JP5939344B2 - 液状飲食品、インスタント嗜好性飲料用組成物、インスタント嗜好性飲料用組成物の製造方法、及び食感付与剤 - Google Patents

液状飲食品、インスタント嗜好性飲料用組成物、インスタント嗜好性飲料用組成物の製造方法、及び食感付与剤 Download PDF

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Description

本発明は、濃厚感や脂肪感、特になめらかな食感やボディ感が付与された嗜好性飲料等の液状飲食品、当該嗜好性飲料を調製するためのインスタント嗜好性飲料用組成物、当該液状飲食品の製造方法、当該液状飲食品に用いられる架橋でん粉、当該架橋でん粉を用いた食感付与剤、マスキング剤及び塩味増強剤、並びに当該食感付与剤を用いた液状飲食品の食感改善方法に関する。
消費者の嗜好の多様化に伴い、コーヒーや紅茶等の嗜好性飲料についても、様々な食感や味質を有するものが商品化されている。中でも、なめらかさやボディ感は、嗜好性飲料の重要な品質の一つであり、これらの食感を改善する方法の開発が求められている。コーヒーや紅茶においては、原料とするコーヒー豆や茶葉由来の固形分濃度を高めたり、ショ糖等の糖類、デキストリンや水あめ等のでん粉分解物の添加によってボディ感を高めることができるが、風味設計の幅が制限されたり効果が十分でない。とうもろこしでん粉、タピオカでん粉、馬鈴薯でん粉等の一般的に流通しているでん粉を添加し糊化させることによりボディ感を付与することはできるが、糊っぽさも付与されてしまい好ましくない。また、キサンタンガム等の増粘多糖類を使用する場合、ヌメリや糊っぽさを伴うといった問題がある。嗜好性原料、糖類、でん粉分解物や増粘多糖類に依存せずにボディ感を付与することができれば、より多種多様な味質や食感の嗜好性飲料の提供が可能になる。
なめらかな食感やボディ感は、脂肪量を増大させることにより向上させ得るが、脂肪量を増大させると、カロリーが高くなる上に、原材料費も高くなってしまう。そこで、ドレッシングやフローズンデザート等の食品の脂肪感を増大させるための脂質代替物として、酸化化工でん粉を用いる方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、飲料のとろみやボディ感を改善する方法として、加熱膨潤度が10〜40であるでん粉を飲料に添加し、65〜95℃になるまで加熱混合した後、機械処理によりでん粉粒を崩壊させる方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。その他、マーガリンやマヨネーズ、卵や油脂を含まないマヨネーズ風加工食品などにおいて、特定の粘度、特定の白色度を有する微小繊維状セルロースを含有させることにより、クリーミィ感、白色度、ボディ感、さらには、ショート感を向上させる方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
一方で、液状飲食品のボディ感は、みかけ粘度が高くなるほど高く感じる傾向にある。また、一般的には、架橋でん粉粒子を物理的に破砕(微小化)することにより、架橋でん粉溶液のみかけ粘度は低下する傾向がある。架橋でん粉溶液では糊化や膨潤によってでん粉粒子内に取り込まれる水分量が増大して粒子が大きくなる結果、粒子間のファンデルワールス力が強くなることで粘度が高くなる。この架橋でん粉粒子が物理的に破砕されると、粒子内に保有できる水分量も減り、粒子間のファンデルワールス力も弱まることにより、架橋でん粉溶液のみかけ粘度が低下すると考えられている(例えば、非特許文献1参照。)。
特開平6−189699号公報 特開2012−130272号公報 特開2008−237195号公報
朝田仁、他1名、「化工澱粉糊化粒子の膨潤に及ぼすずり応力の影響」、日本食品科学工学会誌、2007年、第54巻、第5号、第222〜228ページ。
タピオカでん粉、馬鈴薯でん粉等を単に酸化して得られる加工でん粉の一種である酸化でん粉は、多量に添加し固形分を増加させることによって食品のボディ感を向上させることはできても、例えば60℃以上の温かい飲料(ホット飲料)に添加した場合には、酸化処理によるでん粉粒の損傷によりでん粉粒が崩壊することにより粒子状態が維持されず、脂肪様の食感を得ることはできない。なめらかさやボディ感等の脂肪様の食感は、微小の粒子が舌に触れることで強く感得されるためである。
一方で、特許文献2に記載の方法は、ネクタータイプの果汁飲料等のとろみやボディ感を向上させることを目的としており、機械処理により、飲料中のでん粉粒は崩壊されている。このため、当該方法では、脂肪感向上によるなめらかな食感やボディ感を達成することは非常に困難である。また、風味改良効果に関しては記載がなく、透明な溶液となることから白濁効果は無い。さらに、特許文献2に記載の方法は、でん粉を添加した飲料を機械処理する必要があるため、粉末状組成物を水等の液体に溶解させることにより手軽に飲めるインスタント飲料には適用できない。
また、特許文献3に記載の方法では、微小化したセルロースにより、ざらつきを抑制しつつ白濁性とボディ感を付与することが可能な場合があるが、パルプ臭が感じられ、風味的に好ましくない場合がある。
本発明は、ざらつき、粉っぽさ、及び糊状感(糊様のべたっとした食感)が付与されることなく、濃厚感や、なめらかな食感やボディ感といった脂肪感が付与された嗜好性飲料等の液状飲食品、当該嗜好性飲料を調製するためのインスタント嗜好性飲料用組成物、当該液状飲食品の製造方法、及びこれらに用いることができる食感付与剤を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、嗜好性飲料等の液状飲食品に、メジアン径が4.9μm以下である架橋でん粉を飲料に配合することにより、ざらつきや粉っぽさを付与することなく、濃厚感や脂肪感(なめらかな食感やボディ感)を付与できることを見出し、本発明を完成させた。
[1]本発明の第一の態様に係る液状飲食品は、遊離グルコース含有量が固形分当たり4.5質量ppm以上1000質量ppm以下であり、かつメジアン径が4.9μm以下の物理的に微小化されている架橋でん粉を含有することを特徴とする。
[2]前記[1]の液状飲食品としては、嗜好性飲料であることが好ましい。
[3]前記[1]又は[2]の液状飲食品としては、白濁性を有するものが好ましい。
[4]前記[1]〜[3]のいずれかの液状飲食品としては、L値が15以上であるものが好ましい。
[5]前記[1]〜[4]のいずれかの液状飲食品としては、前記架橋でん粉がリン酸架橋でん粉又はリン酸モノエステル化リン酸架橋でん粉であることが好ましい。
[6]前記[1]〜[5]のいずれかの液状飲食品としては、前記架橋でん粉のメジアン径が0.3〜4.9μmであることが好ましい。
[7]本発明の第二の態様に係るインスタント嗜好性飲料用組成物は、遊離グルコース含有量が固形分当たり4.5質量ppm以上1000質量ppm以下であり、かつメジアン径が4.9μm以下の物理的に微小化されている架橋でん粉を含有することを特徴とする。
[8]本発明の第三の態様に係るインスタント嗜好性飲料用組成物の製造方法は、メジアン径が4.9μm以下となるように物理的に微小化されており、かつ遊離グルコース含有量が、固形分当たり4.5質量ppm以上1000質量ppm以下である架橋でん粉を原料として用いることを特徴とする。
[9]本発明の第四の態様に係る液状飲食品の食感付与剤は、遊離グルコース含有量が固形分当たり4.5質量ppm以上1000質量ppm以下であり、かつメジアン径が4.9μm以下の物理的に微小化されている架橋でん粉を有効成分とし、添加された液体に脂肪感、濃厚感、及び白濁性からなる群より選択される1以上を付与することを特徴とする。
[10]前記[9]の食感付与剤としては、添加された液体に脂肪感と白濁性を付与するものが好ましい。
本発明により、単に特定の大きさに微小化された架橋でん粉を含有させるだけで、なめらかな食感やボディ感が付与された液状食品、特に嗜好性飲料を提供することができる。
また、本発明において用いられる架橋でん粉を飲料等に配合すると、白濁させることもできる。このため、本発明により、乳原料、油脂類やクリーミングパウダー等を用いずとも、白濁した又は白濁性が向上した液状食品、特に嗜好性飲料を提供することができる。
実施例1において使用した各種でん粉の粒度分布(縦軸:相対粒子量(%)、横軸:粒子径(μm))を示した図である。
本発明及び本願明細書において、「架橋でん粉」とは、でん粉の分子内又は分子間の水酸基同士を、2以上の反応性官能基(水酸基と反応する官能基)を有する化合物と反応させることにより架橋構造を形成させた加工でん粉を意味する。本発明において用いられる架橋でん粉としては、飲食時においてメジアン径を4.9μm以下に維持できる可食性の架橋でん粉であれば特に限定されるものではなく、具体的には、例えば、リン酸架橋でん粉、アジピン酸架橋でん粉等が挙げられる。でん粉の架橋処理は、トリメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム等のメタリン酸塩、無水リン酸、オキシ塩化リンや無水アジピン酸等の架橋剤を用いて常法により行うことができる。
本発明において用いられる架橋でん粉としては、微小化後の飲食時においてメジアン径が4.9μm以下を維持するものであれば架橋化以外の加工が施されたでん粉であってもよい。その他の加工としては、ヒドロキシプロピル化、アセチル化、リン酸モノエステル化等が挙げられる。でん粉に対するこれらの加工処理は、プロピレンオキサイドや無水酢酸、オルトリン酸、オルトリン酸カリウム、オルトリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム等の修飾用試薬を用いて常法により行うことができる。また、でん粉に対するこれらの加工処理と架橋処理は、同時に行ってもよく、順次行ってもよい。
