JP3272391B2 - 塗装ブースの空調制御方法及び装置 - Google Patents

塗装ブースの空調制御方法及び装置

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JP3272391B2
JP3272391B2 JP07750592A JP7750592A JP3272391B2 JP 3272391 B2 JP3272391 B2 JP 3272391B2 JP 07750592 A JP07750592 A JP 07750592A JP 7750592 A JP7750592 A JP 7750592A JP 3272391 B2 JP3272391 B2 JP 3272391B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車ボディなどの塗装
を行う塗装ブースに所望の温度、湿度を有する空気を送
風するための空調制御方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車ボディ等の塗装は、従来、塗装ブ
ースの中で行われ溶剤の乾燥スピード等がコントロール
されていた(実開昭61−143674号公報)。図2
に従来の塗装ブースの空調制御装置のブロック図を示
す。取込口1から取り込まれた外気は、プレヒータ3に
よりある程度の高温にまで前加温される。プレヒータ3
を通過した空気は、加湿器5により相対湿度100%に
まで前加湿される。この加湿器5は、水をポンプ7で汲
み上げ上方からシャワー状に注ぎ、その間に空気を通過
させるものである。空気は、この前加湿により、気化熱
を奪われ冷やされる。次に、アフタヒータ9により空気
は、塗装ブース11(以下単にブースとする)の設定温
度まで調整加温される。その後、調整加湿器13によ
り、蒸気によって設定湿度まで調整加湿される。このよ
うにして設定温度及び設定湿度になった空気は、ファン
15によりブース11に送風される。
【0003】この従来例において、加温及び加湿のコン
トロールはそれぞれ独立して行われていた。すなわち加
温コントローラ17は、ブース11の温度センサ19及
びプレヒータ3の下流側に設けられた温度センサ21か
らの温度信号により、プレヒータコントロール弁23及
びアフタヒータコントロール弁25の開度を調整して、
ヒータ3,9に流れ込む蒸気の量をコントロールしてい
た。ヒータ3,9においては、この蒸気と空気との間で
熱交換が行われ、加温がなされる。加湿コントローラ2
7はブース11の加湿センサ29から相対湿度を示す湿
度信号を受け、調整加湿器13の加湿コントロール弁3
1の開度を調整していた。
【0004】なお、プレヒータ3は大きな容量を有し、
空気を高い温度まで加温することができるが、加温の微
調整を行うことが困難である。それに対しアフタヒータ
9は容量は小さいものの微調整を行うことが容易であ
る。同様に加湿器5は乾いた空気であっても相対湿度1
00%にまで加湿することができるが、加湿の度合いを
調整することはできない。これに対し調整加湿器13は
容量は小さいが加湿の微調整を行うことができる。
【0005】また、装置の立ち上がり運転の際には、高
温度高湿度の空気をいきなり低温度低湿度のブースへ送
風すると、ブース11の内壁や天井で結露を生じ、ブー
ス内で塗装を行っているワーク例えば車のボディなどの
上に水滴が落下し、品質不良の原因になるため、送風す
る空気の温度及び湿度を徐々に高めていく刻み運転が行
われていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記立ち上がり運転に
おいて、加温及び加湿の幅は時間に対して小さく小刻み
であることが望ましいが、あまり小刻み過ぎるとブース
の温度及び湿度が所望の設定温度及び設定湿度になるま
での時間が長時間かかってしまうものであった。従っ
て、加温及び加湿の幅はある程度の大きさとすることに
なる。このような幅設定は、従来は運転者の経験によっ
て行われ、特に冬場において、加湿オーバーとなり結露
を生じることがあった。
【0007】また、立ち上がり運転が終り定常運転とな
った場合に、雨などの外乱が発生し取り込まれる外気の
湿度(または温度)に変動があると、ブースの温度及び
湿度がハンチング状態となり、コントロールできる温湿
度の管理幅を超え、一定の温湿度の空気を送風できない
