(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1を用いて、実施の形態1にかかる空調装置1の構成を説明する。空調装置1は、空調室10と、空調室10の入口に設けられた給気口2と、空調室の出口に設けられた送気口4を備える。空調装置1は、給気口2から外気を取り込み、空調室10で空調された空調空気を、送気口4から、例えば塗装ブース等の空調対象エリアへ供給する。
空調室10内には、前段加熱器12、後段加熱器14、除塵装置16、湿度調整装置20及び送気ファン28が設けられている。前段加熱器12は、湿度調整装置20の上流側に設けられている。また、後段加熱器14は、湿度調整装置20の下流側に設けられている。
前段加熱器12は、給気口2から取り込まれた外気(空気)を加熱する。後段加熱器14は、湿度調整装置20によって湿度が調整された空気を加熱する。ここで、後段加熱器14の加熱出力は、前段加熱器12の加熱出力よりも小さくてもよい。つまり、後段加熱器14は、空調対象エリアへ供給される送気の温度の微調整を行う。言い換えると、前段加熱器12は、主加熱装置としての機能を有し、後段加熱器14は、補助加熱装置としての機能を有してもよい。
前段加熱器12及び後段加熱器14は、加熱装置24と切替部26を介して、ダクト等の流路により接続されている。加熱装置24は、前段加熱器12又は後段加熱器14に対して、加熱された空気(加熱空気)を供給する。つまり、加熱装置24は、前段加熱器12を用いて外気を加熱し、後段加熱器14を用いて送気温度の微調整を行う。言い換えると、1つの加熱装置24が、外気の加熱及び送気温度の微調整といった2つの機能を有している。これによって、前段加熱器12及び後段加熱器14の機器サイズを抑制することができるので、空調装置1の長さを短くすることが可能となる。
また、後述する制御装置100によって、加熱装置24の加熱量を制御することができるように構成されている。そして、加熱量を制御することにより、空気の温度上昇を制御できるように構成されている。加熱装置24は、例えばバーナであってもよく、この場合、燃料の量を調整することによって、加熱量を制御するようにしてもよい。また、加熱装置24は、例えば電熱器であってもよく、この場合、電力量を調整することによって、加熱量を制御するようにしてもよい。
また、切替部26は、後述する制御装置100の制御によって、加熱装置24から前段加熱器12及び後段加熱器14のどちらに加熱空気が供給されるかを切り替えるように構成されている。切替部26は、例えば切替ダンパによって構成されてもよい。切替部26は、前段加熱器12に加熱空気を供給するように制御されると、流路を前段加熱器12側に変更する。一方、切替部26は、後段加熱器14に加熱空気を供給するように制御されると、流路を後段加熱器14側に変更する。詳しくは後述する。
除塵装置16は、前段加熱器12によって加熱された空気中の塵を取り除く。除塵装置16は、例えばSUSフィルタ、サランネットフィルタ及びロールフィルタ等であるが、これらに限られない。
送気ファン28は、温度及び湿度の調整がなされた空調空気を、送気口4を介して空調対象エリアへ供給する。
湿度調整装置20は、除塵装置16を通過した空気に対して、例えば水等の流体を噴霧することによって、外気(空気)の湿度を調整する。湿度調整装置20は、例えばワッシャ等のスプレー噴霧式の湿度調整装置であるが、これに限られない。また、噴霧される流体は、水でなくてもよい。なお、湿度調整装置20の上流側及び下流側にはエリミネータが設けられており、湿度調整装置20によって噴霧された水が、上流側及び下流側に拡散することを抑制するようになっている。
湿度調整装置20によって噴霧される水は、ポンプ32によって供給される。具体的には、ポンプ32は、水槽30に貯留された水を吸入し、湿度調整装置20に設けられたスプレー等の噴霧器20aに向けて吐出する。これによって、湿度調整装置20は、噴霧器20aから水を噴霧することができる。また、後述する制御装置100によって、ポンプ32の回転数(周波数)を制御することができる。そして、ポンプ32の回転数を調整することによって、湿度調整装置20によって噴霧される水の流量を制御することができるようになっている。
また、ポンプ32の後流には、熱交換器40が設けられている。この熱交換器40は、湿度調整装置20の噴霧水の温度を調整する。具体的には、熱交換器40には、冷却水調整弁42を介して冷却水が供給される。そして、熱交換器40は、ポンプ32から吐出される水(噴霧水)と、冷却水とによって、熱交換を行う。また、後述する制御装置100によって、冷却水調整弁42の開度を制御できる。そして、冷却水調整弁42の開度を調整することによって、冷却水の流量が制御され、それによって、噴霧水の温度を制御することができるように構成されている。
このように、空調装置1は、湿度調整装置20の流量及び水温を調整することによって、空気の湿度及び温度を制御できるように構成されている。
送気口4の近傍には送気温度検出器56及び送気湿度検出器58が設けられている。送気温度検出器56は、例えば温度センサであって、送気温度Tαを検出する。送気湿度検出器58は、例えば湿度センサであって、送気湿度Mαを検出する。なお、湿度を示すパラメータとしては、代表的なものとしては露点温度が挙げられるが、例えば、湿度を示すパラメータは、湿球温度であってもよく、相対湿度であってもよく、絶対湿度であってもよい。
制御装置100(制御部)は、演算装置102(演算部)、送気温度調節器110、送気湿度調節器112、加熱量選択器120及び流量選択器122から構成されている。また、制御装置100の処理は、コンピュータである制御装置100が備えるCPU(Central Processing Unit)の制御によって、プログラムを実行させることによって実現してもよい。より具体的には、制御装置100に含まれる記録媒体に格納されたプログラムをメモリにロードし、CPUの制御によってプログラムを実行して実現してもよい。また、制御装置100の上記構成要素のうちの少なくとも1つ(例えば演算装置102)がコンピュータであってもよく、この構成要素が上記のようにプログラムを実行してもよい。
