JP2017132884A - 加硫ゴム、加硫ゴムの製造方法およびタイヤ - Google Patents

加硫ゴム、加硫ゴムの製造方法およびタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】硬度および機械強度に優れ、タイヤ等に用いられた際に、その高硬度に起因する優れた操縦安定性および優れた転がり抵抗性能を発現できる加硫ゴム、および該加硫ゴムを少なくとも一部に用いたタイヤを提供する。また、加硫前のゴム組成物の加工性が良好であり、さらに硬度および機械強度に優れる加硫ゴムが得られる加硫ゴムの製造方法を提供する。【解決手段】合成ゴムおよび天然ゴムから選ばれる少なくとも1種の固形ゴム(A)と、炭素数14以下の共役ジエンの少なくとも1種に由来する単量体単位を含み、38℃における溶融粘度が3,000Pa・s以下である液状重合体(B)とを含有し、かつ固形ゴム(A)と液状重合体(B)との溶解度パラメータの差Δδが1.0(J/cm3)1/2以下であるゴム組成物の加硫ゴムであり、加硫ゴム中に、直径200nm以上の前記液状重合体(B)に由来する島状相分離構造が存在する加硫ゴム。【選択図】なし

Description

本発明は、固形ゴムと特定の共役ジエン由来の単量体単位を含む液状重合体とを含有するゴム組成物の加硫ゴム、その製造方法、およびこの加硫ゴムを少なくとも一部に用いたタイヤに関する。
従来、天然ゴムやスチレンブタジエンゴム等の固形ゴムに対して、カーボンブラックやシリカ等のフィラーを配合することにより機械強度を向上させたゴム組成物からなる加硫ゴムが、耐摩耗性や機械強度を必要とするタイヤ用途に広く使用されている。また、近年では低燃費性を向上させる材料、すなわち転がり抵抗低減のための材料開発として、フィラーや低燃費ポリマーに着目した材料開発が検討されている(非特許文献1参照)。
固形ゴムとフィラーとを含むゴム組成物は、固形ゴムとフィラーとの混練時、得られたゴム組成物の圧延時または押出時の粘度が高くなる。そのため、加工性、および流動性などの改良を目的として、そのゴム組成物に、低分子量ゴム成分を生成させる素練り工程を経た固形ゴムの使用、あるいは、分子量が小さい液状ゴムからなる可塑剤の添加がされることがある。しかし、素練り工程により生じた低分子量ゴム成分、および可塑剤としての液状ゴムは、ゴム組成物の加工性、および流動性を改良する一方で、そのゴム組成物から得られた加硫ゴムの転がり抵抗性能(低燃費性)を低下させることが知られている(特許文献1参照)。
特開2011−246651号公報
日本ゴム協会誌、第73巻第2号、p.103−109
一般に加硫ゴム中において、素練り工程等により生じた低分子量ゴム成分や可塑剤として添加された液状ゴムは、その低い分子量に起因して架橋される確率が低く、加硫ゴムの架橋網目構造中にダングリング鎖を多く形成する。このダングリング鎖は、ゴム成分のガラス転移温度よりも高い温度領域において、加硫ゴムの動的粘弾性測定により得られる損失正接(tanδ)を上昇させる。このtanδは、タイヤ用途において転がり抵抗性能の指標とされており、tanδの上昇は転がり抵抗性能の低下を意味する。
したがって、ゴム組成物中に前述の低分子量ゴム成分が存在すると、加工性や流動性が改善する一方で、該ゴム組成物の加硫ゴムをタイヤに用いた場合には、転がり抵抗性能を低下させることに繋がる。
また、フィラーを配合したゴム組成物においてはゴムの混練時に大きなせん断力が働き、高分子量ゴム成分の一部が切断されて低分子量ゴム成分が生成する。したがって、可塑剤として配合される液状ゴムの添加量を低く抑えたとしても、生成した低分子量ゴム成分が加硫ゴムの転がり抵抗性能を低下させる要因となっている。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、硬度および機械強度に優れ、タイヤ等に用いられた際に、その高硬度に起因する優れた操縦安定性および優れた転がり抵抗性能を発現できる加硫ゴム、および該加硫ゴムを少なくとも一部に用いたタイヤを提供する。
また本発明は、加硫前のゴム組成物の加工性が良好であり、さらに硬度および機械強度に優れる加硫ゴムが得られる加硫ゴムの製造方法を提供する。
本発明者らは鋭意検討を行った結果、従来とは全く異なるアプローチで転がり抵抗性能を向上させることに成功した。すなわち、特定の共役ジエン由来の単量体単位を含み、特定の溶融粘度を有し、さらに固形ゴムとの溶解度パラメータの差が特定の値を示す液状重合体、および特定の固形ゴムを含むゴム組成物を加硫してなる加硫ゴムは、素練り工程等により生成し得る低分子量ゴム成分、可塑剤として添加された液状ゴム成分に起因するtanδの上昇が抑制され、転がり抵抗性能が向上することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下[1]〜[10]に関する。
[1]合成ゴムおよび天然ゴムから選ばれる少なくとも1種の固形ゴム(A)と、炭素数14以下の共役ジエンの少なくとも1種に由来する単量体単位を含み、38℃における溶融粘度が3,000Pa・s以下である液状重合体(B)とを含有し、かつ固形ゴム(A)と液状重合体(B)との溶解度パラメータの差Δδが1.0(J/cm31/2以下であるゴム組成物の加硫ゴムであり、
加硫ゴム中に、直径200nm以上の前記液状重合体(B)に由来する島状相分離構造が存在する加硫ゴム。
[2]前記液状重合体(B)の炭素数14以下の共役ジエンがブタジエン、イソプレンおよびミルセンから選ばれる少なくとも1種である、[1]の加硫ゴム。
[3]さらにフィラー(C)を含有する、[1]または[2]の加硫ゴム。
[4]前記液状重合体(B)の重量平均分子量が30,000〜500,000である、[1]〜[3]のいずれかの加硫ゴム。
[5]前記液状重合体(B)が、ミルセンに由来する単量体単位(b2)を含む重合体であり、ミルセン以外の炭素数14以下の共役ジエンに由来する単量体単位(b1)および単量体単位(b2)の合計に対する単量体単位(b2)の割合が1〜100質量%である、[1]〜[4]のいずれかの加硫ゴム。
[6]前記ゴム組成物中に含まれる、分子量が10,000以上、200,000以下である低分子量ゴム成分の含有量が10質量%以上である、[1]〜[5]のいずれかの加硫ゴム。
[7]前記ゴム組成物中の前記液状重合体(B)の含有量が、前記固形ゴム(A)100質量部に対して0.1〜50質量部である、[1]〜[6]のいずれかの加硫ゴム。
[8]加硫ゴムとなる前記ゴム組成物中に含まれる固形ゴム(A)および液状重合体(B)の質量比と同じ質量比で固形ゴム(A)および液状重合体(B)を含む混合物中に、直径300nm以上、2μm以下の液状重合体(B)に由来する島状相分離構造が存在する、[1]〜[7]のいずれかの加硫ゴム。
[9]合成ゴムおよび天然ゴムから選ばれる少なくとも1種の固形ゴム(A)と、炭素数14以下の共役ジエンの少なくとも1種に由来する単量体単位を含み、38℃における溶融粘度が3,000Pa・s以下である液状重合体(B)とを含有し、かつ固形ゴム(A)と液状重合体(B)との溶解度パラメータの差Δδが1.0(J/cm31/2以下であるゴム組成物を加硫する加硫ゴムの製造方法。
[10][1]〜[8]のいずれかの加硫ゴムを少なくとも一部に用いたタイヤ。
本発明によれば、硬度および機械強度に優れ、タイヤ等に用いられた際に、その高硬度に起因する優れた操縦安定性および優れた転がり抵抗性能を発現できる加硫ゴム、および該加硫ゴムを少なくとも一部に用いたタイヤを提供することができる。
また本発明は、加硫前のゴム組成物の加工性が良好であり、さらに硬度および機械強度に優れる加硫ゴムが得られる加硫ゴムの製造方法を提供することができる。
<加硫ゴム>
本発明は、合成ゴムおよび天然ゴムから選ばれる少なくとも1種の固形ゴム(A)と、炭素数14以下の共役ジエンの少なくとも1種に由来する単量体単位を含み、38℃における溶融粘度が3,000Pa・s以下である液状重合体(B)とを含有し、かつ固形ゴム(A)と液状重合体(B)との溶解度パラメータの差Δδが1.0(J/cm31/2以下であるゴム組成物の加硫ゴムであり、加硫ゴム中に、直径200nm以上の前記液状重合体(B)に由来する島状相分離構造が存在する加硫ゴムである。
なお、本明細書における加硫とは、原料となるゴム成分の分子間に橋かけ結合を生成させることを意味し、例えば、硫黄、硫黄化合物、過酸化物、金属酸化物等の架橋剤による架橋、熱、放射線照射などによる架橋なども含む。
本発明の加硫ゴムは、素練り工程等により固形ゴム中に低分子量ゴム成分が生成したり、加硫前のゴム組成物に低分子の液状ゴム成分を可塑剤として添加したとしても、得られる加硫ゴムのtanδの上昇が抑制されるためタイヤ用途における転がり抵抗性能を高い水準で維持することができる。
さらに、本発明の加硫ゴムは、その原料となるゴム組成物中に低分子量ゴム成分が含まれることによる転がり抵抗性能の低下を抑制することができるため、固形ゴムの素練り、低分子量の液状ゴム添加剤などにより、ゴム組成物中の低分子量ゴム成分が増加した場合であっても、得られる加硫ゴムの転がり抵抗性能を低下させることなくゴム組成物の加工性や流動性をさらに改良することができる。
