JP5940388B2 - 雨滴検出装置 - Google Patents
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Description
これは、ウインドシールドに雨滴がある場合とない場合とでウインドシールド表面での光の反射が変化することから受光信号の差に基づいて検出を行うものである。そして、光を照射するウインドシールドの検出エリアは確実に雨滴が付着する観点から所定の広さの面積が設定されるが、一方検出エリアが広くなるほどに検出エリアに対して雨滴が占める相対的な面積比が小さくなる。このため、受光信号を増幅する増幅回路を備えるとしても受光信号の変化(差)が小さくなるので検出が困難になるという問題がある。
そして、オフセット用電源を要する上に、オフセット増幅切り替えのため高価な半導体スイッチ素子も備えて、コストが高いという問題を有している。
図1は実施の形態の構成を示すブロック図であり、図2はセンサ部の配置構成を示す概念図である。
まず、図2により雨滴検出装置1のセンサ部10の構成を説明する。
センサ部10は、互いに対向する前壁3と後壁4を有するケーシング2にユニット化されて、車両のウインドシールドWの内面に取り付けられる。
すなわち、前壁3に形成した窓にプリズム5が設けられ、後壁4には発光素子11と受光素子12が設置される。
発光素子11と受光素子12はそれぞれの光軸をウインドシールドWの検出エリア(検知面)Sに向けて配置され、発光素子11から照射された光がプリズム5を通してウインドシールドWの上記検出エリアSの外面側境界面で反射して受光素子12に受光されるようになっている。そして、プリズム5は発光素子11から受光素子12への光路上にレンズ部6a、6bを備えている。
センサ部10はプリズム5を発光素子11の発光波長において透明かつプリズム5またはウインドシールドWの屈折率と同等な屈折率をもつ透明接着剤などによりウインドシールドW内面に密着させて取り付けられている。
発光素子11は例えば発光ダイオード(LED)で、発光素子駆動部15に接続され、発光素子駆動部15はマイクロコンピュータからなる制御部60に接続されている。発光素子駆動部15は制御部60からの信号を受けて発光素子11を駆動しパルス光を出力させる。
受光素子12は例えばフォトダイオードで電流−電圧変換回路20に接続され、電流−電圧変換回路20の後段には順次ピークホールド回路40およびレンジ切替増幅回路50が接続されて、レンジ切替増幅回路50の出力側が制御部60に接続されている。
制御部60からピークホールド回路50へのピークホールド解除信号は、発光素子11のパルス発光のタイミングに同期して、パルス発光開始のタイミングでオン(ピークホールド解除)からオフ(ピークホールド有効)し、予め決められた所定時間経過後オフ(ピークホールド有効)からオン(ピークホールド解除)するように制御される。
制御部60は雨滴検出装置1内各部の制御を行なうとともに、レンジ切替増幅回路50で増幅された電圧値を取り込んで、その状態に応じて所定のオフセット電圧と合成するなどしてその結果を基に雨滴情報を生成する。制御部60はレンジ切替増幅回路50から取り込んだ増幅結果を一時保持する不図示のRAMを備え、また、制御部60には不揮発性メモリからなる外部メモリ70が接続されている。
電流−電圧変換回路20は、オペアンプAMP21を備え、オペアンプAMP21の出力端子と反転入力端子(−)間に抵抗R23を接続している。
例えば5Vの電源電圧VCCとオペアンプAMP21の非反転入力端子(+)の間に抵抗R21が接続され、非反転入力端子とグラウンドGNDの間に抵抗R22が接続されている。
受光素子12としてフォトダイオードPD11がそのアノードをグラウンドGNDに接続され、カソードをオペアンプAMP21の反転入力端子に接続して、受光するとカソードからアノード方向へ流れる受光電流が生成されてアノードからグラウンドGNDへ流れ出る。
V0=r23×受光電流+Vref1 (1)
ただし、r23は抵抗R23の抵抗値、Vref1は参照電圧で、抵抗R21とR22による電源電圧VCCの分圧値である。
オペアンプAMP41の出力端子からグラウンドGNDの間には順次直列にダイオードD41とコンデンサC41が設けられ、またダイオードD41とコンデンサC41との接続点はオペアンプAMP41の反転入力端子に接続している。
さらに、ダイオードD41とコンデンサC41との接続点とグラウンドGNDとの間には、抵抗R41とスイッチ素子S41が直列に設けてある。