演算装置102は、予め、図2に示すような湿り空気線図(以下、単に空気線図と称する)を示す空気線図テーブルを記憶している。演算装置102は、空気線図テーブルによって、空気線図上に、温度及び湿度(例えば露点温度等)で定義された状態点を配置する。なお、状態点とは、温度及び湿度(例えば露点温度等)で定義された状態を示す点をいう。
また、演算装置102は、予め、目標下端点a、目標上端点c及び目標中間点bを設定する。具体的には、演算装置102は、使用者の操作によって入力された目標下端温度Ta及び目標下端湿度Maを受け付ける。この、目標下端温度Taかつ目標下端湿度Maの状態を示す点を、目標下端点a(Ta,Ma)とする。また、演算装置102は、使用者の操作によって入力された目標上端温度Tc及び目標上端湿度Mcを受け付ける。この、目標上端温度Tcかつ目標上端湿度Mcの状態を示す点を、目標上端点c(Tc,Mc)とする。さらに、演算装置102は、使用者の操作によって入力された目標中間温度Tb及び目標中間湿度Mbを受け付ける。この、目標中間温度Tbかつ目標中間湿度Mbの状態を示す点を、目標中間点b(Tb,Mb)とする。なお、Ta<Tb<Tcであり、Ma<Mb<Mcである。
また、演算装置102は、受け付けた目標下端点a(Ta,Ma)、目標中間点b(Tb,Mb)及び目標上端c(Tc,Mc)を、図2に示すように、空気線図上に配置する。そして、演算装置102は、目標曲線を設定する。具体的には、目標下端点a、目標中間点b及び目標上端cを結び、結んだ線を目標曲線Lとする。なお、目標曲線Lの設定において、目標中間点bは用いなくてもよく、目標下端点a及び目標上端cを結ぶことによって、目標曲線Lを設定してもよい。
また、演算装置102は、送気の状態に応じて、目標点t(Tt,Mt)を設定する。言い換えると、演算装置102は、送気温度検出器56及び送気湿度検出器58の少なくとも一方の検出結果に応じて、目標温度Tt及び目標湿度Mtを設定する。具体的には、例えば、演算装置102は、送気湿度Mαに応じて、目標曲線上の点を目標点tとして設定するが、これに限られない。演算装置102は、目標温度Ttを送気温度調節器110に対して出力し、目標湿度Mtを送気湿度調節器112に対して出力する。目標点tの設定の具体例については後述する。
また、演算装置102は、送気の状態に応じて、切替部26を制御する。言い換えると、演算装置102は、送気温度検出器56及び送気湿度検出器58の少なくとも一方の検出結果に応じて、切替部26に対して、加熱装置24からの加熱空気を、前段加熱器12及び後段加熱器14のどちらに供給させるかを制御する。具体的には、例えば、演算装置102は、送気湿度Mαに応じて、切替部26を制御するが、これに限られない。
切替部26の制御の具体例について説明する。演算装置102は、送気湿度検出器58から、送気湿度Mα(を示す信号)を受け付ける。演算装置102は、送気湿度Mαが目標上端湿度Mc以下の場合、加熱装置24からの加熱空気を前段加熱器12に供給させるように切り替えることを指示する切替信号を切替部26に対して送信する。一方、演算装置102は、送気湿度Mαが目標上端湿度Mcよりも大きい場合、加熱装置24からの加熱空気を後段加熱器14に供給させるように切り替えることを指示する切替信号を、切替部26に対して送信する。切替部26は、切替信号に応じて、前段加熱器12側に流路を切り替え、又は後段加熱器14側に流路を切り替える。
なお、送気湿度Mαが目標上端湿度Mc付近で変動する場合に、切替部26のチャタリングを防止するため、切替閾値についてある程度(例えば露点温度で±1程度)の緩衝域を設けてもよい。つまり、送気湿度Mαが目標上端湿度Mcを中心とする緩衝域内で変動する場合、演算装置102は、切替部26に対して切替信号を送信しなくてもよい。
また、本実施の形態では、演算装置102は、送気湿度Mαと目標上端湿度Mcとの比較に応じて切替部26を制御したが、これに限られない。例えば、演算装置102は、送気湿度Mαと目標下端湿度Maとの比較に応じて切替部26を制御してもよい。つまり、演算装置102は、送気湿度Mαが目標下端湿度Maよりも小さい場合に前段加熱器12側に切り替えるように切替部26を制御し、送気湿度Mαが目標下端湿度Ma以上の場合に後段加熱器14側に切り替えるように切替部26を制御してもよい。さらに、演算装置102は、目標下端湿度Maと目標上端湿度Mcとの間で閾値湿度Mthを定め、その閾値湿度Mthと送気湿度Mαとの比較に応じて切替部26を制御してもよい。
送気温度調節器110は、演算装置102から目標温度Ttを受け付ける。また、送気温度調節器110は、送気温度検出器56から送気温度Tαを受け付ける。また、送気温度調節器110は、目標温度Ttと送気温度Tαとの偏差を算出する。そして、送気温度調節器110は、目標温度Ttと送気温度Tαとの偏差に基づいて、図3に示すように、加熱装置24の加熱量(実線で示す)又は湿度調整装置20の噴霧水の流量(破線で示す)を制御する。これによって、送気温度調節器110は、送気温度Tαを目標温度Ttに追従させるように調節する。なお、送気温度調節器110は、例えば、PID調節計で構成されてもよい。
送気温度調節器110は、目標温度Ttと送気温度Tαとの偏差に基づいて、出力値(0%〜100%)を算出する。そして、送気温度調節器110は、出力値を、加熱装置24及びポンプ32に対して出力する。加熱装置24は、送気温度調節器110からの出力が50%〜100%の場合に、加熱量を制御するように構成されている。また、ポンプ32は、送気温度調節器110からの出力が0%〜50%の場合に、回転数を制御するように構成されている。
つまり、送気温度調節器110は、その出力が50%よりも大きく100%以下である場合、出力が大きいほど、加熱装置24の加熱量が大きくなるように制御するように構成されている。また、送気温度調節器110は、その出力が0%以上で50%よりも小さい場合、出力が小さいほど、湿度調整装置20の噴霧水の流量が大きくなるように制御するように構成されている。
