も良好な重荷重タイヤを製造することができる。
なお、本発明における「tanδピーク温度」とは、本発明の重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物を、プレス条件145℃、30分、圧力10MPaでプレス成形することにより製造した架橋物であって、縦40mm、横5mm、厚み2mmの架橋物シートを、周波数10Hz、静的歪み10%、動的歪み2%の条件で測定した場合のピーク温度をいい、「重荷重タイヤ」とは、トラック、バス、又は建設車両等に用いられるタイヤをいう。
また、本明細書においては「重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物」を単に「タイヤトレッド用ゴム組成物」という場合がある。
本発明の重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物は、合成ゴム及び天然ゴムから選ばれる少なくとも1種のゴム成分(A)100質量部に対し、重量平均分子量が10,000〜500,000であるファルネセン重合体(B)を0.1〜50質量部、フィラー(C)を20〜150質量部含有し、加硫後のtanδピーク温度が−40℃未満である、重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物である。本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物を用いることにより優れた転がり抵抗性能を示すと共に、強度及び耐摩耗性も良好な重荷重タイヤを製造することができる。
なお、本発明における「tanδピーク温度」とは、本発明の重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物を、プレス条件145℃、30分、圧力10MPaでプレス成形することにより製造した架橋物であって、縦40mm、横5mm、厚み2mmの架橋物シートを、周波数10Hz、静的歪み10%、動的歪み2%の条件で測定した場合のピーク温度をいい、「重荷重タイヤ」とは、トラック、バス、又は建設車両等に用いられるタイヤをいう。
また、本明細書においては「重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物」を単に「タイヤトレッド用ゴム組成物」という場合がある。
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は加硫後のtanδピーク温度を−40℃未満とするため、転がり抵抗性能、強度及び耐摩耗性を高い水準で兼ね備えたタイヤを製造することができるタイヤトレッド用ゴム組成物を得ることができる。
タイヤトレッド用ゴム組成物は加硫後のtanδピーク温度は、タイヤトレッド用ゴム組成物を一部に用いたタイヤの転がり抵抗性能、強度及び耐摩耗性を向上させる観点から、好ましくは−45℃以下、より好ましくは−48℃以下、更に好ましくは−50℃以下である。
タイヤトレッド用ゴム組成物は加硫後のtanδピーク温度は、タイヤトレッド用ゴム組成物を一部に用いたタイヤの転がり抵抗性能、強度及び耐摩耗性を向上させる観点から、好ましくは−45℃以下、より好ましくは−48℃以下、更に好ましくは−50℃以下である。
<ゴム成分(A)>
ゴム成分(A)は、合成ゴム及び天然ゴムの少なくとも1種から選ばれるものである。合成ゴム及び天然ゴムは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
〔合成ゴム〕
合成ゴムとしては、スチレンブタジエンゴム(以下、「SBR」ともいう)、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ブタジエンアクリロニトリル重合体ゴム、及びクロロプレンゴム等が好ましく、中でも、SBR、イソプレンゴム、及びブタジエンゴムがより好ましく、イソプレンゴム及びブタジエンゴムが更に好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム成分(A)は、合成ゴム及び天然ゴムの少なくとも1種から選ばれるものである。合成ゴム及び天然ゴムは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
〔合成ゴム〕
合成ゴムとしては、スチレンブタジエンゴム(以下、「SBR」ともいう)、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ブタジエンアクリロニトリル重合体ゴム、及びクロロプレンゴム等が好ましく、中でも、SBR、イソプレンゴム、及びブタジエンゴムがより好ましく、イソプレンゴム及びブタジエンゴムが更に好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(SBR)
SBRとしては、タイヤ用途に用いられる一般的なものを使用できるが、具体的には、スチレン含量が0.1〜70質量%のものが好ましく、5〜60質量%のものがより好ましく、5〜50質量%のものが更に好ましい。また、ビニル含量が0.1〜80質量%のものが好ましく、5〜70質量%のものがより好ましい。
なお、本明細書におけるSBRのビニル含量とは、SBRに含まれる全ブタジエンに由来する単位のうち、ビニル基を有する単量体単位の含有量を表す。以下同様に、ゴム成分(A)のビニル含量は、結合形態によりビニル基を有しうる単量体単位の全量に対し、実際にビニル基を有する単量体単位の含有量を表す。
SBRとしては、タイヤ用途に用いられる一般的なものを使用できるが、具体的には、スチレン含量が0.1〜70質量%のものが好ましく、5〜60質量%のものがより好ましく、5〜50質量%のものが更に好ましい。また、ビニル含量が0.1〜80質量%のものが好ましく、5〜70質量%のものがより好ましい。
なお、本明細書におけるSBRのビニル含量とは、SBRに含まれる全ブタジエンに由来する単位のうち、ビニル基を有する単量体単位の含有量を表す。以下同様に、ゴム成分(A)のビニル含量は、結合形態によりビニル基を有しうる単量体単位の全量に対し、実際にビニル基を有する単量体単位の含有量を表す。
SBRの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは100,000〜2,500,000、より好ましくは150,000〜2,000,000、更に好ましくは150,000〜1,500,000である。SBRの重量平均分子量(Mw)が前記の範囲である場合、タイヤトレッド用ゴム組成物の加工性が向上すると共に、タイヤトレッド用ゴム組成物から得られるタイヤの機械強度、耐摩耗性、及び操縦安定性が向上する。
なお、本明細書における重量平均分子量(Mw)は、後述の実施例に記載の方法により測定した値である。
なお、本明細書における重量平均分子量(Mw)は、後述の実施例に記載の方法により測定した値である。
SBRの示差熱分析法により求めたガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−95〜0℃、より好ましくは−95〜−5℃、更に好ましくは−95〜−10℃、より更に好ましくは−95〜−15℃、より更に好ましくは−95〜−20℃である。ガラス転移温度が前記範囲内であると、タイヤトレッド用ゴム組成物の粘度が高くなることを抑えることができ、取り扱いが容易になる。
≪SBRの製造方法≫
SBRの製造方法について特に制限はなく、乳化重合法、溶液重合法、気相重合法、バルク重合法のいずれも用いることができ、特に乳化重合法、溶液重合法が好ましい。
SBRの製造方法について特に制限はなく、乳化重合法、溶液重合法、気相重合法、バルク重合法のいずれも用いることができ、特に乳化重合法、溶液重合法が好ましい。
(i)乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)
E−SBRは、通常の乳化重合法により製造でき、例えば、所定量のスチレン及びブタジエン単量体を乳化剤の存在下に乳化分散し、ラジカル重合開始剤により乳化重合する。
乳化剤としては、例えば、炭素数10以上の長鎖脂肪酸塩又はロジン酸塩が用いられる。具体例としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸のカリウム塩又はナトリウム塩が挙げられる。
分散媒としては通常、水が使用され、重合時の安定性が阻害されない範囲で、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒を含んでいてもよい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウム等の過硫酸塩、有機過酸化物、過酸化水素等が挙げられる。
得られるE−SBRの分子量を調整するため、連鎖移動剤を使用することもできる。連鎖移動剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、チオグリコール酸、ジテルペン、ターピノーレン、γ−テルピネン、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
E−SBRは、通常の乳化重合法により製造でき、例えば、所定量のスチレン及びブタジエン単量体を乳化剤の存在下に乳化分散し、ラジカル重合開始剤により乳化重合する。
乳化剤としては、例えば、炭素数10以上の長鎖脂肪酸塩又はロジン酸塩が用いられる。具体例としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸のカリウム塩又はナトリウム塩が挙げられる。
分散媒としては通常、水が使用され、重合時の安定性が阻害されない範囲で、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒を含んでいてもよい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウム等の過硫酸塩、有機過酸化物、過酸化水素等が挙げられる。
得られるE−SBRの分子量を調整するため、連鎖移動剤を使用することもできる。連鎖移動剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、チオグリコール酸、ジテルペン、ターピノーレン、γ−テルピネン、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
乳化重合の温度は、使用するラジカル重合開始剤の種類によって適宜選択できるが、通常、0〜100℃が好ましく、0〜60℃がより好ましい。重合様式は、連続重合、回分重合のいずれでもよい。重合反応は、重合停止剤の添加により停止できる。
重合停止剤としては、例えば、イソプロピルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミン等のアミン化合物;ヒドロキノンやベンゾキノン等のキノン系化合物、亜硝酸ナトリウム等が挙げられる。
重合反応停止後、必要に応じて老化防止剤を添加してもよい。重合反応停止後、得られたラテックスから必要に応じて未反応単量体を除去し、次いで、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム等の塩を凝固剤とし、必要に応じて硝酸、硫酸等の酸を添加して凝固系のpHを所定の値に調整しながら重合体を凝固させた後、分散溶媒を分離することによって重合体をクラムとして回収できる。クラムを水洗、次いで脱水後、バンドドライヤー等で乾燥することで、E−SBRが得られる。なお、凝固の際に、必要に応じて予めラテックスと乳化分散液にした伸展油とを混合し、油展ゴムとして回収してもよい。なお、本明細書におけるタイヤトレッド用ゴム組成物中の組成において伸展油はゴム成分(A)には含めない。
E−SBRの市販品としては、JSR株式会社製、油展スチレンブタジエンゴム「JSR1723」等が挙げられる。
重合停止剤としては、例えば、イソプロピルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミン等のアミン化合物;ヒドロキノンやベンゾキノン等のキノン系化合物、亜硝酸ナトリウム等が挙げられる。
重合反応停止後、必要に応じて老化防止剤を添加してもよい。重合反応停止後、得られたラテックスから必要に応じて未反応単量体を除去し、次いで、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム等の塩を凝固剤とし、必要に応じて硝酸、硫酸等の酸を添加して凝固系のpHを所定の値に調整しながら重合体を凝固させた後、分散溶媒を分離することによって重合体をクラムとして回収できる。クラムを水洗、次いで脱水後、バンドドライヤー等で乾燥することで、E−SBRが得られる。なお、凝固の際に、必要に応じて予めラテックスと乳化分散液にした伸展油とを混合し、油展ゴムとして回収してもよい。なお、本明細書におけるタイヤトレッド用ゴム組成物中の組成において伸展油はゴム成分(A)には含めない。