なお、本明細書における高分子量ゴム成分とは、分子量が200,000を超えるゴム成分を意味し、本発明においては、例えば、固形ゴム(A)に主として含まれる成分である。また、低分子量ゴム成分とは、分子量が10,000以上、200,000以下のゴム成分を意味し、本発明においては、例えば、ゴム組成物中の、固形ゴム(A)を素練りした際に生じる低分子量ゴム成分、後述する低分子量の液状ゴムなどが含まれ得る。なお本発明において、分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により標準ポリスチレン換算で求めた値である。
低分子量ゴム成分の割合は、例えば、対象とする試料(例えばゴム組成物)をトルエンに溶解し、そのトルエンに溶解した際に得られる可溶成分について、示差屈折計検出器を備えたGPCにより得られた溶出曲線から算出することができる。具体的には、GPC測定により得られた可溶成分の分子量分布曲線を用い、全可溶成分に対する分子量10,000以上、200,000以下である成分の割合を求めることにより算出することができる。
前記ゴム組成物に含まれる、固形ゴム(A)と液状重合体(B)との溶解度パラメータの差Δδは1.0(J/cm31/2以下である。溶解度パラメータの差Δδが1.0(J/cm31/2より大きくなると、得られる加硫ゴムのtanδが上昇し、転がり抵抗性能を向上することができない。また、液状重合体(B)と固形ゴム(A)との相分離界面の相溶性が低下し、得られる加硫ゴムの破断強度等の力学特性が低下しやすくなるので好ましくない。
固形ゴム(A)と液状重合体(B)との溶解度パラメータの差Δδは、加硫ゴムの転がり抵抗性能を向上させる観点、および加硫ゴムの力学特性の低下を抑制する観点から、0.8(J/cm31/2以下が好ましく、0.6(J/cm31/2以下がより好ましく、0.4(J/cm31/2以下がさらに好ましい。溶解度パラメータの差Δδの下限は特に限定されず、0以上であればよい。
なお、本発明における固形ゴム(A)および液状重合体(B)の溶解度パラメータの値は、後述する方法により求めた溶解度パラメータの値であり、Δδはこの溶解度パラメータの値の差である。
本発明における溶解度パラメータとは、D.W.Van Krevelenの推算法に基づき計算されるものであり、前記推算法は凝集エネルギー密度とモル分子容とを基に計算されるものである(D.W. Van Krevelen, Klaas te Nijenhuis, "Properties of Polymers, Fourth Edition" Elsevier Science, 2009)。
計算では、固形ゴム(A)および液状重合体(B)において10モル%以上を占める構造の全てを考慮する。また10モル%未満の構造についても、構造およびモル分率が明らかなものについては計算に加えるものとする。
前記推算法により計算できない場合は、溶解度パラメータが既知の溶媒に対し溶解するか否かの判定による実験法によりSP値を算出し、それを代用することができる(「ポリマーハンドブック 第4版(Polymer Handbook Fourth Edition)」ジェー・ブランド(J.Brand)著、ワイリー(Wiley)社1998年発行)。この場合、溶解度パラメータの差の導出に用いる固形ゴム(A)と液状重合体(B)との溶解度パラメータは、同一に実験法により得られた値を用いる。
本発明の加硫ゴムにおいては、直径200nm以上の液状重合体(B)に由来する島状相分離構造(以下、「島相」ともいう。)が存在する。加硫ゴム中に直径200nm以上の島相が存在することにより、加硫ゴムのtanδの上昇を抑制し、転がり抵抗性能を向上させることができる。なお、加硫ゴム中の液状重合体(B)に由来する島状相分離構造とは、ゴム組成物中、液状重合体(B)を主体として含み、この液状重合体(B)と相溶するその他の成分(例えば固形ゴム(A)の低分子量ゴム成分)の少なくとも一部をさらに含む成分が、固形ゴム(A)の高分子量ゴム成分を主体とする成分と相分離して形成された相分離構造が、加硫により島状に固定された相分離構造であり、典型的には、この液状重合体(B)に由来する島状相分離構造も加硫されている。
加硫ゴム中における液状重合体(B)に由来する島相の直径は、転がり抵抗性能を向上させる観点から、200nm以上であり、300nm以上が好ましく、400nm以上がより好ましく、またその島相の直径は、耐摩耗性や破断強度向上の観点から1μm以下が好ましく、600nm以下がより好ましい。
加硫ゴム中における液状重合体(B)に由来する島相は、加硫ゴムの切削断面を原子間力顕微鏡(AFM)により観察したり、加硫ゴムの試料超薄切片を透過電子顕微鏡(TEM)により観察できる。
AFMの観察においては、ウルトラミクロトーム等を用いて加硫ゴムの平滑断面を作製し、断面表面を観察する。AFMのタッピングモードと呼ばれる手法において得られる試料の硬軟差を反映した位相差像により、液状重合体(B)に由来する相と固形ゴム(A)を主体とする成分に由来する相との力学的物性差から相分離構造を評価することができる。またフォースヴォリューム−AFMと呼ばれる手法を用いて、試料の弾性率差等の力学的物性差から相分離構造を評価することもできる。固形ゴム(A)および液状重合体(B)の組成によっては加硫ゴム中にオリゴマー成分を含有するため、断面作製後の表面に該オリゴマーがブリードアウトし、表面が不安定になり観察に適さない場合がある。この場合、前処理として、切削断面作製前の加硫ゴム試料に対し、固形ゴム(A)および液状重合体(B)が共に不溶である溶媒を用いてソックスレー抽出等によりオリゴマー成分の抽出処理を行ってもよい。
TEMの観察においては、ウルトラミクロトーム等を用いて、加硫ゴムの超薄切片を作製し観察に用いる。固形ゴム(A)を主体とする成分に由来する相と液状重合体(B)に由来する相とのコントラスト差が十分得られない場合には、四酸化オスミウム等の染色処理を前処理として施してもよい。固形ゴム(A)を主体とする成分に由来する相と液状重合体(B)に由来する相との相分離構造の観察手法は、ここに挙げるものに限定するものではなく、2nm以下の空間分解能を有し、これら相の相分離状態を3μm×3μm以上の領域について二次元像として評価できるものであればよい。以下、前述の観察手法により得られた観察像を「二次元像」ともいう。
前記島相は、液状重合体(B)単独の成分を加硫した結果、形成されている必要はなく、液状重合体(B)が他の成分(例えば、固形ゴム(A)の低分子量ゴム成分の一部)と比較して多く存在する成分を加硫した結果、形成された相であってもよい。
島相が、液状重合体(B)が多く存在する成分を加硫して得られることを確認する方法としては、例えば、固形ゴム(A)、液状重合体(B)および必要に応じてその他の成分を含むゴム組成物を加硫してなる加硫ゴムより得られた二次元像と、それから液状重合体(B)成分のみを除いたゴム組成物を加硫してなる加硫ゴムより得られた二次元像とを比較し、液状重合体(B)成分のみを除いた加硫ゴムより得られた二次元像には観察されなかった島相が、固形ゴム(A)、液状重合体(B)および必要に応じてその他の成分を含むゴム組成物の加硫ゴムより得られた二次元像に観察された場合は、その島相には液状重合体(B)が多く存在する成分を加硫して得られた、と判断できる。また、液状重合体(B)の含有割合を変化させたゴム組成物から加硫ゴムを作製し、その二次元像を評価し、ゴム組成物中の液状重合体(B)の含有割合に応じて島相の占める割合が変化している場合も、その島相は液状重合体(B)が多く存在する成分を加硫した結果得られたと判断できる。なお、本発明の実施例においては、前者の方法で、島相が、液状重合体(B)が多く存在する成分を加硫して得られたものことを確認した。
加硫ゴム中で、液状重合体(B)に由来する島状の相分離構造を形成していた場合、液状重合体(B)に由来する島相の直径は以下のようにして決定する。固形ゴム(A)、液状重合体(B)および必要に応じてその他の成分を含むゴム組成物を加硫してなる加硫ゴムについて、任意の異なる3箇所について3μm×3μmの二次元像を取得する。各二次元像内に観察された島状の相分離構造の中で、最も大きな直径を持つ島相の直径をそれぞれ導出し、それらの平均値を島相の直径とする。
なお二次元像中の島相が円形ではない場合は、島内に内包される最も長い直線の長さを長径、長径を定める直線と直交し、かつ長径の中点を通る直線の島内に内包される長さを短径とし、長径と短径の平均値を島の直径とする。
<固形ゴム(A)>
本発明の加硫ゴムとなるゴム組成物は固形ゴム(A)を含有する。本発明で固形ゴムとは、20℃において固形状で取り扱うことができるゴムをいい、固形ゴムの100℃におけるムーニー粘度 ML1+4は通常20〜200の範囲にある。固形ゴム(A)としては、例えば、スチレンブタジエンゴム(以下、「SBR」ともいう。)、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ブタジエンアクリロニトリル共重合体ゴム、クロロプレンゴム、および天然ゴム等のゴムが挙げられる。これらの中でも、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、天然ゴムがより好ましく、天然ゴムがさらに好ましい。固形ゴム(A)は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