また、送気温度調節器110は、上述したように、目標温度と送気温度Tαとの偏差に応じて、出力を調整するように構成されている。例えば、目標温度Ttと送気温度Tαとの偏差をΔT=Tt−Tαとすると、送気温度調節器110は、ΔTの値が大きいほど、出力が大きくなるように構成されてもよい。また、送気温度調節器110は、例えば偏差ΔTを時間で積分した積分値が大きいほど、出力が大きくなるように構成されていてもよい。ここで、送気温度調節器110は、ΔT=0の場合に、出力が50%となるように設定されてもよい。つまり、送気温度調節器110は、ΔTが0より大きければ加熱装置24の加熱量を制御し、ΔTが0より小さければ湿度調整装置20の噴霧水の流量を制御する。
送気湿度調節器112は、演算装置102から目標湿度Mtを受け付ける。また、送気湿度調節器112は、送気湿度検出器58から送気湿度Mαを受け付ける。また、送気湿度調節器112は、目標湿度Mtと送気湿度Mαとの偏差を算出する。そして、送気湿度調節器112は、目標湿度Mtと送気湿度Mαとの偏差に基づいて、図4に示すように、加熱装置24の加熱量(実線で示す)、湿度調整装置20の噴霧水の流量(破線で示す)又は冷却水調整弁42の開度(一点鎖線で示す)を制御する。これによって、送気湿度調節器112は、送気湿度Mαを目標湿度Mtに追従させるように調節する。なお、送気湿度調節器112は、例えば、PID調節計で構成されてもよい。
送気湿度調節器112は、目標湿度Mtと送気湿度Mαとの偏差に基づいて、出力値(0%〜100%)を算出する。そして、送気湿度調節器112は、出力値を、加熱装置24、ポンプ32及び冷却水調整弁42に対して出力する。加熱装置24は、送気湿度調節器112からの出力が50%〜100%の場合に、加熱量を制御するように構成されている。また、冷却水調整弁42は、送気湿度調節器112からの出力が25%〜50%の場合に、開度を制御するように構成されている。また、ポンプ32は、送気湿度調節器112からの出力が0%〜25%の場合に、回転数を制御するように構成されている。
つまり、送気湿度調節器112は、その出力が50%よりも大きく100%以下である場合、出力が大きいほど、加熱装置24の加熱量が大きくなるように制御するように構成されている。また、送気湿度調節器112は、その出力が50%よりも小さい場合、出力が小さいほど、湿度調整装置20の冷却水調整弁42の開度が大きくなるように制御するように構成されている。さらに、冷却水調整弁42の開度が最大となる出力(例えば25%)よりも出力が小さい場合、送気湿度調節器112は、出力が小さいほど、湿度調整装置20の噴霧水の流量が大きくなるように制御するように構成されている。上記のように送気湿度調節器112が構成されているので、冷却装置を別途設けることなく、送気の湿度及び温度を調整することができる。なお、本実施の形態において、冷却水調整弁42の開度が最大となる出力は25%としたが、これに限られず、0〜50%の任意の出力であってもよい。
送気湿度調節器112は、目標湿度と送気湿度Mαとの偏差に応じて、出力を調整するように構成されている。例えば、目標湿度Mtと送気湿度Mαとの偏差をΔM=Mt−Mαとすると、偏差ΔMが大きいほど、出力が大きくなるように構成されてもよい。また、送気湿度調節器112は、例えば偏差ΔMを時間で積分した積分値が大きいほど、出力が大きくなるように構成されてもよい。ここで、送気湿度調節器112は、ΔM=0の場合に、出力が50%となるように設定されてもよい。つまり、送気湿度調節器112は、ΔMが0より大きければ加熱装置24の加熱量を制御し、ΔMが0より小さければ湿度調整装置20の噴霧水の流量又は温度を制御する。
加熱量選択器120は、送気温度調節器110及び送気湿度調節器112と、加熱装置24との間に設けられている。加熱量選択器120は、例えばハイセレクタで構成されている。加熱量選択器120は、送気温度調節器110及び送気湿度調節器112から、それぞれの出力値を受け付ける。そして、加熱量選択器120は、両者の出力から、加熱装置24の加熱量が高くなる方の出力を選択して、加熱装置24に対して出力する。
流量選択器122は、送気温度調節器110及び送気湿度調節器112と、ポンプ32との間に設けられている。流量選択器122は、例えばハイセレクタで構成されている。流量選択器122は、送気温度調節器110及び送気湿度調節器112から、それぞれの出力値を受け付ける。そして、流量選択器122は、両者の出力から、ポンプ32の回転数が高くなる方の出力を選択して、ポンプ32に対して出力する。なお、流量選択器122は、冷却水調整弁42の開度が最大となる出力に応じて、送気湿度調節器112の出力値を乗算してもよい。例えば、冷却水調整弁42の開度が最大となる出力が25%である場合、流量選択器122は、送気湿度調節器112の出力値を2倍(=50%/25%)にして、その2倍の出力値を用いて選択してもよい。
図5〜図7は、空調装置1(特に制御装置100)における空調制御方法を示すフローチャートである。なお、図5〜図7に示したフローチャートにおいて、工程(ステップ)の順序は、適宜、変更可能であり、また、複数ある工程(ステップ)のうちの1つ以上は、省略されてもよく、複数ある工程(ステップ)のうち、ある工程が終了する前に他の工程が開始してもよい。さらに、複数ある工程(ステップ)の2つ以上は、同時に実行されうる。
図5に示すように、まず、演算装置102は、送気温度Tα及び送気湿度Mαを検出する(S10)。具体的には、演算装置102は、送気温度検出器56によって検出された送気温度Tαを受け付ける。また、演算装置102は、送気湿度検出器58によって検出された送気湿度Mαを受け付ける。
次に、演算装置102は、送気湿度Mαが目標下端湿度Maよりも小さいか否かを判断する(S100)。送気湿度Mαが目標下端湿度Maよりも小さいと判断された場合(S100のYES)、演算装置102は、目標点tを目標下端点aに設定する(S102)。つまり、演算装置102は、目標温度Ttを目標下端温度Taに設定し、目標湿度Mtを目標下端湿度Maに設定する。そして、演算装置102は、目標温度Tt(目標下端温度Ta)を送気温度調節器110に対して出力し、目標湿度Mt(目標下端湿度Ma)を送気湿度調節器112に対して出力する。
このとき、送気湿度Mαは目標上端湿度Mc以下であるので、演算装置102は、切替部26に対して、前段加熱器12側に流路を切り替えるように制御する(S104)。これによって、加熱装置24からの加熱空気は、前段加熱器12に供給される。