という虞れがあった。
【0008】本発明は以上の問題点を解決するためにな
されたもので、立ち上がり状態での結露、及び外乱を原
因とするハンチング状態を防止することのできる塗装ブ
ースの空調制御方法及び装置を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は、前加温、調整加温、及び調整加湿を空
気線図に基づき、外気温度、外気湿度、ブース現在温
度、ブース現在湿度、設定温度、及び設定湿度をパラメ
ータとして行うものである。
【0010】前加湿は常に相対湿度100%に加湿する
ものでありコントロールの余地はない。また調整加温及
び調整加湿は加温、加湿の幅が小さく、したがって前加
温をどのようにコントロールするかが重要となる。
【0011】定常状態では、この前加温の目標温度は、
空気線図上で実際の加温加湿とは逆の方向にたどること
で、求められる。すなわち、設定温度と設定湿度とから
なる設定点より、調整加湿の直線、これに直交する調整
加温の直線、さらにこれに続く前加湿の等エンタルピ
線、及び前加温の直線を外気点へたどる。
【0012】具体的には、例えば、空気線図上で設定温
度より所定幅低い等絶対湿度線と飽和曲線との交点を通
る等エンタルピ線が、外気湿度の等絶対湿度線と交わる
交点の温度を前加温の目標温度とする。
【0013】また、立ち上がり状態では、前加温の目標
温度は、結露を生じないようにブース現在温度を考慮し
て求められる。すなわち、空気線図上でブース現在温度
とブース現在湿度とからなるブース現在点より、等温度
の直線、これに続く前加湿の等エンタルピ線、及びこれ
に続く前加温の直線を逆に外気点へたどることで求め
る。
【0014】具体的には例えば、空気線図上でブース現
在温度より所定幅低い等温度線と飽和曲線との交点を通
る等エンタルピ線が、外気湿度の等絶対湿度線と交わる
交点の温度とすることができる。
【0015】立ち上がり状態から定常状態への過渡期で
は、前記2つの方法で求められる温度を選択的に採用す
ることができる。すなわち、実際の加温加湿の動きを逆
にたどって求めた温度が、結露を防止するためブース現
在温度を考慮して求めた温度より小さい場合には、前者
を採用し、大きい場合には後者を採用する。
【0016】これらの方法は、加温を行うヒータ、加湿
を行う加湿器、加温加湿をコントロールするコントロー
ラなどを備えることで塗装ブースの空調制御装置を提供
することになる。
【0017】
【作用】本発明のように空気線図に基づいて加温加湿を
行えば、温度と湿度は相互に関係し影響を与え合うもの
であるから、従来のように加温と加湿を独立にコントロ
ールして行う場合に比べ、制御を正確に行うことができ
る。
【0018】実際にある温度及び湿度を有する外気に対
し、前加温、前加湿、調整加温、および調整加湿を順次
行って設定した所望の温度及び湿度の空気を作る場合
に、そのプロセスを空気線図上で逆にたどることで、設
定温度と設定湿度に対する最も望ましい前加温の目標温
度を求めることができる。すなわち、調整加湿は空気を
冷やすことがない等温度線の直線上で行われ、調整加温
は絶対湿度が変わらない直線上で行われ、前加湿は断熱
加湿を表わす等エンタルピ線上で行われ、前加温は絶対
湿度が変わらない直線上で行われるので、これらの直線
に沿ってプロセスを逆にたどることができ、最適の前加
温の目標温度を求めることができる。
【0019】具体的には、設定湿度から前期調整加湿の
直線を逆にたどる場合、この設定湿度より所定幅低い等
絶対湿度線を逆にたどることで、この所定幅の分だけ安
全側の目標温度を得ることができる。すなわち、本発明
の空調制御方法及び装置には除熱除湿の機能がなく、し
かも一定のコントロール誤差は当然にあるので、過加温
または過加湿をさける必要がある。そのため前記所定幅
低い等絶対湿度線を用いることで、安全側のコントロー
ルとすることができる。
【0020】立ち上がり状態での過加湿に因る結露は、
ブース現在温度に許される絶対湿度を超えて前加湿が行
われた時に生じるものであるから、このブース現在温度
を考慮し、立ち上がり運転を行う。すなわち、調整加温
の等絶対湿度の直線、前加湿の等エンタルピ線、及び前
加温の直線を逆に外気点へたどることで、最適の前加温
の目標温度を得ることができる(この場合、調整加湿は
行わない)。
【0021】具体的には、ブース現在温度より所定幅低