固形ゴム(A)の溶解度パラメータは、液状重合体(B)との相溶性を向上させる観点から、15.3〜19.3(J/cm31/2が好ましく、16.3〜18.3(J/cm31/2がより好ましい。
固形ゴム(A)として用いることができるゴムの溶解度パラメータの値としては、例えば、天然ゴムは17.3(J/cm31/2、スチレン含量20wt%のSBRは17.8(J/cm31/2、スチレン含量40wt%のSBRは18.1(J/cm31/2、スチレン含量60wt%のSBRは18.3(J/cm31/2、ブタジエンゴムは17.6(J/cm31/2、イソプレンゴムは17.3(J/cm31/2、イソブチレンゴムは16.5(J/cm31/2である。
本発明において固形ゴム(A)として2種以上のゴムを組み合わせて用いる場合、固形ゴム(A)の溶解度パラメータは、固形ゴム(A)中に20質量%以上含まれるゴムの中で、液状重合体(B)の溶解度パラメータに最も近い値のものを固形ゴム(A)の溶解度パラメータとする。なお、固形ゴム(A)中に、その20質量%以上を占めるゴムが存在しない場合には、固形ゴム(A)中の最も量が多いゴムの溶解度パラメータを固形ゴム(A)の溶解度パラメータとする。
〔合成ゴム〕
本発明において固形ゴム(A)として合成ゴムを用いる場合、SBR、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ブタジエンアクリロニトリル共重合体ゴム、クロロプレンゴム等が好ましく、中でも、イソプレンゴム、ブタジエンゴムがより好ましい。
(イソプレンゴム(A−I))
イソプレンゴムとしては、例えば、四ハロゲン化チタン−トリアルキルアルミニウム系、ジエチルアルミニウムクロライド−コバルト系、トリアルキルアルミニウム−三弗化ホウ素−ニッケル系、ジエチルアルミニウムクロライド−ニッケル系等のチーグラー系触媒;トリエチルアルミニウム−有機酸ネオジウム−ルイス酸系等のランタノイド系希土類金属触媒、または有機アルカリ金属化合物を用いて重合された、市販のイソプレンゴムを用いることができる。チーグラー系触媒により重合されたイソプレンゴムが、シス体含量が高く好ましい。また、ランタノイド系希土類金属触媒を用いて得られる超高シス体含量のイソプレンゴムを用いてもよい。
イソプレンゴムのビニル含量は好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。ビニル含量が50質量%を超えると加硫ゴムの転がり抵抗性能が悪化する傾向にある。ビニル含量の下限は特に限定されない。またガラス転移温度はビニル含量によって変化するが、−20℃以下であることが好ましく、−30℃以下であることがより好ましい。
イソプレンゴムの重量平均分子量(Mw)は90,000〜2,000,000であることが好ましく、150,000〜1,500,000であることがより好ましい。Mwが前記範囲にある場合、ゴム組成物の加工性および加硫ゴムの機械強度が良好となる。本発明において、Mwは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により標準ポリスチレン換算で求めた重量平均分子量である。
前記イソプレンゴムは、その一部が多官能型変性剤、例えば、四塩化錫、四塩化珪素、エポキシ基を分子内に有するアルコキシシラン、またはアミノ基含有アルコキシシランなどの変性剤により分岐構造または極性官能基を有していてもよい。
(ブタジエンゴム(A−II))
ブタジエンゴムとしては、例えば、四ハロゲン化チタン−トリアルキルアルミニウム系、ジエチルアルミニウムクロライド−コバルト系、トリアルキルアルミニウム−三弗化ホウ素−ニッケル系、ジエチルアルミニウムクロライド−ニッケル系等のチーグラー系触媒;トリエチルアルミニウム−有機酸ネオジム−ルイス酸系等のランタノイド系希土類金属触媒、または有機アルカリ金属化合物を用いて重合された、市販のブタジエンゴムを用いることができる。チーグラー系触媒により重合されたブタジエンゴムが、シス体含量が高く好ましい。また、ランタノイド系希土類金属触媒を用いて得られる超高シス体含量のブタジエンゴムを用いてもよい。
ブタジエンゴムのビニル含量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。ビニル含量が50質量%を超えると転がり抵抗性能が悪化する傾向にある。ビニル含量の下限は特に限定されない。またガラス転移温度はビニル含量によって変化するが、−40℃以下であることが好ましく、−50℃以下であることがより好ましい。
ブタジエンゴムのMwは90,000〜2,000,000であることが好ましく、150,000〜1,500,000であることがより好ましい。Mwが前記範囲にある場合、加工性と機械強度が良好となる。
前記ブタジエンゴムは、その一部が多官能型変性剤、例えば、四塩化錫、四塩化珪素、エポキシ基を分子内に有するアルコキシシラン、またはアミノ基含有アルコキシシランのような変性剤を用いることにより分岐構造または極性官能基を有していてもよい。
SBRとしては、タイヤ用途に用いられる一般的なものを使用できるが、具体的には、スチレン含量が0.1〜70質量%のものが好ましく、5〜50質量%のものがより好ましく、15〜35質量%のものがさらに好ましい。また、ビニル含量が0.1〜60質量%のものが好ましく、0.1〜55質量%のものがより好ましい。
SBRのMwは、100,000〜2,500,000が好ましく、150,000〜2,000,000がより好ましく、200,000〜1,500,000がさらに好ましい。SBRのMwが前記範囲である場合、ゴム組成物の加工性と加硫ゴムの機械強度を両立することができる。
ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ブタジエンアクリロニトリル共重合体ゴム、クロロプレンゴム等の製造方法は特に限定されず、市販されているものを使用できる。これらの合成ゴムは、SBR、イソプレンゴムおよびブタジエンゴムから選ばれる少なくとも1種と共に用いることが好ましい。
2種以上の合成ゴムを混合して用いる場合、その組み合わせは本発明の効果を損なわない範囲で任意に選択でき、またその組み合わせによって、得られる加硫ゴムの転がり抵抗性能を調整できる。
なお、本発明の固形ゴム(A)に用いるゴムの製造方法に特に制限はなく、市販のものを用いてもよい。
〔天然ゴム〕
本発明の固形ゴム(A)で用いる天然ゴムとしては、例えば、SMR、SIR、STR等のTSR、RSS等のタイヤ工業において一般的に用いられる天然ゴム、高純度天然ゴム、エポキシ化天然ゴム、水酸基化天然ゴム、水素添加天然ゴム、グラフト化天然ゴム等の改質天然ゴムが挙げられる。中でも、品質のばらつきが少ない点、および入手容易性の点から、SMR20、STR20やRSS#3が好ましい。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<液状重合体(B)>
本発明の加硫ゴムとなるゴム組成物は液状重合体(B)を含有する。本発明で液状重合体とは、20℃で液状の重合体である。
液状重合体(B)の38℃における溶融粘度は3,000Pa・s以下である。液状重合体(B)の溶融粘度が3,000Pa・sより高いと、加硫前のゴム組成物の加工性が低下する。液状重合体(B)の38℃における溶融粘度は、加硫前のゴム組成物の加工性を向上させる観点、また転がり抵抗性能を向上させる観点から、2,000Pa・s以下が好ましく、1,000Pa・s以下がより好ましく、500Pa・s以下がさらに好ましい。また、液状重合体(B)の38℃における溶融粘度は4Pa・s以上が好ましく、10Pa・s以上がより好ましい。
液状重合体(B)の溶融粘度が前記範囲内であると、得られるゴム組成物の混練が容易になると共に加工性が向上する。また、ゴム組成物を加硫ゴムとした場合における可塑剤等の低移行性能も向上する。なお、本明細書において液状重合体(B)の溶融粘度は、ブルックフィールド型粘度計(B型粘度計)により求めた値である。
液状重合体(B)は、炭素数14以下の共役ジエンの少なくとも1種に由来する単量体単位を含む。
炭素数14以下の共役ジエンとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−ブタジエン、2−フェニル−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、2−メチル−1,3−オクタジエン、1,3,7−オクタトリエン、ミルセン、クロロプレン等が挙げられる。これらの中でも、ブタジエン、イソプレン、ミルセンが好ましく、ミルセンがより好ましい。なお、ミルセンは、典型的には、β−ミルセン(7−メチル−3−メチレンオクタ−1,6−ジエン)を意味する。
液状重合体(B)に、ミルセンに代表される特定の共役ジエンに由来する単量体単位が含まれることにより、ゴム組成物中に含まれる低分子量ゴム成分に起因する、加硫ゴムの転がり抵抗性能の低下を抑制することができる。