次に、送気湿度調節器112は、加湿制御を行う(S106)。具体的には、このとき、送気湿度Mαが目標下端湿度Maより低いので、送気湿度調節器112は、加熱装置24の加熱量を制御する。さらに具体的には、送気湿度調節器112は、偏差ΔM(=Ma−Mα)の符号が正であるので、50%より大きな出力値を加熱装置24に対して送信する。このとき、送気湿度調節器112は、上述したように、偏差ΔMの絶対値に応じて、出力値を大きくしてもよい。これによって、加熱装置24の加熱量が制御される。
次に、送気温度調節器110は、送気温度Tαが目標下端温度Taよりも低いか否かを判断する(S110)。具体的には、送気温度調節器110は、送気温度検出器56によって検出された送気温度Tαと、目標温度Ttに設定された目標下端温度Taとを比較する。そして、送気温度調節器110は、送気温度Tαが目標下端温度Taよりも低いか否かを判断する。
送気温度Tαが目標下端温度Taよりも低いと判断された場合(S110のYES)、送気温度調節器110は、加熱制御を行う(S112)。S112の工程の後、フローはS10の工程に戻る。具体的には、送気温度調節器110は、加熱装置24の加熱量を制御する。さらに具体的には、送気温度調節器110は、偏差ΔT(=Ta−Tα)の符号が正であるので、50%より大きな出力値を加熱装置24に対して送信する。このとき、送気温度調節器110は、上述したように、偏差ΔTの絶対値に応じて、出力値を大きくしてもよい。これによって、加熱装置24の加熱量が制御される。
なお、このとき、送気温度調節器110及び送気湿度調節器112の両方から、50%より大きな出力値を加熱装置24に対して送信している。したがって、上述したように、加熱量選択器120は、両者の出力から、加熱装置24の加熱量が高くなる方の出力を選択して、加熱装置24に対して出力する。
一方、送気温度Tαが目標下端温度Taよりも低くないと判断された場合(S110のNO)、送気温度調節器110は、送気温度Tαが目標下端温度Taよりも大きいか否かを判断する(S114)。送気温度Tαが目標下端温度Taよりも大きいと判断された場合(S114のYES)、送気温度調節器110は、冷却制御を行う(S116)。S116の工程の後、フローはS10の工程に戻る。
具体的には、送気温度調節器110は、湿度調整装置20の噴霧水の流量を制御する。さらに具体的には、送気温度調節器110は、偏差ΔT(=Ta−Tα)の符号が負であるので、50%より小さな出力値をポンプ32に対して送信する。このとき、送気温度調節器110は、上述したように、偏差ΔTの絶対値に応じて、出力値を小さくしてもよい。つまり、送気温度調節器110は、偏差ΔTの絶対値が大きいほど(Tαが大きいほど)、出力値を0%に近くなるようにしてもよい。これによって、ポンプ32の回転数が制御され、したがって、湿度調整装置20の噴霧水の流量が制御される。
なお、S110及びS114の工程における送気温度Tαと目標温度Tt(目標下端温度Ta)との比較において、送気温度調節器110は、送気温度Tαが目標下端温度Taの近傍(例えば±1度程度)にある場合、送気温度Tαは目標下端温度Taに一致していると判断してもよい。このことは、以下で説明する他の工程においても同様である。
一方、送気温度Tαが目標下端温度Taよりも大きくないと判断された場合(S114のNO)、送気温度Tαは目標下端温度Taに一致している。このとき、制御装置100は、送気湿度Mαが目標下端湿度Ma(目標湿度Mt)に一致したか否かを判断する(S120)。具体的には、送気湿度調節器112は、送気湿度Mαと目標下端湿度Maを比較して、両者が一致したか否かを判断する。このとき、送気湿度調節器112は、送気湿度Mαが目標下端湿度Maの近傍(例えば±1度程度)に到達した場合に、送気湿度Mαが目標下端湿度Maと一致していると判断してもよい。このことは、以下で説明する他の工程においても同様である。
送気湿度Mαが目標下端湿度Maに一致していない場合(S120のNO)、フローはS10の工程に戻る。
一方、送気湿度Mαが目標下端湿度Maに一致した場合(S120のYES)、送気温度調節器110及び送気湿度調節器112は、送気状態点α(Tα,Mα)が目標点t(目標下端点a)の近傍から離れないように、出力を微調整する(S130)。具体的には、このとき、送気湿度Mαが目標下端湿度Maに一致し、さらに、送気温度Tαが目標下端温度Taに一致している。したがって、送気温度調節器110は、送気温度Tαが目標下端温度Taの近傍から離れないように、出力を微調整する。同様に、送気湿度調節器112は、送気湿度Mαが目標下端湿度Maの近傍から離れないように、出力を微調整する。
例えば、S130の工程の間に、送気温度Tαが目標下端温度Taの近傍から温度が低くなる方向に離れた場合、送気温度調節器110は、送気温度Tαを目標下端温度Taに近づけるように、出力を50%に近づけて、湿度調整装置20の噴霧水の流量を減少させるように制御する。また、例えば、S130の処理の間に、送気湿度Mαが目標下端湿度Maの近傍から湿度が高くなる方向に離れた場合、送気湿度調節器112は、送気湿度Mαが目標下端湿度Maに近づくように、出力を50%に近づけて、加熱装置24の加熱量を減少させるように制御する。
一方、S100の工程において、送気湿度Mαが目標下端湿度Maよりも小さくないと判断された場合(S100のNO)、つまりMα≧Maの場合、図6に示すように、演算装置102は、送気湿度Mαが目標上端湿度Mcよりも大きいか否かを判断する(S200)。送気湿度Mαが目標上端湿度Mcよりも大きくないと判断された場合(S200のNO)、つまりMa≦Mα≦Mcである場合、演算装置102は、目標曲線L上で湿度がMαである点を、目標点tに設定する(S202)。つまり、演算装置102は、目標湿度MtをMαに設定する。また、演算装置102は、目標温度Ttを、目標曲線L上の湿度がMαにおける温度に設定する。
このとき、送気湿度Mαは目標上端湿度Mc以下であるので、演算装置102は、切替部26に対して、前段加熱器12側に流路を切り替えるように制御する(S204)。これによって、加熱装置24からの加熱空気は、前段加熱器12に供給される。