E−SBRの市販品としては、JSR株式会社製、油展スチレンブタジエンゴム「JSR1723」等が挙げられる。
(ii)溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)
S−SBRは、通常の溶液重合法により製造でき、例えば、溶媒中でアニオン重合可能な活性金属を使用して、所望により極性化合物の存在下、スチレン及びブタジエンを重合する。
アニオン重合可能な活性金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属;ランタン、ネオジム等のランタノイド系希土類金属等が挙げられる。中でもアルカリ金属及びアルカリ土類金属が好ましく、アルカリ金属がより好ましい。更にアルカリ金属の中でも、有機アルカリ金属化合物がより好ましく用いられる。
溶媒としては、例えば、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。これらの溶媒は、単量体濃度が1〜50質量%となる範囲で用いることが好ましい。
S−SBRは、通常の溶液重合法により製造でき、例えば、溶媒中でアニオン重合可能な活性金属を使用して、所望により極性化合物の存在下、スチレン及びブタジエンを重合する。
アニオン重合可能な活性金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属;ランタン、ネオジム等のランタノイド系希土類金属等が挙げられる。中でもアルカリ金属及びアルカリ土類金属が好ましく、アルカリ金属がより好ましい。更にアルカリ金属の中でも、有機アルカリ金属化合物がより好ましく用いられる。
溶媒としては、例えば、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。これらの溶媒は、単量体濃度が1〜50質量%となる範囲で用いることが好ましい。
有機アルカリ金属化合物としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム等の有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼン等の多官能性有機リチウム化合物;ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン等が挙げられる。中でも有機リチウム化合物が好ましく、有機モノリチウム化合物がより好ましい。有機アルカリ金属化合物の使用量は、要求されるS−SBRの分子量によって適宜決められる。
有機アルカリ金属化合物は、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジベンジルアミン等の第2級アミンと反応させて、有機アルカリ金属アミドとして使用することもできる。
極性化合物としては、アニオン重合において、反応を失活させず、ブタジエン部位のミクロ構造やスチレンの重合体鎖中の分布を調整するために通常用いられるものであれば特に制限はなく、例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン等の3級アミン;アルカリ金属アルコキシド、ホスフィン化合物等が挙げられる。
有機アルカリ金属化合物は、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジベンジルアミン等の第2級アミンと反応させて、有機アルカリ金属アミドとして使用することもできる。
極性化合物としては、アニオン重合において、反応を失活させず、ブタジエン部位のミクロ構造やスチレンの重合体鎖中の分布を調整するために通常用いられるものであれば特に制限はなく、例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン等の3級アミン;アルカリ金属アルコキシド、ホスフィン化合物等が挙げられる。
重合反応の温度は、通常、−80〜150℃、好ましくは0〜100℃、更に好ましくは30〜90℃の範囲である。重合様式は、回分重合あるいは連続重合のいずれでもよい。また、スチレン及びブタジエンのランダム共重合性を向上させるため、重合系中のスチレン及びブタジエンの組成比が特定範囲になるように、反応液中にスチレン及びブタジエンを連続的あるいは断続的に供給することが好ましい。
重合反応は、重合停止剤としてメタノール、イソプロパノール等のアルコールを添加して、反応を停止できる。重合停止剤を添加する前に、重合活性末端と反応し得る四塩化錫、テトラクロロシラン、テトラメトキシシラン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、2,4−トリレンジイソシアネート等のカップリング剤や、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、N−ビニルピロリドン等の重合末端変性剤を添加してもよい。重合反応停止後の重合溶液は、直接乾燥やスチームストリッピング等により溶媒を分離して、目的のS−SBRを回収できる。なお、溶媒を除去する前に、予め重合溶液と伸展油とを混合し、油展ゴムとして回収してもよい。
重合反応は、重合停止剤としてメタノール、イソプロパノール等のアルコールを添加して、反応を停止できる。重合停止剤を添加する前に、重合活性末端と反応し得る四塩化錫、テトラクロロシラン、テトラメトキシシラン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、2,4−トリレンジイソシアネート等のカップリング剤や、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、N−ビニルピロリドン等の重合末端変性剤を添加してもよい。重合反応停止後の重合溶液は、直接乾燥やスチームストリッピング等により溶媒を分離して、目的のS−SBRを回収できる。なお、溶媒を除去する前に、予め重合溶液と伸展油とを混合し、油展ゴムとして回収してもよい。
(iii)変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR)
本発明においては、SBRに官能基が導入された変性SBRを用いてもよい。官能基としては、例えば、アミノ基、アルコキシシリル基、ヒドロキシ基、エポキシ基、カルボキシル基等が挙げられる。
変性SBRの製造方法としては、例えば、重合停止剤を添加する前に、重合活性末端と反応し得る四塩化錫、テトラクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、2,4−トリレンジイソシアネート等のカップリング剤や、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、N−ビニルピロリドン等の重合末端変性剤、又は特開2011−132298号公報に記載のその他の変性剤を添加する方法が挙げられる。
この変性SBRにおいて、官能基が導入される重合体の位置については重合末端であってもよく、ポリマー鎖の側鎖であってもよい。
本発明においては、SBRに官能基が導入された変性SBRを用いてもよい。官能基としては、例えば、アミノ基、アルコキシシリル基、ヒドロキシ基、エポキシ基、カルボキシル基等が挙げられる。
変性SBRの製造方法としては、例えば、重合停止剤を添加する前に、重合活性末端と反応し得る四塩化錫、テトラクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、2,4−トリレンジイソシアネート等のカップリング剤や、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、N−ビニルピロリドン等の重合末端変性剤、又は特開2011−132298号公報に記載のその他の変性剤を添加する方法が挙げられる。
この変性SBRにおいて、官能基が導入される重合体の位置については重合末端であってもよく、ポリマー鎖の側鎖であってもよい。
(イソプレンゴム)
イソプレンゴムとしては、例えば、四ハロゲン化チタン−トリアルキルアルミニウム系、ジエチルアルミニウムクロライド−コバルト系、トリアルキルアルミニウム−三弗化ホウ素−ニッケル系、ジエチルアルミニウムクロライド−ニッケル系等のチーグラー系触媒;トリエチルアルミニウム−有機酸ネオジム−ルイス酸系等のランタノイド系希土類金属触媒、又はS−SBRと同様に有機アルカリ金属化合物を用いて重合された、市販のイソプレンゴムを用いることができる。チーグラー系触媒により重合されたイソプレンゴムが、シス体含量が高く好ましい。また、ランタノイド系希土類金属触媒を用いて得られる超高シス体含量のイソプレンゴムを用いてもよい。
イソプレンゴムとしては、例えば、四ハロゲン化チタン−トリアルキルアルミニウム系、ジエチルアルミニウムクロライド−コバルト系、トリアルキルアルミニウム−三弗化ホウ素−ニッケル系、ジエチルアルミニウムクロライド−ニッケル系等のチーグラー系触媒;トリエチルアルミニウム−有機酸ネオジム−ルイス酸系等のランタノイド系希土類金属触媒、又はS−SBRと同様に有機アルカリ金属化合物を用いて重合された、市販のイソプレンゴムを用いることができる。チーグラー系触媒により重合されたイソプレンゴムが、シス体含量が高く好ましい。また、ランタノイド系希土類金属触媒を用いて得られる超高シス体含量のイソプレンゴムを用いてもよい。
イソプレンゴムのビニル含量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。ビニル含量が50質量%を超えると転がり抵抗性能が悪化する傾向にある。ビニル含量の下限は特に限定されない。またガラス転移温度はビニル含量によって変化するが、−20℃以下であることが好ましく、−30℃以下であることがより好ましい。
イソプレンゴムの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは90,000〜2,000,000、より好ましくは150,000〜1,500,000である。イソプレンゴムの重量平均分子量が前記範囲内である場合、タイヤトレッド用ゴム組成物の加工性が向上すると共に、タイヤトレッド用ゴム組成物を一部に用いたタイヤの機械強度、耐摩耗性が向上し、更に操縦安定性も向上する。
イソプレンゴムは、その一部が多官能型変性剤、例えば、四塩化錫、四塩化珪素、エポキシ基を分子内に有するアルコキシシラン、又はアミノ基含有アルコキシシランのような変性剤を用いることにより形成された分岐構造又は極性官能基を有していてもよい。
(ブタジエンゴム)
ブタジエンゴムとしては、例えば、四ハロゲン化チタン−トリアルキルアルミニウム系、ジエチルアルミニウムクロライド−コバルト系、トリアルキルアルミニウム−三弗化ホウ素−ニッケル系、ジエチルアルミニウムクロライド−ニッケル系等のチーグラー系触媒;トリエチルアルミニウム−有機酸ネオジム−ルイス酸系等のランタノイド系希土類金属触媒、又はS−SBRと同様に有機アルカリ金属化合物を用いて重合された、市販のブタジエンゴムを用いることができる。チーグラー系触媒により重合されたブタジエンゴムが、シス体含量が高く好ましい。また、ランタノイド系希土類金属触媒を用いて得られる超高シス体含量(例えばシス体含量95%以上)のブタジエンゴムを用いてもよい。
ブタジエンゴムとしては、例えば、四ハロゲン化チタン−トリアルキルアルミニウム系、ジエチルアルミニウムクロライド−コバルト系、トリアルキルアルミニウム−三弗化ホウ素−ニッケル系、ジエチルアルミニウムクロライド−ニッケル系等のチーグラー系触媒;トリエチルアルミニウム−有機酸ネオジム−ルイス酸系等のランタノイド系希土類金属触媒、又はS−SBRと同様に有機アルカリ金属化合物を用いて重合された、市販のブタジエンゴムを用いることができる。チーグラー系触媒により重合されたブタジエンゴムが、シス体含量が高く好ましい。また、ランタノイド系希土類金属触媒を用いて得られる超高シス体含量(例えばシス体含量95%以上)のブタジエンゴムを用いてもよい。
ブタジエンゴムのビニル含量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。ビニル含量が50質量%を超えると転がり抵抗性能が悪化する傾向にある。ビニル含量の下限は特に限定されない。またガラス転移温度はビニル含量によって変化するが、−40℃以下であることが好ましく、−50℃以下であることがより好ましい。
ブタジエンゴムの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは90,000〜2,000,000、より好ましくは150,000〜1,500,000である。ブタジエンゴムの重量平均分子量(Mw)が前記範囲内であると、タイヤトレッド用ゴム組成物の加工性が向上すると共に、タイヤトレッド用ゴム組成物を一部に用いたタイヤの耐摩耗性及び操縦安定性も向上する。
ブタジエンゴムは、その一部が多官能型変性剤、例えば、四塩化錫、四塩化珪素、エポキシ基を分子内に有するアルコキシシラン、又はアミノ基含有アルコキシシランのような変性剤を用いることにより形成された分岐構造又は極性官能基を有していてもよい。
