JP4559292B2 - 塩味増強方法、飲食物の減塩方法、減塩飲食物及びその製造方法 - Google Patents

塩味増強方法、飲食物の減塩方法、減塩飲食物及びその製造方法 Download PDF

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本発明は、2糖類以上の糖類を少なくとも75重量%以上含有し、固形分濃度55%、20℃時の粘度が40〜60mPa・s(ミリパスカル秒)の範囲内の糖組成物を用いた塩味増強方法、飲食物の減塩方法、減塩飲食物、減塩飲食物の製造方法、などに関する。
近年、食塩の過剰摂取が問題となっている。
食塩の過剰摂取は、高血圧症や、腎疾患、心臓疾患などの循環器系疾患の誘因となるといわれている。日本人の栄養所要量(第6次改訂)を基にした食事摂取基準では、一日当たりの食塩摂取量は、10g未満が目標とされ、一日当たり6〜7gまで減塩するほうがより望ましいとされている。
それに対し、近年の国民栄養調査の結果によれば、日本人は、食塩を、一日に約10〜14g摂取していると報告されている。
そこで、近年、飲食物中に含まれる食塩の量を減らす試み、具体的には、塩味・塩辛味を増強させることにより、用いる食塩の量を減らす試み、がいくつか開示されている。
これらの方法は、単に、飲食物中の食塩含量を減らした場合、飲食物の風味が損なわれるのに対し、塩味・塩辛味を増強させることにより、用いる食塩の量を減らすことができ、しかも、風味を保持できるという考えに基づいたものである。
塩味増強・塩味改善の具体的な手段として、例えば、次の特許文献が開示されている。特許文献1には、トレハロースを用いて塩辛味を増強する方法が記載されている。特許文献2には、ニゲロオリゴ糖を用いて減塩した場合にも旨味を与える風味改良方法が記載されている。
特開平10−66540号公報 特開平10−210949号公報
従来の塩味増強方法は、塩味増強作用が必ずしも充分ではなかった。そのため、飲食物本来の風味バランスを保持するために、過剰な食塩を添加する場合があった。即ち、減塩が不充分な場合があった。
そこで、本発明は、飲食物本来の風味バランスを損なうことなく、飲食物の塩味を増強させる手段を提供すること、並びに減塩飲食物を提供すること、を主な目的とする。
本発明者らは、2糖類以上の糖類を少なくとも75重量%以上含有し、固形分濃度55%、20℃時の粘度が40〜60mPa・s(ミリパスカル秒、以下同じ)の範囲内の糖組成物に、塩味増強作用があることを新規に見出した。
そこで、本発明では、2糖類以上の糖類を少なくとも75重量%以上含有し、固形分濃度55%、20℃時の粘度が40〜60mPa・sの範囲内の糖組成物を用いた塩味増強方法を提供する。
これらの糖組成物を塩味増強の有効成分として用いることにより、飲食物本来の風味バランスを損なうことなく、飲食物の塩味を増強させることができる。即ち、塩味増強の有効成分として使用できる。
また、これらの糖組成物を塩味増強の有効成分として用いることにより、飲食物の塩味を増強できるため、飲食物中の塩分の含有量を減らしても、飲食物本来の風味バランスを良好に保持できる。従って、本発明に係る糖組成物は、減塩飲食物に有効である。
加えて、これらの糖組成物を用いることには、次のような利点がある。
これらの糖組成物には、低甘味で甘味質に優れたものが多いため、飲食物の塩味・塩辛味以外の風味にあまり影響を与えない。
また、これらの糖組成物を用いて減塩飲食物を製造する場合、特別な手順・工程を必要としないため、簡易かつ低コストで減塩飲食物を製造できる。
なお、本発明に係る糖組成物の塩味増強作用は、次のようなメカニズムによって引き起こされると推測する。
糖組成物が所定の粘度を有する場合、その糖組成物が甘味受容体などを覆うため、甘味などに対する感受性が抑制され、塩味に対する感受性が増強される。
また、単糖類は、甘味受容体を強く刺激し、甘味を強く感じさせてしまうため、単糖類の含有量が多いと、塩味よりも甘味を強く感じる状態になる。それに対し、単糖類の含有量を抑えた場合、塩味増強作用が甘味によって緩和されないため、塩味が増強される。
ここで、本発明における用語の定義づけを行う。