次に、送気湿度調節器112による制御が行われる(S206)。ここで、このとき、送気湿度Mαは目標湿度Mtに等しいので、偏差ΔM(=Mt−Mα)は0である。したがって、送気湿度調節器112からは、50%の出力値が各機器に送信される。つまり、Ma≦Mα≦Mcである場合、送気湿度調節器112は、調湿制御を行わない。なお、送気湿度調節器112による調湿制御が行われないので、Ma≦Mα≦Mcである場合に、送気湿度調節器112が出力しないように構成してもよい。
次に、送気温度調節器110は、送気温度Tαが目標温度Ttよりも低いか否かを判断する(S210)。具体的には、送気温度調節器110は、送気温度検出器56によって検出された送気温度Tαと、目標温度Ttとを比較する。そして、送気温度調節器110は、送気温度Tαが目標温度Ttよりも低いか否かを判断する。
送気温度Tαが目標温度Ttよりも低いと判断された場合(S210のYES)、送気温度調節器110は、加熱制御を行う(S212)。S212の工程の後、フローはS10の工程に戻る。具体的には、送気温度調節器110は、加熱装置24の加熱量を制御する。さらに具体的には、送気温度調節器110は、偏差ΔT(=Tt−Tα)の符号が正であるので、50%より大きな出力値を加熱装置24に対して送信する。このとき、送気温度調節器110は、上述したように、偏差ΔTの絶対値に応じて、出力値を大きくしてもよい。これによって、加熱装置24の加熱量が制御される。
一方、送気温度Tαが目標温度Ttよりも低くないと判断された場合(S210のNO)、送気温度調節器110は、送気温度Tαが目標温度Ttよりも大きいか否かを判断する(S214)。送気温度Tαが目標温度Ttよりも大きいと判断された場合(S214のYES)、送気温度調節器110は、冷却制御を行う(S216)。S216の工程の後、フローはS10の工程に戻る。
具体的には、送気温度調節器110は、湿度調整装置20の噴霧水の流量を制御する。さらに具体的には、送気温度調節器110は、偏差ΔT(=Tt−Tα)の符号が負であるので、50%より小さな出力値をポンプ32に対して送信する。このとき、送気温度調節器110は、上述したように、偏差ΔTの絶対値に応じて、出力値を小さくしてもよい。つまり、送気温度調節器110は、偏差ΔTの絶対値が大きいほど(Tαが大きいほど)、出力値を0%に近くなるようにしてもよい。これによって、ポンプ32の回転数が制御され、したがって、湿度調整装置20の噴霧水の流量が制御される。
一方、送気温度Tαが目標温度Ttよりも大きくないと判断された場合(S214のNO)、送気温度Tαは目標温度Ttに一致している。なお、S210及びS214の工程における送気温度Tαと目標温度Ttとの比較において、送気温度調節器110は、送気温度Tαが目標下端温度Taの近傍(例えば±1度程度)にある場合、送気温度Tαは目標下端温度Taに一致していると判断してもよい。
このとき、上述したように、送気湿度Mαは目標湿度Mtに等しい。したがって、送気温度調節器110及び送気湿度調節器112は、送気状態点α(Tα,Mα)が目標点tの近傍から離れないように、出力を微調整する(S230)。具体的には、送気温度調節器110は、送気温度Tαが目標温度Ttの近傍から離れないように、出力を微調整する。同様に、送気湿度調節器112は、送気湿度Mαが目標下端湿度Maの近傍から離れないように、出力を微調整する。
一方、S200の工程において、送気湿度Mαが目標上端湿度Mcよりも大きいと判断された場合(S200のYES)、図7に示すように、演算装置102は、目標点tを目標上端点cに設定する(S302)。つまり、演算装置102は、目標温度Ttを目標上端温度Tcに設定し、目標湿度Mtを目標上端湿度Mcに設定する。
このとき、送気湿度Mαは目標上端湿度Mcより大きいので、演算装置102は、切替部26に対して、後段加熱器14側に流路を切り替えるように制御する(S304)。これによって、加熱装置24からの加熱空気は、後段加熱器14に供給される。
次に、送気湿度調節器112は、除湿制御を行う(S306)。具体的には、このとき、送気湿度Mαが目標上端湿度Mcより高いので、送気湿度調節器112は、冷却水調整弁42の開度及び湿度調整装置20の噴霧水の流量を制御する。さらに具体的には、送気湿度調節器112は、偏差ΔM(=Mc−Mα)の符号が負であるので、50%より小さな出力値を、冷却水調整弁42及びポンプ32に対して送信する。このとき、送気湿度調節器112は、上述したように、偏差ΔMの絶対値に応じて、出力値を大きくしてもよい。ここで、送気湿度調節器112からの出力値が25%〜50%のときは、冷却水調整弁42の開度が制御される。また、送気湿度調節器112からの出力値が0%〜25%のときは、ポンプ32の回転数、つまり湿度調整装置20の噴霧水の流量が制御される。これによって、湿度調整装置20の噴霧水の流量及び温度が制御される。
次に、送気温度調節器110は、送気温度Tαが目標上端温度Tcよりも低いか否かを判断する(S310)。具体的には、送気温度調節器110は、送気温度検出器56によって検出された送気温度Tαと、目標温度Ttに設定された目標上端温度Tcとを比較する。そして、送気温度調節器110は、送気温度Tαが目標上端温度Tcよりも低いか否かを判断する。
送気温度Tαが目標上端温度Tcよりも低いと判断された場合(S310のYES)、送気温度調節器110は、加熱制御を行う(S312)。S312の工程の後、フローはS10の工程に戻る。具体的には、送気温度調節器110は、加熱装置24の加熱量を制御する。さらに具体的には、送気温度調節器110は、偏差ΔT(=Tc−Tα)の符号が正であるので、50%より大きな出力値を加熱装置24に対して送信する。このとき、送気温度調節器110は、上述したように、偏差ΔTの絶対値に応じて、出力値を大きくしてもよい。これによって、加熱装置24の加熱量が制御される。
一方、送気温度Tαが目標上端温度Tcよりも低くないと判断された場合(S310のNO)、送気温度調節器110は、送気温度Tαが目標上端温度Tcよりも大きいか否かを判断する(S314)。送気温度Tαが目標上端温度Tcよりも大きいと判断された場合(S314のYES)、送気温度調節器110は、冷却制御を行う(S316)。S316の工程の後、フローはS10の工程に戻る。