本発明においては、前述のSBR、イソプレンゴム、及びブタジエンゴムの少なくとも1種と共に、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ブタジエンアクリロニトリル重合体ゴム、クロロプレンゴム等を1種又は2種以上を併用することができる。また、これらの製造方法は特に限定されず、市販されているものを使用できる。
〔天然ゴム〕
ゴム成分(A)に用いる天然ゴムとしては、例えば、SMR、SIR、STR等のTSRや、RSS等のタイヤ工業において一般的に用いられる天然ゴム、高純度天然ゴム、エポキシ化天然ゴム、水酸基化天然ゴム、水素添加天然ゴム、グラフト化天然ゴム等の改質天然ゴムが挙げられる。中でも、品質のばらつきが少ない点、及び入手容易性の点から、SMR20、STR20、RSS#3やRSS#4が好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム成分(A)に用いる天然ゴムとしては、例えば、SMR、SIR、STR等のTSRや、RSS等のタイヤ工業において一般的に用いられる天然ゴム、高純度天然ゴム、エポキシ化天然ゴム、水酸基化天然ゴム、水素添加天然ゴム、グラフト化天然ゴム等の改質天然ゴムが挙げられる。中でも、品質のばらつきが少ない点、及び入手容易性の点から、SMR20、STR20、RSS#3やRSS#4が好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明において用いるゴム成分(A)は、天然ゴムを60質量%以上含むことが好ましい。ゴム成分(A)が天然ゴムを60質量%以上含有すると、タイヤトレッド用ゴム組成物を一部に用いたタイヤの機械強度及び耐摩耗性が向上する。前述の観点より、ゴム成分(A)中の天然ゴムの含有量は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上である。
本発明においては、前述の合成ゴム及び天然ゴムから選ばれる少なくとも1種のゴム成分(A)、後述のファルネセン重合体(B)及びフィラー(C)を併用することで、タイヤトレッド用ゴム組成物を一部に用いたタイヤの耐摩耗性及び機械強度が向上する。なお、本発明においては合成ゴムと天然ゴムとを併用してもよい。
本発明においてタイヤトレッド用ゴム組成物中のゴム成分(A)の含有量は、好ましくは35質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは45質量%以上、より更に好ましく50質量%以上、より更に好ましくは55質量%以上、より更に好ましくは60質量%以上であり、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは75質量%以下、更に好ましくは70質量%以下、より更に好ましくは68質量%以下である。タイヤトレッド用ゴム組成物中のゴム成分(A)の含有量が前記範囲内であると、タイヤトレッド用ゴム組成物を一部に用いたタイヤの耐磨耗性が向上する。
<重量平均分子量が10,000〜500,000であるファルネセン重合体(B)>
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、重量平均分子量が10,000〜500,000であるファルネセン重合体(B)(以下、単に「ファルネセン重合体(B)」ともいう)を含有するものである。本発明においては、ファルネセン重合体(B)を用いることにより、タイヤトレッド用ゴム組成物を一部に用いたタイヤの転がり抵抗性能が向上し、転がり抵抗性能に優れるタイヤを製造することができる。
なお、本発明においてファルネセン重合体(B)は、ファルネセン由来の単量体単位(b1)(以下、単に「単量体単位(b1)」ともいう)を5質量%以上含む重合体をいう。
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、重量平均分子量が10,000〜500,000であるファルネセン重合体(B)(以下、単に「ファルネセン重合体(B)」ともいう)を含有するものである。本発明においては、ファルネセン重合体(B)を用いることにより、タイヤトレッド用ゴム組成物を一部に用いたタイヤの転がり抵抗性能が向上し、転がり抵抗性能に優れるタイヤを製造することができる。
なお、本発明においてファルネセン重合体(B)は、ファルネセン由来の単量体単位(b1)(以下、単に「単量体単位(b1)」ともいう)を5質量%以上含む重合体をいう。
〔単量体単位(b1)〕
単量体単位(b1)は、ファルネセンに由来する単量体単位であって、α−ファルネセン由来の単量体単位であってもよく、また、下記式(I)で表されるβ−ファルネセン由来の単量体単位であってもよく、α−ファルネセン由来の単量体単位とβ−ファルネセン由来の単量体単位とを含むものであってもよいが、製造容易性の観点から、β−ファルネセン由来の単量体単位が好ましい。つまり、ファルネセン重合体(B)は、α−ファルネセン由来の単量体単位を含む重合体であってもよく、また、β−ファルネセン由来の単量体単位を含む重合体であってもよく、更に、α−ファルネセン由来の単量体単位とβ−ファルネセン由来の単量体単位とを含む重合体であってもよい。中でも、製造容易性の観点から、β−ファルネセン由来の単量体単位を含む重合体が好ましく、β−ファルネセンの単独重合体が更に好ましい。
単量体単位(b1)は、ファルネセンに由来する単量体単位であって、α−ファルネセン由来の単量体単位であってもよく、また、下記式(I)で表されるβ−ファルネセン由来の単量体単位であってもよく、α−ファルネセン由来の単量体単位とβ−ファルネセン由来の単量体単位とを含むものであってもよいが、製造容易性の観点から、β−ファルネセン由来の単量体単位が好ましい。つまり、ファルネセン重合体(B)は、α−ファルネセン由来の単量体単位を含む重合体であってもよく、また、β−ファルネセン由来の単量体単位を含む重合体であってもよく、更に、α−ファルネセン由来の単量体単位とβ−ファルネセン由来の単量体単位とを含む重合体であってもよい。中でも、製造容易性の観点から、β−ファルネセン由来の単量体単位を含む重合体が好ましく、β−ファルネセンの単独重合体が更に好ましい。
単量体単位(b1)中におけるβ−ファルネセン由来の単量体単位の含有量は、製造容易性の観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは実質的に100質量%である。
本発明におけるファルネセン重合体(B)は、ファルネセン由来の単量体単位(b1)とファルネセン以外の単量体に由来する単量体単位(b2)(以下、単に「単量体単位(b2)」ともいう)を含有する共重合体であってもよい。
単量体単位(b2)を構成するファルネセン以外の他の単量体としては、ファルネセンと共重合可能なものであれば特に限定されず、例えば、芳香族ビニル化合物、ファルネセン以外の共役ジエン化合物、(メタ)アクリル酸及びその誘導体、(メタ)アクリルアミド及びその誘導体、及びアクリロニトリル等が挙げられる。
単量体単位(b2)を構成するファルネセン以外の他の単量体としては、ファルネセンと共重合可能なものであれば特に限定されず、例えば、芳香族ビニル化合物、ファルネセン以外の共役ジエン化合物、(メタ)アクリル酸及びその誘導体、(メタ)アクリルアミド及びその誘導体、及びアクリロニトリル等が挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−t−ブチルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、N,N−ジエチル−4−アミノエチルスチレン、ビニルピリジン、4−メトキシスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、及びジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物等が挙げられる。これらの中では、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレンが好ましい。これらの芳香族ビニル化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ファルネセン以外の共役ジエン化合物としては、例えば、炭素数12以下の共役ジエンを挙げることができる。炭素数12以下の共役ジエンとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−ブタジエン、2−フェニル−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、2−メチル−1,3−オクタジエン、1,3,7−オクタトリエン、ミルセン、及びクロロプレン等が挙げられる。これらの中ではブタジエン、イソプレン、ミルセンがより好ましい。これらの共役ジエン化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル酸及びその誘導体としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、(メタ)アクリル酸トリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、及び(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル等が挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸及びその誘導体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリルアミドの誘導体としては、ジメチル(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド塩化メチル4級塩、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、及び2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。これらの(メタ)アクリルアミド及びその誘導体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体単位(b2)としては、タイヤトレッド用ゴム組成物の加工性及びタイヤトレッド用ゴム組成物を一部に用いたタイヤの制動性能を向上させる観点から、好ましくは芳香族ビニル化合物由来の単量体単位、及びファルネセン以外の共役ジエン化合物由来の単量体単位から選ばれる1種以上であり、より好ましくはスチレン、ブタジエン及びイソプレンから選ばれる1種以上に由来する単量体単位である。単量体単位(b2)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体単位(b2)が芳香族ビニル化合物である場合において、単量体単位(b1)及び(b2)の合計中における単量体単位(b1)の含有量は、タイヤトレッド用ゴム組成物を一部に用いたタイヤの転がり抵抗性能、強度、耐摩耗性、及び耐ブリード性能を向上させる観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、より更に好ましくは40質量%以上、より更に好ましくは50質量%以上、より更に好ましくは55質量%以上、より更に好ましくは60質量%以上、より更に好ましくは65質量%以上、より更に好ましくは70質量%以上であり、そして、好ましくは100質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは85質量%以下、より更に好ましくは80質量%以下である。
単量体単位(b2)がファルネセン以外の共役ジエン化合物である場合において、単量体単位(b1)及び(b2)の合計中における単量体単位(b1)の含有量は、タイヤトレッド用ゴム組成物を一部に用いたタイヤの転がり抵抗性能、強度、耐摩耗性、及び耐ブリード性能を向上させる観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、より更に好ましくは40質量%以上、より更に好ましくは45質量%以上、より更に好ましくは50質量%以上、より更に好ましくは55質量%以上、より更に好ましくは58質量%以上であり、そして、好ましくは100質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下、より更に好ましくは70質量%以下、より更に好ましくは65質量%以下である。
〔ファルネセン重合体(B)の物性〕
本発明においては、重量平均分子量が10,000〜500,000であるファルネセン重合体(B)を用いる。ファルネセン重合体(B)の重量平均分子量が10,000〜500,000であると、タイヤトレッド用ゴム組成物を一部に用いたタイヤの転がり抵抗性能を向上させることができる。