本発明においては、1種類の架橋でん粉を用いてもよく、2種類以上の架橋でん粉を用いてもよい。本発明において用いられる架橋でん粉としては、具体的には、リン酸架橋でん粉、アセチル化リン酸架橋でん粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋でん粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋でん粉、アセチル化アジピン酸架橋でん粉等が挙げられる。本発明において用いられる架橋でん粉としては、リン酸架橋でん粉、アセチル化リン酸架橋でん粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋でん粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋でん粉、アセチル化アジピン酸架橋でん粉又はこれらの混合物が好ましく、リン酸架橋でん粉又はリン酸モノエステル化リン酸架橋でん粉がより好ましい。
本発明において用いられる架橋でん粉の原料となるでん粉としては、タピオカでん粉、モチゴメでん粉、コメでん粉、馬鈴薯でん粉、小麦でん粉、コーンでん粉、ワキシーコーンでん粉、サトイモでん粉、サゴでん粉等の可食性のでん粉を用いることができる。本発明において用いられる架橋でん粉としては、架橋処理(必要に応じてその他の加工処理も含む。)を、タピオカでん粉、モチゴメでん粉、コメでん粉、又はこれらの混合物に対して行ったものが好ましく、原料由来の臭いが少ないことからタピオカでん粉の架橋でん粉(架橋タピオカでん粉)がより好ましい。
本発明において、嗜好性飲料等の液状飲食品やインスタント嗜好性飲料用組成物に含有させる架橋でん粉は、スラリー状又は粉体であり、メジアン径(D50:粒径が小さい側からの体積累積が50%に相当する粒径)が4.9μm以下、好ましくは4.8μm以下である。メジアン径がこの範囲内であることにより、飲料に添加した場合にも、ざらつきや粉っぽさを抑えつつ、なめらかな食感やボディ感といった脂肪感や濃厚感を付与することができる。非特許文献1に示すように、一般的にはでん粉粒子が微小化するとでん粉溶液のみかけ粘度が低下すると考えられているにもかかわらず、驚くべきことに、メジアン径が4.9μm以下と非常に微小化された架橋でん粉を配合することによってボディ感が改善される。本発明において用いられる架橋でん粉のメジアン径としては、0.3μm以上が好ましい。メジアン径が0.3μm以上であることにより、嗜好性飲料等の液状飲食品に添加された場合に、白濁性と食感がより良好である。当該メジアン径としては、0.3〜4.9μmが好ましく、0.3〜4.8μmがより好ましい。
本発明において用いられる架橋でん粉の粒度分布は、以下に記載の条件におけるレーザー回折・散乱法により測定される。具体的には、(株)島津製作所製の粒度分布測定装置SALD−2100を用いて常法により(詳細には、フローセルを使用し、水を測定溶媒とし、屈折率が1.60−0.10i、測定吸光度範囲の最大値を0.2、最小値を0.01とした条件で)測定したものとする。
本発明において用いられる架橋でん粉としては、累積分布径D90(粒径が小さい側からの体積累積が90%に相当する粒径)が12μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。累積分布径D90がこの範囲内であることにより、飲料に添加した場合に、ざらつきや粉っぽさがより低減される。
本発明において用いられる架橋でん粉は、例えば、メジアン径が4.9μm超の架橋でん粉をメジアン径が4.9μm以下となるように微小化することにより得られる。メジアン径が4.9μm以下のでん粉に対して架橋処理等の加工を行うと、架橋反応後の水洗処理等により歩留りが低下する場合がある。予め架橋処理したでん粉を微小化することにより、微小化後の水洗が不要であり、歩留りの低下を防止できるという利点がある。また、そもそも、メジアン径が4.9μm以下のでん粉自体は、流通量が非常に少なく、高価である。そのため、架橋反応を行なう原料でん粉はメジアン径が4.9μm超のものが好ましく、より好ましくは10μm以上のものである。一般的に流通しているメジアン径が4.9μm超のでん粉から常法により製造した架橋でん粉を微小化することにより、流通量が少なく高価な微小でん粉を用いることなく、所望の粒度分布の架橋でん粉を効率よく製造することができる。
架橋でん粉の微小化方法は、所望の粒度分布に調整可能な方法であれば特に限定されないが、物理的に微小化する方法が好ましい。既に架橋処理したでん粉を物理的に微小化する方法としては、湿式微粉砕と乾式微粉砕のいずれの方法であってもよく、またそれらを併用してもよい。具体的には、例えば、湿式又は乾式のビーズミル式微粉砕装置(粉体を、ビーズ(粉砕メディア)と衝突させることにより微粉砕する装置)やジェットミル(ノズルから高圧の空気を粒子に衝突させ、粒子同士の衝突によって微粉砕する装置)等を用いて架橋でん粉の微小化を行うことができる。
ビーズミル式微粉砕には、ビーズを充填した粉砕室(ベッセル)とホールディングタンクとの間で原料及びこの粉砕物を循環させる循環方式と、粉砕室に連続的に原料を供給するパス方式がある。循環方式を用いることにより、通常非常に困難な架橋でん粉の微小化を効率よく行うことができる。循環方式では、遠心分離法を利用してビーズと原料とを分離し、粉砕室から排出された原料は、湿式粉砕の場合においては、ホールディングタンクにおいて冷却された後、ポンプにより再び粉砕室へ投入される。循環方式の場合、原料の微小化は時間とともに連続的に進行する。また、粉砕時間、粉砕室へのビーズ充填率、ビーズサイズ、ローターの回転数等を適宜調整することにより、架橋でん粉を所望の粒度分布に調整することができる。このような循環方式のビーズミル式微粉砕装置としては、例えば、スターミル(登録商標)LMZシリーズ(アシザワ・ファインテック(株)製、湿式ビーズミル微粉砕機)がある。一方で、パス方式のビーズミル式微粉砕装置としては、スターミル(登録商標)LMEシリーズ(アシザワ・ファインテック(株)製、湿式ビーズミル微粉砕機)、ドライスター(登録商標)SDA(アシザワ・ファインテック(株)製、乾式ビーズミル微粉砕機)等が挙げられる。また、ドライスターSDAと分級機CFA(商品名)(アシザワ・ファインテック(株)製、乾式分級機)を併用するか、分級機内蔵型であるシグマドライ(登録商標)SGD(アシザワ・ファインテック(株)製、乾式ビーズミル微粉砕機)を用いることにより、租粒のみを粉砕室に循環させて粉砕することができる。
本発明において用いられる架橋でん粉を湿式ビーズミル式微粉砕により製造する場合、用いられる溶媒及びビーズは、湿式ビーズミル式微粉砕法において一般的に用いられる溶媒やビーズの中から適宜選択して用いることができる。当該溶媒としては、例えば、水、大豆油や菜種油等の油脂;へキサン等の有機溶媒;液体窒素等の液化ガスを用いることができる。また、ビーズの材質としては、ジルコニア、アルミナ、窒化ケイ素等のセラミックス、ドライアイス等が挙げられる。
ジェットミルを用いて架橋でん粉の微小化を行う場合、原料の微小化は時間とともに連続的に進行する。また、原料の投入スピード、空気圧を適宜調整することにより、架橋でん粉を所望の粒度分布に調整することができる。また、分級ローターが付属しているジェットミルの場合は、分級ローターの回転数によっても粒度分布を調整することができる。
メジアン径が小さくなるほど、微粒子は凝集しやすく、また、凝集後の粒子の粒子径を目的の範囲内に制御することは非常に困難である。このため、メジアン径が4.9μm以下となるように物理的に微小化された架橋でん粉は、凝集によりメジアン径が大きく変動する前に飲食品に原料として用いられることが好ましく、凝集が発生する前に飲食品に原料として用いられることがより好ましい。
なお、本発明及び本願明細書において、液状飲食品に含有させる「メジアン径が4.9μm以下となるように物理的に微小化された架橋でん粉」は、微小化処理を物理的方法により行ったものであり、かつ液状飲食品に含有された状態でメジアン径が4.9μm以下となる粒度分布を有するものである。例えば、液状飲食品は、一般的に市場に流通する前にホモジナイザーによる均質化や加熱滅菌処理等がなされるが、このような均質化や加熱滅菌処理によっても架橋でん粉の粒度分布は影響を受ける場合がある。メジアン径が4.9μm超の架橋でん粉を均質化や加熱滅菌処理することによりメジアン径が4.9μm以下となった架橋でん粉も、「物理的に微小化された架橋でん粉」に相当する。