い等温度線を用いることで、前述したのと同様に、安全
側のコントロールとすることができる。
【0022】立ち上がり状態から定常状態への過渡期で
は両状態が存在するので、両状態における前加温の目標
温度の求め方を併用する。この時、立ち上がり状態での
求め方で求めた温度が、定常状態での求め方で求めた温
度より大きくなると過加温、過加湿が生じてしまうの
で、これを避けるため、両温度を比較する。そして前者
の温度が後者の温度より小さな場合にのみ前者を採用
し、大きい場合には後者を採用して、過加温過加湿を避
ける。
【0023】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1、図2〜図1
1、図13〜図16において説明する。
【0024】図1は本実施例の装置のブロック図であ
る。従来例(図2)と同一の部分については同一の番号
を付す。外気取込口1には温度センサ33及び湿度セン
サ35が新たに設けられている。また、コントローラ3
7は、加温と加湿の両方を空気線図を基にして同時に行
うものである。
【0025】図3は、定常状態でのコントロールを示す
空気線図である。すなわち、外気温度と外気湿度(本明
細書中では単に「湿度」とは絶対湿度のことをいう)に
より外気点0が得られる。この外気に対しプレヒータ3
(図1)がある程度の高温まで前加熱する。この前加熱
は水分の供給を伴わないので等絶対湿度線の直線上で行
われる。その後、加湿器5により相対湿度100%にま
で前加湿される。この加湿は熱の出入りなしに行われる
断熱加湿であり等エンタルピ線41(湿球温度直線)の
上で行われる。そして飽和曲線43に交わる点で加湿は
停止される。飽和曲線43は相対湿度(RH)100%
を示す曲線であり、以下に示す複数の直線により折線4
5によって近似される。
【0026】 h=a1 t+b1 ( t<t1 ) h=a2 t+b2 (t2 ≦t<t3 ) h=a3 t+b3 (t3 ≦t<t4 ) h=a4 t+b4 (t4 ≦t ) なお、a1 〜a4 、b1 〜b4 は図中の点(t1 ,h1
)〜(t5 ,h5 )より求められる。直線で近似する
ことによりコントロールの際の計算を容易にできる。
【0027】また、等エンタルピ線を表わす湿球温度直
線の傾きCψは
【数1】 として求め、すべての湿球温度直線において同じである
とする。
【0028】また空気線図を用いるためには、一般に用
いられる相対湿度を絶対温度に変換して用いなければな
らない。この変換は、湿度に対する飽和水蒸気圧(Pw
s)の値を定数(NN変数)として与えておき、次式に
よって求めるものとする。
【0029】
【数2】 なお、前記湿度は−10℃〜37℃までの1℃おきのP
wsの値を定数として与えるものとする。
【0030】加湿器5による加湿の後に、アフタヒータ
9による調整加温が、直線47の上で行われる。さら
に、調整加湿器13による加湿が、蒸気によって空気を
冷やすことなく等温度線49の上で行われる。
【0031】なお、図3に示すような前加温、前加湿、
調整加温、及び調整加湿のプロセスは、定常状態になっ
た後は従来も同様であった。すなわちブース現在点Pで
表わされるブース現在温度及びブース現在湿度が、設定
点Sで表わされる設定温度及び設定湿度に略一致してい
る(図3参照)状態では、加温加湿のプロセスは従来も
本実施例もほぼ同じである。しかし、最終的な結果であ
るブース現在点Pに最も重要な影響を与える前加湿の目
標温度(図3では段階的な刻み運転(図13,図17参
照)を行わないので、この目標温度はそのまま最終目標
温度となる)は、加温加湿のプロセスを外気点Oに向か
って逆にたどることにより求めている。
【0032】この求め方を示す作図の方法を図4〜図6
で説明する。
【0033】まず設定点Sより湿度が一定値a1 だけ低
い点S´を求める(図4)。この一定値a1 は調整加湿
器の容量Chuに対し1/2Chuとすることが望ましい。
この一定値a1 を採用する理由はコントロールを安全側
で行うためである。すなわち、本実施例の方法及び装置
は除熱及び除湿の機能がない(図1)。従って、一度、
過加温あるいは過加湿を行うとコントロール不可能とな
る。また、加温加湿のプロセスのコントロールには一定
の誤差が当然にあるので、誤差があってもコントロール
を安全側で行うためにa1 を採用し、最終段階で調整加