ファルネセン重合体(B)の重量平均分子量(Mw)は、ゴム成分(A)との架橋を生じやすくさせタイヤトレッド用ゴム組成物を一部に用いたタイヤの転がり抵抗性能、強度、耐摩耗性、及び耐ブリード性能を向上させる観点から、好ましくは20,000以上、より好ましくは40,000以上、更に好ましくは60,000以上、より更に好ましくは70,000以上、より更に好ましくは75,000以上、より更に好ましくは80,000以上、より更に好ましくは90,000以上、より更に好ましくは95,000以上であり、そして、タイヤトレッド用ゴム組成物の加工性を向上させる観点から、好ましくは400,000以下、より好ましくは300,000以下、より更に好ましくは200,000以下、より更に好ましくは180,000以下、より更に好ましくは170,000以下、より更に好ましくは、160,000以下、より更に好ましくは150,000以下、より更に好ましくは140,000以下、より更に好ましくは130,000以下、より更に好ましくは120,000以下である。なお、本明細書におけるファルネセン重合体(B)の重量平均分子量は、後述する実施例に記載した方法で求めた値である。
本発明においては、重量平均分子量が異なる2種以上のファルネセン重合体(B)を併用してもよい。
本発明においては、重量平均分子量が10,000〜500,000であるファルネセン重合体(B)を用いる。ファルネセン重合体(B)の重量平均分子量が10,000〜500,000であると、タイヤトレッド用ゴム組成物を一部に用いたタイヤの転がり抵抗性能を向上させることができる。
ファルネセン重合体(B)の重量平均分子量(Mw)は、ゴム成分(A)との架橋を生じやすくさせタイヤトレッド用ゴム組成物を一部に用いたタイヤの転がり抵抗性能、強度、耐摩耗性、及び耐ブリード性能を向上させる観点から、好ましくは20,000以上、より好ましくは40,000以上、更に好ましくは60,000以上、より更に好ましくは70,000以上、より更に好ましくは75,000以上、より更に好ましくは80,000以上、より更に好ましくは90,000以上、より更に好ましくは95,000以上であり、そして、タイヤトレッド用ゴム組成物の加工性を向上させる観点から、好ましくは400,000以下、より好ましくは300,000以下、より更に好ましくは200,000以下、より更に好ましくは180,000以下、より更に好ましくは170,000以下、より更に好ましくは、160,000以下、より更に好ましくは150,000以下、より更に好ましくは140,000以下、より更に好ましくは130,000以下、より更に好ましくは120,000以下である。なお、本明細書におけるファルネセン重合体(B)の重量平均分子量は、後述する実施例に記載した方法で求めた値である。
本発明においては、重量平均分子量が異なる2種以上のファルネセン重合体(B)を併用してもよい。
ファルネセン重合体(B)の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜8.0、より好ましくは1.0〜5.0、更に好ましくは1.0〜3.0、より更に好ましくは1.0〜2.5、より更に好ましくは1.0〜2.0、より更に好ましくは1.0〜1.5である。分子量分布(Mw/Mn)が前記範囲内であると、ファルネセン重合体(B)の粘度のばらつきが小さくなるため好ましい。
本発明において用いるファルネセン重合体(B)のガラス転移温度は、タイヤトレッド用ゴム組成物を一部に用いたタイヤの転がり抵抗性能、強度、耐摩耗性、及び耐ブリード性能を向上させる観点から、好ましく−40℃以下、より好ましくは−45℃以下、更に好ましくは−50℃以下、より更に好ましくは−55℃以下、より更に好ましくは−60℃以下、より更に好ましくは−65℃以下であり、そして、好ましくは−90℃以上、より好ましくは−85℃以上、更に好ましくは−80℃以上である。なお、ファルネセン重合体(B)のガラス転移温度は、ファルネセン重合体(B)の単量体単位(b2)の種類やビニル含量等により調整することができる。
ファルネセン重合体(B)の38℃における溶融粘度は、好ましくは0.1Pa・s以上、より好ましくは1.0Pa・s以上、より更に好ましくは5.0Pa・s以上、より更に好ましくは10Pa・s以上、より更に好ましくは20Pa・s以上、より更に好ましくは50Pa・s以上であり、そして、タイヤトレッド用ゴム組成物の加工性を向上させる観点から、好ましくは3,000Pa・s以下、より好ましくは2,000Pa・s以下、より更に好ましくは1,000Pa・s以下、より更に好ましくは750Pa・s以下、より更に好ましくは500Pa・s以下、より更に好ましくは250Pa・s以下である。なお、本明細書においてファルネセン重合体(B)の溶融粘度は、後述する実施例に記載した方法で求めた値である。
ファルネセン重合体(B)のビニル含量(ビニル化度)は、好ましくは3質量%以上、より好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下、より更に好ましくは50質量%以下である。ファルネセン重合体(B)のビニル含量が前記範囲内であると、アイスグリップ性能が向上し、また、弾性率が向上して操縦安定性が良好となり、更に転がり抵抗性能も向上する。なお、本明細書においてビニル含量とは、β−ファルネセン由来の単量体単位を含む重合体(B)においては、全β−ファルネセン由来の単量体単位のうち、1,4結合を除く結合様式の含有量のことであり、1H−NMRを用いることにより測定できる。
ゴム成分(A)100質量部に対するファルネセン重合体(B)の量は0.1〜50質量部である。ファルネセン重合体(B)の量が前記範囲内であると、タイヤトレッド用ゴム組成物を一部に用いたタイヤの転がり抵抗性能、強度、耐摩耗性、及び耐ブリード性能を向上させることができる。前述の観点から、ゴム成分(A)100質量部に対するファルネセン重合体(B)の量は、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは3質量部以上であり、そして、好ましくは40質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下、より更に好ましくは15質量部以下、より更に好ましくは10質量部以下である。
〔ファルネセン重合体(B)の製造方法〕
ファルネセン重合体(B)は乳化重合法や、国際公開第2010/027463号、国際公開第2010/027464号に記載の方法等により製造することができ、中でも、乳化重合法又は溶液重合法が好ましく、溶液重合法が更に好ましい。
ファルネセン重合体(B)は乳化重合法や、国際公開第2010/027463号、国際公開第2010/027464号に記載の方法等により製造することができ、中でも、乳化重合法又は溶液重合法が好ましく、溶液重合法が更に好ましい。
(乳化重合法)
ファルネセン重合体(B)を得るための乳化重合法としては公知の方法を適用できる。例えば、所定量のファルネセン単量体を乳化剤の存在下に乳化分散させ、ラジカル重合開始剤により乳化重合する。
乳化剤としては、例えば、炭素数10以上の長鎖脂肪酸塩又はロジン酸塩が用いられる。具体例としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸のカリウム塩又はナトリウム塩が挙げられる。
分散媒としては通常、水が使用され、重合時の安定性が阻害されない範囲で、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒を含んでいてもよい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウムのような過硫酸塩、有機過酸化物、及び過酸化水素等が挙げられる。
ファルネセン重合体(B)の分子量を調整するため、連鎖移動剤を使用することもできる。連鎖移動剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、チオグリコール酸、ジテルペン、ターピノーレン、γ−テルピネン、及びα−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
ファルネセン重合体(B)を得るための乳化重合法としては公知の方法を適用できる。例えば、所定量のファルネセン単量体を乳化剤の存在下に乳化分散させ、ラジカル重合開始剤により乳化重合する。
乳化剤としては、例えば、炭素数10以上の長鎖脂肪酸塩又はロジン酸塩が用いられる。具体例としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸のカリウム塩又はナトリウム塩が挙げられる。
分散媒としては通常、水が使用され、重合時の安定性が阻害されない範囲で、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒を含んでいてもよい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウムのような過硫酸塩、有機過酸化物、及び過酸化水素等が挙げられる。
ファルネセン重合体(B)の分子量を調整するため、連鎖移動剤を使用することもできる。連鎖移動剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、チオグリコール酸、ジテルペン、ターピノーレン、γ−テルピネン、及びα−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
乳化重合温度は、使用するラジカル重合開始剤の種類によって適宜選択できるが、通常、0〜100℃が好ましく、0〜60℃がより好ましい。重合様式は、連続重合、回分重合のいずれでもよい。重合反応は、重合停止剤の添加により停止できる。
重合停止剤としては、例えば、イソプロピルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、及びヒドロキシルアミン等のアミン化合物、ヒドロキノンやベンゾキノン等のキノン系化合物、及び亜硝酸ナトリウム等が挙げられる。
重合停止剤としては、例えば、イソプロピルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、及びヒドロキシルアミン等のアミン化合物、ヒドロキノンやベンゾキノン等のキノン系化合物、及び亜硝酸ナトリウム等が挙げられる。
ファルネセン重合体(B)の製造方法においては重合反応停止後、必要に応じて老化防止剤を添加してもよい。重合反応停止後、得られたラテックスから必要に応じて未反応単量体を除去し、次いで、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、及び塩化カリウム等の塩を凝固剤とし、必要に応じて硝酸、及び硫酸等の酸を添加して凝固系のpHを所定の値に調整しながら、得られた重合体を凝固させた後、分散溶媒を分離することによって未精製の重合体を回収する。次いで水洗し、脱水した後、乾燥することによりファルネセン重合体(B)を得ることができる。なお、凝固の際に、必要に応じて予めラテックスと乳化分散液にした伸展油とを混合し、油展のファルネセン重合体(B)として回収してもよい。
(溶液重合法)
ファルネセン重合体(B)を得るための溶液重合法としては、公知の方法を適用できる。例えば、溶媒中で、チーグラー系触媒、メタロセン系触媒、アニオン重合可能な活性金属を使用し、必要に応じて極性化合物の存在下で重合する方法を挙げることができる。
アニオン重合可能な活性金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、及びカリウム等のアルカリ金属;ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、及びバリウム等のアルカリ土類金属;ランタン、及びネオジム等のランタノイド系希土類金属等が挙げられる。
中でもアルカリ金属及びアルカリ土類金属が好ましく、アルカリ金属がより好ましく、アルカリ金属は有機アルカリ金属化合物として用いることが好ましい。
ファルネセン重合体(B)を得るための溶液重合法としては、公知の方法を適用できる。例えば、溶媒中で、チーグラー系触媒、メタロセン系触媒、アニオン重合可能な活性金属を使用し、必要に応じて極性化合物の存在下で重合する方法を挙げることができる。
アニオン重合可能な活性金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、及びカリウム等のアルカリ金属;ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、及びバリウム等のアルカリ土類金属;ランタン、及びネオジム等のランタノイド系希土類金属等が挙げられる。
中でもアルカリ金属及びアルカリ土類金属が好ましく、アルカリ金属がより好ましく、アルカリ金属は有機アルカリ金属化合物として用いることが好ましい。