メジアン径が4.9μm以下となるように物理的に微小化された架橋でん粉と、微小化処理を行ったでん粉又はメジアン径が4.9μm以下のでん粉を架橋処理して得られるメジアン径が4.9μm以下の架橋でん粉は、固形分当たりのグルコース含有量で区別できる。メジアン径が4.9μm以下のでん粉をリン酸架橋処理した架橋でん粉は、従来のでん粉製造において行われる水洗による精製工程において遊離のグルコースも除去される。さらに、リン酸架橋反応はアルカリ条件下で行われるため、反応終了後には酸により中和し生じた塩類等の除去のために再度水洗処理されが、この水洗処理において、遊離のグルコースも除去される。同様に、微小化したでん粉をリン酸架橋処理した架橋でん粉も、少なくとも架橋反応後の水洗処理において、遊離のグルコースは除去される。このように、でん粉製造工程と架橋化処理後の両方で水洗工程を要するため、メジアン径が4.9μm以下のでん粉又は微小化処理を行ったでん粉に架橋処理して得られる架橋でん粉は、遊離グルコースをほとんど含有していない。これに対して、架橋でん粉を物理的に微小化する場合には、微小化処理後の水洗工程が不要なため、得られたメジアン径が4.9μm以下の架橋でん粉は、より多くの遊離グルコースを含有する。本発明において用いられるメジアン径が4.9μm以下となるように物理的に微小化された架橋でん粉としては、固形分当たりの遊離グルコース含有量が、4.5質量ppm以上であるものが好ましい。当該架橋でん粉の固形分当たりの遊離グルコース含有量の上限値としては、特に限定されるものではないが、9000質量ppm以下が好ましく、1000質量ppm以下がより好ましく、500質量ppm以下がさらに好ましく、300質量ppm以下がよりさらに好ましい。なお、「架橋でん粉の遊離グルコース含有量」とは、でん粉から架橋でん粉を製造する工程においてでん粉原料から持ち込まれた遊離グルコースと、架橋でん粉の微小化処理等において架橋でん粉から生じた遊離グルコースの合計含有量を意味し、別途添加された遊離グルコースは除く。
メジアン径が4.9μm以下である架橋でん粉を嗜好性飲料等の液状飲食品に含有させることにより、嗜好性飲料等の液状飲食品の食感を改善することができる。具体的には、嗜好性飲料等の液状飲食品に、ざらつき、粉っぽさ、糊状感を付与することなく、なめらかな食感とボディ感、濃厚感を付与することができる。つまり、メジアン径が4.9μm以下である架橋でん粉は、添加された液体に脂肪感と濃厚感と白濁性を付与することができるため、食感付与剤として用いることができる。当該架橋でん粉は、主に嗜好性飲料等の飲料に対する食感付与剤として好適である。
また、メジアン径が4.9μm以下である架橋でん粉は、溶液に分散させると白濁する。このため、乳原料、油脂類やクリーミングパウダー(クリームの代用として、コーヒーや紅茶、ココア等の嗜好性飲料に添加される粉末)等の通常飲料を白濁させる原料を使用せずとも、当該架橋でん粉を含有させることにより白濁した又は白濁性が向上した嗜好性飲料等の液状飲食品を得ることができる。メジアン径が4.9μm以下である架橋でん粉を白濁性を向上させる目的で飲料に含有させる場合、当該架橋でん粉を含有させた嗜好性飲料等の液状飲食品としては、L値(明度)が15以上であることが好ましく、18以上がより好ましい。
嗜好性飲料等の液状飲食品の溶液のL値は、黒をL値0、白をL値100として色差計(例えば、Spectro Color Meter SE2000(日本電色工業(株)製)又はその後継機種を用いて常法により測定することができる。
本発明において、食感が改善される対象となる液状飲食品としては、飲料、スープ等が挙げられる。飲料としては、嗜好性飲料;乳飲料;野菜、果実、若しくは豆類の搾汁を含有する飲料;清涼飲料;アルコール含有飲料等が挙げられる。乳飲料としては、牛乳等の乳原料を主たる成分として含有する飲料であればよく、牛乳等の動物の乳自体であってもよく、調整乳、加工乳等であってもよい。また、発酵乳を使用した酸性乳飲料や乳原料を酸味料等の酸成分により酸性化した酸性乳飲料であってもよい。なお、ここで記載の乳飲料とは、乳成分を含有した飲料のことであり、省令により定められたものに限定されない。野菜、果実、若しくは豆類の搾汁を含有する飲料としては、野菜飲料、果汁飲料、青汁、豆乳飲料、又はこれらの混合飲料等が挙げられる。清涼飲料としては、コーラ、サイダー等の炭酸含有飲料、スポーツドリンク、ニアウォーター(水にビタミンやカルシウム等の栄養素、若干の果汁、糖類、高甘味度甘味量、香料の少なくとも1種以上を加えたスポーツドリンクよりも透明性のある飲料)等が挙げられる。アルコール含有飲料としては、チュウハイ等のように、前記嗜好性飲料や野菜、果実、若しくは豆類の搾汁を含有する飲料等に、焼酎、ビール、スピリッツ等のアルコール類を混合した飲料等が挙げられる。当該アルコール含有飲料のアルコール濃度は、架橋でん粉のメジアン径が0.3〜4.9μmに維持される範囲であればよい。
本発明において、食感が改善される対象となる嗜好性飲料としては、コーヒー、紅茶、緑茶、抹茶、ウーロン茶等の茶飲料、ハーブティー、ココア、又はこれらの混合飲料が挙げられる。ハーブティーの原料としては、ハイビスカス、ローズヒップ、ペパーミント、カモミール、レモングラス、レモンバーム、ラベンダー等が挙げられる。嗜好性飲料としては、カフェ・オレ、ミルクティー、ココア・オレ等のように、乳原料やクリーミングパウダーを含むものであってもよい。また、メジアン径が4.9μm以下である架橋でん粉による食感改善効果は、嗜好性飲料の液温が60℃以上の場合(ホット飲料)と、常温の場合、10℃以下の場合(アイス飲料)のいずれにおいても得られる。
例えば、常法により製造した嗜好性飲料等の液状飲食品に、微小化架橋でん粉を添加して分散させることにより、架橋でん粉を含有した嗜好性飲料等の液状飲食品が得られる。微小化架橋でん粉は、甘味料やクリーミングパウダー等のその他の添加剤と共に嗜好性飲料等の液状飲食品に添加されてもよい。嗜好性飲料等の液状飲食品における前記架橋でん粉の含有量は、なめらかな食感やボディ感を所望の程度にまで向上させ得るために充分な量であればよく、嗜好性飲料等の液状飲食品の種類やその他の組成、目的とする食感品質等を考慮して適宜調節することができる。例えば、嗜好性飲料等の液状飲食品に対して固形分として0.00125〜10質量%、好ましくは0.005〜10質量%、より好ましくは0.005〜10質量%、さらに好ましくは0.005〜2質量%、よりさらに好ましくは0.005〜1質量%となるようにメジアン径が4.9μm以下である架橋でん粉を含有させることができる。その他、嗜好性飲料等の液状飲食品に対して0.1〜10質量%、好ましくは0.1〜1質量%となるようにメジアン径が4.9μm以下である架橋でん粉を含有させることもできる。
メジアン径が4.9μm以下である架橋でん粉を、インスタント嗜好性飲料用組成物の原料として用いることにより、水等の液体に分散させるだけで、なめらかな食感とボディ感に優れた嗜好性飲料を簡便に調製できるインスタント嗜好性飲料用組成物が得られる。具体的には、嗜好性飲料の固形分を主要原料とする組成物に、メジアン径が4.9μm以下である架橋でん粉を含有させる。
原料として用いられる嗜好性飲料等の液状飲食品の固形分は、茶葉やコーヒー豆等の嗜好性原料から抽出された可溶性の固形分や粉砕した固形分であり、粉末であってもよく、水溶液であってもよい。保存安定性が良好であるため、粉末の固形分を原料とすることが好ましい。粉末の固形分としては、具体的には、インスタント紅茶粉末、インスタント緑茶粉末、インスタントウーロン茶粉末、インスタントハーブティー粉末、インスタントコーヒー粉末、ココアパウダー、抹茶パウダー、青汁等の野菜類粉砕物、及びこれらのうちの2種類以上の混合粉末等が挙げられる。粉末又は水溶系である嗜好性飲料等の液状飲食品の固形分は、常法により製造することができ、また、市販されているものを用いてもよい。
インスタント嗜好性飲料用組成物には、望まれる品質特性によって、嗜好性飲料の固形分及びメジアン径が4.9μm以下である架橋でん粉に加えて、その他の原料を用いることができる。当該その他の原料としては、インスタント紅茶飲料、インスタントコーヒー飲料、インスタントココア飲料等に配合可能な成分が挙げられる。具体的には、甘味料、乳原料、クリーミングパウダー、香料、賦形剤、結合剤、流動性改良剤(固結防止剤)、酸味料、pH調整剤、着色料等が挙げられる。また、必要に応じて、茶類やハーブ、コーヒー等を抽出することなく微粉砕したものを混ぜてもよい。キサンタンガム等の増粘多糖類は、ヌメリや糊っぽさが付与される場合があるが、本発明の効果を損なわない範囲内で配合することができる。
甘味料としては、ショ糖、オリゴ糖、ブドウ糖、果糖、水あめ等の糖類、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール等の糖アルコール、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、ステビア、ネオテーム、アドバンテーム等の高甘味度甘味料が挙げられる。
乳原料又はクリーミングパウダーを配合することにより、ミルク感をも有する飲料用組成物を製造することができる。
乳原料としては、全粉乳、脱脂粉乳、ホエーパウダー等が挙げられる。なお、全粉乳及び脱脂粉乳は、それぞれ、牛乳(全脂乳)又は脱脂乳を、スプレードライ等により水分を除去して乾燥し粉末化したものである。
クリーミングパウダーは、ヤシ油、パーム油、パーム核油、大豆油、コーン油、綿実油、ナタネ油、又はこれらの水素添加油脂や、乳脂、牛脂、豚脂等の食用油脂;ショ糖、グルコース、でん粉加水分解物等の糖質;カゼイン、カゼインナトリウム等のタンパク質;リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、クエン酸ナトリウム等のpH調整剤、全粉乳、脱脂粉乳、ホエーパウダー、香料、乳化剤等のその他の原料等を、望まれる品質特性に応じて選択し、水に分散し、均質化し、乾燥することによって製造できる。クリーミングパウダーとしては、植物性油脂と、デキストリン等のでん粉加水分解物と、乳タンパク質とを少なくとも含むものが好ましく、乳脂肪分と乳タンパク質とを少なくとも含むものであってもよい。