湿器13などによる調整を利かせようとするものであ
る。
【0034】次に、このS´を通って横軸に平行な線、
すなわち前記設定湿度より所定幅低い等絶対湿度線を引
く。この線と飽和曲線との交点をAとする(図4)。次
にA点を通る等エンタルピ線を求める(図5)。この式
は、前記点Aの座標を(TA,HA )とすると h=Cψ・t+(HA −Cψ・TA ) となる。次に、外気点Oを通り横軸に平行な線、すなわ
ち外気湿度の等絶対湿度線と交わる交点をBとし(図
6)、その座標を(TB ,HB )とする。このTBを、
前加温の最終目標温度SPF(図3)とする。
【0035】このようにして外気を加温加湿してブース
へ送風するが、夏場などのようにすでに外気温度や外気
湿度が十分に高くプレヒータ3による前加温を必要とし
ない場合があるので、その判定を図7〜図9において行
う。
【0036】すなわち、図7のように、ブースの設定温
度TBSP によりアフタヒータ9の容量Caf分の幅低い等
絶対湿度線と、飽和曲線との交点Eを求める。Eを通る
等エンタルピ線は、E点の座標を(TE ,HE )とする
と h=Cψ・t+(HE −Cψ・TE ) となる。この線の上側の領域に外気点Oが存在すればプ
レヒータによる前加湿は行うことができず、下側の領域
に存在すれば前加湿を行うことができる。
【0037】つまり前記直線と外気点Oを通り横軸に平
行な直線との交点K(TK ,HK )を求める。すると、
前記直線の切片dE は dE =HE −Cψ・TE となる。同様に外気点Oを通る等エンタルピ線の切片
は、外気点Oの座標を(HOUTPV ,TOUTPV )とする
と、 dout =HOUTPV −Cψ・TOUTPV となる。そして、dE <dout ならばプレヒータは使用
できない。逆に、dE >dout であればプレヒータを使
用できる。
【0038】以上の判定(図7〜図9)においてプレヒ
ータ3を使用しないと判定された場合には、アフタヒー
タ9によってのみ加温が行われることとなる。
【0039】また、本実施例の装置には前述したように
除熱除湿の機能がない(図1)ので、外気が高温度又は
高湿度になった時、ブースの設定温度又は設定湿度自体
が達成不可能となる場合がある。このような場合には装
置は運転者などに対し警告を発しなければならない。こ
のような判定を図10及び図11において説明する。
【0040】図5の交点Aを通る等エンタルピ線の切片
dA (図10(a))は前記と同様にして dA =HA −Cψ・TA となる。これと先ほどのdout を比較し、dout が大き
ければ(図10(a))設定温度又は設定湿度の達成は
不可能であるとして警告を行う。逆にdout が小さけれ
ばさらに以下のチェックを行う。
【0041】すなわち、プレヒータ3及び加湿器5を用
いずに、アフタヒータ9及び調整加湿器13のみで調整
を行えば設定温度及び設定湿度を達成できる場合がある
からである。図11に示すように、まず外気点Oを基に
して、プレヒータ3の容量Cpre を用いてG点(TOUTP
V +Cpre ,HOUTPV )を求め、このG点を通る等エン
タルピ線と飽和曲線との交点をH(TH ,HH )とす
る。そして、ブース設定温度TBSP ≦TH +アフタヒー
タ容量(Caf)且つブース設定湿度HBSP ≦HH+加湿
器容量(Chu)であれば、ブース設定点Pが表わす設定
温度及び設定湿度は達成が可能である。
【0042】また、ブース設定温度TBSP >TH +アフ
タヒータ容量(Caf)であれば、設定温度はより高くし
なければ達成が不可能である。また、ブース設定湿度H
BSP>HH +加湿器容量(Chu)であれば、ブース設定
湿度をより高くしなければ達成が不可能である。
【0043】このようにして設定点Sの設定値をより高
くしなければ達成できないことを警告することにより、
ブースの中で行われる塗装に用いられる溶剤などの調節
を促し、一定の温湿度の空気を供給することを可能にす
る。溶剤などの調節によりある程度の設定値の変更は可
能であり、最も重要なことである一定の温湿度の空気を
供給することを可能とし、これにより塗装された製品の
品質への悪影響を無くすものである。
【0044】次に、図3のような定常状態における加温
加湿を行うことにより、従来発生しやすかったハンチン
グ現象を防止できることを図12を基に説明する。図1
2は従来の、定常状態における加温加湿を、空気線図に