有機アルカリ金属化合物としては、例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、及びスチルベンリチウム等の有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、ジリチオナフタレン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼン等の多官能性有機リチウム化合物;ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン等が挙げられる。中でも、有機モノリチウム化合物が好ましい。
有機アルカリ金属化合物は、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジベンジルアミン等の第2級アミンと反応させて、有機アルカリ金属アミドとして使用することもできる。
有機アルカリ金属化合物は、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジベンジルアミン等の第2級アミンと反応させて、有機アルカリ金属アミドとして使用することもできる。
有機アルカリ金属化合物の使用量は、ファルネセン100質量部に対して好ましくは0.001〜20質量部、より好ましくは0.01〜15質量部、更に好ましくは0.01〜10質量部である。有機アルカリ金属化合物の使用量を調整することにより、ファルネセン重合体(B)の分子量を調整することができる。
極性化合物はファルネセン重合体(B)中のファルネセンのミクロ構造を調整するため用いるものであり、例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン等の3級アミン;アルカリ金属アルコキシド、ホスフィン化合物等が挙げられる。
極性化合物を用いる場合、その使用量は、有機アルカリ金属化合物に対して好ましくは0.01〜1,000モル当量である。
極性化合物を用いる場合、その使用量は、有機アルカリ金属化合物に対して好ましくは0.01〜1,000モル当量である。
溶媒としては、例えば、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、及びイソオクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、及びメチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、及びキシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。
重合反応の温度は、通常、−80〜150℃、好ましくは0〜100℃、更に好ましくは10〜90℃である。重合様式は回分重合あるいは連続重合のいずれでもよい。
重合反応は、重合停止剤としてメタノール、及びイソプロパノール等のアルコールを添加して、反応を停止できる。得られた重合反応液をメタノール等の貧溶媒に注いでファルネセン重合体(B)を析出させるか、重合反応液を水で洗浄し、分離後、乾燥することによりファルネセン重合体(B)を単離できる。
重合反応は、重合停止剤としてメタノール、及びイソプロパノール等のアルコールを添加して、反応を停止できる。得られた重合反応液をメタノール等の貧溶媒に注いでファルネセン重合体(B)を析出させるか、重合反応液を水で洗浄し、分離後、乾燥することによりファルネセン重合体(B)を単離できる。
〔ファルネセン重合体(B)の変性方法〕
本発明においては、前述の方法で製造したファルネセン重合体(B)に対して特定の化合物を反応させることにより変性したファルネセン重合体(B)を用いてもよい。
ファルネセン重合体(B)を変性する方法としては、前述の製造方法において重合停止剤を添加する前に重合活性末端と反応し得るテトラエトキシシラン、二酸化炭素、及び酸化エチレン等の変性剤を添加する方法(I)、又は重合停止剤を添加した後、未変性のファルネセン重合体に無水マレイン酸等の変性剤をグラフト化する方法(II)等の変性方法を挙げることができる。
本発明においては、前述の方法で製造したファルネセン重合体(B)に対して特定の化合物を反応させることにより変性したファルネセン重合体(B)を用いてもよい。
ファルネセン重合体(B)を変性する方法としては、前述の製造方法において重合停止剤を添加する前に重合活性末端と反応し得るテトラエトキシシラン、二酸化炭素、及び酸化エチレン等の変性剤を添加する方法(I)、又は重合停止剤を添加した後、未変性のファルネセン重合体に無水マレイン酸等の変性剤をグラフト化する方法(II)等の変性方法を挙げることができる。
未変性のファルネセン重合体(B)に導入される官能基としては、例えば、アミノ基、アンモニウム基、アミド基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、アルコキシシリル基、シラノール基、ヒドロキシ基、エポキシ基、エーテル基、カルボキシ基、カルボニル基、カルボン酸エステル基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、メルカプト基、イソシアネート基、ニトリル基、ハロゲン化珪素基、ハロゲン化錫基、ピリジン環基、及び酸無水物由来の官能基等が挙げられる。これらの中でも、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシシリル基、エポキシ基、ピリジン環基、及び酸無水物由来の官能基から選ばれる1種以上が好ましく、酸無水物由来の官能基がより好ましく、無水マレイン酸由来の官能基が更に好ましい。
未変性のファルネセン重合体(B)に対して導入される官能基の位置は、重合末端であってもよく、未変性のファルネセン重合体(B)の側鎖であってもよいが、複数の官能基を容易に導入できるという観点から、重合鎖の側鎖が好ましい。
本発明における変性されたファルネセン重合体(B)は、未変性のファルネセン重合体(B)に対して、1種の官能基を導入したものであってもよく、2種以上の官能基を導入したものであってもよい。
本発明における変性されたファルネセン重合体(B)は、未変性のファルネセン重合体(B)に対して、1種の官能基を導入したものであってもよく、2種以上の官能基を導入したものであってもよい。
方法(I)において用いることができる変性剤としては、例えば、ジメチルジエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、2,4−トリレンジイソシアネート、二酸化炭素、酸化エチレン、無水コハク酸、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、N−ビニルピロリドン、N−メチルピロリドン、ビニルピリジン、4−ジメチルアミノベンジリデンアニリン、及びジメチルイミダゾリジノン等の変性剤、又は特開2011−132298号公報に記載の変性剤が挙げられる。
方法(I)に用いる変性剤の量は、有機アルカリ金属化合物に対して好ましくは0.01〜100モル等量である。
方法(I)に用いる変性剤の量は、有機アルカリ金属化合物に対して好ましくは0.01〜100モル等量である。
方法(II)において用いることができる変性剤としては、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水2,3−ジメチルマレイン酸、及び無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸無水物;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、及びイタコン酸等の不飽和カルボン酸;マレイン酸エステル、フマル酸エステル、シトラコン酸エステル、及びイタコン酸エステル等の不飽和カルボン酸エステル;マレイン酸アミド、フマル酸アミド、シトラコン酸アミド、及びイタコン酸アミド等の不飽和カルボン酸アミド;マレイン酸イミド、フマル酸イミド、シトラコン酸イミド、及びイタコン酸イミド等の不飽和カルボン酸イミド;マレイミド、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド、(3−メルカプトプロピル)トリメトキシシラン、(3−メルカプトプロピル)トリエトキシシラン、トリエトキシメチルシラン、ヒドロキシ酢酸、(3−アミノプロピル)トリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、及びγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
方法(II)において、変性剤を未変性のファルネセン重合体(B)にグラフト化する方法は特に限定されず、例えば、未変性のファルネセン重合体(B)と変性剤と必要に応じてラジカル触媒を加えて、有機溶媒の存在下又は非存在下で加熱する方法を挙げることができる。
方法(II)において使用することができる有機溶媒としては、炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒が挙げられる。これらの有機溶媒の中でも、n−ブタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、及びキシレン等の炭化水素系溶媒が好ましい。
方法(II)において使用することができる有機溶媒としては、炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒が挙げられる。これらの有機溶媒の中でも、n−ブタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、及びキシレン等の炭化水素系溶媒が好ましい。
方法(I)及び方法(II)における反応温度は、好ましくは−80〜200℃、より好ましくは0〜180℃である。
また、方法(I)及び方法(II)においては、副反応を抑制する観点等から老化防止剤を添加してもよい。
また、方法(I)及び方法(II)においては、副反応を抑制する観点等から老化防止剤を添加してもよい。
未変性のファルネセン重合体(B)100質量部に対して導入された変性剤の量は、タイヤトレッド用ゴム組成物を一部に用いたタイヤの転がり抵抗性能を向上させる観点、及びタイヤの弾性率を向上させることにより操縦安定性能を良好にする観点から、好ましくは0.1〜100質量部、より好ましくは0.1〜60質量部、更に好ましくは0.5〜40質量部、より更に好ましくは0.5〜20質量部である。
方法(I)及び方法(II)においては、未変性のファルネセン重合体(B)に官能基を導入した後、更に該官能基と反応し得る変性剤を添加して別の官能基を重合体中に導入してもよい。具体的には、未変性のファルネセン重合体(B)に対して無水カルボン酸を反応させた後、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、メタノール、水、アンモニア、及びアミン等の化合物を反応させる方法が挙げられる。
<フィラー(C)>
フィラー(C)としては、タイヤトレッド用ゴム組成物に一般的に用いるものであれば特に制限はないが、タイヤトレッド用ゴム組成物中におけるフィラー(C)の分散性を向上させる観点、タイヤトレッド用ゴム組成物を一部に用いたタイヤの転がり抵抗性能及び操縦安定性を向上させる観点から、シリカ及びカーボンブラックから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
フィラー(C)としては、タイヤトレッド用ゴム組成物に一般的に用いるものであれば特に制限はないが、タイヤトレッド用ゴム組成物中におけるフィラー(C)の分散性を向上させる観点、タイヤトレッド用ゴム組成物を一部に用いたタイヤの転がり抵抗性能及び操縦安定性を向上させる観点から、シリカ及びカーボンブラックから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
〔シリカ〕
シリカとしては、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられる。中でも、タイヤトレッド用ゴム組成物を一部に用いたタイヤの転がり抵抗性能及び操縦安定性を一層向上させる観点から、湿式シリカが好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカとしては、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられる。中でも、タイヤトレッド用ゴム組成物を一部に用いたタイヤの転がり抵抗性能及び操縦安定性を一層向上させる観点から、湿式シリカが好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカの平均粒径は、タイヤトレッド用ゴム組成物の加工性、タイヤトレッド用ゴム組成物を一部に用いたタイヤの転がり抵抗性能、成形加工性、耐摩耗性及び操縦安定性を向上させる観点から、好ましくは0.5nm以上、より好ましくは2nm以上、更に好ましくは5nm以上、より更に好ましくは8nm以上、より更に好ましくは10nm以上であり、そして、好ましくは200nm以下、より好ましくは150nm以下、更に好ましくは100nm以下、より更に好ましくは50nm以下、より更に好ましくは30nm以下、より更に好ましく20nm以下である。