すなわち、ピークホールド回路40から出力されるピーク値はV0と同一で、これがレンジ切替増幅回路50の入力電圧Vinとなる。
電源電圧VCCとオペアンプAMP51の反転入力端子の間に抵抗R51が接続され、反転入力端子とグラウンドGNDの間に抵抗R52が接続されている。
オペアンプAMP51の反転入力端子はさらに、抵抗R53を介して制御部60の制御端子p2が接続されるとともに、出力端子との間に抵抗R54を接続している。
オペアンプAMP51の出力端子は制御部60のA/D入力端子p3に接続されている。
すなわち、増幅率は式(2)で表わされる。
G=1+(r54/rm) (2)
ただし、抵抗R51、R52、R53の各抵抗値をr51、r52、r53として、
rm=1/((1/r51)+(1/r52)+(1/r53))
である。
図4の(a)はレンジ切替増幅回路50の等価回路を示し、入力電圧Vinと出力電圧Voutとの関係は、式(3)で表わされる。
Vout=G×(Vin−Vref2)+Vref2 (3)
ただし、参照電圧Vref2は抵抗R53が接続している制御端子p2のレベルに応じて変化する。
したがって、制御端子p2がHiレベルのときは、抵抗R51およびR53の合成抵抗と抵抗R52とによる電源電圧VCCの分圧値が参照電圧Vref2となり、制御端子p2がLoレベルのときは、抵抗R51と抵抗R52およびR53の合成抵抗とによる電源電圧VCCの分圧値が参照電圧Vref2となる。
抵抗R21の抵抗値r21:38.3KΩ
抵抗R22の抵抗値r22:30KΩ
抵抗R23の抵抗値r23:10KΩ
抵抗R51の抵抗値r51:3・01KΩ
抵抗R52の抵抗値r52:3.65KΩ
抵抗R53の抵抗値r53:20KΩ
抵抗R54の抵抗値r54:10KΩ
とし、受光電流が80μAであるとする。
参照電圧Vref1は、
Vref1=2.196(V)
で、電流−電圧変換回路20が出力する受光電圧は、式(1)から
V0=2.996(V)
となる。
G=7.56
となる。そして、参照電圧Vref2は、
制御端子p2がHiレベルのとき:Vref2=2.91(V)
制御端子p2がLoレベルのとき:Vref2=2.53(V)
となる。
これにより、レンジ切替増幅回路50は制御端子p2がHiレベルのとき参照電圧Vref2が高いHiレンジ増幅モードとなり、制御端子p2がLoレベルのときは参照電圧Vref2が低いLoレンジ増幅モードとなる。
Vout(H)=7.56×(2.996−2.91)+2.91=3.54(V)
Loレンジ増幅モードでは、
Vout(L)=7.56×(2.996−2.53)+2.53=6.04(V)
となる。
増幅率は同じであるが、参照電圧Vref2が異なることからVout(H)とVout(L)の間には、
Vos=Vout(L)−Vout(H)=6.04−3.54=2.5(V)
−− (4)
のオフセット電圧が生じる結果となっている。
このオフセット電圧Vosはレンジ切替増幅回路50の各抵抗の抵抗値の精度ばらつきにより計算値とずれるため、製品(雨滴検出装置)の出荷時にVout(L)とVout(H)の実測値の差を求めて、あらかじめ外部メモリ70に記憶させておく。
なお、制御部60は発光素子駆動部15への制御信号を送出する端子など他の制御端子も備えているが、図示省略する。
ここでは、制御部60が発光素子駆動部15を介して一定時間間隔で発光素子11を駆動してパルス光を出力させているものとする。また、オフセット電圧Vosが前述のとおり外部メモリ70に記憶されているものとする。図6は、時刻t0において1個のパルス光を出力させた時点に続く状態を示しており、電流−電圧変換回路20からは図6の(a)に示すように、参照電圧Vref1にウインドシールドWからの反射光受光分が加わった受光電圧V0が出力される。
図6の(b)に示すように、ピークホールド解除信号オフの継続時間Tはパルス光の時間幅より長い所定時間が設定されており、この間ピークホールド回路の出力はV0に保持される。
Hiレンジ増幅モードでは、Vos=2.5(V)だけ低電圧方向にオフセットしているため、図6の(c)に示すように、レンジ切替増幅回路50の最大出力は電源電圧VCC=5(V)以下に収まる。
そして、ステップ102で、レンジ切替増幅回路50の出力をA/D入力端子p3に取り込んでA/D変換し、ステップ103でそのA/D変換されたHiレンジ増幅結果Vout(H)を制御部60のRAMに保存する。
その後、ステップ104において、時刻t1で制御端子p2のレベルをLoに切り替えて、レンジ切替増幅回路50をLoレンジ増幅モードとする。