よって表わしたものである。今、外気点Oの外気を加温
加湿して、設定点Sに略一致したブース現在点P1 の空
気が供給できているものとする。この時、雨が降り湿度
が急に高くなる外乱が生じたものとする。それまでの状
態のままで加温加湿を続けるとブース現在点P2 の状態
となる。このP2 はP1 に対しT1 だけ温度が高く、相
対湿度がΔRH1 だけ低くなってしまう。従来は、前述
したように加温と加湿がそれぞれ独立にコントロールさ
れており、湿度は相対湿度が用いられていた。このため
加温コントローラ17(図2)はΔT1 だけ温度を低く
しようとし、加湿コントローラ27はΔRH1 だけ湿度
を高めようとする。このように独立したコントロールを
行うことにより、ブース現在点P3 となる。このP3 は
初めのP1 に比べΔRH2だけ湿度が高くなってしまっ
ている。この例からもわかるように、従来はハンチング
現象を生じやすいものであった。これに対し本実施例は
図3で説明したように、加温と加湿を同時にコントロー
ルし、設定点Sより加温加湿のプロセスを逆にたどり最
適の前加温の目標温度(最終目標温度SPF)を求める
ことができるので、ハンチング現象を防止できる。
【0045】次に、図13〜図16により本実施例にお
ける立ち上がり状態でのコントロールを説明する。本実
施例は、一言でいえば、ブース現在温度に許される最大
の絶対湿度よりも大きな絶対湿度を、前加湿において与
えてしまわないようにコントロールするものである。
【0046】すなわちブース11の内壁や天井の温度す
なわちブース現在温度によって、送風された空気が冷却
されてしまった場合においても、空気が結露を生じない
ように、絶対湿度を抑えるものである。図13において
は3段階の刻み運転が行われている。このうち初めの2
つの段階(立ち上がり状態)では、調整加湿は行われて
おらず最後の段階(過渡期)でのみ調整加湿が行われ
る。
【0047】このように、初めの方の段階で行われるコ
ントロールにおける前加温の目標温度の求め方を図14
〜図16において説明する。
【0048】まずブース現在点Pのブース現在温度より
一定値a2 だけ温度の低い点P´を求める(図14)。
そして点P´を通り縦軸に平行な線を引く。すなわち前
記ブース現在温度より所定幅a2 だけ低い等温度線を求
める。このa2 を採用することにより立ち上がり状態で
のコントロールを安全側で行うことが可能である。すな
わち、前記したa1 と同様に、装置が除熱及び除湿機能
をもたないことにともない過加温、過加湿を生じてコン
トロールできないことになるのを避けるものである。こ
の直線と飽和曲線との交点C(TC ,HC )を求める。
そして、Cを通る等エンタルピ線を求める(図15)。
線の式は h=Cψ・t+(HC −Cψ・TC ) となる。この直線と、外気湿度の等絶対湿度線と交わる
交点D(TD ,HD )を求める(図16)。このTD を
プレヒータの目標温度SPCALCとする。このSPCALC
は、刻み運転の各段階において求められる。すなわち、
図13に示すように、外気点Oと初めのブース現在点P
1 との間で初めの目標温度SPCALC(1) を求める。な
お、アフタヒータ9による調整加温は所定の出力で行わ
れ、各段階において同一温度幅だけ加温されるものとす
る。この初めの段階の運転を続けることによりブース現
在点はP2 となる。
【0049】そこで再び、外気点Oとブース現在点P2
とにより前加温の目標温度SPCALC(2) を求める。この
運転を続けブース現在点P3 となる。
【0050】同様にして外気点Oとブース現在点P3 に
より目標温度SPCALC(3) を求め、運転を行うとブース
現在点P4 となる。
【0051】ところが、外気点Oとブース現在点P4 と
により前加温の目標温度SPCALC(4) を求めると、この
SPCALC(4) は最終目標温度SPFよりも大きくなって
しまう。すなわち図3〜図6で説明したように、立ち上
がり状態の次にくる定常状態では、外気点Oとブース設
定点Sとから最終目標温度SPFが求まるが、第4の段
階における前記SPCALC(4) はSPFを超えてしまう。
このような場合には、SPFの方を優先し、採用する。
つまり、立ち上がり状態から定常状態への過渡期におい
ては、SPCALCがSPFを超える場合にはSPCALCを優
先させ、これにより最終段階のコントロールにおいて過