なお、シリカの平均粒径は、透過型電子顕微鏡により粒子の直径を測定して、その平均値を算出することにより求めることができる。
なお、シリカの平均粒径は、透過型電子顕微鏡により粒子の直径を測定して、その平均値を算出することにより求めることができる。
〔カーボンブラック〕
カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、及びケッチェンブラック等のカーボンブラックを用いることができる。これらの中では、タイヤトレッド用ゴム組成物を一部に用いたタイヤの転がり抵抗性能及び操縦安定性を向上させる観点から、ファーネスブラックが好ましい。
カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、及びケッチェンブラック等のカーボンブラックを用いることができる。これらの中では、タイヤトレッド用ゴム組成物を一部に用いたタイヤの転がり抵抗性能及び操縦安定性を向上させる観点から、ファーネスブラックが好ましい。
本発明に用いることができるファーネスブラックの市販品としては、例えば、三菱化学株式会社「ダイアブラック」、東海カーボン株式会社製「シースト」等が挙げられる。アセチレンブラックの市販品としては、例えば、電気化学工業株式会社製「デンカブラック」が挙げられる。ケッチェンブラックの市販品としては、例えば、ライオン株式会社製「ECP600JD」が挙げられる。
カーボンブラックの平均粒径は、タイヤトレッド用ゴム組成物を一部に用いたタイヤの転がり抵抗性能、成形加工性、耐摩耗性及び操縦安定性を向上させる観点から、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、更に好ましくは15nm以上であり、そして、好ましくは100nm以下、より好ましくは80nm以下、更に好ましくは70nm以下、より更に好ましくは60nm以下である。なお、カーボンブラックの平均粒径は、透過型電子顕微鏡により粒子の直径を測定してその平均値を算出することにより求めることができる。
カーボンブラックは、粉砕等により粒度を調整することができる。カーボンブラックの粉砕には、高速回転粉砕機(ハンマーミル、ピンミル、ケージミル)や各種ボールミル(転動ミル、振動ミル、遊星ミル)、撹拌ミル(ビーズミル、アトライター、流通管型ミル、アニュラーミル)等が使用できる。
カーボンブラックは、ゴム成分(A)及びファルネセン重合体(B)への濡れ性や分散性を向上させる観点から、硝酸、硫酸、塩酸又はこれらの混合酸等による酸処理や、空気存在下での熱処理による表面酸化処理を行ってもよい。また、本発明においては、機械強度向上の観点から、黒鉛化触媒の存在下に2,000〜3,000℃で熱処理を行ってもよい。なお、黒鉛化触媒としては、ホウ素、ホウ素酸化物(例えば、B2O2、B2O3、B4O3、B4O5等)、ホウ素オキソ酸(例えば、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸等)及びその塩、ホウ素炭化物(例えば、B4C、B6C等)、窒化ホウ素(BN)、その他のホウ素化合物が好適に用いられる。
〔その他のフィラー〕
本発明においては、タイヤトレッド用ゴム組成物を一部に用いたタイヤの機械強度を向上させること、及びフィラーを増量剤として配合することによる製造コストの改善等を目的として、シリカ及びカーボンブラック以外のフィラーを含有していてもよい。
本発明においては、タイヤトレッド用ゴム組成物を一部に用いたタイヤの機械強度を向上させること、及びフィラーを増量剤として配合することによる製造コストの改善等を目的として、シリカ及びカーボンブラック以外のフィラーを含有していてもよい。
シリカ及びカーボンブラック以外のフィラーとしては、例えば、有機充填剤や、クレー、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化チタン、ガラス繊維、繊維状フィラー、及びガラスバルーン等の無機充填剤を使用できる。これらのフィラーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム成分(A)100質量部に対するフィラー(C)の量は20〜150質量部である。フィラー(C)の量が前記範囲内であると、タイヤトレッド用ゴム組成物を一部に用いたタイヤの転がり抵抗性能、成形加工性、耐摩耗性及び操縦安定性が向上する。前述の観点から、ゴム成分(A)100質量部に対するフィラー(C)の量は、好ましくは25質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは35質量部以上、より更に好ましくは40質量部以上であり、そして、好ましくは130質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは80質量部以下、より更に好ましくは60質量部以下、より更に好ましくは50質量部以下である。
フィラー(C)としてカーボンブラックを用いる場合、ゴム成分(A)100質量部に対するカーボンブラックの量は、タイヤトレッド用ゴム組成物を一部に用いたタイヤの転がり抵抗性能、耐摩耗性及び操縦安定性を向上させる観点から、20質量部以上、好ましくは25質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは35質量部以上、より更に好ましくは38質量部以上であり、そして、好ましくは90質量部以下、より好ましくは75質量部以下、更に好ましくは65質量部以下、より更に好ましくは60質量部以下、より更に好ましくは55質量部以下、より更に好ましくは50質量部以下、より更に好ましくは45質量部以下である。
<その他の成分>
〔シランカップリング剤〕
本発明においては、シランカップリング剤を含有してもよい。シランカップリング剤としては、スルフィド系化合物、メルカプト系化合物、ビニル系化合物、アミノ系化合物、グリシドキシ系化合物、ニトロ系化合物、及びクロロ系化合物等が挙げられる。
〔シランカップリング剤〕
本発明においては、シランカップリング剤を含有してもよい。シランカップリング剤としては、スルフィド系化合物、メルカプト系化合物、ビニル系化合物、アミノ系化合物、グリシドキシ系化合物、ニトロ系化合物、及びクロロ系化合物等が挙げられる。
スルフィド系化合物としては、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリメトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド等が挙げられる。
メルカプト系化合物としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
ビニル系化合物としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ビニル系化合物としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
アミノ系化合物としては、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
グリシドキシ系化合物としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
ニトロ系化合物としては、例えば、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
クロロ系化合物としては、例えば、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
グリシドキシ系化合物としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
ニトロ系化合物としては、例えば、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
クロロ系化合物としては、例えば、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
これらのシランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、補強効果が大きい観点から、スルフィド系化合物及びメルカプト系化合物等の硫黄を含有するシランカップリング剤が好ましく、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランがより好ましい。
タイヤトレッド用ゴム組成物がシランカップリング剤を含有する場合、その量は、ゴム成分(A)100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは0.5〜20質量部、更に好ましくは1〜15質量部である。シランカップリング剤の量が前記範囲内であると、タイヤトレッド用ゴム組成物を一部に用いたタイヤの耐摩耗性が向上する。
〔加硫剤〕
タイヤトレッド用ゴム組成物は、加硫する際に加硫剤を含有するものである。加硫剤としては、例えば、硫黄及び硫黄化合物が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
タイヤトレッド用ゴム組成物を加硫する際の加硫剤の量は、ゴム成分(A)100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜10質量部、更に好ましくは0.8〜5質量部である。
タイヤトレッド用ゴム組成物は、加硫する際に加硫剤を含有するものである。加硫剤としては、例えば、硫黄及び硫黄化合物が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
タイヤトレッド用ゴム組成物を加硫する際の加硫剤の量は、ゴム成分(A)100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜10質量部、更に好ましくは0.8〜5質量部である。
〔加硫促進剤〕
タイヤトレッド用ゴム組成物は加硫促進剤を含有してもよい。加硫促進剤としては、例えば、グアニジン系化合物、スルフェンアミド系化合物、チアゾール系化合物、チウラム系化合物、チオウレア系化合物、ジチオカルバミン酸系化合物、アルデヒド−アミン系化合物、アルデヒド−アンモニア系化合物、イミダゾリン系化合物、及びキサンテート系化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
タイヤトレッド用ゴム組成物は加硫促進剤を含有してもよい。加硫促進剤としては、例えば、グアニジン系化合物、スルフェンアミド系化合物、チアゾール系化合物、チウラム系化合物、チオウレア系化合物、ジチオカルバミン酸系化合物、アルデヒド−アミン系化合物、アルデヒド−アンモニア系化合物、イミダゾリン系化合物、及びキサンテート系化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
タイヤトレッド用ゴム組成物が加硫促進剤を含有する場合、その含有量は、ゴム成分(A)100質量部に対して、0.1〜15質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。
〔加硫助剤〕
タイヤトレッド用ゴム組成物は加硫助剤を含有してもよい。加硫助剤としては、例えば、ステアリン酸等の脂肪酸、亜鉛華等の金属酸化物、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
タイヤトレッド用ゴム組成物は加硫助剤を含有してもよい。加硫助剤としては、例えば、ステアリン酸等の脂肪酸、亜鉛華等の金属酸化物、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
タイヤトレッド用ゴム組成物が加硫助剤を含有する場合、その含有量は、ゴム成分(A)100質量部に対して、好ましくは0.1〜15質量部、より好ましくは1〜10質量部である。
〔その他〕
タイヤトレッド用ゴム組成物は、加工性、流動性等の改良を目的として必要に応じて、シリコンオイル、アロマオイル、TDAE(Treated Distilled Aromatic Extracts)、MES(Mild Extracted Solvates)、RAE(Residual Aromatic Extracts)、パラフィンオイル、ナフテンオイル等のプロセスオイル、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、C9系樹脂、ロジン系樹脂、クマロン・インデン系樹脂、フェノール系樹脂等の樹脂成分、低分子量ポリブタジエン、低分子量ポリイソプレン、低分子量スチレンブタジエン重合体、及び低分子量スチレンイソプレン重合体等の液状重合体を軟化剤として含有していてもよい。