前記炭素数14以下の共役ジエンは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−t−ブチルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、N,N−ジエチル−4−アミノエチルスチレン、ビニルピリジン、4−メトキシスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。これらの中でも、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレンが好ましい。
液状重合体(B)における、炭素数14以下の共役ジエン以外の単量体に由来する単量体単位(B−1)、および炭素数14以下の共役ジエンに由来する単量体単位(B−2)の合計に対する単量体単位(B−2)の割合は、得られる加硫ゴムの転がり抵抗性能を向上させる観点から、1〜100質量%が好ましく、20〜100質量%がより好ましく、30〜100質量%がさらに好ましい。また、液状重合体(B)が炭素数14以下の共役ジエンに由来する単量体単位(B−2)のみからなる単独重合体または共重合体であることも好ましい態様の一つである。
液状重合体(B)が炭素数14以下の共役ジエンに由来する単量体単位(B−2)のみからなる重合体である場合には、ミルセン以外の炭素数14以下の共役ジエンに由来する単量体単位(b1)およびミルセンに由来する単量体単位(b2)の合計に対する単量体単位(b2)の割合は、得られる加硫ゴムの転がり抵抗性能を向上させる観点から、1〜100質量%が好ましく、20〜100質量%がより好ましく、30〜100質量%がさらに好ましい。また、液状重合体(B)がミルセンに由来する単量体単位(B−2)のみからなる単独重合体であることも好ましい態様の一つである。
液状重合体(B)のMwは30,000〜500,000が好ましく、50,000〜400,000がより好ましく、100,000〜300,000がさらに好ましい。液状重合体(B)のMwが高すぎると固形ゴム(A)との相溶性が低下し、転がり抵抗性能が悪化する傾向にある。液状重合体(B)のMwが前記範囲内であると、加硫前のゴム組成物の加工性が良好となり、ゴム組成物を加硫ゴムとした場合における低移行性能も向上する。本発明においては、Mwが異なる2種類の液状重合体(B)を組み合わせて用いてもよい。
液状重合体(B)の溶解度パラメータとしては、加硫ゴムの転がり抵抗性能向上の観点から、15.3〜19.3(J/cm31/2が好ましく、16.3〜18.3(J/cm31/2がより好ましい。
液状重合体(B)として2種以上の液状重合体の混合物を液状重合体(B)として使用する場合、液状重合体(B)の溶解度パラメータは、液状重合体(B)に含まれる各液状重合体のモル比から加重平均により算出される溶解度パラメータを液状重合体(B)の溶解度パラメータとして用いる。
液状重合体(B)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比、すなわち分子量分布(Mw/Mn)は、1.0〜8.0が好ましく、1.0〜5.0がより好ましく、1.0〜3.0がさらに好ましい。Mw/Mnが前記範囲内であると、液状重合体(B)の粘度のばらつきが小さく、より好ましい。
液状重合体(B)のガラス転移温度は、炭素数14以下の共役ジエンに由来する単量体単位のビニル含量、炭素数14以下の共役ジエンの種類、および必要に応じて含まれる炭素数14以下の共役ジエン以外の単量体に由来する単量体単位の含有量などによっても変化するが、−90〜10℃が好ましく、−90〜0℃がより好ましく、−90〜−5℃がさらに好ましい。ガラス転移温度が前記範囲であると、加硫ゴムの転がり抵抗性能が良好となる。また、液状重合体(B)の粘度上昇を抑制でき取り扱いが容易になる傾向にある。
液状重合体(B)に含まれる炭素数14以下の共役ジエンに由来する単量体単位のビニル含量は99質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましい。共役ジエンに由来する単量体単位のビニル含量とは、共役ジエンに由来する単量体単位のうち、そのミクロ構造が1,4結合様式(−CH2−C=CH−CH2−)以外の結合様式である単量体単位の含有量を意味し、1H−NMR測定から求められる値である。
(液状重合体(B)の製造方法)
液状重合体(B)は、乳化重合法、または国際公開第2010/027463号パンフレット、国際公開第2010/027464号パンフレットに記載の方法等により製造することができる。これらの中でも、乳化重合法または溶液重合法が好ましく、溶液重合法がより好ましい。
(乳化重合法)
液状重合体(B)を得るための乳化重合法としては公知の方法を適用できる。例えば、所定量の炭素数14以下の共役ジエンを含む単量体を乳化剤の存在下に乳化分散し、ラジカル重合開始剤により乳化重合する。
乳化剤としては、例えば、炭素数10以上の長鎖脂肪酸塩またはロジン酸塩が用いられる。具体例としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸のカリウム塩またはナトリウム塩が挙げられる。分散剤としては通常、水が使用され、重合時の安定性が阻害されない範囲で、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒を含んでいてもよい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウムなどの過硫酸塩;有機過酸化物、過酸化水素等が挙げられる。
得られる液状重合体(B)の重量平均分子量を調整するため、連鎖移動剤を使用することもできる。連鎖移動剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、チオグリコール酸、ジテルペン、ターピノーレン、γ−テルピネン、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
乳化重合温度は、使用するラジカル重合開始剤の種類によって適宜選択できるが、0〜100℃が好ましく、0〜60℃がより好ましい。重合様式は、連続重合、回分重合のいずれでもよい。重合反応は、重合停止剤の添加により停止できる。重合停止剤としては、例えば、イソプロピルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミン等のアミン化合物、ヒドロキノンやベンゾキノン等のキノン系化合物、亜硝酸ナトリウム等が挙げられる。
重合反応停止後、必要に応じて老化防止剤を添加してもよい。重合反応停止後、得られたラテックスから必要に応じて未反応単量体を除去し、次いで、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム等の塩を凝固剤とし、必要に応じて硝酸、硫酸等の酸を添加して凝固系のpHを所定の値に調整しながら、液状重合体(B)を凝固させた後、分散溶媒を分離することによって液状重合体(B)を回収する。次いで水洗、および脱水後、乾燥することで、液状重合体(B)が得られる。なお、凝固の際に、必要に応じて予めラテックスと乳化分散液にした伸展油とを混合し、油展の液状重合体(B)として回収してもよい。
(溶液重合法)
液状重合体(B)を得るための溶液重合法としては、公知の方法を適用できる。例えば、溶媒中で、チーグラー系触媒、メタロセン系触媒、アニオン重合可能な活性金属を使用して、所望により極性化合物の存在下、炭素数14以下の共役ジエンを含む単量体を重合する。
アニオン重合可能な活性金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属;ランタン、ネオジム等のランタノイド系希土類金属等が挙げられる。これらの中でも、アルカリ金属およびアルカリ土類金属が好ましく、アルカリ金属がより好ましい。活性金属がアルカリ金属である触媒の中でも、有機アルカリ金属化合物が好ましく用いられる。
溶媒としては、例えば、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。
有機アルカリ金属化合物としては、例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム等の有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、ジリチオナフタレン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼン等の多官能性有機リチウム化合物;ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン等が挙げられる。これらの中でも有機リチウム化合物が好ましく、有機モノリチウム化合物がより好ましい。有機アルカリ金属化合物の使用量は、要求される液状重合体(B)の重量平均分子量によって適宜決められるが、炭素数14以下の共役ジエンを含む単量体100質量部に対して0.01〜3質量部が好ましい。
有機アルカリ金属化合物は、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジベンジルアミン等の第2級アミンと反応させて、有機アルカリ金属アミドとして使用することもできる。