加温過加湿が生じるのを防ぐものである。
【0052】次に、本実施例における立ち上がり状態で
のコントロール(図14〜図16)によれば、従来例の
ような結露を防止できる。
【0053】すなわち、従来例においては図17に示す
ように外気点Oからブース設定点Sへ加温加湿を行う際
に、複数段の目標温度S1 、S2 、……を経験により定
めていた。すなわち、外気点Oに対し初めの目標点S1
を定めた場合には、初めの段階の運転でこの目標点S1
に達するように前加温、加湿、調整加湿が行われる。こ
のように目標S1 の目標温度及び目標湿度に合わせて作
られた空気がブースの中に送風されると、やがてブース
現在点P2 はS1 と一致する。その後、このP2 から第
2の目標点S2 へ向かって加温加湿が行われる。このよ
うにして徐々に刻み運転が行われ最終設定点Sへ近付い
ていく。
【0054】ところが、加温加湿された空気がブース内
に送風された際に、ブースの壁面や天井の温度が低い
と、送風された空気が冷却され結露してしまうものであ
った。すなわち図に示すように第1段階においてブース
の内壁面などの温度1はブース現在温度とほぼ同じであ
り、しかもブースの建物は暖まりにくく、運転された直
後に送風された空気はすぐに冷却されるので、結露を生
じてしまう。このような結露は、目標点S1 ,S2 の間
隔が大き過ぎる場合には第2段階以降の段階においても
生じる。このような結露が生じる理由は、目標点S1 ,
S2 などの設定が経験により定められていたためであ
る。これに対し本実施例は、前記図13に示すように刻
み運転の各段階においてブース現在温度に許される絶対
湿度を超えないように加湿を行うので(図14〜図1
6)、どの段階においても加湿オーバーによる結露を生
じることを避けられる。
【0055】なお、以上の実施例においてはコントロー
ルを安全側で行うために一定値a1、a2 を用いた(図
3及び図4、図13及び図14)が、他の実施例におい
ては必ずしもこのような一定値でなくてもよい。例えば
最終的に求められる値、すなわち設定点S(設定温度,
設定湿度)や前加湿の目標温度SPCALC自体を、安全側
すなわち値が小さくなる方へ補正するようにしてもよ
い。
【0056】また、以上の実施例においては飽和曲線4
3(図3)を折線45により近似して表わしたが、他の
実施例においては直線ではなく他の曲線例えば双曲線で
近似してもよい。
【0057】以上の実施例においては等エンタルピ線は
湿球温度曲線とし、その傾きはすべて同じと仮定した
が、他の実施例においてはさらに正確な近似を行っても
よい。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の塗装ブー
スの空調制御方法及びその装置によれば、従来のように
加温と加湿を独立して別個にコントロールする場合に比
べ、温度と湿度が相互に関係し影響を与え合うことを考
慮し空気線図に基づいて加温と加湿を同時にコントロー
ルするマルチコントロールを行うので、雨などの外乱な
どに強くハンチング状態を抑止できる。さらに、従来経
験に頼っていた立ち上がり状態での刻み運転の幅を、正
確に求めコントロールできるので、結露を抑止すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すブロック図である。
【図2】従来例を示すブロック図である。
【図3】図1において定常状態でのコントロールを表わ
す空気線図である。
【図4】図3の作図手順を示す図である。
【図5】図3の作図手順を示す図である。
【図6】図3の作図手順を示す図である。
【図7】プレヒータを使用するか否かを判定するための
作図を示す図である。
【図8】プレヒータを使用するか否かを判定するための
作図を示す図である。
【図9】(a)プレヒータを使用しないとする場合の判
定図である。 (b)プレヒータを使用するとする判定図である。
【図10】(a)ブース設定値が達成できないとする判
定図である。 (b)ブース設定値が達成可能とする判定図である。
【図11】アフタヒータと調整加湿器のみを使用するか
否かの判定図である。
【図12】図3に対応する従来のコントロールを説明す
る空気線図である。
【図13】本発明の立ち上がり状態のコントロールを説
明する空気線図である。
【図14】図13の作図手順を説明する図である。
【図15】図13の作図手順を説明する図である。