ステップ105で、レンジ切替増幅回路50の出力をA/D入力端子p3に取り込んでA/D変換し、ステップ106でそのA/D変換されたLoレンジ増幅結果Vout(L)を上述のRAMに保存する。
なお、A/D変換後のデータはデジタル値となるが、以下ではデジタル値に対応するV(ボルト)値で説明する。
オペアンプAMP51には出力できる最小電圧があり、入力が低くて出力が最小電圧に達しないときはHiレンジ増幅結果を利用することができない。これを確認するため、低下飽和閾値Vcは基準電圧(0V)にオペアンプAMP51で定まる所定値を加算した値に設定される。
Vf=Vout(H)+Vos (5)
すなわち、簡単のため低下飽和閾値Vc=0(V)として、実施例のように、Vout(H)=3.54(V)であるときは、
Vf=3.54+2.5=6.04(V)
を合成電圧とする。なお、ここでは外部メモリ70から読み出したオフセット電圧Vosが式(4)の計算値2.5Vと一致していたものとする。
このあと、ステップ114へ進む。
以上により、Hiレンジ増幅結果Vout(H)が低下飽和閾値Vcより高い場合には、このオフセット増幅によるVout(H)に基づくとともに、Hiレンジ増幅結果Vout(H)が低下飽和閾値Vc以下のときはLoレンジ増幅結果Vout(L)に基づいて合成電圧Vfを得るので、電源電圧5Vの制約下にもかかわらずZ=7.5(V)幅の広いダイナミックレンジで受光電圧のピーク値を増幅できることになる。
なお、図6の(d)に示すZHはVout(H)に基づくVfの範囲、ZLはVout(L)に基づくVfの範囲である。
ここでは、例えば、図6の(d)に示すように、前回フローにおける合成電圧Vf(前回)と今回の合成電圧Vf(今回)を比較して、合成電圧の低下量ΔVfが所定値以上であるときはウインドシールドへの雨滴の付着によるものと判断して、雨滴有りの雨滴情報を生成する。
抵抗R51が第1の抵抗に該当し、抵抗R52が第2の抵抗に、抵抗R53が第3の抵抗に該当する。
外部メモリ70が不揮発性メモリに該当する。
なお、実施の形態では、オフセット電圧Vosを記憶させる不揮発性メモリを外部メモリ70として制御部60に接続されたものとしたが、制御部60に内蔵させてもよい。
この場合には、Vout(L)がオペアンプAMP51の出力可能最大値、たとえば5Vに近い増大飽和閾値より低いときには、低電圧方向にオフセットされるHiレンジ増幅結果は出力されないおそれがあるので、Vout(L)を合成電圧Vfとして採用する。
この影響を防止するため、第1の変形例として、図7に示すように、電圧ハイパスフィルタ回路30を電流−電圧変換回路20とピークホールド回路40の間に設けることができる。
ここで、コンデンサC31の容量Caと抵抗R31とR32による合成抵抗値Raは、遮断周波数fcを発光素子11からのパルス光による交流成分の通過を許す値に設定したとして、fc=1/(2πCaRa)となるように選択され、1次ハイパス電圧フィルタが構成される。
抵抗R31とR32との接続点に、GND電位から高電圧側へオフセットした出力電圧(受光信号)を得る。
抵抗R31とR32による電源電圧VCCの分圧値がピークホールド回路40へ入力される受光信号の参照電圧Vref1となる。
これにより、電流−電圧変換回路20の出力電圧(受光信号)から外部光成分が除去され、太陽や街灯、他車のヘッドライトの影響による雨滴の有無状態に関する誤検出が防止される。
なお、電圧ハイパスフィルタ回路30については1次のハイパスフィルタとして示したが、2次のハイパスフィルタとしてもよく、次数が上がる分だけノイズである外部光成分を減衰させる性能が一層向上する。
図8は、第2の変形例として、第3の抵抗が2個の抵抗で構成されたレンジ切替増幅回路50Aを示す。
レンジ切替増幅回路50Aでは、オペアンプAMP51の反転入力端子に第3の抵抗として抵抗R53aと抵抗R53bが並列に接続され、両抵抗の他端がそれぞれ制御部60Aの制御端子p2a、p2bに接続されている。その他の構成はレンジ切替増幅回路50と同じである。
抵抗R51の抵抗値r51:3・01KΩ
抵抗R52の抵抗値r52:3.65KΩ
抵抗R53aの抵抗値r53a:40KΩ
抵抗R53bの抵抗値r53b:40KΩ
抵抗R54の抵抗値r54:10KΩ
とすると、増幅率はG=7.56のままで、
制御端子p2aがHi、p2bがHiレベルのとき:Vref2=2.91(V)
Vout(H)=3.54(V)