前記液状重合体の重量平均分子量(Mw)は、加工性の観点から、500〜100,000が好ましい。なお、本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物においては、前記ファルネセン重合体(B)が軟化剤としての役割を果たすため、前述のファルネセン重合体(B)以外の軟化剤は含有しないことが好ましい。前記プロセスオイル、樹脂成分、液状重合体を軟化剤として含有する場合は、耐ブリード性能の観点から、その量は、ゴム成分(A)100質量部に対して、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である。
タイヤトレッド用ゴム組成物は、加工性、流動性等の改良を目的として必要に応じて、シリコンオイル、アロマオイル、TDAE(Treated Distilled Aromatic Extracts)、MES(Mild Extracted Solvates)、RAE(Residual Aromatic Extracts)、パラフィンオイル、ナフテンオイル等のプロセスオイル、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、C9系樹脂、ロジン系樹脂、クマロン・インデン系樹脂、フェノール系樹脂等の樹脂成分、低分子量ポリブタジエン、低分子量ポリイソプレン、低分子量スチレンブタジエン重合体、及び低分子量スチレンイソプレン重合体等の液状重合体を軟化剤として含有していてもよい。
前記液状重合体の重量平均分子量(Mw)は、加工性の観点から、500〜100,000が好ましい。なお、本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物においては、前記ファルネセン重合体(B)が軟化剤としての役割を果たすため、前述のファルネセン重合体(B)以外の軟化剤は含有しないことが好ましい。前記プロセスオイル、樹脂成分、液状重合体を軟化剤として含有する場合は、耐ブリード性能の観点から、その量は、ゴム成分(A)100質量部に対して、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である。
タイヤトレッド用ゴム組成物は、耐候性、耐熱性、及び耐酸化性等の向上を目的として、老化防止剤、酸化防止剤、ワックス、滑剤、光安定剤、スコーチ防止剤、加工助剤、顔料や色素等の着色剤、難燃剤、帯電防止剤、艶消し剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、発泡剤、抗菌剤、防カビ剤、及び香料等の添加剤を1種又は2種以上含有していてもよい。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、リン系化合物、ラクトン系化合物、ヒドロキシル系化合物等が挙げられる。
老化防止剤としては、例えば、アミン−ケトン系化合物、イミダゾール系化合物、アミン系化合物、フェノール系化合物、硫黄系化合物及びリン系化合物等が挙げられる。
老化防止剤としては、例えば、アミン−ケトン系化合物、イミダゾール系化合物、アミン系化合物、フェノール系化合物、硫黄系化合物及びリン系化合物等が挙げられる。
タイヤトレッド用ゴム組成物は加硫剤の他に架橋剤を含有してもよい。架橋剤としては、例えば、酸素、有機過酸化物、フェノール樹脂、アミノ樹脂、キノン及びキノンジオキシム誘導体、ハロゲン化合物、アルデヒド化合物、アルコール化合物、エポキシ化合物、金属ハロゲン化物、有機金属ハロゲン化物、及びシラン化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。架橋剤の量は、ゴム成分(A)100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部である。
<タイヤトレッド用ゴム組成物の製造方法>
タイヤトレッド用ゴム組成物の製造方法は、前記各成分を均一に混合することができれば制限はない。均一に混合する方法としては、例えば、ニーダールーダー、ブラベンダー、バンバリーミキサー、インターナルミキサー等の接線式もしくは噛合式の密閉式混練機、単軸押出機、二軸押出機、ミキシングロール、及びローラー等が挙げられ、通常30〜270℃の温度範囲で行うことができる。
タイヤトレッド用ゴム組成物の製造方法は、前記各成分を均一に混合することができれば制限はない。均一に混合する方法としては、例えば、ニーダールーダー、ブラベンダー、バンバリーミキサー、インターナルミキサー等の接線式もしくは噛合式の密閉式混練機、単軸押出機、二軸押出機、ミキシングロール、及びローラー等が挙げられ、通常30〜270℃の温度範囲で行うことができる。
タイヤトレッド用ゴム組成物の加硫の条件及び方法に特に制限はないが、加硫金型を用いて加硫温度120〜200℃及び加硫圧力0.5〜20MPaの条件で行うことが好ましい。
[タイヤトレッド及び重荷重タイヤ]
本発明のタイヤトレッドは、前記タイヤトレッド用ゴム組成物を少なくとも一部に用いたものであり、優れた転がり抵抗性能を示すと共に、良好な強度及び耐摩耗性を示すものである。本発明のタイヤトレッドの構造は特に制限されず、一層構造であっても多層構造であってもよいが、多層構造とする場合は、路面と接触する層に前記タイヤトレッド用ゴム組成物を用いることが好ましい。
本発明のタイヤトレッドは、前記タイヤトレッド用ゴム組成物を少なくとも一部に用いたものであり、優れた転がり抵抗性能を示すと共に、良好な強度及び耐摩耗性を示すものである。本発明のタイヤトレッドの構造は特に制限されず、一層構造であっても多層構造であってもよいが、多層構造とする場合は、路面と接触する層に前記タイヤトレッド用ゴム組成物を用いることが好ましい。
本発明の重荷重タイヤは、前記タイヤトレッド用ゴム組成物を少なくとも一部に用いたものであり、特に前記タイヤトレッドを用いたものが好ましい。また、本発明の重荷重タイヤは、空気入りタイヤであることが好ましい。本発明の重荷重タイヤは、前記タイヤトレッド用ゴム組成物を一部に用いているため、優れた転がり抵抗性能を示すと共に、良好な強度及び耐摩耗性を示すものであり、トラック用、バス用、及び建設車両用等の重荷重タイヤとして用いることができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。本実施例及び比較例において使用した各成分は以下のとおりである。
<(A)成分>
天然ゴム:STR20(タイ製天然ゴム)
<(A)成分>
天然ゴム:STR20(タイ製天然ゴム)
<(B)成分>
後述する製造例1〜5で得られたファルネセン重合体(B)
後述する製造例1〜5で得られたファルネセン重合体(B)
<(C)成分>
カーボンブラック:三菱化学株式会社製 ダイアブラックI
平均粒径20nm
カーボンブラック:三菱化学株式会社製 ダイアブラックI
平均粒径20nm
<(X)成分>
(B)成分の比較用に下記(X)成分を用いた。
TDAE:H&R社製 VivaTec500
後述する比較製造例1で得られた重量平均分子量が9,000であるファルネセン重合体(X−1)
(B)成分の比較用に下記(X)成分を用いた。
TDAE:H&R社製 VivaTec500
後述する比較製造例1で得られた重量平均分子量が9,000であるファルネセン重合体(X−1)
<その他の成分>
硫黄 :鶴見化学工業株式会社製 微粉硫黄200メッシュ
加硫促進剤(1):三新化学工業株式会社製 サンセラーNS−G
ステアリン酸 :花王株式会社製 ルナックS−20
亜鉛華 :堺化学工業株式会社製 酸化亜鉛
老化防止剤(1):大内新興化学工業株式会社製 ノクラック6C
老化防止剤(2):川口化学工業株式会社製 アンテージRD
硫黄 :鶴見化学工業株式会社製 微粉硫黄200メッシュ
加硫促進剤(1):三新化学工業株式会社製 サンセラーNS−G
ステアリン酸 :花王株式会社製 ルナックS−20
亜鉛華 :堺化学工業株式会社製 酸化亜鉛
老化防止剤(1):大内新興化学工業株式会社製 ノクラック6C
老化防止剤(2):川口化学工業株式会社製 アンテージRD
<製造例>
製造例1:ファルネセン単独重合体(B−1)の製造
乾燥させ窒素置換した耐圧容器に溶媒としてヘキサン274g、開始剤としてn−ブチルリチウム(17質量%ヘキサン溶液)1.2gを仕込み、50℃に昇温した後、β−ファルネセン272gを加えて1時間重合した。得られた重合反応液をメタノールで処理し、水を用いて重合反応液を洗浄した。洗浄後の重合反応液を水と分離して、70℃で12時間乾燥することにより、表1に示す物性を有するファルネセン単独重合体(B−1)を得た。
製造例1:ファルネセン単独重合体(B−1)の製造
乾燥させ窒素置換した耐圧容器に溶媒としてヘキサン274g、開始剤としてn−ブチルリチウム(17質量%ヘキサン溶液)1.2gを仕込み、50℃に昇温した後、β−ファルネセン272gを加えて1時間重合した。得られた重合反応液をメタノールで処理し、水を用いて重合反応液を洗浄した。洗浄後の重合反応液を水と分離して、70℃で12時間乾燥することにより、表1に示す物性を有するファルネセン単独重合体(B−1)を得た。
製造例2:ファルネセン共重合体(B−2)の製造
乾燥させ窒素置換した耐圧容器に溶媒としてシクロヘキサン2090g、開始剤としてsec−ブチルリチウム(10.5質量%シクロヘキサン溶液)8.2gを仕込み、50℃に昇温した後、イソプレン360gを10ml/分で加えて1時間重合した。続いて、重合反応液にβ−ファルネセン540gを10ml/分で加えて更に1時間重合した。得られた重合反応液をメタノールで処理し、水を用いて重合反応液を洗浄した。洗浄後の重合反応液を水と分離して、70℃で12時間乾燥することにより、表1に示す物性を有するファルネセン共重合体〔β−ファルネセン/イソプレンブロック共重合体〕(B−2)を得た。
乾燥させ窒素置換した耐圧容器に溶媒としてシクロヘキサン2090g、開始剤としてsec−ブチルリチウム(10.5質量%シクロヘキサン溶液)8.2gを仕込み、50℃に昇温した後、イソプレン360gを10ml/分で加えて1時間重合した。続いて、重合反応液にβ−ファルネセン540gを10ml/分で加えて更に1時間重合した。得られた重合反応液をメタノールで処理し、水を用いて重合反応液を洗浄した。洗浄後の重合反応液を水と分離して、70℃で12時間乾燥することにより、表1に示す物性を有するファルネセン共重合体〔β−ファルネセン/イソプレンブロック共重合体〕(B−2)を得た。
製造例3:ファルネセン共重合体(B−3)の製造
乾燥させ窒素置換した耐圧容器に溶媒としてシクロヘキサン1790g、開始剤としてsec−ブチルリチウム(10.5質量%シクロヘキサン溶液)12.4gを仕込み、50℃に昇温した後、予め調製したブタジエンとβ−ファルネセンとの混合物(ブタジエン480gとβ−ファルネセン720gとをボンベ内で混合)1200gを10ml/分で加えて1時間重合した。得られた重合反応液をメタノールで処理し、水を用いて重合反応液を洗浄した。洗浄後の重合反応液を水と分離して、70℃で12時間乾燥することにより、表1に示す物性を有するファルネセン共重合体〔β−ファルネセン/ブタジエンランダム共重合体〕(B−3)を得た。
乾燥させ窒素置換した耐圧容器に溶媒としてシクロヘキサン1790g、開始剤としてsec−ブチルリチウム(10.5質量%シクロヘキサン溶液)12.4gを仕込み、50℃に昇温した後、予め調製したブタジエンとβ−ファルネセンとの混合物(ブタジエン480gとβ−ファルネセン720gとをボンベ内で混合)1200gを10ml/分で加えて1時間重合した。得られた重合反応液をメタノールで処理し、水を用いて重合反応液を洗浄した。洗浄後の重合反応液を水と分離して、70℃で12時間乾燥することにより、表1に示す物性を有するファルネセン共重合体〔β−ファルネセン/ブタジエンランダム共重合体〕(B−3)を得た。
製造例4:ファルネセン共重合体(B−4)の製造
乾燥させ窒素置換した耐圧容器に溶媒としてシクロヘキサン1500g、開始剤としてsec−ブチルリチウム(10.5質量%シクロヘキサン溶液)11gを仕込み、50℃に昇温した後、テトラヒドロフラン3gを添加し、予め調製したスチレンとβ−ファルネセンとの混合物(スチレン360gとβ−ファルネセン1140gとをボンベ内で混合)1500gを10ml/分で加えて1時間重合した。得られた重合反応液をメタノールで処理し、水を用いて重合反応液を洗浄した。洗浄後の重合反応液と水とを分離して、70℃で12時間乾燥することにより、表1に示す物性を有するファルネセン共重合体〔β−ファルネセン/スチレンランダム共重合体〕(B−4)を得た。