極性化合物は、アニオン重合において、反応を失活させず、共役ジエンに由来する単量体単位のミクロ構造を調整するため用いられ、例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン等の3級アミン;アルカリ金属アルコキシド、ホスフィン化合物等が挙げられる。極性化合物は、有機アルカリ金属化合物に対して好ましくは0.01〜1000モル当量の範囲で使用される。
重合反応の温度は、通常−80〜150℃、好ましくは0〜100℃、さらに好ましくは10〜90℃の範囲である。重合様式は回分式あるいは連続式のいずれでもよい。
重合反応は、重合停止剤としてメタノール、イソプロパノール等のアルコールを添加して、反応を停止できる。得られた重合反応液をメタノール等の貧溶媒に注いで液状重合体(B)を析出させるか、重合反応液を水で洗浄し、分離後、乾燥することにより液状重合体(B)を単離できる。
(変性重合体)
前記液状重合体(B)は変性して用いてもよい。官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、アルコキシシリル基、水酸基、エポキシ基、エーテル基、カルボキシル基、カルボニル基、メルカプト基、イソシアネート基、ニトリル基、酸無水物基等が挙げられる。
変性重合体の製造方法としては、例えば、重合停止剤を添加する前に、重合活性末端と反応し得る四塩化錫、ジブチル錫クロリド、テトラクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、2,4−トリレンジイソシアネート等のカップリング剤、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、N−ビニルピロリドン、N−メチルピロリドン、4−ジメチルアミノベンジリデンアニリン、ジメチルイミダゾリジノン等の重合末端変性剤、または特開2011−132298号公報に記載のその他の変性剤を添加する方法が挙げられる。また、単離後の液状重合体(B)に無水マレイン酸等をグラフト化して用いることもできる。
この変性重合体において、官能基が導入される重合体の位置については重合鎖末端であってもよく、重合鎖の側鎖であってもよい。また前記官能基は、液状重合体(B)に、1種単独で含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。前記変性剤は、有機アルカリ金属化合物に対して好ましくは0.01〜100モル当量の範囲で使用される。
本発明の加硫ゴムとなるゴム組成物においては、固形ゴム(A)100質量部に対する液状重合体(B)の含有量は、0.1〜50質量部が好ましく、1〜30質量部がより好ましい。液状重合体(B)の含有量が前記範囲内であると、ゴム組成物の加工性が良好になり、加硫ゴムの機械強度、転がり抵抗性能、および低移行性能が良好となる。
また、本発明の加硫ゴムとなるゴム組成物中の固形ゴム(A)と液状重合体(B)との合計の含有量は、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。
<固形ゴム(A)と液状重合体(B)とを混合して得られる混合物中の液状重合体(B)の島相>
本発明の加硫ゴムとなるゴム組成物中に含まれる固形ゴム(A)および液状重合体(B)の質量比と同じ質量比で固形ゴム(A)および液状重合体(B)を混合した混合物中に、直径300nm以上の重合体(B)に由来する島相(島状相分離構造)が存在することが好ましい。なお、前記混合物中の液状重合体(B)に由来する島状相分離構造とは、その混合物中、液状重合体(B)を主体として含み、この液状重合体(B)と相溶するその他の成分(例えば固形ゴム(A)の低分子量ゴム成分)の少なくとも一部をさらに含む成分が、固形ゴム(A)の高分子量ゴム成分を主体とする成分と相分離して形成された島状の相分離構造である。
本発明の加硫ゴムは、直径200nm以上の前記液状重合体(B)に由来する島相が存在することが重要であるが、固形ゴム(A)および液状重合体(B)を混合した混合物中における液状重合体(B)に由来する島相は、ゴム組成物に対して、例えば後述するフィラー(C)を添加して混練した場合には微細化する傾向がある。よって、固形ゴム(A)および液状重合体(B)を混合した混合物中において液状重合体(B)が直径300nm未満の島相である場合、フィラー(C)をさらに添加して混練してゴム組成物を作製した場合、得られる加硫ゴム中の液状重合体(B)に由来する相が微細化しすぎて200nm以上の島状相分離構造を形成することが困難な場合がある。
また、固形ゴム(A)に対する液状重合体(B)の含有量を増加させると、一定の値を超えたところで液状重合体(B)が連続構造を形成し、島相を形成しなくなると考えられる。この場合、液状重合体(B)は加硫ゴム中において大きな不均一構造を形成してしまい、加硫ゴムの破断強度等の力学物性を大きく低下する。
したがって、固形ゴム(A)と液状重合体(B)とを混合して得られる混合物中の液状重合体(B)の島相の直径は、300nm以上、2μm以下が好ましく、400nm以上、1μm以下がより好ましい。
また、前記混合物中の固形ゴム(A)100質量部に対する液状重合体(B)の含有量は、加硫ゴムとなるゴム組成物における液状重合体(B)の好ましい含有量と同様に0.1〜50質量部が好ましく、1〜30質量部がより好ましい。
なお、液状重合体(B)が島相を形成せず連続構造へ変化する液状重合体(B)の含有量は、液状重合体(B)の重量平均分子量、および液状重合体(B)と固形ゴム(A)の相溶性等に依存する。
前記混合物中における液状重合体(B)に由来する島相は、前述の加硫ゴムの島相の観察の場合と同様に、前記混合物の切削断面を原子間力顕微鏡(AFM)により観察したり、前記混合物の試料超薄切片を透過電子顕微鏡(TEM)により観察できる。なお、必要に応じて、加硫ゴムでの観察と同様に、AFMにより観察する際の前処理、TEMにより観察する際の前処理などを行ってもよい。固形ゴム(A)を主体とする成分に由来する相と液状重合体(B)に由来する相との相分離構造の観察手法は、2nm以下の空間分解能を有し、これら相の相分離状態を3μm×3μm以上の領域について二次元像として評価できるものであればよい。以下、前述の観察手法により得られた観察像を「二次元像」ともいう。
前記混合物中、この島相は、液状重合体(B)単独で形成されている必要はなく、島相中に含まれる液状重合体(B)が他の成分と比較して多く存在する相であってもよい。
液状重合体(B)が島相に多く存在することを確認する方法としては、固形ゴム(A)単体より得られた二次元像と、固形ゴム(A)と液状重合体(B)とを混練して得られた混合物より得られた二次元像とを比較し、固形ゴム(A)単体より得られた二次元像には観察されなかった島相が、固形ゴム(A)と液状重合体(B)を混練して得られた混合物より得られた二次元像に観察された場合は、その島相は液状重合体(B)が多く存在すると判断できる。また、評価対象である固形ゴム(A)と液状重合体(B)を混練して得られた混合物に対して、液状重合体(B)の割合を変化させた参照試料を作製し、その二次元像を評価し、液状重合体(B)の割合に応じて島相の占める割合が変化している場合も、その島相は重合体(B)が多く存在すると判断できる。なお、本発明の実施例においては、前者の方法で液状重合体(B)が島相に多く存在することを確認した。
液状重合体(B)が固形ゴム(A)中で、島状の相分離構造を形成していた場合、液状重合体(B)の島相の直径は、前述した加硫ゴム中における液状重合体(B)の島相の直径の求め方と同様にして決定できる。
<ゴム組成物中の低分子量ゴム成分の含有量>
本発明の加硫ゴムでは、その加硫ゴムとなるゴム組成物中の低分子量ゴム成分の含有量が10質量%以上であることが好ましい。低分子量ゴム成分の含有量が10質量%以上であると、加硫前のゴム組成物の加工性が良好になり、さらに液状重合体(B)により高い転がり抵抗性能を維持することが可能となる。
前記ゴム組成物が、低分子量ゴム成分を含有する場合、低分子量ゴム成分の割合は10質量%以上が好ましく、18質量%以上がより好ましい。また、上限は特に限定されるものではないが、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。低分子量ゴム成分割合が18質量%以上である場合、液状重合体(B)を含まない加硫ゴムについては転がり抵抗性能が大きく低下するのに対し、本発明の加硫ゴムでは、転がり抵抗性能を高い水準で維持することができる。
<フィラー(C)>
本発明の加硫ゴムにはフィラー(C)が含まれていてもよい。フィラーが加硫ゴム中に含まれることにより、例えば、得られる加硫ゴムの、機械強度、耐熱性、または耐候性等の物性の改善をすることができる。フィラー(C)としては、加硫ゴムの機械強度の向上等の物性の改善などの観点からカーボンブラックおよびシリカ等を好ましく用いることができる。加硫ゴム中にフィラー(C)を含ませるためには、例えば、加硫前の上記ゴム組成物を作製する際にフィラー(C)を含ませればよい。
〔カーボンブラック〕
カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、およびケッチェンブラックなどが挙げられる。これらの中でも、加硫速度や機械強度向上の観点から、ファーネスブラックが好ましい。
前記カーボンブラックの平均粒径としては、加硫ゴム中での分散性向上、加硫ゴムの機械強度向上または硬度向上などの観点から、5〜100nmが好ましく、5〜80nmがより好ましく、5〜70nmがさらに好ましい。
平均粒径が5〜100nmであるカーボンブラックとして、ファーネスブラックの市販品としては、例えば、三菱化学株式会社「ダイヤブラック」、東海カーボン株式会社製「シースト」等が挙げられる。アセチレンブラックの市販品としては、例えば、電気化学工業株式会社製「デンカブラック」等が挙げられる。ケッチェンブラックの市販品としては、例えば、ライオン株式会社製「ECP600JD」等が挙げられる。
カーボンブラックは、固形ゴム(A)および液状重合体(B)への濡れ性や分散性を向上させる観点から、硝酸、硫酸、塩酸またはこれらの混合酸等による酸処理や、空気存在下での熱処理による表面酸化処理を行ってもよい。また、本発明の加硫ゴムの機械強度向上の観点から、黒鉛化触媒の存在下に2,000〜3,000℃で熱処理を行ってもよい。なお、黒鉛化触媒としては、ホウ素、ホウ素酸化物(例えば、B22、B23、B43、B45等)、ホウ素オキソ酸(例えば、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸等)およびその塩、ホウ素炭化物(例えば、B4C、B6C等)、窒化ホウ素(BN)、その他のホウ素化合物が好適に用いられる。
カーボンブラックは、粉砕等により平均粒径を調整することができる。カーボンブラックの粉砕には、高速回転粉砕機(ハンマーミル、ピンミル、ケージミル)や各種ボールミル(転動ミル、振動ミル、遊星ミル)、撹拌ミル(ビーズミル、アトライター、流通管型ミル、アニュラーミル)等が使用できる。
なお、カーボンブラックの平均粒径は、透過型電子顕微鏡により粒子の直径を測定してその平均値を算出することにより求めることができる。
〔シリカ〕
シリカとしては、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等を挙げることができる。中でも、加工性、機械強度および耐摩耗性を一層向上させる観点から、湿式シリカが好ましい。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリカの平均粒径は、加硫前のゴム組成物の加工性、得られる加硫ゴムの転がり抵抗性能、機械強度、および耐摩耗性を向上する観点から、0.5〜200nmが好ましく、5〜150nmがより好ましく、10〜100nmがさらに好ましい。
なお、シリカの平均粒径は、透過型電子顕微鏡により粒子の直径を測定して、その平均値を算出することにより求めることができる。
フィラー(C)が、カーボンブラックおよびシリカから選ばれる少なくとも1つである場合には、固形ゴム(A)100質量部に対するフィラー(C)の含有量は、5〜150質量部が好ましく、10〜100質量部がより好ましく、15〜100質量部がさらに好ましい。カーボンブラックおよびシリカから選ばれる少なくとも1つの含有量が前記範囲内であると、得られる加硫ゴムの転がり抵抗性能、機械強度および耐摩耗性が向上する。また、加硫前のゴム組成物にフィラー(C)を含ませる場合には、その加工性が向上する。
〔その他のフィラー〕
本発明の加硫ゴムは、機械強度の向上、耐熱性や耐候性等の物性の改良、硬度調整、増量剤を配合することによる経済性の改善等を目的として、必要に応じて、カーボンブラックおよびシリカ以外のフィラーをさらに含有していてもよい。
前記カーボンブラックおよびシリカ以外のフィラーとしては、用途に応じて適宜選択されるが、例えば、有機充填剤や、クレー、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化チタン、ガラス繊維、繊維状フィラー、ガラスバルーン等の無機充填剤の1種以上を使用できる。
本発明の加硫ゴムがカーボンブラックおよびシリカ以外のフィラーを含有する場合には、その含有量は、固形ゴム(A)100質量部に対して、0.1〜120質量部が好ましく、5〜90質量部がより好ましく、10〜80質量部がさらに好ましい。前記フィラーの含有量が前記範囲内であると、機械強度がより一層向上する。
<加硫剤(D)>
本発明の加硫ゴムは、固形ゴム(A)および液状重合体(B)と、さらに加硫剤(D)とを含有するゴム組成物を加硫してなる加硫ゴムであることが好ましい。加硫剤(D)としては、例えば、硫黄および硫黄化合物が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。加硫剤(D)として硫黄または硫黄化合物を用いる場合には、前記ゴム組成物中の加硫剤(D)の含有量は、固形ゴム(A)100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましく、0.8〜5質量部がさらに好ましい。
前記加硫剤(D)として、硫黄および硫黄化合物以外のいわゆる架橋剤を用いることもできる。架橋剤としては、例えば、酸素、有機過酸化物、フェノール樹脂およびアミノ樹脂、キノンおよびキノンジオキシム誘導体、ハロゲン化合物、アルデヒド化合物、アルコール化合物、エポキシ化合物、金属ハロゲン化物および有機金属ハロゲン化物、シラン化合物等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。加硫剤(D)として架橋剤を用いる場合には、架橋剤の含有量は、固形ゴム(A)100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましい。
<加硫促進剤(E)>
前記加硫剤(D)として、硫黄および硫黄化合物などを用いる場合などには、本発明の加硫ゴムとなるゴム組成物は、さらに加硫促進剤(E)を含有していてもよい。加硫促進剤(E)としては、例えば、グアニジン系化合物、スルフェンアミド系化合物、チアゾール系化合物、チウラム系化合物、チオウレア系化合物、ジチオカルバミン酸系化合物、アルデヒド−アミン系化合物またはアルデヒド−アンモニア系化合物、イミダゾリン系化合物、キサンテート系化合物等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記ゴム組成物中の加硫促進剤(E)の含有量は、固形ゴム(A)100質量部に対して、0.1〜15質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。
<加硫助剤(F)>
前記加硫剤(D)として、硫黄および硫黄化合物などを用いる場合などには、本発明の加硫ゴムとなるゴム組成物は、必要に応じて含まれる加硫促進剤(E)に加えて、さらに加硫助剤(F)を含有していてもよい。加硫助剤(F)としては、例えば、ステアリン酸等の脂肪酸、亜鉛華等の金属酸化物、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記ゴム組成物中の加硫助剤(F)の含有量は、固形ゴム(A)100質量部に対して、0.1〜15質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。
<任意成分>
(シランカップリング剤)
本発明の加硫ゴムがシリカを含有する場合、本発明の加硫ゴムとなるゴム組成物はさらにシランカップリング剤を含有することが好ましい。シランカップリング剤としては、スルフィド系化合物、メルカプト系化合物、ビニル系化合物、アミノ系化合物、グリシドキシ系化合物、ニトロ系化合物、クロロ系化合物等が挙げられる。
スルフィド系化合物としては、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリメトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド等が挙げられる。
メルカプト系化合物としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
ビニル系化合物としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
アミノ系化合物としては、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
グリシドキシ系化合物としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
ニトロ系化合物としては、例えば、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
クロロ系化合物としては、例えば、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
これらのシランカップリング剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、添加効果が大きい観点およびコストの観点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランが好ましい。