「粘度」は、粘りの度合いをいう。本発明では、単位は、Pa・s(パスカル秒)で表したが、他の単位に適宜変更可能である。
「減塩飲食物」は、通常の飲食物配合における食塩含有量と比較して、食塩含有量が意図的に低減された飲食物を広く包含する。例えば、食塩摂取制限による健康維持の側面から、減塩が施された飲食物などが該当する。
本発明により、飲食物本来の風味バランスを損なうことなく、飲食物の塩味を増強させることができる。従って、本発明により、飲食物中の塩分の含有量を減らしても、飲食物本来の風味バランスを良好に保持できる。
<本発明に係る糖組成物について>
本発明に係る糖組成物は、2糖類以上の糖類を少なくとも75重量%以上含有し、固形分濃度55%、20℃時の粘度が40〜60mPa・sの範囲内のものであればよい。
2糖類以上の糖類としては、例えば、2糖類(マルトース、イソマルトース、ラクトース、スクロース、コージビオース、ニゲロース、トレハロースなど)及びその還元物(マルチトール、イソマルチトールなど)、3糖類(マルトトリオース、イソマルトトリオース、パノースなど)及びその還元物(マルトトリイトール、イソマルトトリイトール、パニトールなど)、4糖類(マルトテトラオース、イソマルトテトラオースなど)及びその還元物(マルトテトライトール、イソマルトテトライトールなど)などが挙げられる。
即ち、本発明に係る糖組成物は、前記2糖類以上の糖類のいずれか又は複数を少なくとも含有し、それらの糖類の合計含有量がを少なくとも75重量%以上であり、固形分濃度55%、20℃時の粘度が40〜60mPa・sの範囲内のものである。
固形分濃度は、公知方法、例えば、屈折計などでブリックス度を測定することなどにより、取得できる。
粘度は、公知方法により、測定できる。粘度の測定手段として、例えば、レオメータ(液体や溶液の粘性や粘弾性を測定する装置)を用いてもよい。
<本発明に係る糖組成物の製造方法について>
本発明に係る糖組成物は、公知方法により製造できる。一般に、糖組成物を製造する場合、複数の糖類の混合物として製造される。従って、公知方法により製造した糖組成物が、2糖類以上の糖類を少なくとも75重量%以上含有し、固形分濃度55%、20℃時の粘度が40〜60mPa・sの範囲内であれば、本発明に係る糖組成物として、適用可能である。
なお、製造された糖組成物の組成(2糖類以上の糖類の含有量)は、公知方法、例えば、HPLC(高速液体クロマトグラフィー、以下同じ)などにより、取得できる。固形分濃度及び粘度の取得方法は、上述の通りである。
<本発明に係る塩味増強方法、塩味増強成分としての使用について>
本発明に係る糖組成物を用いた塩味増強方法(減塩方法)、及び、本発明に係る糖組成物の、塩味増強の有効成分としての使用について、以下説明する。
本発明に係る糖組成物を、飲食物中に含有させることにより、塩味増強を図ることができ、飲食物中の食塩含有量を減らす(減塩)ことができる。即ち、本発明に係る糖組成物は、塩味増強成分として使用できる。
本発明に係る糖組成物の使用態様としては、例えば、(1)飲食物の調味料などとして、食塩とこの糖組成物を、個別に又は同時に添加する場合、(2)食塩とこの糖組成物を、個別に又は同時に、水などの溶液に溶解などさせた後、それらを調味料などとして、飲食物に添加する場合、(3)調味料などに添加・混合する場合、(4)飲食物中に、実際に、食塩とこの糖組成物が含有している場合、などがある。
<本発明に係る減塩飲食物の製造方法について>
本発明に係る糖組成物を塩味増強の有効成分として用いる工程を含む減塩飲食物の製造方法について、以下説明する。
本発明に係る減塩飲食物の製造方法は、製造工程中に、本発明に係る糖組成物を飲食物(調味料を含む、以下同じ)に含有させる工程が含まれていればよい。具体的には、例えば、(1)飲食物の製造工程において、食塩とこの糖組成物を、個別に又は同時に、添加・配合する工程が含まれる場合、(2)飲食物の製造工程において、食塩とこの糖組成物を、個別に又は同時に、水などの溶液に溶解などさせた後、同時に又は別個に飲食物に添加・配合する場合、などがある。本発明に係る減塩飲食物の製造方法は、特別な設備改良や工程改良をほとんど必要としないため、食品の製造コストを抑制できる利点がある。
<本発明に係る減塩飲食物について>