クリーミングパウダーは、例えば、食用油脂をはじめとする原料を水中で混合し、次いで乳化機等で水中油型乳化液(O/Wエマルション)とした後、水分を除去することによって製造することができる。水分を除去する方法としては、噴霧乾燥、凍結乾燥等、任意の方法を選択して行うことができる。得られたクリーミングパウダーは、必要に応じて、分級、造粒及び粉砕等を行ってもよい。
賦形剤や結合剤としては、デキストリンや水あめ等のでん粉分解物、麦芽糖、乳糖、トレハロース等の糖類、難消化性デキストリン等の食物繊維、カゼイン等のタンパク質等が挙げられる。中でも、インスタント紅茶用組成物やインスタントコーヒー用組成物に汎用されているデキストリンや水あめが好ましい。なお、賦形剤や結合剤は、造粒時の担体としても用いられる。例えば、水、アルコール類、グリセリン類、若しくはこれらの混合溶媒に溶解又は分散させたデキストリンを、固形状の原料を全て混合した混合物の造粒時噴霧した後、得られた造粒物を乾燥させてもよい。
流動性改良剤としては、微粒酸化ケイ素、第三リン酸カルシウム等の加工用製剤が用いられてもよい。
本発明に係る液状飲食品としては、高甘味度甘味料を含有する液状飲食品であることも好ましい。メジアン径が4.9μm以下である架橋でん粉は、高甘味度甘味料が有する独特の後味(苦渋味と甘味の後引き)のうち、苦渋味に対して、マスキング効果を有するためである。また、メジアン径が4.9μm以下の架橋でん粉は、スクラロース、アスパルテーム、ステビア等の高甘味度甘味料に独特の甘味の後引きに対してもマスキング効果を奏する。このため、メジアン径が4.9μm以下となるように物理的に微小化された架橋でん粉は、飲食品の高甘味度甘味料に由来する後味に対するマスキング剤として有用である。
メジアン径が4.9μm以下である架橋でん粉は、全粉乳や脱脂粉乳等の粉乳を原料として用いる液状飲食品に含有させることも好ましい。粉乳は、牛乳の性質をできるだけ変えないように粉末化したものであり、水に溶解後は牛乳に似た風味になることが期待されるが、実際には、牛乳には感じられない酸化臭、加熱臭、粉っぽい風味といった粉乳臭が感じられてしまう。また、粉乳の調製工程における加熱、乾燥によりタンパク質が不溶化するため、粉乳を水で還元したものは、粉末化していない乳と比較し、ざらつきを感じやすい。メジアン径が4.9μm以下である架橋でん粉は、粉乳臭に対するマスキング効果を有しており、さらに食感をなめらかに改善する効果も有するため、粉乳と共に原料として用いることにより、粉乳臭が少なく食感の良好な液状飲食品を製造することができる。このため、メジアン径が4.9μm以下となるように物理的に微小化された架橋でん粉は、飲食品の粉乳臭に対するマスキング剤として有用である。
メジアン径が4.9μm以下である架橋でん粉は、渋味、苦味、及び酸味に対するマスキング効果も有する。すなわち、メジアン径が4.9μm以下となるように物理的に微小化された架橋でん粉は、渋味、苦味、及び酸味に対するマスキング剤として有用である。このため、液状飲食品に対してメジアン径が4.9μm以下である架橋でん粉を含有させることにより、ざらつきを付与することなく、強すぎると好ましくない渋味、苦味、及び酸味を、飲食品の種類ごとに望ましい強さにまで低減させることができる。
メジアン径が4.9μm以下である架橋でん粉は、さらに、塩味増強効果も有している。すなわち、メジアン径が4.9μm以下となるように物理的に微小化された架橋でん粉は、飲食品の塩味に対する塩味増強剤として有用である。このため、本発明に係る液状飲食品としては、食塩含有量を低くした減塩食品や塩分調整食品であることも好ましい。
本発明に係る液状飲食品は、原料として前記微小化架橋でん粉を用いる以外は、常法により製造できる。また、一般的には、製造後の液状飲食品は、容器に充填後、殺菌処理を行った後、又は殺菌後に容器に充填した後に市場に流通させられる。当該殺菌処理は、飲食品の殺菌処理として公知の各種方法の中から適宜選択して行うことができる。公知の殺菌方法としては、例えば、レトルト法、LTLT(低温保持殺菌)法、HTST(高温短時間殺菌)法、UHT(超高温瞬間殺菌)法、スチームインフュージョン法、スチームインジェクション法、ジュール式殺菌法等があげられる。殺菌処理後の液状飲食品中の前記微小化架橋でん粉は、飲食時にメジアン径が4.9μm以下であればよく、殺菌処理の前後で粒度分布が変化していてもよい。
特に、メジアン径が4.9μm以下である架橋でん粉は、レトルト臭に代表される加熱殺菌臭のマスキング効果を有する。このため、レトルト殺菌等の加熱殺菌が施される液状食品にメジアン径が4.9μm以下である架橋でん粉を含有させることにより、当該架橋でん粉を含有させなかったものよりも、脂肪感や濃厚感を高められるだけではなく、加熱殺菌臭を少なくすることもできる。
次に、実施例及び参考例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例等に限定されるものではない。
[製造例1]
リン酸架橋コメでん粉 (商品名:パインホワイトR、松谷化学工業(株)製)を5質量%となるように水に分散させた架橋でん粉水分散液500gを、スターミル(登録商標)ラボスターミニLMZ015(アシザワ・ファインテック(株)製、湿式ビーズミル微粉砕機)を用いて微粉砕した。
具体的には、ジルコニアビーズ(商品名:YTZ(登録商標)ボール、(株)ニッカトー製、寸法φ=0.3mm)を用い、破砕室(ベッセル)におけるビーズ充填率を80%、周速を12m/秒(回転数:3884rpm)とした。また、架橋でん粉水分散液はホールディングタンクでアンカーブレードを用い100rpmで撹拌しながらローラーポンプ(製品名:RP−1000、東京理化器械(株)製)で30rpmにて循環させてスラリーとした。シールタンク及びホールディングタンクへの冷却水は20℃とした。この条件で60分間スラリーを循環させることにより、微小化リン酸架橋コメでん粉Aを得た。
得られた微小化リン酸架橋コメでん粉A[5質量%の水分散液(スラリー)]に等量の固形分の粉末水あめ(商品名:M−SPD、昭和産業(株)製)を添加し、得られた混合液を80℃で10分間撹拌した後、熱風温度180℃にて噴霧乾燥した(粉末化工程)。これにより、微小子化架橋でん粉50質量%と水あめ50質量%を含む粉末([微小化架橋でん粉+水あめ]パウダー(50:50))を得た。
[製造例2]
リン酸架橋コメでん粉の水分散液に代えて、リン酸架橋タピオカでん粉 (商品名:パインスターチRT、松谷化学工業(株)製)を5質量%となるように水に分散させた架橋でん粉水分散液500gを用い、かつスラリーの循環時間を220分間とした以外は、製造例1と同様にして、微小化リン酸架橋タピオカでん粉Aを得た。
製造例1と同様にして、得られた微小化リン酸架橋タピオカでん粉A50質量%と水あめ50質量%を含む粉末([微小化架橋でん粉+水あめ]パウダー(50:50))を得た。
[製造例3]
スラリーの循環時間を80分間とした以外は、製造例2と同様にして、微小化リン酸架橋タピオカでん粉Bを得た。
製造例1と同様にして、得られた微小化リン酸架橋タピオカでん粉B50質量%と水あめ50質量%を含む粉末([微小化架橋でん粉+水あめ]パウダー(50:50))を得た。
[製造例4]
スラリーの循環時間を60分間とした以外は、製造例2と同様にして、微小化リン酸架橋タピオカでん粉Cを得た。
製造例1と同様にして、得られた微小化リン酸架橋タピオカでん粉C50質量%と水あめ50質量%を含む粉末([微小化架橋でん粉+水あめ]パウダー(50:50))を得た。
[製造例5]
スラリーの循環時間を50分間とした以外は、製造例2と同様にして、微小化リン酸架橋タピオカでん粉Dを得た。
製造例1と同様にして、得られた微小化リン酸架橋タピオカでん粉D50質量%と水あめ50質量%を含む粉末([微小化架橋でん粉+水あめ]パウダー(50:50))を得た。
[試験例1]
<飲料サンプルの調製>
表1に示す組成の飲料を調製した。具体的には、全ての原料を混合した後、沸騰水にて全量100gとし、マグネチックスターラーにて5分間撹拌した後、25℃まで放冷した。表1中の原料中、粉末水あめ(市販品)はM−SPD(商品名)(昭和産業(株)製)であり、酸化タピオカでん粉(市販品)はスタビローズTA−8(商品名)(松谷化学工業(株)製)であり、モチゴメでん粉はWR−1(商品名)(松谷化学工業(株)製)であり、タピオカでん粉はMKK−100(商品名)(松谷化学工業(株)製)であり、リン酸架橋コメでん粉はパインホワイトR(商品名)(松谷化学工業(株)製)であり、及びリン酸架橋タピオカでん粉はパインスターチRT(商品名)(松谷化学工業(株)製)である。また、[微小化架橋でん粉+水あめ]パウダー(50:50)は製造例1〜5で製造したものである。
Figure 0005939344
<粒度分布の測定>
各飲料サンプル中のでん粉の粒度分布を、レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2100((株)島津製作所製)を用いて測定した。具体的には、フローセルを使用し、水を測定溶媒とし、屈折率が1.60−0.10i、測定回数を1、平均回数を64、測定吸光度範囲の最大値を0.2、最小値を0.01として、サンプル溶液を測定範囲に達するまで添加して測定した。メジアン径と累積分布径D90の測定結果を表2に、粒度分布を図1及び表3、4に示す。表2〜4中のサンプルNO.は、表1と同じものを示す。以下同様である。ただし、グラニュー糖と粉末水あめを含有させたサンプルSと酸化タピオカでん粉含有させたサンプル1では、でん粉粒が存在せず、溶液が透明のため、粒度分布を測定できなかった。
Figure 0005939344
Figure 0005939344
Figure 0005939344
<食感及び白濁度評価>
