JP4632704B2 - 血糖値上昇抑制剤 - Google Patents
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Description
II型糖尿病は、膵臓β細胞からのインスリンの分泌能力の低下や、インスリン標的臓器である骨格筋、肝臓、脂肪組織でのインスリン感受性の低下(インスリン抵抗性)などが関与してインスリン作用の低下が起り、恒常的に高血糖が維持された状態と言える。この状態が続くと、インスリン分泌不全(高インスリン血症)や様々な重篤な合併症(網膜症、腎症、神経障害等)を引起す。また、容易に高血圧症や高脂血症を併発することから、II型糖尿病の改善、治療にはインスリンによるグルコース取込み作用の負担を軽減(インスリン感受性増大)するための血糖値の調節が第一となる。適正な血糖値を得る方法としては、糖質の分解と吸収を阻害、遅延して過血糖を改善(インスリンの過負荷を低減)すること、インスリン抵抗性を改善(インスリン感受性を増大)し、肝臓からの糖産生放出を抑制すること、インスリン分泌を促進させることなどが挙げられる(非特許文献1参照)。
現在、上記項目を満たす臨床薬として、スルホニル尿素剤、アルドース還元酵素阻害剤、インスリン様作用剤など種々の薬剤が開発されている。一方、II型糖尿病の発症には現代の食生活習慣、運動不足、ストレスなどが密接に関わっており、食事療法及び運動療法が糖尿病治療の有効な手段とされている。
血糖値改善効果を有する食品成分の報告例としては、茶カテキン、小麦アルブミン、トウチエキス、D−キシロース、L−アラビノースなどが挙げられ、ある程度の血糖値調節が可能であることが示されている。また、コーヒー、リンゴ、ブドウ、タマネギなどの植物から抽出されるクロロゲン酸類からなる血糖値上昇抑制剤等に関する報告がある(特許文献1、特許文献2参照)。
例えば、みりんの抗酸化性を示すデータとして、1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル(1,1−Diphenyl−2−Picrylhydrazyl)ラジカル消去活性は、みりん風調味料と比較して3倍程度高い活性を示すことが知られている(非特許文献3参照)。
また、加熱処理したみりん類の抗酸化活性が、加熱処理前より増強されていることを特徴とする新規みりんが提案されている(特許文献3参照)。これは、みりん類を加熱処理して着色せしめることを特徴とする新規みりん類であって、その態様としてアルコール濃度が6〜14%(v/v)であることが示されている。しかし、アルコールが残存しているため、これをそのまま食品に利用するには、アルコール刺激味、刺激臭によって好ましくない場合がある。また、実際に生体内に摂取した場合の血糖値上昇抑制効果に関する検討はこれまでなされていない。
本発明における血糖値上昇抑制剤とは、みりんシロップからなる血糖値上昇抑制剤である。
本発明におけるみりんシロップとは、みりん中のアルコールを除き、濃縮したものであり、例えば、みりんを加熱処理してアルコールを除去した煮切りみりんが挙げられる。煮切りみりんの加熱処理方法としては、一般的には鍋に入れたみりんを直火で加熱することが知られているが、特にこれには限定されない。また、煮切りみりんの液量は、加熱処理前のみりんの液量に比べて45〜85%、好ましくは50〜70%のものである。45%未満では、みりん中の糖類の結晶が生じるため取扱いが困難で様々な用途に利用しにくく、85%超では、みりん中のアルコール分の除去が不十分であるため、アルコールの刺激味、刺激臭があり、好ましくない。
その量は、年齢、体重、性別、投与方法等によって異なるが、経口投与の場合は通常成人(体重60kg)1人当り1回にみりんシロップとして60〜240ml(2倍濃縮の場合84〜336g相当)の範囲を1日1回〜数回に分けて投与するのが好ましい。摂取期間としては、1週以上が好ましい。なお、急性毒性については、みりんはこれまでも調理に使用されてきたものであり安全なものである。
使用方法としては、シロップとしてそのまま使う、混ぜて使う、材料を加えて煮る、素材に塗って焼くなどが挙げられる。
煮切りみりんは、本みりん〔宝酒造(株)製〕10Lを平底鍋にて中火で加熱し、4.5Lまで煮詰めた後、5Lまで加水し、2倍濃縮としたものを使用した。
8週齢雄性GKラット〔チャールス リバー(Charles River)社製〕を購入後、1週間の予備飼育を行ったものを2つの試験区に分類して以下の試験に供した。対照群(計5匹)は15%マルトース+15%フルクトース溶液を1日当り50mlずつ自由飲水で7週間毎日与えた。煮切りみりん投与群(計4匹)は煮切りみりん1mlを含む15%マルトース+15%フルクトース溶液を1日当り50mlずつ自由飲水で7週間毎日与えた。投与開始前(0日目)及び投与開始後1週間毎、空腹時に採血を実施した後、血糖値の測定を行った。血糖値は、グルコテストPRO(三和化学研究所製)を用いて測定した。
試験期間中の血糖値のデータを表1に示す。
煮切りみりんは、本みりん〔宝酒造(株)製〕10Lを平底鍋にて中火で加熱し、4.5Lまで煮詰めた後、5Lまで加水し、2倍濃縮としたものを使用した。
その結果、血糖値上昇の抑制が確認された。
煮切りみりんは、本みりん〔宝酒造(株)製〕10Lを平底鍋にて中火で加熱し、5.5Lまで煮詰めた後、6Lまで加水したものを使用した。
Claims (2)
- みりんシロップからなる血糖値上昇抑制剤。
- みりんシロップが、みりんを加熱処理することにより得られる煮切りみりんである請求項1記載の血糖値上昇抑制剤。
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