本発明に係る糖組成物を塩味増強の有効成分として含有した減塩飲食物について、以下説明する。
本発明に係る飲食物は、食塩を含有する飲食物全般に適用可能である。例えば、(1)菓子類など、(2)パン類、麺類、ご飯類など、(3)漬物類など、(4)魚介類を用いた加工飲食物など、(5)畜肉を用いた加工飲食物など、(6)調味料、(7)その他、などが挙げられる。以下、本発明に係る飲食物を例示する。
(1)菓子類など:
菓子類としては、例えば、せんべい、あられ、おこし、餅類、饅頭、ういろう、あん類、羊かん、水羊かん、錦玉、ゼリー、カステラ、飴玉、ビスケット、クラッカー、ポテトチップス、クッキー、パイ、プリン、バタークリーム、カスタードクリーム、シュークリーム、ワッフル、スポンジケーキ、ドーナツ、チョコレート、チューインガム、キャラメル、キャンディー、ピーナッツペーストなどのペースト類などが挙げられる。
(2)パン類、麺類、ご飯類など:
パン類、麺類、ご飯類としては、パン、うどん、ラーメン、中華麺、すし、五目飯、チャーハン、ピラフ、餃子の皮、シューマイの皮、お好み焼き、たこ焼き、などが挙げられる。
(3)漬物類など:
漬物類としては、例えば、糠漬け、梅干、福神漬け、べったら漬け、千枚漬け、らっきょう、味噌漬け、たくあん漬け、及び、それらの漬物の素などが挙げられる。
(4)魚介類を用いた加工飲食物など:
魚介類としては、例えば、サバ、イワシ、サンマ、カニ、サケ、マグロ、カツオ、クジラ、カレイ、イカナゴ、アユなどの魚類、スルメイカ、ヤリイカ、紋甲イカ、ホタルイカなどのイカ類、マダコ、イイダコなどのタコ類、クルマエビ、ボタンエビ、イセエビ、ブラックタイガーなどのエビ類、タラバガニ、ズワイガニ、ワタリガニ、ケガニなどのカニ類、アワリ、ハマグリ、ホタテ、カキ、ルーム貝などの貝類、などが挙げられる。それらを用いた加工飲食物としては、例えば、缶詰、煮魚、佃煮、すり身、水産練り製品(ちくわ、蒲鉾、あげ蒲鉾、カニ足蒲鉾など)、フライ、天ぷら、などが挙げられる。
(5)畜肉を用いた加工飲食物など:
畜肉としては、例えば、鶏肉、豚肉、牛肉、羊肉、馬肉などが挙げられる。それらを用いた加工飲食物としては、例えば、カレー、シチュー、ビーフシチュー、ハヤシライスの具、ミートソース、マーボ豆腐、ハンバーグ、餃子、釜飯の素、スープ類、肉団子、角煮、畜肉缶詰などが挙げられる。
(6)調味料:
調味料としては、例えば、食卓塩、調味塩、醤油、粉末醤油、味噌、粉末味噌、もろみ、ひしお、ふりかけ、お茶漬けの素、マーガリン、マヨネーズ、ドレッシング、食酢、三杯酢、粉末すし酢、中華の素、天つゆ、麺つゆ、ソース、ケチャップ、焼肉のタレ、カレールー、シチューの素、スープの素、だしの素、複合調味料、新みりん、唐揚げ粉・たこ焼き粉などのミックス粉、などが挙げられる。
(7)その他
その他、チーズ、バターなどの乳製品、野菜、筑前煮、おでん、鍋物などの煮物類、持ち帰り弁当の具や惣菜類、トマトジュース、スポーツ飲料などにも適用可能である。
実施例1では、塩味増強作用に関して、2糖類以上の多糖類の含有量と、粘度との相関関係を調べた。実験手順の概要は次の通りである。
まず、実験に用いた糖組成物(サンプル1〜6)を、それぞれ、以下の手順で調製した。
(1)サンプル1:まず、デンプンにαアミラーゼを添加し、液化処理した後、温度を60℃に調整して、一定段階まで酵素分解を進行させた。次に、βアミラーゼと枝切り酵素を添加し、60℃条件下で、一定段階まで酵素分解を進行させた。次に、αグルコシダーゼを添加し、60℃条件下で、DE70まで分解し、糖組成物を調製した。
なお、DE(Dextrose Equivalent)はデンプンの分解度を表す指標であり、DEが大きいほど分解率が大きいことを示す(以下同じ)。
(2)サンプル2:サンプル1と同様の方法により、デンプンをDE65まで分解し、糖組成物を調製した。
(3)サンプル3:サンプル1で調製した糖組成物をHPLCで分離し、単糖類を除去した糖組成物を調製した。
(4)サンプル4:まず、デンプンにαアミラーゼを添加し、液化処理した後、温度を60℃に調整して、一定段階まで酵素分解を進行させた。次に、枝切り酵素を添加し、60℃条件下で、DE35まで分解し、糖組成物を調製した。