得られた各飲料サンプル(25℃)の食感を、3名のトレーニングされた官能評価パネルにて評価した。また、各飲料サンプル(25℃)の白濁度を、目視と透過及びL値により評価した。透過及びL値は、色差計Spectro Color Meter SE2000(日本電色工業(株)製)を用いて測定した。また、透過測定には光路長10mmの角型セルを用い、L値測定には30mm(Φ)×15mm(H)の丸セルを用いた。なお、L値は反射により測定した。評価結果及び測定結果を表5に示す。
<沈殿率測定>
各飲料サンプル(25℃)について、それぞれ、15gを15mL容のプラスチック製遠沈管に分取し、遠心分離機(製品名:CN−2000、HSIANGTAI MACHINERY INDUSTRY.CO.,LTD.製)にセットし、3000rpmで5分間遠心分離した。次いで、当該遠沈管について、上澄みを廃棄した後、キャップを外した状態で60℃の恒温器内で24時間保管した。保管後の遠沈管の内容物の重量を測定し、沈澱率を下記式(1)にて求めた。測定結果を表5に示す。
式(1):[沈澱率(%)]=[沈澱重量(g)]×100/15(g)
<20℃24時間後の沈澱評価>
各飲料サンプル(25℃)について、それぞれ、50gを50mL容のプラスチック製遠沈管に分取し、室温20℃に設定された室内で24時間静置した。静置後に目視にて沈澱の有無を確認した。結果を表5に示す。
Figure 0005939344
この結果、酸化タピオカでん粉(市販品)を含有させた飲料サンプル1は、食感、白濁度(透過とL値)、沈殿率等の全てにおいて、水あめとグラニュー糖のみの飲料サンプルSと差がなかった。これに対して、メジアン径が8μm以上である市販のでん粉又は架橋でん粉を含有させた飲料サンプル2〜5では、ざらつきや糊っぽさが付与されてしまっており、また、透過が低下し、L値が高くなる傾向があった。特に、糊っぽさが付与されていたサンプル2と3では、半透明であったが、沈殿率を調べたところ、60℃で24時間保管後でも未乾燥状態(半透明のペースト状)であった(表5中、星印)。
一方で、メジアン径が0.403〜4.751μmの微小化架橋でん粉を含有させた飲料サンプル6〜9では、なめらかな食感とボディ感が付与されており、白濁しており、透過が低く、L値がいずれも20以上と高かった。ただし、沈殿率は0.26%以下と低く、微小化架橋でん粉の再分散性は比較的良好であった。これに対して、メジアン径が4.9μm超の微小化架橋でん粉を含有させた飲料サンプル10では、溶液の外観(白濁)、透過及びL値、沈殿率等は飲料サンプル6〜9とほぼ同程度であったが、ざらつきが感じられた。
[実施例1]
表6に示す組成のコーヒー飲料を調製した。具体的には、全ての原料を混合した後、沸騰水にて全量100gとし、マグネチックスターラーにて5分間撹拌した後、25℃まで放冷した。表6の原料中、インスタントコーヒー粉末は市販品(商品名:〈ブレンディ〉、味の素ゼネラルフーヅ(株)製)であり、その他の各原料は、表1と同じである。
Figure 0005939344
<食感及び白濁度評価>
得られた各飲料サンプル(25℃)の食感を、3名のトレーニングされた官能評価パネルにて評価した。また、各飲料サンプル(25℃)の白濁度を、L値により評価した。L値は参考例1と同様にして測定した。評価結果及び測定結果を表7に示す。
Figure 0005939344
この結果、酸化タピオカでん粉(市販品)を含有させた飲料サンプルB1は、水あめとグラニュー糖のみの飲料サンプルBSと比較して、L値がやや高いものの、食感は同程度であった。メジアン径が8μm以上である市販のでん粉又は架橋でん粉を含有させた飲料サンプルB2〜B5では、L値が高くなる傾向があったが、ざらつきや糊っぽさが付与されてしまっていた。これに対して、メジアン径が0.403〜4.751μmの微小化架橋でん粉を含有させた飲料サンプルB6〜B9では、なめらかな食感とボディ感が付与されており、白濁しており、L値がいずれも18以上と高かった。一方で、メジアン径が4.9μm超の微小化架橋でん粉を含有させた飲料サンプルB10では、溶液のL値は飲料サンプルB6〜B9とほぼ同程度であったが、ざらつきが感じられた。
[実施例2]
表8に示す組成のコーヒー飲料を調製した。具体的には、全ての原料を混合した後、沸騰水にて全量100gとし、マグネチックスターラーにて5分間撹拌した後、25℃まで放冷した。表8の原料中、インスタントコーヒー粉末は市販品(商品名:〈ブレンディ〉、味の素ゼネラルフーヅ(株)製)であり、クリーミングパウダーは市販品(商品名:〈マリーム〉、味の素ゼネラルフーヅ(株)製)であり、その他の各原料は、表1と同じである。
Figure 0005939344
<食感及び白濁度評価>
得られた各飲料サンプル(25℃)の食感を、3名のトレーニングされた官能評価パネルにて評価した。また、各飲料サンプル(25℃)の白濁度を、L値により評価した。L値は参考例1と同様にして測定した。評価結果及び測定結果を表9に示す。
Figure 0005939344
この結果、実施例1と同様の結果が得られた。すなわち、酸化タピオカでん粉(市販品)を含有させた飲料サンプルM1は、水あめとグラニュー糖のみの飲料サンプルMSと比較して、食感は同程度であり、メジアン径が8μm以上である市販の架橋でん粉を含有させた飲料サンプルM2〜M5では、ざらつきや糊っぽさが付与されてしまっていた。これに対して、メジアン径が0.403〜4.751μmの微小化架橋でん粉を含有させた飲料サンプルM6〜M9では、なめらかな食感とボディ感が付与されていたが、メジアン径が4.9μm超の微小化架橋でん粉を含有させた飲料サンプルM10ではざらつきが感じられた。
[製造例6]
リン酸架橋タピオカでん粉 (商品名:パインスターチRT、松谷化学工業(株)製)を、乾式粉砕機であるジェットミル(製品名:NJ−50、(株)アイシンナノテクノロジー製)を用いて微粉砕した。具体的には、サンプル導入ノズル圧を1.3MPa、粉砕エアーノズル圧を1.3MPa、サンプル投入速度を11g/h、パス回数を1とした条件で粉砕し、微小化リン酸架橋タピオカでん粉A1を得た。
[製造例7]
ジェットミルの粉砕条件のうち、サンプル投入速度を7g/hとした以外は製造例6と同様にして、微小化リン酸架橋タピオカでん粉A2を得た。
[試験例2]
製造例6及び7で調製した粉末を用いた以外は、試験例1と同様にして、表10に記載の飲料サンプルを調製した。表10中、粉末水あめ(市販品)はM−SPD(商品名)(昭和産業(株)製)である。得られた飲料サンプルについて、試験例1と同様にして、粒度分布を測定し、食感を評価した。
Figure 0005939344
この結果、微小化リン酸架橋タピオカでん粉A1のメジアン径は5.386μmであり、微小化リン酸架橋タピオカでん粉A2のメジアン径は4.809μmであった。また、得られた飲料サンプルの食感を、微小化架橋でん粉を含有していない飲料サンプルSと比較したところ、メジアン径が5μm超の微小化リン酸架橋タピオカでん粉A1を含有させた飲料サンプルA1は、ボディ感は若干強くなっていたものの、ざらつきがあった。これに対して、メジアン径が4.9μm以下の微小化リン酸架橋タピオカでん粉A2を含有させた飲料サンプルA2は、ボディ感が明らかに強くなっており、なめらかな食感であり、ざらつきがなかった。
[製造例8]
製造例1のリン酸架橋コメでん粉の水分散液に代えて、リン酸架橋タピオカでん粉 (商品名:パインスターチRT、松谷化学工業(株)製)を20質量%となるように水に分散させた架橋でん粉水分散液900gを用い、かつスラリーの循環時間を300分間とした以外は、製造例1と同様にして、メジアン径が1.324μmの20質量%微小化リン酸架橋タピオカでん粉(ペースト状)を得た。
[実施例3]
表11に示す組成のコーヒー飲料とでん粉溶液(表中、「starch」)を調製した。具体的には、全ての原料を混合した後、沸騰水にて全量100gとし、マグネチックスターラーにて5分間撹拌した後、25℃まで放冷した。次いで、缶に充填、巻き締め後に、121℃、20分間レトルト殺菌した。表11の原料中、「微小化リン酸架橋タピオカでん粉(20質量%)」は製造例8で調製したペースト状の微小化リン酸架橋タピオカでん粉であり、インスタントコーヒー粉末は市販品(商品名:〈ブレンディ〉、味の素ゼネラルフーヅ(株)製)であり、粉末水あめ(市販品)はM−SPD(商品名)(昭和産業(株)製)である。
Figure 0005939344
でん粉溶液(表中、「starch」)中の微小化リン酸架橋タピオカでん粉の粒度分布を、レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2100((株)島津製作所製)を用いて、試験例1と同様にして調べた。この結果、レトルト殺菌前の微小化リン酸架橋タピオカでん粉のメジアン径は1.324μm(D90:2.925μm)であったのに対して、レトルト殺菌後の微小化リン酸架橋タピオカでん粉のメジアン径は1.424μm(D90:3.077μm)であり、レトルト殺菌処理等の加熱殺菌処理は、微小化リン酸架橋タピオカでん粉の粒度分布に大きな影響がないことがわかった。
また、試験例1と同様にして、レトルト殺菌後の各コーヒー飲料の食感を調べた。結果を表12に示す。
Figure 0005939344
[実施例4]