乾燥させ窒素置換した耐圧容器に溶媒としてシクロヘキサン1500g、開始剤としてsec−ブチルリチウム(10.5質量%シクロヘキサン溶液)11gを仕込み、50℃に昇温した後、テトラヒドロフラン3gを添加し、予め調製したスチレンとβ−ファルネセンとの混合物(スチレン360gとβ−ファルネセン1140gとをボンベ内で混合)1500gを10ml/分で加えて1時間重合した。得られた重合反応液をメタノールで処理し、水を用いて重合反応液を洗浄した。洗浄後の重合反応液と水とを分離して、70℃で12時間乾燥することにより、表1に示す物性を有するファルネセン共重合体〔β−ファルネセン/スチレンランダム共重合体〕(B−4)を得た。
製造例5:変性ファルネセン単独重合体(B−5)の製造
乾燥させ窒素置換した耐圧容器に溶媒としてヘキサン274g、開始剤としてn−ブチルリチウム(17質量%ヘキサン溶液)1.2gを仕込み、50℃に昇温した後、β−ファルネセン272gを加えて1時間重合した。得られた重合反応液をメタノールで処理し、水を用いて重合反応液を洗浄した。洗浄後の重合反応液と水とを分離して、70℃で12時間乾燥することにより、未変性ポリファルネセンを得た。
続いて、窒素置換を行った耐圧容器に、得られた未変性ポリファルネセン300gを仕込み、無水マレイン酸15gとノクラック6C 0.3gを添加し、170℃で24時間反応させて、変性ファルネセン単独重合体〔無水マレイン酸変性ポリファルネセン〕(B−5)を得た。
乾燥させ窒素置換した耐圧容器に溶媒としてヘキサン274g、開始剤としてn−ブチルリチウム(17質量%ヘキサン溶液)1.2gを仕込み、50℃に昇温した後、β−ファルネセン272gを加えて1時間重合した。得られた重合反応液をメタノールで処理し、水を用いて重合反応液を洗浄した。洗浄後の重合反応液と水とを分離して、70℃で12時間乾燥することにより、未変性ポリファルネセンを得た。
続いて、窒素置換を行った耐圧容器に、得られた未変性ポリファルネセン300gを仕込み、無水マレイン酸15gとノクラック6C 0.3gを添加し、170℃で24時間反応させて、変性ファルネセン単独重合体〔無水マレイン酸変性ポリファルネセン〕(B−5)を得た。
比較製造例1:重量平均分子量が9,000であるファルネセン単独重合体(X−1)の製造
乾燥させ窒素置換した耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン241g、開始剤としてsec−ブチルリチウム(10.5質量%シクロヘキサン溶液)28.3gを仕込み、50℃に昇温した後、β−ファルネセン342gを加えて1時間重合した。得られた重合反応液をメタノールで処理し、水を用いて重合反応液を洗浄した。洗浄後の重合反応液を水と分離して、70℃で12時間乾燥することにより、表1に示す物性を有するファルネセン単独重合体(X−1)を得た。
乾燥させ窒素置換した耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン241g、開始剤としてsec−ブチルリチウム(10.5質量%シクロヘキサン溶液)28.3gを仕込み、50℃に昇温した後、β−ファルネセン342gを加えて1時間重合した。得られた重合反応液をメタノールで処理し、水を用いて重合反応液を洗浄した。洗浄後の重合反応液を水と分離して、70℃で12時間乾燥することにより、表1に示す物性を有するファルネセン単独重合体(X−1)を得た。
<ファルネセン重合体(B)及び(X)成分の物性の測定方法>
(1)重量平均分子量、及び分子量分布の測定方法
重合体の重量平均分子量、及び分子量分布は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により標準ポリスチレン換算分子量で求めた。測定装置及び条件は、以下の通りである。
・装置 :東ソー株式会社製 GPC装置「HLC−8320」
・分離カラム :東ソー株式会社製 カラム「TSKgelSuperHZM−M」
・溶離液 :テトラヒドロフラン
・溶離液流量 :0.7ml/分
・サンプル濃度:5mg/10ml
・カラム温度 :40℃
(1)重量平均分子量、及び分子量分布の測定方法
重合体の重量平均分子量、及び分子量分布は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により標準ポリスチレン換算分子量で求めた。測定装置及び条件は、以下の通りである。
・装置 :東ソー株式会社製 GPC装置「HLC−8320」
・分離カラム :東ソー株式会社製 カラム「TSKgelSuperHZM−M」
・溶離液 :テトラヒドロフラン
・溶離液流量 :0.7ml/分
・サンプル濃度:5mg/10ml
・カラム温度 :40℃
(2)ガラス転移温度(Tg)の測定方法
ファルネセン重合体(B)10mgをアルミパンに採取し、示差走査熱量測定(DSC)により10℃/分の昇温速度条件においてサーモグラムを測定し、DDSCのピークトップの値をガラス転移温度とした。
・装置 :セイコーインスツル株式会社製 示差走査熱量計「DSC6200」
・検出部 :熱流速型
・サンプル重量 :10mg
・昇温速度 :10℃/min
ファルネセン重合体(B)10mgをアルミパンに採取し、示差走査熱量測定(DSC)により10℃/分の昇温速度条件においてサーモグラムを測定し、DDSCのピークトップの値をガラス転移温度とした。
・装置 :セイコーインスツル株式会社製 示差走査熱量計「DSC6200」
・検出部 :熱流速型
・サンプル重量 :10mg
・昇温速度 :10℃/min
(3)38℃における溶融粘度の測定方法
ファルネセン重合体の38℃における溶融粘度をブルックフィールドB型粘度計(BROOKFIELD ENGINEERING LABS. INC.製)により測定した。
ファルネセン重合体の38℃における溶融粘度をブルックフィールドB型粘度計(BROOKFIELD ENGINEERING LABS. INC.製)により測定した。
<実施例1〜5、比較例1〜2>
表2の配合にしたがって、硫黄及び加硫促進剤以外の各成分をそれぞれ密閉式バンバリーミキサーに投入して開始温度60℃、樹脂温度が150℃となるように6分間混練した後、ミキサー外に取り出して室温まで冷却した。次いで、この混合物を再度バンバリーミキサーに入れ、硫黄及び加硫促進剤を加えて開始温度50℃、到達温度100℃となるように75秒間混練することでタイヤトレッド用ゴム組成物を得た。
次いで、得られたタイヤトレッド用ゴム組成物をプレス成形(プレス条件:145℃、30分、圧力10MPa)することにより厚み2mmの架橋物を作製し、得られた架橋物シートについて下記評価を行った。
表2の配合にしたがって、硫黄及び加硫促進剤以外の各成分をそれぞれ密閉式バンバリーミキサーに投入して開始温度60℃、樹脂温度が150℃となるように6分間混練した後、ミキサー外に取り出して室温まで冷却した。次いで、この混合物を再度バンバリーミキサーに入れ、硫黄及び加硫促進剤を加えて開始温度50℃、到達温度100℃となるように75秒間混練することでタイヤトレッド用ゴム組成物を得た。
次いで、得られたタイヤトレッド用ゴム組成物をプレス成形(プレス条件:145℃、30分、圧力10MPa)することにより厚み2mmの架橋物を作製し、得られた架橋物シートについて下記評価を行った。
<評価>
(1)加硫物のtanδのピーク温度
実施例及び比較例で作製した架橋物シートから縦40mm×横5mmの試験片を切り出し、GABO社製動的粘弾性測定装置を用いて周波数10Hz、静的歪み10%、動的歪み2%の条件におけるtanδのピーク温度を測定した。なお、温度が低いほど加硫ゴムの転がり抵抗性能が良好である。
(1)加硫物のtanδのピーク温度
実施例及び比較例で作製した架橋物シートから縦40mm×横5mmの試験片を切り出し、GABO社製動的粘弾性測定装置を用いて周波数10Hz、静的歪み10%、動的歪み2%の条件におけるtanδのピーク温度を測定した。なお、温度が低いほど加硫ゴムの転がり抵抗性能が良好である。
(2)転がり抵抗性能
実施例及び比較例で作製したゴム組成物をプレス成形した加硫ゴムシートから縦40mm×横5mmの試験片を切り出し、GABO社製動的粘弾性測定装置を用いて、測定温度60℃、周波数10Hz、静的歪み10%、動的歪み2%の条件で、tanδを測定し、転がり抵抗の指標とした。各実施例及び比較例の数値は、比較例1の値を100とした際の相対値である。なお、数値が小さいほど加硫ゴムの転がり抵抗性能が良好である。
実施例及び比較例で作製したゴム組成物をプレス成形した加硫ゴムシートから縦40mm×横5mmの試験片を切り出し、GABO社製動的粘弾性測定装置を用いて、測定温度60℃、周波数10Hz、静的歪み10%、動的歪み2%の条件で、tanδを測定し、転がり抵抗の指標とした。各実施例及び比較例の数値は、比較例1の値を100とした際の相対値である。なお、数値が小さいほど加硫ゴムの転がり抵抗性能が良好である。
(3)引張破断強度
実施例及び比較例で作製したゴム組成物をプレス成形した加硫ゴムシートからJISダンベル状3号形試験片を打ち抜き、インストロン社製引張試験機を用いて、JIS K 6251に準じて引張破断強度を測定した。各実施例及び比較例の数値は、比較例1の値を100とした際の相対値である。なお、数値が大きいほど、破断特性が良好である。
実施例及び比較例で作製したゴム組成物をプレス成形した加硫ゴムシートからJISダンベル状3号形試験片を打ち抜き、インストロン社製引張試験機を用いて、JIS K 6251に準じて引張破断強度を測定した。各実施例及び比較例の数値は、比較例1の値を100とした際の相対値である。なお、数値が大きいほど、破断特性が良好である。
(4)DIN摩耗量
JIS K 6264に準拠して、10N荷重下、摩耗距離40mでのDIN摩耗量を測定した。表2における各実施例及び比較例の数値は、DIN摩耗量の逆数において比較例1の値を100とした際の相対値である。なお、数値が大きいほど摩耗量が少なく耐摩耗性が良好である。
JIS K 6264に準拠して、10N荷重下、摩耗距離40mでのDIN摩耗量を測定した。表2における各実施例及び比較例の数値は、DIN摩耗量の逆数において比較例1の値を100とした際の相対値である。なお、数値が大きいほど摩耗量が少なく耐摩耗性が良好である。
以上の結果より明らかなように本発明によれば、優れた転がり抵抗性能を示すと共に、強度及び耐摩耗性も良好な重荷重タイヤを製造することができるタイヤトレッド用ゴム組成物を提供することができる。
Claims (10)
- 合成ゴム及び天然ゴムから選ばれる少なくとも1種のゴム成分(A)100質量部に対し、重量平均分子量が10,000〜500,000であるファルネセン重合体(B)を0.1〜50質量部、フィラー(C)を20〜150質量部含有し、加硫後のtanδピーク温度が−40℃未満である、重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物。
- 前記ファルネセン重合体(B)の38℃における溶融粘度が0.1〜3,000Pa・sである、請求項1に記載の重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物。
- 前記ファルネセン重合体(B)の重量平均分子量が60,000〜300,000である、請求項1又は2に記載の重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物。
- 前記ファルネセン重合体(B)がβ−ファルネセンの単独重合体である、請求項1〜3のいずれかに記載の重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物。
- 前記ファルネセン重合体(B)がファルネセン由来の単量体単位(b1)、及びファルネセン以外の単量体に由来する単量体単位(b2)を含有する共重合体である、請求項1〜3のいずれかに記載の重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物。
- 前記フィラー(C)がシリカ及びカーボンブラックから選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜5のいずれかに記載の重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物。
- 前記ゴム成分(A)100質量部に対し、前記ファルネセン重合体(B)を1〜30質量部、及び前記カーボンブラックを20〜90質量部含有する、請求項6に記載の重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物。
- 前記ゴム成分(A)が天然ゴムを60質量%以上含有するものである、請求項1〜7のいずれかに記載の重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物を少なくとも一部に用いたタイヤトレッド。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物を少なくとも一部に用いた重荷重タイヤ。
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