具体的には、送気温度調節器110は、湿度調整装置20の噴霧水の流量を制御する。さらに具体的には、送気温度調節器110は、偏差ΔT(=Tc−Tα)の符号が負であるので、50%より小さな出力値をポンプ32に対して送信する。このとき、送気温度調節器110は、上述したように、偏差ΔTの絶対値に応じて、出力値を小さくしてもよい。つまり、送気温度調節器110は、偏差ΔTの絶対値が大きいほど(Tαが大きいほど)、出力値を0%に近くなるようにしてもよい。これによって、ポンプ32の回転数が制御され、したがって、湿度調整装置20の噴霧水の流量が制御される。
なお、このとき、送気温度調節器110及び送気湿度調節器112の両方から、50%より小さな出力値をポンプ32に対して送信している。したがって、上述したように、流量選択器122は、両者の出力から、ポンプ32の回転数が高くなる方の出力を選択して、ポンプ32に対して出力する。
また、S310及びS314の工程における送気温度Tαと目標温度Tt(目標上端温度Tc)との比較において、送気温度調節器110は、送気温度Tαが目標上端温度Tcの近傍(例えば±1度程度)にある場合、送気温度Tαは目標上端温度Tcに一致していると判断してもよい。
一方、送気温度Tαが目標上端温度Tcよりも大きくないと判断された場合(S314のNO)、送気温度Tαは目標上端温度Tcに一致している。このとき、制御装置100は、送気湿度Mαが目標上端湿度Mc(目標湿度Mt)に一致したか否かを判断する(S320)。具体的には、送気湿度調節器112は、送気湿度Mαと目標上端湿度Mcを比較して、両者が一致したか否かを判断する。このとき、送気湿度調節器112は、送気湿度Mαが目標上端湿度Mcの近傍(例えば±1度程度)に到達した場合に、送気湿度Mαが目標上端湿度Mcと一致していると判断してもよい。送気湿度Mαが目標上端湿度Mcに一致していない場合(S320のNO)、フローはS10の工程に戻る。
一方、送気湿度Mαが目標上端湿度Mcに一致した場合(S320のYES)、送気温度調節器110及び送気湿度調節器112は、送気状態点α(Tα,Mα)が目標点t(目標上端点c)の近傍から離れないように、出力を微調整する(S330)。具体的には、このとき、送気湿度Mαが目標上端湿度Mcに一致し、さらに、送気温度Tαが目標上端温度Tcに一致している。したがって、送気温度調節器110は、送気温度Tαが目標上端温度Tcの近傍から離れないように、出力を微調整する。同様に、送気湿度調節器112は、送気湿度Mαが目標上端湿度Mcの近傍から離れないように、出力を微調整する。
以下、上述した空調制御方法によって、空調装置1が送気温度Tα及び送気湿度Mαを調整する動作について、具体例を挙げて説明する。
図8は、送気湿度Mαが目標下端湿度Maよりも低い場合の動作を説明するための図である。図8に示した空気線図において例示するように、送気状態点α1においては、送気湿度Mαが目標下端湿度Maよりも低い。したがって、図5に示したS102の工程において、演算装置102は、目標点tを目標下端点a(Ta,Ma)に設定する。また、図5に示したS104の工程によって、加熱装置24からの加熱空気は、前段加熱器12に供給される。
また、送気状態点α1においては、送気湿度Mαは目標下端湿度Maよりも低い。したがって、図5に示したS106の工程において、送気湿度調節器112は、50%より大きな出力値を加熱装置24に対して送信して加熱量を制御することによって、加湿制御を行う。また、送気状態点α1においては、送気温度Tαは目標下端温度Taよりも低い。したがって、図5に示したS112の工程において、送気温度調節器110は、50%より大きな出力値を加熱装置24に対して送信して加熱量を制御することによって、加熱制御を行う。
そして、S10〜S112の工程が繰り返されて、矢印A1に示すように送気温度Tαが上昇し、送気状態点α2に示すように、送気温度Tαが目標下端温度Taに一致する。このとき、偏差ΔTが0となるので、送気温度調節器110の出力は50%となる。一方、送気湿度Mαは目標下端湿度Maよりも低い。したがって、S120の工程からS10の工程に戻り、S106の工程において、送気湿度調節器112は、50%より大きな出力値を加熱装置24に対して送信して加熱量を制御することによって、加湿制御を行う。これにより、矢印A2に示すように、送気温度Tαが目標下端温度Taよりも高くなる。
したがって、図5のS116の工程において、送気温度調節器110は、50%より小さな出力値をポンプ32に対して送信して湿度調整装置20の噴霧水の流量を制御することによって、冷却制御を行う。つまり、このとき、ポンプ32が動作して、湿度調整装置20は、噴霧水を噴霧する。このとき、湿度調整装置20が噴霧水を噴霧することによって、断熱加湿がなされる。このように、S10〜S116の工程を繰り返して、湿度調整装置20の噴霧水の流量を制御し、加熱装置24(前段加熱器12)の加熱量を制御することによって、例えば矢印A3〜A5に示すように、送気状態点αは目標下端点aに追従する。
このようにして、送気湿度Mαが目標下端湿度Maよりも低い場合に、送気状態点αを目標点t(目標下端点a)に追従させることが可能となる。なお、送気状態点αが目標下端点aに追従する前に、送気湿度Mαが目標下端湿度Ma以上となった場合、空調制御方法のフローは、S100のNO及びS200のNOにより、図6に示したS202の工程に進む。これにより、始めは送気湿度Mαが目標下端湿度Maよりも低かったが、制御工程が進むにつれて送気湿度Mαが目標下端湿度Ma以上となった場合でも、以下に示すような方法で、送気状態点αを目標点tに追従させることが可能となる。
つまり、外気条件に応じて追従すべき状態変化予想線を設定することなく、送気状態点αを目標曲線L上の目標点tに追従させることが可能となる。
図9は、送気湿度Mαが目標下端湿度Maと目標上端湿度Mcとの間である場合の動作を説明するための図である。図9に示した空気線図において例示するように、送気状態点α1(Tα1,Mα1)においては、送気湿度Mα1が目標下端湿度Ma以上であり目標上端湿度Mc以下である。したがって、図6に示したS202の工程において、演算装置102は、目標点tを、目標曲線L上で湿度がMα1である点t1(Tt,Mα1)に設定する。また、図6に示したS204の工程によって、加熱装置24からの加熱空気は、前段加熱器12に供給される。