(5)サンプル5:デンプンにαアミラーゼを添加し、液化処理した後、温度を70℃に調整して、DE30まで分解し、糖組成物を調製した。
(6)サンプル6:市販の糖組成物「トレハ(登録商標、株式会社林原生物化学研究所製)」を用いた。
次に、サンプル1〜6の各糖組成物について、2糖類以上の糖類の含有量、及び、粘度を取得した後、その糖組成物3重量%と、塩化ナトリウム5重量%とを含有する水溶液を調製し、その水溶液について、官能試験を行った。
官能試験は、10名の専門パネラー(男性7名、女性3名)が、「塩味増強」と「甘味の強さ」の二項目について評価することにより行った。
「塩味増強」の評価は、各パネラーが、調製した水溶液と、5重量%塩化ナトリウム水溶液(対照)とを比較し、調製した水溶液のほうが、対照よりも、塩味が増強したと評価した場合、「塩味増強」作用があると判定した。そして、塩味が増強したと判定したパネラーの人数を、「塩味増強」の評価点とした。
同様に、「甘味の強さ」の評価は、各パネラーが、調製した水溶液と、5重量%塩化ナトリウム水溶液(対照)とを比較し、調製した水溶液のほうが、対照よりも、甘味を強く感じた場合、「甘味」が強いと判定した。そして、甘味が強いと判定したパネラーの人数を、「甘味の強さ」の評価点とした。
そして、充分な塩味増強作用があり、甘味が少なかったと判定したものを「○」、ある程度の塩味増強作用があり、甘味が少なかったと判定したものを「△」、塩味増強作用が不充分である、又は甘味が強かったと判定したものを「×」、とした。
結果を表1に示す。
Figure 0004559292
表1より、2糖類以上の糖類を少なくとも75重量%以上含有し、固形分濃度55%、20℃時の粘度が40〜60mPa・sの範囲内の糖組成物に、塩味増強作用があることが分かった。
なお、表中、2糖類以上の糖類の含有量、及び、粘度は、以下の手順で取得した。
(1)2糖類以上の糖類の含有量を測定について:
2糖類以上の糖類の含有量は、HPLC装置を用いて測定した。HPLC装置に、ゲル型イオン交換樹脂充填カラム(製品名「MCI GEL CK04S」、三菱化学株式会社製)を装填し、移動相を水にし、カラム温度65℃、流速0.35ml/minで、RI検出器(示差屈折率検出器)を用いて、各糖組成物を測定した。
測定結果のうち、グルコースと同じ溶出時間のものを単糖類とした。そして、2糖類以上の糖類の含有量は、全ピーク面積における、前記単糖類のピーク面積以外の部分の割合(%)を算出することにより、取得した。
(2)粘度の測定について:
はじめに、糖組成物の調製を行った。実験に用いる糖組成物を、ブリックス度10前後に調製し、イオン交換樹脂MB3(「MB」はモノベッドを表す。「モノベッド」は、米国Rohn & Haas Company(ローム エンド ハース コムパニー)の登録商標)を用いてイオン精製を行い、脱塩した。次に、脱塩した糖組成物に、同量の99.5%エタノールを加え、5℃で、一晩静置した後、遠心分離(20,000G、10分間、5℃)し、その上清液を濃縮・乾燥し、水で溶解した。
続いて、固形分濃度を測定した。前記調製液について、ATAGO RX−1000(株式会社アタゴ製)を用いて、20℃におけるブリックス度を測定し、その測定値を固形分濃度(%)とした。
続いて、粘度を測定した。前記調製液を、20℃におけるブリックス度55になるように調製した後、レオメータ(AR1000型、ティー・エイ・インスツルメント社製)を用いて、粘度を測定した。
実施例2では、糖組成物の塩味増強作用に関して、塩分濃度と糖組成物の濃度との相関性を調べた。
糖組成物としてマルミノース(昭和産業株式会社製)を用いて、塩化ナトリウムと糖組成物とを含有する水溶液を調製し、その水溶液について、官能試験を行った。各水溶液は、塩化ナトリウムと糖組成物が、それぞれ、下記表2に示す濃度になるように、調製した。
なお、マルミノースは、2糖類以上の糖類を96重量%以上含有し、固形分濃度55%、20℃時の粘度が43mPa・sの糖組成物である。
官能試験は、10名の専門パネラー(男性7名、女性3名)が、「相対塩化ナトリウム濃度」を評価することにより行った。