製造例8で調製したペースト状の微小化リン酸架橋タピオカでん粉を用いて、表13に示す組成のココア飲料を調製した。具体的には、全ての原料を混合し、80℃まで加熱してハンドミキサーにて3分間撹拌した後、水にて全量100gに調整した後に60℃まで冷却した。表13中、「微小化リン酸架橋タピオカでん粉(20質量%)」は製造例8で調製したペースト状の微小化リン酸架橋タピオカでん粉であり、ココア粉末(市販品)は「森永 純ココア」(商品名)(森永製菓(株)製)であり、無脂肪乳(加工乳)(市販品)は「森永のおいしい無脂肪乳」(商品名)(森永乳業(株)製)であり、粉末水あめ(市販品)は「M−SPD」(商品名)(昭和産業(株)製)である。
試験例1と同様にして、調製したココア飲料の食感及び色調を調べ、微小化リン酸架橋タピオカでん粉を添加していないコントロールの飲料サンプル(各表中、「コントロール」)と比較した。食感及び色調の評価結果を、評価した飲料サンプル温度と共に表に示す。
Figure 0005939344
[実施例5]
製造例8で調製したペースト状の微小化リン酸架橋タピオカでん粉を用いて、表14に示す組成の果汁入り野菜飲料を調製した。具体的には、全ての原料を混合し全量100gとし、ハンドミキサーにて3分間撹拌した後、8℃まで冷却した。表14中、「微小化リン酸架橋タピオカでん粉(20質量%)」及び粉末水あめ(市販品)は表13と同じであり、果汁入り野菜飲料(市販品)は、「カゴメ 野菜生活100」(商品名)(カゴメ(株)製、野菜汁50%と果汁50%)である。
試験例1と同様にして、調製した果汁入り野菜飲料の食感及び色調を調べ、微小化リン酸架橋タピオカでん粉を添加していないコントロールの飲料サンプル(各表中、「コントロール」)と比較した。食感及び色調の評価結果を、評価した飲料サンプル温度と共に表に示す。
Figure 0005939344
[実施例6]
製造例8で調製したペースト状の微小化リン酸架橋タピオカでん粉を用いて、表15に示す組成の青汁を調製した。具体的には、全ての原料を混合し全量100gとし、ハンドミキサーにて3分間撹拌した後、8℃まで冷却した。表15中、「微小化リン酸架橋タピオカでん粉(20質量%)」及び粉末水あめ(市販品)は表13と同じであり、青汁(市販品)は、「伊藤園 毎日1杯の青汁」(商品名)(伊藤園(株)製)である。
試験例1と同様にして、調製した青汁の食感及び色調を調べ、微小化リン酸架橋タピオカでん粉を添加していないコントロールの飲料サンプル(各表中、「コントロール」)と比較した。食感及び色調の評価結果を、評価した飲料サンプル温度と共に表に示す。
Figure 0005939344
[実施例7]
製造例8で調製したペースト状の微小化リン酸架橋タピオカでん粉を用いて、表16に示す組成の豆乳飲料を調製した。具体的には、全ての原料を混合し全量100gとし、ハンドミキサーにて3分間撹拌した後、8℃まで冷却した。表16中、「微小化リン酸架橋タピオカでん粉(20質量%)」及び粉末水あめ(市販品)は表13と同じであり、果汁含有豆乳飲料(市販品)は、「豆乳飲料 フルーツミックス」(商品名)((株)紀文食品製)である。
試験例1と同様にして、調製した豆乳飲料の食感及び色調を調べ、微小化リン酸架橋タピオカでん粉を添加していないコントロールの飲料サンプル(各表中、「コントロール」)と比較した。食感及び色調の評価結果を、評価した飲料サンプル温度と共に表に示す。
Figure 0005939344
[実施例8]
製造例8で調製したペースト状の微小化リン酸架橋タピオカでん粉を用いて、表17に示す組成の乳飲料を調製した。具体的には、全ての原料を混合し全量100gとし、ハンドミキサーにて3分間撹拌した後、8℃まで冷却した。表17中、「微小化リン酸架橋タピオカでん粉(20質量%)」、粉末水あめ(市販品)、及び無脂肪乳(加工乳)(市販品)は表13と同じである。
試験例1と同様にして、調製した乳飲料の食感及び色調を調べ、微小化リン酸架橋タピオカでん粉を添加していないコントロールの飲料サンプル(各表中、「コントロール」)と比較した。食感及び色調の評価結果を、評価した飲料サンプル温度と共に表に示す。なお、表中、「牛乳様の食感」とは、口内に乳脂肪球が残る食感(マウスコーティング)を意味する。
Figure 0005939344
[実施例9]
製造例8で調製したペースト状の微小化リン酸架橋タピオカでん粉を用いて、表18に示す組成の酸性乳飲料を調製した。具体的には、全ての原料を混合し全量100gとし、ハンドミキサーにて3分間撹拌した後、8℃まで冷却した。表18中、「微小化リン酸架橋タピオカでん粉(20質量%)」及び粉末水あめ(市販品)は表13と同じであり、酸性乳飲料(市販品)は「十勝のむヨーグルト」(商品名)(日清ヨーク(株)製)である。
試験例1と同様にして、調製した酸性乳飲料の食感及び色調を調べ、微小化リン酸架橋タピオカでん粉を添加していないコントロールの飲料サンプル(各表中、「コントロール」)と比較した。食感及び色調の評価結果を、評価した飲料サンプル温度と共に表に示す。
Figure 0005939344
[実施例10]
製造例8で調製したペースト状の微小化リン酸架橋タピオカでん粉を用いて、表19に示す組成のコンソメスープを調製した。具体的には、全ての原料を混合し、80℃まで加熱してハンドミキサーにて3分間撹拌した後、水にて全量100gに調整した後に60℃まで冷却した。表19中、「微小化リン酸架橋タピオカでん粉(20質量%)」及び粉末水あめ(市販品)は表13と同じであり、固形コンソメ(市販品)は「味の素KKコンソメ」(商品名)(味の素(株)製)である。
試験例1と同様にして、調製したコンソメスープの食感及び色調を調べ、微小化リン酸架橋タピオカでん粉を添加していないコントロールの飲料サンプル(各表中、「コントロール」)と比較した。食感及び色調の評価結果を、評価した飲料サンプル温度と共に表に示す。
Figure 0005939344
[実施例11]
製造例8で調製したペースト状の微小化リン酸架橋タピオカでん粉を用いて、表20に示す組成の炭酸含有清涼飲料を調製した。具体的には、ベースとなるPETボトルに充填された炭酸含有清涼飲料(コーラ)から2gを分取し、添加原料(微小化リン酸架橋タピオカでん粉、又は粉末水あめ)を予備分散させた後、元のPETボトルに添加して混合した。表20中、「微小化リン酸架橋タピオカでん粉(20質量%)」及び粉末水あめ(市販品)は表13と同じであり、コーラ(市販品)は「PEPSI NEX」(商品名)(サントリーフーズ(株)製)である。
試験例1と同様にして、調製した炭酸含有清涼飲料の食感及び色調を調べ、微小化リン酸架橋タピオカでん粉を添加していないコントロールの飲料サンプル(各表中、「コントロール」)と比較した。食感及び色調の評価結果を、評価した飲料サンプル温度と共に表に示す。
Figure 0005939344
コントロールのコーラ(市販品)には、高甘味度甘味料としてアスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロースが使用されており、高甘味度甘味料独特の後味(苦渋味と甘味の後引き)が感じられた。苦味はアセスルファムカリウム、甘味の後引きはアスパルテームとスクラロースによる影響が大きいものと推察された。これに対して、飲料サンプルT2〜T4では、この後味がマスキングされており、砂糖等の自然な甘味に近いものになっていた。これらの結果から、メジアン径が4.9μm以下である架橋でん粉には、高甘味度甘味料等による後味のマスキング効果があることがわかった。
[実施例12]
リン酸架橋コメでん粉 (商品名:パインホワイトR、松谷化学工業(株)製)、リン酸架橋タピオカでん粉(商品名:パインスターチRT、松谷化学工業(株)製)、又はリン酸モノエステル化リン酸架橋タピオカでん粉(商品名:ActiStar RT75330、(株)カーギルジャパン製)を物理的に微小化し、微小化処理の前後における遊離グルコース含有量を測定した。
微小化処理は、架橋でん粉を5質量%となるように水に分散させた架橋でん粉水分散液に代えて、架橋でん粉を20質量%となるように水に分散させた架橋でん粉水分散液を用い、架橋でん粉のメジアン径及びD90が表21に記載の通りになるまでスラリーを循環させた以外は、製造例1と同様の条件にて行った。リン酸架橋コメでん粉からは微小化の程度を変えた7種のサンプル(微小化リン酸架橋コメでん粉E1〜E7)を、リン酸架橋タピオカでん粉からは微小化の程度を変えた8種のサンプル(微小化リン酸架橋タピオカでん粉E1〜E8)を、リン酸モノエステル化リン酸架橋タピオカでん粉からは微小化の程度を変えた6種のサンプル(微小化リン酸モノエステル化リン酸架橋タピオカでん粉E1〜E6)を、それぞれ得た。
<粒度分布の測定>
得られた各微小化架橋でん粉及び市販のでん粉については、グラニュー糖と粉末水あめと共に水に混合し、でん粉の固形分濃度が0.4質量%、グラニュー糖の終濃度が3質量%、粉末水あめの終濃度が0.4質量%となるサンプルを調製し、これらのサンプルについて、試験例1の飲料サンプルと同様にして粒度分布を測定した。また、粉末水あめについては、グラニュー糖と粉末水あめを水に混合し、グラニュー糖の終濃度が3質量%、粉末水あめの終濃度が0.8質量%となるサンプルを調製し、当該サンプルについて試験例1の飲料サンプルと同様にして粒度分布を測定した。測定結果を表21に示す。
<遊離グルコース濃度の測定>