このとき、送気湿度Mα1は目標湿度Mtに等しいので、偏差ΔM(=Mt−Mα1)は0である。したがって、上述したように、送気湿度調節器112は、調湿制御を行わない。また、図9の例では、送気状態点α1においては、送気温度Tα1は、目標温度Ttよりも高い。したがって、図6に示したS216の工程において、送気温度調節器110は、50%より小さな出力値をポンプ32に対して送信して湿度調整装置20の噴霧水の流量を制御することによって、冷却制御を行う。
このとき、湿度調整装置20が噴霧水を噴霧することによって、断熱加湿がなされる。したがって、送気状態点αは、矢印B1に示すように、等エンタルピ線に沿って、送気状態点α1から送気状態点α2(Tα2,Mα2)に遷移する。このとき、S202の工程において、演算装置102は、目標点tを、目標曲線L上で湿度がMα2である点t2(Tt,Mα2)に設定する。
このとき、同様に、送気湿度Mα2は目標湿度Mtに等しいので、偏差ΔM(=Mt−Mα2)は0である。したがって、上述したように、送気湿度調節器112は、調湿制御を行わない。また、送気状態点α2においても、送気温度Tα2は、目標温度Ttよりも高い。したがって、図6に示したS216の工程において、送気温度調節器110は、50%より小さな出力値をポンプ32に対して送信して湿度調整装置20の噴霧水の流量を制御することによって、冷却制御を行う。このとき、同様に断熱加湿がなされるので、送気状態点αは、矢印B2に示すように、等エンタルピ線に沿って、送気状態点α2から送気状態点α3(Tα3,Mα3)に遷移する。
以下同様にして、S10〜S216の処理が繰り返されることによって、矢印B3に示すように、送気状態点αは、目標曲線L上の目標点t4に追従する。このようにして、送気湿度Mαが目標下端湿度Maと目標上端湿度Mcとの間であって送気温度Tαが目標温度Ttよりも高い場合に、送気状態点αを目標点tに追従させることが可能となる。
なお、送気状態点αが目標点tに追従する前に、送気湿度Mαが目標上端湿度Mcよりも高くなった場合、空調制御方法のフローは、S100のNO及びS200のYESにより、図7に示したS302の工程に進む。これにより、始めは送気湿度Mαが目標上端湿度Mc以下だったが、制御工程が進むにつれて送気湿度Mαが目標上端湿度Mcよりも高くなった場合でも、送気状態点αを目標点tに追従させることが可能となる。
つまり、外気条件に応じて追従すべき状態変化予想線を設定することなく、送気状態点αを目標曲線L上の目標点tに追従させることが可能となる。
図10は、送気湿度Mαが目標下端湿度Maと目標上端湿度Mcとの間である場合の動作を説明するための図である。図10に示した空気線図において例示するように、送気状態点α(Tα,Mα)においては、送気湿度Mαが目標下端湿度Ma以上であり目標上端湿度Mc以下である。したがって、図9の例と同様に、図6に示したS202の工程において、演算装置102は、目標点tを、目標曲線L上で湿度がMαである点t(Tt,Mα)に設定する。また、図6に示したS204の工程によって、加熱装置24からの加熱空気は、前段加熱器12に供給される。なお、上述したように、演算装置102は、加熱装置24からの加熱空気が後段加熱器14に供給されるように、切替部26を制御してもよい。
このとき、送気湿度Mαは目標湿度Mtに等しいので、偏差ΔM(=Mt−Mα)は0である。したがって、上述したように、送気湿度調節器112は、調湿制御を行わない。また、図10の例では、送気状態点αにおいては、送気温度Tαは、目標温度Ttよりも低い。したがって、図6に示したS212の工程において、送気温度調節器110は、50%より大きな出力値を加熱装置24に対して送信して加熱装置24の加熱量を制御することによって、加熱制御を行う。
以下、S10〜S212工程が繰り返されることによって、送気状態点αは、目標曲線L上の目標点tに追従する。このようにして、送気湿度Mαが目標下端湿度Maと目標上端湿度Mcとの間であって送気温度Tαが目標温度Ttよりも低い場合に、送気状態点αを目標点tに追従させることが可能となる。
つまり、外気条件に応じて追従すべき状態変化予想線を設定することなく、送気状態点αを目標曲線L上の目標点tに追従させることが可能となる。
図11は、送気湿度Mαが目標上端湿度Mcよりも高い場合の動作を説明するための図である。図11に示した空気線図において例示するように、送気状態点α1においては、送気湿度Mαが目標上端湿度Mcよりも低い。したがって、図7に示したS302の工程において、演算装置102は、目標点tを目標上端点c(Tc,Mc)に設定する。また、図7に示したS304の工程によって、加熱装置24からの加熱空気は、後段加熱器14に供給される。
また、送気状態点α1においては、送気湿度Mαは目標上端湿度Mcよりも高い。したがって、図7に示したS306の工程において、送気湿度調節器112は、50%より小さな出力値を冷却水調整弁42に対して送信して湿度調整装置20の噴霧水の温度を制御することによって、除湿制御を行う。また、送気状態点α1においては、送気温度Tαは目標上端温度Tcよりも高い。したがって、図7に示したS316の工程において、送気温度調節器110は、50%より小さな出力値をポンプ32に対して送信して湿度調整装置20の噴霧水の流量を制御することによって、冷却制御を行う。
ここで、上述したように、送気湿度調節器112の制御によって、冷却水調整弁42の開度が調整されている。つまり、このとき、湿度調整装置20の噴霧水の温度が低下している。したがって、S10〜S316の工程が繰り返されて、矢印C1に示すように、送気温度Tαが下降し、さらに送気湿度Mαも下降する。そして、送気状態点α2に示すように、送気温度Tαが目標上端温度Tcに一致する。このとき、偏差ΔTが0となるので、送気温度調節器110の出力は50%となる。一方、送気湿度Mαは目標上端湿度Mcよりも高い状態が維持される。つまり、偏差ΔMが負である状態が維持される。