【図16】図13の作図手順を説明する図である。
【図17】図13に対応し従来例のコントロールを説明
する空気線図である。
【符号の説明】
1 外気取込口 3 プレヒータ 5 加湿器 9 アフタヒータ 11 ブース 13 調整加湿器 15 ファン 19,21,33 温度センサ 23 プレヒータコントロール弁 25 アフタヒータコントロール弁 29,35 湿度センサ 31 加湿コントロール弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B05B 15/12 B05C 15/00,9/14 B05D 3/00 - 3/12

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外気を取り込んである程度まで前加温し
    てから相対湿度100%に前加湿した後、前記前加湿で
    冷やされた空気を設定温度まで調整加温し、さらに、蒸
    気によって冷やすことなく設定湿度まで調整加湿して送
    風する塗装ブースの空調制御方法において、前記前加
    温、調整加温、及び調整加湿を空気線図に基づき、外気
    温度、外気湿度、ブース現在温度、ブース現在湿度、設
    定温度、及び設定湿度をパラメータとして行い、前記ブ
    ース現在温度及びブース現在湿度が設定温度及び設定湿
    度に略一致した定常状態で、前加温の目標温度は、空気
    線図上で設定温度と設定湿度とからなる設定点より調整
    加湿の直線、調整加温の直線、前加湿の等エンタルピ
    線、及び前加温の直線を逆に外気点へたどることで求め
    塗装ブースの空調制御方法。
  2. 【請求項2】 前加温の目標温度は、空気線図上で設定
    湿度より所定幅低い等絶対湿度線と飽和曲線との交点を
    通る等エンタルピ線が、外気湿度の等絶対湿度線と交わ
    る交点の温度とする請求項1記載の塗装ブースの空調制
    御方法。
  3. 【請求項3】 ブース現在温度及びブース現在湿度が設
    定温度及び設定湿度より低く、調整加湿を行なわない立
    ち上がり状態で、前加温の目標温度は、空気線図上でブ
    ース現在温度とブース現在湿度とからなるブース現在点
    より等温度線、前加湿の等エンタルピ線、及び前加温の
    直線を逆に外気点へたどることで求める請求項1記載の
    塗装ブースの空調制御方法。
  4. 【請求項4】 前加温の目標温度は、空気線図上でブー
    ス現在温度より所定幅低い等温度線と飽和曲線との交点
    を通る等エンタルピ線が、外気湿度の等絶対湿度線と交
    わる交点の温度とする請求項3記載の塗装ブースの空調
    制御方法。
  5. 【請求項5】 外気を取り込んである程度まで前加温す
    るプレヒータと、その後、相対湿度100%に前加湿す
    る加湿器と、前記前加湿で冷やされた空気を設定温度ま
    で調整加温するアフターヒータと、蒸気によって冷やす
    ことなく設定湿度まで調整加湿する調整加湿器と、その
    後塗装ブースへ送風するファンと、前記前加温、調整加
    温、及び調整加湿を空気線図に基づき、外気温度、外気
    湿度、ブース現在温度、ブース現在湿度、設定温度、及
    び設定湿度をパラメータとしてコントロールするコント
    ローラとを備え、コントローラは、ブース現在温度及び
    ブース現在湿度が設定温度及び設定湿度に略一致した定
    常状態で、前加温の目標温度を、空気線図上で設定湿度
    より所定幅低い等絶対湿度線、飽和曲線との交点を通る
    等エンタルピ線が、外気湿度の等絶対湿度線と交わる交
    点の温度とするようコントロールする塗装ブースの空調
    制御装置
  6. 【請求項6】 コントローラは、ブース現在温度及びブ
    ース現在湿度が設定温度及び設定湿度より低く、調整加
    湿を行わない立ち上がり状態で、前加温の目標温度を、
    空気線図上でブース現在温度より所定幅低い等温度線と
    飽和曲線との交点を通る等エンタルピ線が、外気湿度の
    等絶対湿度線と交わる交点の温度とするようコントロー
    ルする請求項5記載の塗装ブースの空調制御装置
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