シリカ100質量部に対する前記シランカップリング剤の含有量は、0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜20質量部がより好ましく、1〜15質量部がさらに好ましい。シランカップリング剤の含有量が前記範囲内であると、分散性、カップリング効果、補強性、耐摩耗性が向上する。
(液状ゴム添加剤)
本発明の加硫ゴムとなるゴム組成物は、本発明の効果を阻害しない、例えば加硫ゴム中の直径200nm以上の液状重合体(B)に由来する島状相分離構造の形成を阻害しない範囲で、加工性、流動性等の改良を目的として、液状ゴム添加剤を含有していてもよい。液状ゴム添加剤としては、例えば、液状ポリブタジエン、液状ポリイソプレン、低分子量スチレンブタジエン共重合体、低分子量スチレンイソプレン共重合体などが挙げられる。本発明の組成物が液状ゴム添加剤を含有する場合、その含有量は、固形ゴム(A)100質量部に対して50質量部より少ないことが好ましい。
(その他)
本発明の加硫ゴムは、発明の効果を阻害しない範囲で、加工性、流動性等の改良を目的とし、必要に応じてシリコンオイル、アロマオイル、TDAE(Treated Distilled Aromatic Extracts)、MES(Mild Extracted Solvates)、RAE(Residual AromaticExtracts)、パラフィンオイル、ナフテンオイル等のプロセスオイル;脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、C9系樹脂、ロジン系樹脂、クマロン・インデン系樹脂、フェノール系樹脂等の樹脂系添加剤を軟化剤として含有していてもよい。本発明の加硫ゴムが軟化剤を含有する場合、その含有量は、固形ゴム(A)100質量部に対して50質量部より少ないことが好ましい。加硫ゴム中にプロセスオイル、樹脂系添加剤等の軟化剤を含ませるためには、例えば、加硫前のゴム組成物を作製する際にこれらを含ませればよい。
また、本発明の加硫ゴムは、発明の効果を阻害しない範囲で、耐候性、耐熱性、耐酸化性等の向上を目的として、添加剤を含有していてもよい。前記添加剤としては、例えば、老化防止剤、酸化防止剤、ワックス、滑剤、光安定剤、スコーチ防止剤、加工助剤、顔料や色素等の着色剤、難燃剤、帯電防止剤、艶消し剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、発泡剤、抗菌剤、防カビ剤、香料などが挙げられる。これらの添加剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。加硫ゴム中にこれら添加剤を含ませるためには、例えば、加硫前のゴム組成物を作製する際にこれら添加剤を含ませればよい。
前記酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、リン系化合物、ラクトン系化合物、ヒドロキシル系化合物等が挙げられる。
前記老化防止剤としては、例えば、アミン−ケトン系化合物、イミダゾール系化合物、アミン系化合物、フェノール系化合物、硫黄系化合物およびリン系化合物等が挙げられる。
<ゴム組成物の調製方法>
本発明の加硫ゴムは、前記各成分を含有するゴム組成物を加硫してなるものである。前記ゴム組成物の調製方法は特に限定されず、前記各成分を均一に混合すればよい。均一に混合するために用いる装置としては、例えば、ニーダールーダー、ブラベンダー、バンバリーミキサー、インターナルミキサー等の接線式もしくは噛合式の密閉式混練機、単軸押出機、二軸押出機、ミキシングロール、ローラー等が挙げられる。ゴム組成物の調製は、通常70〜270℃の温度範囲で行うことができる。
<加硫ゴムの製造方法>
本発明の加硫ゴムは、前記固形ゴム(A)、前記液状重合体(B)、および必要に応じて含まれるその他の成分を含有するゴム組成物を加硫することにより製造することができる。
前記ゴム組成物を加硫できる限り、加硫の条件および方法に特に制限はないが、例えば、加硫金型を用いて、加硫温度120〜200℃および加硫圧力0.5〜2.0MPaの条件で加硫することが好ましい。
<タイヤ>
本発明のタイヤは、本発明の加硫ゴムを少なくとも一部に用いる。そのため優れた転がり抵抗性能を備える。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。本実施例および比較例において使用した各成分は以下のとおりである。
固形ゴム(A)
天然ゴム「STR20」(タイ産天然ゴム)
液状重合体(B)
後述の製造例1で製造したポリミルセン(B−1)
重合体(X)
後述の製造例2および3で製造したポリミルセン(X−1)および(X−2)
フィラー(C)
カーボンブラック「ダイヤブラックI」(三菱化学株式会社製、平均粒径20nm)
加硫剤(D)
硫黄(微粉硫黄200メッシュ、鶴見化学工業株式会社製)
加硫促進剤(E)
「ノクセラーNS−P」(大内新興化学工業株式会社製)
加硫助剤(F)
ステアリン酸「ルナックS−20」(花王株式会社製)
亜鉛華「酸化亜鉛」(堺化学工業株式会社製)
任意成分
老化防止剤(1):ノクラック6C(大内新興化学工業株式会社製)
老化防止剤(2):アンテージRD(川口化学工業株式会社製)
製造例1:ポリミルセン(B−1)の製造
窒素置換し乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン310g、重合開始剤としてsec−ブチルリチウム(1.05Mシクロヘキサン溶液)0.7gを仕込み、50℃に昇温した後、53gのβ−ミルセンを2ml/分で加えて1時間重合した。得られた重合反応液にメタノール0.1gを添加して重合を停止した後、水500mlを用いて重合反応液を洗浄した。洗浄後の重合反応液と水とを分離して、70℃で12時間減圧乾燥することにより、表1に示す物性を有するポリミルセン(B−1)を得た。
製造例2:ポリミルセン(X−1)の製造
窒素置換し乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン310g、重合開始剤としてsec−ブチルリチウム(1.05Mシクロヘキサン溶液)0.3gを仕込み、50℃に昇温した後、53gのβ−ミルセンを2ml/分で加えて1時間重合した。得られた重合反応液にメタノール0.1gを添加して重合を停止した後、水500mlを用いて重合反応液を洗浄した。洗浄後の重合反応液と水とを分離して、70℃で12時間減圧乾燥することにより、表1に示す物性を有するポリミルセン(X−1)を得た。
製造例3:ポリミルセン(X−2)の製造
窒素置換し乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン310g、重合開始剤としてsec−ブチルリチウム(1.05Mシクロヘキサン溶液)10.8gを仕込み、50℃に昇温した後、53gのβ−ミルセンを2ml/分で加えて1時間重合した。得られた重合反応液にメタノール0.5gを添加して重合を停止した後、水500mlを用いて重合反応液を洗浄した。洗浄後の重合反応液と水とを分離して、70℃で12時間減圧乾燥することにより、表1に示す物性を有するポリミルセン(X−2)を得た。
なお、重合体(B)および(X)の重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、ビニル含量、重合体(B)および(X)の溶融粘度、およびガラス転移温度の測定方法は以下のとおりである。
(重量平均分子量および分子量分布の測定方法)
重合体(B)および(X)のMwおよびMw/MnはGPCにより標準ポリスチレン換算分子量で求めた。測定装置および条件は、以下のとおりである。
・装置 :東ソー株式会社製GPC装置「GPC8020」
・分離カラム :東ソー株式会社製「TSKgelG4000HXL」
・検出器 :東ソー株式会社製「RI−8020」
・溶離液 :テトラヒドロフラン
・溶離液流量 :1.0ml/分
・サンプル濃度:5mg/10ml
・カラム温度 :40℃
(ビニル含量の測定方法)
重合体(B)および(X)50mgを1mlのCDCl3に溶解した溶液を400MHzの1H−NMRを用いて積算回数512回で測定した。測定により得られたチャートの4.94〜5.22ppm部分をビニル構造由来のスペクトル、4.45〜4.85ppmの部分をビニル構造と1,4結合の合成スペクトルとし、以下の式に基づきビニル含量を算出した。
{ビニル含量}=4.94〜5.22ppmの積分値/2/{4.94〜5.22ppmの積分値/2+(4.45〜4.85ppmの積分値−4.94〜5.22ppmの積分値/2)/2}
(溶融粘度の測定方法)
重合体(B)および(X)の38℃における溶融粘度をブルックフィールド型粘度計(BROOKFIELD ENGINEERING LABS. INC.社製)により測定した。
(ガラス転移温度の測定方法)
重合体(B)および(X)10mgをアルミパンに採取し、示差走査熱量測定(DSC)により10℃/分の昇温速度条件においてサーモグラムを測定し、DDSCのピークトップの値をガラス転移温度とした。
Figure 2017132884
実施例1および比較例1〜3