したがって、S306の工程において、送気湿度調節器112は、出力値を25%へと減少させる。このとき、上述したように、送気温度調節器110の出力は50%となっているため湿度調整装置20は噴霧水を噴霧していない。したがって、送気湿度調節器112の出力値を50%から25%の間では、送気湿度Mαが目標上端湿度Mcへと追従しない。そのため、送気湿度調節器112は、さらに25%より小さな出力値を冷却水調整弁42及びポンプ32に対して送信させる。したがって、冷却水調整弁42の開度は全開となり、湿度調整装置20の噴霧水の温度は最低となった状態で、湿度調整装置20は、噴霧水を噴霧する。
これにより、送気温度Tαが目標上端温度Tcよりも低くなる。したがって、S312の工程により、送気温度調節器110は、送気温度調節器110は、50%より大きな出力値を加熱装置24に対して送信して加熱装置24(後段加熱器14)の加熱量を制御することによって、加熱制御を行う。このように、S10〜S312の工程を繰り返して、湿度調整装置20の噴霧水の流量を制御し、加熱装置24(後段加熱器14)の加熱量を制御することによって、例えば矢印C2〜C3に示すように、送気状態点αは目標上端点cに追従する。
このようにして、送気湿度Mαが目標上端湿度Mcよりも高い場合に、送気状態点αを目標点t(目標上端点c)に追従させることが可能となる。なお、送気状態点αが目標上端点cに追従する前に、送気湿度Mαが目標上端湿度Mc以下となった場合、空調制御方法のフローは、S100のNO及びS200のNOにより、図6に示したS202の工程に進む。これにより、始めは送気湿度Mαが目標上端湿度Mcよりも高かったが、制御工程が進むにつれて送気湿度Mαが目標上端湿度Mc以下となった場合でも、送気状態点αを目標点tに追従させることが可能となる。
つまり、外気条件に応じて追従すべき状態変化予想線を設定することなく、送気状態点αを目標曲線L上の目標点tに追従させることが可能となる。
上述したように、本実施の形態にかかる空調装置1は、送気の状態に応じて、目標曲線上の点における目標温度Tt及び目標湿度Mtを設定するように構成されている。また、送気温度調節器110は、送気温度Tαと目標温度Ttとの偏差に基づいて、加熱装置24及び湿度調整装置20の少なくとも1つを制御して、送気温度Tαを目標温度Ttに追従させるように調節するように構成されている。さらに、送気湿度調節器112は、送気湿度Mαと目標湿度Mtとの偏差に基づいて、加熱装置24及び湿度調整装置20の少なくとも1つを制御して、送気湿度Mαを目標湿度Mtに追従させるように調節するように構成されている。
したがって、本実施の形態においては、図8〜図11を用いて上述したように、外気の状態を監視しなくても、送気温度Tα及び送気湿度Mαを監視するのみで、送気温度及び送気湿度を調整するための制御を行うことが可能となる。これにより、外気の状態に応じて異なる制御を行う必要がなくなるので、上記の特許文献1で生じる問題が発生することが抑制される。
言い換えると、本実施の形態においては、送気状態がどのようであっても、図5〜図7に示すように、送気温度調節器110及び送気湿度調節器112の制御によって、加熱装置24及び湿度調整装置20の少なくとも1つが制御されるのみである。つまり、本実施の形態においては、外気状態に応じて、制御工程が予め定められているわけではない。言い換えると、本実施の形態においては、外気条件に応じて追従すべき状態変化予想線を設定することなく、送気状態点αを目標曲線L上の目標点tに追従させることが可能となる。したがって、本実施の形態においては、送気温度及び送気湿度を調整するため制御の簡素化を図ることが可能となる。
また、本実施の形態においては、空調装置1は、送気の状態に応じて目標曲線L上の点を目標点に設定するように構成されている。つまり、空調装置1は、目標曲線L上の点における温度及び湿度を、それぞれ目標温度Tt及び目標湿度Mtと設定するように構成されている。したがって、送気状態点αから最も追従しやすい点が目標点tに設定される。これにより、本実施の形態においては、効率の良い制御を行うことが可能となる。
また、本実施の形態においては、前段加熱器12及び後段加熱器14を設け、加熱装置24が、前段加熱器12又は後段加熱器14に対して、加熱空気を供給するように構成されている。これにより、1つの加熱装置24によって湿度調整装置20の前後の空気を加熱することができる。したがって、空調装置1の設備長を短くすることが可能となる。
さらに、本実施の形態においては、加熱装置24と、前段加熱器12及び後段加熱器14との間に切替部26を設け、送気の状態に応じて加熱装置24から前段加熱器12及び後段加熱器14のどちらに加熱空気が供給されるかを切り替えるように構成されている。これにより、送気の状態に応じて、湿度調整装置20の前の空気(外気)を加熱するか、又は湿度調整装置20の後の空気を加熱するかを切り替えることが可能となる。したがって、図8〜図11のいずれの送気条件であっても、送気状態点αを目標点tに追従させることが可能となる。
さらに、後段加熱器14の出力は、前段加熱器12の出力よりも小さくなるように構成されてもよい。このように構成されることによって、図11に例示したように送気条件が高温高湿度である場合に、前段加熱器12のような高出力の加熱器を使用することなく、後段加熱器14を用いることで、送気状態点αを目標点に追従させることが可能となる。したがって、特に送気条件が高温高湿度である場合に、加熱エネルギーの消費を抑制することが可能となる。
(変形例)
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、図5に示したフローにおいては、S106の工程の後でS110〜S116の工程が行われるとなっているが、S106の工程が行われている間にS110〜116の工程が行われてもよい。同様に、図7に示したフローにおいては、S306の工程の後でS310〜S316の工程が行われるとなっているが、S306の工程が行われている間にS310〜316の工程が行われてもよい。
また、送気ファン28又は給気口2近傍に設けられた給気ファン(図示せず)の回転による摩擦熱等によって、空気が加熱される可能性がある。したがって、演算装置102は、目標曲線Lを設定する際、上記ファンによる加熱によって上昇する温度分、それぞれの目標温度を下げるようにしてもよい。つまり、図2の空気線図上において、目標曲線Lは、左側(温度が小さい側)に移動する。これによって、制御の精度を向上させることができる。