「相対塩化ナトリウム濃度」は、前記調製液の塩辛味が、どの濃度の塩化ナトリウム水溶液の塩辛味と同等であるかを、官能試験によって評価することにより、取得した。そして、実際の調製液中の塩化ナトリウム濃度よりも、相対塩化ナトリウム濃度のほうが高い場合、塩辛味が増強されていると判定した。
なお、下記表中の相対塩化ナトリウム濃度は、10名のパネラーが同等であると評価した塩化ナトリウム濃度の平均値である。
結果を表2に示す。
表中、塩辛味が増強されているかどうかに関する判定は、塩辛味が増強されていない場合を「±」、塩辛味が増強された場合を「+」、塩辛味の増強の度合いが大きかった場合を「++」とした。
Figure 0004559292
表2に示す結果は、塩化ナトリウムを1.0重量%含有する飲食物にマルミノースを0.5重量%以上含有させることにより、若しくは塩化ナトリウムを5.0重量%含有する飲食物にマルミノースを0.1重量%以上含有させることにより、飲食物の塩味増強効果が得られることを示す。従って、本実験結果は、塩化ナトリウムを通常濃度含有する飲食物に、2糖類以上の糖類を少なくとも75重量%以上含有し、固形分濃度55%、20℃時の粘度が40〜60mPa・sの範囲内の糖組成物を、少なくとも0.1重量%以上、含有させることにより、塩味増強効果が得られることを示唆する。
実施例3では、魚肉料理の試作品を作製し、所定の糖組成物を用いることにより、魚肉料理に対する塩化ナトリウムの添加量を低減できるか、調べた。
容器に、鯖の魚肉100重量部、所定濃度の塩化ナトリウム及び糖組成物を入れ、水を加えて総量が250重量部になるようにした後、容器ごと、沸騰浴に入れ、30分間加熱処理した。そして、作製した魚肉料理の試作品について、官能試験を行った。
作製した魚肉料理の試作品について、その組成を表3に示す。
なお、糖組成物には、前記と同様、マルミノースを用いた。
Figure 0004559292
官能試験は、5名の専門パネラーが、対照区の試作品の塩辛味を「1」として相対的に評価することにより、行った。
結果を表4に示す。
Figure 0004559292
表4中、試験区1の結果が示す通り、塩分を含む飲食物に、マルミノースを加えることにより、塩味が増強された。また、表4中、試験区2及び試験区3の結果が示す通り、塩分の含有量を少なくした場合でも、マルミノースを加えることにより、対照区と同等の塩辛味を得ることができた。従って、本実験結果は、含塩飲食物に、2糖類以上の糖類を少なくとも75重量%以上含有し、固形分濃度55%、20℃時の粘度が40〜60mPa・sの範囲内の糖組成物を加えることにより、飲食物中に含有する食塩を低減できることを示唆する。
本発明に係る糖組成物を用いることにより、飲食物中の塩分を増強できる。従って、本発明に係る糖組成物は、減塩飲食物に適用できる。また、本発明に係る糖組成物は、飲食物本来の風味バランスを損なうことなく、飲食物の塩味を増強させることができるため、幅広い飲食物に適用可能である。

Claims (4)

  1. デンプンを酵素分解することにより製造され、
    2糖類以上の糖類を少なくとも75重量%以上含有し、固形分濃度55%、20℃時の粘度が40〜60mPa・s(ミリパスカル秒)の範囲内にされ、塩味増強作用を有する糖組成物を用いた塩味増強方法。
  2. デンプンを酵素分解することにより製造され、
    2糖類以上の糖類を少なくとも75重量%以上含有し、固形分濃度55%、20℃時の粘度が40〜60mPa・s(ミリパスカル秒)の範囲内にされ、塩味増強作用を有する糖組成物を用いた飲食物の減塩方法。
  3. デンプンを酵素分解することにより製造され、
    2糖類以上の糖類を少なくとも75重量%以上含有し、固形分濃度55%、20℃時の粘度が40〜60mPa・s(ミリパスカル秒)の範囲内にされ、塩味増強作用を有する糖組成物を、塩味増強の有効成分として含有した減塩飲食物。
  4. デンプンを酵素分解することにより製造され、
    2糖類以上の糖類を少なくとも75重量%以上含有し、固形分濃度55%、20℃時の粘度が40〜60mPa・s(ミリパスカル秒)の範囲内にされ、塩味増強作用を有する糖組成物を、塩味増強の有効成分として用いる減塩飲食物の製造方法。
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