実施例1ならびに比較例1および2においては、表2に記載した配合割合(質量部)にしたがって、ゴム成分(A)と、重合体(B)または重合体(X)とを、それぞれ密閉式バンバリーミキサーに投入して開始温度60℃、樹脂温度が160℃となるように6分間混練した後、ミキサー外に取り出して室温まで冷却した。次いで、この混合物を再度密閉式バンバリーミキサーに投入し、開始温度50℃、到達温度が110℃となるように75秒間混練することでゴム成分(A)、重合体(B)または重合体(X)からなる評価用のゴム混合物を得た。得られた評価用のゴム混合物の島状相分離構造の有無を下記の方法により測定した。なお、比較例3については、ゴム成分(A)のみを密閉式バンバリーミキサーに投入して、同様の操作を行った後、天然ゴム中の島状相分離構造の有無を確認した。
また表2に記載した配合割合(質量部)にしたがって、ゴム成分(A)、重合体(B)、重合体(X)、フィラー(C)、加硫助剤(F)および老化防止剤を、それぞれ密閉式バンバリーミキサーに投入して開始温度60℃、樹脂温度が160℃となるように6分間混練した後、ミキサー外に取り出して室温まで冷却した。次いで、この混合物を再度密閉式バンバリーミキサーに投入し、加硫剤(D)および加硫促進剤(E)を加えて開始温度50℃、到達温度が110℃となるように75秒間混練することでゴム組成物を得た。得られたゴム組成物のムーニー粘度および低分子量ゴム成分の割合を下記の方法により測定した。
また、得られたゴム組成物をプレス成形(145℃、20〜40分)して加硫させ、加硫ゴムシート(厚み2mm)を作製した。下記の方法に基づき島状相分離構造の有無、転がり抵抗性能、硬度、および引張破断強度を評価した。結果を表2に示す。
なお、各評価の測定方法は以下のとおりである。
(1)ゴム成分(A)と重合体(B)とを混合して得られる混合物中の島相の評価
実施例および比較例において、ゴム成分(A)と重合体(B)または重合体(X)とを混合して得られた評価用の混合物から、クライオウルトラミクロトーム(Leica Microsystems GmbH社製 EM UC7、EM FC7)を用いて厚さ約100nmの超薄切片を作製した。得られた切片を4%の四酸化オスミウム水溶液蒸気雰囲気中に5時間曝露した後、加速電圧200kVの透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製JEM−2100F)を用い5000倍の倍率で3μm×3μmの領域の観察を行い、二次元像を取得した。重合体(B)相または(X)相の島状相分離構造形成の有無を評価し、島相を形成している場合には前述の方法に従い島相の直径を導出した。
(2)加硫ゴム中の島相の評価
実施例および比較例においてプレス成形することにより作製した加硫ゴムシートから、クライオウルトラミクロトーム(Leica Microsystems GmbH社製 EM UC7、EM FC7)を用いて厚さ約100nmの超薄切片を作製した。得られた切片を4%の四酸化オスミウム水溶液蒸気雰囲気中に5時間曝露した後、加速電圧200kVの透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製JEM−2100F)を用い5000倍の倍率で3μm×3μmの領域の観察を行い、二次元像を取得した。重合体(B)相の島状相分離構造形成の有無を評価し、島相を形成している場合には前述の方法に従い島相の直径を導出した。
(3)低分子量ゴム成分の割合の測定方法
2mm×2mm×2mm程度の大きさに裁断された加硫前のゴム組成物1gを、200mlのトルエン溶媒に浸漬させ、23℃で48時間静置し、ゴム組成物中の可溶成分を抽出する。抽出後、200メッシュのフィルターを用い不溶成分を除去し、抽出液を40℃で12時間以上減圧乾燥して得られた抽出物をGPC測定に用いる。得られた抽出物の分子量分布を下記の測定装置および条件を用い、標準ポリスチレン換算分子量で求めた。
・装置 :東ソー株式会社製GPC装置「GPC8020」
・分離カラム :東ソー株式会社製「TSKgelG4000HXL」
・検出器 :東ソー株式会社製「RI−8020」
・溶離液 :テトラヒドロフラン
・溶離液流量 :1.0ml/分
・サンプル濃度:5mg/10ml
・カラム温度 :40℃
測定により得られた分子量分布から、全可溶成分に対する、分子量20万以下で1万以上の占める割合を算出し、低分子量ゴム成分の割合を導出した。
(4)ムーニー粘度
ゴム組成物の加工性の指標として、JIS K6300に準拠し、加硫前のゴム組成物のムーニー粘度(ML1+4)を100℃で測定した。
なお表2におけるムーニー粘度は、比較例3の値を100とした際の相対値である。数値が小さいほど加工性が良好である。
(5)転がり抵抗性能
実施例および比較例で作製した加硫ゴムシートから縦40mm×横7mmの試験片を切り出し、GABO社製動的粘弾性測定装置を用いて、測定温度60℃、周波数10Hz、静的歪み10%、動的歪み2%の条件で、tanδを測定し転がり抵抗性能の指標とした。
なお表2における転がり抵抗の指標を表す数値は、比較例3の値を100とした際の相対値である。数値が小さいほど転がり抵抗性能が良好である。
(6)硬度
実施例および比較例で作製した加硫ゴムシートを用いて、JIS K6253に準拠して、タイプA硬度計により硬度を測定し、操縦安定性の指標とした。なお表2における硬度は、比較例3の値を100とした際の相対値である。数値が小さい場合は、当該組成物をタイヤに用いた際にタイヤの変形が大きいため、操縦安定性が悪化する。
(7)引張破断強度
実施例および比較例で作製したゴム組成物のシートからJIS3に準じてダンベル状試験片を打ち抜き、インストロン社製引張試験機を用いて、JIS K 6251に準じて引張破断強度を測定した。
なお表2における引張破談強度の数値は、比較例3の値を100とした際の相対値である。数値が大きいほど、破断特性が良好である。
Figure 2017132884
実施例1と比較例1とを比較すると、重合体(B)の溶融粘度が3,000Pa・s以下であれば、tanδの値が小さく、転がり抵抗性能に優れたゴム組成物を得られることが分かる。実施例1と比較例2とを比較すると、重合体(B)の溶融粘度が3,000Pa・s以下であっても、重合体(B)に由来する島状相分離構造が存在しない場合には、tanδの値が大きくなり、転がり抵抗性能が低下することが分かる。

Claims (10)

  1. 合成ゴムおよび天然ゴムから選ばれる少なくとも1種の固形ゴム(A)と、炭素数14以下の共役ジエンの少なくとも1種に由来する単量体単位を含み、38℃における溶融粘度が3,000Pa・s以下である液状重合体(B)とを含有し、かつ固形ゴム(A)と液状重合体(B)との溶解度パラメータの差Δδが1.0(J/cm31/2以下であるゴム組成物の加硫ゴムであり、
    加硫ゴム中に、直径200nm以上の前記液状重合体(B)に由来する島状相分離構造が存在する加硫ゴム。
  2. 前記液状重合体(B)の炭素数14以下の共役ジエンがブタジエン、イソプレンおよびミルセンから選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の加硫ゴム。
  3. さらにフィラー(C)を含有する、請求項1または2に記載の加硫ゴム。
  4. 前記液状重合体(B)の重量平均分子量が30,000〜500,000である、請求項1〜3のいずれかに記載の加硫ゴム。
  5. 前記液状重合体(B)が、ミルセンに由来する単量体単位(b2)を含む重合体であり、ミルセン以外の炭素数14以下の共役ジエンに由来する単量体単位(b1)および単量体単位(b2)の合計に対する単量体単位(b2)の割合が1〜100質量%である、請求項1〜4のいずれかに記載の加硫ゴム。
  6. 前記ゴム組成物中に含まれる、分子量が10,000以上、200,000以下である低分子量ゴム成分の含有量が10質量%以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の加硫ゴム。
  7. 前記ゴム組成物中の前記液状重合体(B)の含有量が、前記固形ゴム(A)100質量部に対して0.1〜50質量部である、請求項1〜6のいずれかに記載の加硫ゴム。
  8. 加硫ゴムとなる前記ゴム組成物中に含まれる固形ゴム(A)および液状重合体(B)の質量比と同じ質量比で固形ゴム(A)および液状重合体(B)を含む混合物中に、直径300nm以上、2μm以下の液状重合体(B)に由来する島状相分離構造が存在する、請求項1〜7のいずれかに記載の加硫ゴム。
  9. 合成ゴムおよび天然ゴムから選ばれる少なくとも1種の固形ゴム(A)と、炭素数14以下の共役ジエンの少なくとも1種に由来する単量体単位を含み、38℃における溶融粘度が3,000Pa・s以下である液状重合体(B)とを含有し、かつ固形ゴム(A)と液状重合体(B)との溶解度パラメータの差Δδが1.0(J/cm31/2以下であるゴム組成物を加硫する加硫ゴムの製造方法。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載の加硫ゴムを少なくとも一部に用いたタイヤ。
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