得られた各微小化架橋でん粉と、リン酸架橋コメでん粉 (商品名:パインホワイトR、松谷化学工業(株)製)、リン酸架橋タピオカでん粉(商品名:パインスターチRT、松谷化学工業(株)製)、リン酸モノエステル化リン酸架橋タピオカでん粉(商品名:ActiStar RT75330、(株)カーギルジャパン製)、製造例6で調製した微小化リン酸架橋タピオカでん粉A1、製造例7で調製した微小化リン酸架橋タピオカでん粉A2、モチゴメでん粉(商品名:「WR−1」、松谷化学工業(株)製)、コメでん粉(商品名:「ファインスノウ」、上越スターチ(株)製)、タピオカでん粉(商品名:「MKK−100」、松谷化学工業(株)製)、アセチル化リン酸架橋タピオカでん粉(商品名:「WMS」、松谷化学工業(株)製)、リン酸架橋タピオカでん粉B(商品名:「パインベークCC」、松谷化学工業(株)製)、リン酸架橋馬鈴薯でん粉(商品名:「松谷ひょうたん)」、松谷化学工業(株)製)、リン酸架橋ワキシーコーンスターチ(商品名:「フードスターチF−11」、松谷化学工業(株)製)、リン酸架橋コーンスターチ(商品名:「フードスターチNE−1」、松谷化学工業(株)製)、ヒドロキシプロピルリン酸架橋タピオカでん粉(商品名:「松谷はまゆり」、松谷化学工業(株)製)、及び粉末水あめ(商品名:「M−SPD」、昭和産業(株)製)について、遊離グルコース濃度を測定した。
具体的には、まず、サンプルを常温水にて固形分1質量%水分散液とし、それぞれ、15gを15mL容のプラスチック製遠沈管に分取し、遠心分離機(製品名:「CN−2000」、HSIANGTAI MACHINERY INDUSTRY.CO.,LTD.製)にセットし、5000rpmで15分間遠心分離処理した。次いで、当該遠沈管について、上澄みを採取し、GLクロマトディスク13A(0.45μm)でろ過したものを、測定サンプルとした。
次に、各サンプルの遊離グルコースを、下記の条件でイオンクロマトグラフィーにより分析し、市販グルコースを用いて作成した濃度対ピーク面積の検量線を用いて、各サンプルの固形分当たりの遊離グルコース濃度を、グルコースのピーク面積から推定した。なお、各クロマトチャートにおけるグルコースのピークは、ぶどう糖(和光純薬工業(株)製)を標準物質とした時の保持時間の比較により同定した。
(イオンクロマトグラフィーの分析条件)
イオンクロマトグラフ:DXc−500(日本ダイオネクス(株)製)
カラム:CarboPacPA1 4×250mm(日本ダイオネクス(株)製)
ガードカラム:CarboPacPA1 GUARD 4×50mm(日本ダイオネクス(株)製)
カラム温度:35℃
移動相:0.6%NaOH水溶液
流速:1.0 mL/分
検出:パルスドアンペロメトリ検出器(ED−50、金電極)
注入量:25μL
各架橋でん粉の固形分当たりの遊離グルコース濃度(質量ppm)を表21に示す。市販のリン酸架橋でん粉はいずれもほとんど遊離グルコースを含有していなかった。これに対して、物理的に微小化処理したリン酸架橋でん粉は、いずれも、市販のものよりもより多くの遊離グルコースを含有しており、また、メジアン径が小さくなるほど含有される遊離グルコース濃度が高くなる傾向が観察された。
Figure 0005939344
[実施例13]
リン酸架橋コメでん粉 (商品名:パインホワイトR、松谷化学工業(株)製)、リン酸架橋タピオカでん粉(商品名:パインスターチRT、松谷化学工業(株)製)、又はリン酸モノエステル化リン酸架橋タピオカでん粉(商品名:ActiStar RT75330、(株)カーギルジャパン製)を物理的に微小化して得られた微小化でん粉溶液について、粒度分布、透過、L値、溶液色調(目視)、沈殿率、20℃、24時間後の沈殿評価(目視)、及び食感を評価した。対照として、粉末水あめについても測定した。測定結果を表22及び23に示す。
微小化処理は、架橋でん粉を5質量%となるように水に分散させた架橋でん粉水分散液に代えて、架橋でん粉を20質量%となるように水に分散させた架橋でん粉水分散液を用い、架橋でん粉のメジアン径及びD90が表22に記載の通りになるまでスラリーを循環させた以外は、製造例1と同様の条件にて行った。
次いで、微小化処理した架橋でん粉水分散液(固形分20質量%)とグラニュー糖と粉末水あめを水に混合し、架橋でん粉の固形分濃度が0.4質量%、グラニュー糖の終濃度が3質量%、粉末水あめの終濃度が0.4質量%となるサンプル2〜4を調製した。また、グラニュー糖と粉末水あめを水に混合し、グラニュー糖の終濃度が3質量%、粉末水あめの終濃度が0.8質量%となるサンプル1を調製した。
各サンプルの粒度分布、溶液色調(目視)、沈殿率、20℃、24時間後の沈殿評価(目視)、及び食感は、試験例1の飲料サンプルと同様にして行った。
各サンプルの透過及びL値は、色差計Spectro Color Meter SE2000(日本電色工業(株)製)に代えて、色差計Spectro Color Meter SE6000(日本電色工業(株)製)を用いた以外は、試験例1の飲料サンプルと同様にして行った。
Figure 0005939344
Figure 0005939344
[実施例14]
物理的に微小化した架橋でん粉を、全粉乳の還元溶液に添加し、粉乳臭に対する効果を調べた。
添加剤として使用する架橋でん粉としては、実施例12で調製した微小化リン酸架橋コメでん粉(E2、E3、E4、E7)、微小化リン酸架橋タピオカでん粉(E1、E2、E5、E8)、微小化リン酸モノエステル化リン酸架橋タピオカでん粉(E1、E2、E4、E6)、リン酸架橋コメでん粉 (商品名:パインホワイトR、松谷化学工業(株)製)、リン酸架橋タピオカでん粉(商品名:パインスターチRT、松谷化学工業(株)製)、及びリン酸モノエステル化リン酸架橋タピオカでん粉(商品名:ActiStar RT75330、(株)カーギルジャパン製)を用いた。実施例12で調製した微小化リン酸架橋でん粉はいずれも固形分20質量%の水溶液として用いた。また、対照として、粉末水あめ(商品名:「M−SPD」、昭和産業(株)製)も添加剤として用いた。
まず、各架橋でん粉について、飲用時の粒度分布を推定するために、沸騰させた後の状態での粒度分布を測定した。具体的には、各架橋でん粉を、0.4質量%となるように沸騰水に分散後に室温まで放冷させたものについて、試験例1と同様にして、常温水を循環させている粒度分布計に測定濃度に達するまで添加して粒度分布を測定した。測定結果を、常温水での分散測定結果(実施例12での測定結果)と共に表24に示す。
Figure 0005939344
次いで、表25〜28に示す組成にて、10質量%全粉乳溶液を調製した。表中、「20%全粉水溶液」は、全粉を60℃の温水にて20質量%に溶解した溶液を意味する。各サンプル(10質量%全粉乳溶液)は、全ての固形原料を調合した後、熱水にて全量100質量%として調製した。各10質量%全粉乳溶液について、50℃に調整した状態で、トレーニングされた官能評価パネル3名により、粉乳臭、粉乳臭以外の風味、及び食感を評価した。評価は、添加剤無添加の10質量%全粉乳溶液を規準(STD)とした相対評価により行った。評価結果を表25〜28に示す。
Figure 0005939344
Figure 0005939344
Figure 0005939344
Figure 0005939344
この結果、メジアン径が4.9μm以下になるように物理的に微小化した架橋でん粉には、いずれも粉乳臭の低減効果、ざらつきの低減効果、ボディ感付与効果、及びなめらかさ付与効果が認められた。また、メジアン径4.9μm以下の微小化架橋でん粉を添加した全粉乳溶液では、粉乳臭のマスキングにより、牛乳様の香りと乳の甘さも感じられるようになった。
[実施例15]
物理的に微小化した微小化架橋でん粉をコーヒー飲料に添加し、レトルト殺菌をすることにより、微小化架橋でん粉の渋味、苦味、及び酸味に対する効果を調べた。
添加剤として使用する架橋でん粉としては、実施例12で調製した微小化リン酸架橋コメでん粉(E4)、微小化リン酸架橋タピオカでん粉(E1、E2、E5、E8)、微小化リン酸モノエステル化リン酸架橋タピオカでん粉(E1、E2、E4、E6)を用いた。実施例12で調製した微小化リン酸架橋でん粉はいずれも固形分20質量%の水溶液として用いた。また、対照として、粉末水あめ(商品名:「M−SPD」、昭和産業(株)製)も添加剤として用いた。
まず、各架橋でん粉について、飲用時の粒度分布を推定するために、各固形分0.4質量%の水溶液を液温70℃でホモジナイザーにて均質化(第1段 15MPa/第2段 5MPa)した後、缶に充填し、巻き締め後に121℃、20分間レトルト殺菌したものについて、試験例1と同様にして、粒度分布を測定した。なお、後述のコーヒー飲料の粒度分布ではなく、架橋でん粉のみを含有する水溶液について均質化及びレトルト殺菌した後の粒度分布を測定したのは、レトルト殺菌後のコーヒー飲料について粒度分布を測定した場合には、牛乳の粒子と架橋でん粉の粒子の区別ができないためである。測定結果を、常温水での分散測定結果(実施例12での測定結果)と共に表29に示す。この結果、微小化リン酸架橋タピオカでん粉E1及び微小化リン酸モノエステル化リン酸架橋タピオカでん粉E1は添加時のメジアン径は4.9μm超であったが、均質化及びレトルト殺菌後はメジアン径が4.9μm以下となっていた。
Figure 0005939344
次いで、表30〜32に示す組成にて、コーヒー飲料を調製した。表中、「コーヒー抽出液」は、中煎りしたコロンビア豆から抽出したBrix3.38のコーヒー抽出液を意味し、「乳化剤」はショ糖パルミチン酸エステル(商品名:「エステルP−1670」、三菱化学フーズ(株)製)を意味する。各サンプル(コーヒー飲料)は、全ての原料を調合した後、品温70℃でホモジナイザーにて均質化(第1段 15MPa/第2段 5MPa)した後、缶に充填し、巻き締め後に121℃、20分間レトルト殺菌した。レトルト殺菌後の各コーヒー飲料について、25℃に調整した状態で、トレーニングされた官能評価パネル3名により、渋味、苦味、及び酸味のマスキング効果と食感を評価した。評価は、添加剤無添加のコーヒー飲料を規準(STD)とした相対評価により行った。評価結果を表30〜32に示す。
Figure 0005939344