制御端子p2aがHi、p2bがLoレベルのとき:Vref2=2.72(V)
Vout(M)=4.79(V)
制御端子p2aがLo、p2bがLoレベルのとき:Vref2=2.53(V)
Vout(L)=6.04(V)
となる。
合成電圧Vfはレンジ切替増幅回路の昇順の各増幅レンジにおける出力Voutに、各出力間のオフセット電圧1.25Vを順次に加算して得られる。
第3の抵抗をさらに3以上の抵抗で構成すれば、さらに多数の増幅レンジが得られ、きめ細かく高精度の増幅結果を得ることができる。
2 ケーシング
3 前壁
4 後壁
5 プリズム
6a、6b レンズ部
10 センサ部
11 発光素子
12 受光素子
15 発光素子駆動部
20 電流−電圧変換回路
30 電圧ハイパスフィルタ回路
40 ピークホールド回路
50、50A レンジ切替増幅回路
60、60A 制御部
70 外部メモリ
AMP21、AMP41、AMP51 オペアンプ
C41 コンデンサ
D41 ダイオード
GND グラウンド
PD11 フォトダイオード
p1 ピークホールド解除信号制御端子
p2、p2a、p2b 制御端子
p3 A/D入力端子
p4 ワイパー制御信号出力端子
R21、R22、R23、R41、R51、R52、R53、R54 抵抗
R53a、R53b 抵抗
S41 スイッチ素子
VCC 電源電圧
Claims (7)
- 発光素子からウインドシールドに向けて出射されたパルス光の反射光を受光素子で受光して、前記受光素子から出力される受光信号に基づいて前記ウインドシールド上の雨滴の有無を検出する雨滴検出装置であって、
前記受光信号を電流から電圧に変換する電流−電圧変換回路と、
該電流−電圧変換回路を通過した受光信号をピークホールドするピークホールド回路と、
該ピークホールド回路で前記ピークホールドしている間の前記ピークホールド回路の出力である同一のピークホールド値に対して増幅レンジを変更して増幅するレンジ切替増幅回路と、
該レンジ切替増幅回路で増幅された受光信号を基に拡大レンジピーク値を生成する拡大レンジ信号生成手段と、
前記拡大レンジピーク値を基に、前記ウインドシールド上の雨滴の有無状態を判定する状態判定手段とを有し、
拡大レンジ信号生成手段は、
前記レンジ切替増幅回路の各増幅レンジにおける出力に、各出力間のオフセット電圧を順次に加算して前記拡大レンジピーク値とすることを特徴とする雨滴検出装置。 - 前記レンジ切替増幅回路は、前記ピークホールド回路の出力を非反転入力端子に入力するオペアンプを有し、
電源電圧に接続された第1の抵抗とグラウンドに接続された第2の抵抗を直列に配置し、該第1の抵抗と第2の抵抗との接続点を前記オペアンプの反転入力端子に接続するとともに、前記接続点に第3の抵抗の一端を接続して、
前記第3の抵抗の他端をHiレベルまたはLoレベルに切り替えることにより、前記複数の増幅レンジを得るものであることを特徴とする請求項1に記載の雨滴検出装置。 - 前記第3の抵抗が複数設けられ、
前記レンジ切替増幅回路は前記第3の抵抗の各他端のHiレベルまたはLoレベル切り替えの組み合わせにより3以上の増幅レンジを得ることを特徴とする請求項2に記載の雨滴検出装置。 - 拡大レンジ信号生成手段は、
前記レンジ切替増幅回路の昇順の各増幅レンジにおける出力に、各出力間のオフセット電圧を順次に加算して前記拡大レンジピーク値とすることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の雨滴検出装置。 - 前記各増幅レンジの出力の製品出荷時における実測値の差が前記オフセットとして不揮発性メモリに記憶されていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の雨滴検出装置。
- 前記発光素子が車両のウインドシールド表面の検知面に向けてパルス光を出射し、前記受光素子が前記検知面で反射された光を受光するように配置され、
前記状態判定手段が前記受光信号のピーク値を基にウインドシールドの雨滴の付着状態を判定するものであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1に記載の雨滴検出装置。 - 前記電流−電圧変換回路と前記ピークホールド回路の間に電圧ハイパスフィルタ回路が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の雨滴検出装置。
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