Figure 0005939344
Figure 0005939344
この結果、メジアン径が4.9μm以下になるように物理的に微小化した架橋でん粉には、いずれも渋味、苦味、及び酸味に対するマスキング効果とボディ感付与効果が認められた。さらに、メジアン径が4.9μm以下になるように物理的に微小化した架橋でん粉を添加したコーヒー飲料では、レトルト殺菌により付与されるレトルト臭に対するマスキング効果もみられた。また、均質化及びレトルト殺菌後のメジアン径が4.9μm以下であった微小化リン酸架橋タピオカでん粉E1及び微小化リン酸モノエステル化リン酸架橋タピオカでん粉E1も、食感の改善効果とレトルト臭に対するマスキング効果がみられた。
また、微小化リン酸架橋コメでん粉E4、微小化リン酸架橋タピオカでん粉(E1、E2、E5、E8)、及び微小化リン酸モノエステル化リン酸架橋タピオカでん粉(E1、E2、E4、E6)を含有するレトルト殺菌後のコーヒー飲料を55℃で4週間静置保存後に1℃で5日間静置保存したものは、微小化架橋でん粉を含有していないものと比較し、脂肪分やタンパク質が固化した白色浮遊物の発生及び沈殿再分散性といった乳化安定性について問題は認められなかった。
[実施例16]
物理的に微小化した微小化架橋でん粉を高甘味度甘味料の水溶液に添加し、微小化架橋でん粉の高甘味度甘味料の後味に対する効果を調べた。高甘味度甘味料としては、アセスルファムカリウム(商品名:「サネット(登録商標)」、ニュートリノヴァ(株)製、)、アスパルテーム(商品名:「PAL SWEET DIET(登録商標)」、味の素ヘルシーサプライ(株)製、)、スクラロース(商品名:「スクラロース」、三栄源エフ・エフ・アイ(株)製)、ステビア(商品名:「レバウディオJ−100」、守田化学工業(株)製)を用いた。
添加剤として使用する架橋でん粉としては、実施例12で調製した微小化リン酸架橋コメでん粉(E2、E3、E4、E7)、微小化リン酸架橋タピオカでん粉(E1、E2、E5、E8)、微小化リン酸モノエステル化リン酸架橋タピオカでん粉(E1、E2、E4、E6)、リン酸架橋コメでん粉 (商品名:パインホワイトR、松谷化学工業(株)製)、リン酸架橋タピオカでん粉(商品名:パインスターチRT、松谷化学工業(株)製)、及びリン酸モノエステル化リン酸架橋タピオカでん粉(商品名:ActiStar RT75330、(株)カーギルジャパン製)を用いた。実施例12で調製した微小化リン酸架橋でん粉はいずれも固形分20質量%の水溶液として用いた。また、対照として、粉末水あめ(商品名:「M−SPD」、昭和産業(株)製)も添加剤として用いた。
次いで、表33〜40に示す組成にて、甘味料水を調製した。高甘味度甘味料の濃度は、グラニュー糖の甘味度を1、アセスルファムカリウムの甘味度を200、アスパルテームの甘味度を200、スクラロースの甘味度を600、ステビアの甘味度を400とし、グラニュー糖3質量%相当の濃度とした。各甘味料水について、25℃に調整した状態で、トレーニングされた官能評価パネル3名により、苦渋味、甘味の後引きのマスキング効果及び食感を評価した。評価は、グラニュー糖3質量%溶液を規準(STD)とした相対評価により行った。評価結果を表33〜40に示す。
Figure 0005939344
Figure 0005939344
Figure 0005939344
Figure 0005939344
Figure 0005939344
Figure 0005939344
Figure 0005939344
Figure 0005939344
この結果、メジアン径が4.9μm以下になるように物理的に微小化した架橋でん粉には、いずれも高甘味度甘味料独特の苦渋味及び甘味の後引きのマスキング効果、及びボディ感付与効果が認められた。
[実施例17]
物理的に微小化した微小化架橋でん粉を食塩水に添加し、微小化架橋でん粉の塩味に対する効果を調べた。
添加剤として使用する架橋でん粉としては、実施例12で調製した微小化リン酸架橋コメでん粉(E2、E3、E7)、微小化リン酸架橋タピオカでん粉(E1、E2、E5、E8)、微小化リン酸モノエステル化リン酸架橋タピオカでん粉(E1、E2、E6)、リン酸架橋コメでん粉 (商品名:パインホワイトR、松谷化学工業(株)製)、リン酸架橋タピオカでん粉(商品名:パインスターチRT、松谷化学工業(株)製)、及びリン酸モノエステル化リン酸架橋タピオカでん粉(商品名:ActiStar RT75330、(株)カーギルジャパン製)を用いた。実施例12で調製した微小化リン酸架橋でん粉はいずれも固形分20質量%の水溶液として用いた。また、対照として、粉末水あめ(商品名:「M−SPD」、昭和産業(株)製)も添加剤として用いた。
次いで、表41〜46に示す組成にて、食塩水を調製した。各食塩水について、25℃に調整した状態で、トレーニングされた官能評価パネル3名により、塩味の増強効果及び食感を評価した。評価は、添加剤無添加の食塩水を規準(STD)とした相対評価により行った。評価結果を表41〜46に示す。
Figure 0005939344
Figure 0005939344
Figure 0005939344
Figure 0005939344
Figure 0005939344
Figure 0005939344
この結果、メジアン径が4.9μm以下になるように物理的に微小化した架橋でん粉には、いずれも塩味増強効果とボディ感付与効果が認められた。
[実施例18]
物理的に微小化した微小化架橋でん粉を市販の清涼飲料水に添加し、微小化架橋でん粉の酸味に対する効果を調べた。
添加剤として使用する架橋でん粉としては、実施例12で調製した微小化リン酸架橋コメでん粉(E2、E3、E7)、微小化リン酸架橋タピオカでん粉(E1、E2、E5、E8)、微小化リン酸モノエステル化リン酸架橋タピオカでん粉(E1、E2、E4、E6)、リン酸架橋コメでん粉 (商品名:パインホワイトR、松谷化学工業(株)製)、リン酸架橋タピオカでん粉(商品名:パインスターチRT、松谷化学工業(株)製)、及びリン酸モノエステル化リン酸架橋タピオカでん粉(商品名:ActiStar RT75330、(株)カーギルジャパン製)を用いた。実施例12で調製した微小化リン酸架橋でん粉はいずれも固形分20質量%の水溶液として用いた。また、対照として、粉末水あめ(商品名:「M−SPD」、昭和産業(株)製)も添加剤として用いた。
次いで、表47〜52に示す組成にて、清涼飲料水を調製した。表中、「乳性飲料(市販品)」は、脱脂粉乳と乳酸菌飲料を主原料とする清涼飲料「カルピスウォーター」(500mL容ペットボトル入り、カルピス(株)製)を意味する。各清涼飲料水について、10℃に調整した状態で、トレーニングされた官能評価パネル3名により、酸味のマスキング効果及び食感を評価した。評価は、添加剤無添加の清涼飲料水を規準(STD)とした相対評価により行った。評価結果を表47〜52に示す。
Figure 0005939344
Figure 0005939344
Figure 0005939344
Figure 0005939344
Figure 0005939344
Figure 0005939344
この結果、メジアン径が4.9μm以下になるように物理的に微小化した架橋でん粉には、いずれも酸味増強効果とボディ感付与効果が認められた。
本発明に係る液状飲食品及びインスタント嗜好性飲料用組成物は、特定の大きさの架橋でん粉を配合するという簡単な処理により、コーヒーや茶飲料等の嗜好性飲料等の液状飲食品の脂肪感や濃厚感を向上させることができるため、嗜好性飲料等の液状飲食品の製造分野で利用が可能である。

Claims (10)

  1. 遊離グルコース含有量が固形分当たり4.5質量ppm以上1000質量ppm以下であり、かつメジアン径が4.9μm以下の物理的に微小化されている架橋でん粉を含有することを特徴とする、液状飲食品。
  2. 嗜好性飲料である、請求項1に記載の液状飲食品。
  3. 白濁性を有する、請求項1又は2に記載の液状飲食品。
  4. L値が15以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液状飲食品。
  5. 前記架橋でん粉がリン酸架橋でん粉又はリン酸モノエステル化リン酸架橋でん粉である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の液状飲食品。
  6. 前記架橋でん粉のメジアン径が0.3〜4.9μmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の液状飲食品。
  7. 遊離グルコース含有量が固形分当たり4.5質量ppm以上1000質量ppm以下であり、かつメジアン径が4.9μm以下の物理的に微小化されている架橋でん粉を含有することを特徴とする、インスタント嗜好性飲料用組成物。
  8. メジアン径が4.9μm以下となるように物理的に微小化されており、かつ遊離グルコース含有量が、固形分当たり4.5質量ppm以上1000質量ppm以下である架橋でん粉を原料として用いることを特徴とする、インスタント嗜好性飲料用組成物の製造方法。
  9. 遊離グルコース含有量が固形分当たり4.5質量ppm以上1000質量ppm以下であり、かつメジアン径が4.9μm以下の物理的に微小化されている架橋でん粉を有効成分とし、添加された液体に脂肪感、濃厚感、及び白濁性からなる群より選択される1以上を付与することを特徴とする、食感付与剤。
  10. 添加された液体に脂肪感と白濁性を付与する、請求項9に記載の食感